文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「そこにない未来を創る」をパーパスとして掲げ、社会課題の解決に結びつく事業活動を推進しております。
国内外に山積する社会課題の中でも、当社が特に目を向けているのが、「日本の少子高齢化による生産年齢人口の減少」です。この生産年齢人口の減少による労働力人口不足は、ダイレクトに国力低下へとつながります。当社は、日本を拠点に事業活動を行う一企業として、この問題を今すぐに取り組むべき最重要課題として位置づけ、課題解決に貢献する活動に尽力しております。
日本人の労働人口減少が進む一方で、世界では急激に人口が増加し続けており、日本で働く海外人材も年々増え続けています。それはつまり、これからの日本企業にとって、海外人材の採用や育成、受け入れ環境の整備や定着のための取り組みが大変重要な施策となることを示しています。
当社は、1975年の創業より培ってきた豊かなリソースやノウハウを活かし、マーケティング事業と海外人材事業を軸とした様々なソリューションを提供することで、持続可能な社会の創出の実現に貢献してまいります。
当社は、既存事業のさらなる成長を目指しつつ、成長市場領域である人材領域、特に海外IT・海外介護人材事業での事業開発に取り組み、新たな収益事業を創造することで、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。そのため、現時点で当社の特に重視する経営指標は、「売上高」「営業利益」の2指標であります。
当社は、WEBマーケティング事業の更なる拡大を目指しつつ、成長市場領域である人材領域、特に海外IT・海外介護人材事業での海外人材事業の拡大に取り組み、新たな収益事業を創造することで、企業価値を向上させていくことを中期成長戦略に掲げ、事業を展開してまいりました。
a.法規制等の影響を踏まえ、BtoCからBtoBへと重点顧客をシフト
b.ターゲット市場の見直しの結果、ニッチトップの製造業などのBtoB顧客を中心とした事業構造への転換に成功
c.但し依然として、法規制や社会環境の変化に伴う解約リスクへの対応は課題
a.エンジニア人材関連事業は、単月黒字化を達成
b.特定技能人材関連事業(介護・宿泊)は、介護関連法人からの受注の増加・宿泊関連企業からの受注により、2026年6月期は黒字化の見通し
c.一部領域や業界においては、依然、日本企業や社会の海外人材受け入れへの抵抗感が残るが、当社の主力事業として、海外人材事業の営業・啓蒙活動を強化
2026年6月期から2030年6月期までの5ヶ年を対象とした中期経営計画『Road to 250』(2025年8月14日公表)を策定し、企業価値の最大化と持続的成長の実現に向けた具体的な道筋を明示いたしました。
本計画では、海外人材事業の更なる成長を中核に据えるとともに、WEBマーケティング事業においても市場環境の変化を的確に捉え、当社独自のノウハウを活かした新たな価値提供の強化を図ってまいります。
加えて、株主還元の強化、M&A戦略の推進、資本効率の向上といった経営基盤の強化にも注力し、時価総額250億円の達成と、東証プライム市場への上場を視野に入れた企業体質の進化を目指します。
a.エンジニアリング、介護・宿泊等の領域を最重要ターゲットに定め、海外人材セグメントの成長スピードを加速。同セグメントの売上構成比25%から43%へ
b.マーケティングセグメントは既存のメディア制作・運用で培ったノウハウや顧客基盤を活かし、事業を強化
a.「累進配当」を基本方針とし、DOE2.5%と連結配当性向50%のいずれか高い方を基準とする
b.本中期経営計画期間では累計100億円程度のM&A投資枠を設定
a.連結業績において売上高130億円、営業利益30億円、当期純利益20億円等を目標として設定
b.上記の目標達成や各種施策の実行を通じた企業価値向上により、時価総額250億円超(2030年6月期)を経営目標とし東証プライム市場を目指す
当社グループでは、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)に向けて、WEBマーケティング事業を中心とした「マーケティング」セグメント、海外のIT人材・介護人材を日本企業へ紹介等を行う人材事業と教育事業(語学研修・教育、留学斡旋等)を営む「海外人材」セグメント、保有不動産の賃貸事業を行う「不動産」セグメントの3つのセグメントにおいて事業展開を進めております。
当社を取り巻く経営環境として、日本の中小企業の多くが「売上・受注の停滞、減少」及び「求人難」を当面の経営上の問題点と認識(出所:全国中小企業動向調査結果(2025年4-6月期実績、7-9月期以降見通し))しており、これは、企業の持続的成長において「人材不足の解消」と「マーケティング機能の強化」が喫緊の経営課題となっていると考えられます。これらの環境認識を成長機会と捉え、中期経営計画『Road to 250』の実現に向けて取り組んでまいります。

出所:中期経営計画『Road to 250』(2025年8月14日公表)
