第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当社は、グローバル・スペシャリティファーマの戦略拠点として、シンバイオファーマUSA(SymBio Pharma USA, Inc. CEO兼社長:吉田文紀)が本格稼働を開始したことに伴い、当第1四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しております。事業構成において前事業年度との実質的な変更は無いため、前年同期間との比較は前第1四半期会計期間の個別四半期財務諸表と比較した前年同期比を参考として記載しております。

 

① 当期の経営成績

当社は、2020年12月に自社によるトレアキシン®(一般名:べンダムスチン塩酸塩またはベンダムスチン塩酸塩水和物)販売を開始し、2021年度の最重要課題である収益化を達成しました。

地域のニーズをくみ上げることで地域のニーズに合致したきめ細かい提案を企画し、より高い生産性をもつ営業組織体制を確立するため、医薬情報担当者を全国に配置し、更には「ヘマトロジー・エキスパート」を地域に配置しております。また、全国流通体制を確立するため株式会社スズケン及び東邦薬品株式会社との間で両者を総代理店とする医薬品売買に関する取引基本契約を締結、全国物流体制を構築しております。物流につきましては、株式会社エス・ディ・コラボとの取引を行っており、東日本地域と西日本地域の2拠点に物流センターを設置しております。

当第1四半期連結累計期間においては、2021年1月に販売を開始したトレアキシン®点滴静注液剤100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の投与時間を10分間に短縮を可能とする迅速靜注投与[RI(Rapid Infusion)投与]について、医薬品製造販売承認事項に係る一変申請をしておりましたが、2022年2月に承認を取得しました。RTD製剤は、従来のFD製剤に比べて手動による煩雑な溶解作業に要する時間を短縮することができ、更に、RI投与により投与時間がRTD製剤の1時間に対して大幅に短縮されるため、患者さん及び医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となりました。

トレアキシン®FD製剤からトレアキシン®RTD製剤への切り替えにつきましては、医療機関のご協力を仰ぎながら進めた結果、RTD製剤の医療施設への納入比率は、2022年3月末時点で99%を超し順調に進捗しました。また、RI投与については、2022年4月末時点で93%を超す医療施設においてRI投与への切り替えの意向を確認しており、RI投与の浸透につきましても予定通りに進んでおります。品質保証面では、トレアキシン®FD製剤・トレアキシン®液剤(RTD製剤・RI投与)ともに安定供給体制を確立しております。

以上の結果、営業活動につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染拡大による治療の遅延、施設訪問の規制強化が継続し営業活動の制約となったこと等の要因はあったものの、2021年3月に承認となったベンダムスチンとリツキシマブの併用療法(以下「BR療法」)及びベンダムスチンとリツキシマブ、ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)との併用療法(以下「P-BR療法」)の再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下「r/r DLBCL」)の適応追加、並びに2021年5月の中外製薬によるポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)の薬価収載によるr/r DLBCLの売上の増加が寄与し、売上高は2,315,992千円(前年同期比63.1%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、研究開発費として496,093千円(前年同期比4.8%増)計上し、その他の販売費及び一般管理費との合計では1,388,889千円(前年同期比13.8%増)となりました。

これらの結果、営業利益は509,200千円(前年同期は営業損失210,518千円)、経常利益は478,616千円(前年同期は経常損失208,907千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税等調整額でRI投与の承認等に伴う繰延税金資産の一時的な取り崩し239,325千円があったため163,171千円(前年同期は四半期純損失209,659千円)に止まりましたが、通期の見通しに大きな影響を与えるものではありません。

なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

② 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間においては、各開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。

(ⅰ) 抗がん剤SyB L-0501(FD製剤)/ SyB L-1701(RTD製剤)/ SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩またはベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®

トレアキシン®FD製剤については、既に承認を取得した適応症に加え、r/r DLBCLを対象とするBR療法について2021年3月に承認を取得し、直ちに使用が可能となりました。

イーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州、以下「イーグル社」)から導入したトレアキシン®液剤については、2020年9月に製造販売承認を取得し、2021年1月より販売を開始しました。2021年4月にはRTD製剤によるr/r DLBCLを対象としたBR療法及びP-BR療法の一変承認を取得しました。RI投与については、安全性に関する臨床試験が終了し、2021年5月に一変承認申請を完了し、2022年2月に一変承認を取得しました。

