当社グループの経営方針、経営戦略等及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「アート&ビジネス」という企業理念を掲げ、「恋愛と戦いのドラマ」をテーマとした感動コンテンツを提供することを経営方針としております。
当社グループでは、「アート」を、自らの力で独創性の高いコンテンツを企画し、生み出すこと、「ビジネス」を、コンテンツを多くの人に楽しんでもらうため、連続的にヒットを出せる仕組みを作ることと定義しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、売上高と売上高営業利益率を重要な経営指標とし、売上高営業利益率を一定水準以上とする
ことを目標としております。
(3)経営戦略等
当社は、2023年6月期より、市場動向を鑑みて戦略を軌道修正し、2025年6月期頃にアプリと新分野(電子コミック・コンシューマ)での「事業3本柱」を成立させるべく経営を進めております。日女アプリはファンダムの充実及びアプリ形態を進化させ採算性の向上を図る「ファンダム戦略」、新分野はF期投資として拡大と強力IP(注)創出に向けた「ヒットIP戦略」を推進中です。
(注)IP: Intellectual Property(知的財産)。当社オリジナルのタイトル1つ1つを指す。
(4)対処すべき課題
当社グループが対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
(事業多角化、IP創出)
① 事業多角化のための「投資サイクル」推進
当社グループは、物語アプリ事業単体による成長期から事業多角化フェーズに移りつつあります。多角化の成功には、既存事業に対し一定比率で新規事業への投資を行い、複数プロジェクトを走らせながら一定期間内の結果によって継続・淘汰を繰り返す「投資サイクル」が効果的であると考えています。既存事業と新規事業のバランスを取ることで、収益確保しながらの成長を実現すべく投資サイクルを廻してまいります。
② 「ヒットIP」の連続創出
当社グループは、さらなる事業拡大のためには、魅力的なオリジナルコンテンツ(ヒットIP)の連続創出が不可欠であると考えます。市場環境の変化を鑑み、既存事業である物語アプリ発に限らず、電子コミック・コンシューマといった新分野発でのヒットIP創出にも注力してまいります。
③ 組織体制の進化
当社グループは、事業多角化にあたり、多様なターゲット層やコンテンツ制作販売ノウハウに対応していく必要があると認識しております。この対応には、特定の専門ノウハウを持つ事業部を複数育成していくことが効果的であると考えます。緩やかな連合体として、グループ体制を進化させてまいります。
(個別事業の改善)
④ コンテンツラインナップの充実
当社グループは、ターゲット層に向けた魅力的なコンテンツの提供を継続していくことが、事業の成長につながると考えております。このため、ターゲット層のニーズを汲み取った新規コンテンツの投入、既存コンテンツへのストーリー及び機能の追加・改善を行うことが重要な課題であります。「恋愛と戦いのドラマ」という当社グループのコンテンツテーマのもと、ターゲット層を年齢や嗜好等でセグメント分けし、各層の興味や葛藤等に対応した魅力あるコンテンツを提供することで、コンテンツラインナップの充実を図ってまいります。
⑤ ユーザー獲得の強化
当社グループは、提供するコンテンツのユーザー数の増加が、業績拡大のための重要な課題であると考えております。ユーザー獲得のため、モバイル広告、SNS等への積極的な広告露出、当社グループのコンテンツ間の誘導施策を継続的に行っております。今後も引き続き、当社グループのコンテンツの未利用ユーザーに向けた積極的な広告宣伝活動を展開するとともに、当社グループのコンテンツ間での誘導施策を強化し、ユーザー獲得の強化を図ってまいります。
⑥ 適正な配信プラットフォームの選択
当社グループは、コンテンツをターゲット層に届けるためのプラットフォームを適正に選択することが、事業の安定的な成長につながると考えております。昨今、モバイル業界では、端末、OS、プラットフォーム、課金システム等の分野で多数の事業者が世界規模の競争を行っており、著しい環境変化を引き起こしております。これに従い、ターゲット層のメディア利用状況も刻々と変化しています。当社グループは、この変化に的確に対応し、ビジネス効率を最大化すべく、適正な配信プラットフォームの選択に努めてまいります。
⑦ 新分野の制作販売ノウハウの獲得
当社グループは、電子コミック・コンシューマといった新分野事業の拡大を図っています。それには、当社の強みである物語開発ノウハウを応用することに加え、新分野における専門的な制作、販売ノウハウを獲得する必要があると考えております。各事業部での試行錯誤により、新分野ならではのノウハウを蓄積してまいります。
(基礎体力の強化)
⑧ システム技術・インフラの強化
当社グループは、他社のサーバー等に関するサービスを機動的に利用しながら、システム開発及びサーバー構築・保守を行っております。当社グループのモバイルコンテンツは、スマートフォン等のモバイル端末を通じたインターネット上で提供していることから、システムの安定的な稼働、及びモバイル端末の技術革新への対応が重要な課題と考えております。これに対して、当社グループはサーバー等のシステムインフラについて、継続的な基盤の強化を進めるとともに、システム開発につきましても、開発プログラムのユニット化や標準化を進めることで生産性を向上させ、技術革新にも迅速に対応できる体制作りに努めてまいります。
