文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、㈱テレビ東京による地上波放送事業を中核として、BS放送(㈱BSテレビ東京)、CS放送(AT-X)、そしてインターネットによる配信事業を総合的に運用してコンテンツの制作とメディアビジネス展開の戦略機能を担う認定放送持株会社です
番組やコンテンツの視聴方法は、テレビでなくパソコン、スマートフォンなど多くのデバイス(端末)へと急速に広がっています。こうした中、テレビ東京グループは、あらゆるコンテンツを地上波、BS、配信など様々なメディアを通して提供して、その価値を最大化させることを目指すため、昨年秋に「全コンテンツ・全配信」の経営方針を決めました。放送分野で培ってきた独自色のあるコンテンツ作りに磨きをかけながらメディア環境の変化に迅速に対応して構造改革をすすめてまいります。
2020年の日本の広告費は、電通によりますと11.2%減の6兆1,594億円と9年ぶりに前年を下回りました。テレビ広告(地上波・衛星メディア関連の合計)はコロナ禍に加え、「テレビからネットへの広告シフト」という構造問題もあり、2020年は1兆6,559億円と前年より11.0%減少しました。一方、ネット広告は2019年にテレビ広告を抜き、さらに2020年も前年比5.9%増の2兆2,290億円となりその差は広がっており、テレビ広告は今後も厳しい状況が想定されます。
当社グループの2021年3月期の連結での売上高営業利益率は3.8%です。経営環境の変化に柔軟かつ積極的に対応して、永続的な収益性向上を実現して、中長期の経営指標としては、早い段階での5%達成を目指しております。中期経営計画では連結営業利益を21年度は55億円、22年度は75億円と過去最高に引き上げ、23年度は88億円へと伸ばしていく方針です。
地上波放送事業を中核として、BS放送、CS放送、配信事業を一体的に運用し、様々なデバイスでコンテンツを提供し、また、下記の経営戦略を着実に実施することで、放送と配信との相乗効果によりコンテンツの価値を高めてまいります。
① 配信事業の拡大
「全コンテンツ・全配信」方針のもと、配信分野での収益を最大化するために、4月に2つの局を新設しました。1つは㈱テレビ東京の配信関連部門を統合した「配信ビジネス局」です。SVOD(定額制動画配信)とAVOD(広告付動画配信)の事業について一体的に戦略を立案するとともに、配信のために必要な権利処理や収益管理などの実務を一括して効率化します。もう一つの「総合マーケティング局」は、放送からのデータ、AVOD、SVODなど配信からのデータをできる限り活用して、番組・コンテンツ制作に生かし、放送と配信双方の営業強化につなげます。
2021年度からは番組制作費とは別に、配信向けオリジナルのコンテンツをつくるための予算も用意し、配信コンテンツを強化していきます。配信事業の強化は、コンテンツの認知度を高めることにつながり、番組の視聴率向上やスポンサーの獲得にもつながると考えており、配信と放送の相乗効果によって収益力を高めます。
② アニメビジネス販路拡大と多角化
アニメ事業はテレビ東京グループの収益の大きな柱の1つです。2020年度は過去最高の売り上げを更新しましたが、2021年度以降も引き続き収益拡大を目指します。国内では放送枠・番組数を増やすとともに、アニメの商品化ビジネスやゲーム市場の新たな開拓も進めます。
一方、海外では中国における作品制作を目的とした現地法人を設立しており、現地で共同のオリジナル作品の供給と商品化ビジネスなどによる市場拡大を目指します。また欧米や東南アジア、中東、中南米などでも販売を伸ばす方針です。
テレビ東京グループは、中期経営計画で「配信とアニメ」を当社グループの成長のエンジンと位置付けて、粗利益を21年度からの3年間で50%増やす計画を決めました。
③ イベント事業の拡大
池袋を舞台に仮想空間も組み合わせた事業「池袋ミラーワールドプロジェクト」や「Mixalive TOKYO(ミクサライブ東京)」を発信拠点としたオンラインイベントをコンテンツの新機軸として展開して、新たな収益源に育ててまいります。
コロナ禍で大型のリアルイベントが難しい状況ですが、中堅・若手にも活躍の場を与え、クリエイターとして育成していきます。恒例となっているeスポーツ事業も一段と強化するほか、新しいジャンルのイベントの開発にも挑みます。
④ 放送事業の収益力強化について
放送広告収入はテレビ東京グループの最大の収益の柱です。厳しい環境下ながら、今後も継続して安定的な収益源としていく必要があると考えます。
広告主や視聴者のニーズを的確に捉えるために、4月に㈱テレビ東京に「総合マーケティング局」を新設しました。放送、配信、営業、イベントなどに分かれていたマーケティング部門を一体化して、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を駆使して番組の収益性を高めるとともに、配信やイベントなどのコンテンツが生み出す収益も最大化してまいります。
⑤ 成長のための投資戦略
テレビ東京グループが新たな分野の収益を強固なものとしていくためにはデジタル投資が不可欠と考えており、基幹システムの刷新などDXを積極的に進める方針です。
リモートワークによる業務効率の向上に寄与するシステムの開発も推進しております。次世代のメディアとして必要とされる5G関連の研究開発やデータビジネスの強化など、開発の優先順位を決めて実行してまいります。
アニメや通信販売、コンテンツ制作をはじめ、グループの成長力強化に資するような企業との資本提携やM&Aも検討したいと考えます。
(5) 会社が対処すべき課題
① コーポレート・ガバナンス強化
コーポレートガバナンス(企業統治)の強化は社会の要請であり、テレビ東京グループにとっても重要な課題だと考えております。独立社外取締役を2名増やし、取締役の3分の1を独立社外取締役にする取締役改革方針を株主総会で決めました。今後もさらにガバナンス強化に向けて取り組んでまいります。
② 気候変動リスクへの対応
