第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の連結業績は、売上高は前期比19.7%減の8兆7,378億円、経常損失は86億円(前期は1,501億円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,785億円(前期は2,772億円の純損失)となりました。なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによるたな卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の経常利益相当額は、前期比2.2%増の2,609億円となりました。

特別利益は、投資有価証券売却益360億円等により、合計で446億円となりました。

また、特別損失は、カセロネス銅鉱山及び石油・天然ガス開発事業等に係る減損損失2,453億円、事業構造改革費用846億円等により、合計で3,660億円となりました。

以上の結果、税金等調整前当期純損失は3,300億円となり、法人税等△171億円及び非支配株主に帰属する当期純損失344億円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純損失は2,785億円(前期は2,772億円の純損失)となりました。

 

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「少数株主利益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」とし、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としています。

 

(2)一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境

連結会計年度における世界経済は、米国において、個人消費の拡大を中心に景気回復が続いたものの、中国においては、企業の生産活動及び設備投資の伸びが鈍化し、国のインフラ関連投資も抑制されたことから、景気が減速しました。また、日本経済は、個人消費及び設備投資の伸びに力強さを欠き、緩やかな回復にとどまりました。

アジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、期初から7月にかけて、1バーレル当たり60ドル前後で推移しましたが、主要産油国が高水準の原油生産を維持して供給過剰の状態となったことから大きく下落し、平成28年1月には12年ぶりの安値となる23ドルをつけました。その後、原油価格は上昇に転じたものの、当期末時点では1バーレル当たり35ドルの低水準となりました。

また、銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初から6月にかけて1トン当たり6,000ドル前後の水準でしたが、最大の銅消費国である中国の経済成長の鈍化及び米ドル高に伴う割高感等から下落し、平成28年1月には7年ぶりの安値となる1トン当たり4,311ドルをつけました。その後、銅価格はやや上昇したものの、当期末時点では1トン当たり4,856ドルにとどまりました。

以上のように原油価格及び銅価格が大幅に下落する中、欧米の石油メジャーや資源開発会社は、新規投資の削減、資産の売却等に踏み切るとともに、減損損失を計上しました。さらに、わが国の石油元売各社は、「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づき70日分以上の原油・石油製品の備蓄を義務付けられていることもあり、原油価格の大幅な下落によって多額の在庫評価損を計上することとなりました。

一方、国内の石油製品需要については、原油安を受けて石油製品の販売価格が低下し、需要を喚起する要因となったものの、低燃費車の更なる普及、燃料転換の進展といった需要減少要因の影響が大きかったことから、前期を下回りました。他方、石油化学製品の市況は、中国における需給の引き締まりを受け、堅調に推移しました。

 

(3)事業活動の経過及び成果

セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

エネルギー事業(JXエネルギーグループ)

● 石油精製販売事業における取組み

主力事業である石油精製販売事業については、国内の石油製品需要が減少する中においても、安定的に収益を確保できる事業基盤を構築するため、原油の調達から精製・物流・販売に至るまでのサプライチェーン全体の競争力強化に努めました。

生産面では、低コストで調達できる重質原油の処理量を増加させたほか、各製油所・製造所において、安全・安定操業を大前提としつつ、操業の効率化を推し進めることにより、コストの削減に取り組みました。さらに、鹿島製油所においては、「溶剤脱れき装置」の稼働を開始し、需要の減退が著しい重質油留分を分解して収益性の高い石油化学製品及び軽油の原料を増産する体制を確立しました。また、平成28年4月には、同装置から得られる残渣油を燃料とした発電設備の商業運転を開始し、低コストで発電した電気を需要家に販売することにより、収益向上に貢献しています。

一方、販売面では、国内において各油種の採算販売を徹底するとともに、SSネットワークの再編による合理化・効率化を図ったほか、海外マーケットへの機動的な製品輸出を行い、一層の収益獲得に取り組みました。

● 海外需要の獲得に向けた取組み

アジアの新興国においては、経済成長に伴う燃料油、石油化学製品及び潤滑油の需要拡大が見込まれています。

このような状況下、ベトナムにおいて第1位の燃料油販売シェアを有する国有石油会社(Vietnam National

Petroleum Group社)に出資し、同国における燃料油小売事業に参入することを決定しました。また、石油化学製品については、韓国においてSKグループと共同で操業中の世界最大級のパラキシレン製造工場において生産した製品を販売し、収益に大きく貢献することができました。さらに、潤滑油については、海外各地に展開する製造拠点・販売拠点を通じて、自動車及び二輪車用を中心に拡大する需要の獲得に努めました。

