(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調で推移したものの、依然として個人消費の回復には鈍さが見られる状況にあります。
海外原糖市況につきましては、ニューヨーク市場粗糖先物相場(当限)において1ポンド当たり15.40セントで始まり、4月中旬には今期安値となる14.00セントまで下落しました。その後、深刻な干ばつに見舞われたインド・タイの減産、ならびに天候要因によるブラジル中南部の圧搾量減少予測等を背景に、世界的供給不足感が強まり、さらに金融緩和を背景とした投機筋の積極的な買いも加わったことで、10月上旬には4年ぶりの高値となる23.90セントまで上昇しました。その後は、2017/18砂糖年度以降の世界砂糖需給が一転して余剰に転じるとの見方から、3月下旬には16.58セントまで下落し、16.76セントで当期を終了しました。
国内精糖市況(日本経済新聞掲載、東京)につきましては、上白糖1kg当たり187~188円で始まり、海外原糖相場の急騰を受け、10月下旬に5円、2月下旬には3円と合計で8円上昇し、195~196円で当期を終了しました。
このような状況のもと、主力の砂糖につきましては、夏季の天候不順や暖冬により砂糖全体の出荷量は前年を下回りましたが、当社独自製品である「きび砂糖」および「フロストシュガー」は好調な出荷を維持しました。一方、その他の甘味料につきましては、糖化製品等の取扱いが減少しました。その結果、砂糖その他食品事業合計の売上高は46,372百万円(前年同期比0.05%減)と前期並みとなりましたが、急速な原料コストの上昇に対する価格転嫁の遅れ、退職給付費用の増加等の経費増により、セグメント利益は2,370百万円(同10.5%減)となりました。
また、精糖事業の合理化投資として昨年度より進めてきました、千葉工場(千葉市美浜区)のスティックシュガー包装棟新設および千葉物流センター(千葉市美浜区)の増床については、9月より稼働を開始しています。
ドゥ・スポーツプラザを運営する健康産業事業におきましては、既存店では、ドゥ・スポーツプラザ豊洲店の10周年を機に実施した大型リニューアルなどにより、集客数は好調に推移しました。また、女性専用のホットヨガ&コラーゲンスタジオ「BLEDA(ブレダ)」上里店と伊奈店を開業し、増収となりましたが、一時的な新店舗開業費用の発生により、営業利益は前年並みとなりました。港湾運送事業におきましては、主力取扱商品の利益率が低下し増収減益となり、冷蔵倉庫事業におきましても、稼働率の低下により増収減益となりました。その結果、その他の事業合計の売上高は3,569百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は365百万円(同11.9%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は49,942百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は2,735百万円(同10.7%減)、経常利益は3,073百万円(同8.9%減)となりました。特別利益としてスティックシュガー等の生産体制合理化・再構築に伴う八尾センター(大阪府八尾市)の固定資産売却益391百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,554百万円(同18.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より2,231百万円増加し、10,921百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,894百万円の収入となりました。
主なものは、税金等調整前当期純利益3,388百万円、減価償却費864百万円、持分法による投資利益△284百万円、固定資産売却益△391百万円、法人税等の支払額△1,033百万円、ならびに売上債権、たな卸資産、仕入債務、その他流動資産およびその他流動負債の増減△696百万円です。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ、0百万円減少しています。
主な増減の要因は、税金等調整前当期純利益の増加192百万円、役員退職慰労引当金の増減額の増加210百万円、持分法による投資損益の増加△91百万円、固定資産売却損益の増加△391百万円、法人税等の支払額の増加△331百万円、ならびに売上債権、たな卸資産、仕入債務、その他流動資産およびその他流動負債の増減額の増加517百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,406百万円の収入となりました。
主なものは、余資の運用である定期預金の純増減額△2,140百万円および有価証券の純増減額5,940百万円、有形固定資産の取得による支出△1,910百万円、有形固定資産の売却による収入708百万円です。
なお、前年同期は4,944百万円の収入であり、主なものは、余資の運用である有価証券の純増減額6,560百万円、有形固定資産の取得による支出△1,137百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,069百万円の支出となりました。
主なものは、配当金の支払額△2,024百万円です。
なお、前年同期は547百万円の支出であり、主なものは、配当金の支払額△441百万円です。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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砂糖その他食品事業(百万円) |
30,258 |
100.4 |
(注)1.金額は製造原価によっており、内部取引額を除いています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注状況
生産は原則として見込み生産であり、少量の受託加工を除き受注生産は行っていません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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砂糖その他食品事業(百万円) |
46,372 |
