文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、その達成等を保証するものではありません。
アニコムグループは、社名に掲げた「ani(命)+communication(相互理解)=∞(無限大)」を企業活動の根源にすえています。これは、命のあるものすべてがお互いに理解し、尊重し合い、ともに一つの目的に向かって力を合わせることで、これまで不可能と思われていたことが可能になると考えているからです。
こうした考えのもと、私たちアニコムでは、ペット保険事業を柱に、この無限大の価値創造力を活かし、世界中に「ありがとう」を拡大することを、グループの経営理念として掲げています。

<中長期的な経営戦略>
近年、日本の15歳未満の人口は減少を続けており、約1,400万人である一方、犬猫の飼育頭数はそれを上回る約1,600万頭と推計されており、ペット業界の市場規模も2021年には1兆7,000億円へと伸長しています。また、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻等により人々の不安や孤独が高まる中、人々の不安や孤独を癒す存在としてペットの需要はますます高まっています。その結果、保険市場においてペット保険がとりわけ注目されるようになり、主要な保険会社による参入が相次ぐこととなりました。
これまで、当社グループは、anicomの名に込められた「全ての生命が、その違いを乗り越え相互に協力し合うことで無限の価値を産み出す」を経営理念とし、全ての生命が苦しみ等を受けることなく、光り輝く中でそのものの生を全うしていける社会を作ることを目指してまいりました。そして、2000年の創業以来注力してきた「予防型ペット保険の確立」に向けて、加入動物110万頭超、日々1万件以上の診療データと、それに紐づく遺伝子情報、フード、腸内細菌等の予防や健康増進実現に向けた多面的な解析を可能とするデータ群を得られるようになりました。これにより、傷病原因が遺伝子起因なのか、フード起因なのか等について、統計的に明らかにしていくことで、新たな価値創出が可能な「データの量が質に変化する」局面に遷移しております。また、当社グループの事業領域も、引き続き保険事業を中心としつつも川上の「ブリーディング・子犬猫のマッチングサポート」、川中の「健診付き保険・従来とは異なる個体に合わせたオーダーメイドフードの提供」、川下の「医療の提供」等と、新たな健康増進施策の機動的な投入を可能にすると共に、これまで当社グループを率いてきた保険事業にも好影響を与えあう有機的ポートフォリオを形成するに至りました。
<ペット保険事業とその他の事業のシナジー>

(川上から川中の施策)
当社グループ全体で進めているブリーディングサポート事業においては、出産効率を上げるための技術開発(幹細胞の活用や凍結精子利用技術等)、ブリーディング時の医療を支援するための往診サービス、生体販売を支援するための生体引き渡しセンター(こうのとり)の開設、繁殖管理システムの開発、ブリーディング場の賃貸提供など、ブリーダーを支援するための施策を拡充・進化させてきました。特に、生体引き渡しセンター(こうのとり)は、当社グループ直営の拠点を5拠点開設するなど、注力してまいりました。今後も引き続き当事業を重点施策と位置づけ、積極的なブリーダー支援策を講じることでペット業界の発展に寄与していきたいと考えています。
アニコム パフェ株式会社で実施している遺伝子検査事業においては、2022年度の遺伝子検査検体数が約9万2千件となりました。また、性格(行動)、品種、毛色、体質、親子判定などを一度に測定する技術開発を進めるなど、事業の拡充を進めてきました。今後も、新たな技術を活かしながら事業拡大・サービス拡充を進めていく予定です。
(川中から川下の施策)
アニコム パフェ株式会社で実施しているフード事業において、「健康は食から」・「医食同源」の考えのもと、保険ビッグデータとDNAに基づいた犬種別フード「みんなのごはん」シリーズの販売を開始しました。ブリーダーチャネルを中心に取次店の開拓を進めており、今後も、ブリーダーへの販売強化等を通じて、フード事業を拡大させていきたいと考えています。
アニコム先進医療研究所株式会社の動物病院事業については、現在、53病院となっており、これらの病院では、予防診療から再生医療まで、様々な診療を行っています。動物病院事業を展開・拡大していく中で、当社グループの強みであるカルテ管理システムの利用病院を広げ、そこから得られる医療データや保険金データを活用し、次世代の予防法の確立を目指していきたいと考えています。また、再生医療の普及のためにアニコムグループが中心となって立ち上げた「動物再生医療技術研究組合」は、2023年3月末時点で637の動物病院が加入し、2022年度で350を超える幹細胞の投与実績を達成しています。今後も再生医療の対象疾患の拡大と、新たな技術の投入を目指していきたいと考えています。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
<経営環境等>
2022年度のペット業界全般は、コロナ禍における特需的な飼育需要が落ち着いたことで、新規飼育頭数が前年比約3万頭減の約85万頭となりました。一方、国内のペット産業全体の市場規模については、ペットの家族化の進展により健康管理を意識する飼い主が増えたことなどから、約1.7兆円にまで伸長するとともに、国内のペット保険市場の普及率も18.6%にまで伸長しています。
[犬・猫の飼育頭数の推移及びペット産業の市場規模]