● 総合エネルギー企業としての事業拡大に向けた取組み

電気事業については、10年以上にわたりオフィスビルや学校等に供給してきた実績があるところ、平成28年4月から全面自由化された家庭用電力小売事業に「ENEOSでんき」のブランド名で参入しました。発電設備を保有する強みを活かして魅力的な料金メニューを提案するとともに、地域に根ざした販売ネットワークを有する特約店及び販売店を代理店とし、さらに、集客力を有する家電量販店や大手通信事業者との業務提携を行うことによって顧客の獲得を進め、平成28年3月末時点で約10万件の成約に至りました。

LNG・天然ガス事業については、平成27年4月に、青森県八戸市のLNG大型輸入基地及び同基地から転送したLNGを受け入れる北海道釧路市のLNG基地の操業を開始し、産業用を中心にLNG及び天然ガスの需要増加が見込まれる東北地域及び北海道東部地域に対して供給を行い、需要の獲得に努めています。

水素事業については、将来の燃料電池自動車の普及を見据え、水素の製造・輸送・販売を効率的かつ安定的に行う体制を構築すべく、燃料電池自動車に水素を販売する「水素ステーション」の増設を進めたほか、平成28年3月には、神奈川県横浜市において、LPGを原料に水素を製造して出荷する「水素製造出荷センター」の運営を開始しました。

<エネルギー事業の業績>

こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前期比21.9%減の7兆1,224億円、経常損失は971億円(前期は3,346億円の損失)となりました。在庫影響を除いた経常損益相当額は、前期比130.9%増の1,667億円の利益となりました。

 

石油・天然ガス開発事業(JX石油開発グループ)

● 石油・天然ガスの生産量

当期におけるJX石油開発株式会社の生産量は、前期に生産を開始したパプアニューギニアLNGプロジェクト及び英国北海キヌール油田からの生産が寄与した結果、前期を上回る日量12万1千バーレルとなりました。

● 原油価格下落への対応

石油・天然ガス開発事業については、当面、原油価格の大幅な上昇が見込まれない中、ポートフォリオの見直しの一環として、採算性の低いプロジェクトから撤退し、着実な収益確保に努めたほか、開発費負担が大きい英国北海の油田・ガス田にかかる権益の一部を売却することを決定し、キャッシュ・フローの改善を図りました。

また、開発中及び生産中の油田・ガス田においては、資材調達費用の低減、作業効率化の徹底等を図り、コストの削減・管理に努めました。

● 米国における石炭火力発電所の排ガス活用による原油増産プロジェクト

米国において、石炭火力発電所の排ガスから二酸化炭素を回収し、老朽化した油田に圧入することにより原油の増産を図るCO2-EORプロジェクトを推進しており、当期においては、平成28年中の商業運転開始に向けて、プラントの建設作業を着実に進めました。

<石油・天然ガス開発事業の業績>

こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、前期比22.4%減の1,758億円、経常利益は前期比66.8%減の282億円となりました。

 

金属事業(JX金属グループ)

● 銅の資源開発事業及び製錬事業の取組み

チリのカセロネス銅鉱山においては、銅精鉱の生産工程で生じる「廃さい(鉱石くず)」堆積場の整備の目途が立ち、設備面においては、フル操業が可能な状況となりました。こうした中、継続的なフル操業の早期実現に向けて、コンサルティングファームの支援も得て、オペレーターの技能向上や設備保全体制の強化に努めています。

製錬事業については、製錬所における生産体制の効率化によるコスト削減と操業の安定化を通じて競争力強化に努めました。

● 電材加工、環境リサイクル及びチタンの各事業の取組み

電材加工事業については、半導体の製造に利用されるスパッタリングターゲット、フレキシブル電子基板用の圧延銅箔、主にコネクター材として使用される精密圧延品について、スマートフォン向けの旺盛な需要により、前期に続いて好調な販売を維持しました。

環境リサイクル事業については、平成27年8月にプリント基板スクラップの集荷ネットワークを有する株式会社髙商の全株式を取得し、国内におけるリサイクル原料及び産業廃棄物の集荷ネットワークを拡充しました。

軽量で強度・耐久性に優れ、航空機、化学プラント設備等に使用されるチタンの製造・加工・販売事業については、これまでに実施した生産体制の効率化及びコスト削減の成果に加え、航空機向け需要が回復したことを受け、黒字転換を達成しました。また、安価な電力と安定した原料の調達が可能なサウジアラビアにおいて、スポンジチタンの製造・販売を行う合弁会社を設立し、平成29年の商業生産開始に向けて、工場建設を進めました。

