第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費を中心に底堅さを維持しており、欧州経済も欧州中央銀行による量的緩和政策等により緩やかな回復が継続している一方、中国においては、社会資本投資の鈍化や輸出の低迷等により景気の減速が明らかとなる展開となった。わが国経済は、平成27年度前半は個人消費・企業の設備投資共に緩やかな回復基調にあったが、第4四半期に入り急激に円高と株安が進み、企業の業績への影響懸念から景気の先行きは不透明な状況にある。

当社グループを取り巻く事業環境は、造船事業においては船腹及び製造設備の過剰という構造が依然として継続しており、とりわけバルカー市況の歴史的低迷により、バルクキャリアーの新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価は低迷状態を続けている。かかる状況下、当社は、世界トップクラスの省エネ性能を誇るバルクキャリアー等の受注活動を積極的に展開した結果、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー及び60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアーを中心に計7隻受注し、年度末の新造船受注残高は約3年分の受注残高である26隻となった。また、平成26年度から本格的に取り組んでいる水島製造所での改修船事業と、大阪製造所でのLPG船タンク製造事業について受注活動をさらに積極推進した。

陸上事業及びレジャー事業においては、これらを当社グループの「第2のコア事業」として位置づけ収益拡大を経営課題に掲げているが、2020年(平成32年)東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた首都圏でのオフィスビル・マンション等の高層建築の増加を捉え工事用エレベータの販売・レンタル売上を伸長させたほか、化粧品等の乳化装置・攪拌機の売上を伸ばした。また、平成27年3月にショットブラストマシンの製造販売を事業とする㈱大鋳を買収し、当連結会計年度の売上高・利益に寄与した。レジャー事業では、万博記念公園内の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)において、平成27年11月に「ポケモンEXPOジム」をオープンした。また、オリジナル機種の開発に注力する一方、国内の遊園地等への需要を喚起すべくマーケティング活動を強化した。豪州観覧車事業においては、運営のマネジメント体制の強化を図る一方、今後の収益性を評価し直し、固定資産の減損損失1,325百万円を特別損失に計上した。サービス事業ではかねて堅調な業績を残して重要性の高まっていた非連結子会社4社を平成27年度より連結子会社として体制整備を図り、一層の事業展開を目指した。

これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前期比4,640百万円(9.5%)増加53,347百万円営業利益は前期比148百万円(6.6%)減少2,121百万円経常利益は前期比441百万円(20.1%)減少1,748百万円親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,533百万円(88.2%)減少204百万円となった。

セグメントの業績は次のとおりである。

 

① 造船事業

上述のとおり、新造船の受注環境がより厳しくなる中ではあったが、3年程度の受注残高を確保する方針のもとに営業活動を進めた結果、新たに開発した82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー5隻と60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻をはじめ合計7隻の受注を確保した。その結果、当連結会計年度末の受注残高は新造船が約3年分の26隻、改修船等を含めた工事進行基準ベースで72,867百万円となった。

新造船の引渡しは、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー3隻、117千重量トン型ハンディケープ・バルクキャリアー1隻、430万キュービックフィート型木材チップ運搬船1隻の合計5隻であり、修繕船等を加えた当該事業の売上高は、改修船・LPG船用タンク製造事業及びプラント事業の売上伸長により前期比282百万円(0.8%)増加34,737百万円となったが、リーマンショック以降に受注した新造船の売上計上が多くなったため、営業利益前期比822百万円(31.5%)減少1,789百万円となった。

 

 

② 陸上事業

建設工事用機械製造・レンタル、機械式駐車装置製造・保守、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水・環境工事及び鋳造機製造等の陸上事業においては、「第2のコア事業」として位置づけ収益拡大を経営課題に掲げて、顧客ニーズに対応した積極的な開発及び受注活動に努めた結果、当連結会計年度末の受注残高は2,685百万円となった。売上高は、前期比3,245百万円(32.7%)増加13,158百万円営業利益前期比461百万円(63.9%)増加1,182百万円となった。