その他、2022年度はペット保険の注目度が増し、主要な保険会社による参入が相次ぐこととなりました。2022年11月には、アマゾン社の日本のペット保険への参入が明らかになった他、同月、米国No.1ペット保険会社のトゥルーパニオン社とアフラック社による共同参入も明らかになりました。また、日本の既存保険会社においても、日本生命社があいおいニッセイ同和社と提携してペット保険の販売を開始し、第一生命HD社が国内ペット保険No.2のアイペットHD社を完全子会社化するなど、ペット保険を取り巻く環境が一段と厳しさを増しています。当社グループは、そのような環境を進化圧と捉え、これまで培ってきたグループ全体のリソース全てを用いて、ペット保険事業の経営効率向上、ひいてはペット業界全体の経営効率向上を目指していきたいと考えています。
<中期経営計画2022-2024>
当社グループでは、2022年から2024年までの3年間については、2030年度の第二期創業期完了を見据えた経営ビジョン実現に向けた基盤を構築する第1フェーズと位置付け、資本・リスク・リターンのバランスを取りながら、株主還元の目線も重視するフェーズとし、主要経営数値目標と主要KPI目標を重要な経営上の指標としています。その1年目である2022年度の実績は次の通りです。
アニコム損保の新規の保険契約件数は21.8万件(前期比4.5%減)、保有契約件数は111.3万件(前期末比8.2%増)と堅調な伸長を継続しました。一方で、コロナ禍における特需的な飼育需要が落ち着いたこと等の影響を受けて、株式会社シムネットのブリーダーマッチングサイト成約数やアニコムパフェ株式会社の遺伝子検査数等が抑えられ、その他経常収益は減少しました。当社グループ全体としては、保険事業を中心に堅調に伸長したことで、最終的な当社グループの経常収益は565.2億円、経常利益は36.8億円となり、共に過去最高となりました。
配当性向については14.2%となり、2024年度目標である20%水準に向けて段階的に上昇させていく予定です。
単体ソルベンシー・マージン比率は373.1%で着地し、目標を上回る結果となりました。これは、アニコム損保のソルベンシー・マージン比率の算出に誤りがあったことが判明したためであり、今後は、2024年度300%~320%の目標水準に向けて、改めて最適な資本配分構成を目指していく予定です。また、中期的な保険の健全性に係る資本規制(リスク係数等)見直しの議論が規制当局で継続していることから、今後新たに創出されるリスク量を勘案しながら目標値の再設定を検討していくと同時に、引き続き保険金の削減や損害率の低減に努め、ペット保険事業等の強化に取り組んでいきたいと考えています。
2023年度も、「中期経営計画2022-2024」の目標達成に向けて策定した重点施策を着実に対応し、ペット保険の更なる普及と進化 注1)、および保険事業とのシナジー創出事業の拡大 注2)を通じて、ペット業界の更なる発展を目指すと共に社会の発展と同調するサステナブルな業界に変革し、同時に当社グループの着実な利益成長と資本効率の向上を進めてまいります。また、これらを支えるデータ収集基盤の活用と、特許を含めた知財化をより一層推進することで、中・長期的な持続的成長を目指してまいります。
注1)継続率向上・ホワイトレーベルの推進等のペット保険の独自性追求、保険金の削減・損害率改善、
販売チャネルの更なる拡大を含む保険獲得コストの削減、オペレーション改善等
注2)ヒト、モノ、カネ、データ、科学、医療をフル活用したブリーディングサポートの更なる強化、動物病院事業の拡大、
フード事業の拡大、再生医療を含めた先進医療の展開、共生不動産事業の拡大、検索・予約の強化等

[重点施策]

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ経営の考え方
当社グループでは、2022年5月に公表した「中期経営計画2022-2024」において、世界中の孤独と不安を癒すのみならず、人間に対しより積極的な生き甲斐提供を行うことや、子ども教育における原体験提供等を通じ、社会的課題の解決に貢献し、経済的価値と社会的価値を創造するサステナビリティ経営(CSV経営)を志向することとしており、これも踏まえ、2022年6月にサステナビリティ基本方針」を策定しました。本方針においては、「人」「どうぶつ」「環境」の3領域への貢献を通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。
当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全体で横断的に推進するため、経営意思決定機関である取締役会の監督の下、業務執行を担うグループ会社の取締役及び執行役員等で構成される「グループ経営会議」にて、半期に一回程度、サステナビリティに関する取組みの進捗について議論を行い、取締役会へ報告しています。
取締役会は、「グループ経営会議」にて議論された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針や実行計画等について議論を行っています。
(サステナビリティ推進体制)

