第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の連結業績は、売上高は前期比6.7%減の7兆251億円、営業利益は2,711億円(前期は3,507億円の損失)となりました。また、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の営業利益相当額は1,411億円(前期は1,005億円の損失)となりました。

金融収益と金融費用の純額220億円を差し引いた結果、税引前利益は2,491億円となり、法人所得税費用990億円を差し引き、当期利益は1,501億円(前期は3,098億円の損失)となりました。

また、当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益が1,500億円、非支配持分に帰属する当期利益が1億円となりました。

なお、当連結会計年度からIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、比較対象である前年度の数値もIFRSに基づいています。

 

(2)一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境

当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱問題、米国における新政権発足、世界各地の地政学的リスク等の影響により不透明感が高まる中、中国においては成長が鈍化しましたが、米国においては個人消費の拡大による景気回復が継続し、全体として緩やかな成長となりました。また、日本経済は、雇用・所得環境の改善を背景に回復基調を維持しました。

アジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、期初においては1バーレル当たり36ドルでしたが、産油国における増産凍結への期待感から上昇し、また、平成28年11月末にOPEC(石油輸出国機構)及び非OPEC主要産油国において減産合意が成立したことから、当期末時点では1バーレル当たり51ドルとなりました。

国内の石油製品需要については、冬場の気温が前年に比べ低めに推移した影響により灯油が増加したものの、低燃費車の更なる普及によりガソリンが減少し、電力用C重油も減少したことから、全体として前期を下回りました。また、石油化学製品の需要はアジア域内において伸長しました。

銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初から10月にかけて、中国の景気減速懸念や新規鉱山の操業開始により1トン当たり4,700ドル程度の低水準で推移しましたが、米国におけるインフラ投資増加の期待やチリ、インドネシアの銅鉱山の一時的な操業停止により上昇し、当期末時点では1トン当たり5,849ドルとなりました。

 

(3)事業活動の経過及び成果

セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

エネルギー事業(JXエネルギーグループ)

● 基幹事業の競争力強化

石油精製販売事業については、原油価格の変動や国内石油製品需要の減退という外部環境に左右されない強靭な事業基盤を構築するべく、原油の調達から精製・物流・販売に至るまでのサプライチェーン全体の競争力強化に努めました。具体的な施策として、調達・生産面では、採算性の高い原油の調達・処理の拡大に努めたほか、安全・安定操業の確保のため設備の検査・補修を確実に実施し、さらに、鹿島製油所の「溶剤脱れき装置」及び「ボイラ・タービン発電設備」の稼働により生産効率化・高付加価値化を図る等、各種の収益改善策を講じました。販売面では、国内において各油種の採算販売を徹底するとともに、SSネットワークの強化を図ったほか、海外マーケットへの機動的な製品輸出を行い、一層の収益獲得に取り組みました。

基礎化学品事業については、主力のパラキシレン事業において、アジア最大の供給能力を活かして、中国を中心としたアジア域内での拡販に積極的に取り組んだほか、有望な市場として期待のできる米国向けの輸出を開始しました。

● 次世代の柱となる事業の育成

電力事業については、平成28年4月の電力小売全面自由化を機に、「ENEOSでんき」のブランド名で家庭用電力小売事業に参入しました。シンプルで分かりやすく、かつ、お客様にメリットを感じていただけるような料金メニューを設定し、各種キャンペーンの展開、新たな事業提携といった拡販施策を実施した結果、外部調査機関の調査において顧客満足度1位を獲得し、当期末時点で申込件数は約19万件となりました。

LNG・天然ガス事業については、アジアにおける需要を取り込むべく、平成28年6月、マレーシア国営石油会社の子会社(PETRONAS LNG 9社)に出資しました。同社は、平成29年1月、商業生産を開始しています。

水素事業については、将来の燃料電池自動車の普及を見据え、引き続き水素ステーションの設置に取り組み、当期末時点での設置数は、当初計画どおり40カ所となりました。

また、平成28年4月、ベトナム最大の燃料油販売シェアを有する国有石油会社(Vietnam National Petroleum Group社)に出資するとともに、同社及び同社の大株主であるベトナム政府との三者間で戦略的協業契約を締結しました。同国においては石油製品需要の将来的な高まりが期待できることから、同国の精製から販売に至るまでのサプライチェーンに関して、幅広くビジネスの可能性を検討します。

● 技術立脚型事業・高付加価値製品の取組み強化

潤滑油事業については、自動車の保有台数の増加に伴い潤滑油需要の伸長が期待できる新興国を中心に事業のグローバル展開を進め、平成28年5月には、フィリピンにおいて、16か国目の海外拠点となるマニラ事務所を開設しました。