(1)~(3)の記載事項を実現するための対処すべき課題は以下のとおりであります。
当社グループが、事業を拡大、経営の強化を実現していく上で、必要な人材の継続的な確保と育成は最重要課題の一つです。多様なバックグラウンドを活かして、様々な挑戦を続け、自ら主体性をもって決断し、あらゆる課題解決の立役者になれる人材を採用・育成するとともに、多様な人材がそれぞれの特性や能力を最大限に活かせるような社内環境の整備にも取り組んでまいります。人材戦略については、「第2 事業の状況、2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループは、主力のマーケティングセグメントが全体の売上高の約7割を占めており、当該事業に経営資源を集中させております。米国のOpenAI社が提供する「ChatGPT」(文章生成モデル)の台頭に代表されるような技術的な進化や事業環境の変化等により当該事業が縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社グループ業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。そのようなリスクへの対処として、事業構造を転換し収益源の多様化を進めることが課題となります。
マーケティングセグメントにつきましては、従来のWEBマーケティングによる国内集客支援に加え、海外集客支援や集客後の成約に至るまでのトータルコンサルティングにより顧客成果の最大化を目指すことで、更なる事業成長を図ってまいります。海外人材セグメントにつきましては、エンジニアリング、介護・宿泊等の領域を最重要ターゲットに定めており、深刻化する人材不足への対応として、地方自治体や業界団体との連携を強化し、人材不足に課題を抱える企業等と就労意欲の高い海外人材のマッチング機会の創出により、海外人材セグメントの成長スピードを加速させてまいります。これらの取り組みが、当社グループの収益源の多様化に繋がると考えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティに関する考え方>
Zenkenは、「そこにない未来を創る」をパーパスとして掲げ、外部環境の変化の激しさが増す中で、持続的価値創造による成長及び中長期的な企業価値の向上を目指して様々な事業に取り組んでおります。
社会の持続的な発展に貢献できるよう、事業を通じて社会課題の解決に貢献することが当社グループのサステナビリティと捉え、以下の取り組みを進めております。
<サステナビリティに関する主な取り組み>
・事業活動を通じた社会課題の解決
少子高齢化による生産年齢人口の減少という社会課題を解決するために、当社グループはこれまで培ってきた「マーケティング」と「海外人材」の強みを活かして、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)に向けた事業を展開しております。
・人材の多様性の尊重と働きがいの向上
社会課題の解決を目指す上で、その原動力となるものは「人」であるとの考えのもと、多様な人材を受け入れ、尊重し合い、一人ひとりの成長を促すことが可能となる人材戦略の実行や社内環境の整備に取り組んでおります。
・健全かつ透明性の高い経営の実現
社会課題の解決と企業価値の向上を両立させるために、経営の健全性及び透明性の確保に取り組んでおります。
当社グループは、取締役会において、上記のサステナビリティの観点を含めたリスク及び機会についての戦略決定、重要な業務執行の決定等を行うとともに、取締役の業務執行を監督しております。また、取締役会に加えて、株主総会、監査役会及び会計監査人を設置しております。これら各機関の相互連携によって、経営の健全性・透明性の確保に努めております。コーポレート・ガバナンスの状況については、「
<人材の採用・育成及び社内環境整備に関する方針>
社会課題の解決を目指す上で、原動力となるのは「人」であるとの考えのもと、「クライアントファーストであれ」を掲げて、人材の採用・育成を含めた人材戦略の実行と社内環境の整備に取り組んでおります。当社グループの提供するサービスは画一的なものではなく、時代の潮流を読み解き、クライアントや社会に向き合うことで課題やニーズを的確に捉え、当社グループの培ってきた知見を活用しながら新たな価値を提供することが求められます。そのため、多様なバックグラウンドを活かして、様々な挑戦を続け、自ら主体性をもって決断し、あらゆる課題解決の立役者になれる人材を採用・育成するとともに、多様な人材がそれぞれの特性や能力を最大限に活かせるような社内環境の整備にも取り組んでまいります。
当社グループでは、国籍、人種、性別、年齢等の属性面に加え、キャリア、考え方、価値観、ライフスタイル等も含んだ多様な従業員が共存しております。したがって、従業員一人ひとりの持つ個性を多様性として活かし、全ての従業員が受け入れられ、尊重し合いながら、それぞれの特性や能力を最大限に活かすことが、新たな発想や価値の創造に繋がると考えており、継続してダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進しております。子育てをする従業員の就業環境改善として2024年6月期より導入した「こども家庭庁ベビーシッター券」配布は、今年度に入って利用実績が増加しており社内へ浸透が進んでいます。
