文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、その達成等を保証するものではありません。
アニコムグループは、社名に掲げた「ani(命)+communication(相互理解)=∞(無限大)」を企業活動の根源にすえています。これは、命のあるものすべてがお互いに理解し、尊重し合い、ともに一つの目的に向かって力を合わせることで、これまで不可能と思われていたことが可能になると考えているからです。
こうした考えのもと、私たちアニコムでは、ペット保険事業を柱に、この無限大の価値創造力を活かし、世界中に「ありがとう」を拡大することを、グループの経営理念として掲げています。

<中長期的な経営戦略>
近年、日本の15歳未満の人口は減少を続けており、約1,400万人である一方、犬猫の飼育頭数はそれを上回る約1,600万頭と推計されており、ペット業界の市場規模も2022年には1兆7,825億円へと伸長しています。また、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻等を経て人々の不安や孤独が高まる中、人々の不安や孤独を癒す存在としてペットの需要はますます高まっています。その結果、保険市場においてペット保険がとりわけ注目されるようになり、主要な保険会社による参入が相次ぐこととなりました。
当社グループは、それぞれの命が持つ個性の違いを互いに尊重しあい、分業協力することで、世界中に「ありがとう」を拡大することを経営理念としています。その実現のため、2000年の創業以来「予防型ペット保険の確立」に注力してまいりました。生れながらに遺伝的脆弱性を抱えるペットの健康のためには、後天的なケアが重要です。当社グループでは、加入動物120万頭超、日々1万件以上の診療情報による膨大なデータを活用し、病気のリスクを高める要因の特定や発症確率の解明を進めています。その分析結果から、遺伝的脆弱性をカバーするキーとなるのが、腸内細菌叢の多様性と口腔内ケアであると考え、更に研究を重ねております。また、当社グループの事業領域も、引き続き保険事業を中心としつつも川上の「ブリーディング・子犬猫のマッチングサポート」、川中の「健診付き保険・口腔・腸内ケア商材等の提供」、川下の「医療の提供」等と、新たな健康増進施策の機動的な投入を可能にすると共に、これまで当社グループを率いてきた保険事業にも好影響を与えあう有機的ポートフォリオを形成するに至りました。
<ペット保険事業とその他の事業のシナジー>

(川上から川中の施策)
当社グループ全体で進めているブリーディングサポート事業においては、出産効率を上げるための技術開発(幹細胞の活用や凍結精子利用技術等)、ブリーディング時の医療を支援するための往診サービス、生体販売を支援するための生体引き渡しセンター(こうのとり)の開設、繁殖管理システムの開発、ブリーディング場の賃貸提供など、ブリーダーを支援するための施策を拡充・進化させてきました。特に、生体引き渡しセンター(こうのとり)は、当社グループ直営の拠点を4拠点開設するなど、注力してまいりました。今後も引き続き当事業を重点施策と位置づけ、積極的なブリーダー支援策を講じることでペット業界の発展に寄与していきたいと考えています。
アニコム パフェ株式会社で実施している遺伝子検査事業においては、2024年度の遺伝子検査検体数が約6万6千件となりました。また、性格(行動)、品種、毛色、体質、親子判定などを一度に測定する技術開発を進めるなど、事業の拡充を進めてきました。今後も、新たな技術を活かしながら事業拡大・サービス拡充を進めていく予定です。
(川中から川下の施策)
アニコム パフェ株式会社で実施している健康イノベーション事業において、歯周病予防のためにMA-T™を利用した歯みがきジェル「CRYSTAL JOY」や、腸内フローラの多様性を高める「7Days Food」、愛犬・愛猫の食事を美味しく、健康的にサポートする「CARE PUREE」を販売しております。直営動物病院を中心に販路の開拓を進めており、今後も健康イノベーション事業を拡大させていきたいと考えています。
アニコム先進医療研究所株式会社の動物病院事業については、現在、58病院となっており、これらの病院では、予防診療から再生医療まで、様々な診療を行っています。動物病院事業を展開・拡大していく中で、当社グループの強みであるカルテ管理システムの利用病院を広げ、そこから得られる医療データや保険金データを活用し、次世代の予防法の確立を目指していきたいと考えています。また、再生医療の普及のためにアニコムグループが中心となって立ち上げた「動物再生医療技術研究組合」は、2025年3月末時点で809の動物病院が加入し、2024年度で492件の幹細胞投与実績を達成しています。今後も再生医療の対象疾患の拡大と、新たな技術の投入を目指していきたいと考えています。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
<経営環境等>
2024年度のペット業界全般は、コロナ禍以降減少していた新規飼育頭数が下げ止まり、前年比約3万頭増の約80万頭となりました。一方、ペットの家族化の進展により健康管理を意識する飼い主が増えたことなどから、国内のペット保険市場の普及率は21.4%にまで伸長しています。
[犬・猫の飼育頭数の推移及びペット保険の市場規模]