機能化学品事業については、不妊治療に利用される医療用培地をはじめとして、将来を担う事業の種となる素材・商材の研究開発や事業化の推進に一層注力しました。

<エネルギー事業の業績>

こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前期比7.2%減の5兆5,886億円、営業利益は2,384億円(前期は1,040億円の損失)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は1,141億円(前期は1,405億円)となりました。

 

石油・天然ガス開発事業(JX石油開発グループ)

● 石油・天然ガスの生産量及び埋蔵量

当期における生産量は、パプアニューギニアLNGプロジェクトをはじめ、油田・ガス田からの生産が好調に推移した結果、前期を上回る日量12万6千バーレルとなりました。

なお、Petroleum Resources Management System 2007(PRMS)に基づく、当期末における石油・天然ガスの確認埋蔵量(proved reserves)及び推定埋蔵量(probable reserves)の合計は、石油換算で660百万バーレルです。

● インドネシア タングーLNG拡張プロジェクトの最終投資決定

平成28年7月、インドネシアにおけるタングーLNG拡張プロジェクトへの投資を最終決定し、今後、LNGの増産に向けて、既存の液化プラント2系列に加えて、年間380万トンの生産能力を有する第3液化プラントの増設及び生産井の掘削等を進める予定です。本拡張プロジェクトにおいて生産されるLNGは、日本及びインドネシアの電力会社に供給され、両国のエネルギーの安定供給に寄与するものです。また、本拡張プロジェクトを着実に実施することにより、将来のキャッシュ・フロー、収益への貢献が見込まれます。

● 米国における石炭火力発電所の排ガス活用による原油増産プロジェクト

米国において、石炭火力発電所の排ガスからCO2(二酸化炭素)を回収し、老朽化した油田に圧入することにより原油の増産を図るCO2-EORプロジェクトを推進しています。平成28年12月、世界最大規模のCO2回収プラントが完成したことに伴い、テキサス州ウェスト・ランチ油田へのCO2の圧入を開始し、平成29年4月、本プロジェクトにより原油を増産しています。

● 安定した収益、キャッシュ・フロー創出に向けた取組み

強靭な企業体質を構築し、安定した収益、キャッシュ・フローを創出するため、引き続き操業費その他のコストの削減に努めるとともに、今後の開発費の負担を軽減するため、英国北海のカリーンガス田、マリナー油田の権益を一部売却する等、選択と集中による設備投資の抑制と事業再構築を推進しました。

<石油・天然ガス開発事業の業績>

こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、前期比18.3%減の1,444億円、営業損失は482億円(前期は2,258億円の損失)となりました。

 

金属事業(JX金属グループ)

● 銅の資源開発事業及び製錬事業の取組み

チリのカセロネス銅鉱山においては、現地法人の経営体制を刷新するとともに、大手コンサルティングファームを起用して、改善プログラムを導入・実践することにより、操業の改善を強力に推進しました。その結果、平成28年度下期には、安定した高水準の粗鉱処理を達成しました。

製錬事業については、玉野製錬所で生じる貴金属含有物を佐賀関製錬所で一括処理する等、生産体制の効率化によるコスト削減や操業の安定化を通じて競争力強化に努めました。

● 電材加工事業の取組み

電材加工事業については、スマートフォン向けの需要増大を主因として、スパッタリングターゲット、圧延銅箔及び精密圧延品の販売は、前期に続いて好調を維持しました。また、倉見工場に仕上げ圧延機と処理炉を増設し、今後需要の拡大が見込まれる電材加工製品の生産能力を増強することとしました。

● 環境リサイクル事業及びチタン事業の取組み

環境リサイクル事業については、引き続き、国内外においてリサイクル原料及び産業廃棄物の集荷ネットワークを拡充しました。

チタンは、軽量で強度・耐久性に優れ、航空機、化学プラント設備等に使用されていますが、同事業については、サウジアラビアにおいてスポンジチタン製造合弁事業を推進しており、平成29年度中の商業生産開始に向けて、順調に工場建設を進めました。

<金属事業の業績>

こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前期比0.6%減の8,718億円、営業利益は274億円(前期は693億円の損失)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は217億円(前期は636億円の損失)となりました。

 

その他の事業

その他の事業の売上高は前期比6.1%減の4,846億円、営業利益は471億円(前期は448億円)となりました。

<株式会社NIPPO>

株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当期は、引き続き厳しい経営環境が続きましたが、同社は、優れた技術力を活かし、工事の受注獲得に尽力するとともに、コスト削減・効率化に取り組み、収益確保に努めました。

