第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、ミライト・ワン グループとして新たにスタートした2022年7月にPurpose(存在意義)とMission(社会的使命)を次のとおり定義しております。

  Purpose(存在意義)

技術と挑戦で「ワクワクするみらい」を共創する

Mission(社会的使命)

・ お客様の期待にお応えし、豊かな社会の実現に貢献する

・ 常に技術とビジネスモデルを磨き、高い付加価値を創造する

・ パートナー会社と協力し合い 「みらいのインフラ」を創り守り続ける

・ 多様な社員がいきいきと働く「魅力的な企業グループ」であり続ける

・ サステナビリティとコンプライアンスを重視し、社会の信頼に応える

これらを踏まえ、従来の事業やサービスをしっかり育てながら、今後の成長分野を「みらいドメイン」と定め、街づくり・里づくり/企業DX・GX、グリーンエネルギー事業、ソフトウェア事業、グローバル事業の拡大などにグループのリソースを結集し一層の事業成長の加速を図りつつ、お客様や社会の課題解決、地域活性化の支援に取り組むことで、企業価値の向上と持続的な成長を目指してまいります。

 

(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境は、大きく変化しています。主要顧客である通信キャリアの投資は、通信インフラの建設から通信品質の向上や新たなサービス分野へとシフトしており、「通信基盤ドメイン」については中長期的には縮小傾向となることが見込まれます。

一方、道路、橋梁、上下水道管などのインフラ老朽化対策、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組み、気候変動に伴う自然災害への対応、そして人工知能(AI)の急速な普及等によるデータセンター需要の拡大など、「企業/環境社会基盤ドメイン」については今後の更なる成長機会が生まれています。

このような環境のなか、当社グループは、幅広い社会インフラ領域における様々な社会課題の解決に貢献し続ける企業グループへ進化していくことを目指しております。未来の社会インフラを「創り・守る」、信頼ある企業グループであり続けるため、当社グループは2030年に向けた事業ビジョンとして、『MIRAIT ONE Group Vision 2030』及び2026年度を最終年度とする5ヶ年の第5次中期経営計画を推進しています。

 

〔『MIRAIT ONE Group Vision 2030』における経営戦略の概要〕

『MIRAIT ONE Group Vision 2030』においては、我々が「変わり」、未来が「変わる」をキーワードに、成長戦略として5つの事業変革(5Changes)を柱としております。

◇ Change1「人間中心経営」

 ・みらいカレッジ (「学び」と「つながり」を提供する“事業構造改革の原動力”)

 ・社員にとって働きやすい職場づくりと心身の健康を守る「健康経営」

 ・ワーク・ライフバランスに対応した“ミライト・ワン流”働き方改革

◇ Change2「事業成長の加速」

 ・人財成長による事業成長に戦略的に取り組み、成長分野である「みらいドメイン」にグループ内のリソースを有機的に組み合わせて結集(フルバリュー型モデルへの事業構造改革の推進)

  ◆街づくり・里づくり事業や、企業のDX とグリーン化推進事業(GX)の加速

  ◆脱炭素化に貢献するグリーンエネルギー事業の拡大

  ◆顧客のDX に貢献するSI 事業の強化

  ◆海外のデータセンター関連事業やインフラシェア事業を推進するグローバル事業の強化

 ・既存事業の顧客基盤を強化 (顧客の拡大、顧客の成長への対応)

◇ Change3「利益性トップクラス」

 ・3社統合による徹底した集約・効率化による経営基盤の強化

 ・データインサイト及び生成AI等の活用による業務運営の抜本的な見直しと効率化

 ・グループ連携の推進による既存オペレーションとコストの見直し

◇ Change4「データインサイトマネジメント」

 ・ナレッジベースのデータ環境整備、営業アプローチの最適化(攻めのDX)

 ・バリューチェーン改革、スマート施工、BPO/RPA・ロボティクス活用(守りのDX)

 ・エキスパートおよびコア人財の育成、全社リテラシーの向上(DX 人財の育成)

◇ Change5「ESG 経営基盤強化」

 ・温室効果ガス削減目標(SBT)の達成に向けた取り組み

 ・ミライト・ワン パートナー会による社会価値の共創

 ・監査体制充実と三線ディフェンスによる監査機能強化

 ・新たなグループマネジメント体制によるコーポレートガバナンス強化

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(以下、「KPI」という。)として、第5次中期経営計画において、売上高、みらいドメイン比率(※1)、営業利益(率)、EBITDA(率)(※2)、ROE(自己資本利益率)、EPS(1株当たり当期純利益)を採用し、2026年度における目標を売上高7,200億円以上、みらいドメイン比率45%以上、営業利益(率)6.5%以上、EBITDA(率)8.5%以上、ROE10%以上、EPS年成長率10%以上に設定しております。

なお、非財務目標については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の通りであります。

(※1)売上高に占めるみらいドメイン(事業成長を目指す分野)の比率

(※2)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額の合計

当該KPIを採用しているのは、株主をはじめとする全てのステークホルダーが、当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であるとともに、その進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能であるとの認識によるものであります。

また、営業利益及びROE、並びに非財務目標の「温室効果ガス排出量」については、グループ会社の業績並びに企業価値向上への貢献意識を高めるため、導入している業績連動型株式報酬制度「株式給付信託」における付与ポイント算定のための指標にも採用しております。

 

(注)当該KPIの各数値については、本報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、「(2) 会社の経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、事業環境の変化に対応した事業運営を推進していく必要があり、事業成長を支える人財成長戦略を推進しつつ、トップラインの拡大と生産性向上を図り、バリューチェーン改革等による「通信基盤ドメイン」の効率化と、街づくり・里づくり/企業DX・GX、グリーンエネルギー事業、ソフトウェア事業、グローバル事業など、成長領域である「みらいドメイン」分野の拡大に重点的に取り組んでいます。

2025年度は、データセンター関連事業の拡大、太陽光発電、PPA、蓄電池などを含むグリーンエネルギー事業の拡大、そして国際航業、西武建設、ミライト・ワン・グループとの連携強化による三位一体の事業シナジーの更なる発揮と、事業拡大のチャレンジを後押しするビジネスリスクマネジメントの強化に継続して取り組み、2026年度を最終年度とする第5次中期経営計画の達成を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

代表取締役社長を委員長とするESG経営推進委員会を設置し年4回以上開催しております。委員会では経営層が気候変動、生物多様性、自然関連、各ステークホルダーに関するKPIや課題に対する取り組みを確認、議論し、ESG経営全般にまつわる基本方針や戦略の策定、重要課題の特定や各種環境イニシアティブへの対応等についてグループ経営会議、取締役会への報告等を実施しております。

このESG経営推進委員会のもと、コンプライアンス担当役員を委員長とする「リスク管理委員会」「コンプライアンス委員会」および「人権・D&I委員会」を運営する体制としております。

「リスク管理委員会」ではリスク管理を効果的・効率的に実施するための方針・体制等を審議・決定し、「コンプライアンス委員会」では、当社グループのコンプライアンス上の問題となる事例の報告・是正や、コンプライアンス意識向上施策等の検討を行います。加えて「人権・D&I委員会」では、人権に関するリスク状況の報告や対処する課題、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等にまつわる議論・検討を実施します。

 

a. 2025年6月23日(有価証券報告書提出日)現在の体制図


 

 

b.2025年6月25日(定時株主総会開催日)以降の体制図(予定)


 

(2)マテリアリティの特定

中長期かつ持続的な成長と企業価値向上の実現にあたっては、世界的な脱炭素社会への取り組みの加速など豊富な事業機会を取り込むと同時に、人的資本や気候変動にまつわる各種リスクを見据え、対応策を講じることが必要です。こうした機会とリスク認識のもとで策定したマテリアリティへの取り組みにおいては、ミライト・ワン グループが注力すべき社会的課題等を明らかにし、また、マテリアリティごとの機会とリスクも特定のうえ、中期経営計画の重点施策として推進しております。

