第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当第2四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第2四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。

 

① 国内

[自社販売体制の準備について]

当社は、販売委託先であるエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)との事業提携契約が2020年12月に満了となることから、2018年10月にトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始しました。2021年度の黒字化(収益化)とその後の収益の持続的拡大は当社にとっては最重要経営課題であり、自社販売体制への移行により今後の事業展開を盤石なものとすることを計画しています。
当第2四半期においては、自社販売体制における営業組織の中核と位置づけているトレアキシンマネージャー20名体制の確立のために必要な増員と研修の実施及び各担当地域への配置準備を計画通りに推し進めました。当社が目指すのは、より高度の専門性と豊富な経験に基づき高い生産性に裏付けられたハイパフォーマンスの営業組織の構築であり、並行して、物流・流通・情報システムといったインフラの整備についても順調に準備を進めております。

 

[抗がん剤 SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤) / SyB C-0501(経口剤)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]

トレアキシン®については、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注1)(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として、業務提携先のエーザイを通じ、国内販売を行っています。これらの適応症拡大を受けて、既に医療現場においては未治療(初回治療)領域でトレアキシン®が従来の標準療法であるR-CHOPに取って代わることで市場浸透が堅調に進んでいる中で、2018年7月に日本血液学会が編集し発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりました。これにより名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけが確立されつつあり、当社の調査では市場占有率は未治療領域において55%まで伸びてきております。
本剤については、既に承認を取得した上記の3つの適応症に加え、4つ目の適応症である再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の第Ⅲ相臨床試験を実施しております。本適応症の追加については、優れた標準療法がないことから医療現場の切実なニーズがあり患者団体並びに関係学会からも審査当局に対してBR療法を使えるようにして欲しいという強い要望書が出ておりました。当社は新たな治療の選択肢を提供すべく、2017年8月に第Ⅲ相臨床試験を開始し、2018年1月の最初の患者登録以来着実に症例集積を推し進め、2019年4月に症例登録を完了しました。今後、登録症例のフォローアップ期間が終了した後、承認申請へ向けて鋭意準備を進めてまいります。
更には2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間で日本における独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注2))への切り替えを目的として、既にRTD製剤は医薬品医療機器総合機構との相談を経て、現在、承認申請に向けて鋭意準備中です。RI製剤については2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始し、2019年4月の最初の患者登録以来順調に症例集積が進捗しております。本製剤は、患者さんと医療従事者の負担を大幅に軽減することで大きな付加価値を提供するとともに、液剤ライセンスによる特許保護を通じてトレアキシン®の製品寿命を2031年まで延長することが可能となり、開発戦略を含めて事業価値の最大化を図ってまいります

また、2018年7月には製造販売承認事項に係わる一部変更の承認を取得したことにより、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみならず新規の抗CD20抗体製剤との併用が可能となり、新たな治療選択肢として2018年8月に販売開始されたオビヌツズマブ(注3)との併用療法が患者さんに提供されております。また、2019年3月に腫瘍特異性T細胞輸注療法(注4)の前処置に関する一部変更の承認を取得したことにより、2019年5月に薬価収載された国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(注5)「キムリア®点滴静注」(注6)の前処置としてトレアキシン®が使用されることが可能となりました。この再生医療等製品の前処置としての使用方法の広がりによって悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけがより強固なものとなりつつあります。

さらに、経営基盤の強化のためにトレアキシン®を当社事業のより強固な土台とすべく、現在開発・販売中の注射剤に加え、経口剤の開発を進めることにより、固形がんや自己免疫疾患の領域で更なるトレアキシン®の可能性を探求しています。そのような取り組みの中で、2018年1月に進行性固形がんを対象としてトレアキシン®経口剤の推奨投与量・投与スケジュール及び忍容性・安全性の検討を行い、がん腫を絞り込むことを目的として、第Ⅰ相臨床試験を開始し、2018年5月の最初の患者登録後、症例集積を鋭意進めています。また、トレアキシン®の経口投与による免疫系への作用を評価すべく、自己免疫疾患の中でも極めてニーズが高い全身性エリテマトーデス(SLE)に対する治療効果の確認を目的として、同じく2018年5月に慶應義塾大学との間で共同研究契約を締結し前臨床試験を実施しました。 現在、試験成績をまとめており、その成績を評価した上で、臨床試験の実施も含め今後の方針を検討する予定です。

 

(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジキンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

 

(注2) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。

 

(注3) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元 中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

 

(注4) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

 

(注5) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的としてB細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著明な臨床効果が得られています。

 

(注6) キムリア®点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ株式会社):国内で初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を適応症として2019年3月に製造販売承認を取得し、2019年5月に薬価収載されました。

 

 

[抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリウム>)]

リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験の日本における臨床開発を当社が担当しており、国内では2015年12月に試験が開始され、2019年7月末時点で44症例が登録されています。本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られない、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ国以上が参加して実施中です。オンコノバ社によれば、2019年3月時点で全世界における目標の360症例に対して75%の登録を達成しております。この試験の成績を基に、欧米と同時期に日本での承認申請を行うことを計画しています。
リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注7)併用)を完了し、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とする第Ⅱ相臨床試験を進めています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性を確認するために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2017年10月の最初の患者登録以来着実に症例集積を推し進め、2019年6月に症例登録を完了しました。同試験終了後、アザシチジンとの併用の第Ⅰ相試験を速やかに実施し、リゴセルチブ経口剤についても欧米に遅れることなく日本での承認申請を行うべく、現在オンコノバ社が計画している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同第Ⅲ相臨床試験に参加する予定です。本国際共同試験については2018年12月にオンコノバ社が承認審査の迅速化を目的としてSPA(特別プロトコル審査)(注8)をFDA(米国食品医薬品局)に申請しており、FDAの合意が得られ次第、第Ⅲ相臨床試験を開始する予定です。 また、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とした開発については、オンコノバ社の開発状況を見据えながら日本からの参加を検討してまいります。

