文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 経営環境及び課題への取組み
経営の基本方針である各事業の収益の極大化を図るため、それぞれの事業体が直面する事業環境に適応して、選択と集中を進め、業績を向上させていくことが当社の最大の課題である。その解決のためには、各事業に最適なビジネスモデルを構築し洗練していける体制面の強化、独立採算による責任と権限の明確化、意思決定の迅速化、事業特性に応じたリスク管理強化等が必要となる。これを実現するために、当社グループでは事業ごとに分社化することが最適であると考え、2012年1月に持株会社体制に移行した。
持株会社体制により各事業会社をグループ全体の観点から統括し、グループ戦略を策定して資源配分を最適化する機能と、経営管理の均質化を含めたガバナンスを事業会社全てに徹底する体制の構築を目指すと共に、各事業会社は各事業に最適なビジネスモデルを構築・洗練し、独立採算で事業を行うことにより、連結経営のレベルアップを図り、社会や市場の変化に迅速に対応できる企業グループ体制の確立を目指す。
一方、当社グループでは祖業である造船事業を「コアビジネス」とし、造船以外の事業、すなわち陸上事業とレジャー事業(再編後はM&T事業)を「第二のコアビジネス」として位置付け、事業の多角化に取り組んできた。「第二のコアビジネス」を一層強化するため、2018年4月2日に陸上事業とレジャー事業を営む子会社をM&Tグループ(Machinery & Technology Group)として再編するとともに、同グループを統括・支援する会社として「サノヤスMTG㈱」を設立した。更に、当社を分割会社、サノヤスMTG㈱を承継会社とする、M&Tグループ各社の統括事業に関する資産及び権利義務を承継する「吸収分割契約」について、2018年6月22日に開催した当社の第7回定時株主総会において承認され、2018年7月2日をもって吸収分割の効力が発生した。
当社グループは、次のような経営戦略をもって事業を推進する。即ち、当社グループは、造船事業とM&T事業という「二つのコアビジネス」を持ち、相互に補完しながら、バランスの取れたポートフォリオ経営を目指す。ここもとの海運・造船業界における厳しい経営環境の下、「不透明・不確実・不安定」な時代を乗り切るべく、造船事業の体質強化に加え、M&Tグループの強化・発展により、グループ内の補完機能を一層高めることで対応していく方針である。
造船事業においては、船腹及び建造設備の過剰という構造が依然として継続している。バルクキャリアーの海運市況については、2018年内はゆるやかな回復基調にあったものの、2019年は年明け以降弱含みで推移しており、造船市況は十分な回復には至っておらず、受注環境は厳しい状況である。当社はこの環境下、NOx排出3次規制やH-CSR(新共通構造規則)の新規則を適用し燃費性能を向上させた新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアーとクラス最大級の積載量である64千重量トン型に増加した新規則適用のスプラマックス・バルクキャリアーに加え、幅広・浅喫水で大容量化を図った新規制適用の新41千重量トン型ハンディサイズ・バルクキャリアーを開発し、営業を展開している。船価が低迷する状況下で、受注は市況動向を見極めながら臨機応変に対応することを優先し、受注残高を約2.5年分確保する営業方針に沿って引き続き注力する。
マリン・修繕船においては、水島製造所の大型設備を活用し、作業船等の新造を含めた大型の改修船工事への取組みを加速させていく。更に舶用タンクにおいては、これまで大阪製造所(大阪府大阪市)で製造していたが、事業拡大・生産強化を図るため、水島製造所(岡山県倉敷市)でも製造することを決定し、設備投資を進める。舶用LNG燃料供給システムの販売などにも技術開発の成果を活かして積極的に取り組んでおり、成約実績が上がりつつある。また、プラントにおいては、多くの実績を持つ食品タンク製造据付において更に品質を高めて受注を重ねていく。
組織面では、2019年4月1日付で、サノヤス造船㈱において縦割り組織の弊害を回避し、スピーディ且つ柔軟な運営を行うことを目指し、本部制を廃止した。本部制に代わり、組織横断的にコストダウンによる「生産性の向上」と「事業全般の運営改革」を推進する特命組織として「事業改革推進部」を新設した。また、マーケットや顧客の動き・ニーズをリアルタイムに直接補足できる体制とすべく、東京支社内に「技術開発部(商品開発課・東京)」を設置した。加えて、「ガスタンク事業」の強化に向け、「ガスタンク営業部」と「ガスタンク設計部」を既存の各部署から独立させ、専任の組織として新設した。
M&T事業は主に国内を主要マーケットとしており、製品・サービスの価格競争は依然として厳しく、原材料価格の上昇や人材確保のための賃金上昇圧力を受けつつあるが、国内景気は底堅さを維持しており、事業環境は好調が続いている。具体的な戦略は次のとおりである。