 マテリアリティの特定にあたっては、ESG経営推進委員会において、お客様や社員アンケート、ステークホルダーからのご意見、社会的責任に関する国際的ガイドラインから抽出した社会の重要課題、および当社グループへの期待を踏まえて議論を重ね、経営会議、取締役会の審議を経て決定しております。

 


 

<マテリアリティの特定プロセス>

■STEP1 社会課題の抽出、カテゴライズ

GRIスタンダード、ISO26000等組織の社会的責任に関する代表的な国際的ガイドラインや、SDGs、ESG評価機関の評価項目等を参照し、検討すべき課題を包括的に抽出。

 

■STEP2 優先順位付け

抽出した課題を、ステークホルダーからの期待やミライト・ワン グループの存在意義、使命を通して、課題解決に貢献すべき、価値創造につながる等の観点で評価・優先順位付け。

ESG経営推進委員会において議論し、当社グループが優先的に取り組むべき重要課題項目を選定。

 

■STEP3 妥当性確認・特定

選定した重要課題項目の妥当性について、当社グループの経営課題との整合を確認。現状事業へのリスクと将来の機会についてESG経営推進委員会にて協議し、経営会議、取締役会の審議を経て重要課題(マテリアリティ)として特定。特定したマテリアリティについて、関連各部門と協議し、施策、目標を決定。

 

■STEP4 レビュー

目標と実績に基づき、マテリアリティに対する活動の評価を行い、統合報告書に開示。

当社グループ内外へのアンケートや外部有識者からいただいたご意見、SDGs等の国際的目標・ガイドラインやESG評価機関の評価等を踏まえ、レビューを実施。これらをマテリアリティや目標の見直し、事業への反映、開示内容の改善に活用。


 

(3)重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は①気候変動に対する取組み、②人的資本に関する取組みの2項目を重要項目と認識しております。 

 

①気候変動に対する取組み

■ガバナンス

2021年度はESG経営推進委員会(ESG経営推進体制参照)を9月に設置後、マテリアリティ「環境にやさしい社会をつくる、まもる」を経営会議と取締役会の審議を経て決議したほか、脱炭素社会の実現への貢献を本格化するべく、中期経営計画KPIのひとつである「温室効果ガス排出量削減目標(2030年度)」を設定し、進捗をモニタリングする体制を整備しました。

2030年温室効果ガス排出量削減目標については、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)として2023年2月に認定されました。

2024年度は、同委員会を計6回開催し、グループ全体の具体的なGHG排出量の削減状況と削減施策を議論、各種ESG格付機関からの評価対応と結果の分析を行い戦略の策定、各種施策推進を実施しております。

 

■リスク管理

企業集団としてのリスク管理の基本方針と推進体制を「リスク管理規程」により定めるとともに、リスク管理計画に基づき、様々なリスクに対し的確に対応しております。

気候変動関連のリスクと機会についても、ESG経営推進委員会が主管となり、気候変動に伴う外部・内部環境の変化をモニタリングし、事業に影響を与える気候変動のリスクと機会を洗い出しております。洗い出されたリスクと機会については当社グループへの影響度等も評価・分析し、影響度の高いリスクと機会を特定しております。その後、グループ経営会議、取締役会にて審議した上で全社のリスクと機会として組み込んでおります。

 

■戦略

当社グループは、リスクと機会の管理プロセスのもと、2℃未満(1.5℃等)と4℃シナリオを参照し、将来的に発生しうる気候変動関連のリスクと機会を分析しました。その結果、脱炭素社会への移行(政策・法規制/市場・評判)により、今後想定される事象による影響および気候変動による物理的(急性/慢性)影響が顕在化すると評価しました。

これらのリスクに対して中期経営戦略を見直し、「事業を通した脱炭素社会の実現」が重要課題であることを再認識しました。また、当社事業の関わりとして、スマートインフラ/エネルギーソリューションの需要拡大を今後見込まれる機会として特定しました。

 

 

2℃未満の目標(1.5℃等)が達成される未来: 急速に脱炭素社会が実現するシナリオ

想定シナリオ

特定したリスク

機会の考察

取組み

 

種別

内容

 

種別

内容

内容

炭素排出規制の強化

中長期

政策

法規制

•炭素課税による資材・燃料調達コスト増加

•カーボンプライシングの導入などの規制未対応による事業負担増

•削減未達となった場合の排出量に対するクレジット買取によるコスト増加リスク

中長期

製品・サービス/エネルギー

•再エネ・省エネ事業(太陽光発電、EV充電、LED照明等)の需要拡大

•DX、働き方改革による節電の推進

•車両の燃料添加剤の利用等による燃費向上、EV化促進

電力のRE化

短中長期

政策

法規制

•再生可能エネルギー由来電力への転換による電力コスト増

短中長期

製品・サービス/エネルギー

•省エネ設備への転換ニーズ増加

•IoT活用による電力使用の効率化推進

脱炭素化に向けた意識の高まり

短期

市場

評判

•環境への取り組みが不十分となった場合

•新規建設工事の受注減少

•既存保守契約の解除

•レピュテーションリスク増加による顧客離れ

短中長期

市場

•リニューアル工事需要の増加

•ZEB、スマートシティ関連の需要の増加

•低炭素製品の特定と調達推進

•ステークホルダーへの適切な情報開示

 

 

平均気温4℃上昇する未来:物理的影響が顕在化するシナリオ

想定シナリオ

特定したリスク

機会の考察

取組み

 

種別

内容

 

種別

内容

内容

自然災害の頻発・激甚化

短中長期

急性

•豪雨や台風等による通信設備・基地局の損傷と復旧コストの増加

短中長期

市場/レジリエンス

•異常気象により無電柱化ニーズの増加

•蓄電池設備や非常用電源確保などの設備強化、需要増加

•マルチスキル人材の育成

•ミライト・ワンパートナー会の連携強化

短中長期

急性

•バリューチェーン寸断による製品・サービスの中止

中長期

市場

•自然災害の頻発・激甚化による通信設備・基地局の防災・減災工事の需要増加

•水道ソリューション

平均気温上昇

長期

慢性

•データセンターなどの空調コストの増大

長期

市場

•空調設備の高効率機器への更改

•空調装置の運用改善

•空調事業の強化

中長期

慢性

•通信設備など建設技能者の熱中症等の健康被害の増加

中長期

レジリエンス

•DX推進、リモート型働き方の一層の推進

•DXによる施工省力化、作業者の健康管理強化

 

 

また、経営陣のESGへの取り組み意識の向上を目的に役員報酬制度を改定し、従来からの業績連動報酬の指標である「連結営業利益」「連結ROE」に加え、非財務目標の「温室効果ガス排出量」を2022年度より新たな指標として導入しました。

 

 

■目標

2021年度に当社グループ(国際航業を除く)として2030年度に向けた温室効果ガス排出量削減目標を設定しております。2023年2月には科学的根拠に基づいた目標として、SBTi(Science based Targets initiative)よりSBT認定を受けました。また、中期経営計画においても非財務目標として設定することで、脱炭素における当社事業の成長機会を着実に取り込んでおります。

国際航業は、グループ参画以前の2021年9月に削減目標を設定し、SBT認定を取得しております。2025年3月には、新たにネットゼロの目標としてLong-Termの目標設定を行いSBT認定を取得しました。併せてNear-Term目標の見直しを行い、より積極的な目標に改めてSBT認定を取得しております。

当社グループ(国際航業除く)

 

 


目 標

SBT

Scope

1+2

2030年度までに当社グループの温室効果ガス排出量を2020年度(基準年)比で42%削減する

2023年2月

認定取得

Scope
3

2030年度までに当社グループの温室効果ガス排出量を2020年度(基準年)比で25%削減する

2023年2月

認定取得

 

 

 

 

 

国際航業

 

 


 


