第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、事業活動の基礎となる「JXTGグループ理念」を次のとおり定めています。

 

JXTGグループ理念

 

[使 命]

地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。

エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、

社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。

 

[大切にしたい価値観]

①社会の一員として

高い倫理観     誠実・公正であり続けることを価値観の中核とし、

高い倫理観を持って企業活動を行います。

安全・環境・健康  安全・環境・健康に対する取り組みは、

生命あるものにとって最も大切であり、常に最優先で考えます。

②人々の暮らしを支える存在として

お客様本位     お客様や社会からの期待・変化する時代の要請に真摯に向き合い、

商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、

私たちだからできる新たな価値を創出します。

③活力ある未来の実現に向けて

挑 戦       変化を恐れず、新たな価値を生み出すことに挑戦し続け、

今日の、そして未来の課題解決に取り組みます。

向上心       現状に満足せず、一人ひとりの研鑽・自己実現を通じて、

会社と個人がともに成長し続けます。

 

 

当社グループは、この「JXTGグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループを目指します。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、2017年5月に2017年度から3ヵ年の中期経営計画(2017-2019年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。

 

①基本方針

本中計を、「抜本的な変革の実行プラン」と位置付け、基幹事業の収益力強化(エネルギー事業を中心とした徹底した事業変革、統合シナジーの最大化と早期実現)、事業ポートフォリオの最適化、次世代の柱となる事業の育成・強化、経営基盤の強化(経営管理体制の整備、人材の育成等)等の諸施策を通じ、「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、事業環境の変化に適応可能な収益・財務基盤を確立する。

 

②経営目標(2019年度)

ア.営業利益(IFRS)   :5,000億円

イ.フリーキャッシュフロー:5,000億円(2017-2019年度累計)

ウ.ネットD/Eレシオ  :0.7倍以下(資本合計ベース)

エ.ROE        :10%以上

 

(3対処すべき課題

今後の事業環境を展望すると、世界経済は、米国、中国を中心に景気の回復が続くものと見込まれます。また、日本経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善等が続き、設備投資や個人消費を中心に緩やかな成長が継続すると予想されます。

原油価格については、引き続き米国のシェールオイルの増産といった価格押下げ要因はあるものの、好調な世界経済を背景に、中国をはじめとする新興国の需要の伸びにより、底堅く推移すると想定されます。また、新興国を中心に銅の需要が伸びる一方で、新規鉱山開発の低迷に伴い供給が伸び悩むことにより、銅価格は、堅調に推移すると予想されます。

国内の石油製品需要は、低燃費車の普及、燃料転換の進展等の構造的な要因により引き続き減少する一方、アジアの新興国では、経済成長に伴い、燃料油、潤滑油及び石油化学製品の需要の増加が見込まれます。

銅製品については、アジアの新興国を中心としてインフラ投資が拡大することに加えて、IoT社会の進展やAIの普及・拡大に伴い、今後も需要が増加すると予想されます。

のような認識の下、当社は、各事業に経営資源を適切に配分するとともに「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を推進し、中期経営計画の達成を目指します。また、環境、社会及びガバナンスの各分野において、低炭素社会の形成、安全確保、コンプライアンスの徹底等の当社グループとして最優先に取り組むべき課題を設定し、具体的な目標を定めてその進捗を管理することにより、ESGに関する取組みを推進します。

各事業における主な取組みについては、次のとおりです。

 

(エネルギー事業)

石油精製販売・化学品事業については、調達から販売に至るまでのサプライチェーン全体について、引き続き効率化を推進し、統合シナジーの早期実現・最大化を図ります。

また、次世代の柱となる事業を育成・拡大するべく、電気事業については、産業用・業務用及び家庭向け電気の拡販を図るとともに、環境負荷が小さい再生可能エネルギー電源の開発や活用を進めます。ガス事業については、家庭向けガスの販売先拡大に注力するとともに、電気との併売といった他の商品と相乗効果のある施策を検討します。水素事業については、水素ステーションの建設・運営コストの低減に努め、運営基盤を強化します。海外事業については、アジアにおける安定的な石油製品の供給先を確保するため、麻里布製油所におけるVietnam National Petroleum Group社との共同事業の実現に向けた取組みを推進します。さらに、技術立脚型事業として位置付けている潤滑油・機能材事業については、国内外での拡販、高付加価値商品の開発・市場投入を推進し、安定的かつ高い収益を創出する事業へ育成します。

