第2【事業の状況】

「(*)」を付している用語については、「第一部 企業情報 第1 企業の概況」の末尾に用語解説を設け、説明しております。なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。

(A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。

(B)産学官連携を含む外部提携先との提携によって革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。

(C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。

 

② 目標とする経営指標

当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)の研究開発をすることにより、各研究開発プロジェクトの価値を高めることを目標として事業活動を推進しております。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。

こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。

 

(A)導出及びアライアンスマネジメント戦略

当社グループの営業活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを導出対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごとの導出、あるいは剤形ごとの導出、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。

また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。

 

(B)研究開発戦略

a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化

当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。2014年度及び2021年度においては、それぞれ名古屋大学及び岐阜薬科大学に産学連携にかかる講座を設置し、アカデミアにおける最先端の研究成果に基づく創薬研究に取り組んでおります。また、現在、国内外の製薬会社やスタートアップ企業との連携を推し進め、研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。

b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現

臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。今後は、この戦略をさらに発展させるものとして、成長ドライバーとなる品目への戦略的投資を進めてまいります。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用して開発を加速化し、プロジェクト価値の向上による将来的な収益の積み上げを目指します。

 

(2) 経営環境

医薬品市場は、先進国においては高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しております。

日本においては、医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な総合戦略として、研究・医療の環境の整備や産学官の連携に加え、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度が導入されるなど、革新的新薬創出のためのイノベーションを促す諸策が講じられております。

このような経営環境の中で、当社グループは創薬ベンチャーとして新薬を研究開発・上市するためには、次の「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた6点が重要課題であると認識しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。

 

① 研究開発ポートフォリオ(*)の強化

当社グループは、探索研究から初期臨床開発までの研究開発段階を手掛けるパイプライン型創薬ベンチャー企業であり、当社グループが創製する新規医薬品候補物質及びプログラムを提携先企業に導出して収益を得ることをビジネスモデルとしております。創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、いまだ満たされていない医療ニーズが存在する疾患に対する画期的な新薬候補の創製に取り組み、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。

当社グループは、新規医薬品候補物質のパイプラインの充実及びその基盤となる創薬研究機能の強化のため、以下の方策を採ってまいります。

・創薬バリューチェーンの強化(AI・インフォマティクスの活用、化合物評価の効率化等)

・疾患領域の拡大(疼痛・消化器から神経疾患・遺伝性疾患・希少疾患・がんへ拡大)

・対象モダリティ(*)の拡充(低分子モダリティ(*)の拡張、新規モダリティ(*)の導入等)

・研究設備・人員の強化及び拡大(機器・設備の導入、研究拠点の新設等)

 

② パイプライン及びプログラムの価値の向上

当社グループは、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために、以下に示すプログラム分類にあわせた対応を取っております。

・単独研究プログラム:単独で画期的な開発化合物(*)を目指した探索研究を当社グループが単独で実施するプログラム

・共同研究プログラム:探索研究段階から当社グループと製薬会社等の提携先企業の双方が持つ強みを持ち寄り画期的な開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム

・導出準備プログラム:当社グループが強みを持つ探索研究から初期臨床開発段階(第Ⅰ~第Ⅱ臨床試験)を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム

・導出済みプログラム:導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム

当社グループの単独実施又は提携先企業との協業によって、保有するパイプライン及びプログラムの価値の向上をはかるため、上記①の経営課題で述べた方策に加え、以下の方策を採ってまいります。

・自社開発の実施(前臨床開発段階及び初期臨床開発段階)

・スタートアップ企業・製薬企業・アカデミア等との提携(技術・パイプライン等)

・適応疾患の拡大

・独占的地位の確保及び製品ライフサイクルの延長に資する知的財産権の確立と強化

 

③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化

当社グループが有する開発化合物(*)を製品化して上市し医療現場に届けるには、臨床開発を経て各国の承認を得る必要があります。リスクを最小化しつつ臨床開発を推進するためには、臨床開発及び製造販売を担う製薬会社と提携し導出を行う必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。導出後は、一日も早い製品上市を目指して導出先企業へのデータ提供や定期的なコミュニケーションを図ることで開発の推進を積極的に支援してまいります。

 

④ 財務基盤の強化

当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を受けるなど、資金調達の多様化を図ってまいります。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の更なる強化に努めてまいります。

 

⑤ 人材の獲得

当社グループの経営資源の第一は、人であると考えています。今後、新規医薬品候補物質の探索、開発及び提携を進捗させるために、適切な人材を適宜、確保していく予定であります。

 

⑥ 新型コロナウイルス感染症への対応

当社グループへの新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を最小限にするためには、従業員の感染防止に努めるとともに、提携先企業との連携を含めた事業活動の継続が可能となる体制を構築する必要があります。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を注視し、あらゆる感染防止策を講じて従業員の健康と安全を守ることを最優先に、創薬研究を中心とした事業活動を継続するとともに、提携先パートナーとの協業を図ってまいります。

また、このようなリスクを踏まえ、当社グループでは十分な手元資金を確保するようにしております。

 

2【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しないと思われる事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下において開示しております。

これらリスクの顕在化に伴う問題が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。状況によっては事業存続が困難になる可能性があります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、本株式への投資に関するリスクのすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業の内容について

① 医薬品の研究開発を取り巻く環境について

一般的に医薬品の研究開発は探索研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、巨額の研究開発費用が必要とされる一方、成功確率は他産業に比して極めて低いものとされております。また、研究開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法その他関係法令や規則及びそれに関わる行政指導により、様々な規制を受けております。加えて、医薬品分野は、技術革新が著しい分野でもあります。そのため、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない可能性、規制の変更に伴う承認要件の変更の結果、当社グループあるいは導出先における開発費用の増大や承認取得時期の遅延が発生する可能性、新技術等への対応が遅れる可能性があります。また、これらのリスクは、既に他社に導出した開発品に関しても同様に発生する可能性があります。

 

② 競合について

当社グループの主たる事業である医薬品の研究開発においては、多くの製薬会社や創薬ベンチャー企業等による研究開発活動が行われており、当社グループの研究開発との間に競合関係が生じております。競合品の存在やその研究開発の進捗等が当社グループの開発化合物(*)の導出等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製薬会社等への導出等による収益獲得について

