文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年3月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を基本理念とし、経営の効率性、健全性及び透明性を確保した上で、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会など全てのステークホルダーとの関係性及び利益を重視したステークホルダー経営を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率、経常利益及び経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2022年11月に2030年の事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」を発表し、2030年までに「社会デザイン事業」の確立を目指しております。
その2030年までのロードマップとして、2024~2025年度を基盤整備期として位置づけ、社会デザイン事業の中核サービスであるCyano Projectを中心に、事業や商材間のシナジーを創出する業態改革を完了させ、収益の安定化に取り組みます。並行して、2027年度にかけて姫路循環資源製造所におけるサーキュラーマテリアル(循環資源)の製造工程の完全自動化に取り組み、製品価値の向上と無人化によるサービスの高度化を図ります。2028年度以降は、MEGURU STYLEの事業化と各地への展開によるMEGURU PLATFORM(※1)の稼働を目指します。2030年には、MEGURU PLATFORMによる事業を確立させ、エコシステム社会の実現を目指す戦略です。
基盤整備期には、以下5つを重要戦略として取り組みます。
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商品戦略 |
持続可能な企業経営・自治体運営に向けた移行戦略支援の強化・高度化 |
〇Cyano Projectの商品力強化 〇MEGURU STYLEの開発 |
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生産戦略 |
資源やESG関連情報など、多様な情報を収集・編纂・分析・活用する仕組みと体制の強化 |
〇移行戦略に必要な情報を収集・編纂・分析・活用する機能を高度化させる専門部署の設置 〇循環資源製造所における製造プロセスの自動化推進 |
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関係性(仕入)戦略 |
経営戦略の実行に向けた継続的・計画的なパートナーシップの創出 |
〇サーキュラーリンクス(株)の事業拡大 〇SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の積極活用 〇(一社)エコシステム社会機構の積極活用 〇海外事業展開に向けた他社協業の加速 |
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マーケティング戦略 |
啓蒙から販売まで一貫したマーケティング施策の実施・実行体制の確立 |
〇経営者/意思決定者を対象としたマーケティングチャネルの構築 |
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組織戦略 |
イノベーションのジレンマから脱却する組織改革の完了 |
〇従業員の自己組織化・リーダーシップの発揮を促進する新人事制度の施行・定着 〇会社-部門-個人まで一気通貫の目標管理体制の構築・運用定着 |
また、2030年までの重要取り組みは以下となります。
■2025~2027年度
<国内>
〇Cyano Project 商品力強化・提供拡大、インバウンドマーケティングを駆動力とした案件獲得
〇サーキュラーマテリアルの新商材開発
〇サーキュラーリンクス(株)における新商品開発
〇MEGURU STYLEのサービス開発
<海外>
〇マレーシアにおける社会デザイン事業の展開
■2028年度以降
<国内>
〇MEGURU STYLEの事業化・展開
〇サーキュラープラットフォームの構築
〇サーキュラー4.0の開発
<海外>
〇インドネシアにおける再資源化事業の収益化
※詳細につきましては、当社webサイト(https://www.amita-hd.co.jp/ir/strategy.html)にて公表しておりますのでご参照ください。
※1…MEGURU PLATFORMは、生産と消費の好循環を実現する仕組みであり、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」と、良質な資源と情報が集まるサーキュラーマテリアル製造所「MEGURU FACTORIES(めぐるファクトリーズ)」から構成されます。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く状況に目を向けますと、内需主導で緩やかな回復が続くと予想される一方で、ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする国際情勢は不安定化が続く見込みです。具体的には、地政学リスクに基づくグローバルサプライチェーンの不安定性の継続、米国大統領による関税引き上げをはじめとする経済・外交政策や、それを受けた国内外経済の行方、異常気象や自然災害リスク、更には金融政策の転換や政治的な動きなどに十分留意する必要があると考えております。また、技術革新や社会的価値観の変容が進み、政治・経済・社会それぞれの面で既成概念や既得権益が大きく変化する転換期にあるとも考えております。
そうした中、2025年1月20日にトランプ米国大統領が就任し、早々にパリ協定からの離脱を発表しました。トランプ政権の発足に先立ち、世界最大の投資会社であるブラックロックは気候変動対策グループ(NZAM)から脱退し、これを受けて日系企業を含むアメリカの大手企業を中心に、自社のESG取り組みを見直す動きが拡大傾向にあります。加えて、経済政策として一部輸入品に対する関税引き上げを掲げるなど、多国間協定によるグローバルマーケットから二国間協定によるインターナショナルマーケットへと世界経済のルールが変化しつつあります。
このようなブロック経済が進行し、更には世界的な資源枯渇や気候変動リスクの顕在化が一層加速する中で、今後世界では、自社活動の抑制につながる「守りのESG(Scope3:企業バリューチェーン全体の排出量を把握する指標)」を超えた、より本質的な企業成長と自社活動の拡大に繋がる「攻めのESG(Scope4:製品・サービスがライフサイクルを通じて発揮する便益(削減効果))」への取り組みを求める動きが加速すると考えます。特にブラックロックによるNZAM脱退は、短期的にはESG投資への影響が懸念される一方で、長期的には企業や投資家がScope3からScope4を重視し、「実際の脱炭素貢献」を示す方向へシフトする契機になると捉えております。当社グループは従前より「守りのESGから攻めのESGへのトランジションストラテジー(移行戦略)」の必要性を掲げています。2021年からは、顧客企業が気候変動対策や生物多様性に対する取り組みが必要とされる市場において、自社の製品・サービスを展開していくための事業開発を統合支援する「Cyano Project」を提供しております。現在の社会潮流は、まさにこの「Cyano Project」の存在意義を発揮すべき局面が到来したものと捉えております。
また海外においても、マレーシアやインドネシアを含むASEANでは、サーキュラーエコノミーの推進によって約4,200億ドルの市場が生まれると言われており、当社グループにとって追い風の時流と捉えております。
このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として、2030年ビジョンの実現に向け、社会の持続性と関係性を向上する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開を引き続き推進してまいります。2025年は中期経営計画において、市場展開へ向けた基盤整備期を完了させる年であり、持続可能な企業経営・地域運営を支援するサービスの開発及び展開に引き続き注力するとともに、市場開拓に資する啓蒙・広報から営業販売戦略までを一気通貫で設計するインバウンドマーケティングの構築・運用や、価値創出力向上に資する組織改革を継続推進いたします。また、企業等との戦略的パートナーシップ及び共創事業構築の推進や、一般社団法人エコシステム社会機構(ESA)への参画等を通じた市民・自治体・大学・官公庁等との連携も拡大することで、社会デザイン事業の展開に向けた基盤整備を進展させ、2030年ビジョンの実現へとつなげていきたいと考えております。具体的には以下のとおりです。
<持続可能な企業経営の支援領域:統合支援サービスCyano Project>
啓蒙・広報・営業・販売まで一貫したインバウンドマーケティング施策として、顧客の興味・関心を惹きつけ顧客獲得に繋げるシンポジウムやセミナーを開催予定です。加えて、グループ会社やパートナー企業等のネットワークを活用した営業の強化、外部パートナーと連携した新商材開発をはじめとする商品設計の再構築に引き続き取り組むとともに、ソリューション力を高めるための人財育成を強化してまいります。堅調なICT・BPOによる企業のサーキュラーマネジメント支援を行う「サステナブルBPOサービス」においては、サーキュラーリンクス株式会社にて、業務効率化やサービス品質向上に加え、新サービスの開発・提供等を図ります。廃棄物の100%再資源化による単純焼却・最終処分ゼロと、関連するGHG排出ゼロを推進する「ダブルゼロ・エミッションサービス」においては、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに寄与する新たな循環資源の開発・提供、工場の脱炭素化やサステナブル調達のトータル提案、回復・拡大する半導体産業に向けた北九州循環資源製造所でのシリコンスラリー100%再資源化の強化、労働力不足対応と生産性向上に資する生産機能の自動化・機械化への投資などに取り組んでまいります。
<環境認証審査サービス>
引き続き市場が堅調な中で、新規受注を拡大していくための組織体制の強化等を図ります。
