文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「皆様のお役に立つ企業」「存在感のある企業」として「挑戦」「創造」「貢献」を経営方針としております。当社グループは、金属資源のリサイクルを通じて低炭素化社会・循環型社会の実現に向け、社会的、環境的、倫理的付加価値の創造を行うことによって、社会的責任を果たせる企業グループを目指します。
(2) 経営戦略等
当社グループは、非鉄金属事業につきましては、非鉄金属のリサイクルをコアビジネスとして競争力の強化を図るべく業務体制の変革を行ってまいります。世界的な資源需要の増大、価格の上昇等による資源に対する意識の高まり、また、自然環境の破壊や汚染等による環境への意識の高まりから循環型社会や低炭素化社会の実現が志向されている今日、当社グループの事業環境は中長期的に見て良好であることが予想されます。しかしながら、短期的には、世界経済の変動や非鉄金属の需給関係により、当社グループの事業環境は大きく影響を受けることから、当社グループとしては、弾力的な政策運営を行うとともに、常に、将来を見据えた最適事業ポートフォリオの確立を目指した施策を実行してまいります。
美術工芸事業に関しましては、長期的に安定的利益を確保できるように、企画提案力、製造技術力のより一層の強化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、具体的な数値目標は設定しておりませんが、自己資本比率、自己資本利益率、有利子負債比率を重要な経営指標としております。
(4) 経営環境
近年の各国経済動向は、コロナ禍から先進国はワクチン接種や経済政策効果により回復過程に入ってきているものの、新興国等はワクチン接種率も低く政策余力も乏しいため厳しい状況が続いております。また、コロナ禍での社会構造の変化、過剰流動性による市場価格の高止まり、物流網の混乱等があるなかで、先進国における量的緩和縮小の動きや脱炭素社会を目指した経済のグリーン化推進による原材料の生産抑制の動きでの価格上昇等、不確定要因が複雑化してきております。
・二極化
先進国と新興国による経済格差拡大や業種間格差拡大と資源、原材料の供給制約
先進国の量的緩和縮小による新興国債務の負担増加や過剰流動性相場の混乱
・米中対立激化による経済安全保障上の問題
世界の二極化と地政学リスクの増大(台湾・香港等)
ポピュリズムの拡大
・経済構造・産業構造・ライフスタイルの変化
デジタル化、「所有」から「利用」への動きへ
調達・販売地域の分散化・多様化の進展
オフィス需要減少による建替え需要減でスクラップの発生減少
・我が国のニューノーマル時代の進展
人口減少・生産年齢人口減少により消費減でスクラップ需要・供給とも減少
外国人労働者、高年齢者の活用
・脱炭素化社会、SDGsなど持続可能な社会の実現
Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の拡大
経済のグリーン化によるエネルギー問題や原材料価格への影響
このように当社グループを取り巻く経営環境は、アフターコロナもしくはウィズコロナへと変化してきているなか、様々な分野での影響を受けております。当社グループにおいても社会的使命を果たしながら、以下の課題を克服することによって当社グループの企業としての価値を高めて行きたいと考えております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①優秀な人材の確保
当社グループは、非鉄金属スクラップを世界及び日本全国から集荷し、それを原材料として各種インゴットを製造し販売している事業と、集荷したスクラップを選別・加工し販売する事業を主に行っており、あらゆる産業分野の基幹素材としての幅広いニーズに応えております。近年の多種多様な合金開発、市況の変化や営業戦略の多様化など当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応していくためには、海外営業や商品市場取引等に精通した人材確保が必要であります。
そのために、採用制度の多様化を図り、中途採用と新卒採用の併用を行いながら、入社後の研修制度の整備をはじめとして、人材育成制度の強化を行います。また、公平な人事制度の確立を目指すとともに、魅力ある職場作りの一環として福利厚生制度の充実も図っていきます。
②海外市場への進出
我が国においては、長期間にわたった円高や電力問題等から工場の海外移転が進み、加えて、少子高齢化の進行で、銅スクラップ市場の今後の大きな拡大が見込めない環境となっております。
一方、新興国をはじめとした海外では、今後の成長が期待できる市場が数多くあり、当社グループの成長には、海外戦略が重要であると考えております。
以上のことから、当社グループでは、まず2012年7月に世界最大の市場である米国に当社初の海外拠点を設立し、2014年8月には東南アジアの拠点としてタイで現地企業との合弁会社を設立いたしました。今後は、米国現地法人及びタイ合弁会社の業務拡大を図るとともに、海外での営業基盤を構築し業容拡大を目指してまいります。
③リスク管理体制の強化
当社グループの取り扱っている製・商品は、非鉄金属相場や為替相場等市場の変動に大きく影響を受けます。特に、近年の新興国等のインフラ整備拡大の影響による非鉄金属需要の増大に加え、主要国金融政策の変化に伴う投機資金の流出入もあって、非鉄金属価格や為替相場の変動率は高まっております。また海外需要の高まりや、国内でのスクラップの発生量及び流通量が減少傾向にあることで輸出入取引も増加傾向が見込まれます。
このように、当社を取り巻く状況は大きく変化してきており、特に市場リスクの管理が重要になっております。
このため、ロンドン金属取引所(LME)や為替取引等、ヘッジ手段の多様化、情報収集能力の強化を図り、また市場関連知識を持った人材の採用や育成を行うことによって、市場リスクの管理能力を高めていきます。
また、海外子会社及び海外関連会社を有していることから、海外拠点の管理体制の整備、強化も行っていきます。
④事業分野の拡大
当社グループは、銅系商品を中心とした製品を中心に事業展開を行っておりますが、更なる業容拡大のためには、銅系以外の分野の強化が必要であります。
そのために、銅系以外の分野に強い人材の育成や当該分野に強い業者との関係強化が必要です。