また、2024年12月の本社移転では執務室がワンフロアとなり、グループアドレス制導入や執務室内ステージ活用など、部署の枠を越えたコミュニケーションを活発化させています。
② 社員の成長を促す
当社グループが掲げる「そこにない未来を創る」というパーパスには、「“新しい価値”を創ることができるのは“人”であり、人と人との出会いによって生み出されるクリエイティブに他ならない」という想いが込められております。
この想いを実現すべく、新しい価値やクリエイティビティを生み出すことを大きな課題と捉え、取り組みを進めております。
新たな試みとして、当社は2024年11月よりOpenAI社が提供する法人向け生成AI「ChatGPT Enterprise」を全正社員に導入しました。導入以降70回以上の社内研修を行い、現場から経営層に至るまで正社員全員のAI活用スキルの向上を図り、あらゆる部門で業務プロセスの革新と生産性向上、顧客対応の品質向上を目指しております。
既存研修では次世代経営幹部の育成を目的とした「Junior Board(疑似役員)制度」は、3期が終了いたしました。事業部から選抜された従業員が、部門課題と全社経営課題との結びつきを捉え直し、事業横断での解決方法や業務提携の推進など検討・提案を続けています。今後導入を検討している階層別研修とともに、従業員の能力開発に努めてまいります。
このような人材開発施策を効果的・効率的に推進するため、人事業務DX化を進めております。タレントマネジメントシステムの活用により従業員一人ひとりのスキル・経験・キャリア志向などを可視化することで、適材適所の配置を促進していきます。
③ 働く環境を整える
従業員一人ひとりとその家族が心身共に健康であり、従業員が働きやすさと働きがいを持てる健全な社内環境づくりは、当社グループの重要な責務であると考えています。
当社が2024年7月に導入した時差出勤制度と、同時期に出社義務を撤廃したリモート勤務を活用することで、当社正社員がそれぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を実現できるようになりました。特に本社移転した2024年12月以降に活発に活用され、2025年2月以降は、毎月約4割以上の正社員が活用しています。
また、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」にも3期連続で認定されました。当社の健康経営は、立候補した従業員で構成する「健康経営推進隊」が主体となって取り組んでおります。従来は毎年人事部と総務部所属の従業員が中心でしたが、2024年4月からは募集したメンバーで組織横断の構成となり、より積極的な活動が行えました。特に2024年11月~12月に開催したチーム対抗ウォーキングイベントは正社員の80%以上が参加したことで、運動習慣をつけるきっかけになっただけでなく、部署を越えた新たなコミュニケーション機会が創出される効果もありました。2025年4月にも新メンバーで健康経営推進隊が結成され、コラム掲載や各種イベント企画などの取り組みを継続しています。
当社グループでは、サステナビリティ課題を含む事業等のリスク管理及びコンプライアンス体制の強化・推進のため、半年に1回、定期のリスク・コンプライアンス委員会を開催しリスクの調査、網羅的認識、対応策の検討等を行っております。特定したリスクについては、取締役会に報告し、対応策等について協議しております。当社グループの事業は働く従業員に依拠する部分が大きいことから、「優秀な人材の採用と育成に係るリスク」を特に重要なリスクとして認識しており、上記の戦略を実行していくことで当該リスクを逓減することを目指します。リスク管理及び主なリスクについては、「
上記の人材戦略の浸透度を定量的に効果測定できるよう、以下のKPIを設定しました。
女性管理職比率は、2025年6月末時点で24.4%と一時的に減少したものの、2025年7月に新たに5名の女性管理職が誕生したため改善傾向にあります。
2025年6月末時点の有給休暇取得率は2024年6月期と比較して11.7%減少しておりますが、引き続き高い水準で推移しております。今後は有給休暇年間取得率70%を維持することを目標として、取り組みを進めてまいります。
(注)1.上記はいずれも単体実績・目標です。
2.有給休暇取得率は、年次有給休暇付与日が毎年4月であるため、2024年4月~2025年3月の実績にて集計しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している特に重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、当社グループはリスク管理を実施することで、以下のリスクに対してその発生可能性を一定程度低い水準まで抑えられていると考えております。また、これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える定量的な影響の程度につきましては、合理的に予見することが困難であるため具体的には記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(特に重要なリスク)