「中期経営計画2022-2024」におけるサステナビリティ経営(CSV経営)を志向することの宣言を踏まえ、ペット業界で対応可能な社会的課題を抽出した上で、ペット業界全体の発展との連動性と寄与度を評価し、以下のマテリアリティを設定しています。
(社会的課題の解決とアニコムグループ事業との関係)

(マテリアリティ)

当社グループでは、「グループリスク管理基本方針」を制定し、当社グループの経営に影響を及ぼしうるリスクの予見・コントロールに努めるとともに、サステナビリティに関して特に環境変動を想定した応答活動を常に準備し、不測の事態にあってもサービスや商品の品質を維持し、事業継続ができるように、リスク管理体制の構築に努めています。また、リスク管理に関する会議体として「グループリスク管理委員会」を設置しており、サステナビリティに関する取り組みを含むグループの個別リスク管理の状況及び統合的に評価したリスクの状況等に関して議論を行い、取締役会へ報告等を行うことで、経営におけるリスク管理等の推進を図っています。
また、「グループ倫理規範」において、サステナビリティを追求するためにはリスク管理体制の構築及び内部統制の整備が必要不可欠であり、最善を尽くさなければならないことを明記しています。当社グループが保有するリスクを正しく認識するため、エマージングリスク(将来新たに発現し、当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク)も含めたリスクの概要を網羅的に洗い出し、サステナビリティに関するリスクを含めたリスク・プロファイルを定期的に作成しています。
当社グループで設定したマテリアリティに対する各数値目標については、以下の通りです。

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み)
昨今、世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内においても、異常気象による大規模な自然災害が多発するなど、今や気候変動は最も重要な社会課題の1つとなっています。
このような中、ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。
一方で、気候変動への対応は持続可能な社会の実現に不可欠であると認識しており、当社グループとしても取り組むべき課題であると捉えています。2022年6月に制定した「サステナビリティ基本方針」においても、重点課題として「環境への貢献」を位置づけており、温室効果ガスの排出量削減、廃棄物の削減と再利用の推進といった、気候変動への対応や生物多様性の保全に向けた活動に取り組んでいます。
2023年4月には、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言に基づく開示を行うことは、気候変動に対する当社取組みを推進するために有益であるととらえ、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」の4項目での開示対応を行っています。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスについては、サステナビリティ推進におけるガバナンスと一体で管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ経営の考え方 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
気候変動リスクの顕在化に伴う外部環境や事業環境の変化を想定し、リスク事象を洗い出すことで、当社グループへの影響を特定・評価しています。当社グループの事業に対する主な気候変動リスク・機会は以下の通りです。

③リスク管理
ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。そのうえで、気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ推進におけるリスク管理と一体で管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ経営の考え方 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標及び目標
当社グループではパリ協定の実現を目指し、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。気候関連リスク・機会の管理に用いる指標として、Scope1+2の実質温室効果ガス排出量を指標として定め、開示しています。
具体的には、「中期経営計画2022-2024」の期間に合わせ、Scope1+2実質温室効果ガス排出量について、2020年度を基準年度として2023年度に50%、2024年度に100%削減を目標として設定しています。また、今後はScope3についても算出対象の特定、排出量算出及び開示に取組み、2030年までに算出対象のScope3を含めた総排出量を2020年度と比較して最低50%削減、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指します。

(注)1.算定対象は当社及び連結子会社としています。一部動物病院等については、データ収集体制が整っていないため除外しています。
2.6.5ガスは算定対象外としております。
3.環境省・経済産業省が公表する「電気事業者別排出係数」の「調整後排出量」を用いて算出しています。
(3)人的資本
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる人的資本経営を目指し、取り組みを行っています。
①戦略
人材育成方針及び社内環境整備方針として「グループ人事管理基本方針」第3条において以下のとおり制定しています。
(基本理念) 第3条
(5)人材育成・能力開発
①グループ各社では、常にオープンで公平な教育機会を提供し、個々の能力や適性を尊重しながら互いに協力し自由に競い合うことで加速度的な成長を遂げることを目的とし、人材育成・能力開発に努める。
②グループ各社では、あらゆる状況において、ロール(役割)をプレイ(演技)する組織風土を醸成し、勇気をもって実践することによって自己成長を遂げ、真のプロ人材の育成に努める。
(7)福利・厚生
グループ各社では、社員とその家族の健康的で豊かな生活を支える一助として、個々の価値観、ライフスタイル、多様なニーズに対応した福利厚生制度の充実に努める。
②従業員の能力開発
常にオープンで公平な教育機会を提供する場として「アニコム大学」と称した教育体系を整備しており、階層別に必要なスキルや姿勢を身に着ける研修の他、社員向けの自己研鑽セミナーを実施しています。
獣医師等の専門人材については、グループ病院間を跨いだ症例検討や手術研修、学会参加費用補助など、真のプロ人材の早期育成を目指した能力開発を推進しています。