⑨ 優秀な人材の確保と組織体制の強化
当社グループは、今後のさらなる成長のために、優秀な人材の確保、及び当社の成長フェーズに沿った組織体制の強化が不可欠であると認識しております。人材の確保においては、新卒採用を中心に行っており、必要に応じて中途採用も実施し、当社グループの求める資質を兼ね備えつつ、当社グループの企業風土にあった人材の登用に努めてまいります。同時に、従業員の入社年数等の段階にあわせた研修プログラムを体系的に実施することによって、各人のスキルの向上を促します。また、組織体制につきましては、個々のチーム・従業員が最大限のパフォーマンスを出せるよう、計数指標管理に基づいた組織マネージメントを図ってまいります。
⑩ 自然災害、感染症等への対応
近年、台風などの自然災害や、感染症の流行が世界規模で発生しております。各種の緊急事態が起きた場合において、迅速かつ適切な対応を図ることで被害・損失や重要業務への影響を最小限に抑えるとともに、早期復旧により事業活動が継続できるよう、危機管理体制の強化を推し進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社グループは、「
(2) 戦略
当社グループでは企業理念の「アート&ビジネス」で社会に貢献する、という企業ビジョンをもとに、すべての人々にとってより良く、暮らせる社会の実現を目指し、SDGs活動を行っております。これらの活動が、ひいては当社グループの事業拡大に寄与するものと考えております。
①多様な社会への対応
「みんなが働きやすい職場環境を作る」「女性が活躍できる職場を目指す」ことを目標としております。具体的には、テレワーク制度、勤務時間区分の自主選択といった柔軟な働き方の実現や、子どもの看護休暇といった子どもを持つ社員が安心して働ける環境整備に取り組んでおります。
②次世代育成
「若い世代への職業観の形成を手助けする」「講演会や交流会で、同じ志を持つ方々と話す機会を設け業界の発展に貢献する」ことを目標としております。具体的には、学生の企業訪問受け入れや、業界交流会の実施、当社役員等による講演会を実施しております。2023年度においては、20校・194名の学生の企業訪問受け入れを行いました。
③環境・資源対策
「環境負荷の低減を心掛け、地球環境に優しく仕事に取り組む」ことを目標としております。具体的には、ペーパーレス化、機密保持とリサイクルを実施しており、環境負荷の低減と業務効率化に取り組んでおります。
(3) リスク管理
当社グループ全体のコンプライアンス及びリスク管理につきましては、「第
(4) 指標及び目標
当社は、「(2)戦略」において記載した、多様な社会への対応について、主に女性活躍の度合いを表す次の指標を用いており、その実績は次のとおりであります。
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指標 |
直近実績 |
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なお、各指標の明確な数値目標については定めておりませんが、「女性管理職比率」は、2020年12月に閣議決定された内閣府男女共同参画局による第5次男女共同基本計画における目標の1つである、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度」を上回る実績と認識しております。また、その他すべての指標も過半数と、当社における女性活躍の実績として十分なものと認識しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
① 主要な事業活動の前提となるプラットフォームについて
当社グループが提供するコンテンツは、当社グループがGoole社やApple社をはじめとするプラットフォーム運営会社を介してユーザーにコンテンツ等を提供するため、各プラットフォーム運営会社とのコンテンツ提供に関する契約に基づいています。
プラットフォーム運営会社の事業方針の変更や手数料率の変動等があった場合、また、当社グループのコンテンツがプラットフォーム運営会社側の要件を十分に満たさない等の理由により、当社グループのコンテンツが不適当であると当該事業者側が判断し、新しいコンテンツの提供に関する契約を締結または継続できない場合、プラットフォーム運営会社において不測の事態が発生した場合等には、当社グループの業績及び事業展開に重大な影響を与える可能性があります。
② 代金回収業務の委託に関するリスクについて
当社グループは、電子コミック配信等のwebサービス展開にあたり、決済代行会社等にコンテンツ利用料金の代金回収業務を委託しています。当該サービスの拡大においては、これら契約の継続を前提としていますが、何らかの事情により契約の更新に支障をきたす場合、またはシステムトラブル等により代金回収が行えない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ システムリスクについて