その他、2024年度はペットの長寿化や動物医療の高度化、インフレによる医療費上昇が続き、ペット保険への関心が更に高まる一方、競争激化や損害率上昇により、ネット型保険を中心に事業撤退が相次ぎ、合従連衡が進行しました。当社グループは、そのような環境変化も踏まえつつ、これまで培ってきたグループ全体のリソース全てを用いて、ペット保険事業の経営効率向上、ひいてはペット業界全体の経営効率向上を目指していきたいと考えています。
<中期経営計画2022-2024>
当社グループでは、2022年から2024年までの3年間については、2030年度の第二期創業期完了を見据えた経営ビジョン実現に向けた基盤を構築する第1フェーズと位置付け、資本・リスク・リターンのバランスを取りながら、株主還元の目線も重視するフェーズとし、主要経営数値目標と主要KPI目標を重要な経営上の指標としています。その最終年度である2024年度の実績は次の通りです。
アニコム損害保険株式会社の新規の保険契約件数は24.5万件(前期比10.1%増)、保有契約件数は128.7万件(前期末比7.9%増)と堅調な伸長を継続しました。一方で、株式会社フローエンスの子会社化などによって、その他経常収益は増加しました。当社グループ全体としては、保険事業を中心に堅調に伸長したことで、最終的な当社グループの経常収益は676.8億円、経常利益は49.4億円となり、共に過去最高となりました。
配当性向については20.2%となり、2024年度目標である20%水準を達成いたしました。
単体ソルベンシー・マージン比率は345.2%で着地し、目標を上回る結果となりました。今後も引き続き、最適な資本配分構成を目指していく予定です。また、保険の健全性に係る新たな資本規制(ESR及びリスク係数等)の導入が規制当局で予定されていることから、今後新たに創出されるリスク量を勘案しながら目標値の再設定を検討していくと同時に、引き続き保険金の削減や損害率の低減に努め、ペット保険事業等の強化に取り組んでいきたいと考えています。
2025年度は、「中期経営計画2025-2027」の初年度として、目標達成に向けて策定した重点施策を着実に実行し、どうぶつの一生を豊かで健康にする為の「入って健康になる保険」の実現に向けて、強みの「ペット保険事業」注1)と、どうぶつのライフステージに寄り添った「シナジー創出事業の拡大」 注2)の両輪
で、社会的価値と経済的価値の両立を目指していきます。
注1)予防型保険「アニコム」の独自性を追求した差別化、窓口精算システムによる高い顧客利便性と業務効率、
全国をカバーする営業力と多様な販売チャネル、豊富なデータの解析による新たな健康延伸サービス等の価値創出
多様な専門人材の積極的な登用 等
注2)口腔ケア・腸内ケア商材を中心とした健康イノベーション事業の拡大、マッチングサイト及びブリーディングサポート事業の拡大、手術支援ロボットを活用した高度先進医療の実用化と拡大
[重点施策]

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ経営の考え方
当社グループでは、2022年に公表した「中期経営計画2022-2024」において、世界中の孤独と不安を癒すのみならず、人間に対しより積極的な生き甲斐提供を行うことや、子ども教育における原体験提供等を通じ、社会的課題の解決に貢献し、経済的価値と社会的価値を創造するサステナビリティ経営(CSV経営)を志向することとしており、これも踏まえ、2022年6月に「サステナビリティ基本方針」を策定しました。本方針においては、地球環境をはじめとした様々な社会的課題に対して、ペット業界として対応可能なものとしてマテリアリティ(重要課題)を設定し、「人」「どうぶつ」「環境」の3領域への貢献を通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。

(バリューチェーンにおけるアニコムのCSV活動 [ESG/SDGs対応] )

① ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全体で横断的に推進するため、経営意思決定機関である取締役会の監督の下、業務執行を担うグループ会社の取締役及び執行役員等で構成される「グループ経営会議」にて、半期に一回程度、サステナビリティに関する取組みの進捗について議論を行い、取締役会へ報告しています。取締役会は、「グループ経営会議」にて議論された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針や実行計画等について議論を行っています。
(サステナビリティ推進体制)

② 戦略
「中期経営計画2022-2024」におけるサステナビリティ経営(CSV経営)を志向することの宣言を踏まえ、ペット業界で対応可能な社会的課題を抽出した上で、ペット業界全体の発展との連動性と寄与度を勘案し、以下のマテリアリティを設定しています。
(社会的課題の解決とアニコムグループ事業との関係)

(マテリアリティ)