<海外事業>
海外事業統括子会社ACDを軸に、マレーシアでの100%再資源化事業の拡大や未利用バイオマス資源の利活用事業等の新たな事業開発、インドネシアでの合弁会社による100%再資源化事業の2027年度開始を目指した事業基盤の構築に向けた取り組みに加え、アジア・大洋州地域にて国内でのノウハウを活かした循環型社会の仕組みづくりに係る市場開拓を行ってまいります。
<持続可能な地域運営の支援領域:Co-Creation City>
地方自治体の4大課題を「関係性の増幅」と「循環の促進」で解決するまちづくりコンセプト「Co-Creation City構想」の開発・展開に向けて、自治体向け資源循環ソリューション「MEGURU COMPLEX」の開発や、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」の面的展開を継続してまいります。「MEGURU PLATFORM」の構築に関しては、消費動向やトレーサビリティを含む資源情報等を価値化するデジタル情報プラットフォームの構築等に係る取り組みや、2023年から実施している内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」において「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動等を継続してまいります。
<パートナーシップ領域>
発起参画している一般社団法人エコシステム社会機構(ESA)での活動への積極的な参画や、様々な企業や自治体との連携・協働プロジェクトを実施してまいります。
さらに「社会デザイン事業」を支える経営基盤として、企業文化の醸成(新人事制度の構築完了、週32時間就労への挑戦、Well-beingを高める環境整備等)や価値創出力を高める組織・人財開発、戦略的な資本施策、ステークホルダーとの関係強化・社会的認知度の向上等に繋がる施策など、良質な経営資源の増幅に向けた仕組みづくりに引き続き取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「自然資本と人間関係資本の増加に資する事業のみを行う」ことを定款に掲げ、サステナビリティ基本方針に則り、「自然資本」、「人的資本」、「社会関係資本」という持続性を支える3つの資本の増幅に取り組んでいます。
(自然資本)
自然資本の増加を持続可能社会の必須条件とする当社グループは、事業を通じて自然資本の保全と増加に貢献しています。
(人的資本)
経営の重点取り組みの一つに「急激な時代変化の中でも新たな価値を創出できる人財の育成」があります。失敗を恐れない挑戦思考や自発的に学ぶ向上心を育み、仲間を増やす共感力、ビジョンを形にする構想・構築力等を養うため、教育制度の充実と企業文化の醸成に取り組んでいます。
(社会関係資本)
持続可能社会は当社グループのみでは実現できません。事業活動を通じて構築されるステークホルダーとの豊かな関係性や、そこからもたらされる良い影響を「社会関係資本」と捉え、その増加に努めています。また当社グループは、2022年3月に「ステークホルダー経営」を宣言しました。「社会全体の利益の総和を追求する経営」の実践を目指します。
(1) サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する重要事項について取締役会で審議・決議しています。また、当社グループは「社会が発展すればするほど、自然資本と人間関係資本が増加する、持続可能社会の実現」という基本理念のもと、代表取締役社長兼CIOOを委員長としたサステナビリティ推進委員会を定期的に開催し、(1)「自然資本」、「人的資本」、「社会関係資本」という持続性を支える3つの資本の増幅への取り組み、(2)自然資本の保全と増加への貢献、(3)温室効果ガス排出削減・カーボンニュートラルに向けた目標設定、具体的な取り組みの設定及び推進等の環境・社会課題の解決に向けた企業活動への取り組みを行っています。また、その内容は必要に応じて取締役会に報告しています。
サステナビリティ推進委員会で決定した方針・戦略の実効性を高めるため、当社グループ各社の実務担当者で構成されるプロジェクトチームを設置し、計画を遂行しています。
② リスク管理
当社グループは、当社グループの利益、社会的信用等の企業価値を毀損し企業に悪影響を及ぼすリスクをマネジメント対象リスクと位置づけ、これらのリスクを適切にマネジメントすることにより企業価値の維持・向上に努めています。
サステナビリティに関するリスクは企業の中長期的な成長に大きく影響を与えることから、リスクマネジメント委員会において識別、評価、及び管理を行っています。
(2) 気候変動に関する事項
① ガバナンス
当社グループは、2021年度に温室効果ガス排出削減目標の達成及び当社グループが展開する事業を通じてカーボンニュートラル以上の社会を実現させるための全社横断型組織であるクライメート・ポジティブ委員会を発足しました。2024年度に気候変動を含む環境・社会課題の解決に向けた当社グループの取り組みを主導するためのサステナビリティ推進委員会を設置したことにより、クライメート・ポジティブ推進委員会はクライメート・ポジティブ推進チームへ名称を変更し、サステナビリティ推進委員会のプロジェクトチームとして活動を行っております。
クライメート・ポジティブ推進チームは、代表取締役社長兼CIOOを気候変動に関する取り組みの最高責任者として、グループ会社取締役、各部門の責任者が全社横断で関係者を含めた取り組みを推進、これまでに脱炭素に係る中長期戦略の策定、TCFDのフレームワークに沿って気候関連リスク及び機会の分析・評価を実施し、対策の検討を進めました。
当社は、気候変動リスクを当社の利益、社会的信用等の企業価値を毀損し企業に悪影響を及ぼすリスクとして位置づけており、取締役会はサステナビリティ推進委員会で協議した内容を重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定、気候変動問題に対する計画等の監督を行います。また、2030年度に向けたカーボンニュートラルに関する中長期目標の達成に向けて、社員や経営層の関与の促進を行っています。
② リスク管理
当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。
気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を大・中・小の3段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は下表「アミタグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会」のとおりです。
アミタグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会 ※「財務影響度 大」のみ抜粋
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項目 |
リスクの概要 |
アミタグループにとって 重要なリスク |
財務影響度 |
アミタグループの対応方針 |
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移行リスク |
政策・ 法律 |
既存の製品及びサービスへの命令及び規制 |
CO2排出量の多い業界(鉄鋼、非鉄金属、セメント等)に対する規制が強化され、CO2負荷の高い製品の生産量が減少し、且つ再生資源の処理単価も上がることで、事業採算性が悪化する。 |
大 |
顧客の商品・サービスが循環型モデルへ移行するようCyano Projectを通して支援する。また脱炭素に寄与する低炭素原材料や運営方法を提供することで、顧客の調達・製造・販売等における削減貢献も支援する。 |
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技術 |
低排出設備の技術進展 |
製造設備や車両を低排出設備へ切り替える投資資金が必要となる。 旧設備の固定資産が未償却の場合は、特別損失等が発生する。 |
大 |
インターナルカーボンプライスを導入し、低炭素化設備の投資を促す社内体制を構築する。 循環資源製造所ではCO2低排出の生産プロセスの変換を積極的に進める。 |
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再エネ調達の普及、再エネ技術の普及 |
自社で再エネ発電設備を導入する場合、投資資金が必要となる。再エネ買電は短期的には電力単価が上昇することになるので、製造原価が上昇する。 |
大 |
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物理リスク |
急性 |
台風や洪水など極端な気象事象の発生頻度の高まり |
自社生産拠点及び主要取引先の浸水、設備の破損、操業中断、停止 (BCP発動) |
大 |
リスク管理体制を強化し、生産拠点戦略を定期的に見直す。 また、サプライチェーン全体のBCP対策を立案し、実行する。 |
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機会 |
エネル ギー源 |
新技術の導入 |
製造設備や車両の電化が進み、再エネ電力の利用も拡大していくことで、低排出の製造オペレーションに移行する。 |
大 |
製造プロセスの転換により、提供する商品やサービスをゼロカーボン化する。 さらに、自社で蓄積したノウハウを取引先や顧客に対しても提供していく。 |
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より低排出なエネルギー源の使用 |
シリコンリサイクルのエネルギー源を、重油からバイオマスやガス等へと転換する。 |
大 |
エネルギーの転換に向けて、自社単独での転換検討を進めながら、地域での面的展開が進むように、地域・行政と連携し、低排出の工業団地化に向けたアクションを主導する。 |
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製品・ サービス |
サービスの 拡張 |
