当社は、日本国内の上場企業・未公開企業等を対象とした独立系プライベートエクイティ投資会社であります。当社グループは、売上・利益の成長のポテンシャルが見込まれる日本の中堅企業に、適切なバリュエーションで投資し、投資家に優れたリターンを提供することを目指しております。
以下の文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営理念
「積分、積み重ね」を意味する社名インテグラルは、「ハートのある信頼関係と最高の英知の積み重ね」の象徴であります。その積み重ねの結果、経営理念である『Trusted Investor=信頼できる資本家』として、世界に通用する日本型企業改革、すなわち資本家たるファンドと経営者が強い信頼の下に協力し合う変革の実現に貢献することをミッションとしております。
21世紀、日本企業が大きな改革を進めていくには、資本家と経営者が、お互いに深く信頼し合うことが必要不可欠であります。歴史を振り返ってみても、産業革命、明治維新、戦後の高度経済成長等、経済社会の大きな変革期には、必ずと言って良いほど、資本家(キャピタル)と経営者(イノベーター)が強い信頼関係の下、共通の目標を持ち、時代の変化に立ち向かい続けることで、企業を発展に導いてきております。
グローバル資本主義の進化、グローバル競争の激化、人口構造の変化、社会貢献の必要性等、日本企業の経営を取り巻く環境がよりチャレンジングになる中、当社グループは、下記3つの行動規範を掲げて活動しております。
① ハートのある信頼関係を事業すべての基礎とします。
企業は人です。信頼関係があれば、企業は潜在能力を最大限に発揮して発展できると考えております。
② 長期的な企業価値の向上を愚直に追求します。
同じ目線に立ち、時間をかけて挑戦し続ける事で改革を着実に進めるよう行動します。
③ 最高の英知を結集し、「新しい何か」の創造に挑戦します。
『業界並』では競争に勝てません。革新への積極果敢なチャレンジをサポートします。
当社グループは、投資先の経営陣との信頼関係を礎にし、長期的視野に立ってエクイティ投資を行うことを標榜しております。投資後は『経営陣と同じ目線・時間軸』をもって投資先企業とともに歩み、企業価値向上に向けて経営・財務の両面でのサポートを行ってまいります。
(2)目標とする重要な経営指標
当社グループは、自己資金を活用したハイブリッド投資により、多様な収益機会を持つビジネスモデルを確立しております。当社の子会社・関連会社及び投資先を投資ポートフォリオとして統括し、当体制の下、管理報酬、経営支援料、キャリードインタレストを得ております。その中で保有株式価値を増大させることによって、AUM(Assets under management:運用資産残高)を中長期的に拡大させることで、収益成長率を継続的に上昇させること、また、投資利益の実現によって受け取るキャリードインタレストの最大化を図っていくこと、プリンシパル投資のFV(Fair Value:公正価値、適正価格)については継続的に成長させることを目指しております。
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(単位:億円) |
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2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
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AUM(運用資産残高)(注)1 |
2,598 |
2,464 |
2,185 |
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Fee-Earning AUM(注)2 |
1,944 |
1,940 |
1,835 |
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プリンシパル投資のFV(注)4 |
256 |
284 |
327 |
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プリンシパル投資の取得原価(注)3 |
63 |
76 |
82 |
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ファンド投資のFV(注)4 |
1,557 |
1,790 |
2,244 |
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未実現キャリードインタレスト(注)5 |
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2号ファンドシリーズ(注)6 |
60 |
64 |
20 |
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3号ファンドシリーズ |
92 |
74 |
146 |
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4号ファンドシリーズ |
- |
- |
54 |
(注)1.投資期間中のファンド又は投資期間の定めのないファンドは出資約束金額により、投資期間終了後のファンドは投資ポートフォリオのFVにより集計しております。またAUM(運用資産残高)は、当社が管理報酬を受領するファンドのみを対象としており、個別案件において共同投資家が出資を行っているものの当社が管理報酬を受領しないファンドは対象外としています。なお、投資期間とは、組合契約上で当社グループによる新たな投資先への投資実行が許容される期間であり、ファンド開始後約5年間となります。
2.ファンドの管理報酬の計算基礎となる運用資産残高であり、投資期間中のファンド又は投資期間の定めのないファンドは出資約束金額により、投資期間終了後のファンドは投資ポートフォリオの取得原価残高により集計しております。
3.プリンシパル投資の取得原価は、株式及び債券についてはIFRSに基づく取得原価、ファンド出資金については、出資履行金額から出資の返還として分配された金額を控除した額により集計しております。
4.FVは、IFRSに基づく公正価値(Fair Value)を指しております。
5.ファンドの未実現キャリードインタレストとは、当該期末時点で投資先企業をその時点のFVで売却したと仮定した場合に当社グループが受領することができると見込まれるキャリードインタレストの金額(当該期末時点での累計分配額とポートフォリオの時価評価損益を純資産に合算した金額から出資履行金額を控除した金額に20%を乗じた金額)になります。なお、本表に掲載の未実現キャリードインタレストは、上述の計算により算出される未実現キャリードインタレストのうち、役職員によるGP出資分を除いた当社グループ取得見込み分であり、「第5 経理の状況」で記載している「当社グループによる獲得見込みのキャリードインタレスト」と同義になります。
6.2号ファンドシリーズでは、2023年12月期に32億円のキャリードインタレストが実現しており、当社グループが当該金額を受領したことで、未実現キャリードインタレストが減少しております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社グループが対処すべき主要な課題は以下のとおりです。
① 良質なポートフォリオへの投資戦略
当社グループの戦略的投資により、良質なポートフォリオを積み上げていくことが、ファンドパフォーマンスの向上につながると考えております。中堅企業にフォーカスし、独自ネットワークによりソーシングの多様化を図り、豊富な投資形態で検討可能な案件数を増やしております。また、プリンシパル投資を加えたハイブリッド投資を実行することで、長期コミットメントの提示が可能となっております。これにより相対案件や入札案件における優位性、低価格での投資機会を創出しております。
今後もこの投資戦略を堅持し、投資対象マーケットの拡大と投資運用能力を合致させながら、運用資産の拡大を図っていきます。
2021年に投資活動を開始した4号ファンドシリーズは、2023年12月末時点で出資約束金額の約70%相当額の出資履行(キャピタル・コール実施後で投資実行前の金額を含む)を行っていることを踏まえて、5号ファンドシリーズのファンドレイズ活動を行い、2024年2月に5号ファンドシリーズを約1,800億円でファーストクロージングを行っております。
② 投資先価値向上の追求
当社グループは、自己資金をファンドに出資し、他の出資者とともにファンドからの収益を享受しています。長期に亘るファンドパフォーマンスの持続的な向上が、当社グループの最大の責務です。中堅企業向けプライベートエクイティ投資において、戦略構築及び業務オペレーションでの価値創造のための実践的な支援が不可欠であると確信しております。当社グループは、中堅企業の大多数が事業改善のための日常的かつ実践的な支援を求めており、経営管理機能の充足、改善が重要な価値創造の機会になると考えております。そのため、当社グループの投資プロフェッショナルによる常駐支援であるi-Engineを通じた経営支援活動により、投資先企業の価値向上を図り、当社グループのファンドパフォーマンス向上に努めていきます。
③ 人材の確保、育成
当社グループでは、単なる投資家としてではなく事業の構想段階から経営に関与していく人材の育成を重視しています。当社グループでは、人材育成プログラムとして「インテグラル道場」という、OJTを中心に勉強会や事例検討会、知見交換会を開催し、その育成に取り組んでおります。Off JTとしては、「i-Source」(当社グループの教育プログラム)という社内独自のデータベースを導入し、これまでの案件で培ってきた社内のノウハウや、資料の共有を行っております。丁寧な採用戦略と独自の教育プログラムにより、早期人材育成と定着化を図っており、プロフェッショナル人材不足が投資事業のボトルネックになることはないようインターンシップからの採用や、中途採用を積極的に行っていきます。
④ 長期的な成長機会の追求
当社グループは、設立から日本市場特有のニーズを正確に捉え、「世界に通用する日本型企業改革の実現」を目指し、ハイブリッド投資、i-Engine等、インテグラル特有の仕組みを確立し、日本市場においてユニークな存在としての地位を確立してまいりましたが、中長期的な成長戦略として、アセットクラス、展開地域の拡大を通じた更なるAUM成長を企図しております。具体的には、インフラ、不動産、スタートアップ企業及びクレジットに対する投資に向けたファンド組成等を構想しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
(1)サステナビリティへの変わらぬコミットメント
2007年の設立から、ハートのある信頼関係を積み重ね、「Trusted Investor=信頼できる資本家」となることで、世界に通用する日本型の企業改革の実現を一貫して目指しています。
インテグラルの経営理念
① サステナビリティを体現した創業理念
インテグラルは、投資先企業の繁栄をまず第一に大切にし、それが結果としてリターンにつながるとの確固たる信念を持っています。よって、短期的な視点ではなく、事業の長期的かつ持続可能な成長を投資先企業の経営陣の方々とともに考え、投資活動及び経営支援活動を行ってまいりました。インテグラルの経営理念には「長期的」、「持続可能」といった精神が組み込まれており、創業時から一貫した取り組みを行っております。
② 責任投資へのコミットとESG投資方針の策定
2016年には、国際連合主導で策定された金融セクター向け投資ガイドラインであるPRI(責任投資原則)に署名し、社内においてESG(環境・社会・ガバナンス)投資方針を策定し、ESG規程を定めました。また、ESG課題を広く網羅したESGチェックリストをすべての投資先候補に対して適用し、リスク管理の観点から徹底したスクリーニングを実施する体制を構築しております。投資後もESG課題の解消・克服に向けた施策等を、「ESGプロジェクト室」を中心に当社グループの投資プロフェッショナル全員が推進する体制を整えてまいりました。
③ これからも進化し続けるインテグラルのサステナビリティ
