当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費を中心に堅調さを維持しており、欧州は英国のEU離脱問題を抱えるものの緩やかな回復が続いている。中国においては、年度始めに懸念した景気の減速感が和らぐ傾向にある。わが国経済は、企業の設備投資は改善に向かうとともに、雇用環境の良好さを背景に個人消費も回復しつつあり、景気は緩やかな回復基調にある。
造船事業の事業環境においては、船腹及び製造設備の過剰という構造が依然として継続しており、バルクキャリアーの運賃指標(BDI)は歴史的低迷からは回復したものの、新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価は低迷状態を続けている。こうした状況下ではあるが、当社は、CSR-HとNOx3次規制に対応したパナマックス・バルクキャリアーの開発やEEDI(エネルギー効率設計指標)のフェーズ3をクリアした次世代パナマックス・バルクキャリアーの開発が完了するとともに、新船種のアフラマックス型タンカーの開発も完了し、顧客の需要に対応出来るよう船種の拡大に努めている。平成28年8月には、セイカエンジニアリング㈱(兵庫県加古郡播磨町)と共同で開発を進めてきた舶用LNG燃料供給システムについて一般財団法人日本海事協会から実設計に基づく標準設計承認を取得し、平成29年3月には、ABS(American Bureau of Shipping)からAIP(Approval in Principleの略で基本構想承認とも呼ばれる)を取得した。また、水島製造所と大阪製造所において、今年度から3ヶ年をかけて老朽設備の更新や省力化設備の導入を計画し、平成28年度は水島製造所と大阪製造所のドックゲートや搬送台車の更新を行った。平成29年度はジブクレーンの更新等を進めている。
陸上事業及びレジャー事業においては、これらを当社グループの「第2のコア事業」として位置づけ収益拡大を経営課題に掲げている。陸上事業では、価格競争力の強化と品質の更なる向上を図る一環として、成長分野である化粧品用機械製造の新工場(大阪府大阪市)が平成28年11月に完成した。また、新規事業として立ち上げたボラード(テロ対策用車止め装置)事業において、業界トップクラスの実績を持つ英国ATG Access社と代理店契約を締結する等、顧客ニーズに即した受注活動をより一層強化した。レジャー事業では、訪日外国人客の増加への期待の高まりから、国内遊園地への遊園機械の販売活動を強化した。一方、万博記念公園内の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)において一昨年にオープンした「ポケモンEXPOジム」は平成29年9月をもって営業を終了することとし、固定資産の減損処理を含め、特別損失を1,544百万円計上した。また、豪州観覧車事業の今後の収益性を金利動向をはじめとする事業環境の変化に合わせて見直し、固定資産の減損損失652百万円を特別損失に計上した。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前期比283百万円(0.5%)減少の53,064百万円、営業利益は前期比1,216百万円(57.4%)減少の904百万円、経常利益は前期比884百万円(50.6%)減少の863百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,446百万円(前期は204百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
セグメントの業績は次のとおりである。
上記のとおり新造船、特にバルクキャリアーの新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価が低迷を続けている中において受注活動に努めた結果、64千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー2隻と82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー2隻、2,800総トン型カーフェリー1隻の計5隻の受注を確保した。一方、新造船の引渡しは、最新鋭・高性能の省エネ船として60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー5隻、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー2隻、117千重量トン型ハンディーケープ・バルクキャリアー1隻の計8隻を引渡したので、受注残高は23隻となり、営業の方針としている約3年分を引き続き維持している。また新造船事業を補完すべく取り組んできたマリン・修繕船事業は、修繕船の他、水島製造所における改修船、LPG船用タンクの製造等が順調に進捗しており、平成28年8月には、最新の定点保持装置(DPS)を搭載した自航式多目的船1隻を竣工し引渡した。この結果、新造船にマリン・修繕船事業及びプラント事業を含めた造船事業の受注残高は、工事進行基準による金額にして58,021百万円となった。
