文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
経営環境及び課題への取組み
経営の基本方針である各事業の収益の極大化を図るため、それぞれの事業体が直面する事業環境に適応して、選択と集中を進め、業績を向上させていくことが当社の最大の課題である。その解決のためには、各事業に最適なビジネスモデルを構築し洗練していける体制面の強化、独立採算による責任と権限の明確化、意思決定の迅速化、事業特性に応じたリスク管理強化等が必要となる。これを実現するために、当社グループでは事業ごとに分社化することが最適であると考え、2012年1月に持株会社体制に移行した。
持株会社体制により各事業会社をグループ全体の観点から統括し、グループ戦略を策定して資源配分を最適化する機能と、経営管理の均質化を含めたガバナンスを事業会社全てに徹底する体制の構築を目指すと共に、各事業会社は各事業に最適なビジネスモデルを構築・洗練し、独立採算で事業を行うことにより、連結経営のレベルアップを図り、社会や市場の変化に迅速に対応できる企業グループ体制の確立を目指す。
一方、当社グループでは祖業である造船事業を「コアビジネス」とし、M&T事業を「第二のコアビジネス」として位置付け、事業の多角化に取り組んできた。M&T事業については、2018年4月2日に陸上事業とレジャー事業を営む子会社をM&Tグループ(Machinery & Technology Group)として再編するとともに、同グループを統括・支援する会社として「サノヤスMTG㈱」を設立し強化を図ってきた。更に一層の経営の効率化と事業規模の適正化を目的として後述するような組織再編を進めている。
新型コロナウイルス感染症の国内及び海外における感染拡大により、経済情勢の先行きは不透明な状況で推移したが、当社グループは、次のような経営戦略をもって事業を推進する。即ち、当社グループは、造船事業とM&T事業という「二つのコアビジネス」を持ち、相互に補完しながら、バランスの取れたポートフォリオ経営を目指す。ここもとの海運・造船業界における厳しい経営環境の下、「不透明・不確実・不安定」な時代を乗り切るべく、造船事業の体質強化に加え、M&Tグループの強化・発展により、グループ内の補完機能を一層高めることで対応していく方針である。
造船事業においては中国や韓国勢との競争に晒され、“船腹及び建造設備の過剰”という構造が依然として継続している。バルクキャリアーの海運市況は、世界経済の先行き不透明感もあり回復の兆しはいまだなく、新造船価の低迷が継続している中、国内外で造船事業の統合・再編の動きが起こりつつある。
このような状況下、当社の新造船では、NOx排出3次規制やH-CSR(新共通構造規則)の新規則を適用し燃費性能を向上させた新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアーと新64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアーに加え、幅広・浅喫水で大容量化を図った新規制適用の41千重量トン型ハンディサイズ・バルクキャリアーを開発し、営業を展開している。一方、フェリーや特殊船、作業船など一般商船以外にも商品を拡げることで、建造メニューの多角化にも取り組んでいる。船価低迷が続く新造船を補完すべく事業拡大に取り組んでいるマリン(改修船)、ガスタンク(舶用LPGタンク等製造)については、期初に独立させた「ガスタンク営業部」と「ガスタンク設計部」を新設の「ガスタンク事業部」の傘下におき、専任の組織として強化するとともに、製造能力強化のため、従来の大阪製造所(大阪府大阪市)に加えて水島製造所(岡山県倉敷市)にもタンク生産設備の建設を進めている。従来から課題となっている“船腹及び建造設備の過剰”という構造要因と、中国や韓国勢との競争という、非常に厳しい環境が続くものと想定され、これに対応すべく2020年4月より新しい組織体制で臨む。本社と現場の管理業務を行う部門を集約して「事業統括部」とし、製造部門では「船殻工作部」と「艤装工作部」を集約し「工作部」として統合することで、体制強化を図る。ガスタンクについては、より円滑な運営を行うため「ガスタンク事業部」を新設し、プラントでは、フレキシブルかつ統一感のある活動を行うため、「営業部」「設計部」「工事部」の3部体制とした。
M&T事業においては、中間持株会社のサノヤスMTG㈱がM&Tグループの各事業会社の技術開発、新製品開発、IT・システム導入を含む生産・販売・管理等の支援体制を更に強化・拡充するため、2020年4月1日付で組織変更を実施した。まず、「業務推進支援センター」を新設し、「企画部」「システム企画部」「ものづくり推進部」「IT化推進部」を統括しながら相互連携を深め、より幅と深みを持った現場力強化、収益体質強化の取り組みを推進していく。また「ものづくり推進部」の傘下にはグループ全体の品質保証・品質管理を統括する「品質保証室」、各事業会社の技術・設計部門の業務効率化やグループ横断的に取り組むべき技術開発を担う「開発支援室」を新設することとした。加えて、各事業会社においても、それぞれの課題解決に即した組織再編を行うことにより、特性・ビジネスモデル・企業の成長過程に応じた経営体質の強化を図る。