③ リスク管理
当社グループでは、「グループリスク管理基本方針」を制定し、当社グループの経営に影響を及ぼしうるリスクの予見・コントロールに努めるとともに、サステナビリティに関して特に環境変動を想定した応答活動を常に準備し、不測の事態にあってもサービスや商品の品質を維持し、事業継続ができるように、リスク管理体制の構築に努めています。また、リスク管理に関する会議体として「グループリスク管理委員会」を設置しており、サステナビリティに関する取り組みを含むグループの個別リスク管理の状況及び統合的に評価したリスクの状況等に関して議論を行い、取締役会へ報告等を行うことで、経営におけるリスク管理等の推進を図っています。
また、「グループ倫理規範」において、サステナビリティを追求するためにはリスク管理体制の構築及び内部統制の整備が必要不可欠であり、最善を尽くさなければならないことを明記しています。当社グループが保有するリスクを正しく認識するため、エマージングリスク(将来新たに発現し、当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスク)も含めたリスクの概要を網羅的に洗い出し、サステナビリティに関するリスクを含めたリスク・プロファイルを定期的に作成しています。
④ 指標及び目標
当社グループで設定したマテリアリティに対する各数値目標は以下の通りです。実績については、「(2)重要なサステナビリティ項目」をご参照ください。

(2)重要なサステナビリティ項目
Ⅰ.気候変動への対応(TCFD提言への取組み)
昨今、世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内においても、異常気象による大規模な自然災害が多発するなど、今や気候変動は最も重要な社会課題の1つとなっています。
このような中、ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。
一方で、気候変動への対応は持続可能な社会の実現に不可欠であると認識しており、当社グループとしても取り組むべき課題であると捉えています。2022年6月に制定した「サステナビリティ基本方針」においても、重点課題として「環境への貢献」を位置づけており、温室効果ガスの排出量削減、廃棄物の削減と再利用の推進といった、気候変動への対応や生物多様性の保全に向けた活動に取り組んでいます。
2023年4月には、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言に基づく開示を行うことは、気候変動に対する当社取組みを推進するために有益であるととらえ、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」の4項目での開示対応を行っています。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンス及びリスク管理については、サステナビリティ推進におけるガバナンスと一体で管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ経営の考え方 ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
気候変動リスクの顕在化に伴う外部環境や事業環境の変化を想定し、リスク事象を洗い出し、当社グループへの影響を特定・評価しています。当社グループの事業に対する主な気候変動リスク・機会は以下の通りです。

③ リスク管理
ペット保険事業を主たる事業とする当社グループにおいては、自然災害を補償していないことから、他の損害保険会社のような損害の発生は想定されておらず、気候変動が直接的に当社グループの事業活動に及ぼす影響は限定的であると認識しています。そのうえで、気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ推進におけるリスク管理と一体で管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ経営の考え方 ③リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
当社グループではパリ協定の実現を目指し、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。気候関連リスク・機会の管理に用いる指標として、Scope1+2の実質温室効果ガス排出量を指標として定め、開示しています。
具体的には、「中期経営計画2022-2024」の期間に合わせ、Scope1+2実質温室効果ガス排出量について、2020年度を基準年度として2023年度に50%、2024年度に100%削減を目標として設定しています。また、今後はScope3についても算出対象の特定、排出量算出及び開示に取組み、2030年までに算出対象のScope3を含めた総排出量を2020年度と比較して最低50%削減、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指します。
(GHG排出量の実績)

(注)1.算定対象は当社及び連結子会社としています。データ収集体制が整っていない一部の動物病院については、2022年度までは算定対象から除外、2023年度から病院規模別の平均排出量を算入しています。また、2024年度から連結子会社となった株式会社フローエンスについては、データ収集体制が整っていないため、算定対象から除いています。
2.6.5ガスは算定対象外としています。
3.環境省・経済産業省が公表する電気事業者ごとの「調整後排出係数」を用いて算出しています。
4.2023年度は、非化石証書を購入することでScope2の再エネ比率100%を達成しました。
5.2024年度は、再エネ由来電力の利用および非化石証書を購入することにより、また、社用車から排出されたCO₂をJ-クレジットを活用して全量オフセットすることにより、カーボンニュートラルを達成しました。
Ⅱ.人的資本
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる人的資本経営を目指し、取り組みを行っています。
① 戦略
人材育成方針及び社内環境整備方針として「グループ人事管理基本方針」第3条において以下のとおり制定しています。
② 従業員の能力開発
常にオープンで公平な教育機会を提供する場として「アニコム大学」と称した教育体系を整備しており、階層別に必要なスキルや姿勢を身に着ける研修の他、社員向けの自己研鑽セミナーを実施しています。獣医師等の専門人材については、グループ病院間を跨いだ症例検討や手術研修、学会参加費用補助など、真のプロ人材の早期育成を目指した能力開発を推進しています。