造船事業の売上高は、前期比52百万円(0.2%)減少の34,684百万円となった。また、営業利益は、受注工事損失引当金の積み増しにより、前期比850百万円(47.6%)減少の938百万円となった。
建設工事用機械製造・レンタル、機械式駐車装置製造・保守、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水・環境工事、鋳造機製造及びソフトウェア開発等の陸上事業(平成28年4月1日よりサービス事業を陸上事業に統合)においては、近年力を入れてきた機械式立体駐車場のリニューアル工事関係や成長分野である化粧品用機械製造において受注が好調であったこと等、顧客ニーズに即した受注活動に努めた結果、受注残高は2,783百万円となった。売上高は、建設工事用機械製造・レンタルや空調・給排水・環境工事の減収等が影響し、前期比747百万円(5.1%)減少の13,897百万円、営業利益は前期比29百万円(2.3%)減少の1,269百万円となった。
遊園機械製造及び遊園地運営等を行うレジャー事業においては、訪日外国人客の増加への期待の高まりから、国内遊園地の遊園機械の更新投資を狙い、販売活動を強化した結果、受注残高は191百万円となった。売上高は、熊本地震による九州地区の遊具運営事業の減収影響はあったものの、遊園機械販売の増収が寄与し、前期比516百万円(13.0%)増加の4,482百万円となった。営業損益は、同施設及び豪州観覧車事業の赤字により、632百万円の営業損失(前期実績は319百万円の営業損失)となった。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,106百万円減少し、17,301百万円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ2,671百万円増加し、64百万円の支出となった。主な支出は、前受金の減少2,124百万円、売上債権の増加1,668百万円、税金等調整前当期純損失1,559百万円であり、一方、主な収入は、減価償却費2,031百万円、減損損失1,882百万円、受注工事損失引当金の増加1,341百万円である。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ337百万円増加し、1,972百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,780百万円等である。
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度末に比べ814百万円減少し、128百万円の支出となった。主な支出は、長期借入金の返済による支出5,304百万円、配当金の支払162百万円であり、一方、主な収入は、長期借入金の借入による収入4,550百万円、短期借入金の純増減1,050百万円である。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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造船事業 |
30,108 |
△4.4 |
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陸上事業 |
10,096 |
△1.7 |
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レジャー事業 |
1,165 |
151.8 |
|
合計 |
41,370 |
△2.0 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していない。
2 金額は期間中に発生した製造原価で示している。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
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セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
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金額(百万円) |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
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造船事業 |
19,471 |
△34.1 |
58,021 |
△20.4 |
|
陸上事業 |
9,382 |
2.4 |
2,783 |
2.0 |
|
レジャー事業 |
1,033 |
△10.5 |
191 |
△64.2 |
|
合計 |
29,888 |
△25.0 |
60,996 |
△19.9 |