なお、同社は、平成23年に発生した東日本大震災の舗装災害復旧工事に関して、東日本高速道路株式会社東北支社が実施した入札における独占禁止法違反により、平成28年9月6日、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたほか、同年9月15日、東京地方裁判所において、同社及び同社関係者に対する有罪判決を受けました。また、同社は、同じく東日本大震災の舗装災害復旧工事に関して、東日本高速道路株式会社関東支社が実施した入札における独占禁止法違反により、同年9月21日、公正取引委員会から排除措置命令を受けました。同社は、再発防止に向けて独占禁止法遵守の周知徹底を図っており、当社としましても、引き続き同社を指導してまいります。

 

上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高643億円(前期は620億円)が含まれています。

 

(4)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,430億円となり、期首に比べ1,892億円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

営業活動の結果、資金は2,258億円増加しました(前期は5,891億円の増加)。これは、税引前利益(2,491億円)、減価償却費及び償却費(2,226億円)等による資金増加要因が、営業債権及びその他の債権の増加(1,791億円)、棚卸資産の増加(1,229億円)等による資金減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動の結果、資金は2,519億円減少しました(前期は3,220億円の減少)。これは、主として石油製品製造設備への投資及び石油・天然ガス開発に係る投資等によるものです。

財務活動の結果、資金は1,383億円減少しました(前期は1,126億円の減少)。これは、短期借入金の減少(1,473億円)、長期借入金の返済による支出(1,373億円)等による資金減少要因が、長期借入れによる収入(2,054億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。

 

(5)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

①連結の範囲

IFRSに準拠して連結の範囲を検討した結果、IFRSと日本基準における連結の範囲が相違しています。

②バーター取引

日本基準において売上高に計上している取引のうち、販売された物品が同様の性質及び価値をもつ物品と交換されている部分については、収益を生み出す取引とはみなさず、売上高と売上原価を相殺しています。

③大規模修繕費

日本基準においては、将来の大規模定期修繕に伴う支出に備えて修繕引当金を計上し、実際に修繕した時点で引当金を充当しています。IFRSでは、当該修繕引当金は引当金の要件を満たさないため取崩すとともに、修繕した時点で支出を資産計上し、その後当該資産について減価償却を行っています。

④のれん償却費

日本基準において、のれんは、その効果が継続すると見込まれる期間を見積り、その年数で償却することとしていますが、IFRSでは、のれんの償却を行っていません。

⑤非上場株式の公正価値評価

日本基準において取得原価で評価を行っている非上場株式について、IFRSでは、公正価値で評価を行っています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

2,982,608

85.5

石油・天然ガス開発

141,540

81.7

金属

727,207

92.5

その他

63,625

81.0

合計

3,914,980

86.5

(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注状況

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

5,579,934

92.7

石油・天然ガス開発

144,443

81.7

金属

868,954

99.4

その他

431,731

93.3

合計

7,025,062

93.3

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、事業活動の基礎となる「JXTGグループ理念」を次のとおり定めています。

 

JXTGグループ理念

 

[使 命]

地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。

エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、

社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。

 

[大切にしたい価値観]

①社会の一員として

高い倫理観     誠実・公正であり続けることを価値観の中核とし、

高い倫理観を持って企業活動を行います。

安全・環境・健康  安全・環境・健康に対する取り組みは、

生命あるものにとって最も大切であり、常に最優先で考えます。

②人々の暮らしを支える存在として

お客様本位     お客様や社会からの期待・変化する時代の要請に真摯に向き合い、

商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、

私たちだからできる新たな価値を創出します。

③活力ある未来の実現に向けて

挑 戦       変化を恐れず、新たな価値を生み出すことに挑戦し続け、

今日の、そして未来の課題解決に取り組みます。

向上心       現状に満足せず、一人ひとりの研鑽・自己実現を通じて、

会社と個人がともに成長し続けます。

 

 

当社グループは、この「JXTGグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループを目指します。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、平成29年5月に平成29年度から3ヵ年の中期経営計画(平成29-31年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。

 

①基本方針

本中計を、「抜本的な変革の実行プラン」と位置付け、基幹事業の収益力強化(エネルギー事業を中心とした徹底した事業変革、統合シナジーの最大化と早期実現)、事業ポートフォリオの最適化、次世代の柱となる事業の育成・強化、経営基盤の強化(経営管理体制の整備、人材の育成等)等の諸施策を通じ、「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、事業環境の変化に適応可能な収益・財務基盤を確立する。

 

②経営目標(平成31年度)

ア.営業利益(IFRS)   :5,000億円

イ.フリーキャッシュフロー:5,000億円(平成29-31年度累計)

ウ.ネットD/Eレシオ  :0.7倍以下(資本合計ベース)

エ.ROE        :10%以上

 