一般的に、製薬会社等において共同研究の実施や開発化合物(*)の導入に際しての評価・判断は、個々の製薬会社等により異なります。当社グループが契約締結を企図するプロジェクトや開発化合物(*)が製薬会社等における導入や当社グループとの業務提携の意欲や目的を充足する保証はなく、企図した時期に契約締結に結び付かない、又は契約条件が当社グループの想定と大きく異なる等の可能性があります。

 

④ 為替リスクについて

当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動や海外企業とのライセンスにおいて外貨建取引が存在します。そのため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化する可能性があります。

 

(2)社内体制について

① 小規模組織であることについて

当社グループは、役員7名(取締役(監査等委員である取締役を除く)4名、監査等委員である取締役3名)、従業員65名(2022年12月31日現在)と小規模であり、内部管理体制も相応の規模となっております。当社グループにおいては、業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針ではありますが、人材流出や代替要員の不在などの問題が生じる可能性があります。

 

② 人材の確保について

当社グループは、事業活動には高度な専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、このため常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保に支障が生じる可能性や、優秀な人材が社外に流出する可能性があります。

 

③ 情報管理体制について

当社グループの行う事業においては、研究開発における技術及び知見等は極めて重要性の高いものであり、事業の競争性を確保するものであります。また導出先である製薬会社等と共有する情報等は高い機密性を保持することが要請されます。当社グループは、情報管理体制の強化に努めておりますが、重要な機密情報の漏洩等を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。

 

(3)知的財産権について

① 当社グループの保有する知的財産権について

特許は、出願及び取得した場合においても出願した全てが成立する保証はなく、また特許出願によっても当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。更に、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難です。

なお、日本その他の国の特許関連法規、あるいは各国当局の解釈により、競合他社、あるいはその他の組織が当社グループに補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。

 

② 職務発明に係る社内対応について

2005年4月1日から施行された特許法の改正に伴い、当社グループでは、代表取締役、執行役員及び従業員が協議の上、取締役会決議により「知的財産権管理規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。

 

(4)事業における事故やトラブル等のリスクについて

① 当社の臨床開発における健康被害について

当社グループは、研究開発活動において、開発化合物(*)の有効性及び安全性を評価するため、前臨床試験を実施した上で、細心の注意を払って臨床試験を実施しております。しかしながら、被験者における重大な健康被害の発生を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。

 

② 研究施設における事故等について

当社グループは、研究開発活動において、各種化学物質、特に危険物質を取り扱っております。何らかの要因により火災や爆発事故又は環境汚染事故等が発生する可能性があります。

 

③ 自然災害等のリスクについて

当社グループが本拠地とする中部及び関東地域において、地震(東南海地震含む)、津波又は台風等の自然災害や大規模な事故、火災、テロ等により、当社グループの設備の損壊や各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の発令等により、当社グループの事業活動が停滞又は一時的に停止し、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟の可能性について

当社グループは、事業を展開する上で、当社グループの瑕疵又は責任の有無に拘わらず、第三者の権利又は利益を侵害した場合には、損害賠償等の訴訟を提起される可能性があります。また、取引関係や労使関係その他において何らかのトラブルが生じた場合、訴訟等に発展する可能性があります。さらに、業務委託先においてコンプライアンス違反が発生した場合、発注元である当社グループに対しても責任が問われる可能性があります。

 

(5)経営上の重要な契約について

「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載した、当社グループの経営上の重要な契約について、将来、期間満了、解除、中断、延期等、又は当該契約の更新に際し当社グループにとって不利な改定が行われる可能性があります。

 

(6)経営成績及び財政状態について

① 今後における損失計上の見通しについて

当社グループは、引き続き多額の研究開発費を先行投資する必要があります。販売計画や研究開発計画が当社グループの想定どおりに進捗しなかった場合は、想定以上に損失計上が継続する可能性があり、その状況によっては当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。

 

② 事業資金の確保について

当社グループは、研究開発型の創薬ベンチャー企業であることから、今後も研究開発投資、運転資金及び設備投資等の資金需要が予想されます。適時適切な資金調達ができなかった場合、当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。

 

(7)大学及び公的研究機関等との関係について

当社グループは、新たな技術の導入・移転を目的として、名古屋大学をはじめとする大学や公的研究機関との共同研究を実施しております。企業と大学等との関係は、法令等の改正や組織改正などに影響を受ける可能性があり、その結果共同研究の方向性や権利関係につき当社グループにとって不利となる変更を余儀なくされる可能性があります。

 

(8)その他

① 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について

当社グループは、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲り受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」)を行うことがあります。こうした戦略的提携等において、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や、当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。またパートナー企業が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合などには戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、上半期においては新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く残ったことに加え、急速に進行する円安とロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた混乱による物価上昇が個人消費の回復を遅らせました。企業の設備投資が堅調な拡大を示して景気を下支えし、下半期において個人消費が持ち直すも、欧米のインフレ加速と景気悪化の影響を受けた輸出減少が回復を減速させることとなりました。

医薬品業界においては、海外売上で好業績を上げる企業が数多く出る一方で、国内売上高の伸び悩みや、原薬、原材料費、海外での臨床開発コスト等の高騰によって、経営状況にダメージを受けた企業も出てきております。2021年に実施された中間年改定以降、毎年の薬価改定が既定路線になりつつあり、わが国の医薬品市場の魅力がさらに低下することを強く懸念する声も上がっております。海外企業が日本市場を敬遠する動きが顕在化し、海外で使われている新薬の日本国内の承認が遅れる「ドラッグラグ」の再燃を指摘する声に加えて、新薬が日本に入ってこない状況を指す「ドラッグロス」という言葉も頻繁に聞かれるようになりました。さらに、後発品メーカーの品質不正問題に端を発した医薬品の供給不足問題は、医療現場と医薬品市場に大きな影響を及ぼしました。

このような業界の動向は、創薬事業を営む当社グループのような創薬ベンチャー企業の事業開発活動におきましても少なからず影響を与えております。

 