③全社員一人一特許戦略
サステナビリティを巡る難解な社会的課題を効果的に解決する組織を作るため、社員自身の自発的な探求心や使命感をベースに遂行していける仕組みづくりを企図しています。様々な個性を持った多様な人財が自由な発想で、かつより本気になって業務に取り組むことを可能にするアニコムグループ独自の仕組みです。職務遂行を通じてなされた個々人の努力やそこで得られた発見等をより個々人の存在と紐づけ、社会に広く認知させ伝達し、社会を豊かにするべく残されていくよう「全社員一人一特許(論文等)戦略」を実行しています。
④ダイバーシティ
女性活躍推進
「グループ人事管理基本方針」において、性別にこだわることなく、互いに尊重し合い、能力ある人材がその能力を最大限に発揮し活躍できる環境を提供することを定め、女性活躍の推進に取り組んでいます。
子育て支援
出産を迎えたほぼすべての女性が産休・育休を取得し、7割を超える男性が育休を取得しています。
また、育児休業の延長限度を、法定を超える「3歳」まで、短時間勤務制度も法定を超える「子どもが小学校6年生を修了するまでの間」活用できるようにし、育児と仕事を両立できるよう支援しています。
障がい者雇用
人事部門が主体となり、積極的に雇用を促進しています。入社後は必要に応じて配属部門に「支援担当者」を配置するメンター制度を採用し、個々の状況に応じた支援体制を構築しています。
配偶者の範囲拡大
就業規則において、特別休暇の対象となる結婚・出産・死亡における配偶者の範囲に同性のパートナーを含むことを明記しています。
⑤指標と目標

(注)1.算定対象は当社及び連結子会社(「No.5 有給取得率」を除く)
2.管理職の定義は「部下を持つ職務以上の者、並びに部下を持たなくともそれと同等の地位にある者」で「役員」を除く
3.株式会社シムネットを除く
4.定年退職等を除く自己都合による退職
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財務状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」等は、下記(2) のとおりです。これらのリスクを含む当社のリスクの管理強化のため、取締役会はリスク管理部を設置しグループ全体としてのリスク管理の推進を行っています。定性リスク/定量リスクの管理として、下記(3)のとおりリスク管理を推進しています。また、当社は、当社グループ各社が直面するリスクや、当グループ体制特有のリスクに見合った十分な自己資本等を確保し、効率性・健全性・持続性を確保した企業成長を具現化するために、下記(1)のとおり、ERM(統合的リスク管理)を推進しています。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断しています。
(1) ERMの推進
事業を進めるにあたり、リスクが存在することは必須です。そのリスクを「避ける」のではなく、リスクを直視し極力漏れなく洗い出し、期待収益等と比較・評価をする。そして、リスクをコントロールしながら収益を拡大させていくことが必要と考えています。
当社グループでは、安定的な事業成長や収益性を確保するために、「グループリスク選好基本方針」を定め、予防型保険の確立に向けたインフラ整備等に向けた中期経営計画を策定・開示しています。この中期経営計画および各年度の経営計画において、将来のペットマーケットなどの変化を前提にペット保険のトップライン・損害率・事業費及び事業投資等の管理を継続的に実施しています。
昨今、ペット保険の競争が激化していますが、当社では、この環境変化をリスクとしてだけ受け止めるのではなく、ペット保険のニーズの顕在化、と捉えて、拡販に向けた取り組みをさらに推進しています。そのうえで、さらなるリスク管理を推進するとともに、グループ間での適切な資本配賦運営を行うことにより自己資本を管理する体制を整えており、これらを適宜モニタリングすることで当社グループにおける自己管理型の統合的リスク管理を適切に行っております。当社グループ各社が直面するリスクや当グループ体制特有のリスクに見合った十分な自己資本等を確保しつつ、効率性・健全性・持続性を確保のバランスを取りながら企業成長を目指すために、ERM※の推進を実施しています。
※ERM(Enterprise Risk Management:統合的リスク管理)