(3)対処すべき課題

今後の事業環境を展望すると、米国の政策運営の動向、欧州の政治情勢の不確実性、その他世界各地の地政学的リスクの高まりにより不透明感はあるものの、世界経済は、中国において引き続き一定の成長が見込まれ、米国においても景気回復が継続し、全体として拡大基調と見込まれます。また、日本経済は、輸出・生産の回復と雇用・所得環境の改善により、引き続き成長が期待されます。

原油価格については、中国をはじめとする新興国の需要の伸びにより、需給バランスが改善することから、緩やかに上昇するものと予想されます。また、銅価格についても、銅鉱山の新規開発投資が減少し、加えて新興国を中心に需要の拡大が期待できることから、上昇基調と予想されます。

国内の石油製品需要は、低燃費車の普及、燃料転換の進展等の構造的な要因により引き続き減少する一方、アジアの新興国では、経済成長に伴い、燃料油、潤滑油および石油化学製品の需要の増加が見込まれています。

銅製品については、中国や米国においてインフラ投資が増加し、また、パソコン、スマートフォン等に限らず、家電や自動車等、様々なものがインターネットとつながる社会(IoT社会)の進展に伴い、今後も需要が増加すると予想されます。

このような認識の下、JXTGグループにおいては、将来の飛躍に向け、強靭な収益基盤・財務基盤を構築するとともに、次世代の柱となる事業の育成を図るべく、「JXTGグループ中期経営計画」を策定しました。その各事業における主な取組みについては、次のとおりです。

 

(エネルギー事業)

経営統合による収益改善の最大化を図り、早期に年額1,000億円の統合効果の実現を目指します。

石油精製販売・石油化学製品事業については、原油・製品・半製品の調達・融通の最適化、製油所・製造所等の生産体制の見直し、物流の効率化およびブランド価値の向上を基本とした販売施策を展開することにより、サプライチェーン全体の効率化を推進し、国際競争力の強化を図ります。

また、次世代の柱となる事業を育成・拡大するべく、石油精製販売事業については、アジア太平洋圏の需要を取り込む施策を検討・推進します。電力事業については、家庭用電力小売事業の着実な積上げを図るとともに、必要となる電源の開発について、積極的に検討を進めます。

潤滑油・機能材等の技術立脚型事業については、将来の成長に向けた重点分野として育成を行います。

加えて、事業インフラの整備による経営管理を強化するべく、製油所等の操業に関する管理システムや内部統制の整備・運用の強化に努めます。また、事業運営や経営管理の徹底的な効率化を図るため、新たなIT基盤としての統合基幹業務システム(ERPシステム)を構築します。

(石油・天然ガス開発事業)

低油価環境下においても、着実に収益を確保できる強靭な体質を構築するべく、選択と集中の徹底および更なるコスト削減を推進します。

また、将来の持続的な成長に向けた事業基盤強化のため、オペレーター事業を通じて既に進出している国においては、政府や国営石油会社等との信頼関係をさらに深めることにより事業価値の向上を図るとともに、有望な案件が期待できる産油国との信頼関係の構築を通じ、新たな事業機会の獲得を目指します。

加えて、地球環境と調和した事業展開に寄与するCO2-EOR技術を重点技術の一つと位置付け、新たな案件の獲得に努めます。

(金属事業)

資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山において、安定操業を維持するとともに、コスト削減と生産性向上による競争力強化に努めます。製錬事業については、安全・安定操業を維持した上で、生産効率・収益性を向上し、世界トップクラスの競争力を有する体制の構築に努めます。

電材加工事業については、グローバル市場においてトップシェアを有する製品群の拡充に向けて生産設備を増強するとともに、M&A等を通じて海外拠点網を強化します。また、IoT社会の進展による製品市場の変化に対応し、グループ内外の金属事業各社とのコラボレーションを含めた技術開発を推進します。

環境リサイクル事業については、海外からの高品位原料の集荷拡大、コスト低減等による事業基盤の強化を図ります。チタン事業については、徹底的なコストダウンに努めるとともに、サウジアラビアにおけるスポンジチタン製造工場を早期に稼働させます。加えて、技術立脚型事業群の成長を推進するべく、保有技術の部門横断的な活用を通じて既存の生産技術等を一層強化し、新規事業開発やM&A等において活用します。

 

JXTGグループは、中期経営計画を着実に実行することにより、アジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループとして発展し、企業価値の持続的な向上を図ります。

 

4【事業等のリスク】

JXTGグループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(経営統合に関するリスク)

①期待した統合効果が達成できないリスク

当社は、平成29年4月1日に東燃ゼネラル石油株式会社(以下「東燃ゼネラル」という。)と経営統合を実施し、シナジーの実現、徹底的なコスト削減に向けて取り組んでいます。しかしながら、当社グループが統合において直面する種々の課題に対処できない場合には、想定した統合効果が達成できない可能性があります。それらの課題のうち主要なものとしては、以下のものが考えられます。