現状、必要知識の修得や銅系以外の集荷を重点項目として営業活動を行っており、今後も銅系以外の分野の取扱量の拡大を目指します。
また、美術工芸事業では、販路拡大のためキャラクター商品を用いた金製品の開発をはじめとした企画型営業に取り組み、企画から製造引き渡しまでの一貫体制をとっております。精密鋳造技術による原型に忠実な再現力と金工技術による最終仕上げの完成度の高さやEC取引を活用してビジネスチャンスの拡大に努めております。当社グループ全体における美術工芸事業のシェアは非常に小さいものではありますが、今後も、市場・顧客に対し存在感のある製品を提供し、更なる事業拡大に努めていく予定です。
⑤新型コロナウイルス感染症影響
新型コロナウイルス感染拡大はワクチン接種効果と変異株出現で一進一退の動きながら、各国の経済政策効果により落ち着きを取り戻してきております。しかしながら、コロナ禍に対する抜本的な解決策はでておらず、また、社会的距離の確保・移動制限などによる社会構造、産業構造の変化による我々を取り巻く外部環境は大きく変わってきているため、その影響は大きくなっております。
今後、新型コロナウイルスの影響を回避すべく対策を実施し、取引先や従業員の安全を最優先にして事業活動を行っていく予定です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 原材料の調達について
当社グループは、原材料を国内外の複数の調達先を確保することで安定的な調達を行うよう努めています。しかしながら、市況環境の大幅な変化による発生量や流通量の減少から市場の需給環境が引き締まった結果、適正価格での調達難、調達不足からの大幅な仕入価格の上昇、生産活動への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 顧客が属する業界の需要動向について
当社グループの製品の主要な顧客は、造船業界、住宅販売、設備関連産業に属しています。したがって、当社グループの製品は、上記業界の非鉄金属に対する需要動向に大きく影響される可能性があります。今後何らかの要因で非鉄金属に対する需要が落ち込んだ場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定の販売先への集中
2021年8月期において、当社グループの売上高に占める住友金属鉱山株式会社の売上高比率は22.8%であります。
当該会社とは長期的な取引関係を継続しておりますが、何らかの理由により、取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等
当社グループの取扱い品目の価格は、毎日の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けます。そのため価格変動リスク及び為替変動リスクのマネジメントは当社グループにとって非常に重要であります。
2016年9月から2021年8月までのロンドン金属取引所銅相場(LME銅キャッシュ月中平均)及び為替相場
(TTM月中平均)は下記の通りであります。
|
2016.9~2017.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
|
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
4,707 |
4,732 |
5,443 |
5,666 |
5,737 |
5,942 |
5,822 |
5,698 |
5,592 |
5,699 |
5,979 |
6,478 |
|
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
101.98 |
103.81 |
108.12 |
115.98 |
114.77 |
113.11 |
113.04 |
110.11 |
112.25 |
110.92 |
112.43 |
109.93 |
|
2017.9~2018.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
|
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
6,583 |
6,797 |
6,826 |
6,801 |
7,080 |
7,002 |
6,796 |
6,839 |
6,822 |
6,955 |
6,248 |
6,040 |
|
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
110.74 |
112.95 |
112.96 |
113.02 |
110.86 |
107.96 |
106.07 |
107.44 |
109.74 |
110.03 |
111.38 |
111.08 |
|
2018.9~2019.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
|
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
6,020 |
6,216 |
6,193 |
6,094 |
5,932 |
6,278 |
6,451 |
6,445 |
6,028 |
5,868 |
5,940 |
5,708 |
|
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
111.91 |
112.82 |
113.36 |
112.51 |
108.98 |
110.38 |
111.24 |
111.73 |
109.86 |
108.12 |
108.28 |
106.32 |
|
2019.9~2020.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
|
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
5,745 |
5,743 |
5,860 |
6,062 |
6,049 |
5,686 |
5,179 |
5,048 |
5,234 |
5,742 |
6,354 |
6,497 |
|
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
107.45 |
108.15 |
108.90 |