(注) 1 陸上事業の機械レンタル及びレジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていない。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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造船事業 |
34,684 |
△0.2 |
|
陸上事業 |
13,897 |
△5.1 |
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レジャー事業 |
4,482 |
13.0 |
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合計 |
53,064 |
△0.5 |
(注) 1 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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LEPTA SHIPPING CO.,LTD |
7,267 |
13.6 |
8,437 |
15.9 |
2 上記金額には、消費税等は含まれていない。
経営の基本方針である各事業の収益の極大化を図るため、それぞれが直面する事業環境に適応して、選択と集中を進め、業績を向上させていくことが当社の最大の課題である。その解決のためには、各事業に最適なビジネスモデルを構築し洗練していける体制面の強化、独立採算による責任と権限の明確化、意思決定の迅速化、事業特性に応じたリスク管理強化等が必要となる。これを実現するために、当社グループでは事業ごとに分社化することが最適であると考え、持株会社の下に造船・陸上・レジャーの各事業会社を連結・非連結子会社として配置したグループ組織とした。
持株会社は各事業会社をグループ全体の観点から統括し、グループ戦略を策定して資源配分を最適化する機能と、経営管理の均質化を含めたガバナンスを事業会社全てに徹底する体制の構築を目指すと共に、各事業会社は各事業に最適なビジネスモデルを構築・洗練し、独立採算で事業を行うことにより、連結経営のレベルアップを図り、社会や市場の変化に迅速に対応できる企業グループ体制の確立を目指す。
各事業においては下記の経営戦略を考えている。
造船事業においては、平成20年のリーマンショック以降も中国・韓国をはじめとする造船設備の過剰から新造船供給が高水準で続き、バルクキャリアーの運賃指標(BDI)は、中国の経済減速等が影響した歴史的低水準からは回復したものの、新造船価格は低迷を続けており、受注環境は厳しい状況である。
当社はこの環境下、建造量をスローダウンして以降年間8隻程度の建造体制が定着した。開発面では新しい共通構造規則及び環境規制を適用したバルクキャリアー(パナマックス型、ハンディーケープ型)の開発を終えるとともに、EEDI(エネルギー効率設計指標)フェーズ3を達成可能な次世代省エネ型のパナマックス・バルクキャリアー新船型の開発が完了した。加えて、新しい船種としてアフラマックス型タンカーの開発も完了し、市況変化に幅広く対応できる商品メニューの整備に取り組んでいる。今後も受注残約3年分の維持を基本方針としているが、市場環境に応じたフレキシブルな対応を行う。
修繕船事業においては、作業船等の新造を含めた改修船事業では、水島製造所のドックと門型クレーンを活用した大型案件の工事に取り組んでいく。さらに、LPG船用タンク事業においては、設備増強を含めた積極的な事業展開を進めていく。
プラント事業においては、わが国トップクラスの実績を持つ食品タンク製造据付においてさらに受注を重ねていく。
陸上事業は主に国内を主要マーケットとしており、製品・サービスの価格競争は依然として厳しく、原材料価格の上昇や人材確保のための賃金上昇圧力を受けつつあるが、国内景気は緩やかに回復に向かっており、事業環境は好転しつつある。陸上事業・レジャー事業は、造船に次ぐ「第二のコア事業」と位置付け強化拡充していく方針である。具体的な戦略は次のとおりである。
① 持株会社の下で、各事業会社の事業特性・ビジネスモデル・企業の成長過程に応じた組織体制の強化拡充を図っていく。精密機械加工を主業とする加藤精機㈱及びケーエス・サノヤス㈱をサノヤス精密工業㈱に平成29年4月1日を期日に経営統合し、経営の効率化を推進するとともに、生産管理・商品開発の強化を図っていく。
② 新規技術・新規業務の開発や、新規市場開拓、旧設備の更新に必要な生産体制の強化拡充を図っていく。平成28年11月には、化粧品用機械製造の新工場が完成し、続いて自動車部品製造工場の建て替えを計画している。また、新規事業として立ち上げたボラード(テロ対策用車止め装置)事業において、業界トップクラスの実績を持つ英国ATG Access社と代理店契約を締結し、受注活動を一層強化する。
レジャー事業は、国内と豪州を主たる市場としている。具体的な戦略は次のとおりである。
① 国内市場では、消費者の嗜好に合った遊具を企画・開発して顧客である遊園地に提案するとともに、ロケーション営業においては安全・安心をベースとして親切丁寧な接客を旨として従業員教育を徹底していく。