目 標

SBT

2050年度までにバリューチェーン全体で温室効果ガスのネットゼロ排出量を達成する。

2025年3月

認定取得

Near-Term目標

SBT

Scope

1+2

2030年度までにScope1および2のGHG排出量の絶対量を基準年(2019年)比で70%削減する。

2025年3月

更新認定取得

Scope

3

2030年度までにScope3のC3燃料およびエネルギー関連活動、C6出張、C7通勤、C11販売した製品の使用によるGHG排出量の絶対量を基準年(2019年)比で50%削減する。

サプライヤエンゲージメント目標:C1購入した商品やサービス、C2資本財を対象とする排出量で、2026年度までにサプライヤーの65%が科学的根拠に基づく目標を設定する。

2025年3月

更新認定取得

Long-Term目標

SBT

Scope

1+2

2050年度までにScope1および2のGHG排出量の絶対量を基準年(2019年)比で90%削減する。

2025年3月

認定取得

Scope

3

2050年度までにScope3のGHG排出量の絶対量を基準年(2019年)比で90%削減する。

2025年3月

認定取得

 

 

 

 

■実績

2020年度、および2024年度当社グループ全体のScope1+2温室効果ガス排出量実績は以下の通りです。本排出量実績については、株式会社サステナビリティ会計事務所による独立第三者の保証報告書を取得しております。

なお、2024年度のScope3温室効果ガス排出量実績については、現在算定中であり、弊社Webサイト「TCFD提言を踏まえた情報開示」(https://www.mirait-one.com/esg/environment/)にて、2025年9月を目途に開示する予定です。

 

 

 

 

 


 

当社グループ全体

(Scope1+2排出量)t-CO2

 

 

2020年度

89,731

 

 

2024年度

69,050

 

 

※当社グループ全体の2024年度温室効果ガス排出量実績については、国際航業の2024年度実績が含まれております。

 

[内 訳]

 

当社グループ(国際航業除く)

 

 


カテゴリ

排出量(t-CO2)

 

2020年度

(基準年)

2024年度

 

Scope1

直接排出

66,890

58,073

 

Scope2

間接排出

22,841

8,935

 

 

 

 

国際航業

 

 


カテゴリ

排出量(t-CO2)

 

2019年度

(基準年)

2024年度

 

Scope1

直接排出

1,456

1,189

 

Scope2

間接排出

3,767

853

 

※2025年3月でのSBT Near-Term目標 更新認定、Long-Term目標認定に伴い、従来の目標値から対象範囲を含め上記目標値に変更

 

 

 

②人的資本に関する取組み

<人財育成方針>

新事業戦略として5つの事業変革(5Changes)を掲げている中から、Change1「人間中心経営」へ注力している当社は、価値創造の源泉である人的資本への投資を拡充しております。

特にChange2「事業成長加速」のため、事業成長戦略として『成長分野への事業シフトの加速』『既存事業のDX改革を促進』を図るため、みらいカレッジをプラットフォームとしてリスキリング等により『戦略的な人財育成』を展開し、成長分野への人財流動の促進を図ります。また、マクロCDP(事業戦略)とミクロCDP(社員CDP)を対話によりマッチさせるプロセスを毎年約2,400名の社員と上長が実施することにより、社員が安心感とワクワク感を持って新しい事業分野へ挑戦できるように育成する方針に基づき推進しております。

また、人財育成を支えるためにミライト・ワン流スマートワークライフスタイル改革を進め、社員のリスキリングのための時間を生み出すとともに、ダイバーシティ&インクルージョン施策を進め、多様な社員が参画できる働き方を進めております。

 

<社内環境整備方針>

Change1「人間中心経営」をベースとした社内環境の整備として、ミライト・ワン流スマートワークライフスタイル改革を進めるとともに、リスキリングの手段として2022年7月に開学した「みらいカレッジ」の拡大充実(裾野の拡大:パートナー企業への展開加速、事業戦略に沿った講座拡充、戦略的な学びの充実:成長分野(みらいドメイン)創出を支える育成、リアルキャンパスの設備充実等)やJOB型・社内副業等の人事制度の創設、戦略的な他企業への出向や海外トレーニー制度の整備など、「自発的な学び」から「戦略的な学び」を行える環境を整えていく方針を立て、実行しております。

 

<人財育成に関する取組み>

■未来を変える人財の育成に注力

人的資本に関する取組みについては、経営戦略と人財成長戦略を繋げる価値創造ストーリーとして2024年6月に人財版「ミライト・ワン流の価値創造モデル」を策定し実行しております。具体的には「①成長分野を担う人財の創出、②競争力ある人財の採用・育成、③多様な人財の活躍と多様で柔軟に働ける環境整備、④健康経営の推進」の4つに施策を大別した上で、2024年度から代表指標(KPI)として、「成長分野への人財創出数1,000名+(2026年度目標) 」・「エンゲージメントの向上/エンゲージメントサーベイスコア52点以上(2026年度目標)」を設定し、MIRAIT ONE Group Vision 2030並びに中期経営計画の実現を目指しております。

 

 

人財版「ミライト・ワン流の価値創造モデル」


(※1)  開示範囲:※2、※3、※4の印があるものを除き、㈱ミライト・ワン(単体)

注1 ( )へ目標値を定めていないKPIは、目標設定の開示について今後の課題として検討を予定しています。

注2 本開示範囲以外の連結子会社において、関連するKPIの管理および目標設定等の開示については、今後の課題として検討を予定しているため、連結ベースのKPI等は記載しておりません。

(※2)  開示範囲:ミライト・ワン グループ

注1 ( )へ目標値を定めていないKPIは、目標設定の開示について今後の課題として検討を予定しています。

(※3) 開示範囲:㈱ミライト・ワン(単体)& 国際航業㈱(単体)

注1 ( )へ目標値を定めていないKPIは、目標設定の開示について今後の課題として検討を予定しています。

注2 本開示範囲以外の連結子会社において、関連するKPIの管理および目標設定等の開示については、今後の課題として検討を予定しているため、連結ベースのKPI等は記載しておりません。

(※4)  KPI概要:ミクロ(社員)CDPのための育成面談実施人数

(※5)  KPI概要:社外で成長分野を出向等の契約形態で実施・経験した人数

(※6)  KPI概要:2分野以上に跨る資格取得者数

(※7)  KPI概要:2024年度は内253名が基礎コース+専門(インストール、フィールド、パフォーマンス)コースの実践演習を修了

(※8)  KPI概要:技術士、一級建築士、第一種電気主任技術者等

(※9) KPI概要:全女性社員における技術者の割合

 

特に、Change2「事業成長の加速」において今後の成長分野として位置づけるみらいドメイン(街づくり・里づくり/企業DX・GX事業/グリーン発電事業/ソフトウエア事業/グローバル事業)およびフルバリュー型モデルの強化・拡大にあたっては事業構造改革が必須であり、これを担う人財集団の形成に向けて、「内部人財の戦略的強化」と「外部人財の積極的登用」を行っております。

内部人財の戦略的強化では「固定通信」「モバイル」「クラウド」「電気」「再生可能エネルギー」「企画提案」「プロジェクトマネジメント」といった複数のスキルを個々の人財が身につける「マルチスキル化」のほか、「データインサイト活用スキル」「DXスキル」等の強化を図っております。

また、外部人財の積極的登用においては、みらいドメインやフルバリュー型モデルなど成長分野を強化するための中途採用を拡大するため、JOB型等の新しい人事制度を設ける他、M&A等を通じた人財獲得を行っております。

 

■抜粋表示① 人財版「ミライト・ワン流の価値創造モデル」(INPUT~OUTPUT)


 

■抜粋表示② 人財版「ミライト・ワン流の価値創造モデル」(INPUT~OUTPUT)


 