(石油・天然ガス開発事業)

生産段階にある事業については、安全・安定操業を前提に、一層の操業コスト削減に努めます。また、マレーシアのSK10鉱区やパプアニューギニアのLNGプロジェクト等の事業については、更なる開発により事業価値の最大化に取り組みます。

インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト、英国北海のマリナー油田・カリーンガス田プロジェクト等の事業については、生産開始に向けた準備を進めます。
 さらに、選択と集中による資産ポートフォリオの見直しを引き続き推進し、知見を有する東南アジアや中東等に経営資源を優先配分することで、将来の事業の柱となり得る新規プロジェクトの獲得を図ります。加えて、CO2-EOR技術を活用して新たな事業の獲得を目指します。

(金属事業)

資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山において、キャッシュ・フローの改善を最優先の課題として捉え、断層の影響等を織り込んだ生産計画の着実な実行に努めるとともに、一層の生産性向上とコスト削減による競争力強化に取り組みます。

製錬事業については、大規模な改修を実施した佐賀関製錬所に経営資源を集中し、安全・安定操業を維持しつつ、生産効率・収益性の向上を図ります。

電材加工事業については、更なる需要の増加を見据え、生産設備増強、製品開発及び市場開拓を継続し、グローバル市場においてトップシェアを有する製品群の拡充に努めます。また、製品市場の変化に対応するため、引き続きM&Aを含めた事業拡大の検討を進めるほか、H. C. Starck Tantalum and Niobium社をはじめとした金属事業各社とのコラボレーション等を通じ、新規技術の開発に努めるとともに、次世代の収益源となる事業を探索・育成します。

環境リサイクル事業については、海外からの高品位原料の集荷拡大・安定化に努め、生産効率の改善に取り組みます。また、今後のEVの普及を見据え、廃リチウムイオン電池のリサイクル技術の向上に努め、事業化に向けた取組みを推進します。

チタン事業については、徹底的なコスト削減及び販売拡大を目指すとともに、サウジアラビアにおけるスポンジチタン製造合弁事業の早期立ち上げを図ります。

 

JXTGグループは、中期経営計画を着実に実行することにより、アジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループとして発展し、企業価値の持続的な向上を図ります。

 

2【事業等のリスク】

JXTGグループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(経営統合に関するリスク)

①期待した統合効果が達成できないリスク

当社は、2017年4月1日に東燃ゼネラル石油株式会社(以下「東燃ゼネラル」という。)と経営統合を実施し、シナジーの実現、徹底的なコスト削減に向けて取り組んでいます。しかしながら、当社グループが統合において直面する種々の課題に対処できない場合には、想定した統合効果が達成できない可能性があります。それらの課題のうち主要なものとしては、以下のものが考えられます。

・組織、企業文化、事業プロセス及び会社運営の効果的な統合

・重複する事業・設備その他資産の合理化、また、製品とサービス提供の効果的かつ迅速な統合

・シナジー効果が期待される分野への経営資源の効率的な配分

・関連する業務や設備の共通情報システムへの円滑な移行

・内部統制手続等の管理方針や基準の策定及び実行

 

②統合により顧客、取引先との関係が変化するリスク

当社グループは、当社と東燃ゼネラルの株式交換とその後の経営統合の段階に応じて、当社グループの顧客、仕入先、ビジネスパートナーから、取引の延期、保留や共同事業の解消などの要請を受ける可能性があります。結果的に、顧客、取引先事業との関係が変化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(グループ全体に関するリスク)

①原料供給源に関するカントリーリスク

当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれ限られた供給源にほぼすべてを依存しています。こうした国・地域における政治不安、社会混乱、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②中国その他アジア諸国における事業に関するリスク

当社グループの製造する石油化学製品、電気銅、電材加工製品等の販売は中国その他アジア諸国での需要に大きく依存しており、また、当社グループは、これらの地域での更なる事業拡大を期待しています。

