第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。

 

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当社グループは、この「ENEOSグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジアを代表するエネルギー・素材企業グループを目指します。

 

(2)第1次中期経営計画(2017年度から2019年度まで)の成果

当社は、第1次中期経営計画を「抜本的な変革の実行プラン」と位置づけ、「基幹事業の収益力強化」、「キャッシュ・フローと資本効率の重視」及び「経営基盤の強化」を基本方針とし、諸施策に取り組みました。第1次中期経営計画における各事業の主な取組みは、次のとおりです

 

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れらの取組みに加え、当社グループの長期的な事業ポートフォリオの指針として長期ビジョンを策定し、2019年5月に公表しました。長期ビジョンでは、2040年の当社グループの「ありたい姿」として、「アジアを代表するエネルギー・素材企業」、「事業構造の変革による価値創造」及び「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げています。なお、「長期ビジョン」の詳細は、「(3)長期ビジョンの策定」をご参照ください。

第1次中期経営計画の最終年度である当連結会計年度の業績は、在庫影響(総平均法及び簿価切り下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益及びROEは目標値に届かなかったものの、3か年累計でのフリーキャッシュ・フロー及び当連結会計年度のネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は目標を達成し、一定の財務基盤を確立しました。

 

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今後、当社は、第1次中期経営計画の遂行により構築した財務基盤を土台として、長期ビジョン策定時に分析した長期グローバルトレンド及び2040年の社会シナリオを踏まえ、長期ビジョンに掲げる「ありたい姿」の実現に向けて取り組んでいきます。その実現に向けた第一歩として、「(4)グループ運営体制及び商号の変更」を実施し、また、第2次中期経営計画を遂行していきます。

(3)長期ビジョンの策定

当社グループは、世界的な低炭素社会形成に向けた動きの加速、IoT・AI等の普及によるイノベーションの急速な進展、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ企業に求められる社会的責任の高まりなど、過去に例を見ない社会環境・事業環境の変化に直面しています。加えて、国内の燃料油需要は、年々減少し、2040年には現在の約半分となることが想定されます。このように事業環境の先行きに対する不安が増しつつある一方、当社グループには、その事業特性上、長期的展望に基づく戦略的な投資が不可欠であることから、未来を見据えたビジョンの構築が必要です。

そのため、当社は、「長期グローバルトレンド」を分析して「2040年の社会シナリオ」を想定した上で、同年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」を描き、これらを「2040年当社グループ長期ビジョン」として取りまとめ、2019年5月に公表しています。(一部改訂、2020年5月20日)

 

・「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」

「長期グローバルトレンド」としては、低炭素・循環型社会の形成に向けた取り組みが進み、デジタル革命の進展と相まって、人々のライフスタイルは大きく変化することが予想されます。こうした潮流の下、世界の一次エネルギー需要は、非化石エネルギーの割合が増加し、世界の石油化学製品需要・銅地金需要は、アジアの新興国の経済成長を背景に拡大すると見込まれます。

このような「長期グローバルトレンド」を踏まえると、「2040年の社会シナリオ」としては、安価な再生可能エネルギーの大量導入、EVやカーシェアリングの普及、各施設・住宅への分散型太陽光発電及び蓄電池の設置等が進むと想定されます。また、プラスチック・金属をはじめとする資源のリサイクルインフラが拡充されていくものと考えられます。さらに、これらの変化に伴い、人々の生活を快適にするべく、多様なサービス提供者が現れると思われます。

 

  ・2040年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」

以上の「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」を前提に、当社グループが将来にわたって社会に必要とされる企業集団であるための要素を検討し、2040年における当社グループの「ありたい姿」を定めました。当社グループは、この「ありたい姿」を実現するため、安全・環境・健康を最優先に考えるとともに、多様性に富んだグローバル人材の育成・登用やICT(情報通信技術)活用による業務品質の劇的向上等により、企業風土の変革を図ってまいります。なお、2019年5月の長期ビジョンの発表以降、自動運転などによる省エネや分散型電源を活用したエネルギーサービス、CO2フリー水素といった具体的施策を検討する過程で、低コストを可能とする技術革新が前提ではあるものの、これらの取り組みの追求により、将来的に自社排出分のCO2に対するカーボンニュートラルの実現も不可能ではないと考え、目標として追加しました。

 

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当社グループは、長期ビジョンに掲げる「ありたい姿」の実現のための「事業の将来像」を礎とした、第2次中期経営計画を実行することにより、成長戦略の追求とキャッシュ・フロー重視経営との両立による持続的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーの期待に応えていきます。なお、第2次中期経営計画の詳細は、「(6)対処すべき課題」をご参照ください。

(4)グループ運営体制及び商号の変更

・グループ運営体制の変更

当社グループは、長期ビジョンに掲げた「ありたい姿」を実現するため、従来にも増して意思決定と業務執行の迅速化を図り、変化の激しい事業環境に対応していく必要があります。そのため、当社は、抜本的な構造変革を進めることとし、2020年6月25日以降、現在の純粋持株会社の下に3つの中核事業会社を有する体制を改め、グループで最も重要なJXTGエネルギー株式会社と当社の経営を実質的に統合して運営する体制に変更しました。

具体的には、当社とJXTGエネルギー株式会社のそれぞれの法人格は残すものの、役員を極力兼任させ、意思決定機関を集約し、実質的にひとつの事業持株会社として運営します。一方、JX石油開発株式会社及びJX金属株式会社については、当社グループの一翼を担う重要な事業会社との位置付けは変わらないものの、当社が定める経営方針の下、大幅な権限委譲を進め、それぞれの事業特性に応じて、より自律性・機動性・独立性を高めた業務執行体制とします。

 

・商号の変更

当社は、グループ運営体制の変更に伴い、当社の商号を「ENEOSホールディングス株式会社」に、JXTGエネルギー株式会社の商号を「ENEOS株式会社」にそれぞれ変更する方針を2019年11月28日開催の取締役会において決議し、定款変更の議案を2020年6月25日開催の第10回定時株主総会に付議し、承認を得ました。

「ENEOS」は、2001年にSSの新たなブランドとして誕生して以来、ブランド統一やエネルギー事業の領域拡大を経て、現在は、約1万3,000か所の「ENEOSサービスステーション」「ENEOSでんき」「ENEOS都市ガス」等を通じて全国的に広く認知されています。このブランド名を当社及びエネルギー事業のグループ会社の商号並びにグループ名に冠することにより、高い知名度や信用力を活かして成長事業の育成・新規事業の創出を推進し、もって、「アジアを代表するエネルギー・素材企業」への成長・発展と「ENEOS」のグローバルブランド化を目指します。

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(5)ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組み

・ESGを重視した経営

当社グループは、すべての事業活動の根本となる「ENEOSグループ理念」の下、この理念を実現するために実践すべき具体的な基準を定めた14項目からなる「ENEOSグループ行動基準」を制定しています。当社グループは、この行動基準を踏まえて「高い倫理観」「コンプライアンス」「安全・環境」「人権」「人材育成」「健康」「品質」「社会貢献」の8項目を積極的に取り組むべきCSR活動の重点分野として定め、ESGを重視した企業経営を行っています。

