当社グループは1947年の創業以来、医療・高齢者福祉分野におきまして療養環境の向上のみならず、医療・介護従事者の業務改善等に資する製品・サービスを提供してまいりました。近年は福祉用具レンタル卸事業やメンテナンスサービス事業に参入するなど、社会の変化に対応し、事業の多角化を推進しながら、業容の拡大を図っております。
当社グループの関連する医療・高齢者福祉分野の事業環境につきましては、日本では2025年に団塊世代の全てが75歳以上となるなど高齢化は確実に進むものの、社会保障費の伸びが課題となっております。一方、医療施設・高齢者施設においては、看護・介護スタッフの負担を軽減するための製品・システムや、高度急性期分野等への投資が拡大するものと見込まれます。在宅介護市場においては、政府は「病院から在宅へ」という基本方針の下、在宅で医療・介護を受ける環境を整える方策を打ち出しており、今後の市場拡大が期待されます。また、生産年齢人口の減少や働き方改革などを背景として企業や個人が一人一人の健康に配慮する傾向や、AI・ITやデータを活用したビジネスの増加など、今後も環境が大きく変化していくことが想定されます。
海外においては、アジア地域を中心として経済成長と共に医療インフラの充実が見込まれ、中国等では将来的にはわが国よりも速いスピードで高齢化が進むと予想されます。
当社グループは2020年4月1日付で、2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」を策定いたしました。「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」を掲げ、医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をもとに、健康の分野でも皆様に貢献することを目指しております。同ビジョンに基づく中期経営計画は、2024年4月に第Ⅱフェーズ(最終年度:2027年3月期)へ移行しました。重点施策である「リカーリングビジネスの拡大」「健康事業の進化」「アジア注力エリアでの飛躍」に注力することで、2027年3月期の業績目標である売上高1,200億円、営業利益150億円の達成を目指します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念と長期ビジョン達成のプロセスにおいてESGの考え方を重視し、重点課題の解決に積極的に取り組むことを通じてSDGsの達成に貢献し、持続可能な社会の実現と信頼される企業活動を目指しています。
ESG・SDGsの観点で「1.持続的な医療・介護体制整備の支援」「2.すべての人が健康でいきいきと暮らせる環境づくり」「3.製品安全の追求」「4.従業員の健康・ダイバーシティ・働き方改革の推進」「5.環境に配慮した事業活動」「6.コンプライアンスの徹底」の6つの重点課題(マテリアリティ)に整理し、パラマウントビジョン2030及び中期経営計画に、これらマテリアリティの施策を組み込み推進してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する活動を管理推進する組織として、サステナビリティ委員会を設置しております。
サステナビリティ委員会は、気候変動や人的資本などのサステナビリティ課題に関する基本戦略、活動の実施状況、情報開示等について議論し、適宜取締役会に上程・報告をし、取締役会は、サステナビリティ委員会から報告を受け、必要に応じて監督・指示を行います。
②リスク管理
サステナビリティ関連リスクの管理プロセスとして、サステナビリティ委員会を通じて、これらの分析、対策の立案、進捗管理等を実践いたします。
「リスク管理基本規程」に基づき、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する課題を「サステナビリティ委員会」が、その他の全社的な課題を「経営会議」がそれぞれ分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践し、取締役会にて一元的なリスクマネジメント体制を構築しております。
(2)気候変動への対応(TCFD提言に沿った情報開示)
当社グループは、ESG経営推進のための重点課題(マテリアリティ)のひとつとして「5.環境に配慮した事業活動」を掲げており、地球と調和した持続可能な社会を構築するため、企業活動や製品のライフサイクル全体にわたって環境負荷の低減を目指しております。
そのため、気候変動への対応は社会全体が直面する課題であり、当社にとっても中長期的な課題と捉え、気候変動に係るリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿って下記のとおり整理をしております。
①戦略
当社はIEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオ及び4℃シナリオ※)を参照し、2050年までの長期的な当社への影響を考察し、次のとおりシナリオ分析を実施いたしました。
なお、当社にとっての影響の大きさや発生の可能性の2軸からリスク・機会を抽出し、当社への事業インパクト(3段階)を評価して重点となる項目を絞り込み、対策を整理しております。今後も戦略としてのレジリエンスを高めながら、事業計画等と連動させて脱炭素社会の実現に向けて貢献していきます。
※2℃未満シナリオ :気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化などの対策が取られるシナリオ
4℃シナリオ :気温上昇の結果、異常気象などの物理的影響が生じるシナリオ
気候変動に関する主なリスクと機会及び対応
凡例 ▲:リスク ●:機会
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シナリオ |
リスク・機会 |
事業 インパクト |
当社への影響 |
当社の対策 |
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2℃未満シナリオ |
炭素税導入 ▲炭素税・排出量取引による調達・物流・操業コスト増加 |
★★★ |
