第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴う影響については、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を及ぼす可能性がある事象が発生していないことから、軽微であると判断しております。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、

①情報通信を核とし、常に新しい価値を創造する「総合エンジニアリング&サービス会社」として、お客様から最高の満足と信頼を得られる日本のリーディング・カンパニーを目指します。

②安全と品質を大切に、最高のサービスを提供することによって豊かで快適な社会の実現に寄与します。

③企業の社会的責任を果たし、常に人間を尊重する企業として、人や社会と共存共栄する企業であり続けます。

以上の経営理念のもと、企業価値の向上と持続的な成長を図ってまいります。

 

(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境は、5G関連サービス拡大への期待や、「新しい生活様式」のもと、オンライン授業やテレワークの浸透などに伴う新たなICTソリューションに対するニーズの高まり、さらには脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー政策の推進などにより、今後も大きく変化していくことが予想されます。

当社グループは、このような外部環境の変化に対応し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として企業価値の向上と持続的な成長を図るためには、経営の効率化と既存事業の生産性向上に取り組むとともに、中長期的には新分野(フロンティア事業)の拡大と競争力強化が必要であると考えております。

この達成に向けて、当社グループは、2019年度をスタートとする3ヶ年の第4次中期経営計画を策定しております。

 

〔中期経営計画における重点施策〕

① 新たな事業機会の創出

・経営統合により深化した地域カバレッジを活用したソリューションビジネスの展開

・従来の事業分野や技術の枠組みを超えた新たな事業機会へのチャレンジ

② 事業構造の転換を加速

・キャリア事業からソリューション事業への転換を加速

・ソリューション事業の質の転換(利益重視)の促進

③ 生産性の向上と事業運営コストの効率化

・パートナー会社との連携強化による工事稼働の確保

・システムの共有化と共通業務の集約

④ 人材基盤の強化

・働き方改革による生産性向上と人材確保

・新事業分野の拡大や事業変革を支える人材の強化・活性化

⑤ ESG経営の推進、安全・品質の向上

・ESG強化の観点から、事業をリスクと機会の両面から捉え的確に対応

・「安全・品質の向上」で、お客様からの安心と信頼に応えるミライトグループブランドの確立

⑥ 資本政策

・健全な財務体質の維持

・資本コストを意識した経営

・ROE8%以上の実現に向けた株主還元の検討

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下、「KPI」という。)として、第4次中期経営計画において、売上高、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本当期純利益率)を採用し、2021年度目標を売上高4,500億円、営業利益270億円(営業利益率6.0%)、ROE8%以上に設定しておりましたが、2ヶ年目となる2020年度において、全ての数値目標を前倒しで達成いたしましたので、2021年度は前年度の業績を着実に上回ることを目標とし、売上高4,700億円、営業利益305億円、営業利益率6.5%を設定しております。

当該KPIを採用しているのは、株主をはじめとする全てのステークホルダーが、当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であるとともに、その進捗状況や、実現可能性の評価等行うことが可能であるとの認識によるものであります。

なお、営業利益及びROEについては、グループ会社の業績並びに企業価値向上への貢献意識を高めるため、導入している業績連動型株式報酬制度「株式給付信託」における付与ポイント算定のための指標にも採用しております。

 

(注)当該KPIの各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、「(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、外部環境の変化に対応し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として企業価値の向上と持続的な成長を図るためには、新分野(フロンティア事業)の拡大と競争力強化とともに、当社及び連結子会社である㈱ミライト、㈱ミライト・テクノロジーズの3社の再編成・合併(目標:2022年度早期)に向けた検討を開始、さらに、㈱ミライトのグループ会社再編成に取り組むなど、事業環境の変化に対応した事業構造の転換を加速させる必要があると考えております。

新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない状況にあり、先行き不透明な状況が継続することが懸念されるものの、当社グループは、未来の社会インフラ(通信・エネルギー)を「創り・守る」、信頼あるグループであり続けるよう、新たな働き方も積極的に活用しながら、元気で活き活きとした企業グループづくり、企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。

 

2021年度につきましては、次の課題に優先的に取り組んでまいります。

 