当連結会計年度においては、ESGを重視した企業経営によって持続的成長・企業価値向上を図るため、2019年4月1日付で「ESG推進部」を設置し、環境・社会・ガバナンスに関する取組みを強化しました。

 

・具体的な取り組み

[環境]

当社グループは、長期ビジョンにおいて「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げており、その実現に向けては、2030年度環境目標及び中期環境経営計画を策定し、これに沿った環境活動を推進しています。具体的には、サプライチェーン全体におけるCO2排出量を削減すべく、製造面では製油所・製錬所等での高効率・省エネ設備の導入推進と装置運転の最適化を図り、販売面では環境配慮型商品の販売拡大に取り組んでいるほか、廃棄物最終処分率の低減を目指して、事業全般で廃棄物の再生利用化や分別を徹底しています。また、エネルギー事業においては再生可能エネルギーや水素、石油・天然ガス開発事業においてはCO2-EOR、金属事業においては環境リサイクルにそれぞれ取り組んでいます。

2019年5月には、気候変動がもたらすリスク及び機会の財務的影響を把握し、開示することを促す「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同する署名を行いました。エネルギー・素材の安定供給を果たす企業の責務として、TCFD提言の趣旨に沿った情報開示に努めます。

[社会]

当社グループは、ENEOSグループ理念における使命である「地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。」を実現するため、社内外でかかわりのある様々なステークホルダーが抱える問題の解決に貢献すべく、安全・人権・人材育成・健康・健全な職場環境・品質・サプライチェーンマネジメント・社会貢献に関する各種対策に取り組んでいます。

人権の分野においては、「ENEOSグループ行動基準」に人権尊重の基本原則を定め、人権研修の実施、ハラスメント防止をテーマにしたeラーニングの実施、相談窓口の運営等に取り組んでいます。当連結会計年度は、グループ各社がそれぞれの事業特性に応じた人権意識の啓発活動に取り組んだほか、人権デュー・ディリジェンスや全役員・従業員を対象にした当社グループ意識調査を実施しました。

また、社会貢献の分野においては、地域社会との信頼関係構築や次世代育成支援を目的として、ENEOS童話賞・ENEOS児童文化賞・ENEOS音楽賞に関する活動に継続的に取り組み、また、国内外の事業拠点における様々な地域イベントにも協賛しています。

[ガバナンス]

当社グループは、コーポレートガバナンスの強化とコンプライアンスの推進に努め、透明性の高い経営と公正な事業活動を通じて、企業価値向上の実現に取り組んでいます。

当連結会計年度においては、長期ビジョンを踏まえ、さらなる意思決定と業務執行の迅速化を図り、変化の激しい事業環境に対応するため、2019年11月に、グループ運営体制の変更を決定しました。

また、取締役会は、2019年11月から2020年1月にかけて全取締役を対象にアンケートを行い、取締役会の実効性を評価しました。その結果、長期ビジョン・第2次中期経営計画の議論に多くの時間を充てたことや、前連結会計年度の実効性評価を踏まえて社外取締役への事前説明を早期化したことなどが評価された一方、取締役会の監督機能の強化、業務執行と監督との分離等について、さらなる改善に向けた課題が示されたことから、引き続き、改善に取り組みます。

 

・ESG説明会の開催

2019年12月、当社は、アナリストや機関投資家を招き、初の試みとして、ESG関連に特化した説明会を開催しました。同説明会においては、当社がESGを経営の根幹に位置付けていること、将来の社会課題を踏まえた事業戦略を立案・遂行していることなどについて説明し、参加者と活発な議論を行いました。引き続き、当社グループにおけるESG経営について、積極的な情報発信に努めます。

・第三者からの評価

当社のESGに関する取組みについては、下表のとおり第三者から評価を受けました。<2020年3月31日時点>

項 目

評価元

特 徴

FTSE4Good Index Series

FTSE Russell

FTSE Russell独自の評価基準により、「環境」「社会」「ガバナンス」の3つの分野から企業の持続可能性を評価するものであり、ESG情報を重視する投資家の主要な選択基準の1つとなるもの

FTSE Blossom Japan Index

FTSE Russell

日本企業を対象としてESG課題への取組みを評価するもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESGの取組みに基づいた投資を行うために選定しているインデックスの1つ

MSCI日本株女性活躍指数(WIN)

MSCI社

日本企業を対象として女性の雇用、昇進等の性別多様性への取組みを評価するもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESGの取組みに基づいた投資を行うために選定しているインデックスの1つ

MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ

MSCI社

日本企業を対象としてESGに関する取組みが優れた企業を選別するもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESGの取組みに基づいた投資を行うために選定しているインデックスの1つ

SNAMサステナビリティ・インデックス

SNAM社

ESGに優れた約300銘柄を毎年選定し、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社が年金基金や機関投資家向けに運用する「SNAMサステナブル運用」に用いられるもの

攻めのIT経営銘柄2019

経済産業省及び

東京証券取引所

東京証券取引所の上場会社の中から、新たな価値の創造、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を選定するもの

健康経営銘柄2020

経済産業省及び

東京証券取引所

東京証券取引所の上場会社の中から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を原則1業種1社選定するもの

(注)2020年4月1日付で、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社は、商号をSOMPOアセットマネジメント株式会社に変更しました。

(6)対処すべき課題

今後の事業環境を展望しますと、世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大が実体経済に与える影響を見通しがたい状況にあり、国内及びアジアの石油製品・石油化学製品の需要については、経済活動の停滞長期化に伴う大幅な落ち込みが懸念されます。

原油価格及び銅価格は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な景気悪化を背景に低迷が続くおそれがあり、とりわけ原油価格については、世界的な需要減退に加えて、米国、サウジアラビア、ロシア等産油国の生産動向によって大きく左右されるため、先行きが不透明です。

このような厳しい事業環境下、当社グループは、グループ運営体制の変更による抜本的な構造改革を推進し、足下の不確実な情勢に機動的に対応する一方、低炭素・循環型社会の到来、デジタル革命の進展及びライフスタイルの変化を見据え、長期的展望に立った施策にも取り組む必要があります。そのため、安定供給の使命を果たし続けるための基盤事業のさらなる競争力強化と、持続的な企業価値の向上を図るべく新たな成長事業の育成・強化に挑戦することが重要な課題となります。

当社グループは、これらの諸課題を踏まえ、第2次中期経営計画を策定しました。第2次中期経営計画の基本方針、財務戦略及び財務計画は、次のとおりです。

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当社グループは、「長期ビジョン実現に向けた事業戦略とキャッシュ・フローを重視した経営の両立」及び「経営基盤の強化」を基本方針として、諸施策に取り組みます。また、財務戦略としては、「基盤事業からのキャッシュ・フロー最大化」、「資産売却」及び「財務レバレッジの活用」によりキャッシュを創出し、「成長事業への戦略投資」と「株主還元」に充てる計画です。