サステナビリティ・ESGを取り巻く潮流は常に変化を続けており、当社グループの取り組みも、プライベートエクイティ業界をリードする競争力のある水準へと進化していく必要があると考えております。かかる観点から、現在は重点テーマ(マテリアリティ)及び指標・目標の策定を優先事項として進めております。
より体系的な取り組みの推進により、当社グループ自身の人的資本を含めた競争力の強化を重ね、それによって投資先企業の持続可能な繁栄を通じた長期的にポジティブなインパクトを実現し、その結果としての投資リターンを株主・投資家に還元する好循環を築きあげることを目指してまいります。
(2)ガバナンス
当社グループでは、ESG・サステナビリティに関する事項は、取締役会で決議・監督されます。また、特に当社グループの投資活動にかかわる内容は、投資委員会にて決議・監督が行われています。取締役会には、ESGプロジェクト室メンバーのパートナー及びサステナビリティ・ESGの専門性を有する社外の監査等委員である取締役が毎回出席し、専門性及び透明性の高いガバナンス実現を図っております。
また、取り組みの推進のため、ESGプロジェクト室を中心とした投資プロフェッショナル全員による推進体制を構築しています。ESGプロジェクト室は、当社パートナーを含む、投資プロフェッショナルやコントローラー室メンバー等から構成され、社内各部門や外部アドバイザーと連携しながら取り組みを進めています。また、社内ESG規程やマテリアリティを含む重要なサステナビリティ・ESGの議題について、取締役会に定期的に報告しています。
(3)戦略
① 重点テーマ(マテリアリティ)
当社グループでは、環境・社会が当社グループ及び投資先企業の価値に与える影響を認識し、当事業年度中に、当社グループとして対処すべき経営上の重点テーマ(マテリアリティ)の策定を致しました。
4つの重点テーマ(マテリアリティ)及びアプローチ
重点テーマ(マテリアリティ)は以下のプロセスを通じて、特定致しました。
STEP1: 課題候補項目の抽出
SDGsやGRI、SASB基準等国際的なガイドラインを参照し、外部アドバイザーの協力を得ながら、当社グループにとって重要性の高い課題の一覧を作成致しました。
STEP2: 社内外ステークホルダーとの対話・情報収集
社外ステークホルダーとのエンゲージメントとして、国内外のLP投資家や投資先企業へのアンケート、及びESG・サステナビリティの外部専門家とのダイアログを実施しました。当社内においては、全役職員参加のワークショップ、及び取締役(社外取締役を含む)との複数回の議論を通じて、意見を集約致しました。
STEP3: マテリアリティ特定
STEP1及び2の定性・定量的な評価プロセス及び、経営理念との結びつきなどを考慮して、当社グループにとってのマテリアリティを特定し、各マテリアリティを実現するための当社のアプローチを定義致しました。
② 人的資本
当社グループにおける価値創造の最大の源泉は「人」であるとの認識に基づき、経営理念に掲げる「Trusted Investor=信頼できる資本家」たる人材の育成、またその一人ひとりがいきいきと働き、パフォーマンスを最大限発揮できるような職場環境の整備を進めております。
人的資本に関する施策については、代表取締役パートナー及びその他の主要な経営幹部の監督の下、コントローラー室の人事担当者、及び当社の役職員で構成される採用・研修室が管掌しております。人事制度、人事施策、人材開発、人員政策に関する重要事項及び次世代幹部人材の育成活用に関する事項については、パートナー全員及びCFOで構成されるパートナー経営会議にて討議され、所定の基準に基づき取締役会への付議・報告を経て、全社施策として実行・運営されます。
a.人材育成の方針
変化の激しい投資環境においても、一貫して投資先企業の経営者と同じ目線で粘り強く長期的成長を実現できる人材の育成、及び「多様な仲間とだからこそ成せることをやり遂げたい」と互いに思える「ワンチーム」の醸成を、当社グループの人材育成の優先事項としております。
当社グループでは、「インテグラル道場」という独自の人材育成プログラムを通じて、専門性や知見に加え、人間性や共感性を兼ね備えた個人を育て、さらに、そのような個人が団結して投資リターンと社会価値の創造を追求するプロフェッショナル集団の構築を目指しています。
インテグラル道場:独自の取り組みを支える人材育成プログラム
採用活動においては、今後の成長戦略の推進に必要な、多様なバックグラウンドと専門性を有した人材を獲得するため、インターンシップからの採用やキャリア採用を積極的に行っております。
b.社内環境整備に関する方針
「ワンチーム」を実現するため、多様な従業員の一人ひとりが、いきいきと、安心感を持って長く働き続けられるような職場環境の整備を進めております。具体的には、以下の施策を推進しております。
従業員エンゲージメントの向上
当社の人材育成プログラム「インテグラル道場」における社内研修制度、勉強会、事例検討会に加え、メンター制度及びバディ制度を通じた従業員間のコミュニケーションや信頼関係の促進、四半期ごとの社内イベントを含むカルチャー醸成施策を実施しております。
多様な働き方の推進
働き方に対する従業員の多様なニーズに応えるべく、育児休業、介護休業、及び時短勤務の充実化と取得推進、リモートワークとフレックスタイム制の導入をしております。
さらに、部門や職位の垣根を越えた役職員どうしのコミュニケーションを促進する目的で、フリーアドレス制度を導入しております。
DEI(Diversity, Equity & Inclusion)の推進
当社グループでは従前よりパートナークラスへの女性の登用を推進してまいりました。本報告書提出時点で2名の女性パートナーがおり、うち1名は2024年3月26日の定時株主総会にて当社の取締役への就任が決議されました。今後は女性投資プロフェッショナルの採用及び育成をさらに強化し、組織のDEI向上を進めてまいります。
ウェルビーイングの向上
法定の健康診断に加え、人間ドックへの補助制度とメンタルヘルスチェックを導入し、従業員の心身の健康の増進に努めております。
(4)リスク管理
当社グループでは、当社の取締役及び従業員で構成される投資委員会・投資助言委員会及び投資検討チームにより、すべての投資案件のデューデリジェンスにて、ESGに関するリスクの徹底したスクリーニングを行う体制を構築しています。なお、サステナビリティを含む、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、
① 投資検討
投資検討の段階においては、デューデリジェンスの一環で、ESG課題を広く網羅したESGチェックリストを、すべての投資先候補に対して適用する徹底したネガティブスクリーニングを実施しています。
ESGチェックリストは、投資先企業のコンプライアンス・リスク、オペレーショナル・リスク、レピュテーショナル・リスクに密接に関連し、影響の大きさと発生頻度に基づき、財務インパクト(資産の減損、罰金・罰則、取引停止、操業停止、ブランド毀損、賠償金の支払い等)として顕在化する虞がある、若しくは、ESG項目を適切に把握することにより、投資先企業の価値向上、差別化、円滑なエグジットにつながる項目につき設定しています。ESG項目については投資対象となる業種・地域及びESGを取り巻く規制・外部環境の変化を加味し、定期的な見直しを行ってまいります。
ESGに係る重要な論点を検出した場合は、投資委員会・投資助言委員会に報告されることとしています。投資委員会・投資助言委員会は、報告されたリスクについて、緩和策の実行可能性及び緩和策実行に伴う追加コスト負担等を考慮して投資判断を行います。ESG関連リスクが相応に高く、且つ緩和策の実行が難しい場合には、投資検討プロセスを中断します。
② 投資後
上記一連のプロセスで得られたスクリーニング結果や、環境や法務・コンプライアンス関連の外部専門家によるデューデリジェンスの調査結果をもとに、当該投資先企業の持続的成長確保の観点から、ESGに関する当該課題の解消・克服に向けた施策を検討することとしています。
投資後は投資先企業の要望に応じて常駐者を派遣し、投資先企業の役職員とともに、課題解決やリスク緩和に向けた施策の立案と実行を行います。一部の投資先企業については、リスク管理・リスク緩和施策の実行にとどまらず、投資先企業の本質的な企業価値向上や競争優位性の追求のため、弊社派遣の常駐者がサポートを提供しながら、マテリアリティやESG関連KPIの策定及び施策実行を行っております。
(5)指標及び目標
なお、気候変動への対応の一環として当社の温室効果ガス排出量(Scope 1, 2)の計測を完了しております。また、投資先企業の温室効果ガス排出量を含む、Scope 3の計測は当事業年度中に開始し、計測が完了した段階で公表してまいります。
温室効果ガス排出量
単位:t-CO2e
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2022年度 |
2023年度 |
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Scope 1 |
0 |
0 |
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Scope 2 |
34.5 |
35.5 |
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Scope 1+2 |
34.5 |
35.5 |
注記:計測対象範囲は、当社グループ国内拠点
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び対策に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
また、発生確度及びその影響度に関する評価は、現時点における発行会社の主観的判断に基づいており、発生確度が低いと評価するリスクが現実に発生しないことや、影響が低いと評価するリスクの影響が現実に低いことを保証するものではありません。
(1)外部要因について
① 経営環境について(発生確度:中、影響度:中)
当社グループは主に当社グループが管理運営するファンドの資金を使って、国内で非上場・上場企業へのエクイティ投資を行っており、これらの投資先企業は、国内外において幅広い事業に携わっています。当社グループはファンドからの管理報酬及びキャリードインタレストに加え、ファンドに自己資金を出資することにより、投資成果であるキャピタルゲインをファンドの他の出資者とともに享受しております。ファンド及び投資先企業のパフォーマンスは、ファンド及び投資先企業が主要なターゲットとする市場の景気減速、為替レート・金利の変動、戦争や貿易摩擦などの地政学リスクの高まり、失業率の増加、設備投資の減少、貿易・財政・税制・金融政策の変更やその可能性の予測、グローバル・サプライチェーンの変化などを含む経済・政治情勢や株式市場・金融市場の動向に影響を受けます。とりわけ、当社グループは主に日本の中規模企業への投資を行っているため、日本の経済情勢に強い影響を受けます。
そこで、当社グループでは、投資対象業界の制約を設けず、様々な業種、業態の企業や、成長企業、上場企業、事業承継等あらゆるステージの企業に投資を行うことによりリスクの分散を図っております。また、当社グループが運用するファンドは、通常5年の期間をかけて投資先企業の組入れを行うため、時間的にも一定期間に亘る分散が行われることになり、当社グループの収益基盤へ与える影響を低減できるように努めております。