② 豪州観覧車事業については、営業開始から3年余りが経過し、現地での認知度は向上した。近隣商業施設の開発の進捗とともに一層の活性化が期待され、海外からの観光客向けのマーケティングにも注力していく。
③ 一昨年に万博記念公園内の大型複合施設「EXPOCITY」(大阪府吹田市)においてオープンした「ポケモンEXPOジム」は、今後も収益改善が見込めないと判断し、平成29年9月をもって営業を終了することとした。
上記の各事業の経営戦略を着実にかつ早期に実現すべく、持株会社体制による効果の発揮に注力していく。
サノヤスホールディングス㈱において、グループ全体の安全対策活動の一層の強化並びに事業会社の現場支援部門統合による効率的推進を図るため、「安全統括室」と「ものづくり推進室」を統合し、平成29年4月1日付で新たに「ものづくり・安全推進部」を設置した。加えて、金融機関取引や資金面業務、各種保険業務、及び投資審査を担当するため、「財務部」を設置した。
造船事業においては、特殊船や起重機船等を扱うマリン事業の強化のため、平成29年4月1日付で技術本部に「マリン設計部」を新設した。
陸上事業、レジャー事業においては、各事業会社が独自のビジネスモデルに一層の磨きをかけ、独立採算による権限と責任の明確化を図ることにより、各市場における競争への適応と意思決定の一層のスピードアップを図っていく。また、当社グループのシステム開発力を各事業会社の業務効率化のためのシステム開発に振り向け、効率向上と人員の効率活用を図っていく。
各事業の経営を革新していくために最重要の人財面については、経営管理層の世代交代を進めると同時に、メーカーとしての根幹である技術・技能の伝承にも最優先で取組んでいく。
資機材調達コストの低減は、メーカーである当社グループにとって大きな経営課題であり、安定調達を大前提としつつ、調達先の拡大あるいは絞り込むことでコストの削減を図り、同時に、生産効率の向上を図る施策を実行することで、トータルの収益性向上を目指す。
コーポレートガバナンスについては、グループガバナンスの一層の充実に努めると同時に、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することで企業価値の向上を図っていく。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上していくことを可能とする者が望ましいと考えております。もっとも、上場会社として当社株式の自由な売買が行われている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強制するおそれがあるもの、株主の皆様が買付けの条件等について検討したり、当社取締役会が代替案を提案したりするための十分な時間や情報を提供しないもの等も散見されます。また、船舶部門及び陸上部門を手掛ける当社グループの経営においては、当社グループが保有する有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、当社グループに与えられた社会的使命、それら当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を構成する要素等への理解に基づく中長期的な視野を持った経営施策が必要不可欠です。かかる買付行為がなされる場合や当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者によりかかる中長期的視野を欠く経営がなされる場合、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益や当社グループに関わる全てのステークホルダーの利益は毀損されることになる可能性があります。
従って、当社としましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、造船業を祖業として、「まごころこめて生きた船を造る」という、ものづくりに懸ける精神と培った技術を他分野に展開し、安全、環境の配慮と技術に裏打ちされた確かな品質・性能を備えた製品の提供を通じて、ステークホルダーである株主の皆様、顧客、仕入先、協力会社、金融機関、従業員から信頼され、社会にとって魅力ある企業として持続的に発展することを目指しています。
造船業界においては、“二つの過剰”(過剰船腹・過剰建造能力)による需給ギャップが大きく、生き残りをかけ、統合や合従連衡、海外進出といった規模拡大を図る動きも見られる中、当社を取り巻く環境も厳しい状況が続くことが見込まれます。
このような環境の下、当社は、グループの原点である造船業を「コア事業」、造船業以外の様々な多角化事業(陸上・レジャー)を「第2のコア事業」と位置付け、体質を強化し、環境の変化に柔軟に対応しながら、この二つの事業のバランスのとれた成長を通じて企業価値を持続的に高めていくため、「高い技術力」「強い現場力」「コスト競争力」「不断の経営革新」「人財重視経営」を基軸とする諸施策を推し進め、将来に亘って成長を続け、収益力を高める基盤づくりに取り組んでおります。また、グループ各社は、それぞれの事業環境に応じたビジネスモデルを構築し、「自立と自律」を目標にして一層の社業発展に努めております。