戦略投資については、第1次中期経営計画を大きく上回る8,300億円を計画しています。想定した長期グローバルトレンドや2040年の社会シナリオが実現した将来にあっても、なお当社グループが社会から必要とされる企業集団であり続けるためには、厳格な投資管理の下、2020年度から戦略的に投資していくことが不可欠です。

また、株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、中期的な連結業績の推移及び見通しを反映した利益還元の実施を基本としながら、安定的な配当の継続に努めます。第2次中期経営計画の期間中の株主還元方針は、下表のとおりです。

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第2次中期経営計画では、以上のほか、「ESG経営」「事業戦略」「オープンイノベーション」「デジタルトランスフォーメーションへの道筋」「人材育成・確保」「設備投資計画」等について方向性・考え方を定めています

 

各事業における主な取組みについては、次のとおりです。

 

基盤事業(石油精製販売、石油・天然ガス開発及び銅資源・製錬)

基盤事業については、安全・安定供給を確保しつつ、デジタルなどの新技術の積極導入及び最適生産体制の構築により、国際競争力を強化します。石油精製販売事業ではサプライチェーンの改革断行、石油・天然ガス開発事業では既存資産の価値最大化及び競争力強化、銅資源・製錬事業ではカセロネス銅鉱山の安定操業継続及び銅製錬事業の再編・リサイクル事業との一体運営により、各事業の競争力を向上させます。また、デジタル技術を活用した装置の自動運転や遠隔操業については、競争力強化に直結することから、重点的に取り組む方針です。

基盤事業で得たキャッシュについては、次に記載する成長事業に投入し、育成していきます。

・成長事業

(石油化学)

石油化学事業については、ケミカルリファイナリー化の推進と当社グループが強みを持つ誘導品分野への進出により、競争力・収益力を高めることを目指します。川崎、鹿島、水島及び大分の各コンビナートにおけるケミカル比率向上に向けた施策を具体化し、また、水添石油樹脂(紙おむつ向け接着剤用途)、ENB(自動車部材向け合成ゴム添加剤用途)、電線絶縁材(高圧・超高圧特殊電線用途)等の技術優位性のある製品による収益拡大を図るべく、製造能力の増強を推進します。

(素材)

電子材料をはじめとする素材事業については、高機能・高付加価値製品の材料供給により社会の発展に貢献すべく、通信・デジタル、モビリティ、ヘルスケア機器、次世代電池の各分野における先端素材ニーズを捉え、社会が求める素材を適時に供給し続けることを目指します。まず、5G対応デバイスの普及やメモリー分野の回復に伴う需要増を確実に取り込むとともに、製品改良による高機能化・高付加価値化を推進します。加えて、M&A、オープンイノベーション等を積極的に活用し、「次の柱」となる事業を発掘・育成します。

(次世代型エネルギー供給・地域サービス)

次世代型エネルギー供給・地域サービス事業については、モビリティサービス、ライフサポート及びエネルギーサービスの各分野において、SSネットワークや分散型電源を活用したサービスを展開し、さらに、これらを連係させ、アプリなどを通じてお客様が望む利便性の高いサービスを提供する「ENEOSプラットフォーム」の構築を目指します。

具体的には、モビリティサービス分野では、カーシェア事業のビジネスモデル構築、SSの顧客接点を活用したカーリース事業の展開、EV経路充電サービスの検討等を進めます。また、ライフサポート分野では、提携・協業による新たなビジネスモデルの構築、ENEOSブランドの高い知名度や特約店の地域密着性を活かしたサービスを検討・拡大します。他方、エネルギーサービス分野では、「ENEOSでんき」の全国展開による顧客基盤の拡大を図るほか、環境負荷が小さいLNGを燃料とする五井ガス火力発電事業の推進、国内外の再生可能エネルギー事業の拡充により最適な電源ポートフォリオを構築します。さらに、当社グループが有する資産を有効活用したエネルギーサービスとして、自家消費支援事業(屋根借り太陽光)や分散型電源を活用したVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)の実証に取り組みます。加えて、低炭素エネルギーの供給ソースとして大きな期待が寄せられるCO2フリー水素については、各種プロジェクトへの参画を通じて、実現可能性を検討します。

 

 

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(環境対応型事業)

環境対応型事業については、製油所・製錬所を活用した廃プラスチック及び金属のリサイクルに加え、車載用リチウムイオン電池のリサイクルを推進し、循環型社会の形成への貢献を目指します。具体的には、製油所の設備を活用した廃プラスチックの油化リサイクルの実証試験や、EV普及によりニーズが高まる車載用リチウムイオン電池に含まれるレアメタルのリサイクルの事業化検討を進めます。また、中国の比亜迪(BYD)社の日本法人ビーワイディージャパン株式会社と協業し、EVバス向け蓄電池の「リース・リユース・リサイクル」循環モデルの構築を推進します。

一方、石油・天然ガス開発の分野では、知見のある東南アジアを中心に環境技術を展開し、グローバルな低炭素社会の形成に貢献することを目指します。また、CO2を回収・貯蔵するCCS技術に加え、CO2を油ガス田に圧入することで原油回収率を高めるCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・有効利用・貯留)技術にも取り組みます。米国CO2-EOR事業を通じて培ったCCUS技術を活用し、国営石油会社をはじめ戦略的パートナーと協同で事業性評価を実施します。

 

今後、当社グループは、「アジアを代表するエネルギー・素材企業」への成長・発展を目指し、第2次中期経営計画に沿って諸施策を迅速・着実に実行し、株主還元の充実に努めるとともに、事業活動を通じたESGの取組みを一層強化します。これらを実現することにより、企業価値の持続的な向上を図っていく所存です。

 

・新型コロナウイルス感染拡大の影響について

第2次中期経営計画のうち、2020年度下期、2021年度及び2022年度については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を合理的に算定することが困難なことから当影響は含まれていません。2020年度上期については、足元経済の停滞は避けられず、石油製品等における一定の需要減等の影響を織り込んでいます(*)。現時点で見込むことが困難である2020年度下期以降については、世界経済の動向、国内における需要の回復状況に応じて、その時点の業績予想や第2次中期経営計画への影響について情報開示していきます。

 

(*)次期の連結業績予想について(2020年5月公表)

売上高:7兆3,400億円  営業利益:1,100億円  親会社の所有者に帰属する当期利益:400億円

なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、1,650億円を見込んでいます。

 

また、当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、お客様、お取引先及び従業員の安全確保、そして、安定的な操業継続に向けた感染拡大防止策に取り組んでいます。具体的には、政府や各自治体の対処方針等を総合的に勘案の上、在宅勤務や時差出勤の推進、WEB会議の活用等を通じて安全対策を講じています。