しかしながら、世界経済が不況に陥った場合には投資先企業の業績不振につながる可能性があり、また、経営環境の悪化や株式市場の悪化により当社グループの投資対象となりうる投資先企業の数が減少する可能性や、投資先企業の公正価値算定の前提となる業績、事業計画及び経営指標並びに株式の市場価格が影響を受ける可能性があります。このような場合、投資先企業の公正価値やファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは、上場企業における株主重視の姿勢やカーブアウト取引需要の増加、アクティビズムの増加、オーナー企業経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズの高まりなどにより、日本のプライベートエクイティ市場の成長余地は大きいと考えております。しかしながら、日本の人口減少や上記傾向の変化により、日本経済や株式市場に悪影響を及ぼし、投資先企業の減少を招くなどして、日本のプライベートエクイティ市場が当社グループの想定したように成長しない可能性があり、そのような場合、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、本書提出日現在において、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」の投資事業有限責任組合契約の契約期間及び注記に記載のとおり、2号ファンドシリーズに係る契約期間は当初契約より1年延長し、2024年8月31日までとなっております。そのため、再度延長されない限りは、当該期限にて2号ファンドシリーズは解散することとなりますので、当社グループとしてはそれまでに2号ファンドシリーズによる投資のEXIT(株式上場を含めた保有株式の売却)を図る所存です。2号ファンドのEXITについては上述の経済・政治情勢や株式市場・金融市場の動向などにより売却の成否及び売却金額は大きく変動する可能性があります。
② 投資活動について(発生確度:中、影響度:大)
当社グループ及びファンドの投資プロセスは創業以来、強化・改善してきたベストプラクティスの集大成であります。当社グループのチームメンバーの持つ幅広い経験を活用し、案件組成、投資評価・選別、経営とモニタリング、最終的にはEXITの実現といった各段階で価値を最大化していくことを掲げております。
当社グループにおける投資判断は、「投資委員会規程」及び組合契約の定めに従い当社の取締役及び従業員で構成される投資委員会において行っております。当該委員会では、投資検討先が対象とする市場の成長性、製品/サービスの革新性や競争力といった事業性、マネジメントチームの評価、投資採算や投資条件、想定する投資後の企業価値向上策やEXIT戦略、さらにはリスクなどの観点から議論を行った上で投資の可否を決定しております。
また投資実行後は、投資先企業ごとの成長ステージなどの状況に応じて、当社グループが培ってきた豊富なリソースとネットワークの蓄積を活用し、人材採用、営業・マーケティング、大手企業との資本・業務提携、管理体制整備・上場準備、といった面でのサポートを積極的に提供しております。当社グループでは、このように、投資先の事業の成長と企業価値の向上を図るとともにキャピタルゲインと投資倍率の向上に努めております。
しかしながら、収集した投資検討先情報の中から適切な投資機会を特定できない場合や、他のPEファンドとの競合、契約上または法令諸規則上の投資制限等により候補企業への投資実行に至らない場合がある他、投資実行後も、投資先企業の事業が当初の計画どおりに進捗せず、財務状況が悪化した場合には、株式上場や他社への事業売却を含むM&A等によるEXITができないまま倒産等に至り、投資資金の回収が困難となる場合もあります。また、株式上場やM&A等によるEXITを実現した場合においても、投資先企業の株式や事業等を、投資コストを十分上回る価格その他の当社グループにとって望ましい条件で売却できる保証はありません。さらに、当社グループの主たる投資対象である非上場企業は、上場企業に比べ、一般的に経営体制・管理体制が未整備であることが多く、事業の不確実性が高い傾向にある他、経営情報の正確性を担保する仕組みが乏しく、また、株式の流動性が著しく劣るなどの制約があるため、非上場段階で投資先企業の株式や事業等の売却を行う場合には、その価格が投資コストを下回ることがあります。非上場企業への投資に係るこうしたリスクが現実化した場合には、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ プリンシパル投資について(発生確度:中、影響度:大)
当社グループは、ファンドによる投資の基盤を構築し又はその他かかる投資に助力することを目的として、ファンドと共同して、自己の計算で投資先企業に対して投資をしております。プリンシパル投資は、投資先企業に対するファンドによる投資額並びにプリンシパル投資に係る投資額の合計額の3%以上34%以下としております。
一般的なファンド投資案件のEXITは3~5年であるのに対し、プリンシパル投資の場合は、ファンド投資のEXIT後も長期に亘る投資も可能となります。国内の株主や経営陣の多くはプライベートエクイティ投資に対し、短期間の投資とのイメージが強く受け入れに消極的ではあると考えていますが、当社グループとしては、この意識を緩和するためプリンシパル投資を実施することで、長期的なパートナーを必要としている投資先企業と短期的投資家というイメージのミスマッチの解消や、株主構成の安定化が図られると考えており、今後、ファンド規模全体に占めるプリンシパル投資の比率を高めていく計画です。
プリンシパル投資においては、比較的多額かつ長期の投資を行う場合があり、投資先企業の業績に関するリスクを負うとともに、投資資金が負債により調達されている場合には資金調達コストを支払い続ける必要性が生じます。また、投資先企業の業績が悪化した場合に、ファンドによる追加投資を実行できない時には、当社がプリンシパル投資を行う可能性があり、その場合、当社は追加的なリスクにさらされることになります。さらに、当社はi-Bridge機能を用いて自己資金をブリッジ・ファイナンスとして用いていますが、これは投資先に対するリスク・エクスポージャーを増大させます。ブリッジ・ファイナンスについては、迅速に借換えを行いますが、適時に、希望する条件で、又は全くそのような借換えを行えない可能性があり、その場合、i-Bridgeのための資金が不足する可能性があります。
プリンシパル投資に係る潜在的な利益相反、予防策及びリスクについては、「(2)⑪当社のプライベートエクイティ投資事業及びプリンシパル投資に内在する利益相反関係について」を参照下さい。
④ ファンドについて(発生確度:中、影響度:大)
当社グループは、主に当社グループが組成したファンドの資金を使って投資を行っております。ファンドの出資者とは、ファンドパフォーマンスの状況、投資先企業の概況その他ファンド運用に係る情報を、当社グループ担当者による訪問その他の方法で定期的かつ必要に応じ随時提供すること等を通じて、信頼関係の醸成に努めております。また、金融機関等のいわゆる機関投資家等と当社グループ担当者が接触し、当社グループの投資活動に係る理解を深めてもらうこと等を通じて、潜在的なファンド出資者の開拓を行っております。さらに、当社グループにおいても、自らファンド出資を含む投資活動を継続するための自己資本の充実と財務基盤の強化に取り組んでおります。
しかしながら、こうした取り組みにもかかわらず、経済環境その他ファンド資金の募集に係る環境の悪化(海外の出資者については現地の法令による出資規制の強化なども含みます。)、ファンドパフォーマンスの低迷、及び当社グループが設定するファンド資金の募集条件や当社グループによるファンドの管理運営手法とファンド出資者のニーズとの乖離といった要因により、今後のファンド資金の募集においてファンド出資者から十分な資金を集めることができず、投資活動に支障をきたす可能性がある他、資金を集めることができた場合であっても、既存ファンドにおける募集条件よりも当社グループに不利な条件となる可能性があります。このような場合、ファンドから受領する管理報酬やキャリードインタレストが減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、既存の組合契約では、投資期間を原則として5年間としており、当該期間中に投資先企業を選定し、投資を実行することが企図されるとともに、ファンドの存続期間を原則として10年間としており、当該期間中のEXITが企図されております。このような投資期間及び存続期間の定め又は当該存続期間内に組合契約の定める解散事由の発生等により、投資実行及びEXITのタイミングは制約される結果、より有利な時期の投資実行又はEXITができず、投資リターンを損ない、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす潜在的な可能性があります。
⑤ 投資先企業の評価について(発生確度:中、影響度:大)
当社グループの投資先企業の評価は、IFRSに基づき四半期ごとに公正価値で評価しております。上場企業については株式の市場価格に基づき評価しますが、非上場株式の評価については、恣意性を排除するため、当社が属する業界において標準的に利用されるInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(以下、「IPEVガイドライン」という。)並びにIFRS第13号「公正価値測定」及びIFRS第9号「金融商品」に準拠して実施し、また投資先を担当する投資助言チームだけでなく管理部門であるコントローラー室が各投資先の公正価値評価のプロセスに関与しております。しかしながら、当該手法により算定した公正価値は将来の不確実な経済条件の変動による影響を受ける可能性があり、実際のキャッシュ・フローや割引率が見積りと異なった場合には、投資先企業の売却による実際の実現価額に重要な差異が発生し、それにより当社グループの業績及び純資産の状況に重要な影響を与える可能性があります。また、上記IPEVガイドライン等の変更などにより、公正価値の評価方法の変更が必要となった場合には、当社の投資先企業の公正価値に重要な変更がもたらされる可能性があります。加えて、公正価値の算出要素となる投資先企業の事業計画は、一般的に、主に投資先企業の経営陣が自らの判断に基づいて作成されますが、当該事業計画はあくまで作成時の仮定に基づくものであり、実際のパフォーマンスが事業計画を下回る可能性があります。市況や経営環境の悪化などにより投資先企業の公正価値が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 法令・規制・制度について(発生確度:低、影響度:大)
当社グループは、ファンドの運営管理、その活動にあたっては、種々の法的規制(会社法、独占禁止法、外為法、租税法、金融商品取引法、投資事業有限責任組合契約法、犯罪収益移転防止法、貸金業法、個人情報保護法、財務会計関連法令、マネー・ローンダリング対策関連法令、ケイマン諸島法規制等)及び自主規制機関による規制を受けることとなります。当社グループでは、専門の法律事務所と連携し、関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかしながら、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれらの規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでのコンプライアンスに係る情報は、コンプライアンスへの取り組み全般を統括するコンプライアンス推進委員会に集約されております。コンプライアンス推進委員会は、四半期に一度定例会を開催し、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを中心に日常におけるコンプライアンスを推進し、その取り組みを支援・管理するとともに、内容の検討をしており、それを内部監査部門が監査しております。コンプライアンス推進委員会には常勤の監査等委員及び内部監査責任者がオブザーバーとして出席し、適時に情報共有がなされる体制とするとともに、監査等委員監査及び内部監査ではコンプライアンス違反がないことを定期的に確認しています。これらに加えて、管理部門は法令等の制定・改廃に関する役職員への情報発信や、コンプライアンスに係る研修や勉強会を実施しております。万が一、法令や社内規則等に抵触する事案や事務事故等が発生した場合は、コンプライアンス推進委員会に情報を集約した上で、当面の善後策の検討・実施と再発防止の徹底を図ります。
こうした取り組みにもかかわらず、当社グループ及びその役職員が、投資活動における関連法規や各種の契約等への違反、ファンドの無限責任組合員としての善管注意義務違反、又は業務上の過誤や不祥事等により、投資先企業、ファンド出資者その他の第三者に損害を与えた場合は、当社グループが当該損害に対する賠償責任を負う可能性があります。さらには、こうした法令違反等による社会的信用の低下や監督当局の行政処分等により、当社グループの業務運営の前提となる許認可等の取り消しが生じる場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が取得している許認可等の内容は下記のとおりであり、現時点でこれらの届出・認可の継続に問題となるような事象は生じておりません。