何らかの事由により、これらの地域における当社グループの製品に対する需要の減退等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③外国為替相場の変動に関するリスク

当社グループにおいては、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。

また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。

 

④第三者との提携、事業投資に関するリスク

当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を上げることができない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤事業の再構築に関するリスク

当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の損失が発生する可能性があります。

当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥設備投資及び投融資に関するリスク

当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。

 

⑦資源開発に関するリスク

当社グループが行っている石油・天然ガス田、石炭・銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力の低下につながる可能性があります。

 

⑧環境規制に関するリスク

当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。

当社グループの事業においては、相当量の排水、排ガス及び廃棄物が発生し、不測の事態により排出量が基準値を超える可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨操業に関するリスク

当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故、災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。

当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

⑩知的財産権に関するリスク

当社グループは、事業遂行のため、特許権等の各種知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。

また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤリティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。

以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑪有利子負債に関するリスク

当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等に制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払のために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等、様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

当社グループは、多額の棚卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切り下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、多額の固定資産を所有しており、経営環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑭情報システムに関するリスク

当社グループは、生産・販売・会計などのプロセスに関する電子データを、さまざまな情報システムやネットワークを通じて利用しています。これらの情報システムには安全対策が施されているものの、地震等の自然災害やサイバー攻撃を含む事故等により、情報システムに予期せぬ障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮内部統制システムの構築に関するリスク

当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を保有しており、それらに保護対策等を実施して適切に管理していますが、こうした対策に今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、今後、仮に顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。

 

(セグメント別のリスク)

エネルギー事業

①石油精製販売事業におけるマージンの変動に関するリスク

当社グループにおける石油製品のマージンは、主に原油価格と石油製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、シェールオイルの生産動向、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の需要、海外の石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく悪化し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、石油化学製品のマージンも、原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給緩和等により、原油・原料油価格のコスト上昇を製品価格に転嫁することが困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②国内の石油製品の需要動向及び競合に関するリスク

先進国を中心として、地球温暖化ガスの削減、省エネルギー・省資源の推進等、地球環境問題への取組みが一段と本格化し、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速するものと考えられます。このような状況下、国内石油製品需要については、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換の進展に影響され、今後も減少を続けることが予想されます。このような国内需要の減少傾向が続くか、あるいは更に加速する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国内石油精製販売事業においては、現在、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③原油及び製品の調達元に関するリスク

当社グループは、原油については全量を海外とりわけ中東から、製品については一部を海外又は国内から調達しています。産油国における政治情勢の変動及び国内外の製品需給状況等により原油及び製品の調達に支障が生じ、適切な代替供給源を確保することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

④棚卸資産評価に関するリスク

当社グループは、原油、石油製品等棚卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格上昇局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格下落局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

石油・天然ガス開発事業

①石油・天然ガス開発事業における原油ガス価格及び外国為替相場変動リスク

石油・天然ガス開発事業においては、原油ガス価格の変動及び外国為替相場の変動によって売上高が増減します。原油ガス価格の上昇時及び円安時には、円貨換算の売上高が増加し、原油ガス価格下落時及び円高時には、円貨換算の売上高が減少します。従って、原油ガス価格下落局面及び円高局面においては、売上高の減少により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②埋蔵量確保に関するリスク

国際的な資源獲得競争により、当社グループが埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどの程度確保できるかにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、石油・天然ガス埋蔵量の見積りは、地質学的、技術的、経済的情報に基づいた主観的判断や決定を伴い、正確に測定することが困難であり、進歩する回収技術の適用や生産活動を通じた新たな情報に基づいて大幅な修正が必要となる可能性があります。実際の埋蔵量が見積りを下回った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に不利な影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油・天然ガス開発機材に関するリスク

石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは第三者から、掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

金属事業

①銅事業における市況変動等に関するリスク

当社グループの銅事業は、主として銅製錬事業、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業から成り、それぞれ次のとおり、市況変動等の影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは、主に製錬マージンと販売プレミアムからなります。

製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、銅鉱石品位の低下、資源メジャーによる寡占化の動きや、中国、インド等における需要増などにより銅精鉱の供給が不足する場合は、製錬マージンが低下する可能性があります。また、当社グループの締結している買鉱契約は米ドル建てであるため、円高となった場合には、製錬マージンが減少する可能性があります。