また、トレアキシン®に関しては、埼玉医科大学との特定臨床研究や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな可能性を探索してまいります。

 

(ⅱ) 抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)

リゴセルチブ注射剤については、オンコノバ社が国際共同第Ⅲ相臨床試験(INSPIRE試験)を実施しておりますが、2020年8月に医師選択療法との比較において主要評価項目を達成しなかったことを発表しました。当社は日本における臨床開発を担当しており、今後のリゴセルチブ開発の検討を両社で協力して進めております。

なお、リゴセルチブに関しては、東京大学などとの共同研究を通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っております。

 

(ⅲ) 抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:Brincidofovir)

グローバル展開を見据えた抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV IV」及び「BCV Oral」)の事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討してまいります。キメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)による欧米における臨床試験において、既にBCV Oralが各種dsDNAウイルスに対する幅広い抗ウイルス活性を有することが示されており、BCV IVにおいては造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を始めとする多くのdsウイルス剤の予防及び治療に対する有効性と安全性が期待されます。なお、キメリックス社は、BCV Oralについて、2021年6月に天然痘対策として米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得しました。

BCV IVについては、2020年2月に開催したグローバルアドバイザリーボードでの検討の結果、「空白の治療領域」でアンメット・メディカル・ニーズの高い造血幹細胞移植後の播種性アデノウイルス(AdV)感染症を対象に、日本・アメリカ・ヨーロッパを中心としたBCV IVのグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のAdV感染症を対象とする第Ⅱ相臨床試験を開始するため、FDAにInvestigational New Drug(IND)Application(治験許可申請)を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月に、FDAからFast track指定を受けており、2021年8月には第1例目(FPI: First Patient In)の投与を開始しました。さらに、2022年1月に英国医薬品庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:MHRA)に治験申請(Clinical Trial Application:CTA)を提出しました。

一方で、腎移植後のBKウイルス腎症は移植腎の機能を低下させるなど、レシピエント、ドナー、医療者、また社会にとって深刻な結果を招く疾患と考えられます。この問題を早期に解決するため、国際的な枠組みで腎移植後のBKウイルス感染症を対象とした臨床開発の準備を行っています。他方、EBウイルス関連疾患である難病の多発性硬化症や、関連が想定されているコロナ後遺症などについても開発を視野に入れて取り組んでまいります。

これらの臨床試験データの蓄積により、各種dsDNAウイルス感染症に対する人における効果を検討し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を拡大することで、市場の拡大とBCVの事業価値の最大化を目指してまいります。

また、ブリンシドフォビルは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も期待されています。シンガポール国立がんセンターやカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、難治性脳腫瘍、EBウイルス陽性リンパ腫等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。2022年3月には米国ブラウン大学との共同研究においてサイトメガロウイルス関連膠芽腫(GBM)に対する抗腫瘍効果を検討する共同研究を開始しました。

 

③ 海外事業

100%出資の米国子会社シンバイオファーマUSAは、2021年10月に副社長兼プロジェクトマネジメント及びクリニカルオペレーションズの責任者として採用したキャロリン・ヤナヴィッチ博士(Dr. Carolyn Yanavich)を、2022年4月に同社社長兼チーフオペレーティングオフィサー(COO)兼チーフデベロップメントオフィサーに選任し、グローバル開発体制の更なる拡充を行いました。これによって、シンバイオファーマUSAを国際臨床試験の推進役として、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発計画を主導し加速させます。

 

④ 新規開発候補品の導入

当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品のライセンス権利取得に向けた探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。

 

⑤ 財政状態

当第1四半期連結会計期間末における総資産は8,258,088千円となりました。流動資産は6,811,409千円となり、主な内訳は、現金及び預金が4,182,712千円、売掛金が1,698,188千円、半製品が356,359千円であります。固定資産は1,446,679千円となり、主な内訳は、繰延税金資産が1,036,433千円、ソフトウエアが235,519千円であります。

負債の部については、総額1,410,034千円となりました。流動負債は1,407,033千円となり、主な内訳は、未払金が592,162千円であります。固定負債は3,001千円となり、主な内訳は、退職給付に係る負債が3,001千円であります。

純資産の部については、総額6,848,054千円となりました。主な内訳は、資本金が17,169,303千円、資本剰余金が17,144,188千円、新株予約権が526,566千円であります。

この結果、自己資本比率は76.5%となりました。

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、496,093千円であります。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。