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取得年月 |
2011年11月28日 |
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許認可及び届出等 |
適格機関投資家 |
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所管官庁等 |
金融庁 |
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有効期限 |
2025年12月31日 |
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取得年月 |
2012年5月16日 |
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許認可及び届出等 |
金融商品取引業者 (第二種業・投資助言・代理業) |
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所管官庁等 |
金融庁 |
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許認可等の内容 |
関東財務局長(金商)第2640号 |
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有効期限 |
― |
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法令違反の要件及び主な許認可等の取消事由 |
金融商品取引法 第52条及び第54条 |
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取得年月 |
2008年10月15日 |
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許認可及び届出等 |
貸金業者 |
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所管官庁等 |
金融庁 |
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許認可等の内容 |
東京都知事(6)第31154号 |
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有効期限 |
2026年10月15日 (3年ごとの更新) |
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法令違反の要件及び主な許認可等の取消事由 |
貸金業法 第24条の6の5、6及び7 |
⑦ 風評リスクについて(発生確度:低、影響度:中)
当社グループは、風評被害等が発生しないよう、役職員に対する法令遵守を徹底するとともに、コンプライアンス体制の構築等の取り組みを行っております。また、ファンドの出資者や投資先企業、従業員及びその家族を含むステークホルダーとの信頼関係の構築に努めております。
しかしながら、ソーシャルメディアの普及に伴い、悪意のある第三者が、意図的に悪意のあるインターネット上の書き込みを行い、それらを起因とするマスコミ報道等による風評被害が発生した場合、その内容や正確性にかかわらず、プライベートエクイティ業界や当社グループに対する誤解や誤認により当社グループのイメージや社会的信頼が失墜し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 為替レートの変動について(発生確度:中、影響度:中)
当社グループの投資は円建てであることから、基本的には為替レートの変動による直接的な影響を受けることはありません。一方で、当社グループは、様々な業種・業態への分散投資を行っていることから、投資先企業の業種・業態によっては、為替レートの変動による影響を受けやすい企業も存在するため、当該企業の為替レートの変動による業績変動が、ファンドパフォーマンスに間接的に影響することがあります。
当社グループが運用するファンドは、通常5年の期間をかけて投資先企業の組入れを行い、投資からEXITまで数年程度の期間を要するため、一定期間に亘る分散が行われることになります。しかしながら、投資からEXITまでの間の為替レートの変動の影響を完全に払拭することは困難であることから、為替レートの変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社ファンドに投資する海外のLP投資家については、自国通貨と円との間の為替変動の影響を受けるため、為替変動の見込みによりファンド資金の海外での調達に影響を与える可能性があります。
⑨ LP投資家の出資義務について(発生確度:低、影響度:中)
当社ファンドのLP投資家は、当社ファンドに対して出資約束を行っており、当社は組合契約に基づき、これらのLP投資家に出資を求める権利(キャピタル・コール)を有しています。ファンドが投資を実行するためには、出資を求めた際にLP投資家が出資義務を履行することが不可欠です。LP投資家が出資義務を履行しなかった場合、ファンドが借入れなどの代替の調達を行うことになり、本来であれば利用可能であったはずの資金の利用が制限される可能性があります。キャピタル・コールに応じなかったLP投資家は、一般的に、そのファンドへの既存の投資の一部を没収されるなど、いくつかのペナルティを受ける可能性がありますが、没収のペナルティは、LP投資家がファンドに過去に拠出した資金に課されるため、ファンドの設立初期などにLP投資家が資金を殆ど又は全く拠出していない場合、当該ペナルティはそれほど意味を持たない可能性があります。結果として、LP投資家が当社のファンドに対する多額のキャピタル・コールを履行しなかった場合、当該ファンドの運営とパフォーマンスに重大な悪影響が及ぶ可能性があります。
⑩ 再生局面の企業への投資について(発生確度:低、影響度:小)
当社や当社のファンドは、その投資活動の一環として、経営状況の悪化に陥り、事業再生や私的整理・倒産手続など、リスクの高い企業への投資を行うことがあります。そのような企業への投資は、潜在的なアップサイドは魅力的である一方、そのような手続が失敗に終わったり、相当な時間を要したり、リターンが想定を下回るなど、高いリスクを伴います。また、結果として投資先企業の再生に成功しなかった場合、当社又は当社のファンドに損失が生じる可能性があり、当該企業への投資全体が損失となる潜在的リスクがあります。また、再生局面において、大規模な景気後退が生じたり、当該企業の評価が著しく悪化した場合にも再生が困難となることがあり、結果として、当社のレピュテーションに悪影響を与えたりする可能性もあります。
⑪ 第三者との共同投資について(発生確度:低、影響度:小)
将来の戦略の一環として、当社は第三者との共同投資による投資の拡大を目指す可能性がありますが、例えば、計画段階や実行段階において、投資の条件や仕組み、あるいは資金調達に関する意見の相違が生じると、当社の迅速な投資実行能力が損なわれ、競合投資家に投資機会を奪われる可能性があります。投資が実行された後も、当該投資の適切な管理方法について意見の相違が生じる可能性があり、このような制限は、当社が共同投資において追求する経済的利益やその他の利益を得る能力に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、第三者の共同投資家は、ESG基準を含む当社の基準、統制、手続きに完全に準拠しない方法で投資を統制・管理する可能性があり、その場合、当社の業績やレピュテーションに悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 訴訟について(発生確度:中、影響度:大)
一般的に、当社、当社役員又は当社従業員は、(i)投資活動に関する法令又は関連契約の違反、(ii)ファンドのGPとしての善管注意義務違反、(iii)不正行為又はその他の違法行為への関与に関して、投資先企業やLP投資家から訴訟を提起されるリスクがあり、当社グループは、投資先企業、LP投資家又はその他の当事者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
さらに、多くの投資プロフェッショナルである役職員との間で、複雑な報酬やインセンティブの取り決めを行っているため、報酬請求に関する訴訟のリスクに直面する可能性があり、その賠償額は個別又は総額で多額になる可能性があります。このような請求は、会社の業績や役職員投資制度に起因して、年ごとに報酬が大きく変動する可能性がある状況や、以前は多くの報酬を得ていた従業員が何らかの理由で退職した状況において発生する可能性が相対的に高まり、このような請求の解決費用は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社に対して提起された民事訴訟又は刑事訴訟の結果、多額の法的責任又は過失が認定された場合、金銭的損害に加えて、当社に対する重大な風評被害をもたらし、当社の事業に深刻な損害を与える可能性があります。当社は、ファンドの投資機会を追求するためのLP投資家や専門家の確保に関して、ビジネス上の関係性や専門サービスに対する当社の評判に大きく依存しています。そのため、訴訟当事者又は規制当局による当社の不適切な行為の申し立てや、当社、当社の投資活動又はプライベートエクイティ業界全般に関する否定的な報道による憶測は、最終的な結果が当社にとって有利であるか不利であるか、また妥当か否かにかかわらず、当社のレピュテーションを害する可能性があり、当社の事業により大きな損害を与える可能性があります。
⑬ 自然災害及びパンデミック等について(発生確度:中、影響度:中)
当社グループ及び投資先企業の国内外の拠点は、地震、台風、洪水、津波、豪雨、降雪又は火山活動などの自然災害や、テロ行為その他の犯罪行為による損害のリスクにさらされています。また、火災、停電、気候変動、COVID-19パンデミックのような大規模な公衆衛生危機も当社グループ及び投資先企業の事業に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ又は投資先企業の復旧努力(緊急時対応計画の実施を含む)が、事業への重大な混乱を防止する上で効果的でない場合、当社グループ又は投資先企業の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、このような災害等は、経済情勢、企業の設備投資又は消費者心理の悪化など、日本経済や世界経済全体に悪影響を及ぼし、当社グループの投資先企業の業績、ひいては当社の投資先の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)内部要因について
① 経営陣について(発生確度:低、影響度:大)
当社グループは、代表取締役パートナーである山本礼二郎を中心とする経営陣の下で経営を行っておりますが、当社グループが運用するファンドや投資をしている主要な投資先企業は、パートナーにより構成されている投資委員会において投資判断やその運営を行っております。当社の経営陣の評判や、交渉・投資・経営に関する専門知識、当社ファンドのLP投資家との関係、当社ファンドの投資機会の獲得や資金調達において重要である外部の様々な関係者とのリレーションは、当社の事業を運営・拡大する上で極めて重要な要素です。当社の業績は当社の経営陣の能力により大きな影響を受けると考えており、これらの人材の維持・確保は当社の成功にとって極めて重要です。