世界的な課題となっている気候変動リスクへの対応はメディアグループとしても、企業としても重要な課題の1つとなっております。テレビ東京グループではSDGs(持続可能な開発目標)に本格的に取り組むため、4月に社内横断プロジェクトチームを発足させました。
第一弾として神谷町のスタジオ照明設備にリモートで遠隔操作できるLEDを導入しました。今後もLED照明への切り替えをすすめて、3年間でCO2排出量を約415トン削減する方針です。3月には国連が報道機関に協力を呼び掛ける「SDGメディア・コンパクト」に署名し、加盟しました。放送や配信、イベントなどを通じてSDGsの取り組みを強化するほか、設備の見直しや業務改善によるCO2削減を全社的に推進してまいります。
一方、大災害を含む気候変動リスクに対応できるよう、BCP(事業継続計画)体制を全社ベースでつくっています。緊急時にも業務を継続的に続けられるよう技術革新も見据えながら、BCP体制の見直しも常日頃から進めていきたいと考えます。
③ 新型コロナウイルス感染拡大への対応
新型コロナウイルス感染拡大への対応策として、制作や営業、管理部門など各部署の実情を踏まえてBCP体制をつくり、運用しております。感染拡大を防ぐために、人との接触を最大限抑制してコンテンツを制作する方針を徹底し、例えば報道番組はスタジオに無人カメラを導入したほか、出演者のマスク装着、飛沫防止のアクリル板の設置など適宜工夫して番組を放送しています。
いつでも出社率を20%~30%台に抑えられるよう社内の業務を見直し続けるとともに、今後も必要に応じてBCP体制をさらに徹底させるため、DX化やAIも積極的に活用し、社員の働き方を変革してまいります。
④ 人材の多様化への対応
㈱テレビ東京の女性社員比率は2021年3月末時点で25.7%ですが、直近3年間の新卒採用における女性比率は平均47%と高い水準を維持しています。今後も女性社員の採用に積極的に取り組んでまいります。女性管理職の比率も20年度末の19.8%から23年度には20%台半ばにすることを目指します。
外国籍をもつ社員は2021年4月現在で8名ですが、今後も事業展開に合わせて採用増に取り組んでまいります。
さらにコンテンツ制作力を一層強化するため、デジタル人材など即戦力となる社員を中途採用して外部の知見と経験を取り込み、組織の活性化を促すとともに高齢化を含めた年齢構成のゆがみも是正してまいります。
⑤ 東京オリンピック・パラリンピックなどへの対応
東京オリンピック・パラリンピックの開催については運営のあり方などを含めて現時点では不透明な面が多々あります。また2022年2月に予定されている北京オリンピックの動向、および極東をめぐる国際情勢の変化はテレビ東京グループにとっても潜在的なリスクだと認識しております。これらの動向がテレビ東京グループの業績に大きな影響を与えないよう、様々な対応策を機動的に実行する準備に全力を挙げます。
国内外でのサービスの調達・提供をめぐって人権に対する意識を高めるよう社会的要請があり、テレビ東京グループとしても要請に沿うよう努力を続けていきます。
当社グループの事業その他に関するリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針です。なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅したものではありませんのでご留意ください。
(1) テレビ放送事業に関するリスクについて
① テレビ広告収入について
当社グループの地上波放送事業およびBS放送事業における広告収入は、総売上高の約6割を占めています。
広告市況は、国内における少子高齢化に伴う低成長という要因に加えて、メディアの多様化やインターネット広告市場の拡大等により、テレビ広告の市場は漸減傾向となっています。さらには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う経済の停滞の影響もあり、テレビ広告市場の見通しは厳しい状況にあります。
当社グループは、こうした広告市場の動向を注視しながら、マーケティング機能の強化に加えて広告主ニーズへの対応や新たな営業手法の開発等により、テレビ放送による広告収入の向上を目指してまいります。しかしながら、2021年度に予定されている東京および北京オリンピック・パラリンピックの開催について新型コロナウイルスの感染拡大が収益に及ぼす影響をはじめとして、今後の日本経済のマクロ動向、広告市況の動向が想定外の変化を示した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
② 視聴環境の変化について
定額制の動画配信サービスの普及により放送と通信は業界の垣根がなくなり、視聴環境の多様化がすすむなかで、放送番組のインターネット視聴やタイムシフト視聴も加速しています。
一方、放送事業においては、視聴率がCM放送枠の販売価格を決定する重要な要素の一つであることに変わりはなく、視聴率の獲得は引き続き重要な課題です。
当社グループは、テレビ放送を軸とし、視聴者に受け入れられ、当社グループのブランドイメージ向上につながるコンテンツの創出に努めてまいります。しかしながら、今後の視聴動向に想定外の変化が生じた場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) テレビ放送事業以外に関するリスクについて
① アニメビジネスにおける海外展開について
当社グループはアニメビジネスを重要な収益の柱と位置付けており、海外への配信・商品化等でのライセンス展開も積極的に行っています。中国では2017年にアニメグッズの企画およびライセンス事業を行う現地法人「杭州都愛漫貿易有限公司」を設立したことに加え、2020年には現地資本とコンテンツを共同制作する現地法人「杭州都之漫文化創意有限公司」を設立しました。
また、2021年より中東、北アフリカ地域においてアラビア語圏で最大級のプラットフォーム「STARZPLAY」を通じ1000話を超えるアニメの正規配信を開始しました。