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって景気は緩やかな回復基調が続いております。また、我が国経済の先行きについては緩やかな回復が続くことが期待されていますが、一方で、米国の通商政策や金融資本市場の変動等の影響、物価上昇の継続による消費者マインドの下振れの影響等により、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループでは、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)に向けて、WEBマーケティング事業を中心とした「マーケティング」セグメント、海外のIT人材・介護人材を日本企業へ紹介等を行う人材事業と教育事業(語学研修・教育、留学斡旋等)を営む「海外人材」セグメント、保有不動産の賃貸事業を行う「不動産」セグメントの3つのセグメントにおいて事業展開を進めてまいりました。
WEBマーケティング業界については、インターネット広告費の成長率(前年比109.6%)が広告費全体の成長率(前年比104.9%)を上回り広告全体を牽引していることが示されたように(出所:株式会社電通「2024年 日本の広告費」)、成長性の高い業界であると考えられます。但し、例えば単純なSEO対策といった差別化しにくい均質的なサービスによる競争に陥ることなく、差別化されたサービスを提供できることが事業成長のための重要な要件になっており、その差別化されたサービスに関する高度なノウハウの蓄積とそれを実現する専門的な制作者をいかに多く確保するか、制作体制の充実が競争力の鍵になっていると考えられます。
そのような環境下で、当社グループにおいては、ニッチな商品・サービスの集客に特化したメディアの制作・運用をWEBマーケティング事業の柱としてきました。これまでに累計8,000件を超える専門メディアを制作し、クライアント企業の商品・サービスの特徴と合致するニーズを持つユーザーをマッチングさせる制作技術とノウハウの蓄積を進めてきました。また、優れたノウハウ・知見を持った社内の制作人員・運用人員の充実と、専門性の高い外部ライターを備えるよう努めてまいりました。その結果、この分野においては、他に強い競合がいると意識することなく事業拡大に注力することができる状態になっていると考えております。また、足元においては営業において生成AIの活用に積極的に取り組むことにより、提案営業の生産性を高める成果を得ております。こうした生成AIの活用を全社的な取組みとし、制作や運用を含めた社内の各部署における生産性を高める試みも推進しております。
海外人材については、日本国内における労働力は毎年逼迫してきており、需要は増えていくものと考えられます。例えば、国内のIT人材は2030年には最大で約79万人、中位シナリオで約45万人(出所:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月))も人手が不足すると見込まれるほど人手不足が慢性化しています。また、海外人材採用を促進する政策は、特定技能外国人の2024年から5年間の受け入れ枠が82万人とそれまでの約2.4倍になるなど強化されてきています。そして、需要が増えていく中で、今後、海外人材を紹介する企業は増加していくものと予想されます。海外人材の紹介においては、海外において日本で働く意向を持つ優秀な人材をいかに確保し、日本で就業した後には定着に向けて支援することができるかが、競争力と事業成長の鍵になると思われます。
そのような環境下で、当社グループは、海外のIT人材輩出地の中でも教育水準・将来的な人材供給力等の観点からインド南部の都市ベンガルールに着目し、拠点を設けて事業化に取り組んできました。そこでは、現地の大学と提携してジャパンキャリアセンターを設けるなど、日本での就職を希望する卒業予定者等を累計で2万人以上集めております。今後は、日本国内の就業先の開拓に本格的に取り掛かり、定着に向けた支援を行ってまいります。また、介護人材不足に対応するために、主にインド、インドネシアの介護分野における特定技能外国人を現地の政府系機関や人材送出機関と提携し、日本国内の介護施設への紹介を進めています。そして、介護福祉士の資格取得を目指した5年間にわたる独自の日本語教育プログラムも提供し、長く日本で活躍することができる人材の育成の支援も行っております。このような取り組みが評価され、複数の地方自治体から外国人介護人材の受け入れ・定着に向けた支援業務を受託することができました。また、2024年8月からは、インドの政府系機関とのネットワークを活用し、宿泊施設向けの特定技能外国人の紹介に向けた協働や、株式会社日本旅行と宿泊業界向けの日本語教育のプログラム開発についての協働も開始いたしました。