 

2【事業等のリスク】

当社グループでは、グループ経営に関するリスク事象に的確な対応を図るため「全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management: ERM)体制」を整備・運用しています。具体的には、毎年度グループ経営に甚大な影響を与えうるリスク事象を抽出した上で「重点対応リスク事象」を選定し、対応策の実行を進め、その取り組み状況を経営会議及び取締役会に報告するプロセスを導入しています。

当社グループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。

 

また、以下の事項とは別に、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制約等は、当社グループの事業に大きな影響を及ぼしています。今後も、その影響は不透明であることから、当社グループの財政状態及び経営成績に現時点では想定できない影響が及ぶ可能性があります。

なお、次期の連結業績予想(2020年5月公表)及び第2次中計経営計画では、新型コロナウイルスの影響として、石油製品等における一定の需要減等の影響を2020年度上期に織り込んでいますが、下期以降についてはその影響を合理的に算定することが困難なことから、当影響は含まれていません。

 

(1)市場リスク

・商品価格変動リスク

当社グループは、石油製品・石油化学製品・金属製品等の販売及びそれらの原料となる原油・銅鉱石等の鉱物の購入を行っていますが、これらの販売価格及び購入価格は商品市場価格の変動によって影響を受けることから、商品価格変動リスクに晒されています。

 

(エネルギーセグメント)

国内の石油製品のマージンは、主に原油価格と国内の石油製品市場価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、シェールオイルの生産動向、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の国内需要、海外石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品販売価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく変動します。また、石油化学製品のマージンも、原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給が緩和した場合は、原油・原料油価格の上昇を製品価格に転嫁することが困難になります。従って、原油価格、石油製品価格、石油化学製品価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(石油・天然ガス開発セグメント)

石油・天然ガス開発事業においては、原油及び天然ガス価格の上昇時には売上高が増加し、原油及び天然ガス価格の下落時には、売上高が減少します。従って、原油及び天然ガス価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(金属セグメント)

銅事業は、主として海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業、銅製錬事業、電材加工事業から成り、銅精鉱価格、製錬マージン、販売プレミアム及びその他金属市況等の影響を受けます。銅製錬事業は、海外鉱山から銅精鉱を購入し、電気銅を生産販売する買鉱製錬業(カスタムスメルター)であり、そのマージンは、主に製錬マージンと販売プレミアムからなります。海外銅鉱山開発事業及び海外銅鉱山への投資事業については、開発鉱山及び投資先鉱山が販売する銅精鉱等の価格が電気銅の国際価格に基づき決定されるため、国際価格が下落した場合には、売上高が減少します。製錬マージンは銅精鉱鉱山との交渉により決定されますが、銅鉱石品位の低下、資源メジャーによる寡占化の動きなどにより製錬マージンが低下する可能性があります。また、販売プレミアムは電気銅の国際価格に付加されるものであり、輸送経費、製品品質等の様々な要因を考慮して顧客との交渉により決定されるため、減少する可能性があります。電材加工事業の原材料は、金属市況等の変動により調達価格が変動します。これら原材料の調達価格が上昇し、電材加工製品価格に転嫁できない場合や、市況が期首棚卸資産の帳簿価額を大きく下回る場合、損益が悪化します。従って、銅精鉱価格、製錬マージン、販売プレミアム及びその他金属市況等の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・為替リスク

当社グループは、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。

 

    なお、当社グループでは、デリバティブ金融商品を利用したヘッジを行い、市場リスクを低減する対策を講じていま

 す。その具体的な取組については、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記21.金融商品 (2)財務リスク管理 ③市場リ

 スク」をご参照ください。

 

また、上記の市場リスクのうち、当社グループの経営成績に影響を及ぼす主要なリスクである外国為替相場、原油価格及び銅価格の市況変動による営業利益への影響額については、感応度を算定しています。次期の連結業績予想(2020年5月公表)へ与える市況変動の感応度は、下表のとおりです。なお、本感応度は一定の前提をおいて算定したもので、諸条件の変化によって影響額も変動します。

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(2)環境規制に関するリスク

当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)気候変動に関するリスク

気候変動への対応に対して世界的に関心が高まるなか、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進められており、パリ協定に見られる低炭素社会への動きが加速し、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、想定を上回るスピードで石油製品需要が減少する可能性があります。その場合、石油精製販売、石油・天然ガス開発を主要な事業として営む当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)操業に関するリスク

当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、鉱山の崩落や天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。

 

(5)需要変動に関するリスク

当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況、社会情勢の影響を強く受けています。国内石油製品需要については、「低炭素社会」の実現に向けた動きが加速することを受けて、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換が進展し、今後も減少することが予想されます。石油化学製品の販売はアジア諸国での需要に大きく依存しており、これらの地域における需要の変動が当社グループの製品需要に大きな影響を与えます。電子材料部品・チタンなどの製品については、需要家が限定されており、特定の需要家の経営環境が当社グループの製品需要に大きな影響を与えます。建設事業についても、公共事業又は民間設備投資(居住用不動産の建設を含む)の動向が、当社グループの建設事業需要に影響を及ぼします。これら当社グループの需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っていますが、予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)競合に関するリスク

当社グループは、様々な市場で激しい競争にさらされています。特に国内石油精製販売事業においては、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況を更に加速する可能性があります。また、電材加工事業は、技術革新及び顧客ニーズの急速な変化を伴う事業環境下にあり、競合他社との競争に絶えず晒されています。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)原料供給源に関するカントリーリスク

当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の、銅精鉱は南アメリカ、東南アジア及びオーストラリアの、それぞれに限られた供給源に大きく依存しています。こうした国・地域における政治不安、社会混乱、労働争議、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)資源開発に関するリスク

当社グループが行っている油田・天然ガス田、石炭・銅鉱床における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分に確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力低下につながる可能性があります。

 

(9)石油・天然ガスの埋蔵量確保に関するリスク

国際的な資源獲得競争により、当社グループが石油・天然ガスの埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等により、商業ベースの生産が可能な埋蔵量をどのように確保できるかにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、石油・天然ガス埋蔵量の見積りは、地質学的、技術的、経済的情報に基づいた主観的判断や決定を伴うため、正確に測定することが困難であり、進歩する回収技術の適用や生産活動を通じた新たな情報に基づいて大幅な修正が必要となる可能性があります。実際の埋蔵量が見積りを下回った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)石油・天然ガス開発機材に関するリスク

石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは、第三者から掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、機材及びサービス提供の価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11)第三者との提携、事業投資に関するリスク

当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を上げることができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)事業の再構築に関するリスク

当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の損失が発生する可能性があります。当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)設備投資及び投融資と減損に関するリスク

当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。それにより、当社グループが所有している有形固定資産、のれん及び無形資産について投資額の回収が見込めなくなった場合には、これを反映させるように帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(14)繰延税金資産に関するリスク