③ 全社員一人一特許戦略
サステナビリティを巡る難解な社会的課題を効果的に解決する組織を作るため、社員自身の自発的な探求心や使命感をベースに遂行していける仕組みづくりを企図しています。様々な個性を持った多様な人財が自由な発想で、かつより本気になって業務に取り組むことを可能にするアニコムグループ独自の仕組みです。職務遂行を通じてなされた個々人の努力やそこで得られた発見等をより個々人の存在と紐づけ、社会に広く認知させ伝達し、社会を豊かにするべく残されていくよう「全社員一人一特許(論文等)戦略」を実行しています。
④ ダイバーシティ&インクルージョン
獣医師等の専門人材の採用
アニコムグループには、獣医師資格を持つ社員が103名在籍し(2025年3月末時点)、日本で最も獣医師が集まる企業の一つです。この専門家集団の利点を生かし、他社にはできない保険引受体制や査定体制の質の向上を図っています。また、獣医師が集まる「信頼感」のブランドを顧客サービスに繋げるため、電話やLINEで獣医師に相談できるサービスなども展開しています。それだけでなく、疾患統計の抽出・分析や、遺伝子や腸内細菌等の研究、論文や学会での発表、専門誌への執筆、獣医師向けセミナーの実施など、専門性を生かして獣医療業界の発展に寄与しています。ほかにも、医学/農学/理学/薬学博士、弁護士、公認会計士、アクチュアリー(保険数理士)、弁理士、データサイエンティストやデザイナーなど、多種多様な専門家を積極的に採用しています。
女性活躍推進
「グループ人事管理基本方針」において、性別にこだわることなく、互いに尊重し合い、能力ある人材がその能力を最大限に発揮し活躍できる環境を提供することを定め、女性活躍の推進に取り組んでいます。
子育て支援
出産を迎えたほぼすべての女性が産休・育休を取得し、約7割の男性が育休を取得しています。また、育児休業の延長限度を、法定を超える「3歳」まで、短時間勤務制度も法定を超える「子どもが小学校6年生を修了するまでの間」活用できるようにし、育児と仕事を両立できるよう支援しています。
障がい者雇用
人事部門が主体となり、積極的に雇用を促進しています。入社後は必要に応じて配属部門に「支援担当者」を配置するメンター制度を採用し、個々の状況に応じた支援体制を構築しています。
配偶者の範囲拡大
就業規則において、特別休暇の対象となる結婚・出産・死亡における配偶者の範囲に同性のパートナーを含むことを明記しています。
⑤指標及び目標

(注)1.算定対象は当社及び連結子会社(2022年度以前の「No.5 有給取得率」を除く)。
2.管理職の定義は「部下を持つ職務以上の者、並びに部下を持たなくともそれと同等の地位にある者」で「役員」を除く。
3.2022年度以前は株式会社シムネットを除く。
4.2023年度以前は株式会社フローエンスを除く。
5.定年退職等を除く自己都合による退職。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財務状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」等は、下記(2)のとおりです。これらのリスクを含む当社のリスクの管理強化のため、取締役会はリスク管理部を設置しグループ全体としてのリスク管理の推進を行っています。定性リスク/定量リスクの管理として、下記(3)のとおりリスク管理を推進しています。また、当社は、当社グループ各社が直面するリスクや、当グループ体制特有のリスクに見合った十分な自己資本等を確保し、効率性・健全性・持続性を確保した企業成長を具現化するために、下記(1)のとおり、ERM(統合的リスク管理)を推進しています。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断しています。
(1) ERMの推進
事業を進めるにあたり、リスクが存在することは必須です。そのリスクを「避ける」のではなく、リスクを直視し極力漏れなく洗い出し、期待収益等と比較・評価をする。そして、リスクをコントロールしながら収益を拡大させていくことが必要と考えています。
当社グループでは、安定的な事業成長や収益性を確保するために、「グループリスク選好基本方針」を定め、予防型保険の確立に向けたインフラ整備等に向けた中期経営計画を策定・開示しています。この中期経営計画および各年度の経営計画において、将来のペットマーケットなどの変化を前提にペット保険のトップライン・損害率・事業費及び事業投資等の管理を継続的に実施しています。
昨今、ペット保険の競争が激化していますが、当社では、この環境変化をリスクとしてだけ受け止めるのではなく、ペット保険のニーズの顕在化、と捉えて、拡販に向けた取り組みをさらに推進しています。そのうえで、さらなるリスク管理を推進するとともに、グループ間での適切な資本配賦運営を行うことにより自己資本を管理する体制を整えており、これらを適宜モニタリングすることで当社グループにおける自己管理型の統合的リスク管理を適切に行っております。当社グループ各社が直面するリスクや当グループ体制特有のリスクに見合った十分な自己資本等を確保しつつ、効率性・健全性・持続性を確保のバランスを取りながら企業成長を目指すために、ERM※の推進を実施しています。
※ERM(Enterprise Risk Management:統合的リスク管理)
(2) 主要なリスク等
当社グループの「主要なリスク」は、主たる事業であるペット保険事業がグループ全体の売上の約90%を占めていることを踏まえ、以下のとおり認識しています。
② その他のリスク
上記の「主要なリスク」のほか、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性のあるリスクを以下のとおり認識しています。
(a)事業中断等に関するリスク
当社グループでは、首都直下型地震等の大規模な自然災害や新型インフルエンザの大流行等の不測の事態に備え、事業継続計画の策定をはじめとする危機管理体制を整備しています。こうした危機管理体制を整備することにより、事業中断期間における事業への影響を一定程度に抑え、継続的に事業を継続する体制を整備しています。しかしながら、事業継続が阻害されたり、想定を超える影響が生じた場合には、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性があります。
(b)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、保険事業における契約者情報をはじめ代理店や動物病院情報等の顧客情報を取り扱っており、これらの情報を、グループ各社において情報管理体制を整備し厳重に管理しています。しかしながら、グループ各社または外部の業務委託先のシステムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等により情報漏えい事故が発生した場合には、社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
(c)システムリスク
当社グループでは、自然災害、事故、サイバー攻撃等による不正アクセス及び情報システムの開発・運用に関する不備等により、情報システムの停止・誤作動・不正使用が発生するシステムリスクを一定程度に抑え、業務を継続的に運用できる体制を整備しています。しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発等により重大なシステム障害が発生し、対策が有効に機能せず、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、システムの誤作動や停止、それらに伴う損害賠償、行政処分やレピュテーションの毀損により、当社グループの財政状態や業績に影響を与える可能性があります。
(d)法的リスク
保険代理店等における保険募集について、日常的な営業活動や監査等をつうじて適切な保険募集管理を推進しておりますが、保険業法およびその他の法令等に抵触することにより、レピュテーションリスクが発現および適切な保険事業の継続が阻害される可能性があります。
また、当社グループの各種事業において、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や、動物の愛護及び管理に関する法律などの関連法令等に抵触することにより、レピュテーションリスクが発現および事業の継続が阻害される可能性があります。
(e)のれんの減損にかかるリスク
当社グループは、他の企業または事業を取得した場合、その取得に要した費用(取得原価)が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しており、連結貸借対照表上、のれんに計上しております。
当社グループは、毎期のれんの減損損失計上の要否における判定を実施しており、のれんを含む資産グループについて、営業活動による損益が継続して赤字で推移している場合、使用範囲または方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合、経営環境の著しい悪化が認められる場合、資産グループの主要な資産について、市場価格が著しく下落している場合等には、のれんの減損損失を認識する可能性があります。
当社グループでは、「グループリスク管理基本方針」などを定め、グループとしてのリスク管理を推進する体制としています。そして、グループ内の多様なリスクを管理するべくリスク管理部を設置し、リスク管理を推進しています。また、リスク管理の枠組みとしては、定性リスク管理および定量リスク管理として、以下のとおり推進しています。
当社グループでは、リスク管理を経営の最重要課題と位置づけ、取締役会は「グループリスク管理基本方針」等を定め、グループ内におけるリスク管理の基本方針として実行しています。
「グループリスク管理基本方針」では当社グループとしてリスクを予見しコントロールに努めるとともに、不測の事態にあってもサービスの品質維持、事業継続ができるよう日常業務における個別リスク管理体制の構築に努める旨を定めています。
また、当社子会社であるアニコム損害保険株式会社では、この基本方針に沿った「リスク管理基本方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っています。
当社グループでは、リスク管理に関する会議体としてグループリスク管理委員会を設置しており、本委員会にてグループの個別リスク管理の状況及び統合的に評価したリスクの状況等に関して議論を行い、取締役会へ報告等を行うことで経営におけるリスク管理等の推進を図っています。
[グループリスク管理体制]