また、2024年12月1日付で本社移転を実行しており、当連結会計年度において、本社移転に伴う一時費用153,956千円を販売費及び一般管理費として計上するとともに、資産除去債務戻入益99,715千円を特別利益として計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は5,536,925千円と前期と比べ90,178千円(1.6%)の減収、営業利益は386,367千円と前期と比べ36,667千円(10.5%)の増益、経常利益は400,320千円と前期と比べ9,485千円(2.4%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は342,190千円と前期と比べ98,652千円(40.5%)の増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
当セグメントでは、主に「WEBマーケティング事業」として、顧客のWEB検索市場におけるマーケティング戦略に向けて、ニッチな商品・サービスに特化した専門メディアの制作・運用を通じた集客支援を中心に行っております。
当連結会計年度においては、主に専門メディアの少ないニッチな市場(例えば、電機・機械等のBtoBの業種)向けを中心に293件(前期比48件増)のメディアを新規公開するとともに、978件(前期比8件増)のメディアを運用しています(平均継続期間43.6カ月)。売上高においては、新規顧客獲得を継続的に進めておりましたが、前連結会計年度において運用メディア数が減少した影響が残っており、減収となりました。なお、外注費等を中心に費用の見直しを進め、利益の改善を進めております。
その結果、売上高は3,710,291千円と前期と比べ105,486千円(2.8%)の減収、セグメント利益は948,513千円と前期と比べ41,670千円(4.6%)の増益となりました。
当セグメントは、人材事業と教育事業から成り立っております。人材事業では、IT・介護業界向けの海外人材の紹介と、美容業界に特化した求人を紹介する「美プロ」などのメディアの運営等を行っております。また、教育事業では、法人向け語学研修、留学斡旋や日本語教育等を行っております。
人材事業における当連結会計年度の売上高は、630,980千円と前期と比べ85,136千円(15.6%)の増収となりました。これは、海外のIT人材、介護人材の紹介等が増えたことによるものです。IT人材に関しては、当連結会計年度において99名(前期比22名増)の日本企業への入社が実現しております。また、採用イベントが48回と前期と比べて11回増加しているほか、内定者日本語教育プログラムの受講人数が225名と前期と比べて146名増加しております。介護人材の紹介等については、入職後の登録支援機関としての登録人数や日本語教育プログラムの受講人数が増加したこと等によるものです。
教育事業における当連結会計年度の売上高は、727,275千円と前期と比べ71,382千円(8.9%)の減収となりました。これは、法人向け語学研修事業等において受注の伸び悩み等があったことによるものです。なお、費用の見直しを進め、利益の改善を進めております。
その結果、売上高は1,358,256千円と前期と比べ13,754千円(1.0%)の増収、セグメント利益は64,814千円(前期のセグメント損失は111,725千円)となりました。
当セグメントにおきましては、「全研プラザ」、「Zenken Plaza Ⅱ」の賃貸を中心に行っており、高稼働を維持しております。
その結果、不動産セグメントの売上高は467,167千円と前期と比べ1,543千円(0.3%)の増収、セグメント利益は325,868千円と前期と比べ6,356千円(2.0%)の増益となりました。
また、財政状態については次のとおりであります。
(資産)
流動資産の残高は5,104,063千円(前連結会計年度末比297,662千円の増加)となりました。これは主に、営業活動の結果や短期貸付金の回収等により現金及び預金が702,539千円増加したものの、売掛金が144,974千円減少したことや、その他に含まれる短期貸付金等の減少により、その他が272,549千円減少したことによるものです。
固定資産の残高は9,388,134千円(前連結会計年度末比93,447千円の減少)となりました。これは主に、本社移転に伴い建物及び構築物(純額)が89,452千円減少したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、14,492,197千円(前連結会計年度末比204,214千円の増加)となりました。
(負債)
流動負債の残高は1,241,903千円(前連結会計年度末比40,363千円の減少)となりました。これは主に、未払法人税等が48,913千円減少したこと等によるものであります。