① 中間持株会社であるサノヤスMTG㈱の下で、各事業会社の事業特性・ビジネスモデル・企業の成長過程に応じた組織体制の強化拡充を図っていく。具体策として、2018年10月31日に、M&Tグループに属する子会社の内、産業機械製造を主業とし、メンテナンス等のサービスに注力するサノヤス・エンジニアリング㈱と㈱大鋳(2019年4月1日に合併)、サノヤス建機㈱(2020年4月1日に合併予定)の3社を統合し、新会社を機能別組織に再編することにより、経営の効率化や人財の最適配置の一層の推進を図るとともに、既存工場の共同利用によりシナジーを追求する等、事業構造を強化・拡充することを決定した。更に、2018年11月29日に、グループ内のIT化推進を目的として、ソフトウェアの開発及び計算・情報処理業務の受託を営むM&Tグループの㈱サノテックに所属するシステムエンジニアをサノヤスグループ各社に全体最適視点から効果的に配置すること、及び同社とM&Tグループのサノヤス・ビジネスパートナー㈱を2019年4月1日に合併することを決定した。
組織面では、2019年4月1日付でM&Tグループ各社とサノヤスMTG㈱の設計や間接部門の業務効率化・IT化を進める専任組織として「業務改革推進部」をサノヤスMTG㈱内に新設した。
② 新規技術・新規業務の開発や、新規市場開拓、旧設備の更新に必要な生産体制の強化拡充を図っていく。2017年4月にグループ会社3社統合により発足したサノヤス精密工業㈱は、精密機械加工を主業としており、同社の関西地区内3生産拠点を本社のある兵庫県三田市に集約し、生産効率の一層の向上を図る目的で、新工場建設を進めていたが、2019年3月に二期工事が完成し、移転が完了した。また、サノヤス・エンジニアリング㈱の新規事業として立ち上げたボラード(テロ対策用車止め装置)は、昨今の世界各地でのテロ事件増加の影響から注目されており、拡販を強化している。
③ 国内遊園地市場では、消費者の嗜好に合った遊具を企画・開発して顧客である遊園地に提案するとともに、ロケーション営業においては安全・安心をベースとして親切丁寧な接客を旨として従業員教育を徹底していく。
④ 豪州観覧車事業については、営業開始から5年余りが経過し、近隣商業施設の開発が進捗し、一層の活性化が期待され、海外からの観光客向けのマーケティングにも注力していく。
各事業の経営を革新していくために最重要の人財面については、経営管理層の世代交代を進めると同時に、メーカーとしての根幹である技術・技能の伝承にも最優先で取組んでいく。
資機材調達コストの低減は、メーカーである当社グループにとって大きな経営課題であり、安定調達を大前提としつつ、調達先の新規開拓や絞り込みによるスケールメリットの追求等によりコストの削減を図り、同時に、生産性の向上を図る施策を実行することで、トータルの収益性向上を目指す。
コーポレートガバナンスについては、グループガバナンスの一層の充実に努めると同時に、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することで企業価値の向上を図っていく。当社は、意思決定の迅速化と業務執行に対する取締役会の監督機能の強化を図るため、2018年6月22日開催の第7期定時株主総会をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行した。また、当社は従前より取締役の人事や報酬に関し、独立社外取締役から適切な関与と助言を得ていたが、更に客観性・透明性を向上させ、経営陣に対する監督機能の一層の強化を図るため、取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を2018年2月1日付で設置した。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上していくことを可能とする者が望ましいと考えています。もっとも、上場会社として当社株式の自由な売買が行われている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強制するおそれがあるもの、株主の皆様が買付けの条件等について検討したり、当社取締役会が代替案を提案したりするための十分な時間や情報を提供しないもの等も散見されます。また、造船事業及びM&T事業を手掛ける当社グループの経営においては、当社グループが保有する有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、当社グループに与えられた社会的使命、それら当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を構成する要素等への理解に基づく中長期的な視野を持った経営施策が必要不可欠です。かかる買付行為がなされる場合や当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者によりかかる中長期的視野を欠く経営がなされる場合、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益や当社グループに関わる全てのステークホルダーの利益は毀損されることになる可能性があります。