社会の価値観が変わることで、潜在的及び顕在的リスクへのレジリエンスを高められるCyano Projectの需要が高まり、サービスが拡張する。また、循環型の新たな社会インフラとなるMEGURU PLATFORMの必要性が高まり、潜在的な社会ニーズの市場化が実現する。 |
大 |
Cyano ProjectとMEGURU PLATFORMの商品展開を進めながら、社会ニーズを獲得する。 |
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低排出商品の開発・拡張 |
ゼロカーボン化に向けた商品ニーズが高まり、商品の開発、展開が可能になる。 |
大 |
ゼロカーボンの商品開発や商品の製造や商品使用に関するCO2排出量の1次データ等の情報開示を通して、顧客のScope3の削減を支援する。 |
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市場 |
新市場への アクセス |
世界的な社会ニーズの顕在化に伴い、マレーシアでの事業領域の拡大や、他国での横展開が促進される。 |
大 |
マレーシアに加えて、インドネシアでの事業構築を進める。また、平行して島嶼での循環型社会モデルの構築をパラオを中心に進める。 |
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世界的な半導体の需要拡大に応じて、シリコンスラリー廃液の再資源化ニーズが高まる。 |
大 |
半導体関連企業とグローバルで連携し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル化するスキーム構築と、製品開発を進める。 |
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③ 戦略
当社グループは、包括的な移行戦略のグローバル評価基準「ACT(アクト)」を活用し、長期的なビジョン・経営戦略に基づく事業計画が、どのような気候変動影響を受けるか、2030年時点における1.5℃シナリオ、4℃シナリオから、リスクと機会、財務影響を分析しました。どちらのシナリオも国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオをベースとし、移行リスクと機会は1.5℃シナリオ、物理リスクは4℃シナリオの予測のもと評価・検討を実施しています。
気候変動に伴う事業環境、市場価値観、自然環境の変化に対して、当社グループのビジネスモデルを変革していく必要性を認識しており、且つ当社が目指す“エコシステム社会構想2030”の構築機会になるとも認識しております。
今後は、グループの強みを活かし、リスクの低減と機会の獲得を戦略的に管理し、経営資本を獲得・維持・増幅させていくことで、持続可能な新市場を創造してまいります。
④ 指標及び目標
当社グループでは、“豊かな関係性が価値となる持続可能社会の実現”というミッションに基づき、自社グループのカーボンニュートラルに関する中長期目標を2022年6月に策定しました。2030年までに、Scope1、2、3を2020年比で50%削減するほか、Scope4(事業・サービスによる社会の削減貢献量)において年間10万t-CO2の削減貢献を達成する目標を定めております。ミッションの実現のため、今後も各事業における対応を進め、目標達成に向けて意欲的に取り組みを進めていきます。中期目標③については、循環資源製造所の調達電力をコーポレートPPAによる再生可能エネルギーに切り替え、オフィス使用電力分は非化石証書にて相殺することで2024年度も達成見込みです。2024年度排出実績については、現在算定中ですので、準備が整い次第開示を行います。
(3)人的資本・多様性に関する事項
① 戦略
当社グループは「いのちをコストにしない社会」すなわち「発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する持続可能な社会」の実現をミッションとしています。
個々の生命が成立するには、無限の生命の良関係が必要であり、内外からの関係性が私たち一人ひとりを構成しています。私たちは、経済発展や国家の利益のために人のいのちが軽んじられ、自然が破壊される近代の誤作動を正し、生命は価値を創る資本であることを、事業を通じて証明すると「Our Mission」及び「AMITA信頼5原則」によって社会に約束しています。
このミッションを果たすため、「凡人集まりて非凡を成す」という企業ポリシー及び「善く暮らし、善く働き、善く学ぶ」ための「ライフ・ワーク・ラーン」という考え方に基づき、仕事を通じた人間力の向上と関係性の醸成等によって従業員の人生をより豊かなものとすることを目指します。
性別・年齢・国籍・人種・学歴・職歴・宗教・障がいの有無・性自認等に関わらず、従業員一人ひとりの人間性と価値創出意欲を重視した採用活動及び人財育成を推進し、理想の未来に向かって仲間と共に挑戦し続けるイノベーティブな企業文化の醸成に取り組んでいます。
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<人的資本・多様性に関する3つの柱> 「凡人集まりて非凡を成す」「ライフ・ワーク・ラーン」という企業ポリシーに基づく3つの柱 (ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成 (イ)時代の変化に対応するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン (ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備 |
②3つの柱における取組
(ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成
・ムーンショットの目標管理(OKR)による挑戦と成長
1人の100歩より100人の1歩を重視し、集合知を発揮するイノベーティブな組織づくりを目指しています。2021年からは野心的な目標を掲げ、チームビルディングによる組織力でムーンショットに挑む目標管理制度を導入しました。会社・部門・個人の目標を連動させ、月次の仮説検証によりPDCAサイクルをすばやく回すことで、一人ひとりの成長並びに組織の目標実現を目指します。
・価値創出意欲とリーダーシップ発揮を評価する手当制度
社員一人ひとりのリーダーシップの発揮によって、組織を動かすエコシステム型の経営を目指しています。2024年からは、課長職に該当する中間管理職制度を廃止し、立候補によるリーダー制度(実績により手当支給)を新たに導入しました。目標達成や相互育成に対する個々人の主体的な意欲の発露とチームビルディングにより、2030年に向けた事業ビジョンの実現と業績向上を目指します。
・哲学、倫理観、文明論等を含む重層的な従業員研修
事業創造に必要な思考とスキルを8年かけて養う「桃栗研修」や、正解のないテーマについてチームで議論・発表を行う「思考訓練」、“平等・公平・個人・個性・権利・義務・自由・自立”の8つの言葉の定義と相関関係を可視化する「レゾンデートル研修」等、アミタ独自の研修プログラムを開発・実践しています。役職や経験に応じて、時代を読む力、問いを立てる力、企業哲学や価値創出メカニズムの理解、チームビルディングの向上等を促進します。
・DX(デジタルトランスフォーメーション)人財の育成推進
「情報編纂」というアミタのコアコンピタンスに最新テクノロジーを掛け合わせた価値創出を推進する、DXプロジェクトに取り組んでいます。全従業員向けに生成AI等の活用による業務の高度化研修やe-learningでの学習機会を提供するほか、社員から募ったDXの活用による業務改善PJなどを社外の専門家と推進していくプロジェクトを実施しています。その他、DX関連の資格取得者に対する手当の新設など、DX人財の育成を積極的に進めています。
・成長意欲を後押しする自己啓発活動支援制度や休暇制度
知性や感性、社会性を磨き、人間力を高めることにつながる個人活動を促進する様々な制度を用意しています。資格取得や文化体験、芸術鑑賞等に対し事前申請不要で一定金額の補助を行う「自己啓発活動助成制度」や、ボランティア等の社会的活動に利用できる休暇制度「ソーシャル・タイム」等、社員の学びと挑戦を積極的に支援することで、企業の価値創出力向上を目指します。
(イ)時代の変化に対応するダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
・様々な立場の人が働きやすい職場づくりを目指すKAGUYA(かぐや) PJ
従業員が自ら職場環境の改善を企画し、経営層に直接提案するプロジェクトです。多様な働き方を従業員が相互支援する「AMITIME制度(後述)」や、子どもが親の仕事場を見学する「子ども参観日」、子どもを持つ従業員同士が育児と仕事の両立に関する悩みを相談し、解決に向けたディスカッションを行う「Child CarePJ(チャイルドケアプロジェクト)」など、様々な職場環境整備を進めています。
・人間性と価値創出意欲を重視した採用活動
未来創りには、過去の経験やスキルよりも、自分が未来を創るという強い意志が重要です。採用において重視する点は、ミッション共感性、夢の実現に対する意欲、仲間との協働精神、困難に挑戦する気概等であり、国籍や性別、学歴、職歴等は不問です。そのため、最終面接まで履歴書の提出を不要とし、志望動機書と社会課題に対する思いを問うレポートのみを必要書類としています(2025年3月現在、履歴書の提出不要は新卒採用時に適用。中途採用も順次切り替え予定)。
・多様なバックグラウンドを持つ人財の中途採用
年齢・職種を問わず、常時中途入社の人財を受け入れています。企業で働かれていた方はもちろん、青年海外協力隊、一次産業従事者など、多様なバックグラウンドを持つ人財が在籍しています。
・シニア人財の活躍推進
仕事・職縁が人生を豊かにするという考えから、正社員は60歳の定年退職後も働き続けられる、シニアパートナー社員制度・人間関係資本制度という2つの人事制度を用意しています。
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの理解促進
組織が持続的に発展するには、多様な視点とバックグラウンドを有する従業員が、互いの強みを活かし弱みをシェアして補い合う組織づくりが重要です。人的資本のポテンシャルを最大限引き出す施策として、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン研修等を実施しています。また、新入社員は原則、合流1年目の年は寮での共同生活を必須としています。他者を受け入れ、相互扶助によって生活をより豊かにしていく体験を経ることで、人間的な成長を促進する制度です。