①新分野(フロンティア事業)での事業領域拡大

・グループ間連携の強化などを通じた事業構造の転換加速

・市場環境の変化に対応したターゲットの厳選

・営業効率の向上による経営基盤の強化

 

②既存事業の生産性向上

・ベンチマーク方式による継続的な事業の効率化と統合シナジーの最大化

・業務効率化を目的とした事業横断的なマルチスキル化の推進

・業務プロセス見直し等各種施策による利益体質強化

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがあります。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①特定取引先への依存に伴うリスク

当社グループの主たる取引先は、NTTグループをはじめとする通信事業各社であり売上高に占める割合が高く、通信事業各社の設備投資動向や技術革新等によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、通信キャリア事業からソリューション事業への事業構造の転換を加速するとともに、従来の事業分野や技術の枠組みを超えた新たな事業機会の創出へチャレンジしております。

 

②安全・品質に関するリスク

重大な事故等による不測の事態や品質に重大な問題を発生させた場合、取引先からの信用を失うとともに営業活動に制約を受けるなど当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは事業会社が導入している安全や品質に関する統合マネジメントシステム等を活用し、お客様に信頼、評価される高品質なエンジニアリングとサービスをお届けできるよう安全・品質管理にグループ一体となって取り組んでおります。

 

③重要な情報の管理に関するリスク

事業活動を通して、取引先からの技術データ、個人情報等の重要な情報を入手することがあります。予期せぬ事態により情報が流出や悪用された場合には、取引先からの信用を失うとともに損害賠償責任の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは事業会社が導入しているISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を活用し、グループ一体となって情報漏洩防止を徹底しております。

 

④取引先の信用不安に関するリスク

取引先の信用不安が発生した場合は、工事代金の回収不能や工事の施工遅延等が生じ当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループは外部調査機関等を利用した取引先の与信管理と、法務担当による契約書審査を行う等により信用不安リスクの回避に取り組んでおります。

 

⑤保有資産に関するリスク

事業運営上の必要性から有価証券等の資産を保有しておりますが、著しい時価の変動等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、定量的・定性的検証を通じ保有意義が希薄と考えられる有価証券等は段階的に縮減し、時価変動リスクの回避に取り組んでおります。

 

⑥自然災害・感染症等に関するリスク

大規模災害や感染症の大流行等により当社グループの従業員、協働者、設備等への直接被害やサプライチェーン分断による資機材の納入遅延等不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは地震等の自然災害や感染症が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)の策定、社員安否確認システムの構築、防災訓練や新しいワークスタイルへの移行等各種対策を講じております。

 

⑦海外事業に関するリスク

当社グループでは、アジア、オセアニアを中心とした諸外国で事業を展開しており、進出国での政治・経済情勢、為替や法的規制等に著しい変化、感染症の大流行や資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、グループ内での情報収集、進出国の適度な分散等により、その予防・回避に努めております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴う影響については、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を及ぼす可能性がある事象が発生していないことから、軽微であると判断しております。

 

(1) 経営成績

2020年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、厳しい状況で推移いたしました。今後につきましても、ワクチンの普及による感染症の収束が期待されているものの、変異ウイルスが広がりをみせるなど、先行き不透明な状況が継続することが懸念されております。

当社グループを取り巻く事業環境については、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、活動自粛や工事部材の納入遅れなどにより、一部工事の進捗が遅れたほか、新規受注の獲得にも影響が生じました。しかしながら、中長期的には、第5世代移動通信システム(5G)の基地局整備計画が前倒しされるなど、5G関連サービス拡大への期待や、「新しい生活様式」のもと、オンライン授業やテレワークの浸透などに伴う新たなICTソリューションに対するニーズの高まり、さらには脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー政策の推進が期待されております。

こうしたなか、当社グループは、「総合エンジニアリング&サービス会社」として人々の生活を支える社会インフラを構築するため、通信事業各社をはじめとするお客様と連携し、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を講じながら事業活動を継続するとともに、時差出勤、在宅勤務、オフィス分散など、当社グループ自身の働き方改革の進展と事業運営の効率化にも取り組んでまいりました。