従って、当社としましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、環境への配慮と安全が担保された高品質の製品・サービスの提供を通じて、ステークホルダーから信頼され、社会にとって魅力ある企業として持続的に発展することを目指しています。また、効率的で透明性の高い経営体制を確立し、激変する経営環境の下での着実な利益による成長を通して企業価値を継続的に高めていくことが企業経営の使命であると考えています。
この様な考えの下、基本方針の実現、すなわち当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益確保・向上に向けて次のとおり取組んでいます。
祖業である造船事業で長年培った技術とものづくりに懸ける精神を他分野に展開し、経営の安定化を図るとともに、造船事業を「コア事業」と造船事業以外の様々な多角化事業を「第二のコア事業」と位置付け、持株会社体制の下で競争力・収益力の強化に向けてそれぞれの事業に応じた諸施策を推進しています。特に、事業規模の比較的小さな会社の集合体である「第二のコア事業」については、各社を専ら統括・支援する会社を設立することにより、各社と課題を共有し、ものづくり、安全推進、経営管理ほか全ての面での強化・拡充に取組んでいます。
また当社では、執行役員制度の導入及び監査等委員会設置会社の移行により、迅速な意思決定、機動的な業務執行の実践とともに取締役会の監査・監督機能の一層の強化に取り組んでいます。加えて、任意の指名・報酬委員会を設置し、経営の透明性・公正性の担保を図っています。さらに、代表取締役社長である委員長を中心に、取締役会から委員を委嘱された当社及び子会社の取締役をもって構成する内部統制推進委員会を設置し、内部統制プロセスの有効性の検証・監督、実効性向上施策を協議することにより、業務の適正性の確保に努めています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてます。
④ 各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経済状況、事業環境について
造船事業においては、世界経済の動向に伴う海上貨物の需要変動と、それを運ぶ船腹の供給、特にドライバルク市況の動向に最も大きく影響を受ける。バルクキャリアーの運賃指標(BDI)は、2018年内はゆるやかな回復基調にあったものの、2019年は年明け以降弱含みで推移している。また、新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価は十分な回復に至っていない。一方、環境と安全に関する国際的な船舶規制強化は順次着実に実施され、より環境に優しく省エネ化した船舶の設計・製造が必要となってきている。
M&T事業は、主として国内景気の動向に大きく影響を受ける。建設工事用機械は高層ビル・マンションの建設需要に、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水工事及び鋳造機製造は国内製造業の需要動向に影響を受ける。遊園機械の販売事業や遊園地運営事業は、国内及び海外のレジャー施設建設需要と、国内及び豪州の消費者のレジャー需要(天候要因を含む)に影響を受ける。
M&T事業においても、造船事業同様、化粧品用機械を中心に海外への輸出に注力しており、現地での需要動向や法規制等の変更による影響を受ける可能性がある。
(2) 外国為替相場の変動について
造船事業において売上の大半を占める新造船は海外向けの輸出比率が高く、一部円建て契約はあるものの、米ドル建ての契約が存在する。また、資材購入には輸入等もあり、外国為替相場の変動により売上、損益とも影響を受けることになる。
M&T事業においても輸出入及び豪州観覧車事業があり、外国為替相場の変動により当該事業の業績が影響を受ける可能性がある。
(3) 金利の変動について
今後、金利が上昇した場合、当社グループの有利子負債の支払利息が増加し金融収支が悪化する可能性がある。
(4) 投資有価証券について
当社グループの保有する投資有価証券は大半が上場株式であるため、今後、株式相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 原材料、資材、エネルギー価格について
鉄、非鉄金属、石油石炭等の原材料の値上がりに連れて造船用鋼材をはじめ当社グループの調達資材や電力等エネルギー価格が上昇し、長期の受注生産を中心とする当社グループの事業特性からコストアップ要因として働き業績に影響を与える可能性がある。
(6) 製品の保証について
当社グループでは、品質管理基準に従って製品の製造並びに据付工事及びメンテナンス等を行っているが、当社グループ負担の保証工事や製造物賠償責任等に伴うコストの発生から、保険等でカバーすることができず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 法的規制、会計基準について
当社グループは、国内外での各種法令、許認可や規制の順守のもとに事業を遂行し、会計基準に則り会計処理を行っているが、法令の改廃や法的規制が設けられたり、また、税効果会計や減損会計を適用しているため、将来の予想数値の変更があった場合、並びに会計基準が変更される場合等には当社グループの貸借対照表、損益計算書に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 環境保全について