販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸入経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。

また、海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業については、開発鉱山及び投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②銅精鉱の安定調達に関するリスク

銅精鉱需給が逼迫した場合に備え、当社グループは、銅精鉱の安定調達を図るため、海外銅鉱山の開発及び投資を実施していますが、これらを含む当社グループの銅精鉱調達先である海外銅鉱山の操業に支障が生じ、当社グループが製錬事業に必要とする銅精鉱を適時に調達できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③電材加工事業の需要動向、技術革新等に関するリスク

電材加工事業の顧客の多くはIT産業、家電製品及び自動車業界に属します。従ってこれら産業における需給の状況及び価格の変動等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、電材加工事業は、激しい競争の中にあり、急激な技術革新及び顧客ニーズの変化に当社グループが適切に対応することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④電材加工事業の原材料の調達価格の変動に関するリスク

電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首棚卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤環境リサイクル事業の市況変動等に関するリスク

環境リサイクル事業のマージンは、金属価格、為替の変動により影響を受けます。従って、金属価格が下落した場合又は円高となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥環境リサイクル事業の原料調達に関するリスク

環境リサイクル事業のリサイクル原料集荷においては、主な供給元である電機電子部品メーカー等の国内から海外へのシフト、リサイクル事業への新規参入により競争が激化しています。これに対し、海外調達の拡大等により対応していますが、当社グループが環境リサイクル事業に必要とするリサイクル原料を調達できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦チタン事業における需要変動等に関するリスク

主力製品である金属チタン(スポンジチタン、チタンインゴット)は、航空機、電力プラント、化学プラント、海水淡水化プラント等の特定用途が需要の中心となっており、また、触媒の用途についても、プロピレン重合用にほぼ特化しています。

これらの特定用途向け需要が、国内外の政治・経済情勢の変動や用途先業界の状況変化に伴い大きく変動する場合、製品販売量及び製品価格も大きく変動する傾向があるため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

その他の事業

○建設事業における需要変動に関するリスク

建設事業は、舗装、土木、建築の請負工事の需要に大きく影響されます。従って、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の減少は、当社グループの建設事業及びその業績に影響を及ぼす可能性があります

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 JXホールディングス株式会社と東燃ゼネラル石油株式会社は、2017年4月1日付で経営統合し、JXTGホールディングス株式会社となりました。

 当連結会計年度の連結業績は、2017年4月1日の経営統合による事業規模拡大のほか、前連結会計年度に比べ、原油価格の上昇に伴う石油製品販売価格及び金属価格の上昇等により、売上高は前年同期比46.6%増の10兆3,011億円、営業利益は4,875億円(前年同期は2,711億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,619億円(前年同期は1,500億円)となりました。なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の営業利益相当額は3,726億円(前年同期は1,411億円)となりました。

 

[参考]

 東燃ゼネラル石油株式会社の前年同期の連結業績を合算した数値との比較については、以下のとおりです。

 売上高は前年同期比11.4%増の10兆3,011億円、営業利益は4,875億円(前年同期は3,740億円)、在庫影響を除いた営業利益相当額は3,726億円(前年同期は1,845億円)となりました。

 

 当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。

<JXTGグループを取り巻く環境>

当連結会計年度における世界経済は、米国、中国、欧州等において個人消費が堅調に推移したことから、引き続き緩やかな成長となりました。また、日本経済は、世界経済が成長する中で、企業収益の改善により民間設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善に伴い個人消費が持ち直したことから、緩やかな回復基調を維持しました。

ジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、期初は1バーレル当たり52ドルでしたが、米国、リビア、ナイジェリア等の産油国の増産による供給過剰懸念から6月に44ドルまで下落しました。その後、OPEC及び非OPEC主要産油国による協調減産が着実に実施されたことに加えて、中東諸国の政情不安による地政学的リスクへの懸念等から上昇に転じ、当連結会計年度末時点では1バーレル当たり65ドルとなりました