このような環境下において、当社グループは、自社による単独研究、又は提携先の企業もしくはアカデミアとの共同研究に基づく医薬品の開発候補化合物(*)の創出活動や研究開発ポートフォリオ(*)の拡充を図る一方、保有する開発候補化合物(*)の導出活動並びに価値向上のための研究開発を推進してまいりました。

 

当連結会計年度の事業活動につきましては、以下のとおりとなりました。

上市済みのヒト用医薬品につきましては、HK inno.N Corporation(本社:韓国・オソン、以下「HKイノエン社」) が韓国で販売中の胃食道逆流症(*)治療薬K-CAB® ( 一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上が前年に引き続き好調に推移し、当連結会計年度の売上(院外処方データ)は1,252億ウォン(前年比14.2%増、約125億円/1韓国ウォン=0.10円)となっております。また、HKイノエン社は、当連結会計年度において、びらん性胃食道逆流症(*)治癒後の維持療法にかかる製造販売承認を韓国食品医薬品安全処から取得し、これによって韓国で承認をうけている適応症は合計5つになり、K-CAB®は韓国で販売されているカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium Competitive Acid Blocker : P-CAB)系胃酸分泌抑制剤の中で最多の適応疾患を持つ薬剤となりました。このような背景のもとに当社が受け取る販売ロイヤルティ収入は増加いたしました。

Tegoprazanのグローバル展開も順調に進展しております。当社は、HKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・販売及び製造の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結しており、HKイノエン社がライセンス契約を締結した企業(以下「サブライセンス先」)がそれぞれの国・地域で開発・製造・販売にかかる取り組みを進めております。

中国におきましては、サブライセンス先であるShandong Luoxin Pharmaceutical Group Co., Ltd.(本社:中国・山東省、以下「Luoxin社」)が、製造販売承認を取得し、製品の販売を開始いたしました。同様に、フィリピンにおきましても、サブライセンス先であるMetro Pharma Philippines, Inc.(本社:フィリピン・マニラ、 以下「MPPI社」)が、販売承認を取得し、製品の販売を開始いたしました。また、インドネシアにおきましても、サブライセンス先であるPT Kalbe Pharma Tbk(本社:インドネシア・ジャカルタ、以下「Kalbe社」)が販売承認を取得しております。このほか、計28カ国において、現在、審査中又は承認申請準備中の段階にあります。さらに、米国においては、サブライセンス先であるBraintree Laboratories, Inc.(本社:米国・マサチューセッツ州、以下「Braintree社」)が第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。

HKイノエン社は、グローバル100カ国に進出するという目標のもと、その他の地域におけるサブライセンス先の探索を進めており、当連結会計年度においては、新たにマレーシア、インド等の計7か国を対象とした契約をサブライセンス先企業と締結いたしました。

上記の進展により、当社はHKイノエン社との契約に基づき、開発の進展に応じたマイルストン収入又はHKイノエン社がサブライセンス先から得た収入の一部を受領いたしました。

 

ペット用医薬品につきましては、Elanco Animal Health, Inc.(本社:米国・インディアナ州、以下「エランコ社」)に導出した犬の骨関節炎治療薬であるGALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE®(一般名:capromorelin)、及び慢性腎不全の猫の体重減少管理の適応を持つELURA®(一般名:capromorelin)の売上が堅調に推移しております。特に、GALLIPRANT®はエランコ社の収益に大きく貢献する製品のひとつとなり、世界最大のペット用医薬品市場である米国におきまして、2017年の販売開始から5年が経過した現在も二桁成長を維持しております。ぺット向け医療は基本的に自由診療であるため、ペット用医薬品には薬価制度が存在しないため、ヒト用医薬品で見られるような公定薬価の切り下げが生じず、飼い主の評価が高い製品についてはメーカーの価格決定力が強くなることが業界の特徴となっております。このような背景のもとに、ペット用医薬品につきましても当社が受け取る販売ロイヤルティ収入は増加いたしました。また、ELURA®につきましては、エランコ社が欧州での承認申請を行ったことにより、当社はマイルストン達成に伴う一時金1百万米ドルを受領いたしました。

その他の導出済みプログラムにつきましても、導出先企業において前臨床開発段階以降の取り組みが行われました。

当社グループと旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「旭化成ファーマ社」)との共同研究から創出され、昨年、旭化成ファーマ社からEli Lilly and Company(本社:米国・インディアナ州、以下「リリー社」)にライセンスされたP2X7受容体拮抗薬(RQ-00466479/AK1780)につきまして、リリー社は第Ⅱ相臨床試験を開始しました。これにより、当社は旭化成ファーマ社からマイルストン達成に伴う一時金4百万米ドルを受領いたしました。また、昨年、Xgene Pharmaceutical Co., Ltd.(本社:香港、以下「Xgene社」)に導出したTRPM8遮断薬(RQ-00434739)につきまして、Xgene社は慢性疼痛治療薬の開発を目的とした前臨床試験を開始しました。

また、当社が株式会社AskAt(本社:愛知県名古屋市、以下「AskAt社」)に導出したシクロオキシゲナーゼ阻害薬(COX-2阻害薬、RQ-00317076/AAT-076)につきまして、AskAt社はVelo-1, Inc.(本社:米国・テネシー州、以下「Velo-1社」)との間でペット用医薬品用途でのライセンス契約を締結し、これにより当社はAskAt社から一時金を受領いたしました。

 

導出準備プログラムにつきましては、当連結会計年度において、自社で開発を進めているグレリン受容体作動薬の前臨床試験が進行しております。また、tegoprazanにつきましては、日本における開発・製造・販売にかかる権利を当社が保有しておりますが、国内での速やかな上市を実現するため、臨床開発の実施に向けた準備及び提携先候補の確保に向けた協議を進めております。その他の導出準備プログラムにつきましても、オンライン会議等を利用しつつ対面での面談も交えて提携先の獲得を目指した事業開発活動を実施いたしました。