炭素税が課税されることにより、鉄鋼材料等の調達価格の上昇、工場等における自社操業コストの上昇、物流コストの上昇が想定され、当社への事業インパクトは大きいと考えられる。 |
・低炭素材料への切り替え ・拠点間の輸送効率化等による輸送量の削減 ・自社由来CO2排出量(Scope1/2)の削減計画策定 |
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脱炭素政策の強化 ▲再エネ調達コスト増加 ●環境に配慮した技術、サービス需要の増加 |
★★ |
脱炭素政策が強化され、電力を全て再生可能エネルギーに切り替える必要が生じ追加コストが発生するが、当社への影響は小さいと考えられる。 一方で、当社の環境に配慮した技術・サービスの需要の増加が見込まれる。 |
・自社由来CO2排出量(Scope1/2)の削減計画策定 ・顧客の環境に関する意識の変化の素早い把握及び、その時々に顧客が求めている環境配慮型製品の開発・提供 |
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ステークホルダーの意識変化 ▲気候変動への対応不備と評判低下 ●顧客の環境意識の高まりによるレンタル・アフターサービス需要の増加 |
★★★ |
適切な環境対応に関する情報開示、GHG排出量削減目標の設定を行わなかった場合、各ステークホルダーからの評判低下リスクが発生しうるが、当社は今後も適切な開示に努める方針であるため、影響は一定程度と考えられる。 一方で、顧客の廃棄コスト削減志向が強まることで、レンタル需要・部品交換等のアフターサービス需要が高まるため、当社への事業インパクトは大きいと考えられる。 |
・TCFD等の気候変動に関する情報開示を適切に実施することによる、環境に配慮した経営を行っている企業としての評判の維持・向上 ・環境配慮型製品の供給、GHG排出量削減目標の策定・達成による、環境に対して責任を果たす企業としての評判の維持・向上 ・リカーリングビジネスの拡大の加速化及び、センシング技術・AI・IoTなどを活用した、新たなリカーリングビジネスメニューの開発 |
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4℃シナリオ |
急性リスク (風水害の激甚化) ▲原料調達先の自然災害への被災による操業停止リスク ▲生産拠点が被災する事による操業停止リスク ▲集中豪雨による物流の遮断 ●防災製品・サービス需要の拡大 ●風水害発生時の迅速かつ安定的な供給による信頼の確保 |
★★★ |
取引額が大きい調達先や、生産拠点、物流網が風水害による被災を受けた場合、操業が停止し逸失利益が生じる可能性がある。 一方で、風水害が激甚化・多発化するため、防災製品・サービスの需要が増加する。 また、災害発生時に迅速かつ安定的に供給対応することで、当社への信頼確保の機会ともなると考えられ、当社への事業インパクトは大きいと考えられる。 |
・複数社購買、複数拠点在庫、汎用品の採用等の推進 ・災害時も製品の安定供給を維持するための安全在庫の確保と、他生産拠点との連携による迅速な生産対応 ・被災した物流ルートの代替として他の地域から緊急出荷が可能な体制の確立 ・自然災害の発生時に有効な製品・サービスの開発、供給体制の拡充、外部発信・PR |
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慢性リスク (気温の上昇、温暖化) ▲気温上昇対応コストの増加 ●気温上昇に伴う睡眠の質の低下対策に資する製品・サービス需要の増加 ●気温上昇に伴う医療・看護・介護業務の効率化に資する製品・サービスの需要増加 |
★★★ |
気温が上昇した場合、従業員の健康維持のために空調コスト等の気温上昇に対応するためのコストが発生する可能性がある。 一方で、気温上昇に伴う睡眠の質の低下の対策需要、医療・看護・介護業務のサポート需要が拡大することによる当社製品(スリープテック製品・スマートベッドシステム等)の需要が見込まれるため、当社への事業インパクトは大きいと考えられる。 |
・高効率な空調機の導入等による空調コストの軽減 ・スリープテック製品・スマートベッドシステムの開発・販売及び外部発信・PR |
②指標と目標
指標につきましては、Scope1/Scope2に該当するGHG(CO2)排出量とし、算定対象はパラマウントベッドホールディングス株式会社・パラマウントベッド株式会社としております。
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、上記算定対象会社におけるScope1/Scope2に該当するGHG排出量を、2030年までに30%削減(基準年度:2014年3月期)することを目標に取り組んでおります。
当事業年度のCO2排出量は、主に電力会社が公表する排出係数の上昇に起因して、前年度と比較して増加いたしましたが、当社の電力使用量自体は昨年度と同水準に留まっています。
また、再生可能エネルギー由来の電力プランへの切り替えや、太陽光発電設備の導入等によって、当事業年度の排出量は基準年度から30%以上削減しております。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、引き続き使用量の削減や太陽光発電設備の導入等、自助努力による削減活動を継続してまいります。
・Scope1/Scope2(マーケット基準) GHG排出量
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基準年度 (2014年3月期) |
目標 |
期限 |
前々事業年度 (2023年3月期) |
前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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当社 + パラマウント ベッド株式会社 |
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基準年度比30%削減 |
2031年 3月期 |
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(3)人的資本