2019年4月には、サノヤス・エンジニアリング㈱と㈱大鋳の、ともに産業機械製造とメンテナンス等のサービスを主業とする2社を一つに統合した。さらに2020年4月に建設工事用エレベーターの販売・レンタルを主業とするサノヤス建機㈱を追加統合して、経営効率化や人財最適配置、既存工場共同利用等によるシナジー追求に基づいて事業構造の強化・拡充を進めた。また、IoT等の情報システム技術を活用した生産性向上や業務効率化の加速を目的として、ソフトウェア開発及び計算・情報処理業務受託を営む㈱サノテックに所属するシステムエンジニアを当社グループ各社に再配置するとともに、同社と商社業等を営むサノヤス・ビジネスパートナー㈱の事業の整理と両社の統合を実施した。なお、事業の整理・統合の結果、統合後の㈱サノテックの事業の大部分が造船及び周辺業界向けとなったことから、グループ組織構造の適正化と更なる効率化を図るため、会社分割の手続きにより2020年1月に同社の株式と経営管理業務をサノヤスMTG㈱からサノヤス造船㈱に移管した。一方で、事業領域の拡大を図るべく、動力制御盤・分電盤・配電盤等のメーカーであるハピネスデンキ㈱の全株式を2020年1月6日付で取得し、完全子会社化した。
各事業の経営を革新していくために最重要の人財面については、経営管理層の世代交代を進めると同時に、メーカーとしての根幹である技術・技能の伝承にも最優先で取組んでいく。
資機材調達コストの低減は、メーカーである当社グループにとって大きな経営課題であり、新型コロナウイルスの影響に伴うサプライチェーンの維持・安定調達を大前提としつつ、調達先の新規開拓や絞り込みによるスケールメリットの追求等によりコストの削減を図り、同時に、生産性の向上を図る施策を実行することで、トータルの収益性向上を目指す。
コーポレートガバナンスについては、グループガバナンスの一層の充実に努めると同時に、経営資源の最適配分と効率経営を徹底することで企業価値の向上を図っていく。当社は、意思決定の迅速化と業務執行に対する取締役会の監督機能の強化を図るため、2018年6月22日開催の第7期定時株主総会をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行した。また、当社は従前より取締役の人事や報酬に関し、独立社外取締役から適切な関与と助言を得ていたが、更に客観性・透明性を向上させ、経営陣に対する監督機能の一層の強化を図るため、取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を2018年2月1日付で設置した。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経済状況、事業環境について
造船事業においては、世界経済の動向に伴う海上貨物の需要変動と、それを運ぶ船腹の供給、特にドライバルク市況の動向に最も大きく影響を受ける。バルクキャリアーの運賃指標(BDI)は、2019年内は年初低迷状況から秋口に向けて回復基調を辿ったものの、秋以降から2020年に入り新型コロナウイルス感染禍の顕在化に対する対策として経済活動の制限が課されたことにより、急激に低下した。近年、海運市場においては、新造船需給の緩和状態が恒常化し、船価は十分な回復に至っていない中、追い打ちを掛ける状況となっている。一方、経済の物流を支えるインフラとして、環境と安全に関する国際的な船舶規制強化は順次着実に実施され、より環境に優しく省エネ化した船舶の設計・製造が必要となってきている。
M&T事業は、主として国内景気の動向に大きく影響を受ける。建設工事用機械や電気制御設備は高層ビル・マンションや工事設備の建設需要に、機械部品製造、化粧品用機械製造、自動車部品製造、空調・給排水工事及び鋳造機製造は国内製造業の需要動向に影響を受ける。遊園機械の販売事業や遊園地運営事業は、国内及び海外のレジャー施設建設需要と、国内及び豪州の消費者のレジャー需要(天候要因を含む)に影響を受ける。
M&T事業においても、造船事業同様、化粧品用機械を中心に海外への輸出に注力しており、現地での需要動向や法規制等の変更による影響を受ける可能性がある。
(2) 外国為替相場の変動について
造船事業において売上の大半を占める新造船は海外向けの輸出比率が高く、一部円建て契約はあるものの、米ドル建ての契約が存在する。また、資材購入には輸入等もあり、外国為替相場の変動により売上、損益とも影響を受けることになる。
M&T事業においても輸出入及び豪州観覧車事業があり、外国為替相場の変動により当該事業の業績が影響を受ける可能性がある。
この対策として、市場リスクに係る管理規程に基づき、為替変動リスクをヘッジしている。
(3) 金利の変動について
今後、金利が上昇した場合、当社グループの有利子負債の支払利息が増加し金融収支が悪化する可能性がある。この対策として、長期借入金の一部についてデリバティブ取引(金利スワップ取引)をヘッジ手段として利用している。
(4) 投資有価証券について
当社グループの保有する投資有価証券は大半が上場株式であるため、今後、株式相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
なお、今後の同社株式の保有方針については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況 」を参照。
(5) 原材料、資材、エネルギー価格について
鉄、非鉄金属、石油石炭等の原材料の値上がりに連れて造船用鋼材をはじめ当社グループの調達資材や電力等エネルギー価格が上昇し、長期の受注生産を中心とする当社グループの事業特性からコストアップ要因として働き業績に影響を与える可能性がある。
(6) 製品の保証について
当社グループでは、品質管理基準に従って製品の製造並びに据付工事及びメンテナンス等を行っているが、当社グループ負担の保証工事や製造物賠償責任等に伴うコストの発生から、保険等でカバーすることができず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 不採算工事の発生に関するリスク
当社グループが施工する工事において、当該工事の施工段階で当初の想定外の追加工事原価等により不採算工事が発生した場合、工事損失引当金を計上することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性がある。