■企業内大学「みらいカレッジ」を活用した人財育成

2022年7月に開学した企業内大学「みらいカレッジ」は、リアルキャンパス(千葉/埼玉/兵庫)とデジタルキャンパスで構成しており、みらいカレッジは、「テクニカル学部(技術力)」「マネジメント学部(管理能力)」「ソーシャル学部(社会力)」の3分野で2024年度(2025年3月末)現在、432講座を提供し、当社グループおよびパートナー会社を含む2万人を超える利用登録者数(延べ利用者2.4万人)となっております。個々人が確実にスキルを修得するためにLMS(Learning Management System)による学習管理とサポートを行うほか、過去に実施したセミナーや勉強会の動画を掲載し、出席した社員以外も活用できるようにしており、人財育成計画においてもみらいカレッジの活用を前提とすることにより、「自発的な学び」から「戦略的な学び」を行える環境を整備しております。

 

■人財育成体系

前述を含む当社グループ全体の人財育成体系は、事業展開に必要な専門能力を高めていくための「分野別モデル体系」と、階層ごとに共通的に求められる知識等の修得を図る「階層別育成体系」で構成することで、社員一人ひとりの成長を支援し、今後の事業成長を支える人的資本の強化を計画的に推進しております。

具体的には、入社直後の導入研修から幹部社員研修に至るまで、各階層で期待される役割やキャリアステージに応じて身につけるべきスキルやナレッジを修得できるよう設計しております。なかでも新入社員向けについては、理系・文系を問わず活躍できるよう特に充実した教育研修体系を準備しております。また、面談制度を整備し、マクロCDP(事業戦略)とミクロCDP(社員CDP)を対話によりマッチさせるプロセスにより、各種資格取得への積極的なチャレンジを促すとともに、難易度に応じた報奨金制度を設け、個々の社員の成長意欲に応えるとともに、成長分野への人財シフトを図っております。

 

 

■メンタリングプログラム

新入社員を対象にメンタリングプログラムを導入しております。配属部署における上司とは別に指導・相談役となる先輩社員(メンター)を任命し、対話による気づきと助言によって新入社員(メンティ)の自発的・自律的な成長を促す仕組みとしております。定期的な報告を受けてのフィードバックや月例面談を通じ、新入社員だけでなく、メンターを務める先輩社員も成長できるプログラムとしております。2024年度には409回の面談を実施しました。

 

■次期の経営マインドを育成するサクセッションプラン「未来塾」

次世代経営幹部の計画的育成を目的として、2020年7月に「未来塾」を創設しました。ワークショップやディスカッション主体の研修プログラムを通じて会社経営に関する視野を広げ、自社の経営課題について具体的な解決策を検討することにより経営者に相応しい対応能力を高めるほか、研修チーム内・チーム間の議論や検討を通じて自らが未来のミライト・ワンの経営を担うというマインドを醸成します。なお、2023年度からは主要グループ会社も参画しており、2024年度までに51名が卒業しています。

 

■海外事業拠点における研修プログラム

海外拠点においても、現地社員向けに様々な研修を行っております。例えばLantrovisionグループでは、人財育成・研修の専任担当者を任命し、構内ケーブルの設計・施工・テスト等の基本的な研修から、入札・見積・契約といった実践的な研修まで幅広いプログラムを用意し、社員のスキルとモチベーションの向上を図っております。

また、各ケーブルベンダーの認証資格を積極的に取得することで品質管理を強化し、顧客満足度の向上や事業競争力の強化に努めております。

 

 

<働き方改革、健康経営の推進>

■トップの主導による健康経営を推進

マテリアリティのひとつである健康経営の推進に注力し、中期経営計画のChange1「人間中心経営」の根本に健康経営を据えている当社グループは、これら取り組みの実効性をさらに高めるべく、2022年7月に「ミライト・ワン グループ健康経営宣言」を制定し、代表取締役社長の主導による健康経営を推進していきます。


■健康管理の支援

全社員を対象とする定期健康診断のほか、特定年齢での人間ドックや特定保健指導等を実施し、社員の健康管理に役立てております。また、国内各地の保養施設の提供によるリフレッシュの機会づくりや、健康保険組合によるウォーキングイベント等の健康増進施策も継続的に実施しております。

 

■人間ドックへの補助

健康保険組合からの補助の他に、会社からの補助も実施することにより、自身の健康管理充実に役立てております。

 

■『健康News』『みまもりメール』の定期配信

健康関連の周知等、基本毎月発行。その時に合わせた健康情報を当社グループで共有し、活用しております。『みまもりメール』は、現場の方へのスマホ健康情報で、パッと見て内容が分かるように工夫しております。

 

■メンタルヘルス

厚生労働省が義務付けている「ストレスチェック制度」は社員自身のストレスへの気づきや職場改善を通じて、メンタル不調となることを未然に防止する一次予防を目的としております。当社グループは同制度の義務化に先立ってメンタルフォロ-体制(相談窓口等)を整備し、ストレスチェック実施後の集団分析を踏まえ、部門ごとのメンタルヘルス研修を実施して職場改善につなげることで、メンタル不調の未然防止に努めております。

 

■メンタル不調による病気休職者の復職支援

メンタル不調による傷病休暇・傷病休職にある社員に対しては、メンタルヘルス推進担当者によるサポートをはじめ、休業開始から復職後のフォローアップまで全面的に支援しております。休業中はリワーク施設を活用した「リワークプログラム」を実施し、復職の意思表示があった場合には主治医による診断をもとに、産業医・会社と連携しながら復職審査委員会にて復職の判断を行います。復職後は、短時間勤務の励行や時間外勤務の制限等、就業上の配慮を行っております。

 

 

■働きやすい労働環境の整備

当社グループは、労働基準法をはじめとする労働関係法令の遵守はもとより、社員の働き甲斐に資するよう、労働関係法令を上回る処遇制度を設けております。また、同一労働・同一賃金の考えを尊重し、非正規社員も正社員と同等の待遇となるよう、特別勤務手当や時間外勤務手当等を正社員と同じ割増率で支給するほか、特別休暇の付与や社員への登用等を実施しております。

 

■ミライト・ワン流スマートワークライフスタイル改革の推進

当社グループは、昨今の労働市場の変化や事業環境の変化に対応しつつ持続的成長を図るため、「ミライト・ワン流スマートワーク・ライフ宣言」を制定しております。当宣言に基づき、①多様なライフスタイルに対応した時間と場所に拘らない働き方の推進、②リスキリングのための仕組みの整備、③外部人財の獲得、多様な人材の確保、④健康経営推進などからなるワークライフスタイル改革を、整合的・統合的に進めております。

 

■「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定

当社は2025年3月、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。

「健康経営優良法人」認定とは、経済産業省による環境整備施策の一環であり、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」が社会的に評価を受けることが出来、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度となります。

 

<人権尊重とダイバーシティ&インクルージョンの推進>

■人権尊重

人や社会と共存するより良い環境づくりを最大のミッションとし、お客様から最高の満足と信頼を得られるようグループ全体で取り組んできたミライト・ワン グループは、企業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を理解し、グループ全体で人権尊重の責任を果たすことが、今後の持続的な成長と企業価値向上に不可欠であると考えております。

 

■ミライト・ワン グループで人権基本方針を制定

前述の基本認識のもと、マテリアリティのひとつである「人権尊重とダイバーシティ&インクルージョンの推進」に注力している当社グループは、人権尊重へのコミットメントを強く発信し、グループ内での認識をより明確にするとともに、様々なステークホルダーと協働してあらゆる企業活動における人権尊重の行動を進めていくため、2022年7月に「ミライト・ワン グループ人権基本方針」を制定しました。当社グループの全社員が本方針に基づき、あらゆる事業活動の根底に人権尊重の意識をもって行動し、広く社会の皆様から信頼される企業を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

■推進体制

あらゆる企業活動に関係する人権課題について全ての役員・従業員の理解・浸透を図るため、「ESG経営推進委員会」のもとに「人権・D&I委員会」を設置しております。同委員会では人権やダイバーシティに関するリスク状況の報告と対処する課題、施策等を議論し、人権マネジメントの強化やダイバーシティ&インクルージョン施策の推進に取り組みます。

 