さらに、探索研究段階においては、あすか製薬株式会社(本社:東京都港区)との共同研究が着実に進捗したほか、自社による単独研究プロジェクトにおいて開発候補化合物(*)創出に向けた取り組みを推進いたしました。さらに、当連結会計年度においては、創薬研究基盤の強化を目指してスタートアップや創薬ベンチャーとの連携を進めました。2022年5月、新たにソシウム株式会社(本社:東京都中央区、以下「ソシウム社」)との間で、当社が保有する特定の化合物に対して、ソシウム社独自の疾患データベース及びAI創薬プラットフォームを用いて難病・希少疾患への適応可能性の探索を開始しました。また、新規モダリティ(*)のコンセプト検証を目的として、当社はSTAND Therapeutics株式会社(本社:東京都港区、以下「STAND社」)が発行する新株予約権の一部を引き受ける形で出資し、当社が保有するイオンチャネル(*)創薬技術とSTAND社が保有する細胞内抗体の作製技術を活用して、新たな難病・希少疾患治療薬の創製を目指す共同研究を開始いたしました。同様に、モダリティ(*)に関連した取り組みとして、2022年12月、mRNAに対する創薬に特化したプラットフォーム技術を有する株式会社Veritas In Silico(本社:東京都品川区)との間で、mRNAを標的とした低分子医薬品の創出を目指した共同研究契約を締結いたしました。さらに、同月、当社は、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(本社:愛知県名古屋市)との間で、眼疾患治療薬の創製に向けた共同研究契約を締結いたしました。

 

当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)がSyros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国・マサチューセッツ州、以下「シロス社」)に導出したレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/TM-411/SY-1425)につきましては、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)を対象とした臨床試験が米国において進められております。

 

また、当社は、2022年12月20日に開催した取締役会において、第三者割当により新株式(以下「本株式」)並びに第16回新株予約権(以下「本新株予約権」)を発行すること、及び同日付で本株式並びに本新株予約権に係る買取契約をCVI Investments, Inc.(本社:ケイマン諸島、以下「割当予定先」)と締結することを決議しました。

当社は、2022年2月に発表した事業計画及び成長可能性に関する事項に基づき、株主価値の向上と最大化に向けて中長期の投資戦略を実行中であり、2024年12月期までの研究開発投資として合計2,393百万円を予定しております。当社の開発パイプラインの充実化と開発段階の進展を加速化するためには、高水準の研究開発投資を維持する必要があるため、今後5年間で新たに必要となる約2,800百万円程度の資金を、割当先に対する本株式及び本新株予約権の第三者割当によって調達することといたしました。割当予定先は、バイオ企業への投資経験が豊富で中長期投資の余裕を持つ米系の機関投資家であり、世界最大級の金融コングロマリットであるSusquehanna International Groupに属しグループとして100件を超えるバイオテクノロジーへの投資及び資産運用の実績を有するHeights Capital Management, Inc.により運営されております。

本株式及び本新株予約権の発行並びに行使による調達する資金の使途は、既存プログラム及び新規化合物の臨床開発、新規モダリティ(*)の探索活動及びAI創薬関連投資、加えてラボの設備強化であり、予定調達額は2,723百万円(発行諸費用27百万円を除く)となっております。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(A)財政状態

(資 産)

当連結会計年度末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,023百万円増加(前連結会計年度比19.6%増)し、6,257百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,330百万円、売掛金及び契約資産の減少603百万円、リース資産の増加195百万円及び投資有価証券の増加100百万円によるものであります。

(負 債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ314百万円増加(前連結会計年度比70.5%増)し、760百万円となりました。これは主に、リース債務の増加171百万円及び未払金の増加93百万円によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ708百万円増加(前連結会計年度比14.8%増)し、5,496百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円の計上によるものであります。

以上の結果、自己資本比率は87.7%(前連結会計年度末比3.6ポイント減)となりました。

 

(B)経営成績

事業収益2,918百万円(前期比5.1%増)、営業利益866百万円(前期比22.4%増)、経常利益904百万円(前期比4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円(前期比4.3%減)となりました。

また、事業費用の総額は2,051百万円(前期比0.8%減)であり、その内訳は、事業原価231百万円(前期比27.8%減)、研究開発費1,248百万円(前期比10.8%増)、その他の販売費及び一般管理費571百万円(前期比7.9%減)となりました。

なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,438百万円増加(前連結会計年度比64.2%増)し、3,679百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ1,114百万円増加し1,480百万円(前連結会計年度比304.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益851百万円及び減価償却費147百万円を計上したことのほか、売上債権の減少603百万円による資金の獲得によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ231百万円減少し47百万円(前連結会計年度比82.9%減)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出651百万円、投資有価証券の売却による収入315百万円及び投資有価証券の償還による収入210百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ13百万円増加し29百万円(前連結会計年度比79.8%増)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出45百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(A)生産実績

当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。

(B)受注実績

当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。

(C)販売実績

当連結会計年度の販売実績は、以下のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

事業収益 合計 (千円)

2,918,038

5.1

 

(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

A社

609,752

22.0

B社

600,000

21.6

C社

552,089

19.9

D社

415,360

15.0

E社

394,357

14.2

 

相手先

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

イ社

1,033,970

35.4

ロ社

907,484

31.1

ハ社

588,760

20.2

2.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(A) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、2022年2月14日に事業計画及び成長可能性に関する事項『中期経営計画2022-2024』を公表し、事業を推進しております。

当連結会計年度は、自社による単独研究、または提携先の企業もしくはアカデミアとの共同研究に基づく医薬品の開発化合物(*)の創出活動や研究開発ポートフォリオ(*)の拡充を図る一方、保有する開発化合物(*)の導出活動ならびに価値向上のための研究開発を推進してまいりました。

以上の結果、事業収益2,918百万円(計画比12.0%増)、事業費用2,051百万円(計画比6.1%減)、営業利益866百万円(計画比106.2%増)、経常利益904百万円(計画比115.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円(計画比111.4%増)となりました。

当連結会計年度を含む3ヶ年の経営成績は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2020年度

2021年度

2022年度

3ヶ年累計

(計画)

(実績)

(計画)

(実績)

(計画)

(実績)

(計画)

(実績)