(8) 減損会計の適用によるリスク
当社グループでは、製造設備をはじめとした事業の用に供する各種資産を保有している。それらの時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりそれらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 法的規制、会計基準について
当社グループは、国内外での各種法令、許認可や規制の順守のもとに事業を遂行し、会計基準に則り会計処理を行っているが、法令の改廃や法的規制が設けられたり、また、税効果会計や減損会計を適用しているため、将来の予想数値の変更があった場合、並びに会計基準が変更される場合等には当社グループの貸借対照表、損益計算書に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 環境保全について
社会の要請である環境保全については、グループ全体で真摯に取り組んでいるが、不測の事態等によりコストが発生し業績に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 災害及び事故について
当社グループは火災、地震、台風等の各種災害に対し、損害の発生及び拡大を最小限に止めるべく造船所における防波堤の構築やシステム機器の外部センター等への分散配置等の処置を講じているが、それらの災害により当社グループの活動が影響を受ける可能性がある。また、工場及び工事現場、遊園地等における安全管理には万全を期しているが、万一事故が起きた場合には損害額、賠償額が保険等で十分カバーされず当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
茲許、世界的な蔓延により世界の経済に大きな打撃を与えている新型コロナウイルス禍については、海運というグローバルなロジステックと深い関係にある造船事業はもとより、国内経済に主たる基盤を置くM&T事業も産業機械事業の分野や消費者向けサービス事業の分野で、経済活動の急激な低下による影響を大きく受ける可能性がある。
(12) 訴訟等について
当社グループの事業に関連して、当社グループが当事者となることのある訴訟その他法的手続きに係る決定等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。なお、当社組織に法務部を設置し顧問弁護士と相談しながら訴訟の発生リスクを極小化している。
(13) 情報セキュリティについて
当社グループが保有する情報資産の保護については、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等によって、グループ全体で取り組んでいる。しかし、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセス、その他不測の事態によって、これらの情報資産が消失、もしくは漏洩した場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性がある。セキュリティ確保の観点から、当社のシステム企画部を中心にITシステムを含む情報管理の体制を整備・更新し、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めている。
(14) 借入金の財務制限条項について
当社グループの借入金の一部については、シンジケートローン契約を締結している。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
(15) 人財の確保・育成について
当社グループは、造船事業が不況の時期に定期採用を絞ったことにより年齢構成に偏りがある。また、M&T事業は成長戦略を推進するにあたり即戦力の人財確保が課題である。ここ10年は、好不況にかかわらず一定数の新卒採用を行っており、即戦力の中途採用にも注力している。また、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入し、ベテラン人財の活用とベテランから中堅・若手への技能伝承に努めている。しかし、労働市場の動向によっては、当社グループが計画する人財の確保ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(16) 新型コロナウイルス感染症について
世界的な新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループにおいても、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じている。
この対策として、当社グループの従業員や家族への感染防止を図るために、「サノヤス・スタンダード」として次のような対策に取り組んでいる。
・安全衛生の徹底(マスク着用、検温等)
・在宅勤務、時差出勤の推進
・Web会議等を活用し、国内外の出張については、不要不急なものは避ける
今後も動向を注視しながら適宜対策を講じていくが、さらなる感染拡大等、想定を超えるような事態が発生する場合には、国内外の経済状況の変動に応じ、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度における世界経済は、期初から年内は安定した景況感に支えられ、米中通商問題や地政学的リスクを包含しつつも底堅く推移した。しかしながら、年始からは中国で発生した新型コロナウイルスの感染が拡大し、社会的、経済的に大打撃を受けている状況にある。世界的な同ウイルスの感染拡大が収まる様子はなく、各国で人の移動を制限する等の感染拡大防止策が打ち出されたことにより、経済活動が停滞している。