さらに、当社は、コーポレート・ガバナンスの強化の一環として、執行役員制度を導入しており、経営の「意思決定」及び「監督」機能と「業務執行」機能の分離を進めているほか、経営環境の変化に迅速に対応できる機動的な経営体制の確立と取締役の経営責任を明確にするために取締役の任期を1年としております。また、取締役会の監督機能を高め経営の透明性を向上させるべく、3名の社外取締役と2名の社外監査役を独立役員として招聘しております。このような体制整備のほか、当社グループでは情報開示をより一層充実させることによって、株主の皆様やその他外部からのチェック機能を高め、経営の透明度を高めてまいりたいと考えております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
④ 各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものであります。
当社グループの経営成績、財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。なお文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
① 経済状況、事業環境について
造船事業においては、世界経済の動向に伴う海上貨物の需要変動と、それを運ぶ船腹の供給、特にドライバルク市況の動向に最も大きく影響を受ける。バルクキャリアーの運賃指標(BDI)は、中国の景気減速等が影響した歴史的低水準からは回復したものの、新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価は低迷状態を続けている。一方、環境と安全に関する国際的な船舶規制強化は順次着実に実施され、より省エネ化した船舶の設計・製造が必要となってきている。
陸上事業は、主として国内景気の動向に大きく影響を受ける。建設工事用機械は高層マンション・ビルの建設需要に、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水工事及び鋳造機製造は国内製造業の需要動向に影響を受ける。
レジャー事業は、国内及び海外のレジャー施設建設需要と、国内及び豪州の消費者のレジャー需要(天候要因を含む)に影響を受ける。
陸上事業及びレジャー事業においても、造船事業同様、海外への輸出に注力しており、現地での需要動向や法規制等の変更による影響を受ける可能性がある。
② 外国為替相場の変動について
造船事業において売上の大半を占める新造船は海外向けの輸出比率が高く、一部円建て契約はあるものの、米ドル建ての契約が存在する。また、資材購入には輸入等もあり、外国為替相場の変動により売上、損益とも影響を受けることになる。
陸上事業、レジャー事業においても輸出入及び豪州観覧車事業があり、外国為替相場の変動により当該事業の業績が影響を受ける可能性がある。
③ 金利の変動について
今後、金利が上昇した場合、当社グループの有利子負債の支払利息が増加し金融収支が悪化する可能性がある。
④ 投資有価証券について
当社グループの保有する投資有価証券は大半が上場株式であるため、今後、株式相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
⑤ 原材料、資材、エネルギー価格について
鉄、非鉄金属、石油石炭等の原材料の値上がりに連れて造船用鋼材をはじめ当社グループの調達資材や電力等エネルギー価格が上昇し、長期の受注生産を中心とする当社グループの事業特性からコストアップ要因として働き業績に影響を与える可能性がある。
⑥ 製品の保証について
当社グループでは、品質管理基準に従って製品の製造並びに据付工事及びメンテナンス等を行っているが、当社グループ負担の保証工事や製造物賠償責任等に伴うコストの発生から、保険等でカバーすることができず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
⑦ 法的規制、会計基準について
当社グループは、国内外での各種法令、許認可や規制の順守のもとに事業を遂行し、会計基準に則り会計処理を行っているが、法令の改廃や法的規制が設けられたり、また、税効果会計や減損会計を適用しているため、将来の予想数値の変更があった場合、並びに会計基準が変更される場合等には当社グループの貸借対照表、損益計算書に影響を及ぼす可能性がある。
⑧ 環境保全について
社会の要請である環境保全については、グループ全体で真摯に取り組んでいるが、不測の事態等によりコストが発生し業績に影響を及ぼす可能性がある。
⑨ 災害及び事故について
当社グループは火災、地震、台風等の各種災害に対し、損害の発生及び拡大を最小限に止めるべく防波堤の構築やシステム機器の外部センター等への分散配置等の処置を講じているが、それらの災害により当社グループの活動が影響を受ける可能性がある。また、工場及び工事現場における安全管理には万全を期しているが、万一事故が起きた場合には損害額、賠償額が保険等で十分カバーされず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
