当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当中間連結会計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。
① 当期の経営成績
現在、トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の投与時間を10分間に短縮するRI(急速静注)投与が承認済です。RTD製剤は、従来の凍結乾燥製剤(FD製剤)に比べて手動による煩雑な溶解作業に要する時間を短縮することができ、さらに、RI投与により投与時間が従来の60分から10分へと大幅に短縮されるため、患者さん及び医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となっています。また、輸液量も50mLと、従来の250mLから大幅に少なくなることから塩分量も軽減できます。2024年6月末時点において90%を超す医療施設で患者さんにRI投与が行われております。
営業活動につきましては、後発品の浸食は少しずつ進行しております。一方でベンダムスチン治療中もしくは治療後に感染の遷延や重症化を引き起こす可能性を懸念し、ベンダムスチンの処方が控えられていた状況は少しずつ緩和されてきております。これらのことから、修正された業績予想に対して計画通りに進んでいる状況であるため、売上高1,284,426千円(前中間連結会計期間比59.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、研究開発費として1,531,833千円(前中間連結会計期間比27.2%増)計上し、その他の販売費及び一般管理費との合計では2,715,755千円(前中間連結会計期間比7.6%増)となりました。
これらの結果、営業損失は1,719,487千円(前中間連結会計期間は営業損失49,731千円)、経常損失は1,481,369千円(前中間連結会計期間は経常利益66,941千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は、1,541,341千円(前中間連結会計期間は親会社株主に帰属する中間純損失79,850千円)となりました。
2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が取得し、内2社が同年に後発医薬品の販売を開始しました。その後、両社がRI(急速静注)の承認を得て販売を開始したことを期して、当該製品のライセンス元であるイーグル社の持つ特許に対する侵害及び当社が同製品について有する独占的な特許実施権に対する侵害の可能性が生じたことから、ライセンス元であるイーグル社と協議し、2022年12月に、イーグル社と共同でファイザー株式会社及び東和薬品株式会社に対して特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止及び損害賠償請求訴訟を提起いたしました。両社に対する裁判は現在係属中です。なお、2024年8月時点において、3社が後発医薬品を販売しております。
なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② 研究開発活動
当中間連結会計期間においては、各開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。
(ⅰ)抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」)
移植後感染症領域
グローバル展開を見据えキメリックス・インク社(Chimerix Inc.、本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)から導入した抗ウイルス薬BCVの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「IV BCV」及び「Oral BCV」)の事業展開については、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)に対し広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。
IV BCVについては、造血幹細胞移植後や臓器移植後などの免疫不全状態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染及び感染症の治療を対象に、IV BCVのグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス感染及び感染症を対象とする第Ⅱa相臨床試験を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)に治験許可申請(Investigational New Drug(IND)Application)を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月に、FDAからファストトラック指定を受けています。2023年5月、本試験において、IV BCVの抗アデノウイルス活性を認め、ヒトPOC(Proof of Concept)を確立しました。2023年12月には、第65回米国血液学会年次総会(The 65th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition)において当試験の有効性を示すポジティブ・データが口頭発表され、その後も2024年2月の米国 2024 Tandem Meetingsや2024年4月の第50回欧州血液骨髄移植学会年次総会(50th Annual Meeting of the EBMT)等の主要学会において口頭発表されました。また、本試験の結果に基づき出願したアデノウイルス感染及び感染症の治療に関するBCVの用途特許が2024年1月に日本において成立し登録されました。
造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染症患者を対象とした米国における第Ⅱa相臨床試験は、2024年5月に開始し、同年6月に第1例目の登録が行われ、現在試験が進行中です。
腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症については、2022年5月に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、2022年8月にオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA:Therapeutic Goods Administration)に、それぞれ腎移植後のBKウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の治験計画届を提出し、2025年の終了を計画しておりましたが、計画に対して症例集積に遅れが生じたことから、再度研究者の方々とプロトコルの修正の検討を行っております。
ポリオーマウイルス、特にJCウイルス(JCV)は、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれています。2022年11月に米国ペンシルバニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、ポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの抗ウイルス活性を検証する非臨床試験を実施しています。また、2024年7月には、その研究成果の第一報として、新たな知見がmBio誌に公表されました。
血液腫瘍領域
BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、シンガポール国立がんセンター(NCCS: National Cancer Centre Singapore)やカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、EBウイルス陽性リンパ腫、難治性脳腫瘍等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。また、現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの治療効果に関するNCCSとの共同研究成果については、2022年12月、米国ニューオリンズで開催された第64回米国血液学会年次総会(The 64th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting)において口頭発表されました。さらに、2023年6月にはスイス・ルガーノで開催された第17回国際悪性リンパ腫会議(17th International Conference on Malignant Lymphoma: ICML)でBCVの抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーに関する研究成果が発表、2024年4月には、B細胞リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果について、米国サンディエゴで開催された、米国がん学会(AACR Annual Meeting 2024)でポスター発表、さらに2024年6月スペイン・マドリードで開催された欧州血液学会(EHA2024 Hybrid Congress)において、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対するBCVの抗腫瘍効果についてポスター発表されました。
その他の領域
EBウイルス(EBV)の関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症(MS:Multiple Sclerosis)について、2022年8月に、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)に所属する国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS:National Institute of Neurological Disorders and Stroke)との間で、共同研究試料提供契約(Collaboration Agreement for The Transfer of Human Materials)を締結しました。2023年3月には、多発性硬化症の治療におけるBCVのEBウイルスに対する効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結し、2023年10月にはその研究成果が、イタリア・ミラノで開催された第9回 ECTRIMS-ACTRIMS 合同学会(The 9th Joint ECTRIMS-ACTRIMS Meeting)において発表されました。また、2023年4月には、米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID:National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間でEBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価する共同研究開発契約(CRADA)を締結しました。
dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)など、脳神経組織への指向性を有するものがあり、アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、それらが潜伏しているウイルスの再活性化が関与している可能性についての研究がこの数年進み、知見が増えています。2022年12月に米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養した脳組織を3次元に模倣したHSV感染・再活性化モデルを用いて、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を実施しています。
2022年9月、キメリックス社はエマージェント・バイオソリューションズ社(本社:米国メリーランド州)へのBCVに関する権利の譲渡手続きの完了を発表しましたが、当社の取得したBCVに関する、天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除いたすべての適応症を対象とした、全世界での独占的開発・製造・販売権に対する影響はありません。
2024年3月には、当社の子会社であるシンバイオ ファーマ アイルランド(SymBio Pharma Ireland Limited、アイルランド ダブリン)の設立に伴い、エマージェント・バイオソリューションズ社から、EU(欧州連合)における免疫不全患者におけるアデノウイルス感染症とサイトメガロウイルス感染症予防に対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定が移管されました。
(ⅱ)抗がん剤 SyB L-1701(RTD製剤)/ SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)
東京大学や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな開発の可能性を探索しております。
(ⅲ)抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)
オンコノバ・セラピューティクス社(Onconova Therapeutics, Inc.、本社:米国ペンシルベニア州、以下「オンコノバ社」)から導入したリゴセルチブ注射剤については、リゴセルチブとトレアキシン®に関して、東京大学との共同研究及び社会連携講座の設置などを通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っております。なお、2024年4月オンコノバ社はトラウスファーマ社(Traws Pharma Inc.、本社:米国ペンシルベニア州)に社名を変更いたしました。
③ 海外事業
2024年4月にジョン・ホートン(John Houghton)をシンバイオファーマUSA CEO兼社長に選任し、シンバイオファーマUSAをIV BCVのグローバル事業を牽引する使命を持つ戦略的拠点とし、欧米日英においての開発を加速し、商業化を実現するために活動を発展させてまいります。
④ 新規開発候補品の導入
当社グループは2019年に導入した抗ウイルス薬BCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品の探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。
⑤ 財政状態
当中間連結会計期間末における総資産は7,241,090千円となりました。流動資産は7,196,297千円となり、主な内訳は、現金及び預金が6,358,711千円、売掛金が463,912千円、商品及び製品が87,543千円であります。固定資産は44,793千円となり、内訳は、敷金及び保証金44,793千円であります。
負債の部については、総額793,102千円となりました。流動負債は789,078千円となり、主な内訳は、未払金が649,195千円であります。固定負債は4,024千円となり、内訳は、退職給付に係る負債が4,024千円であります。
純資産の部については、総額6,447,988千円となりました。内訳は、資本金が18,328,911千円、資本剰余金が18,303,783千円、新株予約権が291,484千円であります。
この結果、自己資本比率は85.0%となりました。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,358,711千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純損失1,526,109千円の計上、売上債権449,181千円の減少、棚卸資産144,106千円の減少等により営業活動資金が増加した一方、未払金217,063千円の減少等により、全体では1,134,626千円の支出(前中間連結会計期間は223,135千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
敷金及び保証金の回収による収入42,923千円、有形固定資産の取得による支出8,787千円、無形固定資産の取得による支出9,356千円により、全体では24,778千円の収入(前中間連結会計期間は150,349千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式の発行による収入728,850千円等により、全体では723,367千円の収入(前中間連結会計期間は1,287千円の支出)となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、1,531,833千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。