109.24 |
109.39 |
109.98 |
107.41 |
107.96 |
107.35 |
107.55 |
106.84 |
106.05 |
|
2020.9~2021.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
|
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
6,712 |
6,703 |
7,063 |
7,755 |
7,970 |
8,460 |
9,005 |
9,336 |
10,184 |
9,612 |
9,434 |
9,357 |
|
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
105.76 |
105.27 |
104.41 |
103.84 |
103.69 |
105.37 |
108.63 |
109.14 |
109.20 |
110.13 |
110.31 |
109.85 |
(データ出典 LME銅:ロンドン金属取引所 為替相場:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
①非鉄金属相場の影響
海外取引(仕入及び販売)は、ロンドン金属取引所(LME)の価格を基準として刻々と変化します。国内取引(仕入及び販売)は、国内建値(ロンドン金属取引所(LME)×TTS+諸費用)を基準として日々変化します。取引先との価格の決定方法としては、当月平均、前月平均、固定価格等、様々な決め方はありますが、LME価格は、それら全ての基準となっております。また製品及び原材料等の評価は、それらの非鉄金属相場等で変動する直近月の平均販売単価や平均再調達単価等を時価として評価を実施します。これらのことから、非鉄金属相場の変動による利鞘の変動リスクや原材料等の在庫評価額の変動リスクが存在し、業績に影響を与える可能性があります。特に近年は、商品市場への投機資金の流入により価格の変動率は大幅に高まっており、リスク量は増大しております。このためロンドン金属取引所(LME)先物等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。
②為替相場の影響
当社グループでは、主にドル建てによる国際間取引の割合が高いため、為替変動の影響を受けます。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。
(注)TTM:電信中値相場
TTS:対顧客電信売相場
(5) 有利子負債
2021年8月期末において、当社グループの有利子負債は114億82百万円、総資産に対する割合は48.6%となっております。当社グループは、財務体質の改善に努力いたしておりますが、今後の金利動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 法的規制について
当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づいて、産業廃棄物保管基準に則った保管を行い、産業廃棄物処理業者に収集運搬及び処理を委託しています。廃棄物処理法における(不適切な産業廃棄物の保管、委託処理に係る契約書の未作成、マニフェスト虚偽記載等)一定の要件に抵触した場合、行政処分等がなされる可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、国内事業所において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律などの環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌等の汚染防止に努めておりますが、関連諸法令の改正・強化によって、当社グループにおいて新たな管理費用・処理費用負担が求められる可能性があります。
さらに、当社グループが製造、販売する一部の製品には、製造過程で毒物及び劇物取締法の対象となる薬品が使用されております。その管理については、法令を遵守するとともに当社グループの環境マネジメントマニュアルに従い、廃液流出や盗難、労災事故等への対応を行っておりますが、万が一、使用、保管上の不測の事態の発生や天災、火災等の事故があった場合、環境汚染を招く可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) カントリーリスク
当社グループは、多国間取引の割合が高いことから、取引先各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律又は規制の変更並びにそれらの解釈の相違等により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(8) 設備事故等
当社グループは、多くの生産設備等を有しており、運転・保守管理と設備安全化の両面から労働災害及び生産設備等の事故防止の徹底を図っておりますが、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(9) テロ、戦争、事故、地震など自然災害について
当社グループは、北陸地区における大規模な自然災害や、当社グループの製造施設における事故等が発生した場合、製造設備等への損害、生産活動の停止、取引先や製造施設近隣住民への補償等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループの主要取引先の地域での地震等の大規模な自然災害で、主要取引先の生産活動が停止した場合や広いエリアでの災害のため、経済全体が大きく減速した場合にも営業活動(仕入及び販売)が困難になることで当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
非鉄金属の鉱山が多い地域での地震、テロ、戦争などが起こった場合も、非鉄金属の供給及び価格に大きく影響を及ぼすことから、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) 感染症の流行