・各種の相談、通報窓口の設置とコンプライアンスチェックの実施
取締役・従業員・退職者(期限付)等が匿名利用できる内部通報窓口を設置し、コンプライアンス違反行為の早期発見に努めています。通報内容は、担当役員へ迅速に伝達され、顧問弁護士等と連携しながら事案の解決を図ります。通報者に対する不利益取り扱いの禁止、通報者の保護に関する事項を定め、全取締役・全従業員に周知しています。また、社内のリテラシー向上施策として、年に1回、社内役員及び全従業員を対象としたコンプライアンスチェックを実施しています。
(ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備
・リモートワーク&フレックスタイムと週32時間就労
「価値づくりの源泉は、業務上の知見・経験だけでなく、多くの人や社会との関係性で育まれる人生の中にこそある」という考えのもと、コアタイム(出勤義務のある時間帯)を無くし、1日あたりの最低労働時間を4時間とするフレックスタイム制度と、オフィス外での勤務を可能にするリモートワーク制度を2020年から導入しました。また2023年度より働き方の根本的改革を前提とした「週32時間就労(実質週休3日相当)」に挑戦しています。2025年度は、2年間の実績と課題を踏まえ、達成に向けた方法論を含むより効果的な制度改訂を実施予定です。評価指標及び目標値は上記見直しと併せて段階的に設計します。
・多様な生き方、働き方を仲間が支える独自制度
未消化で消滅する年次有給休暇をグループ全体で貯蓄し、子育てや介護等のために休みが必要な従業員が利用できる「AMITIME制度」を設けています(女性社員が集まって企画し、2010年より開始)。その他にも時代の変化に応じて、ライフとワークを融合した誰もが働き続けられる職場環境の整備を推進しています。
・関係性を増幅する福利厚生
従業員とその家族の自宅を対象に、 FIT電気(再エネ由来)への切り替えを支援する「あみ電手当」制度や、当社が運営するバイオガス施設「南三陸BIO」で製造された液体肥料を施肥した「めぐりん米」の社員配布等、社員自身が持続可能な社会を実感・体感できる福利厚生を整備しています。
・価値ある失敗を推奨する表彰制度
「MVF(Most Valuable Failure)賞」という、失敗を恐れずにミッションの実現に向け積極的に挑戦するチームや個人をたたえる表彰を毎年実施しています。失敗から得た学びに価値があるという考えに基づく、挑戦を促す制度です。
・従業員と経営層による建設的な議論・対話の場「カンパニー・ミーティング」
時代の変化に合わせた働き方やより良い組織風土を育むため、従業員と経営層が議論・対話できる場を設けています。各拠点の従業員代表が運営し、全従業員から“より良い会社のための意見・アイディア”を集め、経営層と対等な立場で議論を行います。この議論を発端に、社内副業制度等が生まれました。
・救命救急講習と応急手当普及員・応急手当指導員の取得支援
予測できない災害や事故の際に、家族や仲間、地域の方々を守れる企業でありたいという考えのもと、全従業員を対象とした救急救命講習を定期的に実施しています。また、普通救命講習の指導等を行うことができる応急手当普及員・応急手当指導員の資格取得者に対する資格手当を新設し、社内における防災スキルの向上を後押ししています。
③3つの柱における指標及び実績
(ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成
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指標(KPI) |
目標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
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正社員: 臨時社員:12時間 |
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正社員: 臨時社員:0時間 |
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参考数字 DX人財人数:3名 |
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18.1%
参考数字 利用者数:46名 利用件数:148件 |
参考数字 利用者数:53名 利用件数:160件 |
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ソーシャル・タイム制度の 利用者率 |
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6.7%
参考数字 利用者数:12名 利用件数:29件 |
参考数字 利用者数:32名 利用件数:81件 |
(注)1.リーダーシップ手当申請可能者における割合
前連結会計年度までに入社した一定の人事等級以上の社員 管理監督者となる社員除く
2.DIA3.0の結果が一定基準を満たしている人 DX人財プロジェクトは原則的に正社員を対象
(イ)時代の変化に対応するダイバーシティ&インクルージョン
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指標(KPI) |
目標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
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全従業員:53.5% 正社員:41.0% |
全従業員: 正社員のみ:42.9% |
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8.3% |
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育児休業の 取得者数 |
取得者数合計 |
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9名 |
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男性取得者数・取得日数 |
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0名 |
3名 22日 |
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女性取得者数 |
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9名 |
10名 |
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100% |
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78.9% |
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(注)1.当社における取締役、監査役、執行役員の割合
2.受験対象者には従業員と当社及び当社グループの役員を一部含む
(ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備
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指標(KPI) |
目標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
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9名 140.1日 |
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1カ月の在宅勤務・ リモートワーク実施率 |
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31.1% |
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85.2% |
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平均14人 |
平均 |
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- |
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79.0% |
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(エ)(ア)(イ)(ウ)の共通項目
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指標(KPI) |
目標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
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5.5% |
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74.0% |
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82.0% |
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(注)正社員の離職率