当社グループは、2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」の実現に向けて、「先進の技術と優しさで、快適なヘルスケア環境を創造します」という理念のもと、社内外の力を最大限に活用し更なる価値創造に取り組んでまいります。
①人材育成方針
当社グループは、2030年の目指す姿として、「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」というビジョンを掲げております。同ビジョンの中でも、企業の力の源泉は人財だと考えており、人財基盤の強化を経営の重要課題と捉えております。
同ビジョンに基づく中期経営計画では、第Ⅱフェーズ(2024年度から2026年度)の重点施策として「リカーリングビジネスの拡大」「健康事業の進化」「アジア注力エリアでの飛躍」を掲げており、これらを支えるビジネス変革に対応した人財基盤の構築に注力しております。
〈求める人財像〉
「チャレンジ」「コミュニケーション」「学び」にオープンでWell-beingが広がる未来を自ら創造できる人財
求める人財像を実現し、中期経営計画を推進していくためには、「エンゲージメント」「育成」「スキル/経験」「リーダーシップ」「サクセッションプラン」「採用」の観点から人財基盤を強化していくことが重要と捉えております。そのために、「やり甲斐の創出」と「成長支援」を軸とした各種取り組みを通じて、人財育成に取り組んでいきます。具体的には、「従業員全体の育成強化」「グローバル人財の採用・育成」の2つの観点から、以下の取り組みを推進し、指標の管理を行ってまいります。
指標欄に特に注記のない場合は、パラマウントベッド株式会社を対象に集計しております。
a.従業員全体の育成強化
当社グループでは「やり甲斐の創出」と「成長支援」を軸とした人財育成を推進するため、従業員の自発的な学びである≪学習≫と、仕事を通じて身に付ける≪経験≫を重視した施策を実施しております。学習を活かした経験を積み、経験が新たな学びを生むサイクルによって、従業員の成長を常に促進してまいります。
≪学習≫
従業員の学ぶ意欲と行動力を後押しする自己啓発制度として、学びの集合体である「パラマウントキャンパス」を整備し、200を超える通信教育講座を提供しております。さらに、学びをポイント化して昇格要件に組み込むことで、従業員の成長を促してまいります。
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前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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「パラマウントキャンパス」受講者数 |
901人 |
819人 |
さらに、高度専門人材の育成のため、ビジネススクールや大学院への派遣、DX講座の開設にも取り組んでおります。
≪経験≫
一人ひとりの特性や期待される役割を明確にし、能力開発と評価を紐づけた新たな人事制度を導入し、従業員のチャレンジと学びを推進しております。また、新しいことへのチャレンジを希望する従業員を後押しするため、「キャリアチャレンジ制度」を整備して、グループ会社の垣根を越えた人材交流を推進しております。
また、適材適所の実現に向けて、職種別人財像や能力の「見える化」を進め、より適切な配置・教育の実現を進めてまいります。具体的には、選抜者向けの研修やディベート・プレゼンテーション研修、経営会議の場での提言を通じて次世代リーダーの育成を図っております。
加えて、中長期的な視点からの幹部人材の発掘・育成に取り組んでまいります。
b.グローバル人材の採用・育成
当社グループは、グローバル化の進展に対応するため、高い語学力や海外での活躍意欲を持つ人財の採用を積極的に行っております。入社後は、TOEICのスコアアップ支援等の語学教育を充実させているほか、2020年にはキャリアチャレンジ制度の一環として、公募制による期間限定の「海外トレーニー制度」を導入し、これまでインドやメキシコにおいて勤務実績があります。
②社内環境整備方針
当社グループの製品・サービスは、性別や国籍を問わず、多様な方々に医療・介護の現場で利用されています。そのため、従業員の多様なバックグラウンドから生まれる感性を製品開発・サービス提供に活かすことが重要です。
また、当社グループの従業員が持つ多様性をより活かすため、相互理解や信頼関係構築に向けた「コミュニケーションを尽くす風土」、そして業界のトップにあり続けることにこだわって各人が新しい分野に挑戦し続けるための「挑戦を援(たす)ける風土」の醸成を進めております。多様な人財一人一人が活躍し、健康でウェルビーイングな環境づくりを継続することで、パラマウントビジョン2030の実現に向けてデジタル技術を活用した生産性向上に資する取り組みも開始しております。
当社グループでは上記を踏まえ、『ダイバーシティ』『精神的健康』『身体的健康』『コンプライアンス/倫理』の観点から、社内環境整備を推進してまいります。
マテリアリティに掲げている「4.従業員の健康・ダイバーシティ・働き方改革の推進」、「6.コンプライアンスの徹底」と合わせて、以下の取り組みを進めてまいります。
a.ダイバーシティの推進
当社グループの強みである多様性をより促進するため、産前産後休暇制度 / 育児休業制度 / 子の看護休暇制度 / 短時間勤務制度など各種制度の整備・充実を行っております。
また、女性の健康に関する課題をテクノロジーで解決するフェムテックの活動を2024年より社内外に対して積極的に行っており、働く女性への理解促進を図っております。
女性の健康課題に関する社内セミナーの様子
「Tsubaki Project」は女性をはじめとする多様な視点を製品づくりに活かすことを目的に発足しました。産科・小児科領域における共感性の高い製品開発に加え、企画・マーケティング活動や能動的な学びにも取り組んでおります。
これまでに同プロジェクトから生まれた製品は、「第11回キッズデザイン賞の奨励賞 (キッズデザイン協議会会長賞)」や「第5回かわいい感性デザイン賞の企画賞」を受賞しました。
