(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済につきましては、大企業を中心とする企業収益や雇用・所得環境および設備投資が改善し、堅調に推移しました。しかしながら、依然として力強さを欠く個人消費や新興国を中心とする海外経済の景気減速、金融市場における急速な円高・株安など、先行きは不透明な状況にあります。
海外原糖市況につきましては、ニューヨーク市場粗糖先物相場(当限)において1ポンド当たり12.00セントで始まり、タイ・インドでの砂糖生産量の上方修正等を背景とした世界的供給過剰感やブラジル通貨レアル安の進行等を材料に、8月後半には今期安値となる10.13セントをつけました。その後、9月後半から主要生産国の天候懸念やブラジルの旺盛なエタノール需要による砂糖生産減少観測等を受けて上昇に転じ、さらにエルニーニョ現象により干ばつに見舞われたタイ・インドが生産量を大幅に下方修正したこと等を材料に、3月後半には今期高値となる16.75セントまで上昇し、15.35セントで当期を終了しました。
一方、国内精糖市況(日本経済新聞掲載、東京)につきましては、上白糖1㎏当たり185~186円で始まりましたが、海外原糖相場の下落を受けて10月に183~184円に2円下落したものの、その後の海外原糖相場の急反発を受け、2月に187~188円に4円上昇し、当期を終了しました。
このような状況のもと、砂糖につきましては、8月後半の天候不順と暖冬による出荷の伸び悩みはあったものの、前期の消費税増税の影響が解消したことにより、出荷量は業務用、家庭用とも前年を上回りました。また、当社独自製品であるきび砂糖は、消費者の嗜好に合致する商品として年間を通じて好調を維持しました。果糖等その他の甘味料の販売につきましても、取扱高を増やしました。
その結果、砂糖その他食品事業の合計の売上高は46,394百万円(前年同期比0.2%増)、セグメント利益は2,648百万円(同8.4%増)となりました。
その他の事業につきましては、ドゥ・スポーツプラザを運営する健康産業事業は、会員数が伸長したほか、エステ等の付帯営業が好調に推移しました。加えて、女性専用のホットヨガ&コラーゲンスタジオ「BLEDA」の出店を開始し、増収増益を確保しました。また、冷蔵倉庫事業におきましては、畜産品および氷の取扱いが前期に引き続き好調でしたが、港湾運送事業におきましては輸入合板等の取扱いが減少しました。その結果、合計の売上高は3,446百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益は414百万円(同3.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は49,840百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は3,063百万円(同7.7%増)となりました。営業外損益におきまして、天候不順による原料サトウキビの減産から新光糖業株式会社の業績が悪化したことなどを受け、持分法による投資利益が149百万円減少しましたが、結果として、経常利益は3,372百万円(同2.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2,163百万円(同32.2%増、前年同期には健康産業事業に関する会社分割に伴う特別退職金398百万円、スティックシュガー等二次製品の生産体制合理化・再構築に伴う八尾センター(大阪府八尾市)敷地の減損損失393百万円を計上)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より6,291百万円増加し、8,689百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,895百万円の収入となりました。
主なものは、税金等調整前当期純利益3,196百万円、減価償却費964百万円、法人税等の支払額△702百万円、ならびに売上債権、たな卸資産、仕入債務、その他流動資産およびその他流動負債の増減△1,214百万円です。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ、219百万円減少しています。
主な増減の要因は、税金等調整前当期純利益の増加735百万円、役員退職慰労引当金の増減額の増加△132百万円、持分法による投資損益の減少149百万円、減損損失の減少△393百万円、法人税等の支払額の減少476百万円、ならびに売上債権、たな卸資産、仕入債務、その他流動資産およびその他流動負債の増減△1,302百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,944百万円の収入となりました。
主なものは、余資の運用である定期預金の純増減額△290百万円および有価証券の純増減額6,560百万円、有形固定資産の取得による支出△1,137百万円、有形固定資産の除却による支出△162百万円です。
なお、前年同期は4,467百万円の支出であり、主なものは、余資の運用である有価証券の純増減額△2,350百万円、投資有価証券の取得による支出△1,367百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、547百万円の支出となりました。
主なものは、配当金の支払額△441百万円です。
なお、前年同期は552百万円の支出であり、主なものは、配当金の支払額△442百万円です。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
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砂糖その他食品事業(百万円) |
30,127 |
97.7 |
(注)1.金額は製造原価によっており、内部取引額を除いています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注状況