なお、上記の人的資本・多様性に関する事項については、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、上記の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な会社のものを記載しております。また実績算出時期は各年度の12月31日時点の数値となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会計の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年3月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループが紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者による不法投棄等によるリスク
当社グループが資源発生元に対して提案・紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者については、その選定の過程で許認可の取得状況や財務状況等を訪問調査や外部の信用調査機関等による調査で確認を行い、信用できると当社グループが判断した業者に限定して紹介をしております。しかし、当社グループの紹介した業者が不法投棄等を行った場合、当社グループが「産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)等に基づく罰則を受けることはありませんが、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
② リサイクル工場施設の賃貸借契約について
当社グループのリサイクル工場のうち、姫路循環資源製造所においては施設用地の一部(総面積21,487.43㎡中、7,505.55㎡分)及び工場建物の一部、北九州循環資源製造所においては施設用地を賃借しております。
現時点においては、用地及び建物の貸主と当社グループの関係は良好であり、貸主から契約期間中の解約の申し出がなされる可能性は低いものと考えておりますが、貸主側の事情の変更等により、予期せぬ解約の申し出がなされる可能性があります。仮に、解約の申し出がなされた場合、当該施設は産業廃棄物の中間処理施設であることから、代替の用地及び建物の確保には相当の困難が伴うものと予想されます。従って、解約の申し出がなされ、代替の用地及び建物が適時に確保できない場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
当社グループが行うサーキュラーマテリアル事業は、廃棄物処理法上、産業廃棄物の処分に該当し、また、発生品の運搬に関して積み替えのための保管を行うことは産業廃棄物の収集・運搬に該当します。従って、当社グループのサーキュラーマテリアル事業は廃棄物処理法の規制を受けることになります。
(イ)産業廃棄物処理業許可
廃棄物処理法上、産業廃棄物の収集・運搬(保管・積み替えを含む)及び処分(中間処理・再生を含む)を業として行うためには各自治体の許可が必要とされております。そのため、当社グループは、産業廃棄物処理業に関する許可を取得しており、その許可と有効期限は以下に示すとおりです。
<アミタサーキュラー株式会社>
a. 産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07023000689号 2027年11月1日
b. 特別管理産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07073000689号 2027年11月1日
c. 産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00821000689号 2027年12月25日
d. 特別管理産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00871000689号 2027年12月25日
e. 産業廃棄物処分業許可(北九州市長)許可番号07620000689号 2029年6月28日
f. 産業廃棄物処分業許可(宮城県知事)許可番号00429000689号 2026年6月8日
g. 産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02802000689号 2030年4月26日
h. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02852000689号 2029年7月1日
i. 産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07013000689号 2027年11月1日
j. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07063000689号 2027年6月14日
(ロ)事業活動の停止及び取消要件について
廃棄物処理法上、不法投棄、無許可営業、無許可変更及びマニフェスト虚偽記載等一定の要件に該当する場合には、当社グループに対し事業の停止命令及び許可の取消処分がなされる可能性があります。
当社グループは、内部監査等を通じて定期的に業務における法令遵守の確認を行い、廃棄物処理法の事業停止要件、許可取消要件に該当することのないよう努めております。万が一、当社グループの業務がこれらの要件に該当し、事業停止命令、許可取消処分がなされた場合、当社グループの強みである自社製造所によるサーキュラーマテリアル製造業務が不可能となり、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)許可の更新
廃棄物処理法上、産業廃棄物処理業の許可は有効期限が5年間(優良産業廃棄物処理業者認定制度による優良認定を受けた場合は7年間)とされており、当社グループが有する産業廃棄物処理業の許可には上記のような有効期限が定められているため、該当許可の有効期限が切れる場合は許可を更新する必要があります。また、更新が認められるためには廃棄物処理法上の基準に適合している必要があります。
現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可が更新されない事由は発生しておりません。しかし、今後の更新時に廃棄物処理法で規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の更新がされず、当社グループのサーキュラーマテリアル製造施設等の操業が停止することで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)新たな処理業の許可又は事業範囲変更の許可取得
当社グループが新たな事業展開を行うにあたり、事業範囲変更の許可又は許可の新規取得が必要となる可能性が考えられます。これらの許可を取得するためには、当社グループが廃棄物処理法の基準に適合している必要があります。
現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可の取得が認められない事由はございませんが、万が一、廃棄物処理法に規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の申請が却下されることになります。また、当社グループがすでに取得している廃棄物処理業許可の停止並びに取消要件に該当した場合、許可の新規取得は不可能となります。このような事態が発生した場合、新規事業の展開自体が不可能となり、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 環境認証審査サービスについて
当社グループが行う環境認証審査サービスの業務執行に当たって、FSCについては審査会社としての資格、MSC・ASCについては認証機関としての資格を維持するため、それぞれFSC認証機関(Soil Association、ソイルアソシエーション)及び第三者認定機関であるASI(Accreditation Service International、国際認定サービス)の各種監査を受けます。当社グループは、サービスのQMS(Quality Management System、品質管理システム)の維持・向上に取り組んでおりますが、当該監査を通過できなかった場合、審査及び認証サービスの資格が一時停止又は取消されることで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替変動の影響について
当社グループは台湾・韓国・マレーシア等の海外の会社と取引を行っており、これらの会社との取引は主に米ドル建てですが、海外事業の展開に伴い現地通貨建て取引が拡大する見通しであることから、円/米ドル並びに、円/現地通貨の為替レートの変動リスクが発生いたします。為替変動リスクは完全に排除することは困難であり、為替変動は当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。
⑥ 財政状況、経営成績について
(イ)借入金の依存度について
当社グループの事業においては、循環資源製造所における設備投資や効率的な営業戦略を実行するためのIT設備投資及び営業網拡大・人員増強等のための投資が不可欠ですが、これらの投資及び運転資金の拡充等により、2024年12月期末における総資産に占める借入金の比率は30.2%であります。今後、経済情勢の変化による金利上昇により支払利息負担が増大することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ロ)業績の変動について
当社グループの事業において扱う発生品(廃棄物等)は、資源発生元の製造工程から副次的に発生する物であり、製造業において大幅な生産調整等が行われた場合、発生品の取扱量も想定を下回ることで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)競争の状況について
当社グループは企業のサステナビリティ向上ニーズに対して、約45年に渡り培ったサステナビリティ分野の良質なネットワーク、並びに人・資源・情報などの経営資本を活かした統合的な提案を行っており、100%資源化サービスにおいても、天然資源の代替製品を製造するリサイクル事業から、持続可能な調達・資源活用の総合ソリューションを提供するサーキュラーマテリアル事業へ高度化するなど、他社との差別化を進めております。ただ、産業廃棄物の排出量は近年漸減の傾向がみられ、さらに、自治体等による廃棄物処理のマッチング提案等がインターネットの普及により低廉化されております。また環境市場の拡大に伴い、新しいビジネスモデルで環境市場に参入する企業も増加しており、環境市場の拡大・活性化は当社グループにとってもチャンスです。しかしながら、競争の激化が当社グループの顧客の流出に繋がる可能性もあり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 事故、自然災害等による影響について