当社グループの繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で金額を計上しています。課税所得発生の時期及び金額は、合理的な見積りに基づき決定していますが、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(15)棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げと棚卸資産評価に関するリスク

当社グループは、多額の棚卸資産を所有しており、原油、石油製品、レアメタルの価格下落等により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切り下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、原油、石油製品等棚卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格の上昇局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格の下落局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)有利子負債に関するリスク

当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等に制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払いのために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等、様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)確定給付債務に関するリスク

当社グループは確定給付制度を含む退職給付制度を有しています。これらの各制度に係る確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定されます。数理計算上の仮定には、割引率等、様々な変数についての見積り及び判断が求められます。これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、将来の不確実な経済状況の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記19.従業員給付 (2)確定給付制度 ⑥感応度分析」をご覧ください。

 

(18)信用に関するリスク

当社グループは、保有する売掛金などの金融債権が、債務者(取引先)の信用悪化や経営破綻などにより債務不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクに晒されています。当該リスクに対応するために、与信管理規程等に基づき取引先ごとに与信限度額を設けた上で、取引先の財務状況等について定期的にモニタリングし、債権の期日及び残高を取引先ごとに適切に管理することにより、回収懸念の早期把握を図っています。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態の悪化を受けて、保有する金融資産が回収不能になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(19)知的財産に関するリスク

当社グループは、事業遂行のため、特許権等の知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤリティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)内部統制システムの構築に関するリスク

当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスク管理等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)情報システムに関するリスク

当社グループは、生産・販売・会計などのプロセスに関する電子データを、さまざまな情報システムやネットワークを通じて利用しています。これらの情報システムには安全対策が施されているものの、地震等の自然災害やサイバー攻撃を含む事象等により、情報システムに予期せぬ障害が発生し、業務が停止する可能性があります。その場合、当社グループの生産・販売活動に支障を来たすとともに、取引先の事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)個人情報の管理に関するリスク

当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を保有しており、それらに保護対策等を実施して適切に管理していますが、こうした対策に今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、今後、仮に顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

<当社グループを取り巻く環境>

当連結会計年度における世界経済は、米国では堅調に推移したものの、中国が米中貿易摩擦の影響で減速し、欧州も力強さを欠いたことから、総じて成長が鈍化し、さらに、当連結会計年度末にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大により急激に悪化しました。

アジアの指標原油価格であるドバイ原油の価格は、期初は1バーレル当たり68ドルでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に需要減退が懸念されたことに加え、一部産油国の原油増産表明による供給過剰が意識されて大幅に下落し、当連結会計年度末時点では1バーレル当たり23ドルとなりました。

銅の国際指標価格であるLME(ロンドン金属取引所)銅価格は、期初は1トン当たり6,498ドルでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化懸念により大きく下落し、当連結会計年度末時点では1トン当たり4,797ドルとなりました。

日本経済は、上半期は、緩やかな回復基調で推移したものの、下半期に入ると弱含みの様相を呈し、さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に起因した経済活動の停滞により急激に落ち込みました。こうした経済情勢に加え、国内の石油製品需要については、低燃費車の普及によるガソリンの減少、記録的な暖冬の影響を受けた灯油の減少など、総じて前連結会計年度を下回りました。

 

<連結業績の概要>

当社グループは、第1次中期経営計画(2017年度から2019年度まで)に掲げた目標を達成すべく、基幹事業の収益力強化及びキャッシュ・フローと資本効率を重視した経営に精力的に取り組みました。

しかしながら、期末にかけて原油価格が大幅に下落し、在庫評価による損失を計上したことや石油・天然ガス開発事業における減損損失の計上等から、第1次中期経営計画の最終年度である当連結会計年度の連結業績は、売上高は前年同期比10.0%減10兆118億円、営業損失は1,131億円(前年同期は5,371億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,879億円(前年同期は3,223億円の利益)となりました。なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた場合の営業利益は967億円(前年同期は5,157億円)となりました。

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(注)上図内の原油代、銅価、為替レートは期平均値です

 

  セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

エネルギー事業

国内で燃料油需要の減少が続く一方、海外では潤滑油や石油化学製品などの需要が中長期的に着実に増加する見込みです。このような事業環境下、エネルギー事業においては、将来にわたり国内のエネルギー安定供給の使命を果たすとともに、持続的な成長を目指して、コア事業の競争力強化と次世代の柱となる事業の育成・拡大に努めました。

ア事業の競争力強化

石油精製販売・化学品事業については、製造、供給、購買等の各部門において徹底的な合理化・効率化を継続し、第1次中期経営計画で定めた目標(1,000億円)を上回る1,225億円の統合シナジーを創出しました。

生産面では、2019年4月に、室蘭製造所の生産を停止して物流拠点化し、また、川崎製油所と川崎製造所の組織を一体化し、操業を効率化しました。中国石油国際事業日本株式会社との合弁会社(大阪国際石油精製株式会社)が運営する大阪製油所については、2020年10月を目途に精製機能を停止し、アスファルト発電の事業所として再構築することを決定しました。加えて、同社が運営する製油所を千葉製油所に変更し、中国石油国際事業日本株式会社との協業を継続することを検討しています。さらに、鹿島コンビナートにおいては、三菱ケミカル株式会社との共同出資による有限責任事業組合を設立し、鹿島製油所における製造プロセス効率化、生産最適化及び廃プラスチックのケミカルリサイクル推進を目指して、各種検討を開始しました。

販売面では、お客様の利便性を一層向上させるため、2019年6月にサービスステーション(SS)の「ENEOS」へのブランド統一を完了するとともに、新しいセルフSSブランドである「EneJet」の展開強化、キーホルダー型のスピード決済ツールである「EneKey」の導入など、諸施策を推し進めました。また、国内最大のSSネットワークを「生活プラットフォーム」へと進化させるべく検討を重ね、SSにおけるコインランドリー併設事業の実証試験を推進したほか、広島市でデリバリー型カーシェアリングサービスの実証試験を開始しました。

次世代の柱となる事業の育成・拡大

電気事業については、上半期に関西・中部エリアで「ENEOSでんき」の販売を開始し、また、家庭向け電気小売事業のブランドを「ENEOSでんき」に統一しました。さらに、下半期には供給地域を東北・四国エリアにも拡大し、積極的な販売活動を展開した結果、当連結会計年度末時点での契約件数は合計約69万件となりました。2020年4月からは北陸・九州エリアで、6月からは北海道・中国エリアで「ENEOSでんき」の販売を開始し、着々と全国のエリアに展開しました。また、国内での事業展開に加え、米国オハイオ州において、当社グループとして初となる海外天然ガス火力発電事業に参画しました。ガス事業については、大需要地である関東圏で「ENEOS都市ガス」の拡販を図り、当連結会計年度末時点で約6万件の契約を獲得したほか、海外では、戦略的パートナーであるVietnam National Petroleum Group社との間で、ベトナムにおけるLNG事業の実現に向けた共同検討を開始しました。