当社グループを取り巻く事業環境は、造船事業においては中国や韓国勢との競争に晒され、“船腹及び建造設備の過剰”という構造が依然として継続している。バルクキャリアーの海運市況は、世界経済の先行き不透明感もあり回復の兆しはいまだなく、新造船価の低迷が継続している中、国内外で造船事業の統合・再編の動きが起こりつつある。
このような状況下、当社の新造船では、NOx排出3次規制やH-CSR(新共通構造規則)の新規則を適用し燃費性能を向上させた新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアーと新64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアーに加え、幅広・浅喫水で大容量化を図った新規制適用の41千重量トン型ハンディサイズ・バルクキャリアーを開発し、営業を展開している。一方、フェリーや特殊船、作業船など一般商船以外にも商品を拡げることで、建造メニューの多角化にも取り組んでおり、2019年12月には約20年ぶりの建造となった旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)を1隻完工し、引渡した。船価低迷が続く新造船を補完すべく事業拡大に取り組んでいるマリン(改修船)、ガスタンク(舶用LPGタンク等製造)については、期初に独立させた「ガスタンク営業部」と「ガスタンク設計部」を新設の「ガスタンク事業部」の傘下におき、専任の組織として強化するとともに、製造能力強化のため、従来の大阪製造所(大阪府大阪市)に加えて水島製造所(岡山県倉敷市)にもタンク生産設備の建設を進めている。また、住友精化㈱と共同開発した舶用LNG燃料供給システムも、同システムを採用した第1船が2020年1月に竣工した。なお、上記の通り経営努力を続けているが、新造船市況・新造船価は低迷を続けており、造船事業の営業キャッシュ・フローは赤字の状況が継続しているので、有形固定資産と無形固定資産の合計額と、土地・建物の不動産鑑定価格等の合計額との差額である991百万円を減損損失として特別損失に計上した。
M&T事業は、当社グループの「第二のコアビジネス」との位置付けを踏まえ、事業の基盤強化と多角化に取り組んだ。2019年4月には、サノヤス・エンジニアリング㈱と㈱大鋳の、ともに産業機械製造とメンテナンス等のサービスを主業とする2社を一つに統合した。さらに2020年4月に建設工事用エレベーターの販売・レンタルを主業とするサノヤス建機㈱を追加統合して、経営効率化や人財最適配置、既存工場共同利用等によるシナジー追求に基づいて事業構造の強化・拡充を進めた。また、IoT等の情報システム技術を活用した生産性向上や業務効率化の加速を目的として、ソフトウェア開発及び計算・情報処理業務受託を営む㈱サノテックに所属するシステムエンジニアを当社グループ各社に再配置するとともに、同社と商社業等を営むサノヤス・ビジネスパートナー㈱の事業の整理と両社の統合を実施した。なお、事業の整理・統合の結果、統合後の㈱サノテックの事業の大部分が造船及び周辺業界向けとなったことから、グループ組織構造の適正化と更なる効率化を図るため、会社分割の手続きにより2020年1月に同社の株式と経営管理業務をサノヤスMTG㈱からサノヤス造船㈱に移管した。一方で、事業領域の拡大を図るべく、動力制御盤・分電盤・配電盤等のメーカーであるハピネスデンキ㈱の全株式を2020年1月6日付で取得し、完全子会社化した。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は前期比1,661百万円(3.5%)増加の49,805百万円となったが、M&T事業の伸長も造船事業の損失を補填するまでには至らず営業損失は1,775百万円(前期は1,272百万円の営業利益)、経常損失は1,710百万円(前期は1,326百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,211百万円(前期は1,383百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、外国為替相場の変動がある。造船事業において売上の大半を占める新造船は、輸出比率が高く、米ドル建ての契約が大宗を占めており、円高リスクに晒されている。一定のルールに基づき為替予約を行うことでリスクヘッジに努めているが、年単位の期先に亘る米ドル建て債権を全額ヘッジすることは行っていない。また、原材料、資材、エネルギー価格の変動も経営成績に重要な影響を与える要因の一つである。原材料の大きな部分を占める鋼材価格の上昇リスクについては、資材調達部門において値下げ交渉に努めており、加えて建造工程における効率化等の原価低減活動で吸収すべく努めている。
また、人財への対応については、若年層の減少や製造現場での求職の低下から来る安定的な人財獲得・確保、技能伝承の課題を解決すべく2019年4月より「65歳定年制度」を導入している。
セグメント別の経営成績は次のとおりである。
なお当連結会計年度から、従来「M&T事業」に属していた㈱サノテックを「造船事業」に変更している。前連結会計年度については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。