NTT事業においては、設備運営業務の増加やテレワークの拡大などに伴うアクセス工事の増加、高度無線環境整備推進事業の受注獲得に取り組むとともに、ベンチマーク方式による利益率の改善や事務所統合などによる効率化を図りました。

マルチキャリア事業においては、5Gの本格展開や楽天モバイル向け工事の受注獲得に取り組むとともに、固定通信設備とモバイル通信設備の工事・保守を複合的に行えるマルチスキル技術者を育成し、技術力・人材基盤の強化を推進いたしました。

環境・社会イノベーション事業においては、大型太陽光発電設備工事の減少により売上・受注は減少したものの、空調工事は増加いたしました。さらに、上下水道工事・土木工事のコスト競争力の強化を図ることを目的として、東海工営㈱と都建設㈱の合併(2021年4月1日実施)を決定いたしました。

ICTソリューション事業においては、国内LAN・Wi-Fi工事の増加や学校向けPC・サーバーやモバイル関連の工事部材等物販の増加などにより売上高の拡大を図りました。さらに、中長期的なグローバル事業拡大を目的として、シンガポールにおいて電気工事を営むYL Integrated Pte Ltd及び同社の子会社2社を連結子会社化するとともに、中国(上海市)を中心に通信タワーの建設及びシェアリングサービスの提供を営むShanghai Changling Communication Equipment Co.,Ltdを連結子会社化いたしました。

一方、当社及び連結子会社である㈱ミライト、㈱ミライト・テクノロジーズの3社の再編成・合併(目標:2022年度早期)に向けた検討を開始、さらには、㈱ミライトのグループ会社再編成にも取り組むなど、事業環境の変化に対応した事業構造の転換を加速しております。

また、株主還元の充実と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の一環として、自己株式の取得(合計 600万株、95億7千万円)を実施いたしました。

以上の結果、当期の連結業績につきましては、受注高は4,749億8千4百万円(前期比6.4%増)、売上高は4,637億4千4百万円(前期比5.1%増)、営業利益は301億2千9百万円(前期比37.0%増)、経常利益は317億3千9百万円(前期比36.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の売却もあり、242億5百万円(前期比59.0%増)となりました。なお、営業利益率は6.5%、ROEは11.0%となりました。

 

報告セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。

 

[ミライトの業績]

ミライトは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための緊急事態宣言発出に伴う活動自粛や感染対策に取り組むなか、5G関連工事や高度無線環境整備推進事業の案件受注、環境事業における空調工事等の増加やモバイル関連の工事部材等物販の増加により、受注高は2,296億6千4百万円(前期比6.2%増)、売上高は2,257億7千4百万円(前期比7.2%増)、営業利益は164億6千8百万円(前期比30.6%増)となりました。

 

[ミライト・テクノロジーズの業績]

ミライト・テクノロジーズは、高度無線環境整備推進事業の案件受注や携帯基地局工事の増加、電子棚札やGIGAスクール案件などの拡大に取り組んだものの、大型太陽光発電設備工事の減少もあり、受注高は1,175億2百万円(前期比1.7%減)、売上高は1,193億7千7百万円(前期比5.1%減)となりました。一方で、原価率改善に積極的に取り組み、営業利益は49億3千7百万円(前期比24.5%増)となりました。

 

[ラントロビジョンの業績]

ラントロビジョンは、M&A等を活用した事業領域の拡大に取り組み、受注高は191億7千6百万円(前期比4.7%増)となったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うロックダウン等の影響により、売上高は151億4千万円(前期比13%減)となりましたが、政府による雇用継続助成金等もあり、営業利益は6億5千6百万円(前期比72.3%増)となりました。

 

[TTKの業績]

TTKは、高度無線環境整備推進事業の案件受注、NCC系キャリア設備工事の増加、GIGAスクール案件等ICTソリューション事業の拡大により、受注高は386億6千1百万円(前期比6.2%増)、売上高は375億9千万円(前期比5.1%増)、営業利益は24億9千7百万円(前期比21.3%増)となりました。

 

[ソルコムの業績]