(2) 主要なリスク等
当社グループの「主要なリスク」は、主たる事業であるペット保険事業がグループ全体の売上の約90%を占めていることを踏まえ、以下のとおり認識しています。
② その他のリスク
上記の「主要なリスク」のほか、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性のあるリスクを以下のとおり認識しています。
(a)事業中断等に関するリスク
当社グループでは、首都直下型地震等の大規模な自然災害や新型インフルエンザの大流行等の不測の事態に備え、事業継続計画の策定をはじめとする危機管理体制を整備しています。こうした危機管理体制を整備することにより、事業中断期間における事業への影響を一定程度に抑え、継続的に事業を継続する体制を整備しています。しかしながら、事業継続が阻害されたり、想定を超える影響が生じた場合には、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性があります。
(b)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、保険事業における契約者情報をはじめ代理店や動物病院情報等の顧客情報を取り扱っており、これらの情報を、グループ各社において情報管理体制を整備し厳重に管理しています。しかしながら、グループ各社または外部の業務委託先のシステムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等により情報漏えい事故が発生した場合には、社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(c)システムリスク
当社グループでは、自然災害、事故、サイバー攻撃等による不正アクセス及び情報システムの開発・運用に関する不備等により、情報システムの停止・誤作動・不正使用が発生するシステムリスクを一定程度に抑え、業務を継続的に運用できる体制を整備しています。しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発等により重大なシステム障害が発生し、対策が有効に機能せず、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、システムの誤作動や停止、それらに伴う損害賠償、行政処分やレピュテーションの毀損により、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、「グループリスク管理基本方針」などを定め、グループとしてのリスク管理を推進する体制としています。そして、グループ内の多様なリスクを管理するべくリスク管理部を設置し、リスク管理を推進しています。また、リスク管理の枠組みとしては、定性リスク管理および定量リスク管理として、以下のとおり推進しています。
当社グループでは、リスク管理を経営の最重要課題と位置づけ、取締役会は「グループリスク管理基本方針」等を定め、グループ内におけるリスク管理の基本方針として実行しています。
「グループリスク管理基本方針」では当社グループとしてリスクを予見しコントロールに努めるとともに、不測の事態にあってもサービスの品質維持、事業継続ができるよう日常業務における個別リスク管理体制の構築に努める旨を定めています。
また、当社子会社であるアニコム損保では、この基本方針に沿った「リスク管理基本方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っています。
当社グループでは、リスク管理に関する会議体としてグループリスク管理委員会を設置しており、本委員会にてグループの個別リスク管理の状況及び統合的に評価したリスクの状況等に関して議論を行い、取締役会へ報告等を行うことで経営におけるリスク管理等の推進を図っています。
[グループリスク管理体制]

当社グループのリスクの状況を把握する観点から、リスク・プロファイルを作成し、リスクの洗い出し、現状と対応状況、顕在化した場合の対応などを整理しています。リスクは変化することから、定期的な見直し等を行うことで、リスクの状況を継続的かつ網羅的に把握しています。また、エマージングリスク※については、社外のレポートを参考に定期的に洗い出しをすすめ、認識できていなかったリスクの洗い出しなどに努めています。また、リスクは時間とともに変化するため、リスク状況の変化を把握する観点から定期的にモニタリング(リスク管理点検)を行うとともに、重要なリスクについては、改善対策を行う必要性から、リスク管理計画を作成し、改善状況の進捗を把握・評価することで、リスク管理のPDCAの体制を整備しています。
※エマージングリスク:現時点では当グループの経営に大きな影響を与えるとは考えにくいが、将来、大きな影響を与える可能性のあるリスク
(a)内部モデルによるソルベンシー評価
「ペット保険」は新しい保険のため、現行の法定ソルベンシー・マージン比率の計算におけるリスク係数について「ペット保険」の区分が存在していません。そのため、当社のリスクが過大に評価され法定ソルベンシー・マージン比率は低めに算出されていると考えています。そのため、当社の実態に応じたソルベンシーを評価するために、リスク係数を含む内部モデルの作成/高度化を進めることが重要になっています。当社では、2017年度より、ソルベンシーの自己評価として内部モデルを継続的に作成し検討を行っています。
(b)ストレス・テスト
当社グループの経営に深刻な影響を及ぼしうるリスクを把握・管理するため、過去に発生したことがない仮想シナリオを含むストレスシナリオ、リバース・ストレス・テスト、感応度テストを定期的に実施し、自己資本等の充実度への影響度を分析しています。また、深刻な影響が見込まれる場合には、速やかに対応策を検討・実施する態勢を整備しています。
(4) 新ソルベンシー制度に向けた取り組み
中期的な保険の健全性に係る資本規制の見直しの議論が、規制当局で進んでいます。その中で、実態を反映したリスク係数の見直しが検討されており、「ペット保険」の区分追加が予定されています。現行のソルベンシー・マージン比率において「ペット保険」の区分はなく、原子力保険や盗難保険などと同じ「その他」種目としてリスク係数を適用することとされています。新制度において「ペット保険」の区分が追加されることにより、より当グループの実態に沿ったソルベンシー評価が可能になるものと期待しております。また、リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA:Own Risk and Solvency Assessment)をさらに推進することで、より効率性・健全性・持続性を確保した企業成長が推進できると考えています。
当連結会計年度におけるアニコムグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、景気回復の兆しが見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰や世界的なインフレと金融引き締めによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなり、景気の先行きについては引き続き注視を要する状況にあります。
このような状況の中、当社グループの中核子会社であるアニコム損害保険株式会社の重点施策と位置付けている「ペット保険の更なる収益力向上」に向け、販売チャネルの営業活動強化などに注力したことに加え、堅調なペット飼育需要が継続していることにより、業績については堅調に推移しています。なお、当社グループの当連結会計年度の連結経営成績は次のとおりです。
保険引受収益50,781百万円(前期比7.3%増)、資産運用収益834百万円(同22.7%増)、新規事業等を含むその他経常収益4,912百万円(同2.1%減)を合計した経常収益は56,528百万円(同6.6%増)となりました。一方、保険引受費用35,664百万円(同6.4%増)、営業費及び一般管理費15,350百万円(同4.7%増)などを合計した経常費用は52,842百万円(同6.0%増)となりました。この結果、経常利益は3,685百万円(同16.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,284百万円(同8.2%増)となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表(セグメント情報等)」に記載のとおり、“損害保険事業(ペット保険)”、“ペット向けインターネットサービス事業”、“その他の事業”です。
最近2連結会計年度の経常収益をセグメント別に示すと、次のとおりです。
<損害保険事業>
損害保険事業の経常収益は、前年同期比3,594百万円増(同7.5%増)の51,624百万円となりました。
アニコム損保では、コロナ禍における特需的なペット飼育需要が落ち着いたこと等の影響があったものの、重点施策と位置付けているペット保険の販売チャネルの拡大・強化や当社グループ独自のサービスである「どうぶつ健活」を付帯した保険商品の堅調な増加提供等によるお客様への訴求力が高まったこと等により、新規契約件数は218,695件(前年度比4.5%減)、保有契約件数は1,113,144件(前期末から84,313件の増加・同8.2%増)と堅調な伸長を継続しています。
〔新規契約件数・保有契約件数の推移〕 (単位:千件)
(新規契約件数) (保有契約件数)