事業収益

2,129

1,107

2,246

2,776

2,605

2,918

6,980

6,801

事業費用

2,059

1,593

2,184

2,068

2,184

2,051

6,428

5,712

営業利益又は営業損失(△)

70

△486

61

707

420

866

551

1,087

経常利益又は経常損失(△)

85

△527

184

863

420

904

689

1,240

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

13

△606

118

755

342

723

473

872

 

(B) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(C) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、開発化合物(*)の導出による契約一時金収入、研究開発の進捗に応じたマイルストン収入、医薬品の上市後において医薬品販売高に応じたロイヤルティ収入等の対価を受領することにより収益を得る契約形態を採用しております。しかしながら、依然として開発化合物(*)の導出に伴う契約一時金収入、あるいは開発の進捗に基づくマイルストン収入の割合も大きいことから、導出交渉及び開発の成否が全体の事業収益に大きな影響を与える可能性があります。

詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と株主価値向上のための資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。

資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となっております。一定規模以上の臨床開発を除き、ロイヤルティ収入を財源として医薬品の研究開発を進めてまいります。また、今後の臨床開発等の資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、三菱UFJ銀行とコミットメントライン契約(契約金額:10億円)を締結している他、ファイナンス・リースや銀行借入等の資金調達チャネルの活用により財務基盤の強化を図っております。

資金の流動性につきましては、当連結会計年度末における流動比率は976.6%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)産学協同研究部門(又は講座)の設置に関する契約

契約書名

産学協同研究センター設置契約

契約先

国立大学法人 名古屋大学(現国立大学法人東海大学機構 名古屋大学)

契約締結日

2018年3月20日

契約期間

2018年4月1日から7年間

主な契約内容

① 当社は、国立大学法人 名古屋大学内(愛知県名古屋市千種区不老町)に2つの産学協同研究部門(薬効解析部門及び新薬創成科学部門)を設置し、医薬品候補化合物の創出を目指した研究を実施する。

② 産学協同研究センターの設置に伴い、国立大学法人 名古屋大学は、施設、付随サービス及び用役(ユーティリティ)を提供し、当社はこれを利用する。

③ 当社は、国立大学法人 名古屋大学に対し、一定の研究経費及び産学連携推進経費を支払う。

 

(2)知的財産権の譲渡及びライセンスに関する契約

契約書名

INTELLECTUAL PROPERTY TRANSFER & LICENSE AGREEMENT

(知的財産権の譲渡及びライセンスに係る契約)

契約先

Pfizer Inc.(米国)

契約締結日

2008年6月30日

契約期間

2008年6月30日から50年間

主な契約内容

① Pfizer Inc.(米国)は、探索段階及び開発段階の複数のプロジェクトに関して、知的財産権を当社に譲渡、又は知的財産権の使用を当社に許諾(再許諾する権利を含む)する。

② 当社は、Pfizer Inc.(米国)に対し、①及び下記「ZIPRASIDONE HCL / ZIPRASIDONE MESYLATE MARKETING RIGHTS AGREEMENT」の対価を支払う。

③ 上記①の対象となった複数の化合物のうち特定の化合物に関して、当社はPfizer Inc.(米国)に対し、ロイヤルティを支払う。

(注)上記②の対価については、2008年7月14日に支払を完了しております。

 

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT FOR CJ’S NEW IP related to RQ-00000004(CJ-12420)

(RQ-00000004(CJ-12420)に関するCJ HealthCare Corporationの特許に関するライセンス契約)

契約先

CJ HealthCare Corporation (韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))

契約締結日

2018年1月3日

契約期間

契約締結日から当社によるCJ HealthCare Corporation(韓国)へのロイヤルティ支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① CJ HealthCare Corporation(韓国)は、当社に対して、CJ HealthCare Corporation(韓国)が取得したカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004(CJ-12420, tegoprazan))の結晶形に関する特許につき、CJ HealthCare Corporation(韓国)にRQ-00000004の権利を許諾していない地域における医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、特許取得の進捗に伴うマイルストン収入、製品販売高に応じたロイヤルティ収入、及び当社が第三者へ権利許諾した際に得た収入の一定料率を支払う。

 

 

 

(3)権利の譲渡に関する契約

契約書名

SALE AND PURCHASE AGREEMENT(権利売買契約)

契約先

株式会社AskAt

契約締結日

2013年1月29日

主な契約内容

① 当社は、株式会社AskAtに対して、EP4拮抗薬(RQ-00000007、grapiprant)に関するすべての知的財産権を譲渡する。

② 本契約の締結に伴い、当社は、本契約締結の対価として、株式会社AskAtがRQ-00000007

(grapiprant)により得た収益の一定料率をロイヤルティ収入として受領する。

(注)本契約の締結に関わらず、当社は2010年12月27日付けでAratana Therapeutics, Inc.(米国)と締結した導出契約上の地位は株式会社AskAtに委譲しません。なお、Aratana Therapeutics, Inc.(米国)との当該導出契約の詳細については、後述「(4)導出に関する契約 ① EP4拮抗薬(RQ-00000007、grapiprant)」の「EXCLUSIVE IP LICENSE AGREEMENT FOR RQ-00000007(導出契約)」に記載のとおりであります。

 

契約書名

SALE AND PURCHASE AGREEMENT(権利売買契約)

契約先

株式会社AskAt

契約締結日

2013年1月29日

主な契約内容

① 当社は、株式会社AskAtに対して、EP4拮抗薬(RQ-00000008)に関するすべての知的財産権を譲渡する。

② 本契約の締結に伴い、当社は、本契約締結の対価として、株式会社AskAtがRQ-00000008により得た収益の一定料率をロイヤルティ収入として受領する。

 

契約書名

SALE AND PURCHASE AGREEMENT(権利売買契約)

契約先

株式会社AskAt

契約締結日

2013年1月29日

主な契約内容

① 当社は、株式会社AskAtに対して、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬 (RQ-00317076)に関するすべての知的財産権、関連するデータ及び当該化合物原体を譲渡する。

② 本契約の締結に伴い、当社は、本契約締結の対価として、株式会社AskAtがRQ-00317076により得た収益の一定料率をロイヤルティ収入として受領する。

 

 

