当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「美しくを、変えていく。」という企業スローガンの下、お客様の理想の美しさをかなえ、世界中に夢や驚きを届けるために、お客様のためにできること・すべきことを全社員が常に意識し、研究開発活動、製品・商品のご提供、お問い合わせ対応などを通して、新しい「美のカタチ」を追求し続けることを経営方針としております。
当社グループが属する美容健康関連業界は、今後も成長が期待される分野であり、業界の成長に比例して競争も激化しております。
このような中、当社グループでは、「日本発のグローバルブランド・カンパニー」として、他者が真似できない製品を作り続けるとともに、新しい発想で新たな市場を作り出すことを中長期的な経営ビジョンとし、次に掲げる事項を当面の経営課題としてその解決に注力してまいります。
(1) 研究開発活動の強化
当社グループが属する美容健康関連業界では、様々な製品・商品が販売されており、その中からお客様に選ばれるためには、お客様のニーズに応えるのはもちろん、美容の常識を塗り替えるような夢や驚きのある製品の開発が必要になります。
2020年に立ち上げた「表情筋研究所」を軸に、産学連携の推進など研究開発への投資をさらに強化してまいるほか、米国FDA・中国NMPAを始めとする各種認証の取得にも注力してまいります。
当期は、引き続き米国FDAと中国NMPAでの認可取得を目指して対応を進めたほか、国内では、医療機器認可取得に向けた研究開発にも継続して取り組みました。
(2) 企業ブランディング
売上規模の拡大のためには、個々の製品・商品のみならず、「ヤーマン」という企業ブランド自体の認知をグローバルに広げ、底上げを図っていく必要があります。
お客様とのタッチアップポイントを増やすべく、旗艦店であるYA-MAN the store GINZAでの美顔器体験会の実施や、ホテル等様々な施設への当社製品の設置の促進などに注力しております。
更に、YA-MAN the store GINZAを起点とした海外に向けての情報発信の強化、国内に対しては、当社の主力製品である美顔器カテゴリの更なる認知度向上のため、SNS等を活用したマーケティング施策の強化を図ってまいります。
また、多様な人材の活用による組織の強化と活性化、SDGs推進に向けた環境問題への取り組みなどを通して、「ヤーマン」ブランドの確立と浸透にも引き続き注力してまいります。
当期は、YA-MAN the store GINZAがオープンから1周年を迎えることができ、国内外問わず更に多くのお客様に当社の製品やテクノロジーを体感していただくことができました。
(3) グローバル展開の強化
当社グループは、「日本発のグローバルブランドカンパニー」として、アジアのみならず全世界への展開を目指しております。
ユニバーサルデザインの推進や各種認証の取得などによるグローバルに通用する製品開発、海外を視野に入れた広告展開などを進めてまいります。
また、当社グループには、米国と中国に海外子会社がありますが、これらを足掛かりにグローバル展開を加速すべく、投資を強化してまいります。
当期は、中国子会社での直接販売において、初めて大規模なECイベントに参画できたことに加え、新たにベトナム及びサウジアラビアの各市場へ本格的に参入することができました。
また、来期に向けて、グローバル展開を加速させるために越境販売の強化を目指して準備を開始しました。
なお、現在、2028年12月期に売上高700億円を達成することを中間目標とする新たな中期経営計画を策定中であり、2025年12月末までに公表予定です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「美しくを、変えていく。」という企業スローガンにもあるとおり、美容の常識を打ち破って新しい美の習慣を創り出し、「日本発のグローバルブランド・カンパニー」として、夢と驚きに満ちた製品を世界中のお客様にお届けすることを目指しております。
その実現のためには、環境の保全や経済活動の発展に配慮しながら、人的資本の充実を図り、社会に認められることが重要な経営課題であると認識しております。
(1) ガバナンス
当社グループでは、現状、取締役会や関連部署によるプロジェクトにおいて個々のリスクを検討・対応しております。また、従業員一人一人が、「志をカタチに」、「オリジナリティの追求」、「チャンスは自ら」、「お客様ファースト」、「共に創る」という5つのクレドを遵守しながら、常にお客様を始めとする様々なステークホルダーのためにできること・すべきことを意識し、研究開発、製品のご提供、お問い合わせ対応などの事業活動を通して、社会に貢献するものとしております。そして、様々な研修や啓発活動を通してこの考え方を徹底し、企業風土として定着させるよう取り組んでおります。
