当第3四半期連結累計期間における、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はない。
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国では雇用環境の良好な状態が続くものの、景気の先行きに懸念が広がりつつある。欧州では製造業の不振が続き、景気下振れリスクが懸念されている。中国では対米貿易交渉が長期化する中、景気の減速傾向が強まりつつある。中東でのイランと米国の対立激化が、世界経済の先行きの不安材料になっている。こうした中でわが国経済は、内需の底堅さを背景に雇用環境は好調を維持しているが、世界経済の減速や輸出の伸び悩み、消費税引き上げの影響もあり、先行きの景況感については不透明感が増す展開が続いている。
当社グループを取り巻く事業環境は、造船事業においては“船腹及び建造設備の過剰”という構造が依然として継続し、バルクキャリアーの海運市況は、本格的な回復基調に至らず、新造船価の低迷が長期にわたり続いている。一方、国内外では造船事業の統合、再編の動きが起こりつつある。
このような状況下、当社の新造船では、NOx排出3次規制やH-CSR(新共通構造規則)の新規則を適用し燃費性能を向上させた新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアーと新64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアーに加え、幅広・浅喫水で大容量化を図った新規制適用の41千重量トン型ハンディサイズ・バルクキャリアーを開発し、営業を展開している。一方、フェリーや特殊船、作業船など一般商船以外にも商品を拡げることで、建造メニューの多角化にも取り組んでおり、2019年12月3日には約20年ぶりの建造となった旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)を1隻引渡した。新造船を補完すべく取り組んでいるマリン、ガスタンクについては、2019年4月1日付で、「ガスタンク営業部」と「ガスタンク設計部」を既存の各部署から独立させ、専任の組織として新設した。現在の製造拠点である大阪製造所(大阪府大阪市)に加え水島製造所(岡山県倉敷市)でもLPGタンクの製造を決定し、生産設備の建設を進めている。
M&T事業は、当社グループの「第二のコアビジネス」と位置付け、事業の基盤強化多角化に取り組んだ。その第1に、2019年4月1日、ともに産業機械製造とメンテナンス等のサービスを主業とするサノヤス・エンジニアリング㈱と㈱大鋳の2社を合併した。更に、2020年4月1日に建設工事用エレベーターの販売・レンタルを主業とするサノヤス建機㈱をこの新会社に追加統合することを決議したが、これは経営の効率化や人財の最適配置、既存工場の共同利用によりシナジー追求に基づく事業構造の強化・拡充を狙いとしている。その一環として、ショットブラスト機事業では、塗装剥離装置「ジグストリッパー」等の海外販路の拡大を目指し、2019年9月6日に台湾及び日本の商社と台湾での販売店契約を締結した。第2に、グループ内のIT化推進を目的として、2019年4月1日に、ソフトウェアの開発及び計算・情報処理業務の受託を営む㈱サノテックに所属するシステムエンジニアの全体最適視点からサノヤスグループ各社への配置及び同社とサノヤス・ビジネスパートナー㈱との合併統合を実施した。なお、㈱サノテックは事業の整理・統合の結果、大部分が造船及び周辺業界向けとなったことから、組織構造の適正化と更なる効率化を図るため、会社分割の手続きにより、2020年1月1日付で同社の株式と経営管理業務をサノヤスMTG㈱からサノヤス造船㈱に継承した。第3に、2019年12月12日に、動力制御盤・分電盤・配電盤等のメーカーであるハピネスデンキ㈱の全株式取得及び子会社化を決議し、2020年1月6日付で完全子会社化した。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同四半期比795百万円(2.3%)増加の35,353百万円となり、営業損失は1,221百万円(前年同四半期は589百万円の営業利益)、経常損失は1,090百万円(前年同四半期は518百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は392百万円(前年同四半期は427百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となった。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、外国為替相場の変動がある。造船事業において売上の大半を占める新造船は、海外向けの輸出比率が高く、米ドル建ての契約が大宗を占めており、円相場の変動リスクに晒されている。一定のルールに基づき為替予約を行うことで為替リスクヘッジに努めているが、年単位の期先に亘る米ドル建て債権を全額ヘッジすることは行っていない。また、原材料、資材、エネルギー価格の変動も経営成績に重要な影響を与える要因の一つである。原材料の大きな部分を占める鋼材価格の変動については、資材調達部門において価格交渉に努めており、加えて建造工程における効率化等の原価低減活動で吸収すべく努めている。
近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっている。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題と認識している。この解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入した。
なお当社グループは受注産業の特性、特に、新造船受注においては海運市況に強い影響を受ける船価相場の動向と新規受注の有無、当該四半期に工事進行基準によって売上計上される新造船工事の個船別採算、加えて各四半期決算期末における外国為替相場の水準が大きく影響するため、四半期業績が年度業績に必ずしも連動しない。
セグメント別の業績は次のとおりである。
①造船事業
新造船は上記の通り、需給の飽和状態が恒常化し依然として船価の回復が見られない中で、受注活動に努めた結果、新82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー3隻を受注した。一方、82千重量トン型パナマックス・バルクキャリアー2隻、64千重量トン型ウルトラマックス・バルクキャリアー2隻、60千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアー1隻、旅客船兼自動車航送船(カーフェリー)1隻の計6隻を引渡したので、受注隻数残高は13隻となった。また、マリンでは修繕船、ガスタンクではLPGタンクの営業に注力した。この結果、新造船にマリン、ガスタンク及びプラントを含めた造船事業全体の受注残高は、工事進行基準による金額にして34,996百万円となった。
造船事業の売上高は、前年同四半期比629百万円(3.1%)増加の21,094百万円となった。営業損益については資材費や工費の高騰を背景に原価が高止まりしていることや、2019年3月末対比で円高が進行したことにより、新規受注船を含む今後製造する米ドル建受注済新造船の円換算売上見込額が減少した結果、2,018百万円の営業損失(前年同四半期は62百万円の営業損失)となった。