・組織、企業文化、事業プロセス及び会社運営の効果的な統合

・重複する事業・設備その他資産の合理化、また、製品とサービス提供の効果的かつ迅速な統合

・シナジー効果が期待される分野への経営資源の効率的な配分

・関連する業務や設備の共通情報システムへの円滑な移行

・内部統制手続等の管理方針や基準の策定及び実行

 

②統合により顧客、取引先との関係が変化するリスク

当社グループは、当社と東燃ゼネラルの株式交換とその後の経営統合の段階に応じて、当社グループの顧客、仕入先、ビジネスパートナーから、取引の延期、保留や共同事業の解消などの要請を受ける可能性があります。結果的に、顧客、取引先事業との関係が変化した場合には、当グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(グループ全体に関するリスク)

①原料供給源に関するカントリーリスク

当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれ限られた供給源にほぼすべてを依存しています。こうした国、地域における政治不安、社会混乱、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

②中国その他アジア諸国における事業に関するリスク

当社グループの製造する石油化学製品、電気銅、電材加工製品等の販売は中国その他アジア諸国での需要に大きく依存しており、また、当社グループは、これらの地域での更なる事業拡大を期待しています。

何らかの事由により、これらの地域における当社グループの製品に対する需要の減退等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③外国為替相場の変動に関するリスク

当社グループにおいては、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。

また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。

 

④第三者との提携、事業投資に関するリスク

当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を挙げることができない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤事業の再構築に関するリスク

当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の損失が発生する可能性があります。

当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥設備投資及び投融資に関するリスク

当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。

 

⑦資源開発に関するリスク

当社グループが行っている石油・天然ガス田、石炭・銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力の低下につながる可能性があります。

 

⑧環境規制に関するリスク

当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。

当社グループの事業においては、相当量の排水、排ガス及び廃棄物が発生し、不測の事態により排出量が基準値を超える可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨操業に関するリスク

当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故、災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。

当社グループは、可能かつ妥当な範囲において事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

⑩知的財産権に関するリスク

当社グループは、事業遂行のため、特許権等の各種知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。

また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤルティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。

以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪有利子負債に関するリスク

当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等が制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払のために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

当社グループは、多額の棚卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、多額の固定資産を所有しており、経営環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑭情報システムに関するリスク

当社グループは、生産・販売・会計などのプロセスに関する電子データをさまざまな情報システムやネットワークを通じて利用しています。これらの情報システムには安全対策が施されているものの、地震等の自然災害やサイバー攻撃を含む事故等により情報システムに予期せぬ障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮内部統制システムの構築に関するリスク

当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を保有しており、それらに保護対策等を実施して適切に管理していますが、こうした対策に今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、今後、仮に顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。

 

(セグメント別のリスク)

エネルギー事業

①石油精製販売事業におけるマージンの変動に関するリスク

当社グループにおける石油製品のマージンは、主に原油価格と石油製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の需要、海外の石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく悪化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、石油化学製品のマージンも原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給緩和等により、原油・原料油価格のコスト上昇を製品価格に転嫁することが困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②国内の石油製品の需要動向及び競合に関するリスク

先進国を中心として、地球温暖化ガスの削減、省エネルギー・省資源の推進等、地球環境問題への取組みが一段と本格化し、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速するものと考えられます。このような状況下、国内石油製品需要については、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換の進展に影響され、今後も減少を続けることが予想されます。このような国内需要の減少傾向が続くか、あるいは更に加速する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国内石油精製販売事業においては、現在、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③原油及び製品の調達元に関するリスク

当社グループは、原油については全量を海外とりわけ中東から、製品については一部を海外又は国内から調達しています。産油国における政治情勢の変動及び国内外の製品需給状況等により原油及び製品の調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

④棚卸資産評価に関するリスク

当社グループは、原油、石油製品等棚卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格上昇局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格下落局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

石油・天然ガス開発事業

①石油・天然ガス開発事業における原油ガス価格及び外国為替相場変動リスク

石油・天然ガス開発事業においては、原油ガス価格の変動及び外国為替相場の変動によって売上高が増減します。原油ガス価格の上昇時及び円安時には、円ベースの売上高が増加し、原油ガス価格下落時及び円高時には、円ベースの売上高が減少します。従って、原油ガス価格下落局面及び円高局面においては、売上高の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②埋蔵量確保に関するリスク

国際的な資源獲得競争により、当社グループが埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどの程度確保できるかにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、石油・天然ガス埋蔵量の見積りは、地質学的、技術的、経済的情報に基づいた主観的判断や決定を伴い、正確に測定することが困難であり、進歩する回収技術の適用や生産活動を通じた新たな情報に基づいて大幅な修正が必要となる可能性があります。実際の埋蔵量が見積りを下回った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に不利な影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油・天然ガス開発機材に関するリスク