また、投資事業有限責任組合契約等においてキーパーソン事由に基づく条項が定められております。キーパーソン事由とは、ファンドごとにキーパーソンあるいはキーエグゼクティブとして当社メンバーが指名され、当該メンバーが当社の投資判断に従事することができなくなった場合の投資運営方針並びにその治癒条件を定めたものとなります。投資期間中である4号ファンドシリーズにおいては、(i)キーパーソンのいずれかが投資委員会の委員でなくなった場合又は投資業務に実質的に従事できなくなった場合、又は(ii)キーパーソン以外のキーエグゼクティブのうち3人以上が投資業務に実質的に従事できなくなった場合のいずれかに該当することであり、当社の投資意思決定において大きな影響を与える可能性がある事象と考えられ、有限責任組合員にとっても重要な事項であるため、キーパーソン事由が発生した場合には、事由発生日から事由の治癒が行われるまでの間は組合契約等で定める投資期間は停止することとなります。キーパーソン事由の治癒の方法は、一定の有限責任組合員から構成される諮問委員会での承認(当該委員会に出席した諮問委員の過半数の賛成)を取得すること、又は有限責任組合員の出資口数合計の3分の2以上の出資口数を有する有限責任組合員が投資期間を再開することに同意することであり、治癒がなされた場合には投資期間が再開することとなります。また、投資期間が停止して180日以内に投資期間が再開されない場合には、停止開始後の181日目に当たる日において、投資期間は確定的に終了するものとなります。
4号ファンドシリーズにおけるキーパーソンは、山本礼二郎、佐山展生の2名であり、キーエグゼクティブはキーパーソンの2名に加え、当社のパートナーである辺見芳弘、水谷謙作、長谷川聡子、後藤英恒、仲田真紀子、山崎壯の8名となります。キーパーソン事由の取扱いは各ファンドにおける組合契約等で定められることとなります。
キーパーソン事由が発生した場合でも、治癒要件が定められており、当該要件を満たすことで投資期間を再開することができますが、当該要件を充足することができる保証はなく、当社グループの経営陣に不測の事態が生じ、適切な後任者を見つけることができない場合、当社グループの主要な投資先やファンドを管理する能力に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。組合契約の定めにより、一定の制限はあるものの、当社のパートナーが競合会社に参画したり、競合会社を設立したりした場合、当社ファンドのLP投資家の一部は、当社のファンドではなく、当該競合会社や他の競合会社に投資するか、あるいは全く投資しないことを選択する可能性があり、当社グループの活動全般に支障が生じる可能性があります。
② 小規模組織であることについて(発生確度:中、影響度:中)
当社グループは、小規模な組織であり、内部管理体制も現状の規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大及び事業成長のためには、人員の増強及び内部管理体制の充実が必要であると認識しており、当社グループの規模の拡大に応じた組織力の強化を図る予定であります。
しかしながら、人員の増強及び内部管理体制の充実が当社グループの計画通りに進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 役職員派遣について(発生確度:低、影響度:中)
当社グループは、投資先企業の価値向上のため、i-Engine機能として、当社グループの投資プロフェッショナルを投資先企業の役職員として派遣し、戦略、管理及び財務等の多方面での支援を行っております。
しかしながら、その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループによるその個人に生じた経済的損失の全部又は一部の負担、当社グループの使用者責任や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、投資先企業において可能な範囲で会社役員賠償責任保険(D&O保険)の付保や責任限定契約を締結するとともに、当社グループ加入のD&O保険では役職員派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への影響を完全には回避できない可能性があります。
④ 有能な人材の確保や育成について(発生確度:中、影響度:大)
当社グループの将来の成長と成功は、その事業の特性上有能な投資プロフェッショナル等の人材に大きく依存しています。当社は、成長戦略の推進に伴い、プロフェッショナルの増員が必要になると考えています。特に、新たなアセットクラスに投資するという戦略を追求する中で、インフラ、不動産、スタートアップ企業に精通した人材を採用する必要があります。
当社グループでは、インターンシップからの採用や、キャリア採用活動により人材を獲得し、OJTを中心にその育成に取り組んでおります。Off JTとしては、i-Sourceという社内独自のデータベースを導入し、これまでの案件で培ってきた社内のノウハウや、資料の共有を行っております。また、当社グループの役職員が個人で出資を行い、ファンドの運用成果(キャリードインタレスト)を個人が享受できる仕組みを設けております。さらには、完全フレックス制、オフィスのフリーアドレスやリモートワークの推進など柔軟性が高いワークスタイルを導入しております。こうした制度・施策を実施することで、優秀な人材の確保・育成に努めております。
しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、有能な投資プロフェッショナルの市場は極めて競争が激しいため、追加的な人材の採用、又は現在の人材の維持・継続的な育成に成功しない可能性があります。例えば、当社の投資プロフェッショナルは、投資に関する豊富な経験と専門知識を有し、当社の投資案件の発掘と実行を担当し、多くの投資案件の源泉である機関投資家と重要な関係を持ち、場合によっては当社ファンドのLP投資家と重要な関係を有しています。従って、当社の投資プロフェッショナルが競合他社に加わったり、競合会社を設立したりした場合、重要な投資機会や特定の既存ファンド投資家を失う可能性があり、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、投資プロフェッショナルやその他の人材を維持又は獲得するための施策により、多額の追加費用が発生する可能性があり、当社の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。このような追加費用は、当社の投資プロフェッショナルを投資先の役職員として派遣する「i-Engine」機能を増強するために増加する可能性があります。また、投資プロフェッショナルが当該投資先に転籍することになった場合、投資プロフェッショナルの確保や新たな投資プロフェッショナルの獲得のための施策により、更なる追加費用が発生する可能性があります。
⑤ 役職員投資制度とそれに伴う従業員貸付制度について(発生確度:低、影響度:小)
前項にも記載のとおり、当社グループの役職員は、GP投資持分の範囲内で、役職ごとに設定された投資枠が与えられており、役職員個人が投資可否を判断しております。
当該スキームの導入は、当社ファンドのLP投資家より運用会社である当社の役職員個人が自己投資として当事者意識を持って業務遂行を行うことを強く求められていることに拠ります。
当社グループとしても、採用やリテンションにおける必要性と、当社グループ役職員全体がワンチームとして企業価値向上に向けて業務推進することを促すために、役職員全員に対して投資機会を与える意義は大きいと判断しております。それに伴い、役員を除く従業員に対しては個人投資額の50%を上限とした貸付制度を導入しております。なお、役職員出資については、当社の株主及び役職員間での潜在的な利益相反の可能性を考慮し、今後の役職員のGP投資可能額については、ファンドレイズ時に社外役員等からなる特別委員会にて検討の上で設定する方針です。
しかしながら、本制度が適切に機能しない場合、役職員投資制度を望むLP投資家の要請に応えられず、次号ファンドの組成に影響を及ぼすリスクがあり、当社グループの業績及び財政状態へ影響する可能性があります。また、当該制度により当社グループの役職員が期待する投資リターンが得られない場合、当社グループの役職員のリテンションに寄与しない可能性があります。
当社グループ役職員等のGP投資総額及び貸付総額(2023年12月末時点)
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役職 |
GP投資総額(注)1 (千円) |
貸付総額 (千円) |
人数 |
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取締役(社外役員除く)(注)2 |
670,100 |
― |
4 |
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社外役員 |
17,700 |
― |
4 |
|
パートナー及びCFO(取締役を除く) |
309,300 |
― |
5 |
|
ディレクター及びヴァイスプレジデント |
241,300 |
29,400 |
16 |
|
その他従業員等 |
168,700 |
9,600 |
39 |
|
合計 |
1,407,100 |
39,000 |
68 |
(注)1.各ファンドシリーズにおける出資約束金額となります。
(注)2.取締役(社外役員除く)の出資約束金額は、各取締役について概ね同水準となっております。
⑥ 専業であることについて(発生確度:中、影響度:中)
当社グループは、ファンドの管理運営に経営資源を集中し事業活動を行っております。
これまでに蓄積してきた組織力との協働を図りながら、ファンドパフォーマンスの向上を目指しております。また、当社グループの投資案件は相対取引が多く、当社は差別化された提案により適正かつ魅力的な投資機会を作り出しているプライベートエクイティ投資会社であるため、外部環境からの直接的な影響は緩和されると考えております。
しかしながら、当社グループの属する業界は、様々な業態の企業に投資を行うことから、投資先企業を通じて間接的に世界経済の情勢変化や世界各国の株式市場・プライマリー市場の影響を受ける業態であるため、このような変化等が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規事業について(発生確度:中、影響度:小)
当社グループでは、積極的に新規事業の開発、既存事業の拡大に取り組んでまいります。新規事業の開発としては、大型投資案件に係る共同投資となるターゲットファンドの組成や、インフラ・不動産・スタートアップ企業及びクレジットを投資対象とするファンド組成といったアセットクラスの拡大を検討しております。
当社グループとしては、新たなアセットクラスに精通した人材の採用活動を行い、各種法規制や市場環境の変化について最新情報を取得・検討し、当社グループが計画する新規事業へ与える影響を評価するとともに、新規事業の開発・展開にあたっては必要に応じて適切に計画を修正していくことにより、新規事業に係るリスクの低減に努めておりますが、これらの採用や開発等に係る各種の進捗の遅れや当社グループのコントロールの及ばない法的規制、市場環境の変化等によって新規事業の展開が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性が相応にあるものと認識しております。また、仮にアセットクラスの拡大に成功したとしても、例えば企業への株式投資と不動産やその他の資産とのパフォーマンスの違いにより、当社の投資に関するKPIは、全体として見た場合、低下する可能性があります。
⑧ コンプライアンスについて(発生確度:低、影響度:大)
当社グループが営む業務には、様々な法的規制や業界団体による自主規制ルールがあり、これらを企業として遵守することのみならず、役職員一人一人に高いモラルが求められているものと考えております。当社グループでは、コンプライアンス推進委員会がモニタリングを行い、事前にリスクの把握を行うとともに、管理部門が役職員に対する定期的なコンプライアンス研修等を通じてコンプライアンスの徹底を図っておりますが、役職員による不祥事等が発生した場合、当社グループに対するイメージやレピュテーションが失墜し、当社グループの事業活動及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が相応にあるものと認識しております。なお、コンプライアンス推進委員会には常勤の監査等委員及び内部監査責任者がオブザーバーとして出席し、適時に情報共有がなされる体制とするとともに、監査等委員監査及び内部監査ではコンプライアンス違反がないことを定期的に確認しています。
