文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、事業活動の基礎となる「JXTGグループ理念」を次のとおり定めています。
JXTGグループ理念
[使 命]
地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。
エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、
社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。
[大切にしたい価値観]
①社会の一員として
高い倫理観 誠実・公正であり続けることを価値観の中核とし、
高い倫理観を持って企業活動を行います。
安全・環境・健康 安全・環境・健康に対する取り組みは、
生命あるものにとって最も大切であり、常に最優先で考えます。
②人々の暮らしを支える存在として
お客様本位 お客様や社会からの期待・変化する時代の要請に真摯に向き合い、
商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、
私たちだからできる新たな価値を創出します。
③活力ある未来の実現に向けて
挑 戦 変化を恐れず、新たな価値を生み出すことに挑戦し続け、
今日の、そして未来の課題解決に取り組みます。
向上心 現状に満足せず、一人ひとりの研鑽・自己実現を通じて、
会社と個人がともに成長し続けます。
当社グループは、この「JXTGグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループを目指します。
(2)目標とする経営指標
当社は、2017年5月に2017年度から3ヵ年の第1次中期経営計画(2017-2019年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。
基本方針
取り組む諸施策
経営目標
(3)長期ビジョンの策定
当社グループは、世界的な低炭素社会形成に向けた動きの加速、IoT・AI等の普及によるイノベーションの急速な進展、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ企業に求められる社会的責任の高まりなど、過去に例を見ない社会環境・事業環境の変化に直面しています。加えて、国内の燃料油需要は、年々減少し、2040年には現在の約半分となることが想定されます。このように事業環境の先行きに対する不安が増しつつある一方、当社グループには、その事業特性上、長期的展望に基づく戦略的な投資が不可欠であることから、未来を見据えたビジョンの構築が必要です。
そのため、当社は、「長期グローバルトレンド」を分析して「2040年の社会シナリオ」を想定した上で、同年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」を描き、これらを「2040年JXTGグループ長期ビジョン」として取りまとめました。当社グループは、これを長期的な事業ポートフォリオの指針として2020年度から始まる第2次中期経営計画を策定し、成長戦略の追求とキャッシュ・フロー重視経営との両立による持続的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーの期待に応えてまいります。
・「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」
「長期グローバルトレンド」としては、低炭素・循環型社会の形成に向けた取り組みが進み、デジタル革命の進展と相まって、人々のライフスタイルは大きく変化することが予想されます。こうした潮流の下、世界の一次エネルギー需要は、非化石エネルギーの割合が増加し、世界の石油化学製品需要・銅地金需要は、アジアの新興国の経済成長を背景に拡大すると見込まれます。
このような「長期グローバルトレンド」を踏まえると、「2040年の社会シナリオ」としては、安価な再生可能エネルギーの大量導入、EVやカーシェアリングの普及、各施設・住宅への分散型太陽光発電及び蓄電池の設置等が進むと想定されます。また、プラスチック・金属をはじめとする資源のリサイクルインフラが拡充されていくものと考えられます。さらに、これらの変化に伴い、人々の生活を快適にするべく、多様なサービス提供者が現れると思われます。
・2040年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」
以上の「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」を前提に、当社グループが将来にわたって社会に必要とされる企業集団であるための要素を検討し、2040年における当社グループの「ありたい姿」を定めました。当社グループは、この「ありたい姿」を実現するため、安全・環境・健康を最優先に考えるとともに、多様性に富んだグローバル人材の育成・登用やICT(情報通信技術)活用による業務品質の劇的向上等により、企業風土の変革を図ってまいります。
さらに、この「ありたい姿」の実現のため、2040年に向けた当社グループの「事業の将来像」を描き、当社グループの既存の事業分野を「成長事業」と「基盤事業」に大別した上、それぞれの事業の方向性を定めました。「成長事業」については戦略投資を強化し、化学品事業・潤滑油事業における石油の高付加価値化、電材加工事業・機能材事業における技術力の発展的強化を図るとともに、再生可能エネルギー事業を含む発電事業、地域サービス事業及びリサイクル事業の拡大を通じて低炭素・循環型社会の形成に貢献してまいります。地域サービス事業とは、当社グループが有する多様なエネルギーの供給ノウハウを活かした「エネルギーサービスプラットフォーム」の構築、国内最大のSSネットワークの「生活プラットフォーム」化の推進等を企図する新しい事業分野です。一方、「基盤事業」として位置付けた石油精製販売事業、石油・天然ガス開発事業、銅の資源開発事業及び製錬事業については、安定供給、効率化及びバリューチェーンの最適化に努め、「成長事業」を支えるためのキャッシュ・フロー最大化を図ります。こうした取り組みにより、成長戦略の追求とキャッシュ・フロー重視経営の両立を目指します。なお、当社は、当社グループが一丸となって新たな企業価値を創造するための組織として、2019年4月1日付で「未来事業推進部」を設置しており、「ありたい姿」の実現に向けた活動を開始しています。
当社グループは、2019年度を最終年度とする第1次中期経営計画の目標達成を目指して「キャッシュ・フローと資本効率を重視した経営」を継続するとともに、社会環境・事業環境の変化に対応して持続的な成長を果たすべく、ESGに関する取り組みを一層強化してまいります。加えて、長期ビジョンを礎とした第2次中期経営計画を策定・実行することにより、「アジアを代表するエネルギー・素材企業グループ」へと発展し、企業価値のさらなる向上を図ってまいります。
(4)ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組み
・ESGの推進
当社グループは、すべての事業活動の根本となる「JXTGグループ理念」の下、この理念を実現するために実践すべき具体的な基準を定めた「JXTGグループ行動基準」を制定しています。また、企業が持続的な成長を目指す上でESGが欠かせない要素であることを認識し、この行動基準を踏まえて「高い倫理観」「コンプライアンス」「安全・環境」「人権」「人材育成」「健康」「品質」「社会貢献」の8項目を当社グループで積極的に取り組むべき重点分野として定めています。