また、2025年5月1日よりサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ基本方針の策定及びマテリアリティの特定を行い、年間計画に基づきサステナビリティの取り組みを推進してまいります。
(2) 戦略
当社グループでは、サステナビリティに基づく企業価値向上のため、環境や社会に対して負の影響を与えるリスクに適切に対処することで、それらを経営課題を推進していくうえでのチャンスと捉え積極的に取り組んでおります。
①サステナビリティに関する戦略
美しさに付加価値を提供
当社の技術で開発した製品やサービスによって既存の美の習慣を新しい美の習慣へと変化させ、新たな市場を創造していくことにより、すべてのお客様のQOL(Quality of Life)の向上を目指してまいります。
イ. 家庭用美容機器の開発
エステサロンの専門ケアだったRF(ラジオ波)という高機能な美容技術を、より効率的にご自宅で安心して使える機能にするために、独自のテクノロジーで特許を取得し、その技術を搭載した美容機器は、日本だけでなく海外のお客様からも支持されてきました。最高峰のテクノロジーが多くの人に未知なる美顔器体験をもたらしています。
ロ. 『表情筋研究所』の開設
高次元の「テクノロジー」と確かな「サイエンス」の双方をあわせ持った独自の視点で美を深層から科学する研究開発拠点として、2022年7月に『表情筋研究所』を開設いたしました。4つのエネルギー「電気」「熱」「超音波」「光」を、単独または同時に組み合わせて搭載できる美容技術の設計と、その効果効能の検証を繰り返して、確かな効果のある美容機器の開発を目指しております。
ハ. 研究開発による知的財産の取得
独自のノウハウによって数多くの知的財産を取得するとともに、画期的な製品を提供してまいりました。これまでに取得した特許は380件(注1)、商標・実用新案なども含めた知的財産権の保有数は国内外合わせて981件 (注2)です。
引き続き独自技術の開発を推進し、当社だけが提供可能な画期的な製品を、日本国内のみならずグローバルに展開していけるよう、積極的に取り組んでまいります。
(注)1. 2025年4月末時点で取得済みの特許権の累計数
2. 2025年4月末時点で取得済みの知的財産権の保有件数
ニ. 新業態『FACE LIFT GYM(フェイス・リフト・ジム)』のローンチ
2020年2月に顔専門のトレーニングジム『FACE LIFT GYM』の第一号店を出店いたしました。フィットネス市場の広がりとともに、ライフスタイルの中で「筋トレ」は当たり前になりつつあり、パーツに特化したジムなど業態も多様化している中、『FACE LIFT GYM』では、美容機器の開発に長年携わってきた当社だからこそできる顔専門のトレーニングジムを提案しております。どのメニューもトレーナーが1on1でつき、初めて美容機器に触れる方でも実感のあるお手入れを行うことができ、ご自身で顔印象をアップさせる方法を覚えてご自宅での美容ケアにお役立ていただけます。
ホ. 高齢化社会を美容面、健康面からサポート
長寿命化・高齢化を背景に「人生100年時代」が謳われ口もとの美しさと健康を叶えるオーラルケアのニーズも高まっている中、ただ単純な審美領域を追い求めるのではなく、健康な生活と共存する“真美”を追い求め、革新的なモノづくりの考えで、日本の歯科医とも共同開発し、今後の社会に不可欠ともいえるオーラルケア市場に本格進出しております。
ヘ. 品質管理
企画・設計・製造・販売する製品について、安全・安心な製品を提供するための品質管理体制の継続的な改善に努めながら、お客様からのご意見を的確に把握し、法令遵守のもと顧客満足度の向上を図ってまいります。
ト. 5年連続美顔器マーケットシェアNO.1獲得
これらの取り組みにより当社は、美顔器カテゴリにおいて、5年連続マーケットシェアNo.1(注1)を獲得しており、中でもRF美顔器はシリーズ累計400万台(注2)を超えております。
(注)1.(株)富士経済『美容家電&健康家電マーケティングトレンドデータ2020』2018-2019年実績、『美容&健康家電市場・関連サービストレンドデータ2023-2024』2020-2022年実績、美顔器カテゴリにおいて、日本国内の美容家電全体におけるメーカーシェアとして
(注)2.2013年10月~2022年9月末までのRF美容機器シリーズ累計出荷台数(当社調べ)
環境への配慮
当社グループでは、環境に配慮した取り組みとして製品のライフサイクルを通じて環境負荷の少ない資源を有効活用し循環させることを積極的に進めてまいります。
イ. プラスチック素材による環境負担の軽減
製品パッケージ・緩衝資材・梱包資材の軽量化や簡素化等に加えて、詰め替え可能なリフィル製品の販売により、プラスチック素材の減量に努めております。また、環境負荷が少ないサステナブル素材を製品の容器等に使用することで、環境への配慮に取り組んでおります。