E/I損害率注1)については、コロナ禍の行動変化の影響による通院頻度の高止まりや保険金単価の上昇もあったことなどから58.9%と前年同期比で0.8pt上昇いたしました。一方、既経過保険料ベース事業費率注2)は、規模拡大に向けた積極投資や「どうぶつ健活」(腸内フローラ測定+健康診断)の申込数の増加などを踏まえても、34.9%と前年同期比で1.8pt改善いたしました。この結果、両者を合算したコンバインド・レシオ(既経過保険料ベース)は前年同期比で1.0pt改善し93.8%となりました。
注1) E/I損害率:発生ベースでの損害率。
(正味支払保険金+支払備金増減額+損害調査費)÷既経過保険料にて算出。
注2) 既経過保険料ベース事業費率:発生ベースの保険料(既経過保険料)に対する発生ベースの事業費率
損保事業費÷既経過保険料にて算出
(ⅰ)保険引受業務
アニコム損保における保険引受の実績は以下のとおりです。
(イ) 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
(注)1.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものです。(積立型保険の積立保険料を含む)
2.諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(ロ) 正味収入保険料
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(ハ) 正味支払保険金
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
アニコム損保の資産運用実績は以下のとおりです。
(イ) 運用資産
(ロ) 有価証券
(注) 「その他の証券」は、証券投資信託の受益証券等です。
(ハ) 利回り
運用資産利回り(インカム利回り)
(注) 平均運用額は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。
(ニ) 資産運用利回り(実現利回り)
(注) 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。
(ホ) 資産運用利回り(実現利回り)にその他有価証券の評価差額等を加味した時価ベースの利回り(時価総合利回り)は以下のとおりです。
なお、資産運用損益等(時価ベース)は、資産運用損益(実現ベース)にその他有価証券に係る評価差額(税効果控除前の金額による)の当期増加額を加算した金額です。
また、平均運用額(時価ベース)は、平均運用額(取得原価ベース)にその他有価証券に係る期首評価差額(税効果控除前の金額による)を加算した金額です。
(イ)単体ソルベンシー・マージン比率
国内保険会社は、保険業法施行規則第86条及び第87条ならびに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づき、ソルベンシー・マージン比率を算出しています。アニコム損保における2023年3月期末のソルベンシー・マージン比率は、373.1%であり、健全性の基準値となる200%を上回っている状況であることから、十分な保険金等の支払能力を有しているものと認識しています。
アニコム損保の「ソルベンシー・マージン比率」については、以下のとおりです。
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条(単体ソルベンシー・マージン)及び第87条(単体リスク)並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しています。
<単体ソルベンシー・マージン比率>
・損害保険会社は、保険事故発生の際の保険金支払や積立型保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てていますが、巨大災害の発生や、損害保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。
・この「通常の予測を超える危険」に対して「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたのが「単体ソルベンシー・マージン比率」です。
・「通常の予測を超える危険」
保険引受上の危険①、予定利率上の危険②、資産運用上の危険③、経営管理上の危険④、巨大災害に係る危険⑤の総額をいいます。
・「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(ソルベンシー・マージン総額)とは、損害保険会社の純資産(社外流出予定額等を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、土地の含み益の一部等の総額です。
・ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。
(ロ)連結ソルベンシー・マージン比率
アニコム ホールディングス株式会社の「連結ソルベンシー・マージン比率」については、以下のとおりです。
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条の2(連結ソルベンシー・マージン)及び第88条(連結リスク)並びに平成23年金融庁告示第23号の規程に基づいて算出しています。
<連結ソルベンシー・マージン比率>
・連結ソルベンシー・マージン比率の計算対象となる範囲は、連結財務諸表の取扱いと同一です。
・「通常の予測を超える危険」
保険引受上の危険①、予定利率上の危険②、最低保証上の危険③、資産運用上の危険④、経営管理上の危険⑤、巨大災害に係る危険⑥の総額をいいます。
・「当社及びその子会社等が保有している資本金・準備金等の支払余力」とは、当社及びその子会社等の純資産(剰余金処分額を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、国内の土地の含み益の一部等の総額です。
・ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。
<ペット向けインターネットサービス事業>
株式会社シムネットにおいては、犬や猫を販売するブリーダーと飼い主のマッチングサイトや保護された犬や猫の譲渡の機会を提供する里親マッチングサイトの運営等の「ペット向けインターネットサービス事業」を行っており、当連結会計年度における経常収益は、1,750百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。同社が運営する「みんなのブリーダー」は日本最大のブリーダーマッチングサイトであり、このプラットフォームを活用することで、当社グループの中核事業である損害保険事業のペット保険契約件数の増加に向けた効果的・効率的な施策につなげるとともに、ブリーダーサポートサービスの拡大につなげています。
<その他の事業>
その他の事業の経常収益は、前年同期比86百万円減(同2.6%減)の3,152百万円となりました。
・動物病院支援事業
アニコム パフェ株式会社において、動物病院経営に必要となる顧客管理、レセプト精算、診療明細書の発行等の機能を有しているカルテ管理システム「アニコムレセプター」の開発、販売、保守等を行っており、当連結会計年度における経常収益は303百万円(前連結会計年度比9.0%増)となりました。
・保険代理店事業
アニコム パフェ株式会社において、ペット関連の取引先企業等に対して損害保険及び生命保険の募集・販売を行っており、当連結会計年度における経常収益は20百万円(前連結会計年度比32.5%増)となりました。
・動物医療分野における臨床・研究事業
アニコム先進医療研究所株式会社において、どうぶつ医療分野における基礎研究の推進、科学的根拠に基づく診療方法の確立及び、予防・先進医療の開発に向けた研究・臨床・開発等を行うとともに、地域獣医療のサポートとしての病院承継を行った結果、当連結会計年度における経常収益は1,811百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。アニコム先進医療研究所株式会社では、自ら動物病院を運営し、予防から1次・2次診療を展開しているところ、その過程で得られた医療データ等を活用し、次世代の予防法の確立を目指しています。
・遺伝子検査等事業
アニコム パフェ株式会社において、親と子の遺伝子検査を通じてペットが生まれてくる際の遺伝病を避けるべく、ペットショップ及びブリーダー向けに遺伝子検査の販売を行っております。加えて、どうぶつの健康チェックを目的とした腸内フローラ測定サービス(どうぶつ健活)の販売等を行っておりますが、遺伝子検査の検体受注の減少等により、当連結会計年度における経常収益は405百万円(前連結会計年度比32.0%減)となりました。
・その他事業
アニコム パフェ株式会社において、上記のほかに、オンラインショップ「アニコムパフェオンラインショップ」、各検査をキーにした「きみのごはん」(保険契約者向けが中心)や「みんなのごはん」(保険契約者以外も含む)の販売、ペットの健康に関する24時間365日の電話相談サービス「アニコム24」の提供、ペットを失った悲しみ(ペットロス)を支えるWEBサイト「アニコム メモリアル」の運営、動物関係者に特化した人材紹介サイト「アニジョブ」の運営等の新たな収益源確保を図ってきましたが、その他事業全体としての経常収益は611百万円(前連結会計年度比13.4%減)となっています。
②資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、2,772百万円増加して61,407百万円となりました。その主な要因は、現金及び預貯金の増加1,193百万円です。
負債の部は、前連結会計年度末に比べ1,903百万円増加して33,223百万円となりました。その主な要因は、保険契約の増加に伴う保険契約準備金の増加1,556百万円であります。なお、金融機関等からの借入金はありません。
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ、868百万円増加して28,184百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2,284百万円の計上によるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より143百万円増加し、27,835百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
保有契約の順調な増加により、責任準備金の増加額が1,272百万円となったこと等により4,422百万円の収入となり、前連結会計年度に比べると33百万円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
4,066百万円の支出となりました。主に有価証券の取得による支出であり、前連結会計年度に比べると1,418百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度では112百万円の支出、当連結会計年度では212百万円の支出となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの業務の性質上、生産、受注及び販売の実績として把握することが困難であるため、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しているとおり、経常収益の実績を記載しています。
①経営数値目標に対する進捗
当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、主要経営数値目標と主要KPI目標を重要な経営上の指標としています。当連結会計年度は「中期経営計画2022-2024」の初年度に当たりますが、各経営目標指標に対する進捗は、次のとおりです。
<主要経営数値目標に対する進捗>
主要経営数値目標については、項目毎に進捗の強弱はあるものの、「中期経営計画2022-2024」の初年度としては全体的に計画線上の進捗となりました。

