第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当社グループは、企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するために、医療用のソフトウエアや医療機器、行政組織のDXを推進するソリューションを中心とした製品・サービスを開発・提供しております。「新しい発想・技術の探求」を基に「モノ創りの喜びを感じられる研究開発」を推進し、「お客様の期待を上回り、社会の発展に貢献する製品」を提供することを、経営の基本方針として定めております。

 

当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)の経営成績は、以下のとおりです。

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減額

増減率

通期業績予想

達成率

売上高

3,205,521

3,125,603

△79,917

△2.5%

51.9%

営業利益

940,372

955,102

14,729

1.6%

65.2%

経常利益

945,376

985,539

40,163

4.2%

65.1%

親会社株主に帰属する中間純利益

701,324

685,697

△15,626

△2.2%

61.9%

 

当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における当社グループの売上高は3,125,603千円(前年同期比2.5%減)、営業利益は955,102千円(同1.6%増)、経常利益は985,539千円(同4.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は685,697千円(同2.2%減)となりました。通期業績予想に対する達成率は、売上高で51.9%、営業利益で65.2%、経常利益で65.1%、親会社株主に帰属する中間純利益で61.9%です。

当中間連結会計期間は、前中間期で高水準だった上期集中型の業績と対比すると減収となりました。しかしながら当年度は第4四半期に強い積み上がりを見込んでおり、通期業績予想の達成に向けて順調に進捗していると判断しています。利益は、仕入高の減少により粗利率が改善し増加しました。なお、親会社株主に帰属する中間純利益の主な減少要因は、賃上げ促進税制の影響によるものであります。

 

当中間連結会計期間のセグメント別(連結)の経営成績は、以下のとおりです。

 

≪医療ビジネス≫

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減額

増減率

売上高

3,038,515

2,856,080

△182,435

△6.0%

営業利益

976,309

936,455

△39,853

△4.1%

 

医療ビジネスセグメントの主力製品は、医療機関のDXを支援する画像ファイリングシステム「Claio」や診療記事記載システム「C-Note」、文書作成システム「DocuMaker」です。従来のオンプレミス型製品に加え、近年は患者案内アプリ「PiCls Medical Avenue」や電子トレーシングレポートサービス「PiCls AAdE-Report」など、クラウドサービスの拡充も図っております。

 

当中間連結会計期間は病院案件23件、診療所案件66件の新規導入・追加導入及びシステム更新を実施しました。保守サービスによる安定収益がある他、病院の収益向上やコスト削減を支援するクラウドサービス「PiCls」が高く評価され、着実に導入件数を伸ばしています。当セグメントの経営成績は、売上高2,856,080千円(前年同期比6.0%減)、営業利益936,455千円(同4.1%減)となりました。

前中間期は複数の大型案件稼働により売上・利益共に極めて高く、当中間期においては前年同期比で減収減益となりましたが、受注残高は過去最高水準で推移しており、また営業利益率は過去最高を更新するなど収益性も向上しています。

現在の医療市場は厳しい経営環境に置かれている病院が多いなか、当社製品は医療現場に欠かせないシステムとして高い継続率を有しています。当社のクリニック顧客の多くは好業績を維持する診療科で構成されており、病院顧客においても急性期病院が中心であることから、安定した顧客基盤のもと堅実なビジネス運営を実現しております。さらに、国が推進する医療データ活用に関しても、次世代医療基盤法(注1)を見据えた事業展開を進めており、今後の成長が見込まれます。

 

クラウドソリューションと医療AI技術の提供を主業とする子会社のフィッティングクラウド株式会社は、生成AIを活用し病院における業務の省力化を図るソリューション「CocktailAI」の拡販を目指し、デモサイトの構築や新機能追加、当社製品並びに他社製品との連携を引き続き進めています。また、次世代医療基盤法におけるⅡ型認定事業者(注2)にむけたビジティング環境(注3)を構築するなど、国の医療政策と連携した事業の体制整備を行っています。

 

(注1) 次世代医療基盤法:正式名称「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」。診療・身体情報を含む患者の個人情報を、個人が特定できないまで加工したうえで新薬開発や研究・治験等への二次利用を可能とする、医療データの利活用を推進するため制定された法律

(注2) Ⅱ型認定事業者:Ⅱ型認定を取得した認定利用事業者。Ⅱ型認定とは、仮名加工医療情報の管理方式において自らの整備した環境ではなく、ビジティング環境を利用すること

(注3) ビジティング環境:次世代医療基盤法において、利用者が必要なデータへアクセスし利用するために、クラウド上に構築される安全な環境のこと

 

≪公共ビジネス≫

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減額

増減率

売上高

143,967

243,710

99,743

69.3%

営業利益

48,942

124,581

75,639

154.5%

 

公共ビジネスセグメントの主力製品はSaaS型ソリューション「DocuMaker Office」です。公共セクターのDXを支援する公文書管理・電子決裁システムと、医療機関事務部門の書類を作成・管理するシステムがあります。

 