海外展開に当たっては、現地取引先との連絡を密にし、コンテンツ産業政策に関する現地の最新情報を収集して、可能な限り万全な契約締結等によるリスクの最小化をすすめるとともに、ビジネス展開をはかる地域が偏らないように努めてまいります。
しかしながら、海外展開においては、進出先の法制度やコンテンツ産業政策の変更等によるリスクがあり、計画通りにコンテンツの制作や販売等ができない場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
② インターネット動画配信事業について
多くの家庭で高速通信回線の普及が進み、ケーブルテレビ、インターネットを通じた映像視聴環境が整ってきたほか、スマートフォン、タブレットといった携帯型高機能端末の普及に伴い、通信を利用した映像コンテンツへの接触頻度はますます拡大しています。
当社グループは有料配信サービスとして、2021年4月に「テレビ東京ビジネスオンデマンド」及びニュースサイト「テレ東NEWS」を統合し経済動画配信サービス「テレ東BIZ」をスタートさせました。また、広告付き動画配信として、2015年から「ネットもテレ東」を開始し、同年10月には民放公式のテレビポータルサービス「TVer」によるサービスにも着手しました。さらに他の放送事業者等との共同事業として、2018年4月にサービスを開始した「Paravi(パラビ)」の運営にも参画し、幅広いコンテンツを提供しています。また、2017年4月にサービスを開始した動画配信「あにてれ」は、コアファン向けのビジネスの多様化やParaviがアニメにも注力してきているという状況の変化を踏まえ、2021年6月末をもってサービスを終了します。
当社グループは、映像メディアの多様化に対応したコンテンツの開発やビジネスモデルの構築に取り組んでまいりますが、これら事業は成長分野であると同時に競争環境も厳しく、事業が想定通りに進捗しない場合や動画配信事業の市場環境が大きく変動する場合には投下資本の回収が困難になり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
③ イベント事業について
当社グループは、展覧会、スポーツ・演劇・音楽のライブのほか、池袋のMixalive TOKYO(ミクサライブ東京)から発信するオンラインとリアルを組み合わせたイベント事業などに積極的に取り組んでいます。また、これらイベント事業については、過去の実績や他社事例を踏まえた慎重な収支計画のもと出資判断を行っています。しかしながら、不測の事態によりイベント自体が開催できなくなる場合や大幅な計画変更を余儀なくされる場合、イベントのチケット収入や関連グッズの販売収入等が、当初計画した収益を確保できないような場合には、当社グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。
また、イベントの実施にあたっては、準備段階から事故等のないよう細心の注意を払うとともにイベント保険を付保するなどの危機管理を行っています。しかしながら、万が一、事故等が発生した場合には損害賠償責任を負う場合があり、また、社会的な信用の低下を招く可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 資本提携・M&Aについて
当社グループは、将来の成長力強化に資するような企業との資本・業務提携やM&Aを積極的に進めてまいります。新規の資本出資やM&Aに関しては、当社グループの事業との親和性、シナジー効果等を十分に考慮し、投資リスクと効果を慎重に見極めたうえで「出資委員会」による審議を踏まえて最終的に取締役会の決議により投資判断を行います。
M&Aを行うに当たっては、対象企業の財務状況や事業の成長性についてデューデリジェンスを行い、十分なリスク対策を行うよう努めていますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査では把握できない問題が生じる可能性もあります。また、事業環境の変化その他の理由により、対象者の事業展開が計画通りに進捗しない場合には、減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 災害及び感染症等の対応について
当社グループは、災害発生時において報道メディアに求められる役割を踏まえ、携わる社員・スタッフの安全を確保しつつ放送の継続が重要であると考えています。また、放送事業者は放送法により、災害が発生した場合またはそのおそれがある場合に、その予防または被害軽減のための放送を義務付けられており、大規模な災害が発生した場合は、予定されていた番組の放送を取り止め、緊急に報道特別番組を放送することがあります。
このような場合、CM放送やテレビ通販番組の休止に伴い、放送事業や通信販売事業の収入が減少する場合があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大は、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼしています。2020年度においては、番組におけるロケ撮影の中止やスタジオ収録時の「三密(密集、密接、密閉)」の回避、スポーツイベントの中止・縮小、映画やイベントの延期・中止等といった措置を余儀なくされる状況となりました。
当社グループでは、社員・スタッフやその家族及び出演者等関係者の感染防止を最優先とし、感染防止対策として「グループ大規模感染症対策ガイドライン」を拡充したほか、在宅勤務を推進し最低人数での業務遂行を想定した部署別のBCP(事業継続計画)対策を策定し運用しております。全グループ社員を対象に毎日健康状態を確認することや毎朝社長を含め、各局室長およびグループ会社役員が出席する「コロナ対策会議」を開催することにより、全社的な感染者や体調不良者の動向を把握し、その都度対応策をすぐに取れる体制を整え運営しております。また、番組製作部署においては、引き続きロケ撮影の可否を慎重に判断した上で、独自の感染防止ガイドラインを活用することや必要に応じてスタッフにPCR検査を受診させ陰性を確認した上でロケ撮影や収録に臨むなど感染防止に努めております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期についてはいまだ見通しが立っておらず、感染がさらに拡大、長期化する可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 通信販売事業について