<ONLY MINERALS>
ブランド立ち上げ以来、肌への負担が少ないミネラルコスメをコンセプトとし、製品開発を行ってまいりました。メイン商材であるファンデーションは、環境に配慮された厳選した天然ミネラル成分のみを使用しており、環境に負担を及ぼす可能性がある人工成分は一切使用しておりません。
また、パッケージについても、環境に配慮した素材の採用に努めております。
‐化粧箱にはFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)認証紙を使用
‐一部容器の蓋には再生プラスチックを含む素材を使用
‐一部チューブタイプの容器にはバイオマスプラスチックを使用
‐一部ボトルタイプの容器には再生PETを100%使用
<MAKANAI>
「クリーンビューティー」をポリシーとし、肌や地球環境への影響に配慮し、使用する成分や処方に透明性を持つという考え方のもと、原料は自然由来のものを厳選して使用しております。世界的に厳しいとされるEU化粧品規則における安全性評価基準を満たしており、ヨーロッパにおいても継続的に販売されています。パッケージや包装資材の選択は"Forest Friendly"を基本としており、化粧箱にはFSC認証紙を、ハンドクリームの容器には環境に配慮した循環型プラスチック(リバースプラスチック)を使用しております。
ロ. 輸送におけるCO2排出量の削減
直販事業部において、化粧品等のリピート商材の一部の発送をポストサイズのメール便等へ切り替えることにより、再配達の削減への取り組みを実施しております。ポストイン対象商品は前期末より212製品増加し、現在327製品(注)となっており、今後も継続してポストイン対象商品の増加に取り組んでまいります。
(注)2025年4月末時点
ハ. 脱炭素に向けた取り組み
連携協定を締結している株式会社yaotomiにおける、カーボンニュートラル野菜エキス配合製品の開発等を支援し、環境に配慮した製品を通じた持続可能な脱炭素に向けた取り組みを進めております。
②人的資本に関する戦略
当社グループでは、人と組織が共振し合い、無限に成長し続ける会社を目指し、一人一人の多様性を活かして、自ら行動し、成果を生み出す姿勢を重視しています。事業活動において、全てのステークホルダーの基本的人権を尊重するとともに、性別・年齢・国籍・人種・民族・信条・宗教・社会的身分・障がいの有無によって、労働条件や互いの言動等を不当に差別することがないよう、当社グループの全役員・全従業員に対して定期的な教育及び啓蒙を実施し、周知徹底を図っております。
イ. 人材育成プログラム
1~3年目の社員を対象とした年次別研修や各部門の特性に応じた研修の実施、エルダー制度の導入、本人の希望による外部講習の受講などで社員の成長を促しております。
また定期人事面談や役割等級体系によるキャリアの明確化などの人事評価制度の整備や、社員の投票によってMVPを決める「表彰制度」、「ジョブローテーション制度」などの導入で、従業員の満足度と定着率の向上を図っております。
ロ. 多様な人材の採用
社内に異なる経験・技能・属性が存在することにより多様な視点や価値観が生まれることが、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識を持っており、採用や管理職への登用にあたっては、キャリア・性別・国籍等にとらわれない、適材適所を重視した採用活動を行っております。
ハ. 女性活躍支援
様々なライフイベントに合わせて柔軟な働き方ができるような環境を整備し、時短勤務・時間休・テレワーク・時差出勤といった制度の確立や、福利厚生制度の充実など、ワーク・ライフ・バランスの実現と向上に取り組んでおります。また育児休業から復帰するタイミングで人事によるキャリア形成面談を実施し、仕事と育児の両立を支援しています。その他にも、男女問わず育児休業の取得を促進するために、社内報において育児休業経験者の体験談を掲載することにより制度普及に寄与いたしました。
またワーキングマザー・ファーザーを集めた交流の場を提供しており、子供の成長による変化に応じたキャリア支援も行っていく予定です。
ニ. 障がい者雇用促進
障がいのある方が健常者とともに、それぞれの役割を果たしながら生き生きと働けるような環境づくりに努めております。2024年には共同農園「TSUNAGU farm」を開園し、農業を通じて障がいのある方が自分らしく働くことができる場を提供するとともに、収穫した農作物は定期的に本社で販売会を実施することで、人との‘繋がり’や‘やりがい’を感じられる環境づくりに取り組んでおります。
2025年4月からはレーンを追加して2チーム体制で収穫量を増やし、農作物の寄付などを通して地域社会の貢献活動へと繋げてまいります。
(3) リスク管理