他方、低炭素・循環型社会の到来を見据えた中長期的な取組みとして、水素事業については、全国41か所で「ENEOS水素ステーション」を運営し、さらに3か所の水素ステーションの建設に着工したほか、CO2フリー水素の商用化に向けた検討に着手し、国際的なサプライチェーンの構築に向けた実証事業を進めるため、技術研究組合に参画しました。さらに、再生可能エネルギー事業については、新たに設置した専門組織の下、競争力の高い再生可能エネルギー電源の開発・運営を目指すべく、台湾最大級の洋上風力発電事業に参画し、また、リニューアブル・ジャパン株式会社と業務・資本提携しました。加えて、室蘭市においてバイオマス発電所の建設を着実に進め、商業運転を2020年5月より開始しました。

技術立脚型の事業については、潤滑油事業の海外展開を進め、フィリピンに潤滑油販売会社を設立して営業を開始し、また、機能材事業では、健康食品原料の開発・製造・販売をグローバルに手掛けるインドのOmniActive Health Technologies社と健康食品向けカロテノイド事業分野で協業を開始しました。

 

(エネルギー事業の業績)

こうした状況のもと、エネルギー事業の売上高は前年同期比11.2%減8兆4,194億円、営業損失は1,628億円(前年同期は3,754億円の利益)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は、石油化学製品の価格が中国における大型新設設備の稼働開始を背景に供給過剰となったことで低迷し、また、新型コロナウイルスの感染拡大、記録的な暖冬等の影響を受けた各種製品の減販及び原油価格の大幅な下落に伴う石油製品のマージン悪化があったことにより、前年同期比3,104億円減益の437億円(前年同期は3,541億円)となりました。

 

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石油・天然ガス開発事業

●原油・天然ガスの生産量

当連結会計年度においては、英国北海のカリーンガス田、マリナー油田等で生産を開始したものの、マレーシアSK8鉱区の返還等の要因により、原油・天然ガスの生産量は、前期と同じく原油換算で日量10万5千バーレルとなりました。

生産拡大に向けた取り組み

マレーシアにおいては、2017年5月から天然ガスを生産しているSK10鉱区内のラヤン油ガス田において、浮体式生産貯油出荷設備(FPSO)の設置工事が完了し、2019年12月に原油の生産を開始しました。

英国北海においては、2013年に開発移行を決定したマリナー油田及び2015年に開発移行を決定したカリーンガス田で、生産井の掘削、生産プラットフォームの設置、パイプラインの敷設等の長期にわたる開発工事が完了し、カリーンガス田では2019年6月に天然ガスの生産を開始し、マリナー油田では2019年8月に原油の生産を開始しました。カリーンガス田及びマリナー油田の開発・生産プロジェクトは、近年の英国北海における大規模プロジェクトとして、オペレーターをはじめとする事業パートナー各社とともに開発工事を進めてきたものであり、今後、長期にわたって当社グループの原油・天然ガス生産を支え、キャッシュ・フローの創出に貢献する重要なプロジェクトと位置付けています。

また、ベトナムにおいては、2008年から原油・天然ガスを生産しているフンドン油田について、長年の安定操業実績等が同国政府に評価され、2020年4月までとなっていた権益期間の5年間の延長が認められました。フンドン油田が位置するベトナム沖15-2鉱区内では、ランドン油田で原油・天然ガスを生産しており、両油田一体で追加開発を進めることにより、事業価値のさらなる向上が期待できます。

EOR技術及びCCS技術に関する取組み

米国においては、火力発電所の燃焼排ガスから回収したCO2を老朽化した油田に圧入するプロジェクトに引き続き取り組みました。このプロジェクトでは、2017年4月からの累計で367万トンのCO2を油田に圧入しており、EOR(Enhanced Oil Recovery:石油増進回収)技術による原油増産効果に加え、温室効果ガスの排出削減に大きく貢献しています。また、EOR技術に関するさらなる知見・技術を獲得し、既存の油田における原油回収率を向上させることを目的として、2019年11月には、界面活性剤を利用したケミカルEORの最先端の研究開発を行っているテキサス大学オースティン校と、ケミカルEORに関する委託研究契約を締結しました。

一方、2020年3月には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構とともに、マレーシアの国営石油会社ペトロナスとの間で、ガス田から排出されるCO2を回収し、再度地下に圧入するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留)技術を用いたガス田開発に関する共同スタディ契約を締結しました。

(石油・天然ガス開発事業の業績)

こうした状況のもと、石油・天然ガス開発事業の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大による需要の急減、一部産油国の原油増産表明に起因する原油価格の下落により、前年同期比10.6%減1,334億円となりました。また、この価格下落を受けて、保有資産を再評価した結果、多額の減損損失を計上し、営業損失は388億円(前年同期は378億円の利益)となりました。

 

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金属事業

国際競争が激化する環境下、技術立脚型の事業展開により高収益体質を構築し、先端素材で持続可能な社会に貢献することを目指して、2019年6月に、「2040年 JX金属グループ長期ビジョン」を策定しました。同ビジョンでは、技術による差別化をキーワードに、金属グループの各事業を、組織基盤を支える「ベース事業」と成長戦略のコアとする「フォーカス事業」に分け、それぞれの特性に応じた施策の展開と、技術立脚型新規事業の不断の創出を掲げました。

●「ベース事業」の取組み

資源事業については、カセロネス銅鉱山において、自動制御プログラムの導入を進めて処理量を向上させるとともに、コスト管理を徹底した結果、前期に引き続き営業黒字を達成し、また、チリのロス・ペランブレス鉱山の操業も順調に推移しました。

製錬事業については、三井金属鉱業株式会社との合弁事業運営体制を見直し、2020年4月に、佐賀関製錬所と日立精銅工場を合弁会社(パンパシフィック・カッパー株式会社)からJX金属株式会社の完全子会社に移管しました。この体制変更により独自に両拠点を運営できることとなったため、環境リサイクル事業との統合を深化させ、原料構成を最適化するなど、さらなる競争力向上を図ります。

●「フォーカス事業」の取組み

EV等の急速な普及に伴う使用済み車載用リチウムイオン電池の資源循環利用の需要増加を見据え、使用済み電池に含まれるレアメタルを再び車載用電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実現に向けた技術開発を加速すべく、車載用リチウムイオン電池からバッテリーグレード金属塩を回収する実証試験装置を日立事業所に設置し、稼働させました。また、2020年4月に設置した専門組織の下、使用済み車載用リチウムイオン電池からのレアメタル回収・再利用技術の開発や、社会的な体制づくりを推進します。

機能材料事業については、スマートフォンの需要調整を主因に、圧延銅箔の販売が低調に推移したものの、薄膜材料事業については、裾野の広い半導体需要に支えられ、厳しい局面下においても半導体用スパッタリングターゲットの販売は堅調さを維持しました。両事業については、中長期的にはIoT・AI社会の進展や第5世代通信(5G)の普及による需要の拡大が見込まれることから、これを取り込むべく、スパッタリングターゲット、圧延銅箔及び高機能銅合金条の製造設備増強を進めました。また、高機能金属素材の一層の生産能力増強と安定供給を目指し、2019年8月に、株式会社日本製鋼所と銅合金の溶解及び鋳造を行う合弁会社(室蘭銅合金株式会社)を設立しました。