100.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
46,372 |
100.0 |
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その他(百万円) |
3,569 |
103.6 |
|
合計(百万円) |
49,942 |
100.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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住友商事㈱ |
11,200 |
22.5 |
8,956 |
17.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、豊かで快適な生活の実現のため、『食』と『健康』で貢献することを使命とし、「日々新たに」をモットーに、以下を経営の基本としています。
・公正で透明性の高い経営を実践することにより、社会から信頼される企業を目指す。
・会社の業績向上を図ることにより、社会に貢献するとともに、従業員・お客様・株主などの信頼と期待にお応えする。
・健康に資する安全な製品・サービスを安定的に提供することにより、お客様の満足と安心を実現する。
(2)資本政策の基本的な方針
当社の資本政策は、以下の4点により構成しています。
①中長期的なROE向上
当社は、ROE(株主資本利益率)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉えています。売上高利益率、財務レバレッジ、および総資産回転率を常に改善し、2019年度5%、2024年度8%をめざしていきます。
②安定性の上に業績連動を加味した株主還元
株主還元については、株主資本配当率(DOE)の目標値を設定し、継続性・安定性を保持した上で、当期利益に対する比率(連結配当性向(DPR))目標を設定し、業績が好調な場合の連動性を高めた配当を実施します。配当に加え、自己株式の取得については、市場環境、資本効率等に鑑み適宜実施する可能性があります。
③長期的な成長と総資産回転率向上のための投資採択基準
長期的な成長と総資産回転率向上のための投資の規律として、リスクと戦略性のランク別に、投下資本利益率と投資回収期間を設定し、投資を厳選します。
④財務レバレッジの向上と安定性のバランス
成長投資の加速と株主還元の増大により、財務レバレッジを長期的に改善するとともに、継続的・安定的に企業理念を実現するため、健全なバランスシートを維持し、結果としてROEの持続的な改善を実現します。
当社では、こうした資本政策によって、成長投資と安定した株主還元を両立し、持続的な株主価値向上に努めていきます。
(3)中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標
当社グループは、上記の「(1)会社の経営の基本方針」および「(2)資本政策の基本的な方針」に基づいて、「拡大・成長」を主眼とする中期経営計画(2017~2019年度)を策定しています。
〔中期経営計画の要旨〕
・精製糖事業の経営品質・経営効率におけるNo.1企業を目指します。
・当社グループの強みを活かして新たな事業・商材に挑戦し、「総合甘味サプライヤー」として拡大・成長を図ります。また、国内外における事業展開を推進します。
・健康産業事業における、美容・アンチエイジング・リラクゼーションをキーコンセプトとする店舗展開を推進します。
・以上の取り組みを支えるため、ガバナンス体制の整備、人材の育成、業務効率化等の経営基盤強化を推進します。
当社グループは、株主資本利益率(ROE)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉えており、以上の経営戦略により、2019年度ROE5%、2024年度ROE8%の達成を目指してまいります。
なお、中期経営計画は、次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ウェブサイト)
http://www.nissin-sugar.co.jp/company/management/index.html
(4)経営環境および対処すべき課題
当社を取り巻く経営環境においては、主力の砂糖その他食品事業は、平成27砂糖年度(平成27年10月から平成28年9月まで)において国内砂糖需要の減少に一旦歯止めがかかったものの、人口減少が続くなかで拡大が望めない厳しい状況が予想されます。こうした状況のもと、当社グループは、中期経営計画(2017~2019年度)を策定し、精製糖事業の経営品質・経営効率における№1企業を目指すとともに、拡大・成長に向けた施策を着実に実施してまいります。
精製糖事業においては、平成27年に子会社日新カップ株式会社の合併による運営の効率化、平成28年にスティックシュガー工場の更新および物流センターの増床を実施してまいりました。今後はさらに、今福工場(大阪市城東区)におけるFSSC22000認証の全製品への適用による食品安全の向上、順調に販売数量を伸ばしている「きび砂糖」の生産設備の増設等の取り組みを進めてまいります。
拡大・成長に向けた施策においては、砂糖以外の食品素材分野に注力してまいります。全国に拡がる当社グループのお客様に対し、甘味料に対する知見、物流機能および品質管理体制に基づき、国内外の甘味料や食品素材を提供することにより「総合甘味サプライヤー」として貢献してまいります。なかでも、オリゴ糖等の機能性多糖類分野につきましては、健康の維持増進のため、腸内環境を整える重要性が注目されるなか、ガラクトオリゴ糖配合の「オリゴの王様」を5月に上市し、家庭用製品市場に進出しております。また、新たな食品素材等の取扱い増大のため、M&Aを積極的に活用してまいります。
健康産業事業においても、従来型の総合フィットネスクラブが伸び悩み、多様化する消費者ニーズに対応した小型専門フィットネスクラブが伸張するなかで、平成27年に分社化した株式会社ドゥ・スポーツプラザにおいて、経営体質改善を進め、ホットヨガ&コラーゲンスタジオ「BLEDA(ブレダ)」による新店舗の展開を推進し、拡大路線を強化してまいります。
当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えています。なお、将来に関する事項の記載は、当連結会計年度末日現在において判断したものです。
①精製糖への依存と農業政策等の影響に関するもの