 

③ レジャー事業

遊園機械製造及び遊園地運営等を行うレジャー事業においては、オリジナル機種の開発に着手するとともに機械販売及び運営に注力した結果、機械販売は時期ずれ等により減収となったが、新規事業のレジャー施設経営による売上が加わったことと既存遊園地が増収となったことにより、売上高前期比13百万円(0.3%)増加3,965百万円となった。営業損益は、レジャー施設経営の創業赤字を主要因に、営業損失は319百万円(前期実績は444百万円の営業損失)となった。

 

④ サービス事業

ソフトウェア開発等を行うサービス事業においては、平成27年度より従来非連結子会社であった4社を連結子会社としたことにより、売上高前期比1,099百万円(285.1%)増加1,485百万円営業利益前期比79百万円(211.4%)増加116百万円となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,404百万円減少し、19,408百万円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ10,590百万円減少し、2,735百万円の支出となった。主な収入は、減価償却費2,012百万円減損損失1,370百万円、前受金の増加1,042百万円であり、一方、主な支出は、売上債権の増加6,478百万円、法人税等の支払額590百万円である。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ600百万円減少し、2,309百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,691百万円等である。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ2,656百万円増加し、686百万円の収入となった。主な収入は、長期借入金の借入による収入13,150百万円セール・アンド・リースバックによる収入1,309百万円であり、一方、主な支出は、長期借入金の返済による支出12,805百万円、短期借入金の純増減660百万円である。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

造船事業

31,493

5.7

陸上事業

9,812

43.8

レジャー事業

462

△46.5

サービス事業

458

△3.4

合計

42,227

11.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していない。

2 金額は期間中に発生した製造原価で示している。

3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

造船事業

29,547

△35.4

72,867

△6.2

陸上事業

8,787

13.2

2,685

△7.4

レジャー事業

1,155

52.3

534

1,767.1

サービス事業

373

13.4

45

83.4

合計

39,864

△27.0

76,132

△5.6

 

(注) 1 陸上事業の機械レンタル及びレジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていない。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

造船事業

34,737

0.8

陸上事業

13,158

32.7

レジャー事業

3,965

0.3

サービス事業

1,485

285.1

合計

53,347

9.5

 

(注) 1 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。

相手先

前連結会計年度
(自 平成26年4月1日
 至 平成27年3月31日)

当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

LEPTA SHIPPING CO., LTD

7,267

13.6

CLIO MARINE INC.

7,046

14.5

三菱商事㈱

5,178

10.6

ERICA NAVIGATION S.A.

5,085

10.4

 

2 CLIO MARINE INC.、三菱商事㈱及びERICA NAVIGATION S.A.については、当連結会計年度において10%未満のため記載を省略している。また、LEPTA SHIPPING CO.,LTDについては、当連結会計年度から10%を超えたため、記載することとなった。

3 上記金額には、消費税等は含まれていない。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 経営環境及び課題への取組み

経営の基本方針である各事業の収益の極大化を図るため、それぞれが直面する事業環境に適応して、選択と集中を進め、業績を向上させていくことが当社の最大の課題である。その解決のためには、各事業に最適なビジネスモデルを構築し洗練していける体制面の強化、独立採算による責任と権限の明確化、意思決定の迅速化、事業特性に応じたリスク管理強化等が必要となる。これを実現するために、当社グループでは事業ごとに分社化することが最適であると考え、持株会社の下に造船・陸上・レジャーの各事業会社を連結・非連結子会社として配置したグループ組織とした。
 持株会社は各事業会社をグループ全体の観点から統括し、グループ戦略を策定して資源配分を最適化する機能と、経営管理の均質化を含めたガバナンスを事業会社全てに徹底する体制の構築を目指すと共に、各事業会社は各事業に最適なビジネスモデルを構築・洗練し、独立採算で事業を行うことにより、連結経営のレベルアップを図り、社会や市場の変化に迅速に対応できる企業グループ体制の確立を目指す。
 
