当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要を含む消費活動や建設・物流などが堅調であり、物価高の中でも景気は総じて維持されている状況です。しかしながら、米国政府の関税政策に伴い、特に国内製造業は収益悪化が見込まれており、米国を含む世界経済は減速する可能性が高まっています。加えて、ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする地政学リスクに基づくグローバルサプライチェーンの不安定性、異常気象や自然災害リスク、更には加速する技術革新や社会的価値観の変容などに、引き続き注視すべき状況であると認識しております。こうしたグローバル調達リスクや社会不安等への対応として、内需市場の重要性が一層高まりつつあると当社は考えております。
こうした認識のもと、 当社グループは、無駄を生まない「循環」と、最適解を導き出す「包摂」の仕組みを軸に、社会の持続性と関係性の向上を目指す「社会デザイン事業」の確立に取り組んでおります。具体的には、事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向けて、その中核を担う社会循環OS(オペレーティングシステム)である「サーキュラープラットフォーム※1」の構築を進めています。これは、無駄のない最適な循環設計と互助共助の仕組みを基盤とする新たな社会インフラです。
現在は、この構築の一環として、商品開発やサービス展開を推進するとともに、「社会デザイン事業」を通じた循環型内需市場の開拓に注力しております。2025年度は中長期経営計画において市場展開に向けた基盤整備を完了させる位置づけの年であり、当中間連結会計期間においては、業態改革と業績向上に向けた取り組みを推進してまいりました。具体的な取り組みは以下のとおりです。
<持続可能な企業経営の支援領域:統合支援サービスCyano Project>
企業のサステナビリティ経営への移行支援を行う「Cyano Project(シアノプロジェクト)」においては、啓蒙・広報・営業・販売まで一貫したインバウンドマーケティング施策として、潜在顧客の興味・関心を惹きつけ顧客獲得に繋げるセミナーの開催や、グループ会社やパートナー企業等のネットワークを活用した営業の強化、更にはソリューション力を高めるための人財育成などを実施してまいりました。こうした活動が徐々に形となり、企業のサステナビリティ経営への移行支援サービスのニーズ拡大を受け、新規受注が継続しております。本年6月には、アミタ株式会社、サーキュラーリンクス株式会社、三井住友ファイナンス&リース株式会社、アビームコンサルティング株式会社、株式会社GXコンシェルジュの5社による、製造業のサステナビリティ経営を加速させるトータルソリューション「Circular Co-Evolution(サーキュラー コ・エボリューション)」(以下、CCE)を提供開始いたしました。CCEは、サーキュラーエコノミーへの対応が急務である製造業を主な対象とし、サステナビリティ経営の推進に向けて企画構想から変革実現、運用改善までを一貫して支援するトータルソリューションです。異なる強みを有する5社のノウハウとネットワークを結集し、サーキュラー型ビジネスモデルへの変革を提案・支援してまいります。
ICT・BPOによる企業のサーキュラーマネジメント支援を行う「サステナブルBPOサービス」は、三井住友ファイナンス&リースグループとの合弁会社「サーキュラーリンクス株式会社」において、業務効率化やサービス品質の向上に加え、新サービスの開発・提供等に取り組んでまいりました。顧客企業の人材不足やサステナビリティ分野の知識不足に起因するガバナンスリスクの顕在化等を背景に、好調に推移しております。
また、廃棄物の100%再資源化と脱炭素に資するサーキュラーマテリアルの製造・提供サービスにおいては、カーボンニュートラルの潮流やグローバルサプライチェーンの不安定化を受けて、新たな循環資源(天然資源の代替となる再生資源)の開発・提供や、工場の脱炭素化、サステナブル調達のトータル提案を推進してまいりました。セメント産業向けの代替原燃料については、一部出荷調整による期ずれが生じているものの、循環資源の入荷・製造量は概ね維持しております。シリコンスラリーの100%再資源化については、回復・拡大する半導体産業に向けて、北九州循環資源製造所でのサービス拡充などに取り組んでまいりました。
加えて、AI等の最新技術を活用した、情報マネジメントに基づく製造工程の完全自動化・無人化モデル「サーキュラー3.0」へのサービス進化に取り組んでまいりました。その一環として、姫路循環資源製造所内に自動制御システムを導入したスマートファクトリーの新設並びに2026年7月操業開始に向けた準備を進めてまいりました。より高度なサービスへの移行により、細分化・高度化する顧客ニーズへの対応、製造現場の労働環境の改善、そして脱炭素への貢献を図り、無駄のない資源循環とサーキュラーエコノミーの促進を目指してまいります。
<環境認証審査サービス>
市場が堅調な中、FSC® CoC認証及びMSC/ASC CoC認証を中心に、前期を上回る新規顧客からの受注を継続的に獲得しております。引き続き新規受注を拡大していくための組織体制の強化等を進めております。
<海外事業>
海外事業統括子会社「AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.」(以下、ACD)を軸に、マレーシアでの100%再資源化事業の拡大、インドネシアでの100%再資源化事業の開始に向けた取り組みをはじめ、アジア・大洋州地域にて日本国内でのノウハウを活かした循環型社会の仕組みづくりに向けた市場開拓を進めてまいりました。