当社グループでは、事業を遂行する上で直面し得るリスクについて、将来を見据えて正しく把握するとともにそれらをビジネスチャンスとして捉え、適切に対応するためのリスクマネジメント・フローを構築することが、持続的な成長に必須であると考えております。
サステナビリティに関するリスクは、各部門が、全社的なリスクマネジメント・フローを統括しているコンプライアンス管理統括部門及びリスク管理統括部門と連携のうえ、個別のリスクの認識及び対応方針の策定を行います。認識されたリスクは、リスク管理規程に従って、定期的に取締役会に報告され、評価されます。
今後はサステナビリティ委員会において、リスクマネジメント・フローにおけるサステナビリティリスク及び機会を横断的に把握し継続的にコントロールする体制の強化を図ってまいります。
(4) 指標及び目標
当社グループでは、上記(2)戦略に記載した人的資本に関する指標及び目標を次のとおり、モニタリングしております。
(注)各連結子会社の従業員数には重要性がないため、表中の目標及び実績の数値は当社のものとなります。
なお、サステナビリティに関するモニタリングにつきましては、長期的な評価を行うための具体的な指標及び目標を取締役会において議論のうえ策定し、サステナビリティ委員会において実施してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える具体的な影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 研究開発における機密情報について
当社グループは、研究開発に関する専門技術、ノウハウ等の機密情報について、特定の個人への依存を避けるとともに、十分な漏洩防止体制を整えております。
しかしながら、人材の他社への流出その他の予期せぬ事象により、進行中若しくは考案中の新技術等の機密情報が競合他社等に流出した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 品質管理及び不良品について
当社グループが展開する美容健康関連事業において販売する製品・商品には、お客様が直接・間接的に身体へ接触させ使用する製品・商品が含まれます。そのため、当社グループでは、お客様の身体に危害が生じることがないよう細心の注意を払って製品・商品のチェックを行い、また、取扱い方法の適切な表示を心がけております。
しかしながら、万が一当社グループの販売する製品・商品によりお客様の身体に危害が生じたため、賠償対応及びリコール対応等が必要となったり、当社グループの製品・商品に対するイメージが損なわれるような事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権の管理について
当社グループは、研究開発により新たに獲得された技術と、長年の経験により蓄積されたノウハウとの結び付きにより、新製品・商品の開発を進めております。そのため、当社グループは研究開発活動に力を注いでおり、獲得された技術等について、特許権をはじめとした知的財産権として確保することにも取り組んでおります。その結果、2025年4月末日現在において保有する特許権は、国内外で205件に至っております。
当社グループでは、これら保有する知的財産権の保護についても注意を払っており、他社による権利侵害の疑いを認識した場合には、直ちに知的財産権の侵害に係る通知を実施する等、適切な措置を講じております。一方、当社グループが他社の知的財産権を侵害しないよう、製品開発及び商品販売に際しては十分な調査を行うようにしております。
しかしながら、第三者により権利侵害を受けた場合又は権利侵害を行ったとして係争を起こされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合企業の参入及び競合の激化について
当社グループが属する美容健康関連業界は、近年、その市場規模を急速に拡大しており、これを受けて当該業界への新規参入を志向する家電メーカー等が増加しております。既存の競合他社においても、新製品の開発及び商品の獲得に向けたマーケティング活動が積極的に展開されており、当社グループとしましては、アフターサービスの充実や製品・商品の企画及び開発の強化等によって競合他社との差別化を図り、ヒット商品の更なる創出に努めております。
しかしながら、有力な競合品の登場により当社グループの製品・商品の競争力が相対的に低下した場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 生産体制について
当社グループは、製造設備を自社で保有せず、製品の製造は外部に委託しております。
そのため、外注先の工場において、重大事故の発生又は自然災害や感染症の流行等の国内情勢の影響により生産ラインに支障が生じた場合には、代替措置の確保までの間、販売機会の損失が生じる可能性があります。