当社グループは、売上高の約9割を砂糖その他食品事業によっており、その主力製品は精製糖です。そのため業績は、精製糖業界を取り巻く環境の変化を受けやすい構造にあります。
精製糖業界は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の適用を受けており、政府の農業政策の影響を受けます。
②食品の安全に関するもの
当社グループは、豊かで快適な生活の実現のため、『食』と『健康』で貢献することを使命とし、食品の安全性向上のためのさまざまな施策を実施しています。しかし、特に近年の食品業界においては、食の安全に関わる問題が数多く発生しており、当社グループの取組みの想定を超える事態が生じた場合、製品の回収等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③原料および精製糖の価格変動に関するもの
精製糖の原料である輸入粗糖は、海外原糖相場と為替相場の影響を受けて価格が変動します。製品の販売価格は、これらの相場に従って変動する傾向にありますが、価格競争等により、原料価格の上昇の一部または全部を製品価格に転嫁できない状態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④災害等に関するもの
当社グループは、国内各地にて事業活動を行っていますが、地震等の大規模自然災害等が発生し、生産や物流機能に支障が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報システムに関するもの
当社グループは、生産、販売、管理等の情報をコンピュータにより管理しており、コンピュータウイルス感染やハッカーからの攻撃等による被害および外部への社内情報の漏洩が生じないように施策を実施しています。しかし、当社グループの取組みの想定を超える事態が発生し、情報システムに障害が生じたり、外部へ社内情報が流出する事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
精製糖等の共同生産に関する合弁契約
当社は、平成12年10月、大日本明治製糖株式会社および新東日本製糖株式会社との間で新東日本製糖株式会社における精製糖等の共同生産に関する合弁契約を締結しています。
当社グループは、総合甘味サプライヤーとしての基盤強化のため、当社の事業開発部(砂糖その他食品事業)において、砂糖・甘味料、その他の新商材に関する研究および新製品の企画開発ならびに既存製品の改良や生産効率の向上のための調査・研究を進めています。当連結会計年度における研究開発費の総額は72百万円です。
文中の将来に関する事項の記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は25,745百万円となり、前連結会計年度末に比べ908百万円減少しました。これは主に有価証券(譲渡性預金等)が8,939百万円減少した一方で、現金及び預金が7,371百万円、受取手形及び売掛金が348百万円、原材料及び貯蔵品が227百万円それぞれ増加したことによるものです。固定資産は32,528百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,508百万円増加しました。これは主に有形固定資産が814百万円、投資有価証券が596百万円、退職給付に係る資産が106百万円それぞれ増加したことによるものです。
この結果、資産合計は58,273百万円となり、前連結会計年度末に比べ600百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,445百万円となり、前連結会計年度末に比べ270百万円減少しました。これは主に未払法人税等が226百万円減少したことによるものです。固定負債は2,637百万円となり、前連結会計年度末に比べ53百万円増加しました。
この結果、負債合計は8,082百万円となり、前連結会計年度末に比べ216百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における株主資本は47,205百万円となり、前連結会計年度末に比べ521百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,554百万円および剰余金の配当2,031百万円によるものです。また、その他の包括利益累計額は2,985百万円となり、前連結会計年度末に比べ295百万円増加しました。これは主にその他有価証券評価差額金が252百万円、退職給付に係る調整累計額が42百万円それぞれ増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度末における純資産合計は50,190百万円となり、前連結会計年度末に比べ816百万円増加し、自己資本比率は86.1%(前連結会計年度末比0.5ポイント増)となりました。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
今後のわが国経済の見通しは、企業業績の改善を受けて設備投資が増加し、個人消費も雇用者所得の改善が続くもとで増加傾向をたどるなど、緩やかな拡大を続けるとみられます。
当社グループを取り巻く環境につきましては、主力の砂糖その他食品事業において、農林水産省が公表する平成27砂糖年度(平成27年10月から平成28年9月まで)消費量実績によれば、国内砂糖需要の減少に一旦歯止めがかかったものの、人口減少が続くなかで拡大が望めない厳しい環境が予想されます。そのうえ、昨年度来の海外原糖相場の乱高下が、精製糖メーカーの適正価格の維持を困難にするとともに、原油相場の反転がエネルギーコストの上昇につながるなど、極めて厳しい状況にあります。こうした状況のもと、当社グループは中期経営計画を策定し、引き続き精糖事業の経営品質・経営効率におけるNo.1クオリティーの推進と拡大・成長に向けた施策を着実に実施してまいります。
次期の業績につきましては、砂糖その他食品事業におきまして、エネルギーコストの上昇、新製品の開発・調査費用および今福工場のFSSC22000認証拡大のための設備更新に係る費用、ならびに超低金利の影響による退職給付費用の増加等が業績の下押し要因となっています。
一方、その他の事業におきましては、ドゥ・スポーツプラザを運営する健康産業事業は、「BLEDA(ブレダ)」の新店2店舗の開業を予定しています。