当社グループは、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入などのサイバー攻撃、アクセス過多等によるサーバー停止やネットワーク機器の故障及び自然災害や事故、火災等によるシステムトラブルの発生を回避するために、不正アクセスの監視、サーバーの負荷分散や稼働状況の監視、定期的バックアップの実施等の手段を講じることで、システムトラブルの防止及び回避に努めております。
しかしながら、コンテンツを管理しているサーバーや配信システムにおいて何らかのトラブルが発生することで、コンテンツの配信に障害が生じる可能性もあり、当該障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 自然災害、事故等のリスクについて
当社グループの開発拠点は、本社所在地である東京都及び愛知県にあり、東京都にはデータセンターを設置しております。当該地区において大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、現時点で地震等による影響は出ておりません。
⑤ 感染症の拡大について
新型コロナウイルス感染症などの感染症が発生し、世界的な大流行が発生した場合、リアルイベント事業におけるイベントの開催中止や規模縮小等の対応により、当社の業績へ影響を与える可能性があります。また、舞台や朗読劇等のイベントにおいてお客様やキャスト、当社グループのスタッフに感染者が発生した場合、事後対応によって当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
⑥ M&Aに関するリスクについて
当社グループは、さらなる業容拡大のための手段の1つとして、M&Aの実施を検討しております。検討にあたっては、相手先企業の顧客層、業績、財政状況、競争優位性、当社グループ事業とのシナジー効果やリスク分析結果等を十分に考慮した上で進めております。
しかしながら、事前の調査・検討にも関わらず、買収後の市場環境の著しい変化があった場合や、買収した相手先企業の事業が計画通りに展開できず、投下資金の回収が困難となったり、追加の費用等が発生した場合等において、当社グループの業績や今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(重要なリスク)
① 事業環境に関するリスクについて
イ.モバイルコンテンツ市場の市場動向について
当社グループは、モバイルコンテンツ市場において、日本語女性向け、英語・アジア女性向け、男性向け、電子コミック等の区分で事業を展開しております。モバイルコンテンツ市場の歴史はまだ浅く、かつ変化が激しいため、モバイルコンテンツビジネスの将来性は不透明な部分があります。
当社グループでは、モバイルコンテンツ市場は今後も成長すると見込んでおりますが、市場の成長が当社グループの予測を下回った場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
ロ.技術革新について
当社グループが事業を展開するモバイルコンテンツ市場においては、事業に関連する技術革新のスピードやユーザーニーズの変化が速く、それに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。
当社グループは、これらの変化に対応するため、技術革新にも迅速に対応する体制作りに努めておりますが、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
ハ.競合について
当社グループが事業を展開するモバイルコンテンツ市場には、競合他社が多数存在しております。当社グループは、「恋愛と戦いのドラマ」をテーマとしたコンテンツ作りを追求することで、ユーザーのニーズに合った魅力あるコンテンツを開発・提供するとともに、効率的な集客に努めております。
しかしながら、今後、当社グループが魅力あるコンテンツを開発・提供できず、競合会社が提供するコンテンツとの差別化が図られない場合には、ユーザー数の減少を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 事業運営に関するリスクについて
イ.コンテンツにおける表現の健全性確保について
当社グループの提供するコンテンツの一部には、性的表現及び暴力的表現が含まれるものがあるため、当社グループではコンテンツの制作・配信等において、当社グループ独自の基準を設定しております。この基準は、表現の健全性を確保するよう、青少年等の感情を著しく刺激する表現はしてはならないこと等を基本方針とし、法令等で定められているよりも厳格な水準に設定しております。また、当該基準を遵守するため、採用者には入社時に研修を行う等の体制を構築しております。
しかしながら、法的規制や法解釈は、社会情勢等により、変化する可能性があるため、法的規制の強化や新たな法令の制定等により、将来において当社グループが提供するコンテンツが法的規制に抵触することとなった場合等には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
ロ.コンテンツ制作におけるクリエイターへの依存について
当社グループは、当社グループが立案した企画に基づいたイラストやシナリオの制作等に関し、業務の一部を外部クリエイターに委託し、コンテンツ提供をしております。