当期においては、次のとおり環境・社会・ガバナンスに関する取り組みを推進し、さらに、ESGを重視した企業経営によって持続的成長・企業価値の向上を実現するため、2019年4月1日付で「ESG推進部」を設置しました。
・具体的な取り組み
[環境]
当社グループは、中期環境経営計画(2017年度から2019年度まで)の重点テーマとして「低炭素社会の形成」と「循環型社会の形成」を掲げ、製油所、製錬所等における省エネルギー対策、環境配慮型商品の販売・開発推進等によりCO2排出量の削減に努めるとともに、廃棄物の発生抑制及び再資源化を推進しました。加えて、エネルギー事業における再生可能エネルギー事業の拡充、石油・天然ガス開発事業におけるCO2-EORプロジェクトの遂行及び金属事業における環境リサイクル事業の強化に取り組んでいます。
<中期環境経営計画に定めるJXTGグループの環境目標>
1.サプライチェーン全体におけるCO2排出削減量(2009年度比)
・2019年度目標 272万トン削減
・2030年度目標 408万トン削減
2.廃棄物最終処分率
・ゼロエミッション(最終処分率1%未満)の維持
[社会]
当社グループは、「JXTGグループ行動基準」において人権尊重の基本原則を定め、人権研修の実施、相談窓口の運営等に取り組んでまいりました。当期においては、人権尊重の方針をより明確にするため、新たに「人権ポリシー」を制定しました。
また、性別・国籍を問わず、意欲ある従業員が自身のキャリアをしっかり考え、成長を目指すことを支援するため、社内諸制度の整備を進める一方、外部講師を招いたセミナー及び社内ロールモデルの紹介企画を定期的に実施し、働き方の意識改革を推進しました。
このほか、国内外の事業拠点における地域イベントへの協賛、JXTG童話賞、JXTG児童文化賞及びJXTG音楽賞の開催等により、地域社会との信頼関係の構築及び次世代育成支援に努めました。
[ガバナンス]
当社は、取締役会の経営機能及び監督機能の一層の強化並びに業務執行の機動性のさらなる向上を目的として、2018年6月27日付で、監査等委員会設置会社に移行しました。
また、改訂コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、「JXTGグループのコーポレートガバナンスに関する基本方針」を改正し、新たに経営陣幹部の解任方針及びその手続を定めるとともに、後継者計画への社外取締役の関与を強化しました。
加えて、外部コンサルタントを起用し、前期に引き続き当社の取締役会の実効性を評価しました。外部コンサルタントによる分析の結果、ガバナンスは全体として改善傾向にあり、取締役会の実効性は概ね確保されていることが確認された一方、経営・監督と業務執行の分離、社外取締役への情報提供のあり方等について課題が示されました。これらの内容を取締役会に報告し、課題については一層の改善に取り組むこととしました。
さらに、当社グループは、新たに「腐敗防止ポリシー」を制定し、「JXTGグループ行動基準」で定めた贈収賄防止の基本原則と併せて、腐敗行為に関わらないことをより明確にしました。
(5)対処すべき課題
今後の事業環境を展望しますと、世界経済は、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題の影響等が懸念され、先行きに対する不透明感が高まっているものの、中長期的には成長が続く見通しです。これに伴い、アジアの新興国では、燃料油、LNG、潤滑油及び石油化学製品の需要増加が見込まれます。他方、原油価格は、経済の先行き不透明感、米国のシェールオイル増産といった価格押下げ要因により、上値の重い展開が予想されます。
また、銅地金及び銅製品の需要は、アジアを中心とするインフラ投資の拡大に加え、IoT・AI社会の進展やEVの普及に伴う上積みも期待され、底堅く推移する見通しです。一方、供給面では銅精鉱の銅品位低下により大幅な増産が困難とみられることから、銅価格は堅調に推移すると予想されます。
日本経済は、雇用・所得環境の改善が見込まれるものの、世界経済の動向によっては輸出・雇用等が悪影響を受けるおそれがあり、予断を許さない状況です。国内の石油製品需要は、EV・低燃費車の普及、燃料転換の進展等の要因により引き続き減少基調で推移することが想定されます。
このような事業環境下、エネルギー事業については、国内需要減少への対応が喫緊の課題であり、効率化の徹底と次世代の柱となる事業の育成が急務です。また、石油・天然ガス開発事業については、プロジェクトの選択と集中及び低油価に耐えられる強靭な体質の構築、金属事業については、上流・中流事業の一層の操業安定化と成長が見込まれる電材加工等の下流事業の拡大が重要な課題です。
当社グループは、これらの諸課題に対し、第1次中期経営計画に沿って次のとおり対処してまいります。
(エネルギー事業)
石油精製販売・化学品事業については、引き続きサプライチェーン全体の効率化を推進し、統合シナジーの最大化を図ります。また、石油製品の国内安定供給を前提に、輸出拡大、石油化学製品への生産シフト及び国際競争力強化に向けた製油所ネットワークの構築を進めることに加え、さまざまなサービスを地域の皆様に提供する「生活プラットフォーム」へとSSネットワークを進化させることを目指します。
電気事業及びガス事業については、「ENEOSでんき」・「ENEOS都市ガス」のさらなる拡販を図るとともに、環境負荷が小さいLNGを燃料とする発電所の新設を検討してまいります。また、再生可能エネルギー事業については、全国各地で展開しているメガソーラー発電、北海道室蘭市において準備を進めているバイオマス発電等に加え、新たに設置した専門部署を中心に、洋上風力発電や地熱発電を含む事業拡大に取り組み、低炭素社会の形成に貢献します。
水素事業については水素ステーションの運営基盤の強化、海外事業については新規海外プロジェクトの探索、技術立脚型事業である潤滑油事業・機能材事業については国内外での拡販及び高付加価値商品の開発・市場投入等を推進し、将来の成長を見据えた重点分野として育成・拡大に努めます。
これらに加え、東京2020ゴールドパートナー(石油・ガス・電気供給)であるJXTGエネルギー株式会社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるFCV・FCバス向け水素、競技場・大会施設向け電気・ガス等のエネルギー供給を通じて、新たなエネルギー社会の創造に貢献することを目指します。
以上のとおり各事業において諸施策に取り組むほか、事業インフラ整備による経営管理強化の一環として、2020年の稼働開始を目標に統合基幹業務システム(ERPシステム)の構築を進めます。
(石油・天然ガス開発事業)
マレーシア、ベトナム等で生産段階にあるプロジェクトについては、安全・安定操業を前提に一層の操業コスト削減に努めます。
また、選択と集中による資産ポートフォリオの見直しを継続し、知見を有する東南アジアや中東等に経営資源を優先配分することで、既存プロジェクトの事業価値最大化を図るとともに、将来の事業の柱となり得る新規プロジェクトを探索してまいります。
一方、石油に比べて環境負荷が小さい天然ガスのプロジェクトに注力してまいります。具体的には、英国北海のカリーンガス田の2019年中の生産開始を目指すとともに、インドネシアのタングーLNGプロジェクトでは、既存のLNG設備の拡張と新規ガス田開発に取り組みます。加えて、豊富な埋蔵量が期待できるパプアニューギニアのプニャンガス田については、開発ライセンスの取得に向け、同国政府との協議を進めます。
さらに、低炭素社会形成に貢献するべく、インドネシアのPertamina社との共同事業検討を推進し、CO2-EOR技術を活用できる新たなプロジェクトの獲得を目指します。
(金属事業)