新造船は上記の通り、需給の飽和状態が恒常化し依然として船価の回復が見られない中で、受注活動に努めた結果、新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー4隻、新64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアー1隻の計5隻を受注した。一方、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー4隻、64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアー2隻、60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻、旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)1隻の計8隻を引渡したので、受注隻数残高は内定を合わせて13隻となった。また、マリンでは官民の修繕船、ガスタンクでは船用LPGタンクの営業に注力した。この結果、新造船にマリン・ガスタンク及びプラントを含めた造船事業全体の受注残高は、工事進行基準による金額にして36,875百万円となった。
造船事業の売上高は、前期比287百万円(1.0%)増加の29,932百万円となった。営業損益については資材費や工費の高騰を背景に原価が高止まりしていることや、2019年3月末対比で円高が進行したことにより、新規受注船を含む今後製造する米ドル建受注済新造船の円換算売上見込額が減少した結果、2,779百万円の営業損失(前期は336百万円の営業利益)となった。
M&T事業においては、首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に、建設工事用エレベーターの販売が伸長した。化粧品市場は年々拡大が続いており、化粧品等製造用の真空乳化装置・攪拌機の販売は好調を維持している。この結果、受注残高は7,802百万円となった。ハピネスデンキ㈱を買収したことを主因として、売上高は、前期比1,374百万円(7.4%)増加の19,873百万円、営業利益は前期比165百万円(13.5%)増加の1,396百万円となった。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,273百万円減少し、37,839百万円となった。これは主に、その他流動資産が931百万円、仕掛品が347百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が4,484百万円減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて156百万円減少し、25,841百万円となった。これは主に、その他投資資産が754百万円、無形固定資産が738百万円それぞれ増加したものの、投資有価証券が1,102百万円、有形固定資産が394百万円、長期貸付金が73百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,945百万円減少し、28,284百万円となった。これは主に、前受金が1,809百万円、受注工事損失引当金が822百万円、支払手形及び買掛金が631百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,509百万円増加し、23,736百万円となった。これは主に、長期借入金が1,515百万円、リース債務が600百万円、退職給付に係る負債が522百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて2,993百万円減少し、11,660百万円となった。これは主に、利益剰余金が2,374百万円、その他有価証券評価差額金が600百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,269百万円減少し、15,053百万円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ3,615百万円支出が増加し、3,317百万円の資金の減少となった。主な支出は、税金等調整前当期純損失1,956百万円、前受金の減少1,820百万円、仕入債務の減少1,270百万円、前渡金の増加1,014百万円、受注工事損失引当金の減少822百万円であり、一方、主な収入は、減価償却費1,577百万円、減損損失1,123百万円、売上債権の減少857百万円である。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ1,620百万円支出が減少し、1,534百万円の資金の減少となった。主な支出は、有形固定資産の取得による支出1,970百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,023百万円、無形固定資産の取得による支出364百万円であり、一方、主な収入は、投資有価証券の売却による収入884百万円、有形固定資産の売却による収入765百万円である。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ740百万円収入が増加し、605百万円の資金の増加となった。主な収入は、長期借入れによる収入5,281百万円、セール・アンド・リースバックによる収入273百万円であり、一方、主な支出は、長期借入金の返済による支出4,480百万円、リース債務の返済による支出204百万円、配当金の支払額162百万円である。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していない。
2 金額は期間中に発生した製造原価で示している。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 M&T事業の機械レンタル及びレジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていない。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注) 1 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。