当社グループの循環資源製造所には、破砕機や混合機などの製造設備があり、多量の可燃物を取り扱っていることから、様々な安全対策の徹底を図り、対人・対物を問わず、事故防止に務めております。しかしながら、万一重大な事故が発生した場合には、操業を停止せざるを得ない事態や設備の復旧に多額の投資が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外の製造拠点や事務所等において、大規模地震や台風等の自然災害、その他戦争やテロ等、当社グループの制御不能な事態が発生し、事業活動に支障が生じた場合やそれに伴う環境汚染が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、中核拠点である循環資源製造所においては、当該拠点に影響を及ぼす自然災害等の緊急事態の発生に対して、平時の事前の対策、緊急事態発生時の初動対応、緊急対応及び復旧対応等の計画を定めておくことで、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、身体・生命の安全確保を図りながら優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続又は早期復旧を達成することを目的とし、事業継続計画(BCP)を設定しております。
⑧ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業遂行の一環として、多数の個人情報を有しています。また、当社グループの各サービスに関する営業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理に対策を講じていますが、不測の事態によりコンピュータウィルス、ソフトウェア又はハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能しなくなる可能性や、情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があり、このような事態が生じた場合、当社グループの事業や、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 財務制限条項の付された借入契約について
当社は、シンジケートローン契約を締結しており、この契約には各年度の決算期末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の当期損益を基準として財務制限条項が付されています。これに抵触した場合、借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 人的資本の確保について
労働人口が恒常的に減少し、働き方の多様性が加速していく中で、新たな人材確保の難易度が上がった場合や既存人材が流出する等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。なお、Well-being向上により価値創出力を高める週32時間就労への挑戦、価値創出につながる多様な働き方としてリモートワークの推進や社会活動に対する有給休暇制度等の実施、さらには挑戦を促進する目標管理制度の導入や教育訓練施策の強化等を図っております。
⑪ 新型コロナウイルス感染症及びこれに類する大規模な感染症等の発生について
新型コロナウイルス感染症は、規制が大幅に緩和され、国内外の社会経済活動への影響は低減していると認識しており、当該感染症の影響については、連結業績に大きな影響を与えるものではないと判断しております。当社グループとしては、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した場合に備え、顧客企業や取引先を含むステークホルダーの皆様への影響を抑えるべく、非対面・遠隔での商談やサービス提供等の推進やリモートワーク等の社内対応策等を継続・発展させてまいります。なお、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した際のリスクとして、顧客企業や取引先において大幅な生産調整や計画変更等が行われた場合や、当社グループ社員に感染者が発生し製造拠点や事業所等における事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ ロシア・ウクライナ情勢等に関連する影響について
ロシア企業との有価物取引の一部又は全部が停止することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし当該取引の売上全体に占める割合は2%以下であり、当社グループ全体の業績に与える影響は軽微であります。
また、中東情勢や台湾情勢についても注視すべき国際情勢として情報収集並びに影響分析を進めてまいります。
なお、こうした地政学的リスクの顕在化によるグローバル調達リスクの高まり等が産業界に影響を及ぼすことで、短期的には足元の結果・評価に直結する事業活動を優先する企業が増加し、その結果、顧客企業のESG経営や脱炭素計画が停滞・遅延することが考えられます。それにより当社のコンサルティングサービス等の提供・拡大がずれ込み、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で長期的にはグローバル調達リスクの高まり等により国産化・内需拡大が進み、短期的にも製造業における代替資源(リサイクル原料)へのニーズや、持続的なビジネスモデルへの事業変革・移行戦略のニーズは継続・拡大していくと考えており、当社グループ事業拡大への追い風と捉えています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、製造業・非製造業ともに景況感が改善し、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要を含む消費活動が回復するなど、物価高の中でも景気は緩やかに回復しています。一方で、金融政策と連動した為替相場の動向や世界経済の成長鈍化、ウクライナショックや中東での軍事衝突の長期化等による原材料や資源価格の高騰リスク、新たな米国大統領の経済・外交政策の影響、グローバルサプライチェーンの不安定性などには引き続き注視していくべき状況と認識しております。
このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として、2030年に向けた事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」(以下、2030年ビジョン)の実現に向け、持続可能な企業経営や地域運営を統合的に支援する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開に取り組んでおります。2024年度~2025年度は、市場展開へ向けた基盤整備期として位置づけており、当連結会計年度においては業態改革・業績回復に向けた取り組みを推進してまいりました。具体的には以下のとおりです。
<持続可能な企業経営の支援領域:統合支援サービスCyano Project>
企業のサステナブル経営への移行支援を行う「Cyano Project(シアノプロジェクト)」においては、顧客に対してサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ等の取り組みを全体最適の視点で提案し、構想から構築、実行までトータルでサポートしてまいりました。サーキュラーエコノミーに係る取り組み支援や企業活動で生じる自然リスクの情報開示(TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース)支援等の問い合わせは多く、新規受注も継続しておりますが、より中長期視点での移行戦略支援につながる受注拡大に向けて、商品設計の再構築やマーケティング及び営業の強化を推進しております。関連して、サステナビリティ領域での移行戦略/計画の進め方に関するセミナーの開催や、外部パートナーと連携した循環型ビジネス構築支援ワークショップ等の新商材開発など、サステナビリティ&サーキュラー市場の活性化に資する取り組みを進めております。
ICT・BPOによる企業のサーキュラーマネジメント支援を行う「サステナブルBPOサービス」は、顧客企業の人材不足やナレッジ継承の課題に起因するガバナンスリスクの顕在化等を背景に、堅調に推移しております。三井住友ファイナンス&リースグループとの合弁会社「サーキュラーリンクス株式会社」(4月1日設立)にて、ICT・BPOサービスにおける業務効率化やサービス品質向上を推進しており、既に2024年4月以降のサービス問い合わせ数が昨対比で増加するなどの営業連携効果も表れています。
産業廃棄物の100%再資源化による単純焼却・最終処分ゼロと、関連するGHG排出ゼロを推進する「ダブルゼロ・エミッションサービス」においては、カーボンニュートラルの潮流やグローバルサプライチェーンの不安定化を受けて、循環資源(天然資源の代替となる資源)の利用ニーズは堅調です。セメント産業向けの代替原燃料を中心に、姫路循環資源製造所や、アミタ地上資源製造パートナーズである愛知海運株式会社 蒲郡リサイクルS.C.での取扱量が増加しました。またシリコンスラリーの100%再資源化に関しては、半導体産業の生産が回復傾向にある中、本年7月に北九州循環資源製造所で新たな再資源化設備の稼働を開始しました。同循環資源製造所では、本設備の増設に加え、既存の再資源化設備の製造プロセスの自動化・省人運転による稼働時間の増加及び商品価値の向上によって、取扱量は昨対比で増加傾向となっております。
<環境認証審査サービス>
FSC®CoC認証及びMSC/ASC CoC認証を中心に新規顧客からの受注を継続的に獲得しております。提携先であるFSC認証機関の体制不備による審査遅延は、解消されつつも残存しております。これに伴い、当社グループの当連結会計年度に計上予定であった一部の審査の売上につきましては、翌連結会計年度に計上される見込みです。
<海外事業>