国内の石油製品需要については、前年に比べて冬場の気温が低めに推移した影響により灯油が増加したものの、低燃費車の更なる普及によりガソリンが減少したことに加え、原子力発電所の再稼働及び燃料転換の進展といった影響により重油が減少したことから、前年同期を下回りました。また、石油化学製品の需要は、アジアを中心に伸長しました。

銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初から6月にかけて1トン当たり5,700ドル程度で推移しましたが、世界最大の銅消費国である中国の経済が堅調に推移したことに加えて、今後の電気自動車(EV)の普及による需要増が期待されたことなどから上昇し、当連結会計年度末時点では1トン当たり6,685ドルとなりました。また、電材加工製品については、スマートフォン及びサーバー向けを中心に需要が増大しました

 

セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

エネルギー事業(JXTGエネルギーグループ)

● 基幹事業の競争力強化

石油精製販売・化学品事業については、国内の石油製品需要の減少、コスト競争力の高い海外の製油所との競合といった厳しい経営環境の中にあって、サプライチェーン全体の更なる競争力強化に努めました。まず調達・物流面では、原油調達にかかる配船の効率化、製油所・製造所間における製品・半製品の融通の最適化等を推し進めました。生産面では、川崎地区において製油所・製造所の一体運営による生産効率化を行ったほか、最適な製油所・製造所ネットワークの構築に向け、室蘭製造所での生産を2019年3月末で停止し、同年4月から物流機能を担う事業所とすることを決定しました。さらに、安全・安定操業体制の一層の強化を図るため、操業管理システムをはじめとする各種管理システムを導入しました。販売面では、卸価格体系をはじめとする販売諸施策を一本化するとともに、顧客の利便性の最大化という観点から、現在4つのブランドで全国展開しているサービスステーションを2019年6月末までに「ENEOS」ブランドに統一することを決定しました。

また、統合シナジー(中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の早期実現・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において合理化・効率化に取り組んだ結果、当連結会計年度において441億円の収益改善を実現しました。

● 次世代の柱となる事業の育成・拡大

電気事業については、家庭向けとして「ENEOSでんき」と「myでんき」の2つのブランドを展開しており、当連結会計年度末時点での申込件数が約40万件となりました。また、再生可能エネルギー事業として、太陽光及び風力を活用した発電事業に取り組んでおり、2017年8月には、室蘭市において、木質バイオマスを燃料とする環境に配慮した発電所の建設工事を開始しました。

ガス事業については、2017年4月に全面自由化された家庭向けガス小売事業への参入を決定し、2018年度中に首都圏の一部において販売を開始する予定です。また、都市ガスの供給ソースを確保するべく、2017年10月、東京電力フュエル&パワー株式会社及び大阪ガス株式会社とともに、都市ガスの製造・供給を行う「扇島都市ガス供給株式会社」を設立しました。

水素事業については、将来の燃料電池自動車の普及を見据え、2018年2月、インフラ事業者、自動車メーカー、金融機関等10社と「日本水素ステーションネットワーク合同会社」を設立し、水素ステーションの本格整備に取り組むこととしました。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村地区において、大会期間中はもとより、終了後においても水素の供給及び水素ステーションの運営を行う事業者に選定されました。

海外事業については、戦略的パートナーであるVietnam National Petroleum Group社との間で、麻里布製油所における共同事業に関する検討を開始しました。

● 経営管理システムの強化

経営管理に必要な情報を網羅的に集約・標準化し、適切かつ迅速な経営判断の一助とするため、最新鋭の統合基幹業務システム(ERPシステム)の導入を決定し、2020年の稼働に向けた準備を進めました。

(エネルギー事業の業績)
 こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前年同期比55.7%増の8兆7,001億円、営業利益は4,166億円(前年同期は2,402億円)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は3,036億円(前年同期は1,159億円)となりました。

 

[参考]

 東燃ゼネラル石油株式会社の前年同期の連結業績を合算した数値との比較については、以下のとおりです。
 売上高は前年同期比11.4%増の8兆7,001億円、営業利益は4,166億円(前年同期は3,431億円)、在庫影響を除いた営業利益相当額は3,036億円(前年同期は1,593億円)となりました。

 

石油・天然ガス開発事業(JX石油開発グループ)