当社グループは、放送およびインターネットを通じ様々な通信販売事業に積極的に取り組んでおります。販売する商品の選定および品質管理については細心の注意を払っており、商品に関する表示についても適正な表示に努めております。
しかしながら、当社グループが販売した商品に何らかの不具合や欠陥があった場合、返品や商品の交換、損害賠償等の責任を負う可能性があります。また、販売において不適切な表示があった場合には法令上の処分を受ける可能性があります。このような場合には、当社グループの社会的信用が低下するとともに、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 著作権等の知的財産権について
当社グループが制作するテレビ番組等の映像コンテンツは、原作者、脚本家、音楽の作詞家・作曲家、実演家、レコード製作者など(以下「著作権者等」といいます)多くの人々の知的創造の結果としてそれらの人々に生じた著作権や著作隣接権などが組み合わされた創造物になります。
当社グループは、こうした映像コンテンツを、地上波やBS、CSでの放送だけでなく、インターネットによる配信、DVDやBlu-ray Discでのパッケージ化、コンテンツから派生するキャラクターの商品化、出版化、またはイベント事業の実施などにより、国内および海外において多岐に展開しています。
しかしながら、これにはテレビ番組の制作とは別途に多くの著作権者等の許諾を得ることが必要な場合があり、その権利処理のために多くの時間と費用が必要となる可能性があります。また、結果として権利者等の理解を得られず、円滑に映像コンテンツの利用ができない場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 保有財産に関するリスクについて
① 設備投資について
当社グループは、放送事業の基幹システムの更新、コンテンツ制作力向上のための放送設備の更新に加え、動画配信事業に伴う新たなシステム開発を行うなど、メディアの多様化に対応するための設備投資や投融資を計画的に実施してまいります。
これらのシステムの導入にあたっては初期費用、運用費用、改修費用等を慎重に精査し、事業における優先順位を勘案して「設備投資会議」による審議を踏まえて最終的に取締役会の決議により設備投資判断を行います。しかしながら、技術革新などにより投資したシステムが陳腐化することにより追加的な投資が必要となる場合や、投資計画に見合うだけの十分な利益が確保できない場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
② 投資有価証券の時価評価について
当社グループは、取引先との関係促進を主な目的として、投資有価証券を保有しております。
新規の投資案件はリスクとリターンを勘案し投資判断を行うとともに、既に保有している投資有価証券についても、投資先との取引や協業の状況および企業業績を精査し、継続保有の是非を定期的に判断することとし、「出資委員会」においてこれらを審議のうえ、最終的に取締役会で決議しています。
しかしながら、これらの投資先の業績や市場評価を正確に予測することは困難であり、投資有価証券の時価評価額の増減に大きな変動があった場合には減損処理等の措置が必要となる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 法的規制等に関するリスクについて
① コンプライアンスについて
コンプライアンスの観点から当社グループが対処すべき分野は、当社グループの役職員および派遣社員・スタッフによる放送事故や不祥事、不適切な内容の放送、コンテンツの制作過程における他者の権利侵害を含むトラブルや事故、また、個人情報に関する事故や下請代金支払遅延防止法への抵触、さらにインサイダー取引の禁止など、多岐に及んでいます。
当社グループでは、「テレビ東京グループ行動規範」をはじめとし「個人情報取扱基本規程」「下請法対応マニュアル」「インサイダー取引防止に関する規程」等のルールを定め、定期的な研修等でその周知・徹底を行っています。また、当社の「リスク管理・コンプライアンス委員会」において当社グループ内のさまざまなコンプライアンスリスク低減のための検討をしています。
当社グループは、このように不祥事やトラブル、法令違反等への対策を講じていますが、万が一、コンプライアンスに抵触する事態が生じた場合には、当社グループの社会的信用が低下し、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
② テレビ放送事業に関する法的規制
当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、放送法、電波法等の法令に規制されています。
このうち放送法は、放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議機関の設置などを定めています。また電波法は、無線局に対する免許制度をはじめ、電波を利用するための基本が定められています。
事業会社㈱テレビ東京が現在取得している電波法による地上デジタル放送免許は、2018年11月に更新されたものであり、免許の有効期限である5年毎に再免許の申請が必要になります。また、同じく㈱BSテレビ東京が現在取得している放送法による委託放送事業者としての認定および電波法による衛星放送の地球局免許は、2018年11月に更新されたものであり、5年毎の更新手続きおよび再免許申請が必要になります。さらに2018年12月には、新たにBS4K放送の免許交付を受けています。