また、低出生体重児のカンガルーケアに対する椅子「OyaCoco(おやここ)」を開発し、第33回日本新生児看護学会・学術集会(2024年11月)にて展示。主に病院向けに販売を開始しております。
「OyaCoco」の製品と開発メンバー
業務内容及び難易度に応じた65歳までの定年再雇用制度を整備し、シニア人材の持っている力を最大限活かしていただける取り組みを行っております。
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前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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75.0% |
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在籍従業員の「副業・兼業制度」や退職従業員の「カムバック制度」を整備し、外部の知見や価値観の吸収を促進し、組織の多様性向上を推進しております。また、現役社員と退職者、当社の退職者同士の交流や情報交換を促進することを目的に「パラマウントアルムナイ(退職者)」のコミュニティ設立準備も併行して行っております。
当社グループにおけるダイバーシティの推進においては、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、新卒採用における女性比率(入社人数比)の各指標に対して目標の設定を行い、目標達成に向けた各種施策の実行や推進を行ってまいります。
なお、連結対象会社のうち、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えている会社を重要な会社として位置づけ、目標の設定を行っております。
今後も当社グループにおける重要性の変化に応じて、対象会社の追加を検討してまいります。
・管理職に占める女性労働者の割合
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目標 |
期限 |
前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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パラマウントベッド株式会社 |
10% |
2029年3月期 |
3.8% |
3.9% |
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パラテクノ株式会社 |
5% |
2029年3月期 |
2.8% |
2.6% |
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パラマウントケアサービス株式会社 |
10% |
2029年3月期 |
4.6% |
4.4% |
・男性労働者の育児休業取得率
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目標 |
期限 |
前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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パラマウントベッド株式会社 |
85% |
2029年3月期 |
50.0% |
66.7% |
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パラテクノ株式会社 |
50% |
2029年3月期 |
29.4% |
81.8% |
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パラマウントケアサービス株式会社 |
50% |
2029年3月期 |
16.7% |
71.4% |
・新卒採用における女性比率(入社人数比)
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目標 |
期限 |
前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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パラマウントベッド株式会社 |
30% |
毎期 |
42.9% |
50.0% |
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パラテクノ株式会社 |
- |
- |
- |
- |
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パラマウントケアサービス株式会社 |
30% |
毎期 |
40.0% |
57.1% |
(注)パラテクノ株式会社においては、新卒採用を行っておりません。
b.従業員の健康への取り組み
関連会社と連携し、睡眠を足掛かりとした生活改善に向けたサービスを従業員に提供しております。従業員には睡眠状態を計測するアプリケーションの使用を促し、睡眠改善支援に役立てています。
また、うつ病の理解と対応方法を研修プログラムに取り入れ、未然防止に努めております。個人でストレスチェックが可能な社内ネットを構築、外部相談窓口の整備、産業医との連携を密にした相談体制の充実を行っております。
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前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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87.3% |
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上記をはじめとする各種取り組みが認められ、当社、パラマウントベッド株式会社、パラテクノ株式会社及びパラマウントケアサービス株式会社において、経済産業省が制度設計し、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人2025」に、それぞれ認定されました。