当社グループでは、ROEについて、「中期経営計画2022-2024」の中では、2024年度目標としてROE10%水準を掲げておりますが、当連結会計年度のROEについては、8.2%と前年度の8.0%から改善しました。
当社の直近の株主資本コストである7.2%(※)と比較すると1.0ポイントのエクイティ・スプレッド(「ROE>資本コスト」)の水準となっていますが、ROE水準としては目標の10%水準との間には依然として乖離があり、今後は、ペット保険事業に加え、保険以外の事業の収益性や投資効率の改善を図ることで資本効率の向上を図り、エクイティ・スプレッドの拡大を目指していきたいと考えています。
(※)当社株主資本コストの算出
株主資本コストの算出には資本資産評価モデル(CAPM)を使用しており、国債などの安定資産の期待収益率、株式市場のリスクプレミアムに当社の株価変動率及び株式市場全体の変動率を加味した数値を用いて推計しています。
(株主)資本コスト = Rf(リスクフリーレート) + β(ベータ値) × マーケット・リスクプレミアム
(対TOPIX過去5年週次)
7.2% = 0.32% + 1.051 × 6.5%
<主要KPI目標に対する進捗>
保険事業については、損害率の上昇を事業費率の低減でカバーする形となり、コンバインド・レシオとしては順調な進捗となりました。また、シナジー創出事業については、2022年度が販売開始初年度のフード売上を新たに開示しています。