ソルコムは、高度無線環境整備推進事業の案件受注や設備運営業務の拡大に取り組むとともに、GIGAスクール案件や高速道路情報化工事、下水道管きょ更生工事等フロンティア事業の拡大により、受注高は462億9千1百万円(前期比11.1%増)、売上高は413億1百万円(前期比9.7%増)、営業利益は20億7千3百万円(前期比75.8%増)となりました。

 

[四国通建の業績]

四国通建は、NTT事業におけるコスト削減の取り組みに加え、携帯基地局工事の増加、GIGAスクール案件の大型受注などICTソリューション事業の拡大により、受注高は338億4千1百万円(前期比37.9%増)、売上高は342億8千6百万円(前期比42.1%増)、営業利益は34億5千3百万円(前期比95.4%増)となりました

 

[当社(持株会社)の業績]

当社は、持株会社として、グループの経営戦略などの企画機能や、財務・IR・総務機能を担っていること等から、事業会社から経営管理料及び受取配当金を受領し、グループの経営管理や事業戦略の推進等を実施してまいりました。その結果、営業収益は139億2千8百万円(前期比63.0%増)、営業利益は121億6千7百万円(前期比81.0%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループが営んでいる事業の大部分を占める情報通信エンジニアリング事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

また、「受注実績」及び「売上実績」については、当社の連結での受注及び売上の状況をセグメント別に記載しております。

 

a. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

ミライト

228,465

6.3

ミライト・テクノロジーズ

108,857

△2.2

ラントロビジョン

19,176

4.7

TTK

38,520

6.9

ソルコム

46,228

11.2

四国通建

33,737

38.1

その他

合計

474,984

6.4

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

ミライト

224,644

7.3

ミライト・テクノロジーズ

111,262

△5.3

ラントロビジョン

15,140

△13.0

TTK

37,288

5.7

ソルコム

41,239

9.9

四国通建

34,167

42.1

その他

2

△26.3

合計

463,744

5.1

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3  売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高
(百万円)

割合(%)

売上高
(百万円)

割合(%)

東日本電信電話株式会社

87,368

19.8

86,828

18.7

西日本電信電話株式会社

55,496

12.6

62,108

13.4

株式会社NTTドコモ

44,167

10.0

40,379

8.7

 

    (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、3,587億5千1百万円で前連結会計年度末比66億1千7百万円の増加となりました。内訳は、流動資産で前連結会計年度末比77億8千2百万円増加し、固定資産で前連結会計年度末比11億6千5百万円減少しております。流動資産は債権回収が進んだことにより現金預金が増加しましたが、固定資産は設備投資に伴う建物及び構築物並びに建設仮勘定が増加したものの、政策保有株式の売却等により減少しております。

負債は、1,274億2千8百万円で前連結会計年度末比59億9千5百万円の減少となりました。内訳は、流動負債で前連結会計年度末比17億1千9百万円減少し、固定負債で前連結会計年度末比42億7千6百万円減少しております。主な要因は、工事未払金等の買掛債務の増加や未払法人税等の計上があったものの、短期借入金を返済したことによるものであります。

純資産は、2,313億2千3百万円で前連結会計年度末比126億1千3百万円の増加となりました。これは配当金の支払いや、自己株式の取得があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益242億5百万円の計上等により利益剰余金が196億9千3百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は63.1%(前連結会計年度末は61.2%)となり、1株当たり純資産は2,232.25円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して112億1千9百万円増加し、428億5千1百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額90億6千6百万円等による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益362億4千2百万円を計上したこと等により、416億2百万円の増加(前連結会計年度は79億3千6百万円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出83億8千3百万円等の資金の減少があったものの、投資有価証券の売却による収入113億6千9百万円により、18億6千9百万円の増加(前連結会計年度は91億7千6百万円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済166億1千1百万円や自己株式の取得による支出95億7千4百万円、配当金の支払額45億7千9百万円等による資金の減少があったことにより322億円の減少(前連結会計年度は28億1千4百万円の減少)となりました。

 