資源開発事業については、チリのカセロネス銅鉱山において、さらなる操業安定化とコスト削減を図るべく、設備メンテナンスの水準向上と操業の自動制御化を推進します。また、製錬事業については、佐賀関製錬所において銅精鉱を溶解する自溶炉の付帯設備の改善により鉱石処理能力を増強するなど、競争力強化に努めます。
電材加工事業については、生産性改善、コストダウン及び設備増強により、既存製品の収益力を向上させるとともに、高機能・多機能な先端素材の供給を目指し、大学・研究機関との連携やスタートアップ企業との協業といったオープンイノベーションに取り組み、新規事業の発掘や新規技術の開発を進めます。
タンタル・ニオブ事業については、金属事業内の他の事業部門とH.C. Starck Tantalum and Niobium社とのコラボレーションを通じ、販売力・開発力強化、新規事業進出等のシナジーを早期に実現します。
環境リサイクル事業については、海外からの高品位原料の集荷拡大・安定化に努めることに加え、日立事業所において、AIによる画像識別技術を活用した物理選別機を導入することにより、リサイクル原料処理の効率化を図ります。また、今後のEV普及を見据え、廃リチウムイオン電池リサイクルの技術開発を進め、事業化を目指します。
チタン事業については、徹底的なコスト削減、供給体制の充実及びさらなる品質の向上・安定化に引き続き取り組むとともに、サウジアラビアでのスポンジチタン製造合弁事業の商業生産開始に向けて、着実に準備を進めてまいります。
当社グループでは、グループ経営に関するリスク事象に的確な対応を図るため「全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management: ERM)体制」を整備・運用しています。具体的には、毎年度グループ経営に甚大な影響を与えうるリスク事象を抽出した上で「重点対応リスク事象」を選定し、対応策の実行を進め、その取り組み状況を経営会議及び取締役会に報告するプロセスを導入しています。
当社グループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)市場リスク
・商品価格変動リスク
当社グループは、石油製品・石油化学製品・金属製品等の販売及びそれらの原料となる原油・銅鉱石等の鉱物の購入を行っていますが、これらの販売価格及び購入価格は商品市場価格の変動によって影響を受けることから、商品価格変動リスクに晒されています。
(エネルギーセグメント)
国内の石油製品のマージンは、主に原油価格と国内の石油製品市場価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、シェールオイルの生産動向、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の国内需要、海外石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品販売価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく変動します。また、石油化学製品のマージンも、原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給が緩和した場合は、原油・原料油価格の上昇を製品価格に転嫁することが困難になります。従って、原油価格、石油製品価格、石油化学製品価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(石油・天然ガス開発セグメント)
石油・天然ガス開発事業においては、原油及び天然ガス価格の上昇時には売上高が増加し、原油及び天然ガス価格の下落時には、売上高が減少します。従って、原油及び天然ガス価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(金属セグメント)
銅事業は、主として海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業、銅製錬事業、電材加工事業から成り、銅精鉱価格、製錬マージン、販売プレミアム及びその他金属市況等の影響を受けます。銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは、主に製錬マージンと販売プレミアムからなります。海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業については、開発鉱山及び投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、売上高が減少します。製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、銅鉱石品位の低下、資源メジャーによる寡占化の動きなどにより製錬マージンが低下する可能性があります。また、販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸送経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、電材加工製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首棚卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合、損益が悪化します。従って、銅精鉱価格、製錬マージン、販売プレミアム及びその他金属市況等の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・為替リスク
当社グループは、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)環境規制に関するリスク
当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)気候変動に関するリスク
気候変動への対応に対して世界的に関心が高まるなか、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進められており、パリ協定に見られる低炭素社会への動きが加速し、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、想定を上回るスピードで石油製品需要が減少する可能性があります。その場合、石油精製販売、石油・天然ガス開発を主要な事業として営む当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)操業に関するリスク
当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。
(5)需要変動に関するリスク
当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況、社会情勢の影響を強く受けています。国内石油製品需要については、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速することを受けて、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換が進展し、今後も減少することが予想されます。石油化学製品の販売はアジア諸国での需要に大きく依存しており、これらの地域における需要の変動が当社グループの製品需要に大きな影響を与えます。電子材料部品・チタンなどの製品については、需要家が限定されており、特定の需要家の経営環境が当社グループの製品需要に大きな影響を与えます。建設事業についても、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の動向が、当社グループの建設事業需要に影響を及ぼします。これら当社グループの需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っていますが、予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合に関するリスク