当社グループでは、特定の外部クリエイターへの依存度を低下させるため、複数のクリエイターに分散して委託するとともに、委託するクリエイターを開拓し、クリエイターとの良好な関係の継続に努めることにより、リスクの軽減を図っております。
しかしながら、当社グループの想定どおりにクリエイターを開拓できない場合、契約内容の見直しや解除がなされた場合、制作委託費用が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ハ.広告戦略について
現在、当社グループは広告出稿形態による効果等を常に検証し、最適な広告出稿形態を選択し、ユーザー獲得に努めております。しかしながら、当社グループの想定通りにユーザー数を獲得できない場合、また広告媒体の出稿枠獲得競争の激化等により、ユーザー獲得コストが上昇した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ニ.コーポレートブランドの毀損リスク
当社グループは、コーポレートブランド価値の維持及び強化がユーザーの信頼確保、ユーザー基盤の拡大、利用の促進に重要であると考え、ステークホルダーに対する適切な情報開示と積極的な広報活動、マーケティング活動及びCSR活動を行っております。
しかしながら、当社グループに関する否定的な評判・評価が世間に流布される場合等には、当社グループのブランド価値が低下し、当社グループの事業、業績に影響を与える可能性があります。
③ 会社組織に関するリスクについて
イ.人材の確保及び育成について
事業拡大を進めていくためには、スキルとセンスを持つ人材を幅広く確保することと、人材の育成が重要な課題であると考えております。このため、採用活動の充実、研修体制の充実等に努めておりますが、業務上必要とされる人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ロ.個人情報の管理について
当社グループはユーザーの個人情報を取得していますが、一般財団法人日本情報経済社会推進協会の発行するプライバシーマーク(注)を取得するなど、個人情報の管理には十分留意しております。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用低下等により、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(注)プライバシーマーク:一般財団法人日本情報経済社会推進協会が個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備していると認定した事業者等に発行するものです。
ハ.知的財産の管理について
当社グループでは、知的財産の管理において、知的財産の取扱いに関する留意事項を文書化した社内基準を制定するとともに、採用者に対し入社時に当該基準の遵守について教育するなど、内部管理体制を構築しております。また、コンテンツ制作の一部を委託している外部クリエイターとの契約において、知的財産については第三者の知的財産権を侵害しないこと、当社グループに対して著作権を譲渡すること等、細かく取り決めを行っております。
しかしながら、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者から損害賠償請求等が起こる可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ニ.内部管理体制について
当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守及び企業倫理に沿った法令遵守規程を制定するとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無ではないため、これらの事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 新規事業の展開について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的に新規事業の展開に取り組んでまいります。これによりシステム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業を開始した際には、その事業固有のリスク要因が加わるとともに、予測とは異なる状況が発生するなどにより新規事業の展開が計画どおりに進まない場合には、投資回収が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ グローバル展開について
当社グループは、中期的な経営戦略の1つである収益源の多様化において、海外市場での事業拡大を掲げており、「英語・アジア女性向け」や「コンシューマ」事業、及び「電子コミック」事業において海外向けコンテンツを投入しております。しかしながら、グローバル展開においては、その国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・ユーザー嗜好・商慣習の違い、為替等の様々な潜在的リスクが存在しています。それらのリスクに対処できないこと等により事業推進が困難となった場合には、投資回収が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について