 各事業においては下記の経営戦略を考えている。
 
 造船事業においては、平成20年のリーマンショック以降も中国をはじめとする造船設備の過剰から新造船供給が高水準で続き、一方中国の経済減速等の要因で、海上荷動き量が伸び悩んでおり、その結果海運市況が歴史的低水準にあることから、新造船価格は低迷を続けており、受注環境は厳しい状況である。
 当社はこの環境下、建造量をスローダウンして以降年間8隻程度の建造体制が定着した。開発面では新しい共通構造規則及び環境規制を適用したバルクキャリアー(パナマックス型、ハンディーケープ型)の開発を終え、受注に備える体制を整えた。さらに、EEDI(エネルギー効率設計指標)フェーズ3達成可能な次世代省エネ型のパナマックス・バルクキャリアー新船型の開発を進め、加えて、新しい船種としてアフラマックス型タンカーの開発を進めており、市況変化に幅広く対応できる商品メニューの整備に取り組んでいる。今後も受注残約3年分の維持を基本方針とするが、市場環境に応じたフレキシブルな対応を行う。
 修繕船事業においては、作業船等の新造を含めた改修船事業では、水島製造所のドックと2基の800トン門型クレーンを活用した大型案件の工事に取り組んでいる。さらに、LPG船用タンク事業においては、設備増強を含めた積極的な事業展開を進めていく。
 プラント事業においては、わが国トップクラスの実績を持つ食品タンク製造据付においてさらに受注を重ねていく。
 
 陸上事業は主に国内を主要マーケットとしており、製品・サービスの価格競争は依然として厳しく、原材料価格の上昇や人材確保のための賃金上昇圧力を受けつつあるが、国内景気が緩やかに回復に向かうと予想する中で、事業環境は好転している。陸上事業・レジャー事業は、造船に次ぐ「第2のコア事業」と位置付け強化拡充していく方針である。具体的な戦略は次のとおりである。

①陸上事業においては、価格競争力の強化、品質の更なる向上を図るため、平成28年4月1日付でサノヤスホールディングス㈱企画部内に「ものづくり推進室」を設置し、製造力の強化を図っていく。

②持株会社の下で、各事業会社の事業特性・ビジネスモデル・企業の成長過程に応じた組織体制の強化拡充を図っていく。平成28年4月1日付でサノヤス商事㈱がサノヤス安全警備㈱及びサノヤス産業㈱を吸収合併し、商号をサノヤス・ビジネスパートナー㈱と改めた。この統合により会社規模の適正化並びに運営の効率化、財務改善による一層の経営安定化を図っていく。

③新規技術・新規業務の開発や、新規市場開拓、旧設備の更新に必要な生産体制の強化拡充を図る。現在、化粧品製造用機械製造工場の建て替え及び生産設備の刷新を行っている。加えて自動車部品製造工場の建て替えを計画している。

 

 レジャー事業は、国内と豪州を主たる市場としている。具体的な戦略は次のとおりである。

①国内市場では、消費者の嗜好に合った遊具を企画・開発して顧客である遊園地に提案するとともに、ロケーション営業においては安全・安心をベースとして親切丁寧な接客を旨として従業員教育を徹底している。

②豪州観覧車事業については、営業開始から2年余りが経過し、現地での認知度は向上した。海外からの観光客向けのマーケティングに注力する段階を迎えることもあり、平成27年4月に遊具所有と従業員雇用の2社体制を統合して1社体制に改め、マネジメントの統一を図った。

③新規事業のレジャー施設経営については、平成27年11月に万博記念公園内の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)においてオープンした。施設の認知度を高め、集客に注力する。

 