契約書名

SALE AND PURCHASE AGREEMENT(権利売買契約)

契約先

株式会社AskAt

契約締結日

2013年1月29日

主な契約内容

① 当社は、株式会社AskAtに対して、5-HT4部分作動薬(RQ-00000009)に関するデータ及び研究に必要な化合物を譲渡する。

② 本契約の締結に伴い、当社は、本契約締結の対価として、株式会社AskAtがRQ-00000009により得た収益の一定料率をロイヤルティ収入として受領する。

 

契約書名

SALE AND PURCHASE AGREEMENT(権利売買契約)

契約先

株式会社AskAt

契約締結日

2015年11月1日

主な契約内容

① 当社は、株式会社AskAtに対して、CB2作動薬プロジェクトに関する全ての知的財産権及び関連するデータ並びに化合物原体を譲渡する。

② 本契約の締結に伴い、当社は、本契約締結の対価として、株式会社AskAtが当該プロジェクトにより得た収益の一定料をロイヤルティ収入として受領する。

 

 

(4)導出に関する契約

① EP4拮抗薬(RQ-00000007、grapiprant)

本開発化合物(*)は、Pfizer Inc.(米国)より譲渡を受けたものであり、当社が第三者に権利を導出する場合、導出によって得られる収益(契約一時金収入、マイルストン収入及びロイヤルティ収入等)に一定の料率を乗じた金額をPfizer Inc.(米国)に支払う旨、2008年6月30日付「INTELLECTUAL PROPERTY TRANSFER & LICENSE AGREEMENT」で当社とPfizer Inc.(米国)との間で合意しております。なお、「INTELLECTUAL PROPERTY TRANSFER & LICENSE AGREEMENT」の詳細については、前述「(2) 知的財産権の譲渡及びライセンスに関する契約」に記載のとおりであります。

契約書名

EXCLUSIVE IP LICENSE AGREEMENT FOR RQ-00000007(導出契約)

契約先

Aratana Therapeutics, Inc.(米国、現Elanco Animal Health, Inc.(米国))

契約締結日

2010年12月27日

契約期間

契約締結日から契約所定の条項により解除されるまで

主な契約内容

① 当社は、Aratana Therapeutics, Inc.(米国)に対して、grapiprantの全世界における動物用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、既に保有する原薬及び製剤の一定量を、臨床試験用としてAratana Therapeutics, Inc.(米国)へ無償で供給する。

③ 当社は、上記①及び②の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金収入、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

(注)当社は、当連結会計年度末現在、Aratana Therapeutics, Inc.(米国)(現Elanco Animal Health, Inc.(米国))の普通株式を保有しております。

 

② グレリン受容体作動薬(RQ-00000005、capromorelin)

契約書名

EXCLUSIVE IP LICENSE AGREEMENT FOR RQ-00000005(導出契約)

契約先

Aratana Therapeutics, Inc.(米国、現Elanco Animal Health, Inc.(米国))

契約締結日

2010年12月27日

契約期間

契約締結日から契約所定の条項により解除されるまで

主な契約内容

① 当社は、Aratana Therapeutics, Inc.(米国)に対して、グレリン受容体作動薬(capromorelin)の全世界における動物用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、既に保有する原薬及び製剤の一定量を、臨床試験用としてAratana Therapeutics, Inc.(米国)に無償で供給する。

③ 当社は、上記①及び②の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金収入、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

(注)当社は、当連結会計年度末現在、Aratana Therapeutics, Inc.(米国)(現Elanco Animal Health, Inc.(米国))の普通株式を保有しております。

 

③ カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004、tegoprazan及びRQ-00000774)

契約書名

LICENSE AGREEMENT(導出契約)

契約先

CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))

契約締結日

2010年9月3日

契約期間

契約締結日からCJ HealthCare Corporation(韓国)による当社へのロイヤルティ支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)に対して、tegoprazan及びRQ-00000774の韓国、中国(香港を含む)及び台湾地域におけるヒト用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)にバックアップ化合物について、上記①と同様の権利を保証するオプション権を許諾する。

③ 当社は、上記①及び②の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金収入、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT FOR RQ-00000004 (CJ-12420) AND RQ-00000774 IN SOUTHEAST ASIAN COUNTRIES(導出契約)

契約先

CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))

契約締結日

2014年11月27日

契約期間

契約締結日からCJ HealthCare Corporation(韓国)による当社へのロイヤルティ支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)に対して、tegoprazan及びRQ-00000774の東南アジアにおけるヒト用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)にバックアップ化合物について、上記①と同様の権利を保証するオプション権を許諾する。

③ 当社は、上記①及び②の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT Of TEGOPRAZAN (RQ-00000004/CJ-12420) IN THE REST OF THE WORLD

(tegoprazanに関するライセンス契約)

契約先

CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))

契約締結日

2017年12月28日

契約期間

契約締結日からCJ HealthCare Corporation(韓国)による当社へのロイヤルティ支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)に対して、tegoprazan の中南米、中東及びCIS加盟国におけるヒト用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT Of TEGOPRAZAN (RQ-00000004/CJ-12420) IN NORTH AMERICA AND EUROPE

(tegoprazanに関するライセンス契約)

契約先

CJ HealthCare Corporation(韓国、現HK inno.N Corporation(韓国))

契約締結日

2019年11月26日

契約期間

契約締結日からCJ HealthCare Corporation(韓国)による当社へのロイヤルティ支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、CJ HealthCare Corporation(韓国)に対して、tegoprazan の北米及び欧州地域におけるヒト用医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

④ 選択的ナトリウムチャネル遮断薬

契約書名

ライセンス契約

契約先

マルホ株式会社

契約締結日

2017年12月25日

契約期間

契約締結日からマルホ株式会社による当社へのすべての支払い義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、マルホ株式会社に対して、選択的ナトリウムチャネル遮断薬の全世界における医薬品としての開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

⑤ P2X7受容体拮抗薬

契約書名

ライセンス契約

契約先

旭化成ファーマ株式会社

契約締結日

2018年3月26日

契約期間

契約締結日から旭化成ファーマ株式会社による当社へのロイヤルティ支払義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、旭化成ファーマ株式会社に対して、P2X7受容体拮抗薬の全世界を対象とした開発、販売及び製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