<金属事業の業績>

こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前期比9.2%減の1兆497億円、経常利益は前期比76.6%減の133億円となりました。

 

その他の事業

その他の事業の売上高は前期比0.5%減の4,588億円、経常利益は前期比12.8%増の449億円となりました。

<株式会社NIPPO>

株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事ならびにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当期は、公共工事が緩やかに減少したことに加え、労務費や原材料コスト等が高水準を維持したことから、引き続き厳しい経営環境となりました。こうした状況下、同社は、優れた技術力を活かし、工事の受注獲得に尽力するとともに、アスファルト合材等の販売拡大及びコスト削減・効率化の取組みを強化し、収益確保に努めました。

なお、同社は、平成28年2月29日、東日本高速道路株式会社東北支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事の入札に関する独占禁止法違反の容疑により、東京地方検察庁から起訴されました。同社は、再発防止に向けてコンプライアンスの一層の強化、徹底を図っており、当社としても、同社に対する指導を強化していきます。

 

上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高689億円(前期は857億円)が含まれています。

 

(4)キャッシュ・フロー

連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,913億円となり、期首に比べ1,634億円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

営業活動の結果、資金は5,550億円増加しました。これは、たな卸資産の減少(3,053億円)、売上債権の減少(2,299億円)、減価償却費(2,277億円)等による資金増加要因が、税金等調整前当期純損失(3,300億円)、仕入債務の減少(819億円)等による資金減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動の結果、資金は3,077億円減少しました。これは、主として石油製品製造設備への投資及び石油・天然ガスの開発に係る投資等によるものです。

財務活動の結果、資金は880億円減少しました。これは、長期借入金の返済による支出(1,679億円)、コマーシャルペーパーの減少(1,160億円)、社債の償還による支出(425億円)等による資金減少要因が、長期借入による収入(3,022億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

3,764,393

67.6

石油・天然ガス開発

170,483

77.4

金属

962,687

92.1

その他

78,576

87.3

合計

4,976,139

71.8

(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注状況

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

7,115,825

78.1

石油・天然ガス開発

175,755

77.6

金属

1,044,914

90.6

その他

401,324

103.9

合計

8,737,818

80.3

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

(JXグループを取り巻く全般的な環境)

今後の事業環境を展望すると、世界経済は、米国における景気の回復基調が続く一方で、中国経済は引き続き減速する見通しです。また、日本経済は、個人消費及び設備投資が伸び悩み、景気の先行きは不透明感を増すと考えられます。

原油価格については、原油の供給過剰の状態がしばらく続くと予想されることから、当面、大幅な上昇は見込まれないと思われます。また、銅価格は、中国経済の成長鈍化の影響を受け、回復には一定の時間を要する見込みです。

国内の石油製品の需要は、低燃費車の普及、燃料転換の進展等の構造的な要因により引き続き減少を続け、一方、アジアの新興国では、経済成長に伴い、燃料油、石油化学製品及び潤滑油の需要の増加が引き続き見込まれています。

また、銅製品については、中国経済の成長鈍化に伴い、電線等のインフラ需要の大幅な増加は当面期待できないものの、電材加工品は、パソコン、スマートフォン等に限らず、家電や自動車等、様々なものがインターネットとつながる社会(IoT社会)の進展が見込まれる中、今後とも需要は増加すると予想されます。

このような状況下、JXグループにおいては、国内需要の減少傾向が続き、原油・銅価格の大幅な上昇が見込まれない中にあっても、確実に利益を確保できる強靭な事業基盤を構築し、将来にわたり持続的な成長を続けることが課題となっています。

具体的な取組みとして、エネルギー事業については、主力事業である国内石油精製販売事業の収益力を強化するため、安全・安定操業を前提としつつ、サプライチェーン全体を一層効率化し、徹底したコスト削減を進めるとともに、需要の変動に見合った生産及び機動的な輸出の実行を徹底します。また、燃料油・石油化学製品・潤滑油について、拡大が見込まれる新興国の需要を着実に獲得するために、アジアを中心に海外展開を加速させるとともに、将来の事業の柱となり得る電気・ガス・水素等の各事業を着実に発展させます。