 上記の各事業の経営戦略を着実にかつ早期に実現すべく、持株会社体制による効果の発揮に注力していく。
 造船事業においては、まず船舶営業本部において新造船の新規受注が厳しい中、修繕船事業とLPG船用タンク事業の営業強化が課題である。平成28年4月1日付でマリン営業部を同部と修繕船営業部の2つの部に分割し、肌理細かな営業を行っていく。また、技術本部において同月同日付で船舶設計部を船殻設計部と艤装設計部の2つの部に再編成し、設計品質の向上と設計の効率化を図っていく。
 陸上事業、レジャー事業においては、各事業会社が独自のビジネスモデルに一層の磨きをかけ、独立採算による権限と責任の明確化を図ることにより、各市場における競争への適応と意思決定の一層のスピードアップを図る。また、当社グループのシステム開発力を各事業会社の業務効率化のためのシステム開発に振り向け、効率向上と人員の効率活用を図る。
 各事業の経営を革新していくために最重要の人財面については、経営管理層の世代交代を進めると同時に、メーカーとしての根幹である技術・技能の伝承にも最優先で取組んでいく。
 資機材調達コストの低減は、メーカーである当社グループにとって大きな経営課題であり、安定調達を大前提としつつ、調達先の拡大あるいは絞り込むことでコストの削減を図り、同時に、生産効率の向上を図る施策を実行することで、トータルの収益性向上を目指す。
 また、メーカーである当社グループにとって、生産過程を始めとする各職場での安全の確保は事業を進めていくための大前提である。平成28年4月1日付でサノヤスホールディングス㈱人事部内に「安全統括室」を設置し、グループ全体の災害への備えを含めて、最大限の努力を尽くしていく。
 コーポレートガバナンスについては、グループガバナンスの一層の充実に努めると同時に、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することで企業価値の向上を図っていく。

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容

 

当社は、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上していくことを可能とする者が望ましいと考えております。もっとも、上場会社として当社株式の自由な売買が行われている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。

しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強制するおそれがあるもの、株主の皆様が買付けの条件等について検討したり、当社取締役会が代替案を提案したりするための十分な時間や情報を提供しないもの等も散見されます。また、船舶部門及び陸上部門を手掛ける当社グループの経営においては、当社グループが保有する有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、当社グループに与えられた社会的使命、それら当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を構成する要素等への理解に基づく中長期的な視野を持った経営施策が必要不可欠です。かかる買付行為がなされる場合や当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者によりかかる中長期的視野を欠く経営がなされる場合、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益や当社グループに関わる全てのステークホルダーの利益は毀損されることになる可能性があります。

従って、当社としましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。

 

 

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

 

当社グループは、造船業を祖業として、「まごころこめて生きた船を造る」という、ものづくりに懸ける精神と培った技術を他分野に展開し、安全、環境の配慮と技術に裏打ちされた確かな品質・性能を備えた製品の提供を通じて、ステークホルダーである株主の皆様、顧客、仕入先、協力会社、金融機関、従業員から信頼され、社会にとって魅力ある企業として持続的に発展することを目指しています。

造船業界においては、“二つの過剰”(過剰船腹・過剰建造能力)による需給ギャップが大きく、生き残りをかけ、統合や合従連衡、海外進出といった規模拡大を図る動きも見られる中、当社を取り巻く環境も厳しい状況が続くことが見込まれます。

このような環境の下、当社は、グループの原点である造船業を「コア事業」、造船業以外の様々な多角化事業(陸上・レジャー・サービス事業)を「第2のコア事業」と位置付け、体質を強化し、環境の変化に柔軟に対応しながら、この二つの事業のバランスのとれた成長を通じて企業価値を持続的に高めていくため、「高い技術力」「強い現場力」「コスト競争力」「不断の経営革新」「人財重視経営」を基軸とする諸施策を推し進め、将来に亘って成長を続け、収益力を高める基盤づくりに取り組んでおります。また、グループ各社は、それぞれの事業環境に応じたビジネスモデルを構築し、「自立と自律」を目標にして一層の社業発展に努めております。