生産は原則として見込み生産であり、少量の受託加工を除き受注生産は行っていません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
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砂糖その他食品事業(百万円) |
46,394 |
100.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
46,394 |
100.2 |
|
その他(百万円) |
3,446 |
99.9 |
|
合計(百万円) |
49,840 |
100.2 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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住友商事㈱ |
11,260 |
22.6 |
11,200 |
22.5 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループの主力事業である精糖事業におきましては、足許では砂糖需要の減少が続いているものの、TPP交渉の大筋合意がなされ、糖価調整制度の維持の見通しが強まったほか、競合である加糖調製品の調整金制度への組み入れ、高糖度粗糖の非関税化など、重要な制度変更の計画が政府より公表されています。
こうした状況のもと、当社グループは、中期経営計画(2016~2019年度)を策定し、以下の課題に取り組んでいます。
まず、TPP交渉の大筋合意については、これを砂糖の消費回復に取り組むべき重要な機会と捉え、精糖事業の品質・経営効率におけるNo.1クオリティを目指し、平成27年4月に子会社日新カップ株式会社の合併による運営の効率化、今福工場(大阪府大阪市)におけるFSSC22000認証による食品安全の向上、スティックシュガー工場の更新、物流センターの拡充などの取り組みを進めています。
次に、拡大・成長を軌道に乗せるため、第一に、砂糖以外の商材の取扱いの増大に注力してまいります。全国に拡がる当社グループのお客様に対し、甘味料に対する知見、物流機能および品質管理体制に基づき、国内外の甘味料や食品素材を提供することにより「総合甘味サプライヤー」として貢献してまいります。第二に、事業領域の拡大として、砂糖の需要伸長が予測されるアジア等の新興国市場における事業基盤の構築、および糖類の機能性を活かした製品の開発に取り組んでいます。また、これらの手段として、M&Aを積極的に活用してまいります。
また、健康産業事業においても、平成27年1月にドゥ・スポーツプラザの分社化と経営体質改善を実施し、以後、拡大路線を強化しています。従来型の総合スポーツクラブ市場が飽和し、小型専門業態が伸長する消費者ニーズの多様化に対応し、ホットヨガ&コラーゲンスタジオ「BLEDA」により新店舗の展開を推進します。
当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えています。なお、将来に関する事項の記載は、当連結会計年度末日現在において判断したものです。
①精糖業への依存と農業政策等の影響に関するもの
当社グループは、売上高の約9割を砂糖その他食品事業によっており、その主力製品は精製糖です。そのため業績は、精糖業界を取り巻く環境の変化を受けやすい構造にあります。
精糖業界は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の適用を受けており、政府の農業政策の影響を受けます。
②食品の安全に関するもの
当社グループは、豊かで快適な生活の実現のため、『食』と『健康』で貢献することを使命とし、食品の安全性向上のためのさまざまな施策を実施しています。しかし、特に近年の食品業界においては、食の安全に関わる問題が数多く発生しており、当社グループの取組みの想定を超える事態が生じた場合、製品の回収等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③原料および精製糖の価格変動に関するもの
精製糖の原料である輸入粗糖は、海外原糖相場と為替相場の影響を受けて価格が変動します。製品の販売価格は、これらの相場に従って変動する傾向にありますが、価格競争等により、原料価格の上昇の一部または全部を製品価格に転嫁できない状態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④災害等に関するもの
当社グループは、国内各地にて事業活動を行っていますが、地震等の大規模自然災害等が発生し、生産や物流機能に支障が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報システムに関するもの
当社グループは、生産、販売、管理等の情報をコンピュータにより管理しており、コンピュータウイルス感染やハッカーからの攻撃等による被害および外部への社内情報の漏洩が生じないように施策を実施しています。しかし、当社グループの取組みの想定を超える事態が発生し、情報システムに障害が生じたり、外部へ社内情報が流出する事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
精製糖等の共同生産に関する合弁契約
当社は、平成12年10月、大日本明治製糖株式会社および新東日本製糖株式会社との間で新東日本製糖株式会社における精製糖等の共同生産に関する合弁契約を締結しています。
当社グループは、総合甘味サプライヤーとしての基盤強化のため、当社の事業開発部(砂糖その他食品事業)において、砂糖・甘味料に関する新製品の企画開発研究ならびに既存製品の改良や生産効率の向上のための調査・研究を進めています。当連結会計年度における研究開発費の総額は73百万円です。