・マレーシア
産業廃棄物の100%再資源化においては、現地での資源循環ニーズは高く入荷量は増加しているものの、一部資源ユーザーとの価格交渉等に伴う出荷費用の増加がありました。また、昨年度にSunway大学と共同で開始した、海外初となる互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」の実証を、本年度も継続して進めております。
・インドネシア
100%再資源化事業の本格展開・事業基盤の構築に向けて、昨年度設立した現地企業との合弁会社2社において、循環資源製造所の2027年度内の開所を目指した取り組みを進めております。
・その他の国での事業展開
昨年度に続き本年4月に採択された、環境省「令和7年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」にて、インドネシア、インド、パラオで、脱炭素化に向けた廃棄物の再資源化等に係る事業可能性調査等を実施してまいりました。
具体的にインドにおいては、昨年度に引き続き、セメント産業向け100%再資源化事業の事業可能性調査を実施しております。また、パラオにおいては、本年4月に採択された独立行政法人国際協力機構「草の根技術協力事業(草の根パートナー型)」も活用し、都市間連携事業委託業務である地域の未利用資源を燃料とした熱利用事業の実現可能性調査等を実施するとともに、島嶼国における循環モデルの構築を進めております。
<持続可能な地域運営の支援領域:MEGURU STYLE>
地方自治体に対する取り組みとしては、互助共助型で無駄のない“社会的”な生活スタイルを促す社会インフラ「MEGURU STYLE(めぐるスタイル)※2」の開発・展開を進めてまいりました。具体的には、地域内で資源を無駄なく循環させるソリューション「MEGURU COMPLEX(めぐるコンプレックス)※3」の開発や、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」の面的展開に向けた福岡県大刀洗町・福岡県豊前市・兵庫県神戸市・奈良県奈良市(月ヶ瀬地域)・愛知県長久手市での活動を継続してまいりました。加えて、本年4月に三井住友信託銀行株式会社と共同で、「MEGURU STATION®」の社会的な意義や貢献を客観的に示す「インパクトレポート」を作成・公開しました。本レポートを、ステーションの創出する価値を定量的に伝えるコミュニケーションツールとして活用し、さらなる面的拡大や新たな関係者との連携強化を進めてまいります。
また、京都府亀岡市では、本年3月に締結した「かめおか未来・エコロジックミュージアムプロジェクト事業連携協定」を踏まえ、「MEGURU STYLE」の戦略的開発案件として位置づけ、同市の持続可能な地域モデルへの移行戦略の策定及び伴走支援を進めてまいりました。
<パートナーシップ領域>
一般社団法人エコシステム社会機構(Ecosystem Society Agency:略称ESA(イーサ)※4)へ、発起企業として継続参画しております。本年7月1日時点で36自治体・75企業/団体が参画しており、特に参画自治体数は本年1月と比較して2倍以上に増加しています。ESAへの参画を通じて、より多くの自治体や企業と共創し、事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。
また、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」における「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動をはじめ、サーキュラーエコノミーの推進に向けて、様々な企業や自治体との連携・協働プロジェクトを進めてまいりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は、企業のサステナビリティ経営への移行支援サービスのニーズ拡大を受け、Cyano Projectにおけるコンサルティング案件の拡充や環境認証審査サービスの伸長などにより2,331,138千円(前期比1.1%増、前期差+25,085千円)となりました。営業利益は、売上高が増加したことなどにより211,712千円(前期比13.3%増、前期差+24,799千円)となりました。経常利益は、持分法による投資利益が増加(マレーシア事業では減少した一方でサーキュラーリンクス株式会社では増加)したものの為替差損の影響などにより215,504千円(前期比10.9%減、前期差△26,287千円)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は、経常利益の減少や、前期にあった繰延税金資産の増加に伴う法人税等調整額(益)の計上が今期はなかったことなどにより126,876千円(前期比40.8%減、前期差△87,598千円)となりました。
なお、当社グループは社会デザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
※1…サーキュラープラットフォーム:
サーキュラープラットフォームは、地域の行動・資源・情報をつなぎ、社会全体を最適化する仕組みとして、事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向けて構築を進めています。このプラットフォームは、互助共助型で無駄のない“社会的”な生活スタイルを促す社会インフラ「MEGURU STYLE」と、サーキュラーエコノミーを叶える循環資源製造所「MEGURU FACTORIES(めぐるファクトリーズ)」などから構成されます。MEGURU STYLEにおけるMEGURU STATION®に集まった利用者情報や活動情報、資源情報は、AIの分析技術によって「調達予測」「地域のカスタマイズ需要予測」「行動予測」「滞在予測」などに変換され、企業の無駄のない最適な生産計画を設計するための判断材料として活用されます。アミタはこの最適化された設計情報を企業や自治体に提供し、地域のニーズに即した生産・調達を支援していきます。