■具体的取り組み例

当社グループは、児童労働や強制労働を行わせることはなく、労働者の権利保護に留意し、法で定められた最低賃金以上の賃金としているほか、経営状況が極めて悪化した場合においても最大限社員の雇用維持に努め、これまで指名解雇や整理解雇を実施したことはありません。

また、人権意識の啓発・向上のための階層別研修やコンプライアンス推進活動によってハラスメント行為の禁止等に取り組むとともに、「コンプラ目安箱」「なんでも相談室」「社外通報窓口」の3種のヘルプラインを設置し、通報者保護に配慮した上で問題解決に向けて対応しております。

さらに、人権デューディリジェンスプロセスの構築に取り組み、当社グループにおける人権課題の特定、リスクの評価及びリスク低減措置の整備を推進しております

 

 

■労使関係

当社グループは、労使の相互信頼を基盤とし、企業の発展と従業員の労働条件の維持・向上を図るため、定期的な労使協議の機会を設け、安定した労使関係の構築に努めております。積極的な事業運営を行い、企業の健全な発展を図るため、事業計画やその他の重要課題について労使で意見交換を行う情報連絡会や労働時間適正化委員会を定期的に開催しております。

 

■多様な社員がいきいきと働く「魅力的な企業グループ」であり続けるために

当社グループは、年齢、性別、学歴、国籍、障がいの有無、性的指向、性自認等に関わらず、個性を尊重し、もてる能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを推進しております。

多様な視点や価値観を企業経営に活かすため、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する専門組織「ダイバーシティ&インクルージョン推進室」を総務人事本部に設置し、個々の人財の特性や能力を最大限に活かせる職場環境の整備や、マネジメント層の育成等に注力しております。

マテリアリティのひとつであるダイバーシティ&インクルージョンを重要な取り組みとして位置づけているほか、各ステークホルダーに向けて当社の姿勢を明文化したMissionにおいても、『多様な社員がいきいきと働く「魅力的な企業グループ」であり続ける』を掲げております。

加えて中期経営計画Change1「人間中心経営」の一環として、外国人技術者含む多彩な人財集団の形成に注力しております。

これら一連のダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みをさらに発展させるべく、2022年12月「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を制定しました。個々を尊重し、組織の力とする企業風土の実現に向け、ダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。

 

■女性社員の活躍推進

女性が幅広い分野における能力の発揮やキャリア形成ができるよう、その目的に沿った行動計画を策定するとともに、新卒採用における女性比率や女性管理職数等において具体的な数値目標を設定し、達成に向け取り組んでおります。なお、連結グループに属する全ての会社で数値目標を設定しているわけではないため、連結グループにおける記載が困難であります。

このため、下記の目標及び実績は当社単体のものを記載しております。

 

■目標・実績 (女性活躍推進)

指標

目標

実績

女性管理職数

2026年3月まで20%

(2022年7月比)

68人(+21.4%)(2025年3月末)

新卒採用の女性比率

2026年3月まで25%

24.0%(2025年4月入社)

年休取得率

2026年3月まで70%

71.3%(2025年3月末)

 

※管理職に占める女性労働者の割合の実績は、「第1企業の概況 5従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

■キャリアと育児・介護の両立支援

ワーク・ライフ・バランスや、キャリアと育児・介護の両立支援による就労環境の整備も積極的に進めており、社員が長く安心して働き続けられるよう、子どもが3歳に達するまで取得できる育児休業のほか、小学校3年生修了まで利用できる短時間勤務制度を設けるなど、出産や育児、介護をはじめとするライフイベントに合わせて活用できる制度を、法で定める基準を上回る内容で整備しております。

2024年度末現在で、当社の女性社員の育児休業取得率は116.7%、男性の育児目的休暇を含めた育児休業取得率は95.1%となっております。取得率の維持とさらなる向上に向けた取り組みを進めるとともに、育児休職者がスムーズに復職し活躍できるよう、休職中における会社動向等の情報提供、復職前の面談等のサポート施策を実施しております。

 

 

■シニア人財の活躍支援

日本の少子高齢化の進展に対応し、通信建設業に必要な高度技術の有資格者であるシニア人財の活躍を支援すべく、定年後再雇用制度を定め、希望者が引き続き活躍できる環境を整備しております。

また、一定年齢以上の社員を対象にライフプランセミナー等を開催し、社員の雇用延長後の働き方や資金計画等についても支援しております。

 

定年後の再雇用状況(2024年度末現在)

定年退職対象者数

174名

再雇用者数

148名

再雇用率

85.1%

 

※㈱ミライト・ワン、㈱TTK、㈱ソルコム、四国通建㈱、西武建設㈱、㈱ミライト・ワン・システムズ、国際航業㈱の7社平均

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがあります。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①特定取引先への依存に関するリスク

当社グループの主たる取引先は、NTTグループをはじめとする通信事業各社であり売上高に占める割合が高く、通信事業各社の設備投資動向や技術革新等によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、通信キャリア事業からソリューション事業への事業構造の転換と新たな成長分野として位置付ける「みらいドメイン」へのシフトを加速し、従来の事業分野や技術の枠組みを超えた新たな事業機会の創出に向けた取り組みを進めております。

 

②新たな分野への取り組みに関するリスク

新たな分野へのチャレンジにより想定外の重大なリスクが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは個別案件に関するリスクチェックの徹底とリスクマネジメントの円滑な推進、及びリスクをマネジメントするための事例とノウハウの共有を図ることを目的として、「ビジネスリスク管理室」を設置して最適なリスクマネジメントに努めております。

 

③安全・品質に関するリスク

重大な事故等による不測の事態や品質に重大な問題を発生させた場合、取引先からの信用を失うとともに営業活動に制約を受けるなど当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは安全や品質に関する統合マネジメントシステム等を活用し、お客様に信頼、評価される高品質なエンジニアリングとサービスをお届けできるよう安全・品質管理にグループ一体となって取り組んでおります。

 

④重要な情報の管理に関するリスク

事業活動を通して、取引先からの技術データ・個人情報等の重要な情報を入手することがあります。予期せぬ事態により情報が流出や悪用された場合には、取引先からの信用を失うとともに損害賠償責任の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループではISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を活用し、グループ一体となって情報漏洩防止を徹底しております。

 

⑤取引先の信用不安に関するリスク

取引先の信用不安が発生した場合は、工事代金の回収不能や工事の施工遅延等が生じ当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループは外部調査機関等を利用した取引先の与信管理と、法務担当による契約書審査を行う等により信用不安リスクの回避に取り組んでおります。

 

⑥資材の調達・価格上昇に関するリスク

自然災害、戦争やテロ、新型の感染症の流行などにより、資材の供給が困難または納入遅延の発生のほか、原材料や資機材、エネルギーの価格高騰や為替変動等により建設コストが上昇した場合は、工事が中断または遅延するなどの影響のほか、発注者による投資抑制や判断の先送りなどにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

そのため、当社グループでは物品不足が生じていない工程を優先的に進めるなど、工期延伸を最小化するための工程管理を綿密に行っています。また、建設コストの上昇については、原材料価格上昇時の条件の契約条項への盛り込み、工事価格への転嫁等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。

 

⑦保有資産に関するリスク

事業運営上の必要性から有価証券等の資産を保有しておりますが、著しい時価の変動等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、定量的・定性的検証を通じ保有意義が希薄と考えられる有価証券等は段階的に縮減し、時価変動リスクの回避に取り組んでおります。

 

⑧自然災害等に関するリスク

大規模災害や感染症の大流行等により当社グループの従業員、協働者、設備等への直接被害のほか、ライフラインの停止、燃料の不足等、不測の事態が発生した場合は、工事が中断または遅延するなど当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは地震等の自然災害や感染症が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)の策定、社員安否確認システムの構築、防災訓練や新しいワークスタイルへの移行等各種対策を講じております。

 