● 石油・天然ガスの生産量及び埋蔵量

当連結会計年度におけるJX石油開発株式会社の生産量は、マレーシアのラヤン油ガス田及びアラブ首長国連邦のヘイル油田で生産を開始したものの、選択と集中の方針の下で権益売却を進めたことに加えて、パプアニューギニアでの地震の影響等により、前連結会計年度を下回る日量11万9千バーレルとなりました。

なお、Petroleum Resources Management System 2007(PRMS)に基づく、当連結会計年度末における石油・天然ガスの確認埋蔵量(proved reserves)及び推定埋蔵量(probable reserves)の合計は、石油換算で519百万バーレルです。

● 強靭な企業体質構築に向けた取組み

低油価環境下においても持続的な成長を実現できる強靭な企業体質を構築するため、操業コストが相対的に高い英国北海のブレイン油田及びカナダのシンクルード・オイルサンド・プロジェクトの権益の全てを売却し、選択と集中の徹底に取り組みました。

また、中東において、産油国政府や国営石油会社との間の信頼関係を強化し、新規事業の獲得につなげるべく、2017年11月にアラブ首長国連邦においてアブダビ事務所を設置しました。さらに、実績や知見を有するマレーシアにおいて更なる事業拡大を図るため、2018年1月にクアラルンプール事務所を中心とする事業拠点の再編を実施しました。

加えて、2018年4月にオーストラリアにおいてブリスベン事務所を設置し、今後も安定的なキャッシュ・フローの獲得が見込まれるパプアニューギニア事業の推進体制を強化しました。

● マレーシアにおける天然ガス供給体制の拡充

2017年5月、マレーシアのSK10鉱区内のラヤン油ガス田において、天然ガスの商業生産を開始しました。また、同年11月には、同じ鉱区内に位置する既発見未開発のベリルガス田の権益を取得しました。ベリルガス田は、生産中のヘランガス田の設備を活用することにより短期間かつ低コストでの開発が可能であり、2018年11月に生産を開始する予定です。両ガス田から生産された天然ガスは、JXTGエネルギー株式会社が出資するマレーシアLNGティガ社のプラントで液化された後、日本、中国等の需要家に販売されます

● 米国におけるCO2-EORプロジェクト

米国において、火力発電所の石炭燃焼排ガスからCO2を回収し、老朽化した油田に圧入することにより原油の増産につなげるCO2-EORプロジェクトを推進しています。2018年2月末には、本プロジェクトによるCO2回収量の累計が120万トンを超え、環境負荷の低減及び原油の生産量増大を実現しています。

(石油・天然ガス開発事業の業績)
 こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、前年同期比7.9%増の1,558億円、営業利益は376億円(前年同期は482億円の損失)となりました。

 

金属事業(JX金属グループ)

● 銅の資源開発事業及び製錬事業の取組み

チリのカセロネス銅鉱山においては、環境対応及び冬季の悪天候対策に伴いコストが増加したほか、採掘エリアで新たに断層が発見されたことなどから、長期生産計画の見直しを実施しましたこれに伴い同鉱山の資産価値を再評価した結果、1,286億円の減損損失を計上することとなりました。これらの諸課題の解決に機動的に取り組むため、2018年5月、カセロネス・プロジェクトを一元的に管理する組織を設置しました。

また、製錬事業とのシナジーが期待できることに加えて、優良な権益に経営資源を集中させるべく、不純物が少ない鉱石を産出するチリのロス・ペランブレス鉱山の権益を追加取得するとともに、コジャワシ銅鉱山の権益を譲渡しました。

製錬事業については、佐賀関製錬所において、銅精鉱を溶解する自溶炉を44年ぶりに更新する等の大規模な改修を実施し、競争力強化に努めました。

● 電材加工事業の取組み

電材加工事業についてはスパッタリングターゲット、圧延銅箔及び精密圧延品の販売は、前連結会計年度に続いて好調を維持しました。また、今後も拡大が見込まれる電材加工製品の需要に対応するため、圧延銅箔について、倉見工場の生産能力を増強したほか、日立事業所の表面処理設備を再稼働しました。