⑨ 情報の管理について(発生確度:低、影響度:大)
当社グループが保有する重要な情報及び個人情報の管理について、個人情報保護方針及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、更なる情報管理体制の整備を進める方針ですが、当社のコンピュータ・システム、ソフトウエア及びネットワークは、不正アクセス、盗難、悪用、コンピュータ・ウイルス又はその他の悪意のあるコード、及びセキュリティに影響を及ぼす可能性のあるその他の事象に対して脆弱である可能性があります。サイバー又はその他のセキュリティ上の脅威や混乱に関連する費用は、当社のサービス・プロバイダーを含め、他者によって完全に補償されない可能性がある他、今後、不測の事態により、これらの情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜につながる可能性があり、とりわけ、潜在的な取引に関する機密情報が漏洩した場合には、貴重な投資やEXITの機会を失い、当社グループの事業活動及び業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の投資先も同様のリスクに直面しており、かかるリスクの顕在化により、投資先の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 当社の株主について(発生確度:低、影響度:大)
投資期間中である4号ファンドシリーズの組合契約では、当社の2分の1超の議決権を有する株式の実質的保有者が当社の役職員や組合契約締結時点の株主以外の者となった場合には、投資期間が停止することが規定されております。このような状況が発生した場合でも、有限責任組合員の出資口数合計の3分の2以上の出資口数を有する有限責任組合員が投資期間の再開に同意することが可能であり、これにより停止事由の治癒がなされた場合には投資期間が再開することとなります。一方で、投資期間の停止の開始後1年以内に投資期間が再開されない場合、当該支配変更事由の発生日の1年後の応当日において、投資期間は確定的に終了するものとなっております。従って、治癒要件を満たすことで投資期間を再開することができますが、当該要件を充足することができる保証はなく、当社グループの活動に支障が生じる可能性があります。
⑪ 当社のプライベートエクイティ投資事業及びプリンシパル投資に内在する利益相反関係について(発生確度:低、影響度:中)
当社がファンドの管理・運営を行い、投資活動を遂行する中で、当社グループ、LP投資家、当社の役職員を中心とした利害関係者間の利益相反関係が発生する可能性があります。従って、利益相反の恐れがある取引については、法令及び組合契約上、そのような利益相反取引が実行されることがないように、予防措置として当社グループによる一定の投資活動や取引を制限する内容が規定されております。具体的な想定される利益相反取引、予防措置の内容及び制限の根拠等は下記のとおりになります。
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想定される利益相反取引 |
関係者 |
予防措置の内容 |
制限の 根拠 |
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当社関係者とファンドとの間の取引
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当社関係者・LP間
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自己取引の禁止 |
金商法第42条の2第1号、金商業府令第128条、組合契約 |
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通常の取引条件の範囲外の取引の禁止 |
組合契約 |
||
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当社関係者と利害関係がある者に対するファンドによる投資その他の取引 |
当社関係者・LP間 |
当社関係者が重大な投資を行っている事業体へのファンド投資の禁止 |
組合契約 |
|
ファンドと利害関係がある者に対する当社関係者による投資その他の取引
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当社関係者・LP間
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プリンシパル投資に係る制限、プリンシパル投資における一定の行為の禁止(ファンド投資と実質的に異なる条件や異なる時期での投資実行、ファンド投資EXIT前のEXIT等) |
組合契約 |
|
投資委員会メンバーの辞任後1年以内の一定の行為 |
組合契約 |
||
|
LP又は第三者に対する共同投資機会の提供に関し、原則としてファンドと同一種類の有価証券による投資に限り、また条件や処分の条件やタイミングも制限あり。 |
組合契約 |
||
|
ファンドの投資可能な対象に対する当社関係者又は第三者による投資
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当社関係者・LP間
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ファンドの投資対象となる企業への投資期間終了前の当社関係者による投資の原則禁止 |
組合契約 |
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投資期間中は投資機会を原則当該ファンドに提供 |
組合契約 |
||
|
戦略的自己資金投資の金額等に係る制限 |
組合契約 |
||
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当社関係者による承継ファンドその他ファンドの設立
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当社関係者・LP間
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承継ファンドの設立制限 |
組合契約 |
|
投資委員会メンバーの辞任後1年以内のファンド設立制限 |
組合契約 |
||
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前号ファンドの投資先の次号ファンドへの移転 |
各ファンドのLP間、当社関係者、LP間 |
運用財産相互間取引として、金商法上原則禁止 |
金商法第42条の2第2号、金商業府令第129条 |
|
当社役職員によるファンドへのGP出資(GPとしての収益の当社役職員への分配の根拠となる) |
当社関係者・株主間、GP・役職員間 |
組合契約上の制限はないが、5号ファンドシリーズ以降は特別委員会による審議を踏まえて比率を決定予定 |
- |
上記の予防措置のため、当社グループの利益につながる投資活動や取引であっても一定の制限がなされる可能性があります。なお、予防措置にもかかわらず、利益相反取引が行われることはLP投資家からの当社に対する信頼を失いかねない重大な事象となる恐れもあるため、投資実行時やファンドとの取引発生時には利益相反の恐れの有無を検証し、必要に応じて一定のLP投資家から構成される諮問委員会で承認を取得した上で実行するなど、慎重な事業運営を行っております。
また、当社によるプリンシパル投資はファンド投資と潜在的な利益相反取引となる恐れがあるため、既存の組合契約では当社グループのエクイティ株主及びLP投資家間で利益相反のリスクを低減するようにプリンシパル投資の投資実行及びEXITに関する定めが規定されております。具体的には、投資実行時においては、プリンシパル投資はファンド投資と同タイミング、同条件で行わなければならず、またEXITにおいては、プリンシパル投資はファンド投資と同時又はそれ以降でなければ行うことができず、同時にEXITする場合には、同条件で行うことなどを規定しております。
しかしながら、利益相反の可能性を完全に払拭することは困難であり、プリンシパル投資のEXITとファンド投資のEXITとが同時に行われない場合などにおいてLP投資家との間で利益相反ないし紛争が生じ、又はそのような利益相反ないし紛争に適切に対処できなかったことに起因して、当社グループに対するイメージやレピュテーションが低下し追加の資金調達能力に悪影響が生じる可能性や監督当局から一定の措置を受ける可能性があります。このような場合、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、将来的にアセットクラスを拡大し、当社がPE以外の不動産・インフラ等のファンドを運営する際には、投資機会のアロケーションをはじめ、上記以外の利益相反の可能性が生じる可能性があります。
⑫ 内部統制について(発生確度:低、影響度:大)
当社は、法令に基づき、財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、当社の財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来に亘って常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。さらに、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社の財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社の財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(3)その他要因について
① 競合について(発生確度:中、影響度:中)
当社グループが主たる業務を行う投資業界では、当社グループに類する他のプライベートエクイティ投資家だけでなく、金融機関、機関投資家(政府系ファンドや年金基金を含みます。)や、事業会社のストラテジックバイヤー(戦略的企業買収者)、その他の投資家の間で、有望な企業への投資案件の獲得競争が激しさを増しており、プライベートエクイティ市場が拡大するにつれて深刻化する可能性があります。
このような状況の中、当社グループは、プリンシパル投資やi-Engine機能等を通じて、超長期的なコミットメントを示すとともに投資先企業の成長をサポートすることで、売り手にとって買収価格以外の面で魅力的な提案を行い、競合他社との差別化を図っております。他方において、これらの潜在的な競合他社は、当社よりも低い資金調達コストや、当社にはない調達先やその他のリソースを有している可能性があり、またリスク評価が異なることにより、より幅広い投資案件の検討を行う可能性があります。また、一部の競合他社は、当社グループと比べて幅広いアセットクラスへの投資を行っており、当社と比べて、日本の中規模企業に影響を及ぼす市場環境の変化の影響を受けにくい可能性があります。加えて、PEファンドよりも事業会社の買収者の方が、投資後に相乗的なコスト削減を達成できるなど事業上のシナジーを提示することで売り手により望ましい入札者であると認識されたりする可能性があり、それが当該競合他社の競争優位性を生み出す可能性があります。