また、今後、当該外注先と何らかの事情により提携関係等を維持することができない状況となった場合には、生産体制に影響が及び、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品・商品の生産国の社会情勢等による影響について
当社グループが販売する製品・商品には、中国や米国といった海外諸国で生産される製品・商品が数多く含まれており、今後も当該海外諸国で生産される製品・商品の輸入販売を継続する方針であります。
そのため、当社グループの販売する製品・商品の生産国において、予期せぬ法律や規制の変更や為替相場の変動が生じた場合、当社グループの製品・商品の流通に直接影響を及ぼすような自然災害やテロの発生により社会情勢等に混乱が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 同業他社による事故及び風評等の報道の影響について
当社グループの属する美容健康関連業界では、取り扱われる製品・商品の特性上、期待された効果が得られない場合や使用方法の誤り等による事故等により、メーカー又は取扱業者と消費者の間でトラブルが生じるケースがあります。
当社グループでは、このような問題が生じないよう製品・商品の安全性管理を徹底しておりますが、同業界の中で業界全体のイメージダウンに繋がるようなトラブル等が発生した場合には、結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制等について
当社グループの展開する事業に関する法的規制としては、製品の製造委託に関する「下請代金支払遅延等防止法」、自社開発製品の製造販売に関する「製造物責任法」、化粧品の仕入販売に関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」、インフォマーシャルやWebを用いた個人消費者への直接販売に関する「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、広告表現に関する「景品表示法」、「不当景品類及び不当表示防止法」などがあります。法令遵守に関しては、当社グループ内において周知徹底し、内部監査による定期的な確認も実施しておりますが、万が一法令違反行為等が発生した場合、また、その対応に不備があった場合には、社会的信用の低下による顧客離れや、損害賠償等の負担、営業停止等による企業活動の制限等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 個人情報の保護に関する法律について
当社グループの直販部門では、テレビショッピングやインターネット等の媒体を利用した直接個人顧客への販売を行っており、購入者に関する個人情報を多数保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いについて「個人情報の保護に関する法律」をはじめとする法令諸規則を遵守すべく、日本工業規格「個人情報マネジメントシステム-要求事項」(JIS Q 15001:2017)に準拠した個人情報マネジメントシステムを制定・運用し、定期的に運用状況の監査を実施するなど、個人情報の管理を徹底しております。
しかしながら、予期せぬ事態により、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、当社グループの社会的信頼の低下や金銭的な補償の負担等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 広告宣伝費について
当社グループが行うインフォマーシャル等の広告宣伝活動は、収益に及ぼす効果が大きく、また、近年の当社グループの業績規模の拡大に伴ってその金額も増加しています。そのため、広告宣伝活動を行う際には、個々の製品・商品ごとに、実施時期・手段・規模等について、販売見込みや経済環境等を十分に検討した上で実施を決定しております。
しかしながら、広告宣伝活動によって見込まれる売上高の増加が当初想定した水準に満たない場合や、広告宣伝活動によって発現する売上高の増加の時期が想定より時間を要する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 返品の発生について
当社グループが通販事業者と締結する取引基本契約上、当該通販事業者が販売できなかった製品・商品は、当社グループへ返品できることとする定めがあります。また、個人顧客向け直販事業は、法律に定められたクーリングオフの対象となる事業ではありませんが、販売戦略の一環として当社グループ独自に一定の期間内での返品保証制度を実施しております。
当社グループでは、これら返品の発生を極力防ぐために、通販事業者への販売については、過去の販売状況等を分析した結果に基づいて適正販売数量を決定しており、また、直販部門においては、使用方法の誤りによって効果が得られないことを理由とした返品が起こらないように、説明書の内容をより分かりやすく工夫し、個人顧客からの返品連絡については、カスタマーサービスのオペレーターが返品理由についてヒアリングし情報収集を行うとともに、使用方法の誤りによって効果が得られていないようなケースについては、正しい使用方法等の説明を行う等の対処を図っております。