● 環境リサイクル事業の取組み

環境リサイクル事業については、引き続き、国内外においてリサイクル原料及び産業廃棄物の集荷ネットワークの拡充を図りました。また、敦賀工場において、廃リチウムイオン電池からリチウム及びコバルト等を回収する技術の開発を推進しました。

● チタン事業の取組み

チタン事業については、サウジアラビアの合弁事業において建設を進めていたスポンジチタン製造工場が2017年5月に竣工し、2018年中に商業生産を開始する予定です。

さらに、電子機器の高機能化、自動車の電装化、IoT社会の進展等に伴い需要が拡大しているニッケル粉の生産能力を増強するため、2017年12月、若松工場内に生産工場を新設しました。

● 技術立脚型事業の推進に向けた取組み

2018年2月、電材加工事業を中心とする下流事業の拡充、研究開発機能の強化及び欧米における販売ネットワークの拡大を目的として、タンタル・ニオブ製品(高純度金属粉)の開発・製造・販売を行うH. C. Starck Tantalum and Niobium社(ドイツ法人)の全株式を取得することとしました。

(金属事業の業績)

こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前年同期比11.1%増の9,684億円、営業損失は603億円(前年同期は287億円の利益)となりました。在庫影響を除いた営業損失相当額は622億円(前年同期は230億円の利益)となりました。

 

その他の事業

 その他の事業の売上高は前年同期比12.2%増の5,438億円、営業利益は426億円(前年同期は458億円)となりまし

た。

<株式会社NIPPO>

株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当連結会計年度は、設備投資、公共投資が堅調に推移したものの、労務費や原材料価格の上昇等により、引き続き厳しい経営環境が続きました。このような状況の中、同社は、優れた技術力を活かし、工事の受注獲得に尽力するとともに、コスト削減・効率化に取り組み、収益確保に努めました

なお、同社は、東京都、東京港埠頭株式会社又は成田国際空港株式会社が発注する舗装工事に関して実施された入札における独占禁止法違反により、2018年3月28日、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。

同社では、再発防止に向けて、各種社内規程、マニュアル等を見直し、その内容を営業担当者に周知徹底することに加えて、内部監査部門によるモニタリングを継続的かつ計画的に実行するなど、独占禁止法の遵守に取り組んでいます。当社としても、引き続き同社を指導してまいります

 

 上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高671億円(前年同期は643億円)が含まれています。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

5,441,390

182.4

石油・天然ガス開発

155,509

109.9

金属

823,184

113.2

その他

115,166

181.0

合計

6,535,249

166.9

(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度において当社と

  東燃ゼネラル石油株式会社が経営統合したこと等によるものです。

 

イ.受注実績

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

8,695,164

155.8

石油・天然ガス開発

155,784

107.9

金属

965,993

111.2

その他

484,131

112.1

合計

10,301,072

146.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度において当社と

  東燃ゼネラル石油株式会社が経営統合したこと等によるものです。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の概況

(連結財政状態計算書)

ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比1兆6,647億円増加の8兆4,576億円となり

     ました。

イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比8,850億円増加の5兆5,376億円となりまし

     た。有利子負債残高は、1,727億円減少の2兆2,599億円となりました。

ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末比7,797億円増加の2兆9,200億円となりまし

     た。

 

なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比4.9ポイント上昇し30.0%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比56.72円増加の743.36円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.35ポイント改善し、0.62倍(資本合計ベース)となりました。

 

(4)連結キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,371億円となり、期首に比べ941億円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

営業活動の結果、資金は7,071億円増加しました(前年同期は2,258億円の増加)。これは、税引前利益(4,674億円)、減価償却費(2,679億円)が、売上債権の増加(1,823億円)、棚卸資産の増加(1,456億円)等による資金減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動の結果、資金は951億円減少しました(前年同期は2,519億円の減少)。これは、主として石油製品製造設備への投資及び石油・天然ガス開発事業に係る投資等によるものです。

財務活動の結果、資金は5,082億円減少しました(前年同期は1,383億円の減少)。これは、コマーシャル・ペーパーの減少(2,320億円)、短期借入金の減少(2,142億円)、長期借入金の返済による支出(1,652億円)等による資金減少要因が、長期借入れによる収入(1,930億円)等の資金増加要因を上回ったことによるものです。