当社はファンドの運用者として、ファンド資金の募集と投資機会の両方において他社と競争しています。ファンド資金の募集に係る競争においては、他のPEファンドがLP投資家にとって有利な条件を提示することで、LP投資家が当社ではなく他のファンドへの出資を決定する可能性があり、また、投資機会の獲得に係る競争においても、他のPEファンドが売り手・投資候補先にとってより魅力的な条件を提示することで、売り手・投資候補先が当社ではなく競合他社をスポンサーに選定する可能性などが考えられ、そのような場合には当社グループのファンド運営や投資活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本の中堅企業を主な対象とするコントロール型バイアウト投資に特化することで対応しておりますが、今後、有力な競合企業が発生することで、有望な投資候補先への投資機会を逃したり、投資先企業を獲得するために想定以上の資金が必要となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との価格競争を余儀なくされた場合、現在のファンド管理報酬、キャリードインタレスト、その他の条件を維持できなくなり、当社グループの収益性に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
② 業績の変動について(発生確度:高、影響度:大)
当社グループの投資ポートフォリオの公正価値は市場環境の影響を大きく受けるため、当社グループ及びファンドにおける投資ポートフォリオの公正価値の変動に伴う損益が大幅に変動する可能性があります。また当社グループは投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者に対する株式や事業等の売却によるキャピタルゲインを主たる収益の一つとしておりますが、投資ポートフォリオの売却により受領する対価は、その売却が生じた会計年度の株式市況や個々の投資先企業の特性、その他様々な要因の影響を受けて当社グループの想定に反して変動する可能性があります。特に当社グループの連結財務諸表において計上される投資売却による実現損益については、投資ポートフォリオの売却により受領する対価から、売却した会計期間の期首時点における当該投資ポートフォリオの公正価値及び売却に直接関連する手数料等の合計額を控除した金額で測定していることから、当該投資ポートフォリオの売却により受領する対価がその売却が生じた会計期間の期首時点における当該投資ポートフォリオの公正価値より小さい場合においては投資売却による実現損益はマイナスとなる可能性があります。
また、当社グループがファンドから受け取るキャリードインタレストは、ファンドの運用益に応じて算出され、市場環境、投資先企業のパフォーマンス等に左右される他、投資案件のEXITのタイミングによっては、ファンドごとに受け取る時期が異なるため、会計年度ごとに受け取るキャリードインタレストの額が大きく変動する可能性があります。なお、キャリードインタレストは、IFRS第15号に準拠し、組合契約に定められたハードルレートを上回る分配を行うことが確実になった場合に権利が確定し、その時点で履行義務が充足され、重大な減額(クローバック)が生じない可能性が高い限りにおいて収益が認識されます。キャリードインタレストの受領後にファンドの業績が悪化するなどしてクローバックが生じた場合、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。クローバックとは、実現したキャリードインタレストの分配額が、当社が受領すべき金額を超える場合(例えば、あるファンドの初期投資が成功し、当初はハードルレートを超える収益が得られた場合に、その後収益が低下すると、全体的な収益がハードルレートを下回る可能性があります。)、当社は当該超過分の分配額を返済する義務を負うことを指します。
加えて、当社がファンドからプリンシパル投資収益及びキャリードインタレストを受領できるのは、投資案件のEXITが完了した場合のみであるため、当社のキャッシュ・フローは、会計年度ごとに大きく変動する可能性があります。なお、多数のファンドを同時に運用する海外ファンド等に比べ、当社ファンドのポートフォリオの規模は相対的に小さいため、個々の投資案件のEXITの成否が当社のキャッシュ・フローに与える影響が大きくなります。また、当社は、ファンドの出資約束金額又は投資残高に基づく管理報酬及び投資先企業から当社グループに支払われる経営支援料を継続的に受領しておりますが、これらの報酬額は、出資約束金額・投資残高及び投資先企業の数に応じて大きく変動します。さらに、当社の収益及び利益の構成要素の多くは非現金ベースで計上されるため、営業利益及び当期純利益を計上した会計期間であっても、営業活動による純キャッシュ・フローがマイナスとなる可能性があり、今後、当社の営業活動又は配当金の支払いに必要な資金を、財務活動又は投資活動に依存する可能性があります。
③ 投資先企業に対するデューデリジェンスについて(発生確度:高、影響度:中)
当社グループは、投資候補先の事業及び資産を評価するにあたり、合理的かつ適切と考えるデューデリジェンス(査定)を実施しております。デューデリジェンスにあたっては、ビジネス、財務・税務、法務・レギュレーション、環境・社会・ガバナンス(「ESG」)など、多くの項目について評価することが求められますが、当社グループでは、投資案件の特性に応じて合理的かつ適切と考える範囲で会計士・税理士、弁護士、その他の外部のコンサルタントに、デューデリジェンスに係る業務を委託しております。しかしながら、当社が実施するデューデリジェンスが完全である保証はなく、また、投資候補先又は第三者から提供される情報が不正確又は不十分である可能性があるため、投資候補先の評価に必要なすべての事象又はリスク(不正行為等を含みます。)が明らかになるとは限りません。特に、主な投資先企業である新興企業や非上場企業のガバナンスは、成熟した企業や上場企業に比して脆弱であり、そのような投資先企業の問題点を投資実行前に発見することはより困難である可能性があります。
投資実行後にデューデリジェンスでは未発見の問題が明らかになった場合、当社グループ又は当社ファンドは、その問題を改善するために多額の資金、経営資源又は人的資源を費やす必要が生じる可能性がある他、当初想定していた条件でのEXITができなくなる可能性があり、結果としてファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資先への担保提供・保証債務について(発生確度:低、影響度:低)
当社グループは、投資先の資金調達を円滑に実施するために、当社グループが保有する株式及び預金を投資先の資金提供者に担保提供することがあり、また、保証債務に類似した経営指導念書等を投資先の資金提供者に差入れることがあります。そのため、投資先が資金提供者に債務履行を実施しない場合には、当社グループが投資先に代わり債務履行を実施する必要があり、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。各期末時点における担保・保証の内容と金額は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表に関する注記の「担保」に記載のとおりです。
⑤ 資金調達について(発生確度:中、影響度:大)
当社グループは、無限責任組合員として、ファンドの収益を直接享受する目的で自ら管理運営するファンドに自己資金及び銀行からの借入調達を行った資金にて投資を行っておりますが、資金調達が想定どおりにいかない場合には、ファンドの運用に支障をきたす恐れがあります。また、今後、当社によるプリンシパル投資の拡大、またターゲットファンド組成やアセットクラスの拡大を計画しており、当社から投資する資金の一部を借入金により調達することが想定されることから、今後有利子負債が増加し、これにより当社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場金利の上昇は、当社グループ及びその運用するファンドの資金調達コスト並びに投資先企業の借入れコスト、そして当社ファンドに出資するLP投資家の資金調達コストにも悪影響を及ぼす可能性があります。昨今、日本銀行を始めとする主要国の中央銀行の金融政策に伴う金融市場の変化により市場金利の上昇を引き起こしていますが、将来さらに上昇する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 資金使途について(発生確度:低、影響度:中)
新規上場時における公募増資等の調達資金の使途は、GP出資、プリンシパル投資、i-Bridgeによるブリッジ・ファイナンス資金として各々充当する方針であります。当社グループは、これらの計画の実現に注力致しますが、外部環境の変化等により、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初想定どおりの時期に投資できない可能性や、投資が実現した場合でも、当初想定した収益の確保が困難となる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、2024年1月に5号ファンドシリーズを設立しており、当該ファンドの投資期間開始後は、当該ファンドへのGP出資へ一定金額を使用する予定です。
⑦ 株式価値の希薄化について(発生確度:高、影響度:中)
当社グループは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲を高めることを目的として、役員及び従業員にストックオプション(新株予約権)を付与しております。2023年12月31日時点における発行済株式総数は34,975,000株、新株予約権による潜在株式数は2,512,100株となります。新株予約権がすべて権利行使された場合には、発行済株式総数は37,487,100株(内、1,828,300株は自己株式)となります。新株予約権が行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株価に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の事業成長においては、継続的に外部からの資金調達が必要となる可能性があり、その手段として、増資等が実行された場合には、当社の株式価値が希薄化し、当社株価に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ LP投資家への情報提供について(発生確度:低、影響度:中)
当社はLP投資家に対して、定期的に当社の投資先に関する情報提供を行っており、LP投資家は一般投資家よりも投資先に関する詳しい情報を得ることができる立場にありますが、組合契約上、LP投資家はその立場で得た情報を用いて、当社及び当社の投資先企業の有価証券の売買を行うことは禁じられております。当社としても、LP投資家に対して定期的な報告書の開示を行う際には、報告書内においてその旨を改めて掲載しております。
しかしながら、LP投資家が、組合契約上の義務に違反し、その立場で得た情報を用いて当社又は当社の投資先の有価証券の売買を行ってしまった場合には、上場有価証券の売買についてはインサイダー取引規制に抵触する恐れがある他、当社グループの社会的信頼が失墜し、又は当社グループの投資活動に支障が生じることで、当社株価に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 配当政策について(発生確度:低、影響度:低)
当社グループは、現在成長段階にあると認識しており、事業拡大や組織体制整備、またプリンシパル投資実施のため、内部留保の充実が必要であると考えておりますが、株主への利益還元も重要と認識しております。2024年12月期以降は、当社の配当方針に従って、配当を行うことを予定しております。詳細は「第4 提出会社の状況 3.配当政策」をご参照ください。
⑩ サステナビリティについて(発生確度:低、影響度:低)
当社グループは環境、社会、ガバナンスに対し本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えております。当社グループでは、ESG行動規範として、投資先の長期的かつ持続的な成長を実現する『Trusted Investor』となるため、独自のESG投資方針を策定しております。また、国際連合主導で策定された金融セクター向け投資ガイドラインであるPrinciples for Responsible Investment(PRI)にコミットし、当社は2016年に署名を行っております。
投資活動においては、投資先のサステナビリティに関する機会・リスクを分析するため、各投資先において評価プロセスの運用計画を策定し総合的な投資評価を行うことを、ポリシーとして定めております。