新型コロナウイルス感染症により世界各国にて需要減少や生産減少といった厳しい外部環境が引き起こされました。現状、新型コロナウイルスに対する抜本的な解決策が見いだされていないことから、今後の感染状況によっては当社グループの業績に更なる悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、販売先・調達先の分散化・多様化を図りながら悪影響の極小化を目指すとともに、取引先や従業員の安全を最優先に考え拡大防止に努めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く外部環境は、前年度からの新型コロナウイルス感染がワクチン接種により効果は出ているものの、デルタ株等変異株の感染拡大もありパンデミックの収束にはもう暫く時間がかかりそうな状況となっております。しかしながら世界経済は、主要各国の大規模な経済政策により二極化の動きとなっているものの回復基調で推移いたしました。
このような状況から、当社グループの主力取扱製品価格に影響を及ぼす銅価格は、経済のグリーン化への動きや供給制約の影響により期初から上昇基調を維持し、5月にはロンドン金属取引所銅3か月先物価格で10,747.5ドルと2011年2月以来の史上最高値を更新しました。その後は、米国での量的緩和の縮小への思惑からやや調整的な動きとなりましたが、年度末比較では42.9%高の9,535ドルとなり、年度を通して市況環境は良好に推移いたしました。
また、販売数量もインゴットはやや減少したものの、スクラップが各製品とも堅調な需要から前年度比増加したこともあり、利鞘拡大と相まって利益面でも良好な結果となりました。一方で今年度は、引き続きコロナ禍の悪影響が危惧されたことや市況の上昇基調が維持されたことで低価格調達が可能となったことから価格変動リスクの回避及び利益の確保をはかるためロンドン金属取引所銅先物でヘッジを行ったことからデリバティブ運用損1,062百万円を営業外費用に計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は620億58百万円(前連結会計年度比45.2%増)、営業利益31億97百万円(同394.3%増)、経常利益20億96百万円(同273.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億53百万円(同257.9%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(非鉄金属事業)
非鉄金属事業の主力取扱製品に影響を与える年度平均ロンドン金属取引所銅円ベースCash価格が前年度比45.6%高く推移したことやインゴット、スクラップの販売量も前年度比3.4%増加したことから当連結会計年度の売上高は617億23百万円(前年度比45.4%増)となりました。
品目別では、インゴット売上高は172億26百万円(前連結会計年度比20.1%増)、スクラップ売上高は443億66百万円(同58.5%増)、その他売上高は1億30百万円(同20.2%増)となりました。
(美術工芸事業)
美術工芸事業は、コロナ禍からの底打ち感は見られるものの完全回復には至らず、当連結会計年度の売上高は3億34百万円(前連結会計年度比8.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は14億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ31百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は39億2百万円(前年は15億円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益20億96百万円、仕入債務の増加10億84百万円などの収入に対し、売上債権の増加45億60百万円、たな卸資産の増加21億98百万円などの支出が発生したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は31百万円(前年は97百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入13億16百万円に対し、定期預金の預入による支出10億63百万円、有形固定資産の取得1億84百万円などの支出が発生したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は38億29百万円(前年は13億18百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純増額34億50百万円、長期借入金の借入20億円の収入に対し、長期借入金の返済14億7百万円、配当金の支払2億12百万円の支出が発生したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
品目別 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
非鉄金属事業(千円) |
インゴット |
18,505,385 |
126.4% |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.スクラップについては、選別、プレスといった加工作業を主としており、生産実績がないため記載を省略しております。
4.美術工芸事業については、記載を省略しております。
b.受注実績
非鉄金属事業は受注生産と見込生産を併用しており、両者を明確に区別することが困難であること、また、非鉄金属相場等の市況は日々変動し期末日時点における受注高及び受注残高を合理的に算定することが困難であることから、記載を省略しております。
また、美術工芸事業については、受注生産と見込生産の明確な区分が困難であることから、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
非鉄金属事業(千円) |
61,723,713 |
145.4% |
|
美術工芸事業(千円) |
334,535 |
108.3% |
|
合計(千円) |
62,058,249 |
145.2% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年9月1日 至 2020年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
住友金属鉱山株式会社 |
8,405,005 |
19.7 |