 

(特定融資枠契約)

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では5,800億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。なお、極度額については、経営統合により前連結会計年度末の4,500億円から1,300億円増加していましたが、2018年5月末には見直しにより、4,500億円となっています。

 

(5)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定を適用しています。

重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記3、4」を参照してください。

また、IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下のとおりです。なお、当該差異については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、概算額で記載しています。

ア.連結の範囲

IFRSに準拠して連結の範囲を検討した結果、IFRSと日本基準における連結の範囲が相違しています。

主な相違として日本基準で連結の範囲に含まれない子会社等がIFRSの範囲には含まれますが、この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は59億円(前年同期は51億円)増加しています。

イ.バーター取引

日本基準において売上高に計上している取引のうち、IFRSでは販売された物品が同様の性質及び価値をもつ物品と交換されている部分については、収益を生み出す取引とはみなされず、売上高と売上原価を相殺しています。

この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において売上高並びに売上原価は1兆3,039億円(前年同期は1兆450億円)減少しています。

ウ.大規模修繕費

日本基準においては、将来の大規模定期修繕に伴う支出に備えて修繕引当金を計上し、実際に修繕した時点で引当金を充当しています。IFRSでは、(a)当該修繕引当金は引当金の要件を満たさないため取崩すとともに、(b)修繕した時点で支出を資産計上し、その後当該資産について減価償却を行っています。

(a)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において引当金は874億円(前年同期は588億円)減少し、(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において有形固定資産は822億円(前年同期は651億円)増加しています。また、(a)及び(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は45億円(前年同期は12億円)増加しています。

エ.のれん償却費

日本基準において、のれんは、その効果が継続すると見込まれる期間を見積り、その年数で償却することとしていますが、IFRSでは、のれんの償却を行っていません。

この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において販売費及び一般管理費は80億円減少しています。

オ.非上場株式の公正価値評価

日本基準において取得原価で評価を行っている非上場株式について、IFRSでは、公正価値で評価を行っています。

この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度においてその他の金融資産は972億円(前年同期は930億円)増加しています。

4【経営上の重要な契約等】

(1)「基本協定書」(契約当事者:新日本石油株式会社及びコスモ石油株式会社、締結日:1999年10月12日)

企業の枠組みを超えて抜本的なコスト削減策を講じるため、仕入、精製、物流及び潤滑油(生産・配送)の各部門において業務提携を行うことについて約したものです。

 

(2)「合弁契約書」(契約当事者:日鉱金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社、締結日:2002年6月21日)

両社の合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(JX金属株式会社の出資比率67.8%)を中心とした銅製錬事業に関する包括的な業務提携を約したものです。

 

 

 

5【研究開発活動】

当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。

 

(1)エネルギー (研究開発費 13,323百万円)

①燃料油・化学品製造技術分野

燃料油化学品製造技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、石油精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術の開発を行っています。さらに石油化学基礎原料やスペシャリティ化学品、潤滑油基油等の製造プロセスに関する開発を推進しています。また、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。

②機能材分野

機能材分野では、ナノインプリント技術を活用した有機ELディスプレイ用反射防止フィルム、リサイクル可能でゴムのような性質を有する新素材「ジェラティック®」、透明性と高耐熱性を両立したポリイミド樹脂原料モノマー、麻里布製油所のコークスを原料としたリチウムイオン電池用負極材、発酵技術を活用し血糖値上昇を抑制する抗糖尿乳酸菌、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、当社不織布「ミライフ®」をしわ加工することで羽毛代替となる保温性不織布など、独自技術による新規商品の開発を推進しています

また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。

③潤滑油分野

潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。

④水素分野

水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。

⑤産学連携の推進

環境、エネルギー、潤滑油、機能材分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。

 

(2)石油・天然ガス開発

該当事項はありません。

 

(3)金属 (研究開発費 6,987百万円)

①資源・製錬分野

源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。

②環境リサイクル分野

境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。

③薄膜材料分野

薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。

④機能材料分野

機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。

⑤基盤技術開発

分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。

 

これらに、その他の事業における研究開発費751百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、21,061百万円です。