タンタル・ニオブ事業については、2018年7月に買収したH. C. Starck Tantalum and Niobium社(ドイツ法人)と同社の管理会社であるJX Metals Deutschland社とを合併し、組織の簡素化、意思決定の迅速化を図るなど、経営管理体制の強化を図りました。

チタン事業については、東邦チタニウム株式会社が出資するサウジアラビアのスポンジチタン製造合弁事業会社が工場の操業を開始し、2020年1月にスポンジチタンを初出荷しました。また、チタン製造技術を応用した電子部品材料である「超微粉ニッケル」については、通信機器の高機能化、自動車の電装化、5Gの普及等による需要増が期待されることから、供給体制を強化すべく、東邦チタニウム株式会社は、2019年10月に若松工場内に新工場の建設を決定しました。

さらに、フォーカス事業の収益規模拡大のため、技術立脚型新規事業を不断に創出すべく、2019年6月から、フランスのAgorize社と共同でアクセラレータープログラム「Innovation Challenge for the Next Generation」を実施しました。先端素材、高機能・多機能材料及びリサイクル技術などの幅広い領域で、世界中のスタートアップ企業総勢71社からアイデアが提案され、今後、同プログラムで入賞した各社とは、共同開発・資本提携など様々なパートナーシップの可能性を検討します。このほか、2019年12月には、英国のスタートアップ企業であり、金属3Dプリンター向けの合金設計等に関する先端技術を有するOxMet Technologies社に出資しました。また、2020年1月には、非鉄・資源産業界が抱える共通課題の抽出と地球規模の課題解決への貢献を目指して、国立大学法人京都大学大学院総合生存学館(思修館)と「SDGs実現に向けた包括共同研究促進協定」を締結しました。

(金属事業の業績)

こうした状況のもと、金属事業の売上高は、前年同期比3.6%減1兆44億円、営業利益は446億円(前年同期は682億円)となりました。在庫影響を除いた営業利益相当額は、新型コロナウイルスの感染拡大により世界的な景気後退が懸念されて銅価格が大きく下落した影響等により、前年同期比202億円減益の479億円(前年同期は681億円)となりました。

 

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その他の事業

その他の事業の売上高は前年同期比3.8%減5,074億円、営業利益は411億円(前年同期は424億円)となりました。

●株式会社NIPPO

株式会社NIPPOは、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当連結会計年度は、公共投資が堅調に推移しましたが、労務費や原材料価格の上昇など、経営環境は予断を許さない状況が続きました。このような環境下、同社は、技術力を活かした受注活動を展開するとともに、一層のコスト削減・効率化に取り組み、収益確保に努めました。

なお、同社は、2019年7月30日付で、公正取引委員会から、アスファルト合材の販売価格にかかる独占禁止法違反行為があったことを認定されたものの、課徴金減免制度の適用が認められ、課徴金の納付を命じない旨の通知を受け取りました。同社は、遅くとも2011年3月頃から2015年1月27日までの間、他の事業者8社と共同して独占禁止法違反行為を行っていたとの公正取引委員会の認定を厳粛に受け止め、他の事業者とアスファルト合材の販売価格に関する情報交換を行わないことを監視する体制の構築、独占禁止法遵守にかかる社内規程類の整備及び周知徹底などの再発防止策について、取締役会で決議し、徹底しています。当社としても、引き続き同社を指導していきます。

上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高528億円(前年同期は704億円)が含まれています。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

5,589,229

89.0

石油・天然ガス開発

135,103

90.7

金属

875,586

100.0

その他

115,577

102.9

合計

6,715,495

90.5

(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

イ.受注実績

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エネルギー

8,414,259

88.8

石油・天然ガス開発

133,364

89.4

金属

1,002,104

96.4

その他

462,047

99.3

合計

10,011,774

90.0

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フローの概況

①流動性と資金の源泉

当社は、効率的で安定的な資金の確保と、事業活動のための流動性の維持を、財務活動の取り組みとして重視しています。効率的な調達に向けて、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と、金融機関からの借入等の間接金融を、機動的に選択しています。

当社は安定的な資金の確保に向けて、直接金融市場への継続的なアクセスを図るとともに、間接金融についても原油備蓄資金のための制度融資なども活用しており、政府系金融機関及び市中金融機関と幅広く関係を維持し、調達ソースの多様化を図って十分な流動性を確保しています。

また、金融市場の環境変化にも対応できる流動性を維持するために、現金及び現金同等物を確保する他、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では4,500億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。

連結における資金管理では、当社を中心に集中して資金調達を行い、国内外の金融子会社を通じてグループ各社に資金を配分するというグループファイナンス制度を設けています。その運営においてキャッシュマネジメントシステムを活用しており、流動性資金の一元管理及び効率化を実現しています。

当社は、資金調達とグローバルなビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)、ムーディーズ・ジャパン(ムーディーズ)の3社から格付けを取得しています。3社の2020年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがA+(見通し安定的)/a-1、JCRがAA-(見通し安定的)/J-1+、ムーディーズがBaa2(見通し安定的)/(短期は取得無し)となっています。

 

②連結財政状態計算書

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)第1次中期経営計画(2017年度から2019年度まで)の成果」に記載のとおり、当社は、経営基盤の強化の一環として、財務体質の改善を目指し、統合シナジーを含めた利益最大化、設備投資の厳選、資産売却の積極的な推進や運転資本の圧縮等に取り組みました。

その結果、第1次中期経営計画の最終年度である当連結会計年度では、年度末にかけての急激な事業環境の悪化により多額の当期損失を計上し、ネットD/Eレシオは前連結会計年度末比0.11ポイント悪化したものの、目標値である0.70倍(資本合計ベース)を達成し、一定の財務基盤を確立しました。

なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比3.3ポイント減少し28.8%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比98.11円減少の718.28円となりました。

 

また、資産、負債及び資本の主な増減要因は以下のとおりです。

ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比4,665億円減少8兆113億円となりました。増加要因として、IFRS第16号「リース」の適用に伴う使用権資産※の増加がありました。一方、減少要因として、油価下落による棚卸資産の減少があったこと、更に、前連結会計年度末日の増加要因であった休日の影響がなくなったことにより営業債権の減少等もあり、全体として減少しました。

 ※当該使用権資産は連結財政状態計算書上の有形固定資産に含めています。

イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比546億円減少5兆3,034億円となりました。増加要因としてIFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債の増加があったものの、一方で前連結会計年度末日の増加要因であった休日影響がなくなったことによる営業債務の減少等があり、全体として減少しました。また、手元資金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比687億円増加の1兆8,988億円となりました。

ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、配当金の支払及び自己株式の取得といった株主還元に係る減少要因と当期損失を計上したことにより、前連結会計年度末比4,119億円減少2兆7,079億円となりました。

 

③連結キャッシュ・フロー

当社は、第1次中期経営計画の基本方針として「キャッシュ・フローと資本効率の重視」を掲げ、3か年累計でフリーキャッシュ・フローを5,000億円創出することを経営目標として取り組みました。当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(IFRS第16号「リース」適用除き)は、794億円に留まったものの、3か年累計では8,287億円を創出し、目標を大きく上回りました。第2次中期経営計画においても基本方針の柱の一つに「長期ビジョン実現に向けた事業戦略とキャッシュ・フローを重視した経営の両立」を掲げて、基盤事業からのキャッシュ・フローを最大化し、財務基盤の健全性維持とキャッシュ・フローの適正な配分を行っていきます。

なお、当連結会計年度の各キャッシュ・フロー(IFRS第16号「リース」適用)の状況と主な要因は以下のとおりです。

ア.営業活動によるキャッシュ・フロー

多額の当期損失を計上したものの、評価性(非金融資産の減損損失等)損失も多く、更に、在庫影響(*)を除いた営業利益は967億円であったことや、油価下落による棚卸資産の減少や減価償却費の増加(IFRS第16号「リース」適用の影響含む)もあり、5,107億円のプラスとなりました。

(*)総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響

.投資活動によるキャッシュ・フロー

主として再生可能エネルギーへの投資や、製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資、石油・天然ガス開発事業への投資により、3,713億円のマイナスになりました。

ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー

コマーシャル・ペーパーの増加等があったものの、配当金の支払及び自己株式の取得といった株主還元施策、長期借入金の返済やリース負債の返済により1,198億円のマイナスとなりました。

 

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,933億円となり、期首に比べ144億円増加しました。

 

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(4)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定を適用しています。

重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記3、4」をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)「基本協定書」(契約当事者:新日本石油株式会社及びコスモ石油株式会社、締結日:1999年10月12日)

企業の枠組みを超えて抜本的なコスト削減策を講じるため、仕入、精製、物流及び潤滑油(生産・配送)の各部門において業務提携を行うことについて約したものです。

 

(2)「合弁契約書」(契約当事者:日鉱金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社、締結日:2002年6月21日)

両社の合弁会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(JX金属株式会社の出資比率67.8%。以下「PPC」という。)を中心とした銅製錬事業に関する包括的な業務提携を約したものです。

なお、(4)及び(5)の契約に基づくPPCの事業再編に伴い、JX金属株式会社、三井金属鉱業株式会社及びPPCの3社間で、あらためて2020年2月12日付で、PPCを中心とした銅製錬事業(原料調達、委託製錬、製品販売等)に関する業務提携を約した合弁契約書を締結しており、当該合弁契約書に基づき、従来の合弁契約書は2020年4月1日付で解約されました。

 

(3)基本合意書」(契約当事者:JXTGエネルギー株式会社及び中国石油国際事業日本株式会社、締結日:2019年7月22日)

JXTGエネルギー株式会社と中国石油国際事業日本株式会社の合弁会社である大阪国際石油精製株式会社が運営する製油所を、現在の大阪製油所から千葉製油所に変更の上、協業継続の検討を進めることについて約したものです。

 

(4)「PPC製錬事業再編に係る基本合意書」(契約当事者:JX金属株式会社、三井金属鉱業株式会社及びPPC、締結日:2019年12月19日)

2020年4月をもって、PPC佐賀関製錬所及び日立精銅工場をJX金属株式会社が設立・運営する製錬子会社へ、PPC日比製煉所及び日比共同製錬株式会社玉野製錬所(PPC保有権益分63.51%)を三井金属鉱業株式会社が設立・運営する製錬子会社へ、それぞれ移管することについて約したものです。

 

(5)「PPC資源事業再編に係る基本合意書」(契約当事者:JX金属株式会社、三井金属鉱業株式会社及びPPC、締結日:2019年12月19日)

2020年4月をもって、PPCが保有するカセロネス銅鉱山に係る権益や探鉱案件など、PPCが行っている資源事業をJX金属株式会社及び三井金属鉱業株式会社が直接出資する合弁子会社に移管し、PPCは銅製錬事業(原料調達、委託製錬、製品販売等)に特化することについて約したものです。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。

 

(1)エネルギー (研究開発費 10,344百万円)

エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また社外との連携にも力をいれており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。

①燃料油・化学品製造技術分野

製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化を目指した研究を行っています。統合シナジー創出に貢献するため、技術的な検討を進めるとともに国際海事機関(IMO)による2020年からの舶用燃料油の規制強化に対応し品質確保のための処方検討などを通じて、安定供給の体制構築を支援しました。あわせて将来の自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けたプロセスや要素技術の開発、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。

②機能材分野

機能材分野では、透明性と高耐熱性を両立した透明ポリイミド用モノマー「エネハイド™」、麻里布製油所の高品位コークスを原料としたリチウムイオン電池(LiB)用負極材、優れた抗酸化性能を持つレアカロテノイド類を含む健康食品素材「AdoniCare™」、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、当社不織布「ミライフ®」をしわ加工する保温性不織布、ナノインプリント技術を活用した無機波長板「Nanoable®Waveplate」など、独自技術による新規商品の開発を推進しています。

また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。

③潤滑油分野

潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、産業用・環境配慮型グリースの開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。

④水素分野

水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。

⑤低炭素エネルギー分野

将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。一例として、再生可能エネルギーから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送が簡単な有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン)を低コストで得る技術を商業化に向けて開発しています。この有機ハイドライドから取り出した水素は「CO2フリー水素」ということが出来ます。

また、持続可能な未来社会実現に向けたイノベーション推進のため、早稲田大学との包括連携活動に関する協定書を締結し、CO2からの燃料・化学品製造技術の開発といった「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。

さらに、循環型社会の実現に向け、プラスチック資源に関する高度循環技術として「プラスチックの化学原料化再生プロセスの開発」に取り組んでいます。

⑥デジタル技術分野

デジタル技術を活用して自社の業務効率化に生かしていくことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援などの研究を推進しています。一例として、AI技術の産業応用に向けた先進的な検討を推進している世界的なトップランナーである株式会社Preferred Networksと戦略的な協業体制の構築に合意し、主にプラント自動運転や素材探索においてAI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。またデジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも想定し、ベンチャー企業などとの情報収集・交換を活発化させています。

 

(2)石油・天然ガス開発

該当事項はありません。

 

(3)金属 (研究開発費 9,867百万円)

①資源・製錬分野

源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適用への検討を進めています。

②環境リサイクル分野

境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。

③薄膜材料分野

薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。

④機能材料分野

機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。

⑤基盤技術開発

分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。

 

これらに、その他の事業における研究開発費735百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,946百万円です。