社会の要請である環境保全については、グループ全体で真摯に取り組んでいるが、不測の事態等によりコストが発生し業績に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 災害及び事故について
当社グループは火災、地震、台風等の各種災害に対し、損害の発生及び拡大を最小限に止めるべく造船所における防波堤の構築やシステム機器の外部センター等への分散配置等の処置を講じているが、それらの災害により当社グループの活動が影響を受ける可能性がある。また、工場及び工事現場、遊園地等における安全管理には万全を期しているが、万一事故が起きた場合には損害額、賠償額が保険等で十分カバーされず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 訴訟等について
当社グループの事業に関連して、当社グループが当事者となることのある訴訟その他法的手続きに係る決定等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 情報セキュリティについて
当社グループが保有する情報資産の保護については、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等によって、グループ全体で取り組んでいる。しかし、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセス、その他不測の事態によって、これらの情報資産が消失、もしくは漏洩した場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性がある。
(12) 借入金の財務制限条項について
当社グループの借入金の一部については、シンジケートローン契約を締結している。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(13) 人財の確保・育成について
当社グループは、造船事業が不況の時期に定期採用を絞ったことにより年齢構成に偏りがある。また、M&T事業は成長戦略を推進するにあたり即戦力の人財確保が課題である。ここ10年は、好不況にかかわらず一定数の新卒採用を行っており、即戦力の中途採用にも注力している。また、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入し、ベテラン人財の活用とベテランから中堅・若手への技能伝承に努めている。しかし、労働市場の動向によっては、当社グループが計画する人財の確保ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の良好な状態が続き、景気は堅調さを維持している一方、欧州では景気減速への懸念が高まっている。中国では米国を発信源とする通商問題がエスカレートしており、北朝鮮情勢や中東を中心とした地政学リスクや英国のEU離脱問題が混迷の度を深める等、世界経済の先行きの不透明感が増しつつある。その中でわが国経済は、輸出が伸び悩んだものの、雇用環境の改善を背景に底堅さを維持した。
当社グループを取り巻く事業環境は、造船事業においては“船腹及び建造設備の過剰”という構造が依然として継続し、厳しい状況が続いている。バルクキャリアーの海運市況は、2018年内はゆるやかな回復基調にあったものの、2019年は年明け以降弱含みで推移している。
このような状況下、当社の新造船では、NOx排出3次規制やH-CSR(新共通構造規則)の新規則を適用し燃費性能を向上させた新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアーと新64千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアーに加え、幅広・浅喫水で大容量化を図った新規制適用の41千重量トン型ハンディサイズ・バルクキャリアーを開発し、営業を展開している。一方、一般商船以外にフェリーに続き特殊船や作業船などの営業を展開することで、建造メニューの多角化にも取り組んでいる。新造船を補完すべく取り組んできたマリン・修繕船は、住友精化㈱(セイカエンジニアリング㈱を吸収合併)と共同開発を行っている舶用LNG燃料供給システムの販売拡大に努めており、成約実績が上がりつつある。また、LPGタンクについては、現在の大阪製造所(大阪府大阪市)に加え水島製造所(岡山県倉敷市)でも製造することを決定し、事業強化の準備を進めている。