⑩ 訴訟等について
当社グループの事業に関連して、当社グループが当事者となることのある訴訟その他法的手続きに係る決定等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
⑪ 情報セキュリティについて
当社グループが保有する情報資産の保護については、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等によって、グループ全体で取り組んでいる。しかし、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセス、その他不測の事態によって、これらの情報資産が消失、もしくは漏洩した場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、各事業分野において商品競争力の強化、事業分野拡大及びブランドイメージ向上を目指した各種の研究開発を積極的に推進した。当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費は416百万円である。
(1) 造船事業
造船事業では温室効果ガス、窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出規制等の環境問題、エネルギー効率の向上など、商船を取り巻く社会的な要請に対応し、これらの課題解決に資する要素技術の研究・開発に重点的に取り組み、その研究成果を基盤として新船型を開発した。
船型ラインナップとして、主力船型であるパナマックス型、スプラマックス型については、新規則(NOx3次規制及び共通構造規則)を適用した次世代船型の開発を進めた。パナマックス型については、船級よりEEDI(エネルギー効率設計指標)フェーズ3予備認証を取得し、業界トップクラスの燃費性能を達成した。また、スプラマックス型についても、載貨重量の大型化と省エネ化という相反する性能を両立させた次世代省エネ船型として、それぞれ開発を終えた。市況変動への対応力強化や技術伝承の観点から取り組んだアフラマックス・タンカーは、新規則をフル適用するとともに、環境に特別な配慮を払う石油メジャーが求める最新の環境対策を施したデザインとして開発を終え、新たな船型ラインナップに加えた。さらに、新しい船種としてカーフェリーの開発を終えるとともに、パナマックス型、スプラマックス型以外のバルカーのセグメントについても事業可能性を検討するなど、さらなる製品メニューの拡充を図っている。
要素技術開発では、当社オリジナルの省エネ付加物として開発した「船尾ダクト」を随時新船型に採用するとともに、特許出願した。また、「モニタリング装置の実船搭載」については、スプラマックス型バルクキャリアーの実海域での性能分析・評価を実施すると共に、モニタリングデータの次期開発船への更なる活用を目的に、機関部航海データ取得可能なシステムのパナマックス型バルクキャリアーへの新規搭載計画を進めた。
新規則対応も重要な研究課題として取り上げた。「船内騒音規制」については、各種防音対策製品の騒音低減効果を評価することを目的に、騒音計測を各船の試運転で実施した。得られたデータをもとにして、実船に対する有効な騒音対策の策定を行った。平成27年7月より適用が開始された「共通構造規則(CSR-B&T)」に対しては、新設計バルクキャリアーへの適用実績を作ることができた。詳細な影響評価を実施することで、その結果は新船型開発において有効活用されている。また、平成32年1月からの「SOxグローバルキャップ規制」については、新規開発船へのSOxスクラバー配置計画に着手し、規制に対して柔軟に対応できる体制を構築しつつある。
設計基幹システムである「3D-CAD(FORAN)の開発」については、当年度もさらなる適用領域の拡大を中心に、機能強化及び周辺システムとの連携強化に取り組み、新たに塗装面積・溶接長などの管理物量集計用の3Dツール導入実用化に繋げた。併せて現業への活用展開を目指し、3Dモデルビューワーのユーザービリティ向上のための開発を実施した。
LNG舶用燃料供給システム開発については、当初からの目的であった実設計に基づく船級承認を平成28年8月に一般財団法人日本海事協会より、平成29年3月にABS(American Bureau of Shipping)より取得した。
なお、造船事業部門の研究開発費は339百万円である。
(2) 陸上事業
陸上事業では多様な市場、顧客ニーズに応えるべく、経済性・安全性に優れ、環境にも配慮した新商品開発・研究に取り組んだ。
建設工事用機械においては「大型高速1本構工事用エレベーター」の新型機2機種の開発をほぼ完了した。本新型2機種は、首都圏で進む超大型開発プロジェクトにおける高さ250m超の超高層ビルの建築工事の揚重に対応した国内最大クラスの搬器であり、国内最速の加減速性能を有した次世代の大型工事用エレベーターである。2020年(平成32年)東京オリンピック・パラリンピック関連工事に向けて需要の拡大が見込まれ、すでに大手ゼネコンをはじめ、数社へのレンタル及び新規販売の引き合いがあり、受注活動も開始していることから、今後の拡販に向けた営業活動をさらに加速させていく。