海外事業統括子会社「AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.」(以下、ACD)を軸に、マレーシアでの100%再資源化事業の拡大やインドネシアでの事業化検討等を含め、アジア・大洋州地域での社会デザイン事業の展開を推進してまいりました。
・マレーシア
マレーシアでの産業廃棄物の100%再資源化に関しては、現地での循環資源の利用ニーズが高く、前年度を上回る取扱量となり、更なる新規入荷案件の獲得に向けて営業を強化しております。また、マレーシアで再生可能エネルギー関連の事業を行うCenergi社との「戦略的業務提携に関する基本合意書」(9月2日締結)に基づき、マレーシア国内における未利用バイオマス資源の利活用事業に関する事業性調査及び事業モデルの開発を進めております。
・インドネシア
9月2日にACDは、インドネシアに拠点を置く東南アジア最大級の複合企業サリムグループ傘下で、再生可能エネルギー事業や上水道事業などを行うタマリス・モヤグループのPT Tamaris Prima Energiと、脱炭素・循環型の新事業創出に取り組む合弁会社「PT Amita Tamaris Lestari(以下、ATL)」を設立しました。また10月7日にATLは、インドネシア大手セメント会社PT Indocement Tunggal Prakarsa Tbk.の子会社PT Sari Bhakti Sejatiと、現地で100%再資源化事業を行う合弁会社「PT Amita Prakarsa Hijau」を設立しました。2027年度内の同国における100%再資源化事業の本格展開に向けた循環資源製造所の開所を目指し、事業基盤の構築に向けた取り組みを進めております。
・その他の国での事業展開
環境省「令和6年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」において、インド、インドネシア、パラオでの脱炭素化に向けた取り組みとして(4月1日採択)、各国における廃棄物の再資源化等に係る事業化に向けた調査等を実施しております。また、事業可能性調査の連携先であるインド環境大手ラムキーグループとの基本合意に基づき(5月1日締結)、インドを中心に、シンガポール、その他新興市場での事業連携を視野に、脱炭素社会・循環型経済を促す包括的な事業可能性調査を共同実施しております。
<持続可能な地域運営の支援領域:Co-Creation City>
地方自治体の4大課題(人口減少、少子高齢化、社会保障費の増大、雇用縮小)を「関係性の増幅」と「循環の促進」で解決するまちづくりコンセプト「Co-Creation City(コ・クリエーションシティ)」の開発・展開を進めてまいりました。具体的には、自治体向け資源循環ソリューション「MEGURU COMPLEX(めぐるコンプレックス)※1」の開発や、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」の面的展開に向けた福岡県大刀洗町・福岡県豊前市・兵庫県神戸市・奈良県奈良市(月ヶ瀬地域)・愛知県長久手市での活動を継続してまいりました。
12月には福岡県豊前市において、同市からの受託事業に基づき、市内初となる「MEGURU STATION®」を2か所導入しました。現在は、NECソリューションイノベータ株式会社、一般社団法人つながる地域づくり研究所と実施しているポイントシステムを活用した地域活性化等も含めて、同市の持続可能なまちづくりに向けた取り組みを進めております。
その他、京都府亀岡市と「かめおか未来づくりパートナーシップ協定」(9月9日締結)に基づき、循環を軸としたエコシステムの構築による持続可能なまちづくりに向けて協働しております。
「MEGURU PLATFORM(めぐるプラットフォーム)」の構築に関する取り組みに関しては、昨年7月に採択された内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」において「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動等を継続してまいりました。
<パートナーシップ領域>
一般社団法人エコシステム社会機構(Ecosystem Society Agency:略称ESA(イーサ))(4月1日設立)へ発起企業として参画しております。ESAは、「循環」と「共生」をコンセプトに、人口減少・少子高齢化や新しい政策課題に直面する地方自治体と、新たなビジネスモデルの創出を目指す企業等が、統合的視点に立ってイノベーションを起こし社会的価値を創出するプラットフォームとなることを目指す組織です。2025年1月20日時点で16自治体・71企業/団体が参画しており、ESAへの参画により、これまで以上に多くの自治体や企業と共創し、2030年ビジョンとして掲げる「エコシステム社会」の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。
また、サーキュラーエコノミーの推進に向けて、様々な企業や自治体との連携・協働プロジェクトを進めております。具体的には10月から、株式会社イトーヨーカ堂、TOPPAN株式会社、株式会社ニチレイフーズと、冷凍食品包装の店頭回収を行い、回収したプラスチックをクリップなどの樹脂加工品にリサイクルするための実証実験を開始しております。また貝印株式会社と、処分予定の在庫や返品及びお客様が使用後に回収した包丁やハサミを再資源化する取り組みを実施いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ)財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて419,116千円増加し、6,594,824千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて48,438千円減少し、3,861,065千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて467,554千円増加し、2,733,759千円となりました。
(ロ)経営成績
当連結会計年度の経営成績は売上高4,931,476千円(前期比8.7%増、前期差+394,976千円)、営業利益473,480千円(前期比0.3%増、前期差+1,319千円)、経常利益557,890千円(前期比5.1%増、前期差+27,045千円)、親会社株主に帰属する当期純利益423,184千円(前期比37.2%増、前期差+114,839千円)となりました。
なお、当社グループは社会デザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
※1…MEGURU COMPLEX:
MEGURU COMPLEX は、Co-Creation City構想を具現化する自治体向け資源循環ソリューションの1つです。可燃ごみを資源化する「バイオガス施設」「おむつリサイクル施設」「熱分解施設」の施設群で、焼却炉と埋立地のゼロ化を目指します。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて100,224千円減少し、2,729,355千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は474,644千円(前期比250,828千円の収入の減少)となりました。これは税金等調整前当期純利益500,446千円の計上や減価償却費187,389千円の計上、法人税等の支払額242,110千円の計上などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は514,486千円(前期比73,453千円の支出の増加)となりました。これは有形固定資産の取得による支出413,604千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は108,993千円(前期比863,423千円の収入の減少)となりました。これは長期借入れによる収入200,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出285,082千円があったことなどによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
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社会デザイン事業(千円) |
3,176,116 |
107.2 |
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合計(千円) |
3,176,116 |
107.2 |
(注)生産高は、循環資源製造所において中間処理したものによる生産高を販売価格で表示しております。
(ロ)受注実績
当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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社会デザイン事業 |
3,756,024 |
110.4 |
335,336 |
152.2 |
|
合計 |
3,756,024 |
110.4 |
335,336 |
152.2 |
(注)受注高及び受注残高は、循環資源製造所におけるリサイクル業務、環境認証審査、各種コンサルティング及び環境に関わる調査・研究を受注したものを記載しております。
(ハ)販売実績
当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比(%) |
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社会デザイン事業(千円) |
4,931,476 |
108.7 |
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合計(千円) |
4,931,476 |
108.7 |
(注)最近2連結会計年度においては、連結売上高の10%以上を占める相手先がないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態及び経営成績