当連結会計年度末において、免許の取消し等の処分を受けることを予測すべき事実はありません。しかしながら、仮に法令で定める免件要件に適合しなくなった場合には、再免許が取り消される可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 認定放送持株会社に対する法的規制について
認定放送持株会社は、放送法による認定を受けることにより、複数の地上放送局とBS・CS放送局を子会社として保有することが認められており、当社は、㈱テレビ東京、㈱BSテレビ東京を子会社とする認定放送持株会社として認定を受けています。
これにより、当社は、グループとしての経営の効率化や財務基盤の強化を進めてまいりますが、今後、当社が放送法で定める認定放送持株会社の基準を満たさなくなった場合には、認定を取り消される可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 外国人が取得した株式の取扱いについて
放送法により、外国人等が直接間接に占める議決権の合計が、当社の議決権の5分の1以上を占めることとなる場合は、認定放送持株会社としての認定が取り消されることになります。このため放送法では、このような状態に至る場合、当社は、外国人等が取得した当社株式について、株主名簿に記載・記録することを拒むことができ、その議決権は制限されることとされています。
なお、外国人等の有する議決権の割合が100分の15に達した場合は、放送法に基づきその割合を公告しますが、当連結会計年度末において、当社は公告をすべき状況にはありません。
⑤ 個人情報の取り扱いについて
当社グループは、番組出演者、番組観覧者、視聴者の他、インターネット事業の会員や通信販売事業の顧客、イベント参加者などに関する個人情報を保有しています。これらの個人情報の取扱いについては、社内ルールに基づいた安全管理を徹底し、十分な注意を払っています。
しかしながら、不正アクセスや不正利用などにより情報の外部流出が発生した場合には、社会的な信用性の低下により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度(2020年4月~2021年3月)における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により厳しい状態が続きました。国内では一部地域を対象にした政府の緊急事態宣言発動に伴う外出自粛、休業要請などがあったほか、海外でのロックダウンによる景気低迷の影響も無視できず、消費や輸出が大きく落ち込みました。期末にかけてやや持ち直しの動きが見られたものの、コロナの影響はなお予断を許さない状況が続いております。
こうした状況のなか、当社グループの連結売上高は前年同期比4.2%減の139,084百万円、連結営業利益は2.0%増の5,228百万円、連結経常利益は3.5%増の5,340百万円、親会社株主に帰属する純利益は0.6%減の2,575百万円となりました。
(単位:百万円)
(資産)
流動資産は71,092百万円、前連結会計年度末に比べて1,544百万円減少しております。現金及び預金、制作勘定がそれぞれ、1,169百万円、583百万円減少したことによるものです。
固定資産は56,983百万円、前連結会計年度末に比べて4,788百万円増加しております。投資その他の資産の投資有価証券が5,560百万円増加したことが主な要因です。
(負債)
流動負債は33,667百万円、前連結会計年度末に比べて711百万円減少しております。支払手形及び買掛金、その他がそれぞれ、346百万円、1,619百万円減少した一方で、未払費用が1,134百万円増加したことが主な要因です。
固定負債は5,333百万円、前連結会計年度末に比べて78百万円増加しております。退職給付に係る負債が2,670百万円減少した一方で、長期未払金、繰延税金負債がそれぞれ、2,002百万円、837百万円増加したことが主な要因です。
(純資産)
純資産は89,074百万円、前連結会計年度末に比べて3,876百万円増加しております。利益剰余金、その他有価証券評価差額金がそれぞれ、1,464百万円、2,587百万円増加したことが主な要因です。
詳細につきましては「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 ③連結株主資本等変動計算書」をご参照ください。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、33百万円増加、前年同期比0.1%増加となりました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は30,693百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5,858百万円、前年同期比33.4%減少となりました。
これは主に、たな卸資産の増減額及び未払費用の増減額がそれぞれ2,095百万円、2,052百万円の収入増加となったものの、売上債権の増減額、仕入債務の増減額、前受金の増減額がそれぞれ3,481百万円、1,809百万円、2,531百万円の支出増加となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,952百万円、前年同期比1.9%減少となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,491百万円の減少となったこと、関係会社株式の取得による支出、関係会社出資金の払込による支出がそれぞれ、1,440百万円、2,192百万円の増加となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,858百万円、前年同期比38.7%増加となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が485百万円の増加となったこと等によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注1)自己資本比率 : 自己資本 ÷ 総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額 ÷ 総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債 ÷ キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い
