第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 また、重要事象等は存在しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

当中間連結会計期間(2024年2月1日~2024年7月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善に加えインバウンド需要の増加もあり緩やかな回復基調で推移しましたが、一方で不安定な海外情勢、原材料や燃料価格を含む物価の高騰など、先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは中期経営計画を策定し、「これまで培ってきたグループ資産の活用促進」「市場の環境変化に対応した新しい事業の開発による成長領域の創出」「収益構造の転換(既存事業の安定化と成長事業への投資による、事業ポートフォリオの転換)」を基本方針として、知の生成と流通に持続的に貢献するための成長力と資本効率の向上に取り組んでおります。

当中間連結会計期間の業績につきましては、図書館サポート事業及び店舗・ネット販売事業は堅調に推移しましたが、文教市場販売事業における教科書などの書籍販売減少の影響により、売上高は849億19百万円(前年同期比0.03%減)と減収となりました。利益面は、店舗・ネット販売事業中心に利益率の改善に取り組みましたが、物価及び人件費の高騰により販管費が増加したため営業利益は20億52百万円(前年同期比2.9%減)、経常利益は20億64百万円(前年同期比3.3%減)と減益となりました。特別損失は増加しましたが、一方で当中間連結会計期間は特別利益の計上があり、さらに税金費用も減少したことから親会社株主に帰属する中間純利益は12億33百万円(前年同期比0.7%増)とほぼ前年同期並みとなりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

[文教市場販売事業]

当事業は以下の事業を行っております。

1.図書館(公共図書館・学校図書館・大学図書館)に対する図書館用書籍の販売、汎用書誌データベース「TRC MARC」の作成・販売及び図書装備(バーコードラベルやICタグ等の貼付等)や選書・検索ツール等の提供

2.大学などの教育研究機関や研究者に対する学術研究及び教育に関する輸入洋書を含む出版物(書籍・雑誌・電子ジャーナル、電子情報データベースほか)や英文校正・翻訳サービスをはじめとする研究者支援ソリューションの提供

3.教育・研究施設、図書館などの設計・施工と大学経営コンサルティングをはじめとする各種ソリューションの提供

4.大学内売店の運営や学生に対する教科書・テキストの販売等

 

当中間連結会計期間の業績につきましては、教育・研究施設、図書館などの設計・施工は前年に比べ増加したものの、教科書などの書籍販売が減少したことから、売上高は259億94百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益は18億24百万円(前年同期比12.8%減)と減収減益となりました。

 

[店舗・ネット販売事業]

当事業は、主に全国都市部を中心とした店舗網において和書・洋書などの書籍をメインに、文具・雑貨・洋品まで多岐にわたる商品の販売を行っております。

店舗の状況といたしましては、2024年3月にフランチャイズ加盟している株式会社駿河屋BASEが展開するホビーショップと書店のコラボショップ「駿河屋 梅田茶屋町店」「駿河屋 天文館店」を開店、また2月に「戸田書店 富士宮店」、4月に「ジュンク堂書店 弘前中三店」、5月に「丸善 アトレ吉祥寺店」を閉店した結果、2024年7月末時点の店舗数は109店舗となっております。(うち1店舗は海外店(台湾)、18店舗は「丸善(MARUZEN)」「ジュンク堂書店」の店舗名ではありません。)

当中間連結会計期間の業績につきましては、和書の売上が堅調であったことに加え、「駿河屋」を2店舗、「絵本の世界を楽しむことのできる空間」をコンセプトとした「EHONS」を4ヶ所(池袋・広島・吉祥寺・静岡)、2025大阪・関西万博オフィシャルストアを8ヶ所(大阪梅田・大阪難波・京都・神戸三宮・広島・福岡・那覇・札幌)、株式会社バンダイのカプセルトイブランド「ガシャポン」の専門店「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」及び「本屋さんのガシャポンのデパート」(高松)をオープンするなど高利益率商品を取扱う新形態の店舗展開に取り組んだ結果、売上高は327億69百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は3億14百万円(前年同期比251.6%増)と増収増益となりました。

 

[図書館サポート事業]

当事業は、図書館の業務効率化・利用者へのサービス向上の観点から、カウンター業務・目録作成・蔵書点検などの業務の請負、地方自治法における指定管理者制度による図書館運営業務、PFI(Private Finance Initiative)による図書館運営業務及び人材派遣を行っております。