c.働き方改革の推進
従業員一人ひとりのライフスタイルに沿ったワークライフマネジメントを実現するため、働き方の改革を進めております。具体的には、育児・介護と仕事の両立支援のため、テレワーク制度、エリア営業制度、勤務地限定制度、配偶者同行休職制度などを複合的に実施しております。
d.コンプライアンスの徹底
企業の社会的責任を果たし、企業価値の一層の向上を図るため、入社時には必ずコンプライアンス研修を実施しております。また、企業倫理ガイドブックの作成や研修での活用、企業倫理室からのメッセージの定期配信を行っております。遵守状況を把握するため、従業員意識調査の実施、通報窓口の設置を通じて、多面的なモニタリングを行っております。
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前事業年度 (2024年3月期) |
当事業年度 (2025年3月期) |
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100.0% |
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以下において、当社グループの事業展開上、リスクと考えられる主な事項を記載いたしました。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生を未然に防止し、かつ万が一発生した場合においても適切に対処する所存であります。
なお、以下の記載内容は、当連結会計年度末現在において判断したものであるとともに、当社株式への投資判断に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点をご留意ください。
(1)事業環境における制度変更等のリスクについて
当社グループの主力製品である医療福祉用ベッド(以下「ベッド」といいます。)は、医療保険制度や介護保険制度に基づき運営されている医療施設及び高齢者施設並びに要介護の方がいらっしゃるご家庭で使用に供されるものであります。ベッドは、これらの公的制度のもとで公定料金(診療報酬・介護報酬)が設定されている製品ではありませんが、医療保険制度又は介護保険制度等に係る制度変更や定期的な公定料金の改定の影響により、最終顧客である医療施設等の設備投資が減少することも考えられるため、当社グループの事業、業績及び財政状態は、このような制度変更等により悪影響を受ける可能性があります。なお、こうした状況に対応するため、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をもとに、今後は健康の分野でも皆さまに貢献することを新たな目標とし、取り組みを強化してまいります。
(2)海外市場での事業拡大に伴うリスクについて
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつと位置付けております。しかしながら、海外市場においては、国内市場では通常想定されないリスク、たとえば輸出・輸入規制の変更、技術・製造インフラの未整備や人材の確保の難しさ等に関わるリスクも発生する可能性があると考えております。もしこうしたリスクが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、生産拠点・販売拠点の所在する国・販売する地域における政治・経済・社会的状況や関連する規制等の情報(特に各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、医療機器登録関連規制等の強化、変更等)を日々収集し、必要な対応を行っています。
(3)特定の資材等の調達に伴うリスクについて
当社グループの資材等の調達については、特殊な資材等があるため、少数特定の仕入先からしか入手できないものや、仕入先や供給品の切替えや代替が困難なものがあります。当社グループは、そのような事態に陥らないよう努めておりますが、もし不可欠な資材に供給の遅延・中断があり当該資材の供給不足が生じ、タイムリーに調達できなくなった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
(4)製品や部品(製品等)の欠陥によるリスクについて
当社グループの製品は、品質システムに関する国際規格や各種の自社基準に基づき製造されており、当社グループは製品の品質管理には万全の体制を敷いており、また賠償責任保険を付保するなどの対応をとっておりますが、もし予測し得ない製品等の欠陥が生じ、それが大規模な無償交換(リコール)につながる場合には、多大な費用負担が生じ当社グループの社会的な信用も低下することが予想され、当社グループの事業、業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
(5)自然災害等によるリスクについて
地震等の自然災害又は大規模火災等により、当社グループや調達先の生産拠点に重大な損害が発生し、操業中
止、生産や出荷の遅延や減少等が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性
があります。なお、このような事態に備え、大地震等の発生を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、安否確認システムや緊急時の連絡網を整備するとともに、定期的に訓練を行うなどの取り組みを行っています。
(6)情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループは事業の特性上、個人情報を含む様々な機密情報を保有しており、情報システムに対するセキュリティ対策を実施するとともに機密情報の漏洩がないよう情報管理に努めております。しかしながら、クラウドサービスやネットワークの大規模な障害、サイバー攻撃等の想定を超える出来事により、情報システムの停止や情報流出が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。なお、このような事態に備え損害賠償保険に加入するとともに、従業員の情報セキュリティ意識を向上させるなど、当該リスクの軽減を図る取り組みを行っています。