さらに、当社は、コーポレート・ガバナンスの強化の一環として、執行役員制度を導入しており、経営の「意思決定」及び「監督」機能と「業務執行」機能の分離を進めているほか、経営環境の変化に迅速に対応できる機動的な経営体制の確立と取締役の経営責任を明確にするために取締役の任期を1年としております。また、取締役会の監督機能を高め経営の透明性を向上させるべく、2名の社外取締役と3名の社外監査役を独立役員として招聘しております。このような体制整備のほか、当社グループでは情報開示をより一層充実させることによって、株主の皆様やその他外部からのチェック機能を高め、経営の透明度を高めてまいりたいと考えております。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 

当社は、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。

 

④ 各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 

上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものであります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。なお文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

1) 経済状況、事業環境について

造船事業においては、世界経済の動向に伴う海上貨物の需要変動と、それを運ぶ船腹の供給、特にドライバルク市況の動向に最も大きく影響を受ける。中国の景気減速等が影響し、海運荷動き量は伸び悩んでおり、需給関係は供給過多が続いているため、特にドライバルク市況が歴史的な水準で低迷している。一方、環境と安全に関する国際的な船舶規制強化は順次着実に実施され、より省エネ化した船舶の設計・製造が必要となってきている。

陸上事業は、主として国内景気の動向に大きく影響を受ける。建設工事用機械は高層マンション・ビルの建設需要に、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水工事及び鋳造機製造は国内製造業の需要動向に影響を受ける。

レジャー事業は、国内及び海外のレジャー施設建設需要と、国内及び豪州の消費者のレジャー需要(天候要因を含む)に影響を受ける。

陸上事業及びレジャー事業においても、造船事業同様、海外への輸出に注力しており、現地での需要動向や法規制等の変更による影響を受ける可能性がある。

2) 外国為替相場の変動について

造船事業において売上の大半を占める新造船は海外向けの輸出比率が高く、一部円建て契約はあるものの、米ドル建ての契約が存在する。また、資材購入には輸入等もあり、外国為替相場の変動により売上、損益とも影響を受けることになる。
 陸上事業、レジャー事業においても輸出入及び豪州観覧車事業があり、外国為替相場の変動により当該事業の業績が影響を受ける可能性がある。

3) 金利の変動について

今後、金利が上昇した場合、当社グループの有利子負債の支払利息が増加し金融収支が悪化する可能性がある。

4) 投資有価証券について

当社グループの保有する投資有価証券は大半が上場株式であるため、今後、株式相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

5) 原材料、資材、エネルギー価格について

鉄、非鉄金属、石油石炭等の原材料の値上がりに連れて造船用鋼材をはじめ当社グループの調達資材や電力等エネルギー価格が上昇し、長期の受注生産を中心とする当社グループの事業特性からコストアップ要因として働き業績に影響を与える可能性がある。

6) 製品の保証について

当社グループでは、品質管理基準に従って製品の製造並びに据付工事及びメンテナンス等を行っているが、当社グループ負担の保証工事や製造物賠償責任等に伴うコストの発生から、保険等でカバーすることができず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

7) 法的規制、会計基準について

当社グループは、国内外の各種法令、許認可や規制の順守のもとに事業を遂行し、会計基準に則り会計処理を行っているが、法令の改廃や法的規制が設けられたり、また、税効果会計や減損会計を適用しているため、将来の予想数値の変更があった場合、並びに会計基準が変更される場合等には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

8) 環境保全について

社会の要請である環境保全については、グループ全体で真摯に取り組んでいるが、不測の事態等によりコストが発生し業績に影響を及ぼす可能性がある。
 

 

9) 災害及び事故について

当社グループは火災、地震、台風等の各種災害に対し、損害の発生及び拡大を最小限に止めるべく防波堤の構築やシステム機器の外部センター等への分散配置等の処置を講じているが、それらの災害により当社グループの活動が影響を受ける可能性がある。また、工場及び工事現場における安全管理には万全を期しているが、万一事故が起きた場合には損害額、賠償額が保険等で十分カバーされず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

10) 訴訟等について

当社グループの事業に関連して、当社グループが当事者となることのある訴訟その他法的手続きに係る決定等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