当社グループは、様々な市場で激しい競争にさらされています。特に国内石油精製販売事業においては、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。また、電材加工事業は、技術革新及び顧客ニーズの急速な変化を伴う事業環境下にあり、競合他社との競争に絶えず晒されています。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)原料供給源に関するカントリーリスク
当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれに限られた供給源に大きく依存しています。こうした国・地域における政治不安、社会混乱、労働争議、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)資源開発に関するリスク
当社グループが行っている石油・天然ガス田、石炭・銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分に確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力低下につながる可能性があります。
(9)石油・天然ガスの埋蔵量確保に関するリスク
国際的な資源獲得競争により、当社グループが石油・天然ガスの埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどのように確保できるかにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、石油・天然ガス埋蔵量の見積りは、地質学的、技術的、経済的情報に基づいた主観的判断や決定を伴うため、正確に測定することが困難であり、進歩する回収技術の適用や生産活動を通じた新たな情報に基づいて大幅な修正が必要となる可能性があります。実際の埋蔵量が見積りを下回った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)石油・天然ガス開発機材に関するリスク
石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは、第三者から掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、機材及びサービス提供の価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(11)第三者との提携、事業投資に関するリスク
当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を上げることができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)事業の再構築に関するリスク
当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の損失が発生する可能性があります。当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)設備投資及び投融資と減損に関するリスク
当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。それにより、当社グループが所有している有形固定資産、のれん及び無形資産について投資額の回収が見込めなくなった場合には、これを反映させるように帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)繰延税金資産に関するリスク
当社グループの繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で金額を計上しています。課税所得発生の時期及び金額は、合理的な見積りに基づき決定していますが、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げと棚卸資産評価に関するリスク
当社グループは、多額の棚卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切り下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、原油、石油製品等棚卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格の上昇局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格の下落局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)有利子負債に関するリスク
当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等に制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払いのために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等、様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)確定給付債務に関するリスク
当社グループは確定給付制度を含む退職給付制度を有しています。これらの各制度に係る確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定されます。数理計算上の仮定には、割引率等、様々な変数についての見積り及び判断が求められます。これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、将来の不確実な経済状況の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)信用に関するリスク
当社グループは、保有する売掛金などの金融債権が、債務者(取引先)の信用悪化や経営破綻などにより債務不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクに晒されています。当該リスクに対応するために、与信管理規程等に基づき取引先ごとに与信限度額を設けた上で、取引先の財務状況等について定期的にモニタリングし、債権の期日及び残高を取引先ごとに適切に管理することにより、回収懸念の早期把握を図っています。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態の悪化を受けて、保有する金融資産が回収不能になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)知的財産に関するリスク
当社グループは、事業遂行のため、特許権等の知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤリティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)内部統制システムの構築に関するリスク
当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(21)情報システムに関するリスク