③ 定性リスク管理
当社グループのリスクの状況を把握する観点から、リスク・プロファイルを作成し、リスクの洗い出し、現状と対応状況、顕在化した場合の対応などを整理しています。リスクは変化することから、定期的な見直し等を行うことで、リスクの状況を継続的かつ網羅的に把握しています。また、エマージングリスク※については、社外のレポートを参考に定期的に洗い出しをすすめ、認識できていなかったリスクの洗い出しなどに努めています。また、リスクは時間とともに変化するため、リスク状況の変化を把握する観点から定期的にモニタリング(リスク管理点検)を行うとともに、重要なリスクについては、改善対策を行う必要性から、リスク管理計画を作成し、改善状況の進捗を把握・評価することで、リスク管理のPDCAの体制を整備しています。
※エマージングリスク:現時点では当グループの経営に大きな影響を与えるとは考えにくいが、将来、大きな影響を与える可能性のあるリスク
(a)内部モデルによるソルベンシー評価
「ペット保険」は新しい保険のため、現行の法定ソルベンシー・マージン比率の計算におけるリスク係数について「ペット保険」の区分が存在していません。そのため、当社のリスクが過大に評価され法定ソルベンシー・マージン比率は低めに算出されていると考えています。そのため、当社の実態に応じたソルベンシーを評価するために、リスク係数を含む内部モデルの作成/高度化を進めることが重要になっています。当社では、2017年度より、ソルベンシーの自己評価として内部モデルを継続的に作成し検討を行っています。
(b)ストレス・テスト
当社グループの経営に深刻な影響を及ぼしうるリスクを把握・管理するため、過去に発生したことがない仮想シナリオを含むストレスシナリオ、リバース・ストレス・テスト、感応度テストを定期的に実施し、自己資本等の充実度への影響度を分析しています。また、深刻な影響が見込まれる場合には、速やかに対応策を検討・実施する態勢を整備しています。
(4) 新ソルベンシー制度に向けた取り組み
2025年度末から、経済価値ベースのソルベンシー規制が導入されます。新制度では、実態を反映したリスク係数の見直しがなされ、「ペット保険」の区分が追加されます。当社の主要な保険引受に関するリスクに対するリスク係数が15%となり、現行制度でのリスク係数(「その他」の27%が適用)から引き下げられます。これにより、より当社グループの実態に沿ったソルベンシー評価となり、ソルベンシー指標は改善されるものと期待しております。また、リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA:Own Risk and Solvency Assessment)をさらに推進することで、より効率性・健全性・持続性を確保した企業成長が推進できると考えています。
当連結会計年度におけるアニコムグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会活動の正常化やインバウンド需要の回復、雇用・所得環境の改善を背景に、内需を中心とした緩やかな景気回復が継続し、企業業績も比較的堅調に推移しました。一方で、ウクライナや中東情勢、中国経済の減速、世界的な金融市場の変動といった地政学的・国際経済上のリスクが高まったことにより、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
このようななか、当社グループの中核子会社であるアニコム損害保険株式会社の重点施策と位置付けている「ペット保険の更なる収益力向上」に向け、堅調なペット飼育需要の継続に加え、販売チャネルの営業活動強化の様々な取組みや他社からの契約移管により、業績については堅調に推移しています。なお、当社グループの当連結会計年度の連結経営成績は次のとおりです。
保険引受収益58,862百万円(前期比8.5%増)、資産運用収益1,586百万円(同116.2%増)、新規事業等を含むその他経常収益7,235百万円(同33.2%増)を合計した経常収益は67,683百万円(同12.0%増)となりました。一方、保険引受費用41,928百万円(同9.1%増)、営業費及び一般管理費17,857百万円(同13.0%増)などを合計した経常費用は62,742百万円(同11.5%増)となりました。この結果、経常利益は4,941百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,246百万円(同18.9%増)となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表(セグメント情報等)」に記載のとおり、“損害保険事業(ペット保険)”、“ペット向けインターネットサービス事業”、“その他の事業”です。
最近2連結会計年度の経常収益をセグメント別に示すと、次のとおりです。
<損害保険事業>
損害保険事業の経常収益は、前年同期比5,454百万円増(同9.9%増)の60,479百万円となりました。
アニコム損保では、堅調なペット飼育需要の継続等の背景があったものの、重点施策と位置付けているペット保険の販売チャネルの拡大・強化や当社グループ独自のサービスである「どうぶつ健活」を付帯した保険商品の堅調な増加提供等によるお客様への訴求力が高まったこと等により、新規契約件数は245,741件(前年度比10.1%増)、保有契約件数は1,287,923件(前期末から94,363件の増加・同7.9%増)と堅調な伸長を継続しています。
〔新規契約件数・保有契約件数の推移〕