しかしながら、当社グループのESGへの取り組みがステークホルダーの期待から大きく乖離し、持続可能性を十分に考慮した投資活動ができない場合は、当社グループの評判が毀損される可能性がある他、LP投資家は、当社のファンドへの出資を取りやめるか、将来の出資を行わないことを決定する可能性があり、その場合、投資先が想定したとおりに事業を展開できず、その資産価値、すなわち当社グループの保有する株式価値が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 大株主について(発生確度:低、影響度:大)
当社の代表取締役パートナーである山本礼二郎及びパートナーである佐山展生は当社の大株主であり、それぞれ当社の発行済株式総数(自己株式を除く)の29.38%及び24.50%(2023年12月31日時点)を保有しており、当社の取締役の選解任を含む株主の承認を必要とする事項について一定の影響力を有しております。
さらに、これらの株主は、当社の運営その他の事項に関し、当社の一般株主と異なる利害関係を有している可能性があり、これらの株主が保有する株式に係る議決権行使は、一般株主の利害と異なる可能性があります。なお、山本礼二郎及び佐山展生を含む当社の役職員は、一定の取引を除き、上場日の5年後の日にあたる2028年9月19日までの期間は、上場時に保有していた当社の普通株式又はストックオプションの行使に基づいて取得した株式の売却等を行わない旨を約束する書面を上場時のジョイント・グローバル・コーディネーター宛に差入れております。
⑫ 当社株式の流動性について(発生確度:中、影響度:中)
当社は、東京証券取引所グロース市場への上場をしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率は2023年12月31日時点で27.3%となります。また、投資期間中である4号ファンドシリーズの組合契約では、投資期間中、当社の2分の1超の議決権を当社の役職員等以外が実質保有する場合には投資期間が停止する旨定められています。当社は流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度では、当社グループの投資先1社(JRC)の上場による売出し、投資先3社(コンヴァノ、ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング、日東エフシー)の売却及び投資先1社(スカイマーク)の部分売却を行いました。
投資売却による実現利益は、上記投資先の売却のうち、プリンシパル投資の持分の売却に係る利益の計上により、前年同期比で増加致しました。
投資先企業の公正価値変動は次のとおりです。上場会社の投資先は、複数の投資先の株価下落の影響により、上場投資先全体の公正価値が減少しております。非上場会社の投資先は、主に新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限緩和を背景として業績や財務内容が改善したこと及び投資後1年を経過した投資先の公正価値が増加したことなどにより、複数の投資先の公正価値が向上し、非上場投資先全体の公正価値が増加致しました。投資先全体としての公正価値変動は前年同期比で増加致しました。
当社グループは、2023年11月に2号ファンドシリーズが保有するスカイマーク株式を売却したことで、2号ファンドシリーズがハードルレートを超過してキャリードインタレストを受領しております。その結果、キャリードインタレストは、前年同期比で増加致しました。
営業費用は、当社グループの従業員数増加等に伴う人件費の増加、国内外の出張増加に伴う旅費交通費の増加、新規案件検討に伴う支払手数料や情報取得費の増加、税金費用の増加等により、前年同期比で増加致しました。
以上の結果、当連結会計年度の収益は14,082百万円(前年同期比159.1%増)、営業利益は10,994百万円(前年同期比266.5%増)、税引前利益は10,919百万円(前年同期比274.8%増)、当期利益は7,574百万円(前年同期比274.7%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末比21,377百万円増の56,296百万円となりました。流動資産については、主に現金及び現金同等物が16,613百万円増加したことにより前連結会計年度末比16,510百万円増の19,229百万円となりました。非流動資産については、主にポートフォリオへの投資が684百万円及び公正価値で評価している子会社への投資が4,326百万円増加したことにより前連結会計年度末比4,866百万円増の37,066百万円となりました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比918百万円増の16,432百万円となりました。流動負債については、主に公正価値で評価している子会社からの借入金が850百万円減少した一方で、未払法人所得税が1,415百万円増加したことにより前連結会計年度末比468百万円増の7,519百万円となりました。非流動負債については、主に借入金が800百万円減少した一方で、繰延税金負債が1,390百万円増加したことにより前連結会計年度末比449百万円増の8,912百万円となりました。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末比20,458百万円増の39,864百万円となりました。主に上場に伴う公募増資等による資本金の増加6,556百万円、資本剰余金の増加6,328百万円、また親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加7,574百万円によるものになります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、5,626百万円のキャッシュ・インフロー(前年同期は383百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。主にポートフォリオへの投資が684百万円、公正価値で評価する子会社への投資が4,326百万円増加したことによる一方で、税引前利益10,919百万円を計上したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出5百万円により、5百万円のキャッシュ・アウトフロー(前年同期は0百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、10,992百万円のキャッシュ・インフロー(前年同期は382百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。主に株式の発行による収入13,113百万円によるものであります。
これらの結果、現金及び現金同等物は、16,613百万円増加し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は18,922百万円(前連結会計年度末2,309百万円)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
b.受注実績
当社グループの事業は、受注形式ではないため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
|
収益計上区分 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
投資収益総額(千円) |
6,870,057 |
485.4 |
|
受取管理報酬(千円) |
3,755,321 |
98.4 |
|
キャリードインタレスト(千円) |
3,254,459 |
- |
|
経営支援料(千円) |
197,549 |
99.7 |
|
その他の営業収益(千円) |
5,191 |
107.2 |
|
合計(千円) |
14,082,580 |
259.1 |
(注)1.当社グループは、投資事業の単一セグメントであるため、収益計上区分別の収益(IFRS)を記載しております。
2.収益は千円未満切り捨てにより表示しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
インテグラル2号投資事業有限責任組合 |
313,609 |
5.8 |
3,124,573 |
22.2 |
|
インテグラル3号投資事業有限責任組合 |
840,454 |
15.5 |
847,205 |
6.0 |
|
インテグラル4号投資事業有限責任組合 |
1,361,999 |
25.1 |
1,362,000 |
9.7 |
|
Initiative Delta IV L.P. |
594,000 |
10.9 |
594,000 |
4.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況、② 財政状態の状況」に記載のとおりです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況に示す資金により、今後さらに経営基盤を強化し、新たな企業への投資機会に対応していきます。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(3)重要な会計上の見積りと判断」に記載のとおりです。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
投資事業有限責任組合契約
|
契約会社名(注1) |
内容 |
契約締結日 (効力発生日) |
契約期間 |
|
インテグラル・パートナーズ株式会社/ インテグラル2号GP投資事業有限責任組合 |
インテグラル2号投資事業有限責任組合の運営に関する事項を定めた契約 |
2013年9月1日 |
効力発生日より10年間 (注2) |
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インテグラル3号GP投資事業有限責任組合 |
インテグラル3号投資事業有限責任組合の運営に関する事項を定めた契約 |
2016年10月13日 |
最終クロージング日の 10年後に当たる日まで (注3) |
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インテグラル4号GP投資事業有限責任組合 |
インテグラル4号投資事業有限責任組合の運営に関する事項を定めた契約 |
2020年7月31日 |
最終クロージング日の 10年後に当たる日まで (注3) |
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インテグラル5号GP投資事業有限責任組合 |
インテグラル5号投資事業有限責任組合の運営に関する事項を定めた契約 |
2024年1月31日 |
最終クロージング日の 10年後に当たる日まで (注3) |
注1.上記は国内ファンドにかかわるものとなります。これらの他に、当社の連結子会社であるIntegral Partners (Cayman)Ⅱ (A) Limited、Innovation Partners Alpha Limited、Innovation Partners Alpha IV Ltd.、Initiative Partners Delta Ⅳ Ltd.、Innovation Partners Alpha V Ltd.、Initiative Partners Delta V Ltd.はそれぞれ投資家との間でLimited Partnership Agreementを締結しております。
注2.インテグラル2号投資事業有限責任組合の契約期間については、契約の定めに則り諮問委員会にて審議・承認の上、2024年8月31日まで延長されております。なお諮問委員会とは、各投資事業有限責任組合契約に従って、GPが指名するLPの役職員等により組織される委員会であり、指名された各LPにつき1名ずつ委員の選出が可能となっております。
注3.インテグラル3号投資事業有限責任組合、インテグラル4号投資事業有限責任組合及びインテグラル5号投資事業有限責任組合に係る契約期間については、満期後1年間はGPである当社グループの判断で延長でき、各契約の定めに則り諮問委員会の承認を得ることでさらにもう1年延長することができます。
該当事項はありません。