当中間連結会計期間の業績につきましては、図書館受託館数は期初1,806館から20館増加し、2024年7月末時点では1,826館(公共図書館623館、大学図書館240館、学校図書館他963館)となり堅調に推移しました。

その結果、当事業の売上高は186億55百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は15億30百万円(前年同期比12.0%増)と増収増益となりました。

 

[出版事業]

当事業は、『理科年表』をはじめとする理工系分野を中心とした専門書・事典・便覧・大学テキストに加え、絵本・童話などの児童書、図書館向け書籍の刊行を行っております。また医療・看護・芸術・経営など多岐にわたる分野のDVDについても発売を行っております。

当中間連結会計期間につきましては、専門分野として『睡眠学の百科事典』『〈数理と経済〉離散凸解析-理論の拡大と応用』『極論で語る予防医療』『Excelで解く構造形態創生 建築におけるトポロジー最適化』『ユダヤ文化事典』、児童書として『にじいろフェアリーしずくちゃん9』『しずくちゃん42』『あかちゃん(おとがでる しかけえほん うごかして ならそう!)』『どうぶつ(おとがでる しかけえほん うごかして ならそう!)』など、合計新刊100点(前年81点)を刊行いたしました。

また47の都道府県ごとに名産品、食文化、伝統行事、各地の伝承や歴史などをまとめた『47都道府県ご当地文化百科シリーズ(全47巻)』を2024年6月の北海道および東北6県を皮切りに、11月にかけて順次刊行してまいります。

当中間連結会計期間の業績につきましては、新刊の刊行遅延の影響により売上高は19億45百万円(前年同期比5.9%減)と減収となり、利益面も65百万円の営業損失(前年同期34百万円の営業利益)となりました。

 

[その他]

当事業は、書店やその他小売店舗を中心に企画・設計デザインから建設工事・内装工事・店舗什器・看板・ディスプレーなどのトータルプランニング(店舗内装業)に関わる事業、図書館用図書の入出荷業務、Apple製品やパソコンの修理・アップグレード設定等の事業(株式会社図書館流通センターの子会社であるグローバルソリューションサービス株式会社による)、総合保育サービス(株式会社図書館流通センターの子会社である株式会社明日香による)、税務・会計・M&A領域において電子化された専門書籍・雑誌を横断的に検索・閲覧できるサービス(丸善リサーチ)を行っております。

当中間連結会計期間の業績につきましては、総合保育サービス事業及びPC修理に関する事業は順調に推移しましたが、店舗内装業において案件が減少した影響で売上高は55億52百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益2億7百万円(前年同期比10.1%減)と減収減益となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

① 資産

流動資産は、前連結会計年度末に比べて39億60百万円減少し、891億37百万円となりました。これは、現金及び預金が47億96百万円増加し、受取手形及び売掛金が6億31百万円、その他が73億55百万円減少したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて1億63百万円減少し、356億34百万円となりました。これは、有形固定資産が1億88百万円、無形固定資産が2億55百万円増加し、投資その他の資産が6億7百万円減少したことによります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて41億24百万円減少し、1,247億72百万円となりました。

② 負債

流動負債は、前連結会計年度末に比べて66億50百万円減少し、499億11百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が10億97百万円、短期借入金が65億20百万円減少したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて13億9百万円増加し、258億76百万円となりました。これは、長期借入金が17億89百万円増加し、その他が4億23百万円減少したことなどによります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて53億41百万円減少し、757億88百万円となりました。

③ 純資産

純資産合計は、前連結会計年度末と比べて12億16百万円増加し、489億83百万円となりました。これは、利益剰余金が10億48百万円増加したことなどによります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は305億77百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、123億28百万円(前年同期比4億39百万円の収入減)となりました。これは主に、法人税等の支払額の増加などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、9億75百万円(前年同期比1億57百万円の支出増)となりました。これは有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出の増加などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、67億52百万円(前年同期比11億4百万円の支出減)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額の減少などによるものであります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年2月29日開催の取締役会において、当社子会社である雄松堂ビルディング株式会社における固定資産の譲渡について決議、2024年3月6日に売買契約を締結いたしました。また、2024年3月19日開催の取締役会において、当社子会社である株式会社丸善ジュンク堂書店における固定資産の譲渡について決議、2024年3月25日に譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(追加情報)(固定資産の譲渡)」に記載のとおりであります。