E/I損害率注1)については、ペットの平均寿命の伸長やどうぶつ医療の高度化、インフレの影響による診療費の高止まりなどにより、60.6%と前年同期比で0.7pt上昇いたしました。一方、既経過保険料ベース事業費率注2)は、規模拡大へ向けた積極投資や業務効率化及び経費削減の取組みによって、32.3%と前年同期比で1.0pt改善いたしました。この結果、両者を合算したコンバインド・レシオ(既経過保険料ベース)は前年同期比で0.3pt改善し92.9%となりました。
注1) E/I損害率:発生ベースでの損害率。
(正味支払保険金+支払備金増減額+損害調査費)÷既経過保険料にて算出。
注2) 既経過保険料ベース事業費率:発生ベースの保険料(既経過保険料)に対する発生ベースの事業費率。
損保事業費÷既経過保険料にて算出。
(ⅰ)保険引受業務
アニコム損保における保険引受の実績は以下のとおりです。
(イ) 元受正味保険料(含む収入積立保険料)
(注)1.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものです。(積立型保険の積立保険料を含む)
2.諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(ロ) 正味収入保険料
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(ハ) 正味支払保険金
(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
アニコム損保の資産運用実績は以下のとおりです。
(イ) 運用資産
(ロ) 有価証券
(注) 「その他の証券」は、証券投資信託の受益証券等です。
(ハ) 利回り
運用資産利回り(インカム利回り)
(注) 平均運用額は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。
(ニ) 資産運用利回り(実現利回り)
(注) 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。
(ホ) 資産運用利回り(実現利回り)にその他有価証券の評価差額等を加味した時価ベースの利回り(時価総合利回り)は以下のとおりです。
なお、資産運用損益等(時価ベース)は、資産運用損益(実現ベース)にその他有価証券に係る評価差額(税効果控除前の金額による)の当期増加額を加算した金額です。
また、平均運用額(時価ベース)は、平均運用額(取得原価ベース)にその他有価証券に係る期首評価差額(税効果控除前の金額による)を加算した金額です。
(イ)単体ソルベンシー・マージン比率
国内保険会社は、保険業法施行規則第86条及び第87条ならびに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づき、ソルベンシー・マージン比率を算出しています。アニコム損保における2025年3月期末のソルベンシー・マージン比率は、345.2%であり、健全性の基準値となる200%を上回っている状況であることから、十分な保険金等の支払能力を有しているものと認識しています。
アニコム損保の「ソルベンシー・マージン比率」については、以下のとおりです。
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条(単体ソルベンシー・マージン)及び第87条(単体リスク)並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しています。
<単体ソルベンシー・マージン比率>
・損害保険会社は、保険事故発生の際の保険金支払や積立型保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てていますが、巨大災害の発生や、損害保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。
・この「通常の予測を超える危険」に対して「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたのが「単体ソルベンシー・マージン比率」です。
・「通常の予測を超える危険」
保険引受上の危険①、予定利率上の危険②、資産運用上の危険③、経営管理上の危険④、巨大災害に係る危険⑤の総額をいいます。
・「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(ソルベンシー・マージン総額)とは、損害保険会社の純資産(社外流出予定額等を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、土地の含み益の一部等の総額です。
・ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。
(ロ)連結ソルベンシー・マージン比率
アニコム ホールディングス株式会社の「連結ソルベンシー・マージン比率」については、以下のとおりです。
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条の2(連結ソルベンシー・マージン)及び第88条(連結リスク)並びに平成23年金融庁告示第23号の規程に基づいて算出しています。
<連結ソルベンシー・マージン比率>
・連結ソルベンシー・マージン比率の計算対象となる範囲は、連結財務諸表の取扱いと同一です。
・「通常の予測を超える危険」
保険引受上の危険①、予定利率上の危険②、最低保証上の危険③、資産運用上の危険④、経営管理上の危険⑤、巨大災害に係る危険⑥の総額をいいます。
・「当社及びその子会社等が保有している資本金・準備金等の支払余力」とは、当社及びその子会社等の純資産(剰余金処分額を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、国内の土地の含み益の一部等の総額です。
・ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。
<ペット向けインターネットサービス事業>