石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは第三者から、掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

金属事業

①銅事業における市況変動等に関するリスク

当社グループの銅事業は、主として銅製錬事業、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業から成り、それぞれ次のとおり、市況変動等の影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは主に、製錬マージンと販売プレミアムからなります。

製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、銅鉱石品位の低下、資源メジャーによる寡占化の動きや、中国、インド等における需要増などにより銅精鉱の供給が不足する場合は、製錬マージンが低下する可能性があります。また、当社グループの締結している買鉱契約は米ドル建てであるため、円高となった場合には、製錬マージンが減少し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸入経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。

また、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業については、開発鉱山及び投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②銅精鉱の安定調達に関するリスク

銅精鉱需給が逼迫した場合に備え、当社グループは銅精鉱の安定調達を図るため海外銅鉱山の開発及び投資を実施していますが、これらを含む当社グループの銅精鉱調達先である海外銅鉱山の操業に支障が生じ、当社グループが製錬事業に必要とする銅精鉱を適時に調達できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③電材加工事業の需要動向、技術革新等に関するリスク

電材加工事業の顧客の多くはIT産業、家電製品及び自動車業界に属します。従ってこれら産業における需給の状況及び価格の変動等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、電材加工事業は、激しい競争の中にあり、急激な技術革新及び顧客ニーズの変化に当社グループが適切に対応することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④電材加工事業の原材料の調達価格の変動に関するリスク

電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首棚卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤環境リサイクル事業の市況変動等に関するリスク

環境リサイクル事業のマージンは、金属価格、為替の変動により影響を受けます。従って、金属価格が下落した場合又は円高となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥環境リサイクル事業の原料調達に関するリスク

環境リサイクル事業のリサイクル原料集荷においては、主な供給元である電機電子部品メーカー等の国内から海外へのシフト、リサイクル事業への新規参入により競争が激化しています。これに対し海外調達の拡大等により対応していますが、当社グループが環境リサイクル事業に必要とするリサイクル原料を調達できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦チタン事業における需要変動等に関するリスク

主力製品である金属チタン(スポンジチタン、チタンインゴット)は、航空機、電力プラント、化学プラント、海水淡水化プラント等の特定用途が需要の中心となっており、また、触媒の用途についても、プロピレン重合用にほぼ特化しています。

これらの特定用途向け需要が、国内外の政治・経済情勢の変動や用途先業界の状況変化に伴い大きく変動する場合、製品販売量及び製品価格も大きく変動する傾向があるため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

その他の事業

○建設事業における需要変動に関するリスク

建設事業は、舗装、土木、建築の請負工事の需要に大きく影響されます。従って、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の減少は、当社グループの建設事業及びその業績に影響を及ぼす可能性があります

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)「基本協定書」(契約当事者:新日本石油株式会社及びコスモ石油株式会社、締結日:平成11年10月12日)

企業の枠組みを超えて抜本的なコスト削減策を講じるため、仕入、精製、物流及び潤滑油(生産・配送)の各部門において業務提携を行うことについて約したものです。

(2)「合弁契約書」(契約当事者:日鉱金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社、締結日:平成14年6月21日)

両社の合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(JX金属株式会社の出資比率67.8%)を中心とした銅製錬事業に関する包括的な業務提携を約したものです。

(3)東燃ゼネラル石油株式会社との経営統合に関する契約

JXホールディングス株式会社(以下「JXホールディングス」という。)と東燃ゼネラル石油株式会社(以下「東燃ゼネラル」という。)とは、平成29年4月1日付で両社グループのエネルギー事業を全面的に統合すること(以下「本経営統合」という。)につき合意に達し、平成28年8月31日付で経営統合契約(以下「経営統合契約」という。)を締結しました。併せて、この経営統合契約に基づき、JXホールディングスと東燃ゼネラルとは、JXホールディングスを完全親会社とし、東燃ゼネラルを完全子会社とする株式交換契約(以下「株式交換契約」という。)を、また、JXホールディングスの完全子会社であるJXエネルギー株式会社(以下「JXエネルギー」という。)と東燃ゼネラルとは、JXエネルギーを存続会社とし、東燃ゼネラルを消滅会社とする吸収合併契約(以下「吸収合併契約」という。)を、経営統合契約と同日付で、それぞれ締結しました。

 