⑥ TRPM8遮断薬

契約書名

License Agreement for RQ-00434739(RQ-00434739に関するライセンス契約)

契約先

Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)

契約締結日

2021年9月22日

契約期間

契約締結日からXgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)による当社へのロイヤルティ支払義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)に対して、TRPM8遮断薬(RQ-00434739)の日本を除く全世界における医薬品としての開発、販売及び製造の再実施権付独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。

 

⑦ ナトリウムチャネル遮断薬

契約書名

ライセンス契約

契約先

久光製薬株式会社

契約締結日

2021年12月20日

契約期間

契約締結日から久光製薬株式会社による当社へのロイヤルティ支払義務が終了するまで

主な契約内容

① 当社は、久光製薬株式会社に対して、ナトリウムチャネル遮断薬(RQ-00350215)の全世界を対象とした開発、販売及び製造の再実施権付独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記対価として、本契約の締結に伴う契約一時金、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入、さらに製品販売高に応じた販売マイルストンを受領する。

 

 

(5)権利の再許諾に関する契約

契約書名

ライセンス契約(再許諾契約)

契約先

Meiji Seikaファルマ株式会社

契約締結日

2011年3月14日

契約期間

契約締結日から契約所定の状況による解約を除き、日本での販売を中止する日まで

主な契約内容

① 当社は、Meiji Seikaファルマ株式会社に対して、「ZIPRASIDONE HCL / ZIPRASIDONE MESYLATE MARKETING RIGHTS AGREEMENT」によりPfizer Inc.(米国)より許諾を受けているジプラシドン塩酸塩・ジプラシドンメシル酸塩の日本における開発、販売及び製剤の製造の再実施許諾権付き独占実施権を許諾する。

② 当社は、上記①の対価として、本契約の締結に伴う契約一時金収入、開発ステージに応じたマイルストン収入及び製品販売高に応じたロイヤルティ収入を受領する。また、日本国内での医薬品販売高が一定金額を超えた場合には、インセンティブを受領する。

(注)当社は、2022年2月14日付にてMeiji Seikaファルマ株式会社との合意により本契約を解約いたしました。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動における当連結会計年度の研究開発費は、1,248百万円となりました。なお、当連結会計年度における主な研究開発の概況は、以下のとおりであります。

 

(1)自社の研究開発及び共同研究

(臨床開発段階)

① カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(RQ-00000004、tegoprazan)

胃食道逆流症(GERD)(*)等の胃酸関連疾患を目標適応症とする本化合物は、日本を除く地域の権利をHKイノエン社に導出しており、当社は日本国内の権利を保有しております。日本において第Ⅰ相臨床試験を実施済みであり、当連結会計年度においては、韓国データを活用した迅速かつ効率的な開発・承認取得のため臨床薬理試験を実施するという計画に基づき、規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対する相談を行ったほか、提携先企業候補の探索にかかる事業開発活動を展開し、導出に向けた協議を進めました。

 

② 5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)

胃不全麻痺、機能性胃腸症(*)、慢性便秘等の消化管運動不全を目標適応症とする本化合物は第Ⅰ相臨床試験実施済みの導出準備プログラムとして導出活動を進めております。

 

③ 5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)

下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)(*)を目標適応症とする本化合物も同様に第Ⅰ相臨床試験実施済みの導出準備プログラムとなっております。

 

(前臨床開発段階)

① グレリン受容体作動薬(RQ-00433412)

がんに伴う食欲不振/悪液質症候群及び脊椎損傷に伴う便秘を標的疾患として開発中の本化合物については、昨年に引き続き、当連結会計年度において外部委託による前臨床試験を実施しております。

 

② モチリン受容体作動薬(RQ-00201894)

胃不全麻痺、機能性胃腸症(*)、術後イレウス等の消化管運動不全を目標適応症とする本化合物は、第Ⅰ相臨床試験実施に必要な前臨床試験を終了した導出準備プログラムとなっております。

 

③ TRPM8遮断薬(RQ-00434739)

本化合物は、2021年9月締結のライセンス契約に基づき、日本を除く地域の権利をXgene社に導出しておりますが、日本国内の権利は引き続き当社が保有しております。当連結会計年度におきましてはXgene社の前臨床試験開始にかかる支援を行いました。

 

(探索段階)

① 単独研究プロジェクト

当社が強みを有するイオンチャネル(*)をはじめとする標的分子(*)を対象とした開発候補化合物(*)の創製を目指した探索研究を推進するとともに、既存の創薬研究基盤の強化に新たな取り組みを組み合わせて非連続な成長を目指すべく、以下に示す製薬企業との共同研究も通じて、創薬疾患領域の拡充、モダリティ(*)の拡大、創薬バリューチェーンの強化に取り組みました。

 

② 企業等との共同研究

当連結会計年度において実施した製薬企業等との共同研究は以下のとおりであります。

会 社 名

開始月

内     容

あすか製薬株式会社

2019年7月

特定のイオンチャネル(*)を標的とした創薬研究に関する共同研究

株式会社 Epigeneron

2019年9月

特発性小児ネフローゼ症候群治療薬の創出に向けた共同研究

ソシウム株式会社

2022年5月

当社化合物の難病・希少疾患への適応可能性の探索に関する共同研究

STAND Therapeutics株式会社

2022年8月

難病・希少疾患治療薬の創製を目指した細胞内抗体技術(STAND技術)の創薬応用の可能性検証

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所

2022年12月

眼疾患治療薬創製に向けた共同研究

株式会社Veritas In Silico

2022年12月

メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子医薬品の創出に向けた共同研究

 

③ アカデミアとの共同研究

2021年4月に共同研究講座「創薬イノベーション共同研究講座」を設置した岐阜薬科大学との間で、網膜静脈閉塞症を主な適応疾患とした創薬研究を実施しました。新型コロナウイルス感染症を標的疾患として、2020年9月から実施しておりました長崎大学感染症共同研究拠点/熱帯医学研究所新興感染症学との共同研究につきましては、開発候補化合物(*)の創出を目的とした研究を終了し、学術研究への協力に移行いたしました。このほかにも創薬標的の探索を目指した初期段階の共同研究が複数件進行中であります。