 

(注7) アザシチジン(ビダーザ®:販売元 日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態にはDNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシチジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病への進行を抑えると考えられています。

 

(注8) SPA(特別プロトコル審査)とは、第Ⅱ相臨床試験終了後に、第Ⅲ相臨床試験について、対象疾患、目的、試験デザイン、主要及び副次評価項目(エンドポイント)、解析方法などに関してFDAと事前合意し、試験終了後は合意内容を変更せずにそのまま承認審査での承認要件として認める制度です。この制度を利用することにより、FDA に対して承認申請後、試験結果の評価及び審査について、エンドポイントが達成されていれば、承認の可能性が高まり審査のプロセスと時間が短縮されます。

 

[自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501]

当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、契約の相手先は同社完全子会社であるインクライン・セラピューティクス社)から導入したSyB P-1501については、同社の本製品の事業の継続性について当社が懸念を抱く事象が生じたため、患者さんの利益を最優先する観点から2017年4月21日より新規症例登録を一時的に中断しておりました。

その後、当社は2017年10月11日に、ザ・メディシンズ・カンパニー社によるライセンス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を国際商業会議所の規定に基づき申し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨仲裁で主張しています。また、2017年11月30日に同社によるライセンス契約の違反が約定期間内に治癒されなかったことを受けて、ライセンス契約を解除し、本製品の開発は2018年2月9日に中止しました。

ザ・メディシンズ・カンパニー社との仲裁手続は現在も継続中です。

 

  [新規開発候補品]

当社は長期的経営戦略の視点に立ち、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業へと成長を図るため、新薬開発候補品のライセンス権利取得に向け探索評価を継続して実施しており、常時、複数のライセンス案件を検討しております。

また、当社は2016年5月に海外事業展開の戦略的拠点として100%出資の米国子会社 SymBio Pharma USA, Inc(本社:米国カリフォルニア州メンローパーク、以下「シンバイオファーマUSA」という)を設立しました。シンバイオファーマUSAをグローバル事業の拠点として新薬候補品の全世界におけるライセンス権利を積極的に取得することにより、米国、日本、欧州をはじめとする主要市場において開発・商業化を目指して、グローバル・スペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。

 

②  海外

SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画通りに推移しました。
 

③  経営成績

以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、2,004,976千円となり、売上高全体で前年同期比4.0%の増加となりました。

一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤、経口剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験費用が発生したこと等により、研究開発費として962,598千円(前年同期比14.8%増)を、その他の販売費及び一般管理費として1,581,904千円(前年同期比49.3%増)を計上したことから、合計で2,544,503千円(前年同期比34.1%増)となりました。

これらの結果、当第2四半期累計期間の営業損失は2,015,102千円(前年同期は営業損失1,324,638千円)となりました。また、為替差損を主とする営業外費用57,178千円を計上したこと等により、経常損失は2,069,366千円(前年同期は経常損失1,377,648千円)、四半期純損失は2,069,929千円(前年同期は四半期純損失1,388,502千円)となりました。

なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

④  財政状態

当第2四半期会計期間末における総資産は、商品及び製品が533,824千円、売掛金が400,630千円、未収消費税等が32,008千円減少した一方、現金及び預金が1,244,810千円、ソフトウェア仮勘定が103,788千円、前払費用が51,586千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ434,717千円増加し、6,674,140千円となりました。

負債の部については、未払金が605,485千円増加した一方、買掛金が717,627千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ89,855千円減少し、1,247,768千円となりました。

純資産の部については、四半期純損失の計上により利益剰余金が2,069,929千円減少した一方、資本金が1,271,770千円、資本剰余金が1,271,770千円、新株予約権が50,962千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ524,572千円増加し、5,426,372千円となりました。

この結果、自己資本比率は72.6%と前事業年度末に比べ2.5ポイント増加しました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,244,810千円増加し6,066,166千円となりました。

当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の減少は1,096,587千円(前年同期は1,397,232千円の減少)となりました。これは、未払金の増加603,144千円、たな卸資産の減少533,824千円、売上債権の減少400,630千円、未払金の増加603,144千円、株式報酬費用の計上73,787千円、為替差損の計上55,734千円、未収消費税等の減少32,008千円、減価償却費の計上17,911千円等の資金の増加要因があったものの、当第2四半期累計期間において税引前四半期純損失2,068,029千円を計上したこと、仕入債務の減少717,627千円、前払費用の増加56,844千円等により資金が減少したことが主な要因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は115,636千円(前年同期は17,617千円の減少)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出109,039千円等があったことが主な要因です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の増加は2,512,769千円(前年同期は1,547,274千円の増加)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,522,051千円等があったことが主な要因です。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第2四半期累計期間における研究開発費の総額は、962,598千円であります。

なお、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第2四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。