これまで陸上事業及びレジャー事業を当社グループの「第二のコアビジネス」として位置付け、事業の多角化に取り組んで来たが、これを一層強化することがグループ全体の経営安定化のための喫緊の課題と考え、陸上事業とレジャー事業の2つの事業会社グループを2018年4月2日に統合し、M&Tグループ(Machinery&Technology Group)として再編するとともに、同グループを統括・支援する会社としてサノヤスMTG㈱を同日設立した。続いて、6月の定時株主総会においてM&Tグループ各社の株式をサノヤスMTG㈱に移転させる「吸収分割契約」について承認を得て会社分割を実行し、7月2日をもって効力が発生した。また、2018年10月31日に、M&Tグループに属する子会社の内、産業機械製造を主業とし、メンテナンス等のサービスに注力するサノヤス・エンジニアリング㈱と㈱大鋳(2019年4月1日に合併)、サノヤス建機㈱(2020年4月1日に合併予定)の3社を統合し、新会社を機能別組織に再編することにより、経営の効率化や人財の最適配置の一層の推進を図るとともに、既存工場の共同利用によりシナジーを追求する等、事業構造を強化・拡充することを決定した。更に、2018年11月29日に、グループ内のIT化推進を目的として、ソフトウェアの開発及び計算・情報処理業務の受託を営むM&Tグループの㈱サノテックに所属するシステムエンジニアをサノヤスグループ各社に全体最適視点から効果的に配置すること、及び同社とM&Tグループのサノヤス・ビジネスパートナー㈱を2019年4月1日に合併することを決定した。
M&T事業では底堅い内外需を背景に、建設工事用エレベーターの販売・レンタル、空調・給排水工事の設計及び施工、化粧品等製造用真空乳化装置・攪拌機の販売、遊園機械の販売等が堅調に推移した。精密機械加工を主業としているサノヤス精密工業㈱の関西地区内3生産拠点を本社のある兵庫県三田市に集約し、生産効率の一層の向上を図る目的で新工場の建設を進めていたが、2019年3月に二期工事が完成し、移転が完了した。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前期比688百万円(1.5%)増加の48,144百万円となり、営業利益は1,272百万円(前期は3,160百万円の営業損失)、経常利益は1,326百万円(前期は3,145百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,383百万円(前期は4,260百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。
セグメントの経営成績は次のとおりである。
なお当連結会計年度から、報告セグメントを従来の「造船事業」「陸上事業」「レジャー事業」の3区分から「造船事業」「M&T事業」の2区分に変更している。また、前連結会計年度の「M&T事業」の実績については作成することが困難なため、前期比の記載をしていない。
新造船は上記の通り、需給の飽和状態が恒常化し、依然として船価の回復が見られない中で受注活動に努めた結果、新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー6隻を受注した。一方、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー3隻と89千重量トン型ポストパナマックス・バルクキャリアー1隻、60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻、88千重量トン型石炭専用船1隻の計6隻を引渡したので、受注隻数残高は16隻となった。受注は市況動向を見極めながら臨機応変に対応することを優先し、受注残高を約2.5年分確保する営業方針に沿って引き続き注力していく。また、マリン・修繕船は、LPGタンクの製造が伸び悩んだが、修繕船等が順調に進捗した。この結果、新造船にマリン・修繕船及びプラントを含めた造船事業全体の受注残高は、工事進行基準による金額にして40,820百万円となった。
造船事業の売上高は、前期比859百万円(2.9%)減少の28,411百万円となった。また、鋼材価格の高騰等の要因があるものの、前連結会計年度末から円安が進行したことにより今後製造する米ドル建受注済新造船の円換算売上見込額が増加した結果、各船の採算が改善し、前連結会計年度末の受注工事損失引当金を取り崩したこと等により、営業利益は203百万円(前期は3,463百万円の営業損失)となった。
M&T事業においては、首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に、建設工事用エレベーターの販売・レンタルが伸長し、空調・給排水工事の設計及び施工は、これまで手薄だった首都圏での営業活動強化により好調だった。また、インバウンドと輸出が牽引する化粧品市場の拡大により、化粧品等製造用の真空乳化装置・攪拌機の販売が大きく伸び、既存顧客からの受注に加え、国内外の新規顧客獲得にも成果があった。訪日観光客の増加等により遊園地への来場者が増加する中、既設置機械の更新需要等を的確に捕捉・対応した結果、国内の遊園機械の販売が好調に推移した。新規事業では、海岸に近い施設への津波避難用救命艇の販売に注力し、受注に繋がった。また、ボラード(テロ対策用車止め装置)を始めとしたテロ対策用商品の販売にも注力した。この結果、受注残高は6,796百万円となった。売上高は19,732百万円、営業利益は1,363百万円となった。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,366百万円減少し、41,112百万円となった。