 

(2)導出先の開発状況

① tegoprazan(K-CAB®、RQ-00000004/LXI-15028ほか)

HKイノエン社は、2022年7月、びらん性胃食道逆流症(*)治癒後の維持療法にかかる製造販売承認を韓国食品医薬品安全処から取得し、これによって韓国で承認を受けた適応症は、びらん性胃食道逆流症(*)、非びらん性胃食道逆流症(*)、胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ除菌補助療法にびらん性胃食道逆流症(*)治癒後の維持療法を加えた5つとなりました。また、2022年5月には新たな剤形である口腔内崩壊錠剤が発売されました。

中国におきましては、2022年4月、Luoxin社が現地当局からびらん性胃食道逆流症(*)を適応疾患とした製造販売承認を取得し、同月に製品の販売を開始いたしました(中国販売名(登録商標):泰欣賛®(タイシンザン))。同様にフィリピンにおきましても、2022年5月、MPPI社が現地当局からびらん性胃食道逆流症(*)をはじめとする4つの適応疾患に対する販売承認を取得し、11月に製品の販売を開始いたしました。また、インドネシアにおきましても、2022年11月、Kalbe社が現地当局から非びらん性胃食道逆流症(*)を適応疾患とする販売承認を取得しております。このほか、タイ、ベトナム、メキシコ、シンガポール、インド等の計28カ国において、現在、審査中又は承認申請準備中の段階にあります。

米国におきましては、2022年10月、Braintree社がびらん性胃食道逆流症(*)患者及び非びらん性胃食道逆流症(*)患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験を開始いたしました。

 

② EP4拮抗薬(GALLIPRANT®)

犬の骨関節炎治療薬としてエランコ社が販売中の本化合物は、2017年1月の米国における販売開始以降、既に世界20カ国以上で上市されており、2020年10月からは日本においても販売されております。

 

③ グレリン受容体作動薬(capromorelin、ENTYCE®/ELURA®)

グレリン受容体作動薬であるcapromorelinを有効成分として含む薬剤として、犬の食欲不振症治療薬ENTYCE®及び慢性腎疾患(CKD:chronic kidney disease)の猫の体重減少管理の適応をもつELURA®の2つの製品が米国で販売中です。ELURA®につきましては、現在、欧州での承認審査が進行しております。

 

④ セロトニン5-HT2A及びドパミンD2受容体遮断薬(ziprasidone)

統合失調症治療薬として導出した本化合物につきましては、2022年2月、Meiji Seikaファルマ株式会社(本社:東京都中央区)との間で締結していたライセンス契約を終了し、当社はziprasidoneの日本国内における開発・販売に関する権利を実施許諾元に返還いたしました。

 

⑤ P2X7受容体拮抗薬(RQ-00466479/AK1780)

旭化成ファーマ社との共同研究から創出され、旭化成ファーマ社からリリー社にライセンスされた本化合物につきまして、リリー社は、2022年11月、慢性疼痛患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始しました。

 

⑥ EP4拮抗薬(grapiprant、RQ-00000007/AAT-007)

AskAt社のライセンス先である3D Medicines Inc.(本社:中国・上海市、以下「3DM社」)が、昨年に引き続き、中国において、疼痛を適応症とする第Ⅰ相臨床試験を終了したほか、同じくAskAt社のライセンス先であるNingbo NewBay Medical TechnologyDevelopment Co., Ltd.(本社:中国・浙江省)が、中国において、がん領域で第Ⅰ相臨床試験を実施しております。

米国においては、AskAt社のサブライセンス先であるIkena Oncology Inc.(本社:米国・マサチューセッツ州)が、がん免疫治療薬として第Ⅰ相臨床試験を実施しておりましたが、2022年12月、同社は自社での臨床開発を中止し、戦略的な代替計画を検討することを発表しました。

 

⑦ シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬(RQ-00317076/AAT-076)

AskAt社のライセンス先である3DM社が、昨年に引き続き、中国において、疼痛を適応症とする第Ⅰ相臨床試験を実施しております。また、ペット用医薬品用途として、Velo-1社がパイロット試験を準備中であります。

 

⑧ CB2作動薬(RQ-00202730/AAT-730)

AskAt社のライセンス先であるOxford Cannabinoid Technologies Ltd.(本社:英国・ロンドン)が前臨床試験を完了し、臨床試験開始に向けた準備を進めました。

 

⑨ TRPM8遮断薬(RQ-00434739)

2021年9月にXgene社に導出した本化合物につきまして、Xgene社は慢性疼痛治療薬の開発を目的とした前臨床試験を開始いたしました。

 

⑩ ナトリウムチャネル遮断薬(RQ-00350215)

2021年12月に久光製薬株式会社(本社:佐賀県鳥栖市、以下「久光製薬社」)に導出した本化合物につきましては、久光製薬社が経皮吸収型の慢性疼痛治療薬の開発を目的とした前臨床試験の準備中であります。

 

⑪ 特定のイオンチャネル(*)を標的とした開発候補化合物(*)(化合物コード非開示)

EAファーマ株式会社(本社:東京都中央区、以下「EAファーマ社」)との共同研究から創出された本化合物につきましては、引き続きEAファーマ社により開発が進められております。

 

⑫ 選択的ナトリウムチャネル遮断薬(化合物コード非開示)

マルホ株式会社(本社:大阪府大阪市、以下「マルホ社」)に導出した本化合物につきましては、引き続きマルホ社により開発が進められております。

 

⑬ レチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン、TM-411/SY-1425)

テムリックがシロス社に導出した本化合物につきましては、MDS及びAMLを対象とした臨床試験が米国において進められております。当連結会計年度においては、AMLを対象としてシロス社が2021年9月から実施している第Ⅱ相臨床試験(SELECT-AML-1)の安全性導入パート(Safety Lead-in)のデータを報告し、得られたデータに基づき、シロス社は SELECT-AML-1の無作為化試験パートを2023年第1四半期に開始する計画を発表いたしました。