石油・天然ガス開発事業については、キャッシュフローの改善と採算性の向上を図るべく、当社が強みを発揮できる地域での事業を拡大する一方、資産の売却を進める等、選択と集中によるポートフォリオの見直しを推進し、着実に収益を確保できる強靭な体質の構築に努めます。また、開発中及び生産中の油田・ガス田については、安全及び環境に配慮するとともに、コストの削減に注力し、事業を着実に推進します。

金属事業については、カセロネス銅鉱山において、安定的な操業を早期に実現するとともに、一層のコスト削減に取り組み、競争力の強化を推進します。電材加工事業については、今後さらに需要が拡大するスパッタリングターゲット、圧延銅箔、精密圧延品等の生産能力を拡充するとともに、新製品の開発を推し進め、IoT社会の進展により拡大する需要の着実な獲得に努めます。また、環境リサイクル事業については、海外における集荷ネットワークの強化に向けた取組みを推進し、事業の拡大を図ります。

 

(東燃ゼネラル石油株式会社との経営統合)

当社と東燃ゼネラル石油株式会社とは、国内の石油製品需要が減少する中にあって、将来に向けて両社グループの企業価値を最大化するためには、双方の経営資源を結集することが最善であるとの認識で一致したことから、平成27年12月に基本合意書を締結のうえ、平成29年4月を目途に両社グループの経営統合を目指すことで合意しました。

中長期的な戦略等についての詳細は現在検討中ですが、本経営統合により、単独では行い得ない抜本的な合理化・効率化を強力に推し進め、徹底した事業変革を成し遂げ、エネルギー事業においては、安全操業・安定供給を前提に、事業基盤を一層強固なものにするとともに、成長が見込める海外市場への進出及び新規ビジネスの育成・拡大等の成長戦略を力強く推進します。

統合新会社グループは、経営統合後5年以内に1,000億円以上の収益改善を達成し、「国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループ」として発展していきます。

なお、経営統合にあたっては、現在、平成28年8月の経営統合本契約締結を目標として、両社間で鋭意協議を進めていますが、本件経営統合に関しては、あらためて臨時株主総会を開催することとしています。

 

4【事業等のリスク】

JXグループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(グループ全体に関するリスク)

①原料供給源に関するカントリーリスク

当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれ限られた供給源にほぼすべてを依存しています。こうした国、地域における政治不安、社会混乱、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

②中国その他アジア諸国における事業に関するリスク

当社グループの製造する電気銅、石油化学製品、電材加工製品等の販売は中国その他アジア諸国での需要に大きく依存しており、また、当社グループは、これらの地域での更なる事業拡大を期待しています。

何らかの事由により、これらの地域における当社グループの製品に対する需要の減退等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③外国為替相場の変動に関するリスク

当社グループにおいては、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。

また、外国為替相場の変動は、海外の連結子会社又は持分法適用関連会社の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。

 

④第三者との提携、事業投資に関するリスク

当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を挙げることができない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤事業の再構築に関するリスク

当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の特別損失が発生する可能性があります。

当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥設備投資及び投融資に関するリスク

当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。

 

⑦資源開発に関するリスク

当社グループが行っている石油・天然ガス田、石炭・銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力の低下につながる可能性があります。

 

⑧環境規制に関するリスク

当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。

当社グループの事業においては、相当量の排水、排ガス及び廃棄物が発生し、不測の事態により排出量が基準値を超える可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨操業に関するリスク

当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故、災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。

当社グループは、可能かつ妥当な範囲において事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

⑩知的財産権に関するリスク

当社グループは、事業遂行のため、特許権等の各種知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。

また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤルティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。

以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪有利子負債に関するリスク

当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等が制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払のために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

当社グループは、多額のたな卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、たな卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、多額の固定資産を所有しており、経営環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑭情報システムに関するリスク

地震等の自然災害や事故等により情報システムに障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮内部統制システムの構築に関するリスク

当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を管理しており、その保護対策として、今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。

(セグメント別のリスク)

エネルギー事業

①石油精製販売事業におけるマージンの変動に関するリスク

当社グループにおける石油製品のマージンは、主に原油価格と石油製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の需要、海外の石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく悪化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、石油化学製品のマージンも原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給緩和等により、原油・原料油価格のコスト上昇を製品価格に転嫁することが困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②国内の石油製品の需要動向及び競合に関するリスク

先進国を中心として、地球温暖化ガスの削減、省エネルギー・省資源の推進等、地球環境問題への取組みが一段と本格化し、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速するものと考えられます。このような状況下、国内石油製品需要については、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換の進展に影響され、今後も減少を続けることが予想されます。このような国内需要の減少傾向が続くか、あるいは更に加速する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国内石油精製販売事業においては、現在、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③原油及び製品の調達元に関するリスク