(注2)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
(注3)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出して
おります。
(注4)キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フ
ローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち
利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結
キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(a) 生産実績及び受注実績
当社グループの取引形態は一般的な製造業等における「生産」や「受注」といった概念が存在しないため記載しておりません。
(b) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、当社グループの連結営業利益は前年同期比2.0%増の5,228百万円、連結経常利益は3.5%増の5,340百万円、親会社株主に帰属する純利益は0.6%減の2,575百万円となりました。
コロナ禍の影響が強いテレビ広告市況は、昨年秋以降、徐々に持ち直しの動きが見られるものの、年間を通しては前年には及ばない状態でした。この結果、連結売上高は4.2%減の139,084百万円となりました。一方、感染予防の狙いもあり、人員をかけないようにした番組制作や営業活動を続けたことから、営業費用も4.4%減の133,855百万円にとどめることができました。
放送事業以外の分野では、当社の強みであるアニメの海外売上が引き続き好調に推移したことに加え、巣籠もり需要をとらえた通販部門も伸ばすことができました。これらを含めたグループ全体の連結営業利益は、前年を上回ることができました。
年明け以降もコロナ感染拡大の可能性など不確実な状態が続く中、独自のコンテンツ作りを通じて放送事業の収益をできる限り確保しつつ、アニメの海外輸出、ドラマやバラエティー、ニュース番組などのコンテンツ配信、オンラインを活用したイベントなど放送事業以外のライツ事業を強化していく所存です。テレビ東京グループ各事業の総力を結集し、業績向上を目指して参ります。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績は以下のとおりです。
(地上波放送事業)
(単位:百万円)
地上波放送事業は㈱テレビ東京単体の事業となっております。
①放送事業(地上波放送、番組販売)
放送事業収入(売上高)の合計は10.3%減の72,869百万円となりました。
このうち、番組提供のスポンサーから得られるタイム収入は8.6%減の43,623百万円となりました。通常放送部門(レギュラー部門)は系列局を通じた全国放送(ネット部門)、㈱テレビ東京単独の首都圏放送(ローカル部門)の両方で、4月クール、10月クールの番組改編に伴う落ち込みがありました。タイムの一種であるPTセールスと呼ばれる分野で順調に推移したケースもありましたが、全体を補うには至りませんでした。スポーツやイベントなどの特別番組(特番)部門は、新型コロナウイルスの影響が色濃く、「世界卓球2020韓国」の開催中止や他のイベントでの規模縮小などが響きました。
スポット収入は、10月以降少しずつ回復し、特に12月以降は在宅・テレワーク関連を中心に盛り上がりを見せたものの、上期のコロナの影響による落ち込みは大きく、13.7%減の22,968百万円となりました。
一方、地方放送局などへの番組販売では、コロナの影響でスポーツ中継が中止になった際に需要が増えたりした局面もあったものの、年後半からは各局の番組購入費の削減などの影響が出ました。年間を通じた番組販売は2.6%減の4,553百万円となりました。番組別では、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」「家、ついて行ってイイですか?」が好調でしたが、「YOUは何しに日本へ?」「昼めし旅」が売上を落としました。
コストの面でもコロナの影響が出ています。番組制作活動の停滞による番組制作費の減少、売上減に伴う代理店手数料の減少等により、放送事業原価は13.2%減の51,216百万円にとどまりました。
売上、経費の双方とも前年同期比で減少しましたが、放送事業の粗利益では2.7%減の21,652百万円となりました。
②ライツ事業(アニメ、コンテンツ、イベントなど)
㈱テレビ東京が持つコンテンツを活用し、放送による広告以外に収入を上げている事業を「ライツ事業」と呼んでおり、ゲーム化権や配信、イベントなどから得られる収入を指しています。
当期のライツ事業収入(売上高)の合計は1.1%増の30,492百万円となりました。
アニメ部門は、劇場映画のタイトル数は前年同期比で減少しましたが、国内では商品化ビジネスが前年並みを維持。中国をはじめとした海外では「BORUTO」のSNSゲームが売上を伸ばしました。配信も国内・海外ともに好調で、アニメ部門全体の収入は6.3%増の22,887百万円と、過去最高を更新しました。
放送番組をインターネット配信の課金プラットフォームなどに販売しているコンテンツ部門は、コロナ禍に伴う新作ドラマの制作中断・延期等により、上期は振るいませんでした。下期にはプライム帯ドラマの新番組スタートなどもあり回復傾向となったものの、通期では前年比で減収となりました。米アカデミー賞受賞の「パラサイト 半地下の家族」のヒットにより、映画部門が前年比で増益となるなど明るい材料もありましたが、国内プラットフォーム向け配信や中国向け番販などが振るいませんでした。この結果、コンテンツ収入は11.4%減の5,486百万円となりました。