当中間連結会計期間では、自治体向けパッケージが14件、医療機関向けパッケージが4件稼働し、当セグメントの経営成績は、売上高243,710千円(前年同期比69.3%増)、営業利益124,581千円(同154.5%増)となりました。増収増益の主な要因は、導入数及び稼働施設数の増加と月額利用料のストックによるものです。売上の増加が人件費等のコスト増加を吸収し、引き続き高い収益性を維持しております。

 

自治体向けパッケージは、以前の県庁などへの導入実績が好材料となり、当中間期に新規代理店案件3件を受注しました。現在導入を進めている案件は、県庁所在地でもある中核市への導入であり、市町村ユーザーの中では過去最大規模です。今後、同規模ユーザー獲得に向けたモデルケースとなるよう、鋭意導入を進めています。

医療機関向けパッケージは、病院系列間で利用する大規模案件をはじめ複数案件の導入に注力し、全ての施設で安定稼働いたしました。

 

サービス開始以来、自治体向けパッケージは累計53件、医療機関向けパッケージは累計13件が稼働し、総利用者数は約48,000人に達しています。サービス開始以来の解約数は0件であり、昨年に引き続き順調に顧客基盤を築いております。当社の提案力及び製品力が高く評価されていることから、今後も着実に案件数は増加し、事業規模も拡大していく見込みです。

 

≪ヘルステックビジネス≫

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減額

増減率

売上高

23,038

25,812

2,773

12.0%

営業損失(△)

△84,879

△105,934

△21,055

-

 

ヘルステックビジネスセグメントの主力製品は、視線分析型視野計「GAP」(注4)及び「GAP-screener」(注5)です。

 

「GAP」及び「GAP-screener」は、従来の検査手法とは全く異なるアプローチを用いて視野を測定することで可用性を高めた、安価で画期的なウェアラブルデバイスであり、初期の自覚症状に乏しい緑内障などの網膜疾患の早期発見率の向上に寄与します。本製品はこれまで検査の際に必須であった暗所の確保を不要とし、検査時間の短縮や患者の負担軽減を実現しました。更に、健診施設での利用を通じて網膜疾患初期の視野データを取得・分析し、それらを国内外の研究開発機関と共有することで、製薬や生命保険領域など様々なフィールドでの技術・サービス革新への寄与が期待されます。

 

当中間連結会計期間の製品販売台数は5台となりました。これにより、当セグメントの経営成績は、売上高25,812千円(前年同期比12.0%増)、営業損失105,934千円(前年同期は営業損失84,879千円)となりました。単価の高い製品の出荷が多く売上高が増加した一方で、原材料評価損の計上及び販管費の増加により減益となりました。

 

 

当セグメントでは、全国各地の眼科医療機器販売代理店を通じ、眼科病院・クリニックへ向けては「GAP」を販売するとともに、健診施設へ向けては「GAP-screener」を販売しています。

国内向けには健康診断施設に強みを持つキヤノンメドテックサプライ社(本社:神奈川県)と代理店契約を締結し、販売代理店の拡充による販売体制を強化しています。海外向けには台湾・ブラジルへ販売地域を拡大し、三度目のロット出荷を予定しています。

 

(注4) GAP:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000002

(注5) GAP-screener:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000003

 

(2)資産、負債及び純資産の状況

(単位:千円)

 

2024年12月期

2025年12月期

中間期

増減額

資産合計

6,684,103

6,883,015

198,911

負債合計

1,076,912

1,161,612

84,700

純資産合計

5,607,191

5,721,402

114,211

 

当中間連結会計期間末の総資産は、6,883,015千円となり、前連結会計年度末と比較して198,911千円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加648,024千円に対する受取手形、売掛金及び契約資産の減少425,801千円を主な要因とする流動資産の増加190,491千円によるものであります。

負債は、1,161,612千円となり、前連結会計年度末と比較して84,700千円増加しました。これは主に、未払金の増加10,818千円、未払法人税等の増加59,784千円を主な要因とする流動負債の増加90,309千円によるものであります。

純資産は、5,721,402千円となり、前連結会計年度末と比較して114,211千円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加479,203千円に対する自己株式の増加360,935千円を主な要因とする株主資本の増加116,831千円によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

(単位:千円)

 

2024年12月期

中間期

2025年12月期

中間期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,125,667

1,389,887

△735,780

投資活動によるキャッシュ・フロー

△151,476

△156,933

△5,456

財務活動によるキャッシュ・フロー

△231,893

△584,929

△353,036

現金及び現金同等物の増減額

1,742,297

648,024

△1,094,273

現金及び現金同等物の期首残高

2,563,160

1,614,390

△948,769

現金及び現金同等物の期末残高

4,305,457

2,262,414

△2,043,042

 

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,262,414千円となり、前連結会計年度末に比べて648,024千円増加しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,389,887千円(前年同期比735,780千円減)となりました。これは主として、税金等調整前中間純利益が985,539千円、売上債権の減少額425,801千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は156,933千円(前年同期比5,456千円増)となりました。これは主として、無形固定資産(主に市場販売目的のソフトウエア)の取得による支出134,547千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、自己株式の取得による支出378,752千円、配当金の支払い206,177千円を要因として584,929千円となりました(前年同期の配当金支払いは231,893千円)。

 

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は23,789千円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。