11) 情報セキュリティについて

当社グループが保有する情報資産の保護については、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等によって、グループ全体で取り組んでいる。しかし、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセス、その他不測の事態によって、これらの情報資産が消失、もしくは漏洩した場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性がある。
 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、各事業分野において商品競争力の強化、事業分野拡大及びブランドイメージ向上を目指した各種の研究開発を積極的に推進した。当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費は414百万円である。

 

(1) 造船事業

造船事業では温室効果ガスや窒素酸化物の排出規制等の環境問題、エネルギー効率の向上など、商船を取り巻く社会的な要請に対応し、これらの課題解決に資する要素技術の研究・開発に重点的に取り組み、その研究成果を基盤として新船型を開発した。

船型ラインナップとして、平成28年より適用のNOx排出三次規制に適合したばら積貨物船3船型(パナマックス型、ハンディケープ型、スプラマックス型)の開発を終え、平成28年度以降の主力製品ラインナップを刷新し、受注に備える体制を整えた。パナマックス型については、独自の船型開発技術と要素技術の融合により、新しい共通構造規則を適用しながらも、浅喫水での大きな積高を有し、かつ、EEDI(エネルギー効率設計指標)フェーズ3達成可能な次世代省エネ型の新船型の開発を進めた。加えて、新しい船種としてアフラマックス型タンカーの開発にも着手し、さらなる製品メニューの拡充を図っている。

要素技術開発では、「PIV計測による省エネ装置の最適化研究」や「風圧抵抗低減に関する研究開発」に取り組み、計画通りの成果を得て、次世代省エネ型の新船型に適用、実用化の目処をつけた。さらに、「モニタリング装置の実船搭載」として、スプラマックス型バルクキャリアーにモニタリングシステムを実装し、実海域での性能を分析・評価し、次期開発船の性能設計へフィードバックする体制を整えた。

新規則対応も重要な研究課題として取り上げた。「船内騒音規制」については、各種防音対策製品の騒音低減効果を評価することを目的に、騒音計測を各船の試運転で実施した。得られたデータをもとにして、実船に対する有効な騒音対策の策定が可能となった。平成27年7月より適用が開始された「共通構造規則(CSR-B&I)」に対しては、昨年度と同様に主力船型の試設計・影響評価を実施し、その結果は新船型開発において有効に活用されている。

設計基幹システムである「3D-CAD(FORAN)の開発」については、当年度も適用領域の拡大を中心に、機能強化及び周辺システムとの連携強化に取り組み、新たに溶接長などの管理物量集計用の3Dツール導入に繋げた。併せて現業への活用展開を目指し、3Dモデルビューワーのユーザービリティ向上のための開発を実施した。

なお、造船事業部門の研究開発費は294百万円である。

 

 

(2) 陸上事業

陸上事業では多様な市場、顧客ニーズに応えるべく、経済性・安全性に優れ、環境にも配慮した新商品開発・研究に取り組んだ。

建設工事用機械においては「大型高速1本構工事用エレベーター」の新型機2機種の開発に着手した。本新型2機種は、首都圏で進む超大型開発プロジェクトにおける高さ250m超の超高層ビルの建築工事の楊重に対応した国内最大クラスの搬器であり、国内最速の加減速性能を有した次世代の大型工事用エレベーターである。2020年(平成32年)東京オリンピック・パラリンピック関連工事に向けて需要の拡大が見込まれ、すでに大手ゼネコンをはじめ、数社へのレンタル及び新規販売の引き合いがあり、受注活動も開始していることから、今後の拡販に向けた開発設計をさらに加速させていく。

機械式駐車装置においては、駐車場法施行規則の一部改正があり、既認定装置を新基準に対応させるための認定再取得を進めた。また「テロ対策用バリケード(スーパーボラード仁王)」の長期実証試験は現在も継続中であり、信頼性を向上させるための改良に取り組んだ。