2024年1月29日開催の当社取締役会において、当社の取締役に向けた第10回新株予約権の発行を行うことを決議いたしました。これら新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。2024年8月31日現在における新株予約権による潜在株式数は270,000株であり、発行済株式総数6,513,675株の4.1%に相当します。
なお、上記の潜在株式数は、2019年12月5日開催の当社取締役会決議に基づいて当社の取締役に付与された第6回新株予約権による潜在株式数250,000株を含んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復しております。消費マインドはこのところ改善に足踏みがみられるが、実質総雇用者所得は持ち直しの動きがみられております。また、企業収益も総じてみれば改善しております。
当社グループにおきましては、「日本語女性向け」「英語・アジア女性向け」「男性向け」「電子コミック・コンシューマ」の4区分で事業を運営しております。
当連結会計年度における売上は、「電子コミック・コンシューマ」が増加したものの、「日本語女性向け」「英語・アジア女性向け」「男性向け」が減少し、3,456,700千円(前期比18.8%減)となりました。費用は、広告宣伝費の減少、売上減少による販売手数料の減少、業務委託費用及び派遣費用等の減少による外注費の減少及び賞与の減少等により、全体として減少しました。その結果、営業損失は94,355千円(前期は営業損失84,840千円)となりましたが、投資有価証券売却益の計上等により経常利益は15,919千円(同 経常損失63,598千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,269千円(同 親会社株主に帰属する当期純損失39,154千円)と黒字転換となりました。
事業区分別の主要タイトル、その略称及び経営成績は、以下のとおりであります。
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事業区分 |
分類 |
主要タイトル |
略称 |
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日本語女性向け |
読み物型(注1) |
100シーンの恋+ |
100恋+ |
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アバター型(注2) |
天下統一恋の乱 Love Ballad 誓いのキスは突然に Love Ring 眠らぬ街のシンデレラ 鏡の中のプリンセス Love Palace 王子様のプロポーズ Eternal Kiss 魔界王子と魅惑のナイトメア 幕末維新 天翔ける恋 |
恋乱 誓い シンデ ミラプリ 王子 魔界 幕天 |
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カード型(注3) |
あやかし恋廻り アニドルカラーズ |
あや恋 アニドル |
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ファンダム(注4) |
ボルSHOP |
― |
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英語・アジア 女性向け |
読み物型 |
Love365: Find Your Story(注5) |
Love365 |
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アバター型 |
Court of Darkness |
Darkness |
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男性向け |
カード型 |
六本木サディスティックナイト |
六本木 |
|
電子コミック・ コンシューマ |
電子コミック販売ストア |
ぼるコミ |
― |
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電子コミックレーベル |
ボル恋comic ボル恋TOON |
VC VTOON |
|
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Nintendo Switch/Steam向け |
ボル恋移植タイトル even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女 |
― テンペスト魔女 |
1、日本語女性向け
日本語女性向けは、「読み物型」「アバター型」「カード型」「ファンダム」に分類して展開しております。
主に「アバター型」「読み物型」が減少し、売上高は2,054,839千円(前期比24.1%減)となりました。
2、英語・アジア女性向け
主に「Darkness」、「Samurai Love Ballad: PARTY」、「Love365」及び「Ayakashi: Romance Reborn」が減少したことにより、売上高は395,419千円(前期比18.5%減)となりました。
3、男性向け
主に「六本木」が減少したことにより、売上高は728,908千円(前期比11.8%減)となりました。
4、電子コミック・コンシューマ