②財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは4,422百万円であり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、27,835百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、財務体質の健全性を維持しつつ、適切な資本配分による資本効率の改善と企業価値向上の実現に向け、営業キャッシュ・フローにより得られた資金を、再投資として、財務価値・非財務価値の双方に貢献度の高い案件(事業拡大投資+サステナビリティ投資)に優先的に配分すると同時に、段階的な株主還元の改善を図り、投資と還元のバランスに配慮した配分としています。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の項目については、連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。
売買目的有価証券以外の有価証券について、時価若しくは実質価額が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められるものを除き、減損処理を行っています。
保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等のうち、未だ支払っていない金額を見積り、支払備金として積み立てています。このうち既発生未報告損害に対する支払備金については、主に統計的見積法により算出しております。各事象の将来における状況変化などにより、支払備金の計上額が、将来の保険金支払額と異なる可能性があります。
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金等を積み立てています。当初想定した環境や条件等が大きく変化し、責任準備金等を上回る支払が発生する可能性があります。
固定資産については、のれんを含む資産グループに減損の兆候があり、かつ、当該資産グループに係る割引前将来キャッシュ・フローの合計が当該資産グループの帳簿価額を下回る場合に、減損損失を計上することとしております。
減損の兆候把握及び減損損失の認識判定に当たっては、各資産グループが使用されている事業の将来利益やキャッシュ・フローを予測する必要があり、これらの予測に当たっての主要な仮定は、各事業を取り巻く経営環境の変化や事業戦略の成否によって影響を受けるため、不確実性を伴うものであります。したがって、これらの仮定が変化した場合には、当連結会計年度末において減損損失の計上を不要と判断したのれん含む資産グループについて、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。
なお、のれんの評価に関する算出方法等、主要な仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき回収可能と認められる額を計上しています。
2023年3月末現在6,107社(病院数にして6,789件)と契約を締結しています。
2023年3月末現在、ペットショップ代理店1,418社(店舗数にして4,168店)、一般代理店499社(店舗数にして8,572店)と上記契約を締結しています。
該当事項はありません。