当社グループは、原油については全量を海外とりわけ中東から、製品については一部を海外又は国内から調達しています。産油国における政治情勢の変動及び国内外の製品需給状況等により原油及び製品の調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

④たな卸資産評価に関するリスク

当社グループは、原油、石油製品等たな卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格上昇局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格下落局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

石油・天然ガス開発事業

①石油・天然ガス開発事業における原油ガス価格及び外国為替相場変動リスク

石油・天然ガス開発事業においては、原油ガス価格の変動及び外国為替相場の変動によって売上高が増減します。原油ガス価格の上昇時及び円安時には、円ベースの売上高が増加し、原油ガス価格下落時及び円高時には、円ベースの売上高が減少します。従って、原油ガス価格下落局面及び円高局面においては、売上高の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②埋蔵量確保に関するリスク

国際的な資源獲得競争により、当社グループが埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどの程度確保できるかにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油・天然ガス開発機材に関するリスク

石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは第三者から、掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

金属事業

①銅事業における市況変動等に関するリスク

当社グループの銅事業は、主として銅製錬事業、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業から成り、それぞれ次のとおり、市況変動等の影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは主に、製錬マージンと販売プレミアムからなります。

製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、銅鉱石品位の低下、資源メジャーによる寡占化の動きや、中国、インド等における需要増などにより銅精鉱の供給が不足する場合は、製錬マージンが低下する可能性があります。また、当社グループの締結している買鉱契約は米ドル建てであるため、円高となった場合には、製錬マージンが減少し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸入経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。

また、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業については、開発鉱山及び投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②銅精鉱の安定調達に関するリスク

銅精鉱需給が逼迫した場合に備え、当社グループは銅精鉱の安定調達を図るため海外銅鉱山の開発及び投資を実施していますが、これらを含む当社グループの銅精鉱調達先である海外銅鉱山の操業に支障が生じ、当社グループが製錬事業に必要とする銅精鉱を適時に調達できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③電材加工事業の需要動向、技術革新等に関するリスク

電材加工事業の顧客の多くはIT産業、家電製品及び自動車業界に属します。従ってこれら産業における需給の状況及び価格の変動等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、電材加工事業は、激しい競争の中にあり、急激な技術革新及び顧客ニーズの変化に当社グループが適切に対応することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④電材加工事業の原材料の調達価格の変動に関するリスク

電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首たな卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤環境リサイクル事業の市況変動等に関するリスク

環境リサイクル事業のマージンは、金属価格、為替の変動により影響を受けます。従って、金属価格が下落した場合又は円高となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥環境リサイクル事業の原料調達に関するリスク

環境リサイクル事業のリサイクル原料集荷においては、主な供給元である電機電子部品メーカー等の国内から海外へのシフト、リサイクル事業への新規参入により競争が激化しています。これに対し海外調達の拡大等により対応していますが、当社グループが環境リサイクル事業に必要とするリサイクル原料を調達できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦チタン事業における需要変動等に関するリスク

主力製品である金属チタン(スポンジチタン、チタンインゴット)は、航空機、電力プラント、化学プラント、海水淡水化プラント等の特定用途が需要の中心となっており、また、触媒の用途についても、プロピレン重合用にほぼ特化しています。

これらの特定用途向け需要が、国内外の政治・経済情勢の変動や用途先業界の状況変化に伴い大きく変動する場合、製品販売量及び製品価格も大きく変動する傾向があるため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧グールド・エレクトロニクス社(米国法人)の環境問題に関するリスク

子会社であるグールド・エレクトロニクス社(米国法人)は、過去の事業に係る環境問題に関連して、米国スーパーファンド法等の環境法令に基づき特定の米国内指定地域について潜在的責任当事者とされています。同社の最終的な負担額は、地域指定の原因となった物質の量及び有毒性、他の潜在的責任当事者の総数及びその財政状態、改善方法及び技術など多くの要因に左右される可能性があります。

グールド・エレクトロニクス社は、上記に関して適切と判断した引当計上を行っていますが、上記要因により実際の負担額が引当額を上回る可能性があり、この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

その他の事業

○建設事業における需要変動に関するリスク

建設事業は、舗装、土木、建築の請負工事の需要に大きく影響されます。従って、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の減少は、当社グループの建設事業及びその業績に影響を及ぼす可能性があります