しかしながら、想定以上の返品が生じた場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害や感染症等の発生について
当社グループは、地震等の自然災害や感染症等の発生に対し、事業活動への影響を最小限にする体制及び対策を講じております。
しかしながら、想定の範囲を超える事態が発生した場合には、外注先工場の損壊などによる生産ライン停止、卸売先店舗の休業やテレビ通販番組の中止などの販売経路の遮断、更には市場の消費意欲の低下といった間接的な影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 季節的影響について
当社グループが取扱う製品・商品には、季節性の高いものが含まれており、季節により業績に偏りが生じる場合があります。
そのような製品・商品については、厳密な需要見通しのもとに仕入・販売計画を策定しておりますが、気候条件による季節的な影響を正確に予測することは困難であり、実際の気候が予測と異なることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 為替変動リスクについて
当社グループは外貨建ての輸出入取引を行っており、為替の変動リスクに晒されております。
為替の変動により、販売価格及び仕入れ価格が予想を超えて増減した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 信用リスクについて
当社グループが保有する売上債権について、取引先の倒産により貸倒損失が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社では、債権回収等の社内規程を整備するとともに、外部機関の信用情報等も活用し、適正な与信管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態により予測不能な貸倒損失が発生した場合は、当社グループの業績や財政状況に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成のために当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。
これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
当社が行った見積りのうち重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内景気はインバウンド需要の増加はあったものの、為替の円安影響等による原材料価格やエネルギー価格の高止まり、さらには物流費等が上昇する中、物価の高騰による節約志向が続き、個人消費の持ち直しには依然として足踏みが見られます。
また、米国の関税政策等を巡る各国の対応により、従来の国際協調の枠組みは転換期を迎えており、景気の先行きは依然として見通せない状況が続いております。
このような状況の下、当社グループでは、2023年6月に策定した中期経営計画「Going Global Strategy」に掲げた2028年4月期の「売上高700億円」の達成に向けて、研究開発や海外への投資を行いながら、通販・店販・直販・海外における各販路の最適化を図ってまいりました。
国内では、2024年8月に連結子会社化した株式会社forty-fourで、美容健康機器の新商品の販売を開始いたしました。また、2025年4月に、銀座旗艦店での単月売上が、過去最高を記録いたしました。海外では、2025年1月に、当社として初の中東進出となるサウジアラビアでの展開を開始しました。
海外部門で、中国国内の化粧品市場全体の低迷の影響を受けたことや、国内部門で、直販でのコロナ禍後の外出型消費傾向の影響を受けたこと及び利益最大化のための広告投資抑制により、国内商戦期における売上の引き上げが未達になったこと等から、当連結会計年度の売上高は25,040百万円(前連結会計年度比21.8%減)と前連結会計年度を下回りました。利益最大化のための広告投資抑制を図りましたが、売上高の減少に加え、円安による仕入価格の上昇による影響等から、営業利益は628百万円(前連結会計年度比50.9%増)、経常利益は310百万円(前連結会計年度比69.3%減)となりました。また、当連結会計年度に関係会社株式売却益961百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は706百万円(前連結会計年度比77.5%増)となりました。