イベント部門も計画を相次いで縮小・中止せざるを得なくなりました。上期はすべての有観客イベントが中止となり、下期には入場者数を制限して開催したフィギュアスケート「ジャパンオープン2020」「カーニバル・オン・アイス2020」のチケット券売が苦戦しました。更には「ゴッドタンマジ歌ライブ」などが中止となる中、池袋のMixalive TOKYOを拠点に新規でオンラインイベント「テレ東文化祭」「あちこちオードリー」などを実施しましたが、年間売上高は49.3%減の740百万円にとどまりました。
ライツ事業の全体の原価では、配信事業等への積極的な費用の投下に伴ってコストが増加しております。
この結果、ライツ事業の粗利益は4.0%減の10,317百万円となっています。
③その他費用(共通・間接費)
放送事業、ライツ事業に共通する人件費や販管費などの共通・間接費は、新型コロナ拡大に伴って業務全般が停滞したことに加え、在宅勤務など「新たな働き方」へのシフトを進めたこともあって、2.1%減の27,414百万円に抑制することができました。
以上を総合すると、放送事業とライツ事業を併せた地上波放送事業(㈱テレビ東京単体)の決算は、売上高で7.2%減の103,361百万円となりました。両事業の粗利益合計から共通・間接費を差し引いた営業利益は8.8%減の4,555百万円、経常利益は7.8%減の5,912百万円、税引前当期純利益は17.9%減の5,316百万円となっております。

(放送周辺事業)
(単位:百万円)
放送周辺事業は㈱テレビ東京ホールディングス及び㈱テレビ東京の子会社のうち、テレビ通販やEC事業、CS有料放送チャンネル、音楽出版、番組制作・販売や放送運営などを手掛ける会社で構成されております。
テレビ通販事業を手掛ける㈱テレビ東京ダイレクトは、コロナ禍の巣ごもり需要が追い風となり、除湿剤「出雲屋炭八」などの生活関連商品が人気を集めました。お取り寄せグルメ「虎ノ門市場」についても、おせち料理や海鮮セットを中心に大きく売上を伸ばしたことから、同社の売上高は14.1%増の16,925百万円、3期連続の増収増益を達成しました。
音楽出版を手掛ける㈱テレビ東京ミュージックは、年間を通して、印税収入が順調に推移しました。アニメ関連楽曲やドラマのテーマ曲に加え、配信の楽曲使用料や、海外からの印税も売上に貢献したことから、同社の売上高は5.8%増の3,412百万円となりました。
アニメ専門チャンネル「AT-X」を手掛ける㈱エー・ティー・エックスでは、加入促進キャンペーンや企業プロモーションを通して、加入者数の大幅な落ち込みを食い止めましたが、放送売上の増加には至りませんでした。また、広告関連事業についても、新型コロナウイルスによる製作スケジュールの遅れが響き、売上が前年よりも大きく減少しました。これにより、同社の売上高は22.2%減の4,647百万円となりました。
以上の結果、上記の3社を含む放送周辺事業全体の売上高は0.1%増の42,019百万円、営業利益は21.0%増の3,047百万円となりました。
(BS放送事業)
(単位:百万円)
BS放送事業は㈱BSテレビ東京が手掛ける事業を指しております。
①放送事業(BS放送)
放送収入のうち、タイム収入では、コロナの影響を大きく受け、「ゴルフ中継」「世界卓球」などのスポーツコンテンツを放送することができませんでした。その中で、開局20周年記念特番の「日経スペシャルSDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査」をはじめとする特番や、通販番組等で巻き返しを図りましたが、前年実績を下回りました。一方、スポット収入に関しては、コロナ禍の中でも通販スポンサーを中心に出稿が増えたことに伴い、前年実績を上回りました。放送収入全体としては、タイム収入減をスポット収入でカバーしきれず、前年実績を下回る結果となりました。
②ライツ事業(コンテンツ、イベント他)
コロナ禍によりコンテンツ制作に一部影響が生じましたが、BSオリジナルの新作の制作を継続、アーカイブ作品とともに配信・ビデオ化・海外販売などを積極化しました。イベント事業は大幅規模縮小及び延期を余儀なくされましたが、部門全体では当初想定を上回る収益を確保することができました。
③営業費用
営業費用は番組制作費及び経費を効率的に使用したことにより2.6%減の14,704百万円となりました。
以上の結果、BS放送事業(㈱BSテレビ東京)の売上高は2.0%減の16,065百万円、営業利益は5.6%増の1,361百万円となりました。
(コミュニケーション事業)
(単位:百万円)
コミュニケーション事業とは、㈱テレビ東京コミュニケーションズが手掛ける事業を指しております。
コロナの影響はありましたが、巣ごもり需要を捉えたスヌーピーなどのキャラクターEC事業が一年を通して好調に推移しました。動画配信事業において再生回数が上昇し、連動する広告売上が大幅に伸長しました。また、新たな取り組みとして複数のオンラインイベントを実施する等、新規事業構築にも積極的に取り組みました。
以上の結果、コミュニケーション事業の売上高は25.9%増の6,057百万円、営業利益は2.9%増の312百万円となりました。
②資本の財源及び資金の流動性
資本の財源
当社グループの自己資本比率は67.2%であり、安定した財務体質となっております。借入金など有利子負債は総資産に対し4.2%と低い比率になっております。今後も企業価値向上のための成長投資を継続的に行うために財務体質の健全化に努めてまいります。
資金の源泉と配分
当社グループの短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によるキャッシュフローです。設備投資など事業への資源配分や株主還元は、営業活動によるキャッシュフローや営業利益との適正なバランスを考慮しつつ判断しております。多額の設備投資・出資については、効果の及ぶ期間を見積もり、当該期間の利益計画などとの検討の上、設備投資会議・出資委員会で決定しております。