①経営統合契約に関する事項

わが国の石油産業は、過去10年以上にわたり国内石油製品需要が減退するという厳しい事業環境に置かれており、今後も、人口減少、低燃費車の普及及びガス・電気等へのエネルギー転換の影響を受け、国内市場のさらなる縮小に直面することが確実な状況となっております。一方、海外に目を転じますと、アジアの石油・石油化学製品の需要は、引き続き、伸長することが見込まれるものの、中国、インド、インドネシア等、アジアの新興諸国において、高い競争力を有する石油・石油化学プラントの新増設が相次いで予定されていることなどから、アジア市場全体における石油産業の競争は、一段と激しさを増すことが予想されます。

こうした中、JXホールディングス及び東燃ゼネラルの両社グループは、今日まで、それぞれにおいて、合理化・効率化を推進するとともに、電気・ガス等の新規事業への進出、海外における石油事業の展開、事業の再編・統合等に取り組むことにより、競争力の強化に努めてまいりました。しかしながら、国内外の経営環境が一層厳しさを増す中にあって、両社グループは、単独では行い得ないエネルギー事業の抜本的な構造改革を遂行することに加えて、次世代の柱となる事業を本格的に育成するためには、両社グループの経営資源をひとつに結集することが最善の道であるとの認識で一致し、ここに経営統合契約を締結するに至ったものです。

 

②株式交換契約に関する事項

(ア)株式交換の目的

上記①ご参照

 

(イ)株式交換の条件

JXホールディングス及び東燃ゼネラルは、平成28年12月21日に開催の両社の臨時株主総会による承認及び本経営統合に必要な関係当局からの許認可を取得し、平成29年4月1日を効力発生日として、JXホールディングスを株式交換完全親会社とし、東燃ゼネラルを株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を行いました。

 

(ウ)株式割当数

 

JXホールディングス

東燃ゼネラル

本株式交換に係る株式交換比率

1

2.55

本株式交換により交付する株式数

普通株式:931,430,620株

(注)株式の割当比率

東燃ゼネラルの普通株式1株に対してJXホールディングスの普通株式2.55株を割当て交付しました。

 

(エ)株式割当数の算定根拠

本株式交換の株式交換比率については、その公正性を確保するため、JXホールディングスは野村證券株式会社、シティグループ証券株式会社、みずほ証券株式会社及び大和証券株式会社を、東燃ゼネラルはメリルリンチ日本証券株式会社及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社を、株式交換比率の算定に関する第三者算定機関としてそれぞれ選定いたしました。

第三者算定機関による株式交換比率の算定結果、両社の財務状況、株価状況、将来の見通しなどの要因を総合的に勘案し、両社で株式交換比率について慎重に協議を重ねた結果、最終的に上記(ウ)に記載の株式交換比率が妥当であるとの判断に至り、合意・決定いたしました。

 

(オ)本株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容

 

株式交換完全親会社

商号

JXTGホールディングス株式会社

本店の所在地

東京都千代田区大手町一丁目1番2号

代表者の氏名

代表取締役会長          木村  康

代表取締役社長 社長執行役員   内田 幸雄

代表取締役   副社長執行役員  武藤  潤

資本金の額(百万円)

100,000

純資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

総資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

事業の内容

エネルギー事業、石油・天然ガス開発事業、金属事業を行う子会社及びグループ会社の経営管理並びにこれに付帯する業務

 

③吸収合併契約に関する事項

(ア)吸収合併の目的

上記①ご参照

 

(イ)吸収合併の条件

本株式交換の効力発生を条件として、平成29年4月1日に、JXエネルギーを吸収合併存続会社とし、東燃ゼネラルを吸収合併消滅会社とする吸収合併(以下「本吸収合併」という。)を行いました。

 

(ウ)引継資産・負債の状況

吸収合併存続会社のJXエネルギーは、吸収合併消滅会社である東燃ゼネラルの一切の資産、負債及び権利義務を引き継ぎました。

 

(エ)株式割当数

本吸収合併に際して、株式その他金銭などの割当て及び交付は行いません。

 

(オ)本吸収合併の後の吸収合併存続会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容

 

吸収合併存続会社

商号

JXTGエネルギー株式会社

本店の所在地

東京都千代田区大手町一丁目1番2号

代表者の氏名

代表取締役社長 社長執行役員   杉森  務

代表取締役   副社長執行役員  廣瀬 隆史

資本金の額(百万円)

30,000

純資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

総資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

事業の内容

石油製品(ガソリン・灯油・潤滑油等)及び石油化学製品等の精製・製造及び販売、ガス・石炭の輸入及び販売、電気の供給等

 

JXホールディングスは、平成28年11月8日開催のJXホールディングス取締役会において、JXホールディングスの完全子会社であるJXエネルギーから、同社が平成29年4月1日に東燃ゼネラルとの吸収合併により承継を受ける権利義務の一部(上場株式、貸付金、社債、借入金等)などを承継するため、JXホールディングスを吸収分割承継会社、JXエネルギーを吸収分割会社とする吸収分割(以下「本吸収分割」という。)を行うことを決議のうえ、同日、JXエネルギーとの間で本吸収分割に係る吸収分割契約を締結しました。