主にNintendo Switch向けコンテンツが増加したことにより、売上高は277,532千円(前期比16.6%増)となりました。
(注)1.読み物型:ストーリーを楽しむことがメインとなるタイプのアプリ。
2.アバター型:ストーリーをメインに、アバターなどのゲーム性を組み合わせたタイプのアプリ。
3.カード型:カードの収集・育成要素を持つタイプのアプリ。
4.ファンダム:作品へのポジティブな深い感情的なつながりから生まれたファン文化。当社グループのタイトルを消費するだけでなく、共感・応援するファン集団を指す。
5.Love365: Find Your Story:日本語版恋愛ドラマアプリを翻訳した海外市場向けコンテンツであり、1つのアプリ内で複数のタイトルが楽しめる「読み物アプリ」。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して152,358千円減少し、1,294,356千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、41,272千円の資金を支出する結果(前連結会計年度は60,354千円の収入)となりました。その主な要因は、売上債権の減少99,042千円、ソフトウエア償却費の計上27,500千円があった一方で、投資有価証券売却益の計上100,417千円、未払費用の減少70,897千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、79,979千円の資金を支出する結果(同87,375千円の支出)となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入325,505千円、差入保証金の回収による収入39,817千円があった一方で、預け金の増加347,936千円、投資有価証券の取得による支出78,216千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、34,001千円の資金を支出する結果(同4,030千円の支出)となりました。その主な要因は、短期借入金の返済による支出30,000千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
前期比(%) |
|
モバイルコンテンツ事業(千円) |
3,456,700 |
△18.8 |
|
合計(千円) |
3,456,700 |
△18.8 |
(注)1.当社グループは、報告セグメントが単一のセグメントであります。
2.当社グループのモバイルコンテンツ事業における主な販売先は一般消費者であり、販売代金は料金回収代行サービスを利用して一般消費者より回収しております。
3.最近2連結会計年度における主なプラットフォーム運営会社別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
グーグル・ペイメント合同会社 |
1,713,575 |
40.2 |
1,320,428 |
38.2 |
|
Apple Inc. |
1,232,181 |
28.9 |
890,685 |
25.8 |
|
SBペイメントサービス株式会社 |
621,237 |
14.6 |
664,335 |
19.2 |
|
グリー株式会社 |
222,161 |
5.2 |
165,901 |
4.8 |
(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。
重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、2,836,238千円(前連結会計年度末比118,092千円減)となりました。
流動資産は、2,201,702千円(同159,337千円増)となりました。その主な要因は、現金及び預金の減少152,358千円、売掛金の減少99,042千円及び商品の減少23,489千円があった一方で、預け金の増加347,936千円及び有価証券の増加87,798千円があったことによるものであります。
固定資産は、634,536千円(同277,430千円減)となりました。その主な要因は、投資有価証券売却等による投資その他の資産の減少266,767千円によるものであります。
(負債の部)
負債合計は、661,178千円(同130,653千円減)となりました。
流動負債は、535,336千円(同129,336千円減)となりました。その主な要因は、未払費用の減少70,897千円、短期借入金30,000千円及び買掛金の減少25,468千円によるものであります。
固定負債は、125,842千円(同1,316千円減)となりました。その要因は、繰延税金負債の増加2,679千円があった一方で、長期借入金の減少3,996千円があったことによるものであります。
(純資産の部)