これは主に、受取手形及び売掛金が1,806百万円、有価証券が500百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が2,911百万円、その他流動資産が315百万円、電子記録債権が270百万円、仕掛品が213百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて840百万円増加し、25,997百万円となった。これは主に、無形固定資産が116百万円減少したものの、有形固定資産が766百万円、投資有価証券が281百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,028百万円減少し、31,229百万円となった。これは主に、前受金が747百万円、その他流動負債が347百万円それぞれ増加したものの、受注工事損失引当金が2,101百万円減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて704百万円減少し、21,226百万円となった。これは主に、退職給付に係る負債が192百万円増加したものの、長期借入金が989百万円減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて1,207百万円増加し、14,654百万円となった。これは主に、利益剰余金が1,383百万円増加したこと等によるものである。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,901百万円減少し、19,323百万円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ8,502百万円減少し、298百万円の収入となった。主な収入は、減価償却費1,690百万円、税金等調整前当期純利益1,562百万円、前受金の増加666百万円であり、一方、主な支出は、受注工事損失引当金の減少2,101百万円、売上債権の増加1,544百万円である。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ1,049百万円減少し、3,154百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,787百万円等である。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ1,633百万円増加し、135百万円の支出となった。主な支出は、長期借入金の返済による支出13,467百万円、配当金の支払額162百万円であり、一方、主な収入は、長期借入れによる収入12,100百万円、セール・アンド・リースバックによる収入1,343百万円である。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していない。
2 金額は期間中に発生した製造原価で示している。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 M&T事業の機械レンタル及びレジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていない。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。
2 DIAMOND STAR SHIPPING PTE.LTD.については、当連結会計年度において10%未満のため記載を省略している。
3 上記金額には、消費税等は含まれていない。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は前期比688百万円(1.5%)増加の48,144百万円となり、営業利益は1,272百万円(前期は3,160百万円の営業損失)、経常利益は1,326百万円(前期は3,145百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,383百万円(前期は4,260百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、外国為替相場の変動がある。造船事業において売上の大半を占める新造船は、海外向けの輸出比率が高く、米ドル建ての契約が大宗を占めており、円相場の変動リスクに晒されている。一定のルールに基づき為替予約を行うことで為替リスクヘッジに努めているが、年単位の期先に亘る米ドル建て債権を全額ヘッジすることは行っていない。また、原材料、資材、エネルギー価格の変動も経営成績に重要な影響を与える要因の一つである。原材料の大きな部分を占める鋼材価格の変動については、資材調達部門において価格交渉に努めており、加えて効率化等の原価低減活動で吸収すべく努めている。
当社グループにとって、安定的な長期運転資金を確保することが経営課題の一つである。当社の全額出資子会社であるサノヤス造船㈱は、既存シンジケートローン契約(2019年12月30日返済期限)について、新たにシンジケートローン契約(借入金額9,200百万円)を締結し、2018年10月31日に借換を行った。これにより、最終返済期限が2021年12月30日となり、一部期限一括返済のトランシェを設けたことにより年間返済額が減少し、またコベナンツ(サノヤス造船㈱及び当社の誓約条項)は、今後の事業環境のボラティリティの高さに対して柔軟に対応できるものとなった。