文中の将来に関する事項の記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は26,653百万円となり、前連結会計年度末に比べ154百万円増加しました。これは主に受取手形及び売掛金が177百万円減少した一方で、商品及び製品が206百万円、原材料及び貯蔵品が267百万円それぞれ増加したことによるものです。また、金利低下の進行により、余資の運用を譲渡性預金からその他の預金にシフトしたことにより、現金及び預金が3,581百万円増加し、有価証券(譲渡性預金等)が3,560百万円減少しました。固定資産は31,020百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,022百万円減少しました。これは主に有形固定資産が188百万円増加した一方で、投資有価証券が571百万円、退職給付に係る資産が572百万円それぞれ減少したことによるものです。
この結果、総資産は57,673百万円となり、前連結会計年度末に比べ867百万円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,715百万円となり、前連結会計年度末に比べ983百万円減少しました。これは主に支払手形及び買掛金が729百万円減少したことによるものです。固定負債は2,584百万円となり、前連結会計年度末に比べ673百万円減少しました。これは主に繰延税金負債が427百万円、役員退職慰労引当金が178百万円それぞれ減少したことによるものです。
この結果、総負債は8,299百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,656百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における株主資本は46,683百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,720百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,163百万円および剰余金の配当441百万円によるものです。また、その他の包括利益累計額は2,690百万円となり、前連結会計年度末に比べ931百万円減少しました。これは主にその他有価証券評価差額金が470百万円、退職給付に係る調整累計額が508百万円それぞれ減少したことによるものです。
この結果、当連結会計年度末における純資産は49,373百万円となり、前連結会計年度末に比べ788百万円増加し、自己資本比率は85.6%(前連結会計年度末比2.6ポイント増)となりました。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「1 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
今後のわが国経済の見通しは、不安定な国際情勢や中国をはじめとする新興国経済の先行きなどの影響による減速懸念の高まりに加え、個人消費の回復の遅れなどにより、依然として不透明な状況が続くことが予想されます。
当社グループを取り巻く環境につきましては、主力の砂糖その他食品事業において、国内砂糖需要の減少傾向が依然として続く厳しい環境が予想されます。
海外原糖市況は、干ばつによるインド・タイ等主要生産国の減産により、世界砂糖需給が2015/16砂糖年度に6年ぶりに供給不足になるとの観測や最大生産国ブラジルの天候要因、さらには原油相場や為替動向などの外部要因により大きく変動するおそれがあります。これらは当社の原料調達価格および販売価格に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、関連会社新光糖業株式会社が天候不順により二期連続の減産になったことに起因する原料コストの上昇および砂糖販売数量の減少が経営成績に影響を与える要因となります。
当社グループは、売上高の約9割を砂糖その他食品事業によっているため、海外原糖市況の動向や砂糖業界を取り巻く環境の変化に特に注視してまいります。
(5)会社の経営の基本方針・中長期的な経営戦略および目標とする経営指標について
①会社の経営の基本方針
当社グループは、豊かで快適な生活の実現のため、『食』と『健康』で貢献することを使命とし、「日々新たに」をモットーに、以下を経営の基本としています。
・公正で透明性の高い経営を実践することにより、社会から信頼される企業を目指す。
・会社の業績向上を図ることにより、社会に貢献するとともに、従業員・お客様・株主などの信頼と期待に応える。
・健康に資する安全な製品・サービスを安定的に提供することにより、お客様の満足と安心を実現する。
②中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標
当社グループは、上記の基本方針に基づいて、「拡大・成長」を主眼とする中期経営計画(2016~2019年度)を策定しています。
〔中期経営計画の要旨〕
・精糖事業の品質・経営効率におけるNo.1クオリティを目指します。
・当社グループの強みを活かして新たな事業・商材に挑戦し、「総合甘味サプライヤー」として拡大・成長を図ります。また、海外における事業展開を推進します。
・健康産業事業における、美容・アンチエイジング・リラクゼーションをキーコンセプトとする新たな店舗展開を推進します。
・以上の取り組みを支えるため、ガバナンス体制の整備、人材の育成、業務効率化等の経営基盤強化を推進します。
当社グループは、株主資本利益率(ROE)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉えており、以上の経営戦略により、2019年度ROE5%、2024年度ROE8%の達成を目指してまいります。
なお、中期経営計画は、次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ウェブサイト)
http://www.nissin-sugar.co.jp/company/philosophy/index.html
また、中期経営計画は、ローリング方式により更新しています。