⑨海外事業に関するリスク

当社グループでは、アジア、オセアニアを中心とした諸外国で事業を展開しており、進出国での政治・経済情勢、為替や法的規制等に著しい変化、感染症の大流行や資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、グループ内での情報収集、進出国の適度な分散等により、その予防・回避に努めております。

 

⑩気候変動に関するリスク  

地球規模での気候変動による問題が顕在化してきており、企業においても温室効果ガス排出量の削減、産業廃棄物の低減等、環境に対する配慮が求められています。このような配慮は、自社のみならず、サプライチェーンを構成する企業群に亘って要請される傾向であり、当社グループ、パートナー企業等が適切な対応を行えない場合、取引先各社との取引が制限される等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは重要課題(マテリアリティ)において「環境にやさしい社会をつくる、まもる」ことを明確にしており、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同、そのフレームワークに沿った当社グループの事業におけるリスクと機会の分析や、事業活動を通して排出する温室効果ガス(GHG)の把握とその低減に向けた取り組み、産業廃棄物の一層の低減に向けた取り組み等を進めております。

 

⑪M&Aに関するリスク

当社グループは、事業領域の拡大およびビジネスモデルの変革に向けて、シナジー効果が期待できるM&Aを実践していくことでグループの企業価値向上を目指しておりますが、M&A対象会社に期待する利益成長やシナジー効果等が実現できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループではM&Aの実施の際に当社グループの成長戦略と整合しているか、また今後の市場動向の見通しや事業計画、当社グループとのシナジー効果を慎重に検討するとともに、買収後の統合プロセスにおいては、実施すべき事項とその達成時期を定めモニタリングを強化し、シナジー効果の最大化に取り組んでまいります。

 

⑫法令遵守に関するリスク

当社グループは、建設業法、電気通信事業法、電波法等の法令に基づく許認可等を受けるとともに、事業の遂行に関連する各種の法令に則り事業活動を行っておりますが、万一これらにおいて違反が発生した場合は、当社グループの業績と信用に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは社内関係部署において法改正等の動向を注視し、速やかにグループ内への共有を図り必要に応じて社内規程の見直しを行うと共に、当社グループおよびパートナー企業の社員へ向けた啓発活動の実施と実効性のある内部監査や相談体制を構築することにより、法令遵守に継続的に取り組んでおります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績

2024年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調が続きました。一方、物価の上昇、通商政策など米国による今後の政策動向、ウクライナや中東情勢の長期化による影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境については、デジタルトランスフォーメーション(DX)とAIの普及によるクラウドサービスやデータセンター需要の拡大、近年激甚化する自然災害等に対する防災、減災、国土強靭化の推進や、広域的な道路、上下水道といった地域インフラの再生戦略が進展しております。また、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた地域脱炭素の推進、地域特性や気候風土に応じた再生可能エネルギーの利用や水素の活用、グリーントランスフォーメーション(GX)の実現が期待されております。

こうしたなか、当社グループは、新たに再定義したPurpose(存在意義)、Mission(社会的使命)のもと、これまで以上に幅広い社会インフラ領域における様々な社会課題の解決に貢献し続ける企業グループへ進化していくことを目指し、2030年に向けた事業ビジョンとして、『MIRAIT ONE Group Vision 2030』及び2022年度を初年度とする5ヶ年の第5次中期経営計画を策定し、街づくり・里づくり/企業DX・GX、グリーンエネルギー事業、ソフトウェア事業、グローバル事業を今後注力すべき成長分野「みらいドメイン」として取り組んでおります。

2024年度は、4月に新設した「ビジネスリスク管理室」が、個別案件に関するリスクチェックの徹底と新たな事業分野へのチャレンジにおける最適なリスクマネジメントによる不採算案件の再発防止に向けて定期的なモニタリングを実施いたしました。また、国内外のデータセンター需要の増加に対して、アジアでのケーブリング事業、自主運営のサービス提供に加えて、今後の日本での事業拡充とフルバリュー型の施工に向けてグループトータルで本格的に取り組んでまいりました。

さらに、西武建設㈱、国際航業㈱との三位一体の取り組みにより「ゼロカーボンシティ事業」「公益インフラマネジメント事業」両分野での事業シナジーの推進を加速させるとともに、引き続き人財成長戦略としての戦略的な人財育成と挑戦を支える柔軟な人事制度の整備、およびミライト・ワン流のスマートワークライフスタイル改革を推進いたしました。 

環境・社会イノベーション事業においては、再生可能エネルギー関連工事、電気・空調工事、土木・水道工事、西武建設㈱の建築・リノベーション工事の増加に加えて、国際航業㈱の企画・コンサルも売上高等の増加に寄与しました。

ICTソリューション事業においては、LAN等工事の前年度大口案件の反動減や物販の減少をDC・クラウド工事、グローバル事業、ソフトウェア事業の増加でカバーしたのに加え、東北・中四国の地域会社3社との連携によりICT事業の集約・強化による売上高の拡大に取り組みました。

NTT事業においては、アクセス工事・モバイル工事等の売上高が増加に転じたのに加えて、設備運営業務の稼働効率化による利益率の改善を図るとともに、2025年1月にはアクセス系グループ会社5社を合併し、生産性の向上と新たなビジネス領域の拡大を目指してまいりました。

マルチキャリア事業においては、設備投資抑制の継続等の影響による減少があったものの、業務集約や業務分担最適化に継続的に取り組み、利益率の向上に努めました。また、地域会社とミライト・ワン各支店のキャリア事業のアセット共有・集約による利益確保に取り組みました。

さらに、株主還元の充実と経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の一環として、自己株式の機動的な取得(合計 242万株、50億円)を実施する一方、利用目的のない自己株式については一部消却(300万株)をいたしました。

以上の結果、当期の連結業績につきましては、

受注高     6,291億9千万円(前期比14.6%増

売上高   5,785億9千9百万円(前期比11.6%増

営業利益   279億8千5百万円(前期比57.0%増

経常利益     274億7千万円(前期比47.0%増

親会社株主に帰属する当期純利益 171億7千9百万円(前期比37.0%増

となりました。

なお、B/S面から見た成長戦略と事業ポートフォリオの強化を進めるため、政策保有株式や遊休不動産等の売却による特別利益を計上する一方で、グローバル関係会社の清算による特別損失を計上しており、「超・通建」に向けて事業構造の改革を着実に進めてまいります。

また、営業利益率は4.8%EBITDA率は7.2%、ROEは6.7%となりました。

(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額の合計

 

報告セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。

 

[ミライト・ワンの業績]

ミライト・ワンは、マルチキャリア事業における設備投資抑制の継続等の影響による減少等はあったものの、NTT事業が堅調に推移したことに加え、国内におけるデータセンターの需要増加に伴う電気・空調工事等の拡大やグリーンエネルギー事業の拡大に注力するとともに、大型不採算案件の再発防止に向けたリスクマネジメント強化やグループ会社5社の合併等による事業運営体制の効率化に努め、受注高は3,093億6千8百万円(前期比3.4%増)、売上高は3,051億1千3百万円(前期比2.6%増)、営業利益は152億6千万円(前期比128.6%増)となりました。

 

[ラントロビジョンの業績]

ラントロビジョンは、シンガポール、マレーシア、香港、台湾、インドネシアでのデータセンター需要の伸長と円安影響により、受注高・売上高が増加したものの、各国の物価上昇や労働者不足に伴う労務費増加と、中心市場であるシンガポールでの競争過熱により、受注高は434億2千万円(前期比43.4%増)、売上高は343億1千7百万円(前期比24.6%増)、営業利益は14億1千1百万円(前期比6.9%減)となりました。

 

[TTKの業績]

TTKは、キャリア事業における光高速通信サービスのエリア拡大やモバイル工事の工程増加等があったものの、非キャリア事業における大型公共工事の一時中断や工程延伸の影響等により、受注高は396億2百万円(前期比5.6%減)、売上高は379億3千4百万円(前期比0.8%増)、営業利益は24億1千6百万円(前期比12.0%減)となりました。