(4) 資本の財源、資金の流動性に係る情報

①財務政策

当社グループは、安定した財務基盤と資本効率の両立を基本方針とし、新たな事業機会を創出するとともに事業構造の転換を加速させ、企業価値向上に努めます。そのため、健全な財務体質を維持しつつ資本コストを意識し、戦略的に経営資源を配分してまいります。また、株主還元については、安定的・継続的な配当の維持を前提に、総還元性向30%以上を目線に業績・資金状況等を勘案し総合的に判断してまいります。

 

②資金需要

当社グループの資金需要は、経常運転資金として工事に係る材料費・外注費及び労務費等があり、投資活動に関する支出として、事業用資産取得にかかる設備投資資金、今後の成長に向けたM&A等の投融資資金があります。

また、総還元性向30%以上を目線に、安定的・継続的な配当に加え機動的な資本政策として自己株式取得を行う等、株主還元にも当社グループのキャッシュフローを充当してまいります。

 

 

 ③資金調達の方法・状況

資金調達については、内部資金を基本としており、キャッシュマネジメントシステム(CMS)導入によってグループ資金の有効活用を図っておりますが、一時的な不足資金については、金融機関からの短期資金調達にて対応しております。また、緊急時やM&A等の成長投資に向けた資金需要に備え、適正な手元現預金の確保に努めるとともに、金融機関とのリレーションを維持強化し短期資金借入枠を設定しているほか、外部格付の取得を行う等、資金調達体制の構築に努めております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

(工事進行基準による完成工事高の計上及び工事損失引当金の計上)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響につきましては、現時点では収束時期が見通せない状況にあり、先行き不透明な時期が継続するものと予想されますが、翌期における当社グループの(中期)経営計画を推進する環境に与える影響は、現時点では軽微であると判断し、繰延税金資産の回収可能性やのれんの減損の判断等の会計上の見積りを行っております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動につきましては、事業会社を中心に行っております。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は265百万円であります。セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

[ミライト] 

研究開発活動を支える組織として技術開発本部があります。当本部は事業本部・支店と連携し、(1)工事施工の効率化や安全・品質の向上に資する技術開発、(2)新規事業開拓に資する技術開発、(3)全社の知的財産の管理を行っております。

研究開発費は121百万円であります。

 

(1)施工技術開発関連

・道路上の工事規制エリアへの車両飛び込みによる人身事故の被害低減を目的に、現場作業員に警告するドップラー式デジタルレーダーシステム「ドレミ®」を開発し2017年4月より販売しておりますが、TOKYO 2020 パラリンピックのマラソン用ガイドライン工事での採用が決まりました。

・土木工事の効率化を目指して「地中探査レーダー」の共同研究を仙台高等専門学校と継続し、AIによるレーダー画像の鮮明化の研究を進めました。成果の一部は学会、論文で発表しました。

・土木工事や電気設備工事等の効率化を目指して「3D(3次元)レーザースキャナ」による“トンネル内工事での寸法測定”や“クレーン作業における作業範囲の確認”の実証実験を事業部と合同で行いました。同技術が効率化のみではなく、安全性の担保にも大きく貢献できることが確認できましたので事業での本格的導入を目指します。

・作業員の作業前の健康状態を数値で客観的に判断するために「理学療法手法」を使用することについて社外の研究機関と共同研究を開始し、現場で3カ月間の実験を行いました。

 

(2)新規事業開発関連

・太陽光発電システムのメインテナンスビジネス拡大に向けて、当本部で開発した太陽電池モジュール劣化診断装置「SolMaster® (ソルマスター)」を活用して、支店の新規事業として立ち上げた太陽光パネル洗浄サービスを支援しました。

・地産地消型電力融通に関する新規ビジネス開発に向けて、太陽光発電、EV、系統電力を利用可能なモデルハウスを構築し、自家消費の余剰電力を最適制御してコミュニティで融通する実証実験を推進しました。

 

(3)知的財産関連(2020年4月1日~2021年3月31日)

・特許(出願7件、登録3件)、実用新案(出願1件、登録1件)、意匠(出願1件、登録1件)、商標(出願1件、登録5件)を行いました。

 

 

[ミライト・テクノロジーズ]