近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっている。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題の一つである。この課題の解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入することとした。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ8,502百万円減少し、298百万円の収入となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上高の増減等の影響を受けるが、当社グループは、造船事業において新造船の引渡しにより、売上債権と現金及び預金の間で多額の振り替えが発生するため、引渡しの進捗等による連結会計年度間の期ずれ影響が大きい。前連結会計年度における売上債権は7,336百万円の減少、当連結会計年度における売上債権は1,544百万円の増加と大きく変動している。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ1,049百万円減少し、3,154百万円の支出となった。有形固定資産の取得による支出2,787百万円が主要因である。造船事業では、前々連結会計年度までに大型の設備更新はほぼ完了し、当連結会計年度では製造原価の圧縮に資する省力化設備の導入を進めた。M&T事業では、精密機械加工を主業とするサノヤス精密工業㈱の本社(兵庫県三田市)に建設していた新工場が完成した。また、ショットブラストマシン等を製造販売する㈱大鋳(大阪府高槻市。2019年4月1日付でサノヤス・エンジニアリング㈱と合併)は、宮崎工場の隣接地を取得し、工場を約1.5倍に拡張した。遊園機械製造では、パレットタウン大観覧車(東京都江東区)のイルミネーションをLED電飾に切り換える改修工事を実施した。
財務活動によるキャッシュ・フローは、安定的な長期運転資金を確保するため、上述の通り新たにシンジケートローン契約を締結したことや前々連結会計年度に造船事業で実施した設備投資について、前々連結会計年度にリース調達に切り替えるとともに、調達資金を当連結会計年度に受け取るセール・アンド・リースバックを取り組んだこと等により、前連結会計年度末に比べ1,633百万円増加し、135百万円の支出となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、19,323百万円と前連結会計年度末に比べ2,901百万円減少した。一方、当連結会計年度末の有利子負債残高は22,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ884百万円減少した。安定的な長期運転資金を確保する一方、資金効率の検討が必要と認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
(造船事業)
新造船は、需給の飽和状態が恒常化し、依然として船価の回復が見られない中で受注活動に努めた結果、新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー6隻を受注した。一方、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー3隻と89千重量トン型ポストパナマックス・バルクキャリアー1隻、60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻、88千重量トン型石炭専用船1隻の計6隻を引渡したので、受注隻数残高は16隻となった。船価が低迷する状況下で、受注は市況動向を見極めながら臨機応変に対応することを優先し、受注残高を約2.5年分確保する営業方針に沿って引き続き注力する。また、新造船事業を補完すべく取り組んできたマリン・修繕船は、LPGタンクの製造が伸び悩んだが、修繕船等が順調に進捗した。
(M&T事業)
M&T事業においては、首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に、建設工事用エレベーターの販売・レンタルが伸長し、空調・給排水工事の設計及び施工は、これまで手薄だった首都圏での営業活動強化により好調だった。また、インバウンドと輸出が牽引する化粧品市場の拡大により、化粧品等製造用の真空乳化装置・攪拌機の販売が大きく伸び、既存顧客からの受注に加え、国内外の新規顧客獲得にも成果があった。訪日観光客の増加等により遊園地への来場者が増加する中、既設置機械の更新需要等を的確に捕捉・対応した結果、国内の遊園機械の販売が好調に推移した。新規事業では、海岸に近い施設への津波避難用救命艇の販売に注力し、受注に繋がった。また、ボラード(テロ対策用車止め装置)を始めとしたテロ対策用商品の販売にも注力した。
当社は、2018年4月27日開催の取締役会において、2018年7月2日を効力発生日とする会社分割(吸収分割)により、当社のM&Tグループを統括・支援する機能を、当社100%出資の連結子会社であるサノヤスMTG㈱に承継させる会社分割契約締結の決議を行い、同日付で締結している。
なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載している。
当社グループは、各事業分野において商品競争力の強化、事業分野拡大及びブランドイメージ向上を目指した各種の研究開発を積極的に推進した。当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費は
(1) 造船事業
造船事業では温室効果ガス、窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出規制等の環境問題、エネルギー効率の向上など、商船を取り巻く社会的な要請に対応し、これらの課題解決に資する要素技術の研究・開発に重点的に取組み、その研究成果を基盤として新船型を開発した。
主力船型であるパナマックス型、スプラマックス型に続く当社バルクキャリアーの新たな商品ラインナップとして、新規則(NOx排出3次規制)を適用したハンディサイズ・バルクキャリアーの開発を行った。ハンディサイズ・バルクキャリアーは競合他社も多く激戦の市場ではあるが、事前に多くの顧客からヒアリングを実施し、新たなコンセプトを取り入れることで、他社と差別化を図った船型となった。既存のハンディサイズ市場で主流となっている載貨重量38千トン型と比較して、幅広・浅喫水を追求し汎用性に優れた船型としたことに加えて、ハンディサイズでは最大級の載貨重量41千トンを実現した。荷役の面では、ばら積み貨物を中心に木材や鋼材など、幅広い種類の貨物に対応できるよう、大貨物容積を確保するとともに、鋼材の大型化にも対応可能な構造とした。本船にも、当社が独自に開発した最新の省エネ装置を採用し、業界でトップクラスの燃費性能を実現した。その他、対応力強化の観点から、パナマックス型、スプラマックス型、ハンディ型以外の船型についても研究開発を進めており、専用船であるチップ船については、省エネ船型を開発し、船級協会よりEEDI(エネルギー効率設計指標)フェーズ3予備認証を取得した。
要素技術開発では、当社オリジナルの省エネ付加物として新たに開発した「舵フィン」の特許出願に向けた準備を進めた。また、新たな取組みとして、環境負荷低減を目的とした「LNG焚船」と乗組員負担軽減等を目的とした次世代船である「自動運航船」の開発・調査研究に着手した。いずれも、船級協会あるいは舶用メーカーと協力しながら研究を進めている。実海域性能関連については、独自の取組みとしてパナマックス型バルクキャリアーへのモニタリング装置搭載を計画したことに加えて、日本の主たる海運・造船・舶用工業・関係機関など計25社が参加する、オールジャパンの活動である海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト」にも引き続き参加し、研究を進めた。
新規則対応も重要な研究課題として取り上げた。2020年1月からの「SOxグローバルキャップ規制」については、次世代船型として開発したパナマックス型バルクキャリアー及びスプラマックス型バルクキャリアーにおいてSOxスクラバー搭載設計の実績ができ、お客様のご要望に柔軟に対応しつつある。
設計基幹システムである「3D-CAD(FORAN)の開発」については、当年度も更なる適用領域の拡大を中心に、機能強化に取組み、実船適用した塗装面積・溶接長などの管理物量集計システムの更なる機能向上を実施した。併せて3Dモデルビューワーの現業活用範囲拡大及びユーザービリティ向上のための開発を実施した。
LNG運搬船向けタンク及び荷役システム開発については、環境規制の強化から燃料のLNG転換が進み国内輸送用の小型LNG運搬船(バンカー船)の需要が増加することを見据え、LPGタンクで長年培った経験と実績を活かし開発を早めており、受注できる体制の確立を進めている。
なお、造船事業部門の研究開発費は
(2) M&T事業
M&T事業では多様な市場、顧客ニーズに応えるべく、経済性・安全性に優れ、環境にも配慮した新商品開発・研究に取り組んだ。
建設工事用機械については、工事用エレベーターのメンテナンスの省力化に向けて、遠隔監視装置の試作・試験を行い、良好な結果を得た。今後、現場での実証実験を行う。また、建設現場の省力化に向けて、建物側電動扉の試作機を製作し耐久試験を行った。今後は、実用化を目指し、現場でのフィールド試験とエレベーターとの連動運転の開発を進める。機械式駐車装置においては、拡販のため国土交通省の認定取得機種の増加を図ると同時に、昨年度掲げた他社にはないニッチな領域での開発を推進し、車椅子利用者の利便性に配慮した車椅子利用者対応装置の試作機を完成させた。今後は、装置情報をメンテナンス業務に活かすためIoTの活用にも取り組んでいく。遊園機械製造では、新機種開発として小型機種にシューティング機能を付加した遊具を試作した。また、ドローンを活用した遊園地機械の点検手法の開発を進め、自社工場にてテスト飛行を実施した。今後は、ロケーションでのテスト運行を予定している。加えて、コースター走路の自走式点検車両の開発にも着手した。安全を確保した点検手法を拡充していく。
なお、研究開発費は