 

[ソルコムの業績]

ソルコムは、太陽光や蓄電所工事の拡大に加え、道路情報化工事の大型案件受注等、非キャリア事業の受注を大幅に拡大したものの、マルチキャリア事業における設備投資抑制の継続等の影響による減少や大型工事の繰越増加等により、受注高は406億6千1百万円(前期比15.6%増)、売上高は333億9千7百万円(前期比0.4%減)、営業利益は14億7百万円(前期比0.6%増)となりました。

 

[四国通建の業績]

四国通建は、公共土木や建築等民需工事の受注減少があったものの、電線共同溝PFI事業への参画、通信事業における光設備工事、誘導対策工事の増加、端末物販等の受注増加に加え、生産性向上の取り組みにより、受注高は275億5千1百万円(前期比9.5%増)、売上高は250億9千7百万円(前期比8.6%増)、営業利益は30億3千9百万円(前期比23.0%増)となりました。

 

[西武建設の業績]

西武建設は、業界全体の担い手不足や時間外労働上限規制の適用、労務費を含めた物価上昇等により事業環境が厳しさを増しているものの、堅調な受注環境のもと官公庁・民間の大型案件受注に注力したことに加え、民間工事の順調な進捗等により、受注高は989億7千3百万円(前期比52.9%増)、売上高は715億8千4百万円(前期比6.9%増)、営業利益は13億2千3百万円(前期比11.4%減)となりました。

 

[ミライト・ワン・システムズの業績]

ミライト・ワン・システムズは、ソフトウェア事業の強化、ソフトウェア開発およびシステムインフラの構築・維持によるビジネスの拡大に注力し、特に大型の新規案件、更新案件の受注に取り組みました。加えて、生産性向上によるコスト削減、プロジェクトマネジメント強化によるリスク管理により、受注高は303億8千8百万円(前期比6.5%増)、売上高は299億8千9百万円(前期比11.2%増)、営業利益は20億3千3百万円(前期比7.3%増)となりました。

 

[国際航業の業績]

国際航業は、測量、調査、計画、設計等を行い、当社グループで掲げるフルバリュー型を加速する「縦の統合」の実現に向け、上流工程を担っております。「ゼロカーボンシティ事業」「公益インフラマネジメント事業」でのグループシナジー推進のため、空間情報技術をベースにした脱炭素や国土強靭化分野、インフラ維持管理DX等に注力し、先進的な技術に積極的に取り組むことにより、受注高は479億5千万円、売上高は495億2千9百万円、営業利益は15億4千1百万円となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループが営んでいる事業の大部分を占める情報通信エンジニアリング事業においては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

また、「受注実績」及び「売上実績」については、当社の連結での受注及び売上の状況をセグメント別に記載しております。

 

a. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

ミライト・ワン

307,692

4.3

ラントロビジョン

43,420

43.4

TTK

39,417

△ 5.3

ソルコム

40,661

15.6

四国通建

27,533

9.8

西武建設

97,116

54.9

ミライト・ワン・システムズ

25,405

△ 2.4

国際航業

47,943

44.8

合計

629,190

14.6

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

b. 売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

ミライト・ワン

302,152

2.1

ラントロビジョン

34,317

24.7

TTK

37,657

0.9

ソルコム

33,340

0.0

四国通建

25,079

8.8

西武建設

71,203

9.1

ミライト・ワン・システムズ

25,325

10.1

国際航業

49,522

279.8

合計

578,599

11.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高
(百万円)

割合(%)

売上高
(百万円)

割合(%)

東日本電信電話株式会社

86,791

16.7

86,964

15.0

西日本電信電話株式会社

58,685

11.3

60,149

10.4

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、5,377億3千9百万円で前連結会計年度末比177億7千9百万円の増加となりました。内訳は、流動資産で前連結会計年度末比165億4千3百万円増加し、固定資産で前連結会計年度末比12億3千5百万円増加しております。主な要因は、流動資産は売上高の増加に伴い受取手形・完成工事未収入金等が増加し、固定資産は繰延税金資産が減少したものの、建物及び構築物、リース資産が増加したことによるものであります。

負債は、2,678億6千2百万円で前連結会計年度末比79億9千万円の増加となりました。内訳は、流動負債で前連結会計年度末比316億8千9百万円減少し、固定負債で前連結会計年度末比396億7千9百万円増加しております。主な要因は、流動負債は短期借入金が減少し、固定負債は社債が増加したことによるものであります。

純資産は、2,698億7千7百万円で前連結会計年度末比97億8千8百万円の増加となりました。これは配当金の支払いや、自己株式の取得があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益171億7千9百万円の計上等により利益剰余金が106億7千7百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は48.6%(前連結会計年度末は48.5%)となり、1株当たり純資産は2,914.94円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して33億3千3百万円増加し、513億5千万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益279億6千1百万円を計上したこと等により、180億4千9百万円の増加(前連結会計年度は336億2千5百万円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出56億9千4百万円及び無形固定資産の取得による支出20億7千万円並びに連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出50億9千4百万円があったこと等により、93億7千万円の減少(前連結会計年度は555億4千5百万円の減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出49億8千7百万円及び配当金の支払額64億2千2百万円があったこと等により、64億1千2百万円の減少(前連結会計年度は388億1千6百万円の増加)となりました。

 

(4) 資本の財源、資金の流動性に係る情報

①財務政策

当社グループは、安定した財務基盤と資本効率の両立を基本方針とし、新たな事業機会を創出するとともに事業構造の転換を加速させ、企業価値向上に努めます。そのため、健全な財務体質を維持しつつ資本コストを意識し、戦略的に経営資源を配分してまいります。また、株主還元については、総還元性向50%~70%をターゲットレンジとして、資本政策および業績・資金状況等を勘案し総合的に判断してまいります。

 

②資金需要

当社グループの資金需要は、経常運転資金として工事に係る材料費・外注費及び労務費等があり、投資活動に関する支出として、事業用資産取得にかかる設備投資資金、今後の成長に向けたM&A等の投融資資金があります。

また、総還元性向50%~70%をターゲットレンジとし、安定的・継続的な配当の成長と機動的な資本政策として自己株式取得を行う等、株主還元にも当社グループのキャッシュフローを充当してまいります。

 

③資金調達の方法・状況

資金調達については、内部資金を基本としており、キャッシュマネジメントシステム(CMS)導入によってグループ資金の有効活用を図っておりますが、一時的に必要となる資金については、金融機関からの短期資金調達にて対応しております。また、大型のM&Aや設備投資等の資金については、財務規律の維持と市場環境を勘案し、社債発行やシンジケートローンなどさまざまな調達手段から最適な方法により調達することとしております。

このため、緊急時やM&A等の成長投資に向けた資金需要に備え、適正な手元現預金の確保に努めるとともに、金融機関とのリレーションを維持強化し短期資金借入枠を設定しているほか、外部格付の取得を行う等、資金調達体制の構築に努めております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 株式会社みずほ銀行をアレンジャー兼エージェント、株式会社三井住友銀行をジョイント・アレンジャーとする6行によるシンジケートローン契約

①契約日

2023年3月24日

②契約の相手方の属性

都市銀行及び信託銀行

③契約に係る債務の期末残高

100億円

④弁済期限

2028年3月28日

⑤担保の内容

該当事項なし

⑥特約の内容

2023年3月期決算以降、各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額を2022年3月決算期末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額の75%および直前の決算期末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額の75%のいずれか高い方の金額以上に維持すること。

2023年3月期決算以降の決算期を初回の決算期とする連続する2期について、各年度の決算期における連結の損益計算書に示される営業損益が2期連続して損失とならないようにすること。

 

 