研究開発活動を支える組織としてハイパーテクノポートセンタがあり、NTT事業本部内の各技術センタと連携して主に工事施工の効率化や安全・品質の向上に資するインフラ技術を中心に開発を行っています。

研究開発費は126百万円であります。

 

ネットワークエンジニアリング事業関連

(通信線路関連)

(1)通信事業会社により提案内容に対し、即時採用と判断されたVE提案は3件あり、本内容に基づいた技術資料発出により全国の通信建設会社に向けて展開が図られます。

・電磁誘導防護カバーの開発(架空線路の支持体引留箇所における電磁誘導を防護するカバー)

・透明光ファイバ固定部材の開発(宅内配線における透明光ファイバの固定部材)

・接続端子函の施工方法の改善(メタルケーブル接続箇所に適用する函類の施工方法)

(2)通信事業会社により提案内容に対し、詳細検討及び適用領域を明確にした後に、採用と判断されるVE提案は2件あり、本内容に基づいた技術資料発出により全国の通信建設会社に向けて展開が図られます。

・被覆付き細径吊り線の開発(架空線路支持体の細径化を図った被覆付き吊線)

・中間引留工法の統一化(引込線類の家屋への配線時に、中間で引留める施工方法)

<参考>

 『VE提案』とは、バリューエンジニアリングの略称で作業の効率化、コスト削減等への積極的な取組みにより、電気通信設備請負工事におけるサービス生産性の向上を図ることを目的としたお客様の制度です。

 

[ラントロビジョン]

該当事項はありません。

 

[TTK]

研究開発活動を支える組織としてエキスパートセンタがあり、事業本部・支店と連携し、電気通信工事事業の生産性、品質の向上及び安全確保のため、作業に必要な機械・工具・測定器等各種装置の開発に取り組んでおります。

研究開発費は2百万円であります。

 

(1)AO・RTB突出し工法の適用拡大の開発

支障移転工事等により移設後電柱が既設函類と接触する場合に移設後電柱と既設函類の離隔確保、ケーブル張替抑制のために「AO・RTB突き出し工法」が適用できますが、移設後電柱と既設函類、線路が離れる場合には適用不可となり、ケーブル張替での対応となっていました。

そこで、移設後電柱と既設函類が離れる場合においても「AO・RTB突出し工法」及び1号、2号突出し金物を適用可能とすることによって、ケーブル移架が可能となりケーブル張替工事の抑制を図ることが出来ました。

 

(2)光引留め工法のリング中通し工法への適用拡大の開発

分岐ルートなど、SS型のDケーブルをリング中通しする場合がありますが、「一束化架渉形態における光ファイバケーブル引留め工法」はリング中通し工法に適用しておらず、従来通りC型差込式引留金物を使用して引き留めていました。

そこで、リング中通し工法へも適用することで、引留めで使用する金物をC型差込式引留金物からアースクランプへ変更可能となり、物品コストの低減を図ることが出来ました。

 

 

[ソルコム]

研究開発活動を実行する組織としてテクニカルセンタがあります。特に近年は”建設業DX”を活用して社会貢献できる企業を目指しており、まずはデジタイゼーションで社内改革を推進する開発に取り組んでおります。

他の産業の先進的な事例を参考にしながら、建設・保守事業にデジタルによる変革をもたらします。

研究開発費は14百万円であります。

 

(建設事業関連)

・設計支援システムの開発と電子データ交換システム自動投入環境の構築
 当社ではアクセス工事の上流工程である設計業務にスポットを当て、作図後の設計図面から自動で工程抽出するシステムを開発しました。
 これにより今までは作図後、手作業による工程抽出を実施していましたが、自動で工程調書やその他帳票類を作成しております。手集計による誤謬と工程抽出稼働をゼロ化しました。
 また、RPAを活用して電子データ交換システムへ工程を自動投入するシナリオを作成し運用しております。手動でデータ投入することにより生じる誤謬の防止と投入稼働の削減を実現いたしました。
 このような取り組みを一層加速させ、”建設業DX”で通信建設業界のリーディングカンパニーを目指します。

 

[四国通建]

該当事項はありません。