14,164,512 |
22.8 |
|
JX金属株式会社 |
4,275,967 |
10.0 |
- |
- |
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度においてJX金属株式会社は、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、今年度も非鉄金属相場がワクチン接種効果や経済のグリーン化などへの期待感から上昇基調を維持し堅調に推移したことに加え、販売数量も増加したことから売上高は620億58百万円(前年度比45.2%増)、売上総利益45億76百万円(同138.2%増)、売上総利益率は7.4%(同2.9ポイント増加)と大きく前年を上回りました。また、販売費及び一般管理費は8.2%増となったことから営業利益31億97百万円(同394.3%増)、経常利益20億96百万円(同273.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億53百万円(同257.9増%)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、インゴット売上高で172億26百万円(前年度比20.1%増)、スクラップ売上高で443億66百万円(同58.5%増)、美術工芸品売上高で3億34百万円(同8.3%増)、その他売上高で1億30百万円(同20.2%増)となり、売上高合計では620億58百万円(同45.2%増)となりました。
主な変動要因は、次のとおりであります。
非鉄金属事業では、インゴット売上高につきましては、造船関連は受注環境の悪化から販売数量減少の影響により減収となりましたが、給水設備関連など造船関連以外の製品は販売価格上昇の影響で大きく増収となったため、全体では前年度比20.1%の増収となりました。また、スクラップにつきましては、上物や製錬会社向け故銅を中心に販売数量全体が増加したことや販売価格上昇の影響から売上高は前年度比58.5%の増収となりました。
一方、美術工芸事業では、コロナ禍からの底打ち感は出てきており回復過程の動きとなったことから売上高は前年度比8.3%の増収となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、非鉄金属事業では、銅相場が期中を通して上昇基調を維持したことや在庫管理の強化により適正利鞘を確保できたことから増益となりました。一方、美術工芸事業では、利益率が悪化したため売上高は増加したものの減益となりましたが、非鉄金属事業の増益影響が大きく、前年度比138.2%増の45億76百万円と大幅増益となり、売上総利益利率も7.4%(同2.9ポイント増加)と大幅に好転いたしました。
(営業利益)
売上総利益の大幅増加に比較し販売費及び一般管理費が13億79百万円(前年度比8.2%増)と増加額が抑えられたことにより、営業利益31億97百万円(同394.3%増)と大幅に好転いたしました。
(営業外収益及び費用)
営業外収益は、受取配当金8百万円、為替差益7百万円、持分法による投資利益28百万円等により51百万円(前年度比162.9%増)となりました。
一方、営業外費用は、支払利息74百万円(前年度比13.2%増)、デリバティブ運用損10億62百万円、その他15百万円の発生により11億52百万円(同1,000.4%増)となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益及び費用を加減し、20億96百万円の経常利益(前年度比273.3%増)となりました。
(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)
課税所得の増加により、法人税、住民税及び事業税は7億85百万円(前年度比640.7%増)、法人税等調整額は△43百万円(前年度は77百万円)となり、税金費用は7億42百万円(前年度比305.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は13億53百万円(前年度比257.9%増)となりました。
目標とする経営指標について
当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、自己資本比率、自己資本利益率、有利子負債比率を重要な経営指標としております。
今期の実績は、下表の通りとなりました。
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経営指標 |
前連結会計年度 (2020年8月31日) |
当連結会計年度 (2021年8月31日) |
前年同期比 |
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自己資本比率 |
45.1% |
36.7% |
△8.4% |
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自己資本利益率 |
5.1% |
16.7% |
11.6% |
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有利子負債比率 |
98.1% |
132.3% |
34.2% |
②経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等」に記載のとおり、当社グループの取扱い品目が、日々の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けるため、これら二つの市場の相場変動により大きな影響を受ける可能性があります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)及び長期借入金による調達を基本とし、不足が生じる場合には調達コストも考慮し、短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には、長期借入金による調達で賄っております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。
長期資金の調達に際しては、金利動向を注視し、株式の発行に関しては、資本政策に基づき、株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。