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は、流動資産については仕掛品(※内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に係るものを含む)の増加などにより14,792千円増加、固定資産については、有形固定資産の増加や、関係会社株式及び繰延税金資産の増加などにより404,323千円増加しました。結果、前連結会計年度末に比べて419,116千円増加し、6,594,824千円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、流動負債は前受金の増加などにより22,011千円増加し、固定負債については長期借入金の返済などにより70,449千円減少しました。結果、前連結会計年度末に比べて48,438千円減少し、3,861,065千円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、当期純利益の計上や非支配株主持分の増加などにより前連結会計年度末に比べ467,554千円増加し、2,733,759千円となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、姫路循環資源製造所やアミタ地上資源製造パートナーズである愛知海運株式会社 蒲郡リサイクルS.C.でのセメント産業向け代替原燃料の取扱量の増加、北九州循環資源製造所でのシリコン再資源化の取扱量の増加、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に係る売上計上などにより4,931,476千円(前期比8.7%増、前期差+394,976千円)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、売上高の増加などにより2,226,441千円(前期比4.1%増、前期差+88,488千円)となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、地代家賃、支払報酬、減価償却費及び広告宣伝費等が増加したことなどにより1,752,961千円(前期比5.2%増、前期差+87,168千円)となった一方で、売上総利益の増加により、当連結会計年度の営業利益は473,480千円(前期比0.3%増、前期差+1,319千円)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の経常利益は、マレーシア事業に関わる持分法による投資利益の増加や為替差益などにより557,890千円(前期比5.1%増、前期差+27,045千円)となりました。
(税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、経常利益の増加があった一方で、固定資産に係る特別損失を計上したことなどにより500,446千円(前期比0.6%減、前期差△3,124千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の増加に伴う法人税等調整額(益)の計上などにより423,184千円(前期比37.2%増、前期差+114,839千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(ロ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(ハ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、借入の返済及び利息の支払い等であります。投資を目的とした資金需要は、製造設備やIT機器等の設備投資、商品開発や経営資源の増幅に資するファンドあるいは施策等の(設備投資以外の)投資等によるものであります。
当社グループの資金の源泉は、当面は主として営業活動、銀行借入により、必要とする資金を調達する方針でありますが、上昇傾向にある金利に対して事前に準備を行い、手元資金の拡充及び今後の経営計画を推進する上で必要な財務基盤の安定化を目的として、2024年1月10日付で2億円の借入を行っております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、2,729,355千円となっております。
(ニ)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率、経常利益及び経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
当連結会計年度における売上高は4,931,476千円(前期比8.7%増、前期差+394,976千円)、営業利益は473,480千円(前期比0.3%増、前期差+1,319千円)、経常利益は557,890千円(前期比5.1%増、前期差+27,045千円)であり、営業利益率は9.6%(前期比0.8ポイント悪化)、経常利益率は11.3%(前期比0.4ポイント悪化)となり、ROE(株主資本利益率)は17.2%(前期比2.7ポイント改善)、ROIC(投下資本利益率)は12.1%(前期比1.9ポイント改善)となりました。(※なお投下資本は、資金の運用サイド「(売上債権+棚卸資産-仕入債務)+固定資産」に着目して算出しております。)
(子会社の吸収分割による株式移転)
当社は、2024年4月1日付で、アジア・大洋州地域でのビジネス展開を加速するため、マレーシア子会社をAMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.へと商号変更し、海外統括会社として新たに事業開始しました。これに際して、2024年2月1日付で当社とアミタ株式会社とで吸収分割契約書を締結し、アミタ株式会社から当社へ吸収分割による全株式移転を行いました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(合弁会社の設立)
①当社は、2024年4月1日付で、三井住友ファイナンス&リース株式会社(代表取締役社長:橘 正喜)の戦略子会社、SMFLみらいパートナーズ株式会社(代表取締役社長:上田 明)との間で、廃棄物マネジメント事業に関する合弁会社「サーキュラーリンクス株式会社(代表取締役社長:田部井 進一)」を設立しました。これに際して、2024年2月14日付で合弁契約書を締結しました。
②当社は、2024年9月2日付で、当社の100%子会社であるAMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.(Managing Director:大和 英一)とタマリス・モヤグループのPT Tamaris Prima Energi(President Director:Endang Mudiman)との間で、インドネシアでのサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ分野におけるコンサルティング・事業開発に関する合弁会社「PT Amita Tamaris Lestari(President Director:佐藤 博之)」を設立しました。これに際して、2024年8月28日付で、合弁契約書を締結しました。
③当社は、2024年10月7日付で、当社の子会社であるPT Amita Tamaris Lestari(President Director:佐藤 博之)とPT Indocement Tunggal Prakarsa Tbk.の子会社PT Sari Bhakti Sejati(President Director:JUFERI)との間で、インドネシアの産業廃棄物及び一般廃棄物、バイオマス資源を100%再資源化事業に関する合弁会社「PT Amita Prakarsa Hijau(President Director:大和 英一)」を設立しました。これに際して、2024年10月4日付で、合弁契約書を締結しました。
合弁契約による合弁事業:
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契約締結先 |
内容 |
出資額 |
合弁会社名 |
設立年月 |
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SMFLみらいパートナーズ(株) |
廃棄物マネジメントシステム事業、廃棄物マネジメントBPO事業、製品・資源等のサーキュラーに関する事業 |
当社 25,000千円
SMFLみらいパートナーズ(株) 25,000千円 |
サーキュラーリンクス(株) (資本金50,000千円) |
2024年4月 |
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PT Tamaris Prima Energi |
PT Amita Prakarsa Hijauへの出資、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ分野におけるコンサルティング・事業開発 |
AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD. 72億インドネシアルピア
PT Tamaris Prima Energi 48億インドネシアルピア |
PT Amita Tamaris Lestari (資本金120億インドネシアルピア) |
2024年9月 |
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PT Sari Bhakti Sejati |
インドネシアの産業廃棄物及び一般廃棄物、バイオマス資源を100%再資源化し、セメント産業向けの代替原料・燃料として供給 |
PT Amita Tamaris Lestari 80億インドネシアルピア
PT Sari Bhakti Sejati 20億インドネシアルピア |
PT Amita Prakarsa Hijau (資本金100億インドネシアルピア) |
2024年10月 |
(連結子会社の吸収合併)
当社は、2024年12月1日付で、当社の100%子会社であるAMIDAO株式会社を吸収合併いたしました。これに際して、2024年9月27日付で合併契約書を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
特記すべき事項はありません。