固定負債の残高は879,453千円(前連結会計年度末比106,992千円の増加)となりました。これは主に、本社移転に伴う資金の借入により長期借入金が38,970千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、2,121,357千円(前連結会計年度末比66,628千円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、12,370,839千円(前連結会計年度末比137,585千円の増加)となりました。これは主として、剰余金の配当206,087千円の一方、親会社株主に帰属する当期純利益342,190千円を計上したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,307,655千円と前期と比べ702,539千円(19.5%)の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、606,347千円の資金の獲得(前期は682,965千円の獲得)となりました。これは主な要因として、税金等調整前当期純利益498,354千円が前期と比べ140,744千円(39.4%)増加したことや、売上債権の減少144,974千円(前期は売上債権の増加61,785千円)があったものの、法人税等の支払額185,302千円等(前期は法人税等の還付額117,148千円)を計上したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、282,311千円の資金の獲得(前期は522,366千円の支出)となりました。これは主な要因として、敷金及び保証金の回収による収入228,191千円(前期は敷金及び保証金の差入による支出184,665千円)等を計上したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、186,118千円の資金の支出(前期は496,961千円の支出)となりました。これは主な要因として、配当金の支払額205,937千円等を計上したことによるものであります。
当社グループは事業種類別のセグメントから構成されており、「マーケティングセグメント」、「海外人材セグメント」及び「不動産セグメント」の3つを報告セグメントとしております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
イ.生産実績
提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(売上高・売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は5,536,925千円(前期比1.6%減)となり、前連結会計年度に比べて90,178千円減少しました。マーケティングセグメントで売上高が105,486千円減少したこと等によるものです。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
売上原価は、2,474,182千円(前期比7.6%減)となりました。
以上の結果、売上総利益は3,062,742千円(前期比3.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,676,374千円(前期比3.0%増)となり、前連結会計年度に比べて77,885千円増加しました。本社移転に伴う一時費用153,956千円を販売費及び一般管理費として計上しております。
以上の結果、営業利益は386,367千円(前期比10.5%増)となりました。セグメント別の利益については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
(営業外収益・営業外費用・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、43,741千円(前期比19.0%減)となり、前連結会計年度に比べて10,273千円減少しました。主な減少要因は、貸倒引当金戻入額の減少によるものです。
営業外費用は、29,788千円(前期比131.3%増)となり、前連結会計年度に比べて16,908千円増加しました。主な増加要因は、貸倒引当金繰入額の増加等によるものです。
以上の結果、経常利益は400,320千円(前期比2.4%増)となりました。
(特別利益・特別損失・親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、99,715千円(前連結会計年度は49,006千円)となりました。主な増加要因は、資産除去債務戻入益99,715千円によるものです。
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費、業務委託費等であります。資金の流動性を安定的に確保することを目的とし、資金需要の額や使途に合わせて自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段の方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
該当事項はありません。
該当項目はありません。