2 上記金額には、消費税等は含まれていない。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は前期比1,661百万円(3.5%)増加の49,805百万円となり、営業損失は1,775百万円(前期は1,272百万円の営業利益)、経常損失は1,710百万円(前期は1,326百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,211百万円(前期は1,383百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、外国為替相場の変動がある。造船事業において売上の大半を占める新造船は、海外向けの輸出比率が高く、米ドル建ての契約が大宗を占めており、円相場の変動リスクに晒されている。一定のルールに基づき為替予約を行うことで為替リスクヘッジに努めているが、年単位の期先に亘る米ドル建て債権を全額ヘッジすることは行っていない。また、原材料、資材、エネルギー価格の変動も経営成績に重要な影響を与える要因の一つである。原材料の大きな部分を占める鋼材価格の変動については、資材調達部門において価格交渉に努めており、加えて効率化等の原価低減活動で吸収すべく努めている。
当社グループにとっては、昨今の造船業界のおかれた厳しい運営環境に鑑み、前述のとおり、造船事業とM&T事業の「2つのコアビジネス」をベースとするポートフォリオ経営を標榜してきた。足元では、M&Tグループ内の各社の経営規模も効率的な運営を行なえる水準に再編を進めてきており、それに伴い各個社レベルでの経営の水準も上がってきたところである。これを背景として、各コア事業の割合は概ね造船グループで6割弱、M&Tグループは4割強という形で均衡してきており、事業ポートフォリオによるバランス経営の目指す形に近づいてきている。2020年1月にはM&Tグループで動力制御盤、分電盤、配電盤等のメーカーであるハピネスデンキ㈱を傘下に加え、引き続きシナジー面も含め伸長の期待できる事業の強化・発掘に努めていく。
近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっている。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題の一つである。この課題の解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入しており、安定的な新規採用活動の継続と合わせてマンパワーの継続を図っていく。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ3,615百万円支出が増加し、3,317百万円の支出となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上高の増減等の影響を受けるが、当社グループは、造船事業において新造船の引渡しにより、売上債権と現金及び預金の間で多額の振り替えが発生するため、引渡しの進捗等による連結会計年度間の期ずれ影響が大きい。前連結会計年度における売上債権は1,544百万円の増加、当連結会計年度における売上債権は857百万円の減少と大きく変動している。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ1,620百万円減少し、1,534百万円の支出となった。有形固定資産の取得による支出1,970百万円が主要因である。造船事業では、当連結会計年度では強化を図っているガスタンク事業について、水島製造所での製造設備の導入を進めた。M&T事業では、動力制御盤、分電盤、配電盤メーカーであるハピネスデンキ㈱の株式を取得し、事業領域を拡大した。
財務活動によるキャッシュ・フローは、安定的な長期運転資金を確保するため、資金調達した結果前連結会計年度末に比べ740百万円収入が増加し、605百万円の資金の増加となった。主な収入は、長期借入れによる収入5,281百万円である。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、15,053百万円と前連結会計年度末に比べ4,269百万円減少した。一方、当連結会計年度末の有利子負債残高は25,407百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,636百万円増加した。安定的な長期運転資金を確保する一方、資金効率の検討が必要と認識している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
(造船事業)
新造船は、需給の飽和状態が恒常化し、環境規制の強化に伴い既存船のリプレース需要が期待されたにも拘わらず、依然として船主やオペレーターは慎重姿勢を崩していない為船価の回復が遅れる中、新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー4隻、新64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアー1隻を受注した。一方、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー4隻と64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアー2隻、60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻、旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)1隻の計8隻を引渡したので、受注隻数残高は13隻となった。船価が低迷する状況下で、受注は市況動向を見極めながら臨機応変に対応することを優先し、受注残高を約2年分確保する営業方針に沿って引き続き注力する。また、新造船事業を補完すべく取り組んできたマリン・ガスタンクは、LPGタンクの製造、修繕船がともに順調に進捗した。