また、(1)-(6)のリスクに対して、当社グループとしては、個々のリスクへの対応を強化するとともに、様々な角度から事業の幅を広げ、個別のリスクにより特定の事業に影響が生じてもグループ経営の継続性への影響は軽微に留められるよう努めてまいります。例として、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、医療・介護の分野に加えて健康の分野に取り組むことは、事業分野別のリスクによる影響の軽減につながります。また日本全国において事業を行うことや、日本・インドネシア・中国・インドなど複数の国で事業を大きくしていくことで、特定の地域や国でリスクが生じても他の地域や国での事業への影響は軽微となります。当社グループ最大の生産拠点である千葉工場が損害を受けた場合や、感染症等で営業活動が制限されるなどのリスクに対しては、福祉用具レンタル卸事業など継続的なサービスを強化していくことで、売り切り事業モデルのリスクによる影響を軽減できると考えております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善期待やインバウンド需要の増加など、緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、円安傾向の長期化に伴う原材料価格の高騰や賃金上昇を上回る物価高による消費マインドの停滞、人手不足の影響など、先行きにつきましては依然として不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」における中期経営計画第Ⅱフェーズの重点施策「リカーリングビジネスの拡大」「健康事業の進化」「アジア注力エリアでの飛躍」に注力しております。
当連結会計年度における主要3事業の業績につきましては、医療事業では、国内において常態化する人手不足への対応や光熱費・資材価格の高止まりなど病院経営にとって厳しい環境が続き、医療施設の設備投資に対する様子見の傾向が続いたことからベッド・備品等の販売が低調に推移したものの、医師の働き方改革への対応に向けた業務効率化・タスクシフトに資する製品・サービスへの需要は堅調に推移しました。海外向けでは、中国においてゼロコロナ政策明け特需の反動減や反腐敗運動に伴う案件の延期等もあり減収となりました。この結果、医療事業の売上高は前期比1.1%減の402億25百万円となりました。介護事業では、介護施設向けにおける見守り支援システム「眠りCONNECT」・体動センサー「眠りSCAN」の拡販や、在宅向け各種福祉用具ラインアップの拡充、福祉用具レンタル卸事業の拡大等に注力したことにより、前期比6.4%増の652億77百万円となりました。健康事業では、来店客数の伸び悩み等により、前期比23.7%減の16億85百万円となりました。
健康事業のトピックスといたしましては、2024年4月にモデルチェンジした眠りの自動運転ベッド「Active Sleep BED」が株式会社ワン・パブリッシングのアイテム情報誌「GetNavi」と株式会社インプレスの家電と暮らしの情報サイト「家電 Watch」が共同開催した「家電大賞 2024-2025」のスマート家電部門において、金賞を受賞しました。また本年4月18日には、JR大阪駅直結の大型複合商業施設「KITTE大阪」に、「パラマウントベッド 眠りギャラリー KITTE大阪店」をオープンしました。「眠りギャラリー」の商業施設への出店は初となります。「Active Sleep BED」や家庭向け電動ベッド「INTIME」シリーズなどを展示し、実際に寝心地を体験できる空間となっています。家電大賞の受賞や新店舗オープンを機に各種プロモーションを強化し、角度を付けて眠る「入眠角度」という新しい睡眠スタイルを訴求してまいります。
海外向けのトピックスといたしましては、インド現地法人の新工場が本年2月、本稼働を開始いたしました。塗装設備を導入するなど内製化率を高めたほか、従来工場と比べて生産能力を倍増しています。成長著しいインド医療市場における需要に対応し、新工場の安定稼働と現地ニーズに対応したラインアップの拡充に努めてまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億7百万円増加し、1,830億27百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ17億38百万円増加し、457億42百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億68百万円増加し、1,372億84百万円となりました。
b. 経営成績
次に当連結会計年度における事業別売上高及び地域別売上高は、以下のとおりであります。
事業別売上高
(単位:百万円)
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売上区分 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
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医療 |
40,225 |
△1.1 |
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介護 |
65,277 |
6.4 |
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健康 |
1,685 |
△23.7 |
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その他 |
1,394 |
△21.0 |
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合計 |
108,583 |
2.4 |
地域別売上高
(単位:百万円)
|
売上区分 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
|
国内 |
98,530 |
3.3 |
|
海外 |
10,053 |
△5.2 |
|
合計 |