株式会社シムネットにおいては、犬や猫を販売するブリーダーと飼い主のマッチングサイトや保護された犬や猫の譲渡の機会を提供する里親マッチングサイトの運営等の「ペット向けインターネットサービス事業」を行っており、当連結会計年度における経常収益は、2,263百万円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。同社が運営する「みんなのブリーダー」は日本最大のブリーダーマッチングサイトであり、このプラットフォームを活用することで、当社グループの中核事業である損害保険事業のペット保険契約件数の増加に向けた効果的・効率的な施策につなげるとともに、ブリーダーサポートサービスの拡大につなげています。
<その他の事業>
その他の事業の経常収益は、前年同期比1,555百万円増(同45.9%増)の4,940百万円となりました。
・動物病院支援事業
アニコム パフェ株式会社において、動物病院経営に必要となる顧客管理、レセプト精算、診療明細書の発行等の機能を有しているカルテ管理システム「アニコムレセプター」の開発、販売、保守等を行っており、当連結会計年度における経常収益は349百万円(前連結会計年度比3.4%増)となりました。
・保険代理店事業
アニコム パフェ株式会社において、ペット関連の取引先企業等に対して損害保険及び生命保険の募集・販売を行っており、当連結会計年度における経常収益は14百万円(前連結会計年度比5.8%減)となりました。
・動物医療分野における臨床・研究事業
アニコム先進医療研究所株式会社において、どうぶつ医療分野における基礎研究の推進、科学的根拠に基づく診療方法の確立及び、予防・先進医療の開発に向けた研究・臨床・開発等を行うとともに、地域獣医療のサポートとしての病院承継を行った結果、当連結会計年度における経常収益は2,348百万円(前連結会計年度比18.6%増)となりました。アニコム先進医療研究所株式会社では、自ら動物病院を運営し、予防から1次・2次診療を展開しているところ、その過程で得られた医療データ等を活用し、次世代の予防法の確立を目指しています。
・遺伝子検査等事業
アニコム パフェ株式会社において、親と子の遺伝子検査を通じてペットが生まれてくる際の遺伝病を避けるべく、ペットショップ及びブリーダー向けに遺伝子検査の販売を行っております。加えて、どうぶつの健康チェックを目的とした腸内フローラ測定サービス(どうぶつ健活)の販売等を行っておりますが、遺伝子検査の検体受注の安定等により、当連結会計年度における経常収益は320百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
・その他事業
アニコム パフェ株式会社において、上記のほかに、オンラインショップ「アニコムパフェオンラインショップ」、各種口腔・腸内ケア商材の販売、ペットの健康に関する24時間365日の電話相談サービス「アニコム24」の提供、ペットを失った悲しみ(ペットロス)を支えるWEBサイト「アニコム メモリアル」の運営、動物関係者に特化した人材紹介サイト「アニジョブ」の運営等の新たな収益源確保を図ってきました。2024年3月に子会社化した株式会社フローエンスの売上も加わり、その他事業全体としての経常収益は1,907百万円(前連結会計年度比160.2%増)となっています。
②資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,137百万円増加して72,494百万円となりました。その主な要因は、現金及び預貯金の増加2,581百万円及び有価証券の取得の増加1,920百万円であります。
負債の部は、前連結会計年度末に比べ8,223百万円増加して44,427百万円となりました。その主な要因は、社債発行による増加5,000百万円及び保険契約の増加に伴う保険契約準備金の増加2,223百万円であります。
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ2,086百万円減少して28,066百万円となりました。その主な要因は、資本剰余金の減少819百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,581百万円増加し、22,610百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
保有契約の順調な増加により、責任準備金の増加額が1,937百万円となったこと等により6,400百万円の収入となり、前連結会計年度に比べると731百万円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
5,091百万円の支出となりました。主に有価証券の取得による支出7,524百万円でありますが、前連結会計年度に比べると6,041百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度では1,343百万円の支出でしたが、社債の発行による収入4,966百万円があった一方、自己株式の取得による支出3,062百万円などにより、当連結会計年度では271百万円の収入となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの業務の性質上、生産、受注及び販売の実績として把握することが困難であるため、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しているとおり、経常収益の実績を記載しています。
①経営数値目標に対する進捗
当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、主要経営数値目標と主要KPI目標を重要な経営上の指標としています。当連結会計年度は「中期経営計画2022-2024」の最終年度に当たりますが、各経営目標指標に対する進捗は、次のとおりです。
<主要経営数値目標に対する進捗>
主要経営数値目標については、項目毎に進捗の強弱はあるものの、「中期経営計画2022-2024」の最終年度として全体的に計画線上の進捗となりました。
当社グループでは、ROEについて、「中期経営計画2022-2024」の中では、2024年度目標としてROE10%水準を掲げておりましたが、当連結会計年度のROEについては11.2%と前年度の9.4%から改善し、目標を達成いたしました。