(M&T事業)
M&T事業においては、首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に建設工事用エレベーターの販売が伸長すると同時に、化粧品市場の拡大に下支えされて化粧品等製造用の真空乳化装置・攪拌機の販売も好調を維持している。加えて、ショットブラスト機の販売では代理店契約を締結した台湾企業を足掛かりに台湾・中国での市場開拓に成功した。2020年1月には動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造・販売を主業とするハピネスデンキ㈱が戦列に加わった。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えている。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もあるが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っている。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しているが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
取得による企業結合
当社は、2019年12月12日に開催された取締役会において、当社完全子会社であるサノヤスMTG㈱がハピネスデンキ㈱の発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、同社の株主との間で本件買収に関する最終契約を締結した。また、2020年1月6日付で株式を取得している。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」に記載している。
当社グループは、各事業分野において商品競争力の強化、事業分野拡大及びブランドイメージ向上を目指した各種の研究開発を積極的に推進した。当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費は
(1) 造船事業
造船事業では温室効果ガス、窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出規制等の環境問題、エネルギー効率の向上など、商船を取り巻く社会的な要請に対応し、これらの課題解決に資する要素技術の研究・開発に重点的に取組み、その研究成果を基盤として新船型を開発した。
主力船型である新規制対応のパナマックス型バルクキャリアーにおいて受注実績を重ね、新たに開発した省エネ装置を適用することでEEDIフェーズ3達成可能船型とした。加えて、顧客からの評価を加味して標準仕様見直しを行った。
要素技術開発では、当社オリジナルの省エネ付加物として新型フィンを開発し、水槽試験を行った。また、新たな取組みとして、環境負荷低減を目的とした「LNG焚船」と乗組員負担軽減等を目的とした次世代船である「自動運航船」の開発・調査研究を進めた。「LNG焚船」については、430万CFT型チップ船のコンセプトデザインを完成させ、船級協会から概念設計承認AiPを取得した。関連するLNGタンク防熱技術については、防熱メーカーにて実証実験を実施し、施工性を確認した。また、LNG荷役システムについては、採用機器の選定、仕様検証を行いAiP取得の準備を進めた。「自動運航船」の開発調査については、乗組員の負担軽減に寄与する荷役業務高度化に関する研究を船用メーカーと共同で進めた。実海域性能関連については、独自の取組みとしてパナマックス型バルクキャリアーへのモニタリング装置搭載を決定し、個別の船を選定した。加えて、日本の主たる海運・造船・舶用工業・関係機関など計25社が参加する、オールジャパンの活動である海事クラスター共同研究「実海域実船性能評価プロジェクト」にも引き続き参加し、研究を進めるとともに、「IoS-OPコンソーシアム」にも参画した。
設計基幹システムである「3D-CAD(FORAN)の開発」については、当年度も更なる適用領域の拡大を中心に、機能強化に取組み、実船適用した塗装面積・溶接長などの管理物量集計システムの更なる機能向上を実施した。併せて3Dモデルビューワーの現業活用範囲拡大及びユーザービリティ向上のための開発を実施した。
なお、造船事業部門の研究開発費は
(2) M&T事業
M&T事業では多様な市場、顧客ニーズに応えるべく、経済性・安全性に優れ、環境にも配慮した新商品開発・研究に取り組んだ。
建設工事用機械については、工事用エレベーターのメンテナンスの省力化に向けて遠隔監視装置の試作・試験を行い、良好な結果を得、現場での実証実験を継続中である。また、建設現場の省力化に向けて開発した建物側電動各階扉や大型踏板の試作機を製作して耐久試験を行っており、今後は実用化を目指して現場でのフィールド試験とエレベーターとの連動運転の開発を進める。機械式駐車装置においては、より安全性を高めるための基礎研究や、よりコスト力のあるリニューアル対象機種の合理化モデルの開発等に取り組んだ。遊園機械製造では、新機種開発として小型機種にシューティング機能を付加した遊具を試作した。また遊園地機械の新たな点検手法の開発にも取り組んでおり、ドローンを活用した点検については自社工場でのテスト飛行を終え、ロケーションでのテスト運行を進めている。合わせて、コースター走路用の自走式点検ロボットの開発も進めており、安全性と効率性を兼ね備えた点検手法を拡充していく。
なお、研究開発費は