化粧品製造用の乳化装置及び攪拌機等においては、一昨年に特許を取得した循環式ミキサーの大型生産機への実用化に向けた開発を進めた。また化粧品以外の分野として、医薬品関係への乳化攪拌機の拡販に向けて研究室向けの新型卓上試験機の開発を行うとともに、同事業参入に不可欠な第1種圧力容器の製造許可を取得した。これにより、老朽化した工場の刷新ともあいまって、医薬品分野への販売拡大の準備が整いつつある。

なお、研究開発費は52百万円である。

 

(3) レジャー事業

レジャー事業では多角化する顧客ニーズに応えるため、先見的な商品提案をすべく各種開発に取り組んだ。乗客が能動的に操作することで乗物を制御できる当社オリジナルの「参加型回転式ファミリーライド」は一号機を完成させ、現在は自社営業の遊園地において商業運転を開始している。また、観覧車では旧来からの仕様に加え、よりインタラクティブ性を持たせることで新たな観覧車の魅力を創出すべく、Augmented Reality(拡張現実)技術の導入等に取り組んだ。なお、研究開発費は66百万円である。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,663百万円増加し、44,948百万円となった。これは主に現金及び預金4,101百万円減少したものの、受取手形及び売掛金7,015百万円、その他流動資産が424百万円それぞれ増加したこと等によるものである。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて931百万円減少し、25,942百万円となった。これは主に、有形固定資産が196百万円長期貸付金183百万円、無形固定資産が142百万円それぞれ増加したものの、投資有価証券1,584百万円減少したこと等によるものである。
 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,948百万円減少し、29,500百万円となった。これは主に前受金1,224百万円支払手形及び買掛金481百万円それぞれ増加したものの、短期借入金2,950百万円受注工事損失引当金473百万円それぞれ減少したこと等によるものである。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて3,877百万円増加し、22,435百万円となった。これは主に、長期借入金3,022百万円、リース債務が1,095百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて802百万円増加し、18,954百万円となった。これは主に、退職給付に係る調整累計額341百万円その他有価証券評価差額金318百万円それぞれ減少したものの、繰延ヘッジ損益1,266百万円利益剰余金314百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
 

 

(2) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、造船事業においては新造船事業の完成・引渡し隻数が82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー3隻、117千重量トン型ハンディケープ・バルクキャリアー1隻及び430万キュービックフィート型木材チップ運搬船1隻の合計5隻と減少するなど前連結会計年度対比減少となったが、改修船・LPG船用タンク製造事業及びプラント事業の売上伸張により、前連結会計年度対比282百万円増加、陸上事業においては「第2のコア事業」として位置付け積極的な開発及び受注活動に努めたことに加え、㈱大鋳を買収したこと等により、前連結会計年度対比3,245百万円増加、レジャー事業においては新規事業のレジャー施設経営による売上高が加わったことにより、機械販売の減収等を補い、前連結会計年度対比13百万円増加、サービス事業においては従来非連結子会社であった4社を連結したことにより、前連結会計年度対比1,099百万円増加した結果、前連結会計年度比4,640百万円(9.5%)増加の53,347百万円となった。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、造船事業においてはリーマンショック以降に受注した新造船の売上計上割合が多くなったことを主因に、前連結会計年度対比822百万円減少したが、陸上事業、レジャー事業及びサービス事業の前連結会計年度対比増加により、前連結会計年度比148百万円(6.6%)減少2,121百万円となった。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、前述の営業利益に加え受取利息・受取配当金等による営業外収益が264百万円、支払利息等による営業外費用が637百万円となったことから、前連結会計年度比441百万円(20.1%)減少1,748百万円となった。

 

(特別損益)

当連結会計年度において特別利益として531百万円を計上している。これは主に、受取和解金330百万円等である。一方、特別損失として1,723百万円を計上している。これは主に、減損損失1,370百万円等である。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は、豪州観覧車事業における減損損失の計上に伴い、前連結会計年度比1,434百万円(72.0%)減少の556百万円となった。当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益も同様の理由により、前連結会計年度比1,533百万円(88.2%)減少の204百万円となった。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。