108,583 |
2.4 |
以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比25億66百万円増(2.4%増)の1,085億83百万円となりました。利益面では、売上増に伴い売上総利益が増加した一方で、人件費の増加や各種中長期成長に向けた投資的費用を計上したことなどから、営業利益は同8億41百万円減(6.1%減)の129億77百万円、経常利益は為替差損の発生等により同30億73百万円減(19.3%減)の128億46百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15億38百万円減(14.5%減)の90億83百万円となりました。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、414億37百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は100億45百万円となりました。これは主に、リカーリングビジネス拡大に伴う賃貸資産の増加額84億38百万円や棚卸資産の増加額25億3百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益128億33百万円、減価償却費110億99百万円等により資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は2億64百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出23億65百万円や、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20億円等があったものの、有価証券の売却による収入48億41百万円等により資金が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は88億4百万円となりました。これは主に、配当金の支払額47億14百万円、自己株式の取得による支出40億20百万円等により資金が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
|
ヘルスケア関連事業 |
64,998 |
6.2 |
|
合計 |
64,998 |
6.2 |
(注)金額は販売価格によって表示しております。
b. 受注実績
見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
c. 販売実績
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
|
ヘルスケア関連事業 |
108,583 |
2.4 |
|
合計 |
108,583 |
2.4 |
d. 商品仕入実績
(単位:百万円)
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
前年度増減(%) |
|
ヘルスケア関連事業 |
14,034 |
11.1 |
|
合計 |
14,034 |
11.1 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高においては9期連続で過去最高を更新したものの、営業利益は5期ぶりに減益となりました。売上高を地域別・事業別に分解すると、国内の医療事業では、医療施設の経営環境が厳しい中でベッドや備品類の販売は低調に推移した一方、医療従事者の労働環境の改善に向けた業務効率化やデジタル化、タスクシフトなどの取り組みは引き続き積極的に行われていることから、注力してきたリカーリングビジネスやスマートベッドシステムなどの製品・サービスが堅調に推移しました。介護事業では、介護施設のスタッフ不足が課題の中、見守り支援機器として「眠りSCAN」や「眠りCONNECT」の販売が増加したほか、在宅介護での福祉用具レンタル卸事業も拡大いたしました。健康事業では、物価高に伴う消費マインド低迷の影響等による来店客数の伸び悩みもあり販売が減少いたしました。海外では、インドネシアにおいて民間病院の案件創出ができたものの、中国において前期のゼロコロナ政策明け後の特需の反動減や反腐敗運動が進められている影響で入札の延期・縮小等により減収となりました。その結果、売上高は前連結会計年度比25億66百万円増(2.4%増)の1,085億83百万円となりました。
売上総利益は、原材料価格の高騰や円安の影響で売上原価が増加したものの、リカーリングビジネスの拡大や各種価格の適正化活動等により、前連結会計年度比19億25百万円増(3.8%増)の525億58百万円、売上総利益率は同0.6ポイント増の48.4%となりました。
販売費及び一般管理費は、新基幹業務システムの導入に伴う費用が一服したものの、人件費の増加や、研究開発費などを中心とした将来の成長に向けた投資的費用に加え、インフレに伴い各種費用が増加し、前連結会計年度比27億67百万円増(7.5%増)の395億81百万円、販管費率は同1.7ポイント増の36.5%となりました。
その結果、営業利益は、前連結会計年度比8億41百万円減(6.1%減)の129億77百万円、営業利益率は同1.1ポイント減の12.0%となりました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、前期に計上した為替差益の反動や為替差損の計上等により、前連結会計年度比30億73百万円減(19.3%減)の128億46百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同15億38百万円減(14.5%減)の90億83百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては,「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源に関して、将来の事業拡大に向けた設備等への投資は、事業活動の結果獲得した利益剰余金を充当することを基本としつつ、財務状況や金融市場の状況を勘案しながら機動的な政策を取ることとしております。内部留保については、医療や介護分野を継続的にサポートする企業として、将来の不測の事態に備えた強固な自己資本を維持し、利益処分は、事業拡大に向けた投資および内部留保を勘案した上で実施しております。