(2) 株式会社みずほ銀行をアレンジャー兼エージェント、株式会社三井住友銀行をジョイント・アレンジャーとする17行によるシンジケートローン契約

①契約日

2023年3月24日

②契約の相手方の属性

都市銀行及び地方銀行

③契約に係る債務の期末残高

200億円

④弁済期限

2028年3月28日

⑤担保の内容

該当事項なし

⑥特約の内容

2023年3月期決算以降、各年度の決算期の末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額を2022年3月決算期末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額の75%および直前の決算期末日における連結の貸借対照表上の純資産の部の金額の75%のいずれか高い方の金額以上に維持すること。

2023年3月期決算以降の決算期を初回の決算期とする連続する2期について、各年度の決算期における連結の損益計算書に示される営業損益が2期連続して損失とならないようにすること。

 

 

(3) 株式会社三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとする17行によるシンジケートローン契約

①契約日

2024年10月25日

②契約の相手方の属性

都市銀行及び地方銀行

③契約に係る債務の期末残高

100億円

④弁済期限

2029年10月30日

⑤担保の内容

該当事項なし

⑥特約の内容

2025年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を、2024年3月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。

2025年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結損益計算書に記載される営業損益を2回連続して損失としないこと。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動につきましては、事業会社を中心に行っております。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は371百万円であります。セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

[ミライト・ワン]

研究開発活動を支える組織としてみらいビジネス推進本部及びNTT事業本部DX推進部があります。みらいビジネス推進本部は事業本部・支店と連携し、(1)新規事業開拓に資する技術開発、(2)新技術導入関連、(3)全社の知的財産の管理を行っております。NTT事業本部DX推進部はNTT事業本部内の各技術センタと連携して主に(4)ネットワークエンジニアリング事業における工事施工の効率化や安全・品質の向上に資するインフラ技術を中心に開発を行っております。

研究開発費は157百万円であります。

 

(1)新規事業開発関連

・施工後一定年数を経過した太陽光発電所において、ドローンで撮影した画像を専用ソフトウェアで解析し、太陽光パネルの発電異常を検出する技術を開発しました。この技術を活用し、中古発電所の再生(リパワリング)を目的としたデューデリジェンスを事業に導入しております。また、軽量フレキシブルシリコン太陽電池の施工に関するノウハウ取得に向けた取り組みを開始しました。

・弊社が培った通信光ケーブル実装技術を活用し、建設会社と共同で橋梁などの社会インフラ構造物の歪をモニタリングする光ファイバセンサ技術の実用化を進めております。この技術は、インフラ構造物の施工および維持管理の合理化、並びに先進的なインフラ運用の実現を目指したものであり、社会基盤における効率的かつ持続可能な運用を支援します。当期は5件の工事案件を受注いたしました。これらの案件を基点とし、関連技術の更なる拡充と事業範囲の拡大を推進してまいります。

 

(2)新技術導入関連

・当社は経済産業省が主催する「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」に参加し、ペロブスカイト太陽電池の社会実装を目指した具体的なプロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、既存の太陽光発電所におけるペロブスカイト太陽電池の運用効率を向上させるための新工法を開発し、これに関する特許を取得しております。新工法により、既設発電設備のさらなる活用可能性を広げ、再生可能エネルギーの普及に貢献することを期待しています。

・生成AI技術を早期に導入し、業務効率化を図ることを目的として、前期には全社員およびグループ会社が利用するための環境整備に取り組みました。これに加え、今期は議事録作成を含むアプリケーションの充実化を進めることで、生成AI技術の更なる活用促進を目指しました。また、画像解析分野へのAI技術の適用については、工事写真の検査など、エンジニアリング業務への活用を目的として、現在も継続的な検討を行っています。

 

(3)知的財産関連(2024年4月1日~2025年3月31日)

・特許(登録3件)、商標(出願1件、登録1件)を行いました。

 

(4)ネットワークエンジニアリング事業関連

(通信線路関連)

・通信事業会社による提案内容に対し、お客様に「採用」と判断されたVE提案は「2件」あり、本内容に基づいた技術資料発出により全国の通信建設会社に向けて運用指示が図られました。

 1. C形金物の取付対象壁面の拡大

 2. 突き出し金物へドロップ光・屋外線固定方法の改善

・通信事業会社による提案内容に対し、お客様に「自由裁量」と判断されたVE提案は 「5件」あり、本内容に基づき、全国の通信建設会社において各社の裁量によって運用を図っても良いと周知されました。

 1. 不正防止「支線角度計」への改良

 2. 「埋設ケーブル位置測定器」の外部コイル固定方法の改良

 3. 荷吊りアームの外れ防止金具における操作紐の開発

 4. 細径ドロップケーブル切裂き治具の開発

 5. 切裂き紐引切り工具「フラットペンチ」の開発

<参考>

 『VE提案』とは、バリューエンジニアリングの略称で作業の効率化、コスト削減等への積極的な取組みにより、電気通信設備請負工事におけるサービス生産性の向上を図ることを目的としたお客様の制度です。

 

[ラントロビジョン]

該当事項はありません。

 

[TTK]

研究開発活動を支える組織としてエキスパートセンタがあり、事業本部・支店と連携し、電気通信工事事業の生産性、品質の向上及び安全確保のため、作業に必要な機械・工具・測定器等各種装置の開発や施工方法の改善に取り組んでおります。

研究開発費は3百万円であります

 

(通信線路関連)

・通信事業会社による提案に対し、お客様に「採用」(「自由裁量」含む)と判断されたVE提案は「1件」ありました。

1. 簡易ウォータージェットの開発(自由裁量)

 

[ソルコム]

該当事項はありません。

 

[四国通建]

該当事項はありません。

 

[西武建設]

該当事項はありません。

 

[ミライト・ワン・システムズ]

該当事項はありません。

 

[国際航業]

空間情報コンサルティング事業において、事業統括本部先端技術開発部が中心となり、同本部内の各部門と連携して、新技術・新商品に関する研究開発を推進しております。

先端技術開発部が先端・基礎研究を主導し、応用技術開発、新製品開発、既存製品の機能強化等については、個別の研究開発案件ごとにプロジェクトチームを編成し、効率的に推進しております。当連結会計年度に支出した研究開発費は、210百万円であります。その内訳は、基礎研究、応用技術開発、新製品開発、既存製品の機能強化等に充当しております。

 

(1) 基礎研究に関するもの

前年度より取り組んでおります生成AIを活用した社内規程情報検索システム「社内情報ナビチャットボット」は、運用を開始しております。このシステムは、社内情報検索に加え、災害時の被災状況や避難場所に関する情報検索システムとしての国や自治体へのサービス提供も進めております。

道路や河川の維持管理、砂防等のために取得された3次元点群データ、CADデータ等を高速に表示し、断面図作成、面積・体積計算が可能な3次元ビューア(Fusion Space)は、お客様への導入や社内利用に加え、ミライト・ワングループへの導入に向けた検討を進めております。

また、脱炭素社会の実現に向け、群馬大学や群馬県の自治体と協力し、CO2モニタリング・可視化ツールの開発を行っております。これにより、従来困難であった地表面における人間活動由来のCO2排出量や発生源の特定が可能となり、脱炭素化に向けた新たな貢献が期待されます。

 

(2) 応用技術の開発、新製品の開発等に関する研究

当連結会計年度において、各事業に関連する32件の技術開発を実施いたしました。開発内容は、河川流量観測、インフラ施設の劣化状況調査・診断、斜面モニタリングといった国土強靭化やDX推進に貢献する技術開発が中心であります。加えて、近年ではJクレジットやブルーカーボン制度に資する藻場把握手法の開発など、GX推進に関する技術開発も積極的に推進しております。写真からの河川流量推定や空中(航空)写真からの斜面崩壊箇所の判読など、広範な技術開発においてAIの活用を推進しております。

 

(3) その他

空間情報コンサルティング事業全般に関わる技術の向上や交流を主な目的として、①技術シンポジウムの開催、 ②国の関連研究機関などへの研修派遣、③学識経験者などを講師とする専門分野の研究会活動などを、国際航業㈱の先端技術開発部が中心となって継続的に実施しております。