国内の直販部門については、連結子会社化したforty-four社においてインフォマーシャル強化策を進めました。その結果、利益最大化のための広告投資抑制による売上への影響はあったものの来期以降に向けたグループでの直販部門の成長に期待できる体制構築が整いました。
海外については、中国国内において、積極的にシステム構築や認知度向上に向けた先行投資を進めた結果、独身の日イベントにも初めて参加することで、顕著な成果を出すことができ、来期以降の更なる成長に向けた準備が整いました。
また、経営基盤の強化につきましては、独自技術の開発やグローバル展開を加速し、経営の意思決定をさらにスピードアップする必要があると考えています。そのためには取締役会の監督機能を強化するとともに、中長期の戦略的議論をさらに活性化するためのコーポレートガバナンス体制が求められることから、今般、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行することといたしました。
2025 年7月25日に開催予定の第51回定時株主総会において、移行に必要な定款の一部変更等についてご承認いただき、監査等委員会設置会社に移行する予定です。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 通販部門
通販部門では、テレビによる通信販売業者を経由した個人顧客への販売、カタログ通販会社向けの販売、インターネット専売業者向けの販売を行っております。
当連結会計年度においては、地上波テレビ通販及びショッピング専門チャンネルが振るわなかったことから、売上高は3,330百万円(前連結会計年度比21.0%減)となった一方で、利益最大化のための広告投資抑制をした結果、セグメント利益は1,003百万円(前連結会計年度比10.0%増)となりました。
② 店販部門
店販部門では、家電量販店、百貨店、バラエティショップ等への販売を行っております。
当連結会計年度においては、2023年11月にオープンした銀座旗艦店や百貨店及び家電量販店を中心に売上が堅調であったことから、売上高は8,068百万円(前連結会計年度比8.0%増)となり、利益最大化のための広告投資抑制をした結果、セグメント利益は1,878百万円(前連結会計年度比88.9%増)となりました。
③ 直販部門
直販部門では、インフォマーシャルや雑誌、新聞、Web等を用いた個人顧客への販売を行っております。
当連結会計年度においては、コロナ禍後の外出型消費傾向が影響を受けたことや、利益最大化のための広告投資抑制をした結果、売上高は6,313百万円(前連結会計年度比25.7%減)、セグメント利益は1,732百万円(前連結会計年度比35.2%減)となりました。
④ 海外部門
海外部門では、海外の通信販売業者、卸売業者、個人顧客等への販売を行っております。
当連結会計年度においては、世界最大規模のネットセールス期間として知られる11月11日「独身の日」において、中国最大の総合ECプラットフォーム「Tmall」内の美容機器部門の販売実績で1位を獲得したものの、中国国内の化粧品市場の低迷を受けたことから、売上高は5,858百万円(前連結会計年度比48.0%減)、セグメント利益は1,341百万円(前連結会計年度比56.3%減)となりました。
① 生産実績、商品仕入実績
当連結会計年度における生産実績は、前連結会計年度比57.2%減の8,643百万円(販売価格)、商品仕入実績は、前連結会計年度比15.9%増の3,970百万円(仕入価格)であります。
なお、当社グループは、販売チャネルを基礎としてセグメントを決定しており、通販部門・店販部門・直販部門・海外部門・その他の全セグメントで共通して生産活動及び仕入活動を行っているため、セグメントごとに生産実績、商品仕入実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
② 受注状況
当社グループは、受注生産ではなく市場見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度に比べ346百万円(1.2%)増加し、29,436百万円となりました。現金及び預金の増加362百万円を上回る受取手形、売掛金及び契約資産の減少890百万円がありましたが、貸倒引当金の減少980百万円及びのれんの増加615百万円等により増加しました。