当社グループは、生産・販売・会計などのプロセスに関する電子データを、さまざまな情報システムやネットワークを通じて利用しています。これらの情報システムには安全対策が施されているものの、地震等の自然災害やサイバー攻撃を含む事象等により、情報システムに予期せぬ障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(22)個人情報の管理に関するリスク
当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を保有しており、それらに保護対策等を実施して適切に管理していますが、こうした対策に今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、今後、仮に顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の連結業績は、売上高は前年同期比8.0%増の11兆1,296億円、営業利益は5,371億円(前年同期は4,875億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,223億円(前年同期は3,619億円)、ROEは12.3%となりました。なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の営業利益相当額は5,157億円(前年同期は3,726億円)となりました。
当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。
<JXTGグループを取り巻く環境>
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦等の影響により中国において減速し、欧州も下振れしたものの、好調な米国経済に下支えされ、引き続き緩やかに成長しました。
アジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、OPEC及び一部の非OPEC産油国による原油増産の見送り、米国のイラン制裁による原油供給量の減少懸念等を背景に、期初の1バーレル当たり67ドルから、10月には84ドルまで上昇しました。その後、米国によるイラン制裁の一部緩和、OPECの減産方針に対する米国大統領の牽制発言等に起因して50ドルを割る水準まで下落したものの、OPEC及び一部の非OPEC産油国による協調減産が実行されたことなどから再び上昇に転じ、当連結会計年度末時点では1バーレル当たり67ドルとなりました。
銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初は1トン当たり6,756ドル(1ポンド当たり306セント)でしたが、世界最大の銅鉱山におけるストライキが懸念されたことにより、6月には7,263ドル(329セント)まで上昇しました。その後、ストライキ懸念の収束、米中間の通商摩擦拡大による景気減速懸念等を背景に急落し、6,000ドル(272セント)前後で推移しましたが、2019年1月以降、米中摩擦緩和への期待感等から上昇に転じ、当連結会計年度末時点では1トン当たり6,485ドル(1ポンド当たり294セント)となりました。
日本経済は、民間設備投資の増加に加え、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直しにより、緩やかに回復しました。一方、国内の石油製品需要については、低燃費車の普及を主因とするガソリンの減少、冬場の気温が前期に比べて高めに推移したことに伴う灯油の減少等により、前連結会計年度を下回りました。
(注)上図内の原油代、銅価、為替レートは期平均値です
セグメント別の概況は、次のとおりです。
エネルギー事業(JXTGエネルギーグループ)
将来にわたり国内燃料油需要の減少が続く一方、海外では石油製品・石油化学製品の需要増が見込まれます。このような事業環境を踏まえ、エネルギー事業においては、国内安定供給の責務を果たしつつ、海外での熾烈な競争に打ち勝つべく、コア事業の競争力強化と次世代の柱となる事業の育成・拡大に努めました。
●コア事業の競争力強化
石油精製販売・化学品事業については、統合シナジー(第1次中期経営計画の最終年度である2019年度に1,000億円の収益改善)の早期実現・最大化に向け、製造、供給、購買等の各部門において徹底的な合理化・効率化に引き続き取り組みました。その結果、当期において787億円の収益改善を実現しました。
また、生産面では、水島製油所における石油コークス発電設備の稼働、川崎製油所と川崎製造所との2019年4月1日付統合等、さらなる競争力強化及び安全・安定操業の徹底を図りました。一方、販売面では、お客様の利便性を一層向上させるため、サービスステーション(SS)の「ENEOS」ブランドへの統一を進めるとともに、新たなセルフSSブランド「EneJet」を展開しました。加えて、国内最大のSSネットワークを活かした新サービスの可能性を追求する一環として、カーシェアリングサービス及びコインランドリー併設事業のトライアルを開始しました。
化学品事業では、アジアを中心に需要が伸長したものの、競合他社の新設装置稼働に伴い競争が激化しました。このような厳しい環境下、世界最大級の供給能力を有するパラキシレンをはじめ、各製品の販売面を中心に収益力強化に努めました。
●次世代の柱となる事業の育成・拡大
電気事業については、「ENEOSでんき」及び「myでんき」の拡販に努めた結果、当連結会計年度末時点での契約件数が合計約51万件となりました。また、電力の供給源を確保するため、2019年3月に株式会社JERAとの合弁会社を設立し、千葉県市原市において、環境負荷が小さいLNGを燃料とする発電所の建設計画を進めています。
ガス事業については、2019年2月から「ENEOS都市ガス」のブランド名で家庭向け都市ガス小売事業を開始しました。早期に10万件の契約を獲得することを目指し、シンプルで分かりやすく、かつ、お客様にメリットを感じていただけるような料金メニューを設定するとともに、「ENEOSでんき」とのセット割引特典を用意し、家庭向け電気小売事業との相乗効果による拡販を図りました。
水素事業については、中国国内及び第三国における事業展開を企図し、中国石油化工集団有限公司との間で協業の検討を開始しました。また、国内においては、2019年3月に41か所目となる千葉幕張水素ステーションを開所したことに加え、株式会社JERA(プレスリリース時:東京電力フュエル&パワー株式会社)とともに、2020年度初めの営業開始を目標として、東京大井地区における大規模な水素ステーションの建設計画に着手しました。
再生可能エネルギー事業については、事業を機動的に展開するための専門組織を設置したほか、世界的に開発余地の大きい洋上風力発電事業の知見を得るため、台湾最大の洋上風力発電事業への参画を決定しました。
技術立脚型事業については、世界各地で展開している潤滑油事業及び機能材事業の拡大・収益力強化に取り組み、海外事業については、経済成長が続くアジアの需要を獲得するべく、戦略的パートナーであるVietnam National Petroleum Group社との間で、麻里布製油所における共同事業に関する検討を進めました。
●事業ポートフォリオの最適化
当社グループの培地事業を担ってきたIrvine Scientific Sales社及び株式会社アイエスジャパンについては、コア事業及び次世代の柱となる事業に経営資源を集中するため、その発行済株式の全部を売却しました。
(エネルギー事業の業績)
こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前年同期比9.0%増の9兆4,813億円、営業利益は3,754億円(前年同期は4,166億円)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は、石油製品における販売数量減及び石化製品におけるマージン悪化等の減益要因はあったものの、統合シナジーの積み上げ、培地事業売却益等により前年同期比505億円増の3,541億円(前年同期は3,036億円)となりました。
石油・天然ガス開発事業(JX石油開発グループ)
●石油・天然ガスの生産量
当連結会計年度においては、マレーシアのベリルガス田において生産を開始し、また、2017年11月に生産を開始したアラブ首長国連邦のヘイル油田が年間を通じて生産量の増加に寄与したものの、選択と集中の方針の下で2018年2月にカナダのシンクルード・オイルサンド・プロジェクトの全保有権益を売却したこと、同時期にパプアニューギニアで発生した地震の影響等により、石油・天然ガスの生産量は、前連結会計年度を下回る日量10万5千バーレルとなりました。
●生産拡大に向けた取り組み
マレーシアにおいては、2018年9月、SK10鉱区内のベリルガス田で天然ガスの商業生産を開始しました。同ガス田から生産された天然ガスは、同じ鉱区内に位置するヘランガス田及びラヤン油ガス田から生産された天然ガスとともに、JXTGエネルギー株式会社が出資するMalaysia LNG Tiga社のプラントで液化された後、日本、中国等の需要家に販売されています。また、ラヤン油ガス田では、2020年中の原油生産開始を目指して開発を進めています。
英国北海においては、2019年中の商業生産開始に向けて、カリーンガス田及びマリナー油田で生産関連設備を建設中です。
このほか、2018年4月、オーストラリアにブリスベン事務所を開設し、今後も安定的なキャッシュ・フローの創出が見込まれるパプアニューギニアにおける油ガス田事業の推進体制を強化しました。
●CO2-EOR技術の活用
CO2-EOR技術は、老朽化した油田にCO2を圧入することにより、CO2削減と原油回収率向上に寄与する技術です。米国におけるCO2-EORプロジェクトでは、火力発電所の石炭燃焼排ガスから回収したCO2を活用しており、2018年12月末にはCO2回収量が累計200万トンを超えました。また、2018年10月、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構とともに、インドネシアの国営石油会社であるPertamina社との間で、CO2-EOR技術の活用を含む上流事業全般の共同事業検討に関する覚書を締結しました。
(石油・天然ガス開発事業の業績)
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、前年同期比4.2%減の1,492億円、営業利益は、期末資産評価による一過性の損失や権益売却等による数量減はあるものの、油価上昇影響や数量減に伴う操業費等の減少によりほぼ前年同期並みの378億円(前年同期は376億円)となりました。
金属事業(JX金属グループ)
●銅の資源開発事業及び製錬事業の取り組み
チリのカセロネス・プロジェクトについては、2018年5月、プロジェクトをより機動的かつ一元的に管理する専門組織を設置し、操業の安定化、生産性向上及びコスト管理に一層注力しました。その結果、当期は操業成績が大きく改善するとともに、大幅なコスト削減を実現しました。また、チリのロス・ぺランブレス鉱山において、設備増強計画の実行を決定し、建設工事を開始しました。
また、製錬事業については、各製錬所において効率化・コスト削減施策に取り組み、さらなる競争力強化に努めました。
●電材加工事業の取り組み
電材加工事業については、IT関連分野での需要増を背景に、主力製品であるスパッタリングターゲット及び圧延銅箔の販売が堅調に推移しました。足元ではスマートフォン市場の成長鈍化が見られるものの、中長期的にはIoT・AI社会の進展に伴う需要拡大が見込まれることから、スパッタリングターゲット、圧延銅箔及び高機能銅合金条の製造設備増強を決定し、2020年度までには生産能力をそれぞれ約30%増強(2017年度比)します。
●環境リサイクル事業の取り組み
環境リサイクル事業については、廃リチウムイオン電池のリサイクルの事業化に向けた技術開発を進めるとともに、他社との協業も含め、国内外におけるビジネスモデル構築のための検討を開始しました。これらの取り組みは、循環型社会の形成に資するものです。
●チタン事業の取り組み
チタン事業については、航空機向けを中心に金属チタンの販売が増加したことに加えて、触媒や電子部品材料といった機能化学品の販売も総じて堅調に推移しました。
●技術立脚型事業の推進に向けた取り組み
2018年7月、タンタル・ニオブ製品(高純度金属粉)の開発・製造・販売を行うH.C. Starck Tantalum and Niobium社(ドイツ法人)の全株式取得を完了し、経営管理体制の早期移行を進めました。
また、2018年6月、国立大学法人東北大学発のベンチャー企業である株式会社マテリアル・コンセプトの株式の一部を取得し、銅ペースト事業に参画しました。同社は、電子機器の配線及び電極を形成する銅ペーストの高い製造技術を有しており、2018年8月、国立研究開発法人科学技術振興機構主催の「大学発ベンチャー表彰2018」において、文部科学大臣賞を受賞しました。さらに、2018年9月には、電子材料分野における次世代配線材料をはじめとする研究開発及び人材育成を共同で推進するべく、国立大学法人東北大学との間で組織的連携協力協定を締結しました。
(金属事業の業績)
こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前年同期比7.6%増の1兆418億円、営業利益は682億円(前年同期は603億円の損失)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は銅価下落影響はあったものの、カセロネスの生産量増や、前年同期に計上したカセロネス減損の反転等により、前年同期比1,303億円増益の681億円(前年同期は622億円の損失)となりました。
その他の事業
その他の事業の売上高は前年同期比3.0%減の5,276億円、営業利益は424億円(前年同期は426億円)となりました。
●株式会社NIPPO
株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当連結会計年度は、民間設備投資が増加したものの、公共投資の弱含み、労務費や原材料価格の上昇等により、引き続き厳しい経営環境が続きました。このような状況下、同社は、強みである技術力を背景に、工事の受注獲得に尽力するとともに、一層のコスト削減・効率化に取り組み、収益確保に努めました。
なお、同社は、東京都等が発注する舗装工事に関して実施された入札における独占禁止法違反により、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。これを受け、2018年6月7日、国土交通省から建設業法に基づき営業停止処分(2018年6月22日から2018年7月21日までの30日間)を受けました。
同社では、再発防止に向けて、各種社内規程、マニュアル等を見直し、その内容を営業担当者に周知徹底することに加えて、内部監査部門、法務部門及び弁護士によるモニタリングを継続的かつ計画的に実行するなど、独占禁止法の遵守に取り組んでいます。当社といたしましても、引き続き同社を指導してまいります。
●JXエンジニアリング株式会社及び新興プランテック株式会社の経営統合
2018年12月、JXエンジニアリング株式会社は、2019年7月1日付で新興プランテック株式会社と経営統合することに合意しました。統合により誕生する新会社「レイズネクスト株式会社」は、両社の強みを組み合わせることにより、高度なエンジニアリング力を有するプラントメンテナンスの国内におけるリーディングカンパニーとなることを目指します。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高704億円(前年同期は671億円)が含まれています。