資金の流動性については、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度比16億96百万円増の414億37百万円となりました。事業活動によって得られた資金であるEBITDA(営業利益+減価償却費(のれん含む))は241億16百万円と5年連続過去最高となった一方、リカーリングビジネスの拡大に向けたレンタル資産の導入や、IT機器・システム関連など、積極的な先行投資を行いました。なお、この現金及び現金同等物の過半は円建てであり、当連結会計年度末の流動負債(257億59百万円)の返済に必要な流動性を十分に満たせるようにしております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等としては、2024年度から始まる中期経営計画第Ⅱフェーズにおいて、売上高・リカーリング取扱高(リカーリングビジネスで獲得するキャッシュの合計額)・営業利益・EBITDA(営業利益+減価償却費(のれん含む))を重視しております。特にEBITDAについては、顧客に継続的に価値を提供するためのリカーリングビジネス用資産投資に対するリターンとなるだけでなく、将来の更なる事業拡大に向けた投資や、従業員や株主への還元の原資にもなる重要な指標であると認識しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、「先進の技術と優しさで、快適なヘルスケア環境を創造します。」という企業理念に基づき、中核子会社であるパラマウントベッド株式会社 技術開発本部の研究開発部、デジタルシステム開発部、開発部、デザイン部、IBSソリューション開発部の合計5部門と睡眠研究所が担当しております。なお、役割分担の概要は以下の通りであります。
研究開発部は、医療・介護・健康等の分野での、新技術の調査・先行開発、AI機能の製品搭載検討等を行っております。デジタルシステム開発部は、制御回路・センサー・組込みソフト・通信/ネットワーク・アプリケーション等、電装システム関連の製品/サービスの先行開発及び技術開発を行っております。開発部は、国内外の医療看護現場、介護現場及び健康領域の問題解決やニーズに対応した製品開発及び床ずれ防止や快適な睡眠を提供するためのマットレスの開発を行っております。デザイン部は、ユーザー視点に立った安全で使い勝手の良いデザイン開発、ブランディングに関わるデザイン監修を行っております。IBSソリューション開発部は主に医療分野のベッドサイドケア業務を支援するソリューションの企画・設計・開発・導入・保守を行っております。睡眠研究所は、睡眠に関する研究、及び要素技術の開発、睡眠に関する製品の評価、情報収集・発信を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は
(1)一般向け電動ベッド「Active Sleep BED」をリニューアルし『家電大賞2024-2025』で金賞受賞
一般向け電動ベッド「Active Sleep BED」シリーズを初めてフルモデルチェンジし2024年4月に発売するとともに、2025年3月、当ベッドが『家電大賞 2024-2025』でスマート家電部門 金賞を受賞いたしました。今回のモデルチェンジでは、入眠時と起床時にベッドが自動で動く“眠りの自動運転機能”が進化いたしました。平らに眠るのではなく、角度をつけて眠る“入眠角度”を提案し、一人ひとりに合った睡眠環境をサポートします。ベッドが入眠を感知し、フラット姿勢などに自動で戻す最大角度と、起床時に自動で起こす(あげる)ことのできる背ボトムの最大角度を従来モデルよりも拡大いたしました。さらに、ベッド全体に従来モデルになかった傾斜機能を初めて加えたことで、ソファに座っているようなリラックスした姿勢をより簡単にとることができるようになりました。
また、「Active Sleep」シリーズより、新しくベッドサイドライト「Active Sleep BEDSIDE LIGHT」を2024年12月に発売いたしました。単独のベッドサイドライトとしての使用に加え、睡眠計測センサー「Active Sleep ANALYZER」と連動することで、入眠・起床を検知した際に光や音のオン・オフを設定でき、さらに快適な睡眠環境に貢献します。
(2)介護施設向け電動ベッド「エスパシアシリーズベッド 体重記録機能付き」を発売
当社で初めて、体重をベッドで自動測定・ベッドに記録できる介護施設向け電動ベッド「エスパシアシリーズベッド 体重記録機能付き」を2024年11月末に発売いたしました。介護施設における毎月の利用者の体重測定は、健康管理の基本的な方法にも関わらず、利用者・職員ともに大きな負担になっております。ベッドの台車フレームに荷重センサーを搭載したことで利用者がベッドから乗り降りするたびに体重を自動測定、ベッドに記録します。利用者の日々の体重の変化を可視化できるので、利用者の状態に応じたきめ細やかなケアをサポートします。また、起き上がりや離床などの動作を通知する従来の離床センサー“離床CATCHⅢ”に新たに“端座位予報”を追加しました(離床CATCHⅢ+)。“端座位予報”はベッド上の荷重の変化を検知し、端座位に移動する動作を行ったときに通知することができ、より適切なタイミングでの見守りを支援します。
(3)「眠りCONNECT」と「トイレDIARY」のシステム連携を開始
睡眠をはじめとした利用者の状態をクラウド管理する見守り支援システム「眠りCONNECT」と、2024年10月に事業譲受した排泄自動記録システム「NECサニタリー利用記録システム」のシステム連携を2025年4月より開始するとともに、「NECサニタリー利用記録システム」は「トイレDIARY」へと名称を変更いたしました。「トイレDIARY」は、便器等に設置したセンサーが利用者のトイレ入退出や排泄情報を自動的に記録する製品で、利用者の尊厳を確保しながら介護職員の精神的負担や作業負荷の軽減につなげることができます。さらに「眠りCONNECT」との連携により、利用者のトイレ利用状況を6つのタイミング(入室、着座、排泄開始、排泄終了、退座、退室)で