※2…MEGURU STYLE:
MEGURU STYLEは、地方自治体の4大課題(人口減少、少子高齢化、社会保障費の増大、雇用縮小)の解決に向けて、MEGURU STATION®、MEGURU BOX®、MEGURU COMPLEXというハードを用いた、互助共助の仕組みと、もの・情報の循環設計を基盤とした持続可能なコミュニティデザインサービスです。当社グループは本サービスを通じて「関係性の増幅」と「循環の促進」を軸に、地域住民・自治体・企業の協働を通じて、関係性・多様性・文化性を豊かにする新たなまちづくりコンセプト「Co-Creation City(コ・クリエーションシティ)」の実現を目指します。
※3…MEGURU COMPLEX:
MEGURU COMPLEXは、MEGURU STYLEにおける自治体向け資源循環ソリューションの一つです。可燃ごみを資源化する「バイオガス施設」「おむつリサイクル施設」「熱分解施設」の施設群で、焼却炉と埋立地のゼロ化を目指します。
※4…ESA:
ESAは、「循環」と「共生」をコンセプトに、人口減少・少子高齢化や新しい政策課題に直面する地方自治体と、新たなビジネスモデルの創出を目指す企業等が、統合的視点に立ってイノベーションを起こし社会的価値を創出するプラットフォームとなることを目指す組織です。2024年4月設立。
② 財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産につきましては、流動資産は借入金による現金及び預金の増加などにより815,015千円増加し、固定資産は姫路循環資源製造所内でのスマートファクトリー新設(一部)に係る有形固定資産の増加などにより37,894千円増加した結果、前連結会計年度末に比べて852,910千円増加し、7,447,734千円となりました。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債につきましては、流動負債は1年内返済予定の長期借入金の増加などにより48,753千円増加し、固定負債は長期借入金の増加などにより779,704千円増加した結果、前連結会計年度末に比べて828,458千円増加し、4,689,523千円となりました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産につきましては、親会社株主に帰属する中間純利益を計上したことなどにより前連結会計年度末に比べ24,451千円増加し、2,758,211千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて986,939千円増加し、3,716,294千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、379,165千円(前年同期比166,580千円の収入の増加)となりました。これは、税金等調整前中間純利益215,821千円の計上や、売上債権の減少156,222千円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、149,270千円(前年同期比154,259千円の支出の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出147,811千円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、796,039千円(前年同期比810,732千円の収入の増加)となりました。これは、長期借入金の返済による支出139,140千円や配当金の支払69,988千円があった一方で、長期借入れによる収入1,010,000千円があったことなどによるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(資金の借入)
当社は、2025年4月25日開催の取締役会において、下記のとおり資金の借入に関して決議いたしました。
1.借入の目的
2025年2月28日付「連結子会社による固定資産の取得(新工場建設)に関するお知らせ」において開示いたしましたとおり、当社子会社であるアミタサーキュラー株式会社における新工場建設に伴う建屋建設工事への投資資金として借入を実施いたしました。
また、2025年3月13日付「アミタHDと京都府亀岡市、事業連携協定締結合意のお知らせ」においてPR開示をいたしましたとおり、当社は今後、京都府亀岡市と持続可能な地域づくりを進めてまいります。この取り組みの推進にあたり、地元金融機関との更なる連携強化を図る方針です。加えて、トランプ政権の経済政策による世界経済の不安定化及び景気後退への懸念に対する事前準備として金融機関より借入を実施いたしました。
2.借入の概要
|
(1)借入先 |
株式会社みずほ銀行 |
京都信用金庫 |
|
(2)借入金額 |
760,000,000円 |
200,000,000円 |
|
(3)借入金利 |
固定金利 |
固定金利 |
|
(4)借入期間 |
10年 |
10年 |
|
(5)実行日 |
2025年5月30日 |
2025年5月26日 |
|
(6)担保等の有無 |
アミタサーキュラー株式会社の 連帯保証 |
アミタサーキュラー株式会社の 連帯保証 |