(2)生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エネルギー |
6,281,467 |
115.4 |
|
石油・天然ガス開発 |
148,939 |
95.8 |
|
金属 |
875,783 |
106.4 |
|
その他 |
112,303 |
97.5 |
|
合計 |
7,418,492 |
113.5 |
(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
イ.受注実績
当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。
ウ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エネルギー |
9,475,637 |
109.0 |
|
石油・天然ガス開発 |
149,243 |
95.8 |
|
金属 |
1,039,312 |
107.6 |
|
その他 |
465,438 |
96.1 |
|
合計 |
11,129,630 |
108.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの概況
①流動性と資金の源泉
当社は、効率的で安定的な資金の確保と、事業活動のための流動性の維持を、財務活動の取り組みとして重視しています。効率的な調達に向けて、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と、金融機関からの借入等の間接金融を、機動的に選択しています。
当社は安定的な資金の確保に向けて、直接金融市場への継続的なアクセスを図るとともに、間接金融についても原油備蓄資金のための制度融資なども活用しており、政府系金融機関及び市中金融機関と幅広く関係を維持し、調達ソースの多様化を図って十分な流動性を確保しています。
また、金融市場の環境変化にも対応できる流動性を維持するために、現金及び現金同等物を確保する他、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では4,500億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。
連結における資金管理では、当社を中心に集中して資金調達を行い、国内外の金融子会社を通じてグループ各社に資金を配分するというグループファイナンス制度を設けています。その運営においてキャッシュマネジメントシステムを活用しており、流動性資金の一元管理及び効率化を実現しています。
当社は、資金調達とグローバルなビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)、ムーディーズ・ジャパン(ムーディーズ)の3社から格付けを取得しています。3社の2019年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがA+(見通し安定的)/a-1、JCRがA+(見通しポジティブ)/A-1、ムーディーズがBaa2(見通し安定的)/(短期は取得無し)となっています。
②連結財政状態計算書
ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、油価上昇による棚卸資産の増加及び未収法人所得税、有形固定資産、無形資産等の増加が売掛金及びその他の金融資産(株式等)等の減少を上回り、前連結会計年度末比202億円増加の8兆4,778億円となりました。
イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,796億円減少の5兆3,580億円となりました。このうち有利子負債残高は、前連結会計年度末比419億円減少の2兆2,180億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比197億円増加の1兆8,301億円となりました。有利子負債除きの負債残高は、買掛金、未払法人所得税、未払揮発油税及び軽油税、その他の流動負債等の減少により前連結会計年度末比1,377億円減少の3兆1,400億円となりました。
ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、利益増による資本の積み上がりにより前連結会計年度末比1,998億円増加の3兆1,198億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比2.1ポイント上昇し32.1%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比73.03円増加の816.39円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.03ポイント改善し、0.59倍(資本合計ベース)となりました。
③連結キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,789億円となり、期首に比べ582億円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
法人税等の支払及び油価上昇による運転資金の増加があったものの、税引前利益、減価償却費等により、営業活動によるキャッシュ・フローは3,442億円プラスになりました。
エネルギーセグメントにおける子会社株式(Irvine Scientific Sales Company, Inc. 及び株式会社アイエスジャパン)の売却及び不動産売却等の収入があったものの、製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資及び石油・天然ガス開発事業への投資により、投資活動によるキャッシュ・フローは2,069億円マイナスになりました。
上記の結果、フリー・キャッシュ・フローは1,373億円プラスとなりました。
コマーシャル・ペーパーの増加、長期借入れによる収入等があったものの、長期借入金の返済及び社債の償還による支出、配当金の支払、自己株式の取得による支出等により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,967億円マイナスになりました。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定を適用しています。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記3、4」を参照してください。
また、IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下のとおりです。なお、当該差異については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、概算額で記載しています。
ア.連結の範囲
IFRSに準拠して連結の範囲を検討した結果、IFRSと日本基準における連結の範囲が相違しています。
主な相違として日本基準で連結の範囲に含まれない子会社等がIFRSの範囲には含まれますが、この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は53億円(前年同期は59億円)増加しています。
イ.バーター取引