機械式駐車装置においては、駐車場法施行規則の一部改正があり、既認定装置を新基準に対応させるための認定再取得を昨年に続き進めた。また英国ATG Access社より日本国内独占販売権を取得したボラード(テロ対策用車止め装置)においては、国内設置のための技術資料の整備を行った。化粧品製造用の乳化装置及び攪拌機等においては、医薬品分野への拡販を視野に、企業の研究室で使用される小型の試験用新モデルを開発し、その販売に目途をつけた。また、予てより課題であった外注製作に依存していたウォーム減速機及びプラネタリギアの内製化を実現し、今後の新製品開発に向けて、正逆ホモミキサーの小型化の検討にも取り組んだ。
なお、研究開発費は64百万円である。
(3) レジャー事業
レジャー事業では、観覧車については顧客のリニューアルの要望も多く、新趣向のゴンドラ開発に取り組んだ。試験営業により乗客の好評を得たため、現在は営業展開を進めている。また、ニーズのあるコストを抑えた子供向け機種の開発にも取り組み、基本設計及びコスト積算を行った。今後、販売ラインナップに盛り込む。
なお、研究開発費は12百万円である。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて759百万円減少し、44,189百万円となった。これは主に、受取手形及び売掛金が1,664百万円増加したものの、現金及び預金が1,893百万円、その他流動資産が504百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて430百万円増加し、26,373百万円となった。これは主に、有形固定資産が1,480百万円減少したものの、投資有価証券が1,166百万円、その他投資資産が774百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,418百万円増加し、30,919百万円となった。これは主に、前受金が2,127百万円減少したものの、受注工事損失引当金が1,341百万円、リース債務が1,024百万円、未払法人税等が441百万円、事業撤退損失引当金が341百万円、その他流動負債が314百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて142百万円減少し、22,293百万円となった。これは主に、繰延税金負債が339百万円増加したものの、リース債務が271百万円、固定資産撤去費用引当金が164百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて1,605百万円減少し、17,349百万円となった。これは主に、その他有価証券評価差額金が797百万円増加したものの、利益剰余金が2,609百万円減少したこと等によるものである。
当連結会計年度における売上高は、造船事業においては60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー5隻、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー2隻、117千重量トン型ハンディーケープ・バルクキャリアー1隻の計8隻を引き渡し、改修船、LPG船用タンクの製造等が順調に推移しているが、前連結会計年度対比52百万円減少となった。陸上事業においては、建設工事用機械製造・レンタルや空調・給排水・環境工事の減収等が影響し、前連結会計年度対比747百万円減少、レジャー事業においては、遊園機械販売の増収が寄与し、前連結会計年度対比516百万円増加した結果、前連結会計年度比283百万円(0.5%)減少の53,064百万円となった。
当連結会計年度における営業利益は、造船事業においては受注工事損失引当金の積み増しを主因に、前連結会計年度対比850百万円減少し、レジャー事業においては「ポケモンEXPOジム」及び豪州観覧車事業の赤字により、前連結会計年度比1,216百万円減少の904百万円となった。
当連結会計年度における経常利益は、前述の営業利益に加え受取利息・受取配当金等による営業外収益が357百万円、支払利息等による営業外費用が398百万円となったことから、前連結会計年度比884百万円(50.6%)減少の863百万円となった。
当連結会計年度において特別損失として2,423百万円を計上している。これは主に、減損損失1,882百万円等である。
当連結会計年度における税金等調整前当期純損失は、「ポケモンEXPOジム」及び豪州観覧車事業における減損損失の計上に伴い、1,559百万円となった。当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失も同様の理由により、2,446百万円となった。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。