純資産は、2,175,060千円(同12,561千円増)となりました。その主な要因は、その他投資有価証券評価差額金の増加6,070千円及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加5,269千円によるものであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の業績は売上高3,456,700千円(前期比800,911千円減)となりました。売上原価は1,625,506千円(同 193,984千円減)、販売費及び一般管理費は1,925,549千円(同 597,412千円減)となり、この結果、営業損失は94,355千円(前期は営業損失84,840千円)、経常利益は15,919千円(同 経常損失63,598千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,269千円(同 親会社株主に帰属する当期純損失39,154千円)となりました。
当社グループは「恋愛と戦いのドラマ」をテーマとした感動コンテンツを提供することを経営方針としております。当面の成長戦略は、日女アプリにおいてファンダムの充実及びアプリ形態を進化させ採算性の向上を図る「ファンダム戦略」、新分野はF期投資として拡大と強力IP(注)創出に向けた「ヒットIP戦略」を推進することで、事業を成長させることです。
(注)IP: Intellectual Property(知的財産)。当社オリジナルのタイトル1つ1つを指す。
2025年6月期第1四半期以降の方針は以下のとおりであり、各戦略の実行により、「アプリ・電子コミック・コンシューマ」3本柱の多角企業を目指してまいります。
ファンダム戦略
「日女アプリ×ファンダム・アプリ進化」として、アプリユーザーに対しグッズ・カフェ・イベント・動画等アプリ以外の楽しみを提供することで、ファンダム醸成を図りつつ、コスト効率化やユーザー行動の変化対応に注力することで、アプリそのものの改善・拡大を図ってまいります。
ヒットIP戦略
「新分野×拡大・IP創出」として、電子コミック・コンシューマといった新分野における商品生産ライン増及び販路開拓、並びにヒット路線の開拓に注力してまいります。
1.売上高
当連結会計年度の売上高は3,456,700千円となりました。詳細については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
2.売上原価
売上原価は、業務委託費用及び派遣費用等の減少による外注費の減少及び賞与の減少等により、1,625,506千円(前期比193,984千円減)となりました。
3.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費の減少、売上減少による販売手数料の減少及び賞与の減少等により、1,925,549千円(同 597,412千円減)となりました。
この結果、営業損失は94,355千円(前期は営業損失84,840千円)となりました。
4.営業外収益、営業外費用及び経常利益
営業外収益は主として投資有価証券売却益100,417千円及び為替差益17,583千円であります。営業外費用は主として雑費16,116千円及び不動産賃貸費用4,008千円であります。
この結果、経常利益は15,919千円(同 経常損失63,598千円)となりました。
5.特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失はソフトウエアの減損損失3,477千円であります。
この結果、法人税、住民税及び事業税を7,172千円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,269千円(同 親会社株主に帰属する当期純損失39,154千円)となりました。
(注)「増加」「減少」等の表現は、前連結会計年度との比較によるものです。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、外注費、労務費等の運転資金と、コンテンツシステム開発、設備等の投資資金であり、資本の財源は、自己資金と営業活動や財務活動によるキャッシュ・フローであります。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローは「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
また、今後資金調達が必要と判断される場合には、速やかに増資や金融機関からの借入等を検討してまいります。
スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約
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相手方名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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Apple Inc. |
iOS Developer Program License Agreement |
iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約 |
1年間 (1年毎の自動更新) |
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Google Inc. |
Androidマーケットデベロッパー販売/配布契約書 |
Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約 |
定めなし |
該当事項はありません。