資金の流動性については、利益の確保に加え、棚卸資産管理及び売掛債権の管理を行うことにより、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的確保に努めております。
④財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は206億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億99百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、売上債権が45億81百万円、たな卸資産が21億98百万円増加したことによるものであります。固定資産は30億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ5百万円増加いたしました。
この結果、総資産は236億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ69億4百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は124億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億6百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、仕入債務が10億98百万円、短期借入金が34億86百万円、未払法人税等が6億39百万円増加したことによるものであります。固定負債は25億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億62百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、長期借入金が4億52百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は149億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億69百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は86億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億34百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益13億53百万円、剰余金の配当2億12百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は36.7%(前連結会計年度末は45.1%)となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により使用した資金39億2百万円を、投資活動により獲得した資金31百万円及び財務活動により獲得した資金38億29百万円で賄った結果、前連結会計年度末に比べ31百万円減少し、当連結会計年度末の資金残高は14億1百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの増減要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに連結会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループは、特に以下の重要な会計方針に関して、使用される当社グループの重要な判断、見積りが当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産の評価減
当社グループは、たな卸資産の市場需要に基づく将来の消費見込み又は販売見込み並びに市場状況に基づく時価の見積額を測定し、たな卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。具体的には製品及び原材料等の評価は非鉄金属相場等で変動する直近月の平均販売単価や平均再調達単価等を時価とした評価を実施しており、実際の市場における将来需要又は時価が当社グループの見積りより悪化した場合、期末に計上した評価減を超える損失が発生する可能性があります。
b.有形固定資産及び無形固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業部門単位をもとに資産のグルーピングを決定しております。営業損益が継続してマイナスであるなどの減損の兆候が見られた資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローの見積額が帳簿価額を下回り、減損損失を認識すべきと判断された場合、当該損失額を特別損失として計上します。資産グループの回収可能額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を採用しており、正味売却価額は主に不動産鑑定評価額により算定し、使用価値は将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて算定しております。減損損失の判定を行う事業単位において、損益状況の悪化や事業内容の変化によって減損処理が必要となる状況が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、将来の利益計画に基づいた課税所得の十分性やタックスプランニングの存在の有無などにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、第5「経理の状況」(追加情報)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは循環型社会に対応していくため、既存事業の領域拡大を目指した活動を今後も事業の中心としていくべく研究開発を進めております。具体的にはインゴットでは銅を主体とした銅合金の開発、スクラップではレアメタルリサイクル技術の開発等であります。
現状は、取引先の新商品開発のための鋳造試験や成分分析などによる協力が中心であり、自社グループにおいては一部実験等を行ってはいるものの、関連情報の収集・調査が主体であるため、研究開発費は発生しておりません。