日本基準において売上高に計上している取引のうち、IFRSでは販売された物品が同様の性質及び価値をもつ物品と交換されている部分については、収益を生み出す取引とはみなされず、売上高と売上原価を相殺しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において売上高並びに売上原価は1兆2,535億円(前年同期は1兆3,039億円)減少しています。
ウ.大規模修繕費
日本基準においては、将来の大規模定期修繕に伴う支出に備えて修繕引当金を計上し、実際に修繕した時点で引当金を充当しています。IFRSでは、(a)当該修繕引当金は引当金の要件を満たさないため取崩すとともに、(b)修繕した時点で支出を資産計上し、その後当該資産について減価償却を行っています。
(a)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において引当金は933億円(前年同期は874億円)減少し、(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において有形固定資産は862億円(前年同期は822億円)増加しています。また、(a)及び(b)の影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において当期利益は43億円(前年同期は45億円)増加しています。
エ.のれん償却費
日本基準において、のれんは、その効果が継続すると見込まれる期間を見積り、その年数で償却することとしていますが、IFRSでは、のれんの償却を行っていません。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において販売費及び一般管理費は91億円減少しています。
オ.非上場株式の公正価値評価
日本基準において取得原価で評価を行っている非上場株式について、IFRSでは、公正価値で評価を行っています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度においてその他の金融資産は845億円(前年同期は972億円)増加しています。
(1)「基本協定書」(契約当事者:新日本石油株式会社及びコスモ石油株式会社、締結日:1999年10月12日)
企業の枠組みを超えて抜本的なコスト削減策を講じるため、仕入、精製、物流及び潤滑油(生産・配送)の各部門において業務提携を行うことについて約したものです。
(2)「合弁契約書」(契約当事者:日鉱金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社、締結日:2002年6月21日)
両社の合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(JX金属株式会社の出資比率67.8%)を中心とした銅製錬事業に関する包括的な業務提携を約したものです。
(3)「経営統合に関する基本合意書」(契約当事者:当社、JXエンジニアリング株式会社及び新興プランテック株式会社、締結日:2018年9月28日)
2019年4月を目途にJXエンジニアリング株式会社と新興プランテック株式会社が経営統合を目指すことについて約したものです。
(4)「経営統合契約」(契約当事者:当社、JXエンジニアリング株式会社及び新興プランテック株式会社、締結日:2018年12月20日)
2019年7月1日を効力発生日として、新興プランテック株式会社を吸収合併存続会社、JXエンジニアリング株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことにより、JXエンジニアリング株式会社と新興プランテック株式会社とが経営統合を行うことについて約したものです。
当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。
(1)エネルギー (研究開発費
エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また社外との連携にも力をいれており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。
①燃料油・化学品製造技術分野
製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化を目指した研究を行っています。目標とする統合シナジー創出に貢献するため、技術的な検討を進めるとともに、国際海事機関(IMO)による2020年からの舶用燃料油の規制強化に向けた研究を行っています。あわせて将来の自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けたプロセスや要素技術の開発、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。
②機能材分野
機能材分野では、透明性と高耐熱性を両立した透明ポリイミド用モノマー「エネハイド™」、麻里布製油所の高品位コークスを原料としたリチウムイオン電池(LiB)用負極材、優れた抗酸化性能を持つレアカロテノイド類を含む健康食品素材「AdoniCare™」、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、不織布「ミライフ®」をしわ加工することで羽毛代替となる保温性不織布、ナノインプリント技術を活用した無機波長板「Nanoable®Waveplate」など、独自技術による新規商品の開発を推進しています。
また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。
③潤滑油分野
潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。
④水素分野
水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。
⑤低炭素エネルギー分野
将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。一例として、「CO2フリー水素」を低コストで製造する技術として、オーストラリアにて太陽光で発電した電気でトルエンを電解水素化してメチルシクロヘキサンに変換し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証に成功しました。
⑥デジタル技術分野
デジタル技術を活用して自社の業務効率化に生かしていくことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援などの研究を推進しています。またデジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも想定し、ベンチャー企業などとの情報収集・交換を活発化させています。
(2)石油・天然ガス開発
該当事項はありません。
(3)金属 (研究開発費
①資源・製錬分野
資源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適用への検討を進めています。
②環境リサイクル分野
環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。
③薄膜材料分野
薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。
④機能材料分野
機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。
⑤基盤技術開発
分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。
これらに、その他の事業における研究開発費