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)「基本協定書」(契約当事者:新日本石油株式会社及びコスモ石油株式会社、締結日:平成11年10月12日)

企業の枠組みを超えて抜本的なコスト削減策を講じるため、仕入、精製、物流及び潤滑油(生産・配送)の各部門において業務提携を行うことについて約したものです。

(2)「合弁契約書」(契約当事者:日鉱金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社、締結日:平成14年6月21日)

両社の合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(日鉱金属株式会社の出資比率67.8%)を中心とした銅製錬事業に関する包括的な業務提携を約したものです。

(3)「経営統合に関する基本合意書」(契約当事者:当社及び東燃ゼネラル石油株式会社、締結日:平成27年12月3日)

当社と東燃ゼネラル石油株式会社が、平成29年4月を目処に両社グループの経営統合を目指すことについて合意したものです。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。

 

(1)エネルギー (研究開発費 11,652百万円)

①燃料油・精製技術分野

燃料油・精製技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術、並びに石油化学基礎原料や潤滑油等の生産プロセスに関する開発を推進しています。

また、エネルギー多様化に資するセルロース系バイオエタノール等バイオ燃料の開発も推進しています。

②化学品分野

機能化学品分野では、窓ガラスをスクリーンにできる透明フィルム「カレイドスクリーン」、柔軟でリサイクル可能なプラスチックゴム新素材「新開発エラストマー(仮称)」、透明で高耐熱なポリイミド樹脂原料モノマーなど、独自技術による新規商品の開発を推進しています。

また、「次世代自動車」、「次世代住宅」、「ニュートリション」を戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。

③潤滑油分野

潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。

④水素分野

水素分野では、水素エネルギー社会への対応に不可欠な水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。

また、JXエネルギー株式会社は、これまで燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションについて実証事業を行い、技術面・運営面でのノウハウを蓄積してきました。平成26年12月に商用水素ステーションの1号店を開所して以降、平成27年度末までに37か所の水素ステーションを開所し、水素販売を展開しています。

⑤産学連携の推進

環境、エネルギー、化学品分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。

 

(2)石油・天然ガス開発

該当事項はありません。

 

(3)金属 (研究開発費 8,151百万円)

①資源・製錬分野

資源・製錬分野では、低品位鉱のバイオ浸出技術について、コデルコ社(チリ国営銅公社)と共同設立したバイオシグマ社(チリ法人)との連携により開発を進めています。また同じく低品位鉱を対象にした独自の浸出技術であるヨウ素法についても開発を進めており、チリでヒープリーチング法を用いた実証試験を完了しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在、次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。

②環境リサイクル分野

環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池のさらなる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。

③薄膜材料分野

薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。

また、CVD及びALD(Atomic layer deposition)に用いる高純度塩化物の開発に取り組んでいます。

④機能材料分野

機能材料分野では、コネクタ用途等に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、さらなる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めており、高精細基板用の極薄銅箔は実用化段階に進んでいます。

⑤基盤技術開発

分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。

 

これらに、その他の事業における研究開発費881百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,684百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態

①連結貸借対照表

資産  当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比6,988億円減少の6兆7,246億円となりました。

負債  当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,974億円減少の4兆7,962億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比389億円減少の2兆5,814億円となりました。

純資産 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比5,014億円減少の1兆9,285億円となりました。

 

なお、自己資本比率は前連結会計年度末比3.8ポイント低下し22.3%、1株当たり純資産額は前連結会計年度末比176.07円減少の602.86円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.21ポイント悪化し、1.39倍となりました。

 

②連結キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,913億円となり、期首に比べ1,634億円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

営業活動の結果、資金は5,550億円増加しました。これは、たな卸資産の減少(3,053億円)、売上債権の減少(2,299億円)、減価償却費(2,277億円)等による資金増加要因が、税金等調整前当期純損失(3,300億円)、仕入債務の減少(819億円)等による資金減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動の結果、資金は3,077億円減少しました。これは、主として石油製品製造設備への投資及び石油・天然ガスの開発に係る投資等によるものです。

財務活動の結果、資金は880億円減少しました。これは、長期借入金の返済による支出(1,679億円)、コマーシャルペーパーの減少(1,160億円)、社債の償還による支出(425億円)等による資金減少要因が、長期借入による収入(3,022億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。

 

③特定融資枠契約

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関6行と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は4,300億円であり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。また当社は、在外連結子会社1社と共同で、取引金融機関3行と特定融資枠契約を締結しています。当該契約の極度額は2億米ドルであり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。

 

(2)経営成績

経営成績の分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。