設備投資に関しては、過去3年でBS4K放送マスター、スタジオ4K対応、4K中継車、テレ東BIZ配信、リモートワーク対応、省電力化対応スタジオ照明など将来の成長につながる投資を着実に行ってまいりました。また戦略的な出資についても、動画配信のParavi、見逃し広告動画配信のTVer、中国現地法人2社(アニメグッズ開発、アニメ制作)など当社の最大の経営資源である番組・コンテンツの有効活用を図るべく行ってきました。今後も採算性を吟味し、財務規律を守ったうえで成長のための投資を積極的に推進してまいります。
株主還元につきましては、重要な経営課題のひとつとして位置付けております。認定放送持株会社体制の下、高い公共性を認識しながら、グループの成長と企業価値の増大、長期的な経営基盤の充実に向けた内部留保とのバランスを考慮し、安定的な配当の継続を重視しつつ、業績に応じた利益還元にも努めることを基本方針としております。具体的には、1株当たり20円を下限とした安定配当に加えて、業績に連動した配当として、連結ベースで配当性向30%を目標にしております。今期の年間配当は6年連続40円といたしました。配当性向は43.9%となりますが、株主還元の継続性、安定性を重視いたしました。
資金需要の主な内容と資金の流動性
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、放送・配信等のための番組コンテンツ制作費、コンテンツ購入費用、放送・配信のための業務委託費用、広告代理店手数料、賃借料、人件費などがあります。売上債権と棚卸資産から営業前受金と仕入債務を引いた運転資金は、今年度末で154億円です。
また、投資活動に係る資金支出は、番組コンテンツ制作のための設備、放送・配信のための設備、放送やマーケティングのためのIT投資などがあります。
当社グループの現金及び現金同等物の残高は、前年度末に比べ3千3百万円微増の306億円となりました。売上高の2.6か月分の手元流動性となっており、短期的な資金の安全性は十分であると認識しております。
。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積りを合理的に行わなければなりません。経営陣は見積りに影響を与える要因を把握し、把握した要因に関して適切な仮定設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針及び見積りに関しましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 重要な会計上の見積り」に記載しております。なお新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載しております。
当社は、2010年10月1日付で、㈱テレビ東京、㈱BSジャパン(現㈱BSテレビ東京)及びテレビ東京ブロードバンド㈱(現㈱テレビ東京コミュニケーションズ)との間において、それぞれの経営状況を管理・指導するための経営管理契約を締結しております。
当社グループでは、デジタル化により多様化する放送サービスへの対応と、配信による新たなサービスの提供に向けて、より幅広い分野における利用技術の研究開発に取り組んでおります。またコロナ禍における番組制作体制に効果的なクラウドやリモート、ロボティクスなど新技術の検討と活用を積極的に進めております。
特に㈱テレビ東京技術局技術推進部を中心として、放送サービスに関わる最新技術の導入を検討・推進すると共に、動画配信サービスにも利用可能な技術開発を進めるなど、地上、BS、配信の3つのメディアを効果的に運用して、視聴者に良質で魅力的なコンテンツをお届けする体制作りに注力しております。
また、放送と通信の連携を利用したサービスの検討を進めており、AIを活用した自動字幕サービス、視聴データ取得による効果的なコンテンツの提供をはじめ、動画配信サービスに関する技術検証を進めるなど、新たな放送・配信技術にも積極的に取り組んでおります。
引き続き基幹放送事業者として、地上・BSデジタル放送の安全信頼性の確保と価値向上、さらには動画配信を含めて視聴者のニーズに柔軟かつ速やかに対応すること、またコロナ禍に対応した制作体制とコンテンツ提供を目標とし、研究開発活動の成果を反映することで放送・配信事業に役立てて参ります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(地上波放送事業)
①デジタル放送関連
・東京スカイツリーと中継局、ネットワーク設備の安定的で、効率的な運用を目指した在京局による共同検討
・大規模災害に対応した放送の安定送出を目指した設備検討
②番組制作関連
・クラウドやリモート技術を活用した番組制作技術の検討
・放送設備のIP化として、IPリモートプロダクションによる番組中継システムの効率化の実証
・AIによる音声解析を活用したリアルタイムでの自動字幕の実証
・ロボティクスを活用したスタジオカメラの効率化の実現
・動画素材をAI画像・音声解析して自動でタグ付けを行い放送活用するシステムの開発
・スポーツ中継でのAI画像解析を使った自動得点CGを付与するシステムの開発と実証
・番組素材伝送用の次世代FPU装置による伝送方式の検討
・5Gを活用した番組中継やVRコンテンツ制作の検証
・ファイルやクラウド、オンラインによる番組販売設備の検討
・クラウドを利用した番組編集システムの検討
・照明設備のLED化による省電力化及びIPリモートプロダクションによる省力化
③新技術調査、研究関連
・地上波テレビ放送の高度化に向けた方式検討、実証実験
・クラウドを利用したプレイアウトシステムの検証
・ハイブリッドキャストを利用した自動字幕の実証実験
・データ放送を利用した視聴データ取得に関する実証実験
・放送事業用無線システムと他の無線システムとのダイナミックな周波数共用の検討 など
(放送周辺事業)
該当事項はありません
(BS放送事業)
BSデジタル放送関連
・BS4K放送の番組連動データ放送設備構築によるサービス内容の拡充
・周波数有効利用の為の周波数再編に関する検討と再編作業の実施
(コミュニケーション事業)
該当事項はありません