本吸収分割の概要は次のとおりです。

 

④吸収分割契約に関する事項

(ア)本吸収分割の目的

本吸収分割は、本経営統合にあたり、JXエネルギーが東燃ゼネラルとの吸収合併により承継を受ける権利義務の一部(上場株式、貸付金、社債、借入金等)など、JXホールディングスが持株会社として行うべき経営管理事業に関する権利義務を承継するために行うものです。

 

(イ)本吸収分割は、次の組織再編行為の効力が全て生ずることを停止条件として、その効力を生じるものです。

(1)平成28年8月31日にJXホールディングスと東燃ゼネラルとの間で締結した株式交換契約に基づく株式交換

(2)平成28年8月31日にJXエネルギーが東燃ゼネラルとの間で締結した吸収分割契約に基づく吸収分割

 

(ウ)本吸収分割の方法

JXホールディングスを吸収分割承継会社とし、JXエネルギーを吸収分割会社とする吸収分割です。

 

(エ)本吸収分割の期日

平成29年4月1日

 

(オ)本吸収分割に係る割当ての内容

JXホールディングスは、JXエネルギーの発行済株式の全てを所有しているため、JXエネルギーに対する株式その他の金銭等の割当て及び交付は行いません。

 

(カ)本吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠

該当事項はありません。

 

(キ)本吸収分割により承継する資産、負債の状況

項目

帳簿価格

資産

現時点では確定していません。

負債

現時点では確定していません。

 

(ク)本吸収分割の後の吸収分割承継会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容

 

吸収分割承継会社

商号

JXTGホールディングス株式会社

本店の所在地

東京都千代田区大手町一丁目番2号

代表者の氏名

代表取締役会長          木村  康

代表取締役社長 社長執行役員   内田 幸雄

代表取締役   副社長執行役員  武藤  潤

資本金の額(百万円)

100,000

純資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

総資産の額(百万円)

現時点では確定していません。

事業の内容

エネルギー事業、石油・天然ガス開発事業、金属事業を行う子会社及びグループ会社の経営管理並びにこれに付帯する事業

 

6【研究開発活動】

当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。

 

(1)エネルギー (研究開発費 12,370百万円)

①燃料油・精製技術分野

燃料油・精製技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術、並びに石油化学基礎原料や潤滑油等の生産プロセスに関する開発を推進しています。また、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等バイオ燃料の開発も推進しています。

②化学品分野

機能化学品分野では、窓ガラスをスクリーンにできる透明フィルム「カレイドスクリーン」、柔軟でリサイクル可能なプラスチックゴム新素材「ジェラティック」、透明で高耐熱なポリイミド樹脂原料モノマーなど、独自技術による新規商品の開発を推進しています。

また、「次世代自動車」、「次世代住宅」、「ニュートリション」を戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。

③潤滑油分野

潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。

④水素分野

水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。

⑤産学連携の推進

環境、エネルギー、化学品分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。

 

(2)石油・天然ガス開発

該当事項はありません。

 

(3)金属 (研究開発費 7,733百万円)

①資源・製錬分野

資源・製錬分野では、コデルコ社(チリ国営銅公社)と共同で設立したバイオシグマ社(チリ法人)にて低品位鉱のバイオ浸出技術を開発してきましたが、技術の適用先が当面コデルコに限定され、当社グループの鉱山に適用される可能性は低いことから、今後のバイオシグマ技術に関する開発をコデルコに委ねることとし、平成28年10月28日にバイオシグマ社株式のコデルコへの譲渡に合意しました。一方、低品位鉱を対象にした独自の浸出技術であるJXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験でヨウ素の効果を確認しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。

②環境リサイクル分野

環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。

③薄膜材料分野

薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレイ用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。

④機能材料分野

機能材料分野では、コネクタ用途等に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めており、高精細基板用の極薄銅箔は実用化段階に進んでいます。

⑤基盤技術開発

分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。

 

これらに、その他の事業における研究開発費725百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,828百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態

①連結財政状態計算書

資産 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比356億円減少の6兆7,929億円となりました。

負債 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,479億円減少の4兆6,526億円となりました。有利子負債残高は、1,075億円減少の2兆4,327億円となりました。

資本 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末比1,123億円増加の2兆1,403億円となりました。

 

なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比1.9ポイント上昇し25.1%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比49.94円増加の686.64円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は0.97倍(資本合計ベース)となりました。

 

②連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローの分析については、「1 業績等の概要 (4)キャッシュ・フロー」に記載しています。

 

③特定融資枠契約

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関6行と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は4,500億円であり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。

 

(2)経営成績

経営成績の分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。