負債は、前連結会計年度末に比べ437百万円(11.0%)減少し、3,539百万円となりました。支払手形及び買掛金の増加247百万円がありましたが、持分法適用に伴う負債の減少735百万円等により減少しました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ784百万円(3.1%)増加し、25,897百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上706百万円及び剰余金の配当495百万円による利益剰余金の増加213百万円に加え、その他有価証券評価差額金の増加584百万円等により増加しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比して816百万円(5.1%)増加して、16,968百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、2,215百万円(前連結会計年度は1,931百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益1,176百万円、減価償却費465百万円、売上債権の減少1,010百万円、貸倒引当金の減少△980百万円、関係会社株式売却益△961百万円によるものであります。
前連結会計年度に比して、税金等調整前当期純利益が978百万円から1,176百万円と増加し、売上債権の増減が109百万円の減少から1,010百万円の減少となったことや、法人税等の支払額が1,341百万円から417百万円になるなど資金の使用が減少したことから、資金の獲得額は前連結会計年度を上回る結果となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果獲得した資金は、154百万円(前連結会計年度は950百万円の使用)となりました。
これは主に、今後の金利の動向を注視して運用していくため、取得日から満期までの期間が3ヶ月超の定期預金を3ヶ月以内の定期預金に切り替えたことに伴う定期預金の払戻による収入454百万円、金型等の有形固定資産の取得による支出△224百万円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、1,178百万円(前連結会計年度は1,347百万円の使用)となりました。
これは主に、配当金の支払い△494百万円及び長期借入金の返済による支出△1,055百万円によるものであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は595百万円と、前連結会計年度末から133百万円減少いたしました。
当社グループでは、企業価値を向上させ、「日本発のグローバルブランド・カンパニー」の実現を目指していくに当たり、売上規模の拡大と収益性の向上を重要な要素と認識しており、売上高及び営業利益率を目標とする経営指標としております。
また、メーカーとして、研究開発費の総額や原価率についても継続的にモニタリングすべき指標と考えているほか、配当性向、ROEなどの指標も重視しております。
当期は国内外の様々な経済環境の変化等も起因し、当社グループ全体における利益最大化のための広告投資抑制を最優先としたことで厳しい結果となりましたが、まずは2028年度末までの目標である売上高700憶円を達成するための新たな中期経営計画の策定を進め、その詳細につきましては2025年12月末までに公表する予定です。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は、お客様の理想の美しさをかなえ、世界中に夢や驚きを届けるために、お客様のためにできること・すべきことを常に意識し、新しい「美のカタチ」を追求し続ける、という経営方針に基づいて行われております。
当社グループの研究開発活動は、当社の開発部門が主体を担っておりますが、開発部門が単独で活動するのではなく、企画・立案から製品化までの全過程において、お客様と直接接する立場にある営業部門と綿密に連携を図りながら、製品化を推進しております。これにより、常にお客様のニーズに対応した製品を創出しうる研究開発体制としております。
当社グループは、研究開発活動の過程で発見した技術の権利化を積極的に行っており、類似製品との差別化を図っております。
当連結会計年度における特許権の取得は35件(国内22件、海外13件)となり、2025年4月末現在における総取得件数は159件(国内109件、海外50件)となっております。
また、当連結会計年度における特許権の新規出願84件(国内52件、海外32件)となり、2025年4月末現在における総出願中件数は205件(国内106件、海外99件)となっております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、
当社グループでは、研究開発活動の強化を経営上の最重要課題と位置づけ、製品開発はもちろんのこと、効果効能の測定、安全性の検証、品質管理についても、更なる人員強化と体制整備を図ってまいる所存です。
なお、当社グループは、販売チャネルを基礎としてセグメントを決定しており、通販部門、店販部門、直販部門、海外部門、その他の全セグメントで共通して研究開発活動を行っているため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。