②M&T事業
M&T事業においては、訪日観光客の増加や好天の影響により来場者が増えた結果、国内遊園地のロケーション営業が売上高・利益を牽引した。また、首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に、建設工事用エレベーターの販売が伸長した。化粧品市場は年々拡大が続いており、化粧品等製造用の真空乳化装置・攪拌機の販売は好調を維持している。この結果、受注残高は7,810百万円となった。売上高は前年同四半期比165百万円(1.2%)増加の14,258百万円、営業利益は前年同四半期比134百万円(15.2%)増加の1,017百万円となった。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,785百万円減少し、39,327百万円となった。これは主に、仕掛品が772百万円、電子記録債権が296百万円それぞれ増加したものの、受取手形及び売掛金が2,238百万円、現金及び預金が725百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて833百万円減少し、25,164百万円となった。これは主に、その他投資資産が728百万円増加したものの、有形固定資産が1,505百万円減少したこと等によるものである。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて3,223百万円減少し、28,006百万円となった。これは主に、受注工事損失引当金が1,141百万円、短期借入金が580百万円、その他流動負債が541百万円、前受金が368百万円、賞与引当金が349百万円、支払手形及び買掛金が316百万円それぞれ減少したこと等によるものである。
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて922百万円増加し、22,149百万円となった。これは主に、長期借入金が490百万円、退職給付に係る負債が329百万円それぞれ増加したこと等によるものである。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて317百万円減少し、14,336百万円となった。これは主に、その他有価証券評価差額金が222百万円増加したものの、利益剰余金が555百万円減少したこと等によるものである。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はない。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条3号に掲げる事項)は次のとおりである。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上していくことを可能とする者が望ましいと考えています。もっとも、上場会社として当社株式の自由な売買が行われている以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強制するおそれがあるもの、株主の皆様が買付けの条件等について検討したり、当社取締役会が代替案を提案したりするための十分な時間や情報を提供しないもの等も散見されます。また、造船事業及びM&T事業を手掛ける当社グループの経営においては、当社グループが保有する有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、当社グループに与えられた社会的使命、それら当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を構成する要素等への理解に基づく中長期的な視野を持った経営施策が必要不可欠です。かかる買付行為がなされる場合や当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者によりかかる中長期的視野を欠く経営がなされる場合、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益や当社グループに関わる全てのステークホルダーの利益は毀損されることになる可能性があります。
従って、当社としましては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、環境への配慮と安全が担保された高品質の製品・サービスの提供を通じて、ステークホルダーから信頼され、社会にとって魅力ある企業として持続的に発展することを目指しています。また、効率的で透明性の高い経営体制を確立し、激変する経営環境の下での着実な利益による成長を通して企業価値を継続的に高めていくことが企業経営の使命であると考えています。
この様な考えの下、基本方針の実現、すなわち当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益確保・向上に向けて次のとおり取組んでいます。
祖業である造船事業で長年培った技術とものづくりに懸ける精神を他分野に展開し、経営の安定化を図るとともに、造船事業を「コア事業」と造船事業以外の様々な多角化事業を「第二のコア事業」と位置付け、持株会社体制の下で競争力・収益力の強化に向けてそれぞれの事業に応じた諸施策を推進しています。特に、事業規模の比較的小さな会社の集合体である「第二のコア事業」については、各社を専ら統括・支援する会社を設立することにより、各社と課題を共有し、ものづくり、安全推進、経営管理ほか全ての面での強化・拡充に取組んでいます。
また当社では、執行役員制度の導入及び監査等委員会設置会社の移行により、迅速な意思決定、機動的な業務執行の実践とともに取締役会の監査・監督機能の一層の強化に取り組んでいます。加えて、任意の指名・報酬委員会を設置し、経営の透明性・公正性の担保を図っています。さらに、代表取締役社長である委員長を中心に、取締役会から委員を委嘱された当社及び子会社の取締役をもって構成する内部統制推進委員会を設置し、内部統制プロセスの有効性の検証・監督、実効性向上施策を協議することにより、業務の適正性の確保に努めています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてます。
④ 各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものです。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は207百万円である。
取得による企業結合
当社は、2019年12月12日に開催された取締役会において、当社完全子会社であるサノヤスMTG㈱がハピネスデンキ㈱の発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、同社の株主との間で本件買収に関する最終契約を締結した。また、2020年1月6日付で株式譲渡が実行された。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載している。