当社の直近の株主資本コストである6.6%(※)と比較すると4.6ポイントのエクイティ・スプレッド(「ROE>資本コスト」)の水準となっています。今後もペット保険事業に加え、保険以外の事業の収益性や投資効率の改善を図ることで資本効率の向上を図りたいと考えています。
(※)当社株主資本コストの算出
株主資本コストの算出には資本資産評価モデル(CAPM)を使用しており、国債などの安定資産の期待収益率、株式市場のリスクプレミアムに当社の株価変動率及び株式市場全体の変動率を加味した数値を用いて推計しています。
(株主)資本コスト = Rf(リスクフリーレート) + β(ベータ値) × マーケット・リスクプレミアム
(対TOPIX過去5年週次)
6.6% = 1.50% + 0.870 × 5.9%
<主要KPI目標に対する進捗>
保険事業については、損害率の上昇を事業費率の低減でカバーする形となり、コンバインド・レシオとしては順調な進捗となりました。

②財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは6,400百万円であり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、22,610百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、財務体質の健全性を維持しつつ、適切な資本配分による資本効率の改善と企業価値向上の実現に向け、営業キャッシュ・フローにより得られた資金を、再投資として、財務価値・非財務価値の双方に貢献度の高い案件(事業拡大投資+サステナビリティ投資)に優先的に配分すると同時に、段階的な株主還元の改善を図り、投資と還元のバランスに配慮した配分としています。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の項目については、連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。
売買目的有価証券以外の有価証券について、時価若しくは実質価額が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められるものを除き、減損処理を行っています。
保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等のうち、未だ支払っていない金額を見積り、支払備金として積み立てています。このうち既発生未報告損害に対する支払備金については、主に統計的見積法により算出しております。各事象の将来における状況変化などにより、支払備金の計上額が、将来の保険金支払額と異なる可能性があります。
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金等を積み立てています。当初想定した環境や条件等が大きく変化し、責任準備金等を上回る支払が発生する可能性があります。
固定資産については、のれんを含む資産グループに減損の兆候があり、かつ、当該資産グループに係る割引前将来キャッシュ・フローの合計が当該資産グループの帳簿価額を下回る場合に、減損損失を計上することとしております。
減損の兆候把握及び減損損失の認識判定に当たっては、各資産グループが使用されている事業の将来利益やキャッシュ・フローを予測する必要があり、これらの予測に当たっての主要な仮定は、各事業を取り巻く経営環境の変化や事業戦略の成否によって影響を受けるため、不確実性を伴うものであります。したがって、これらの仮定が変化した場合には、当連結会計年度末において減損損失の計上を不要と判断したのれん含む資産グループについて、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。
なお、のれんの評価に関する算出方法等、主要な仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき回収可能と認められる額を計上しています。
2025年3月末現在6,223社(病院数にして6,964件)と契約を締結しています。
2025年3月末現在、ペットショップ代理店1,537社(店舗数にして4,986店)、一般代理店450社(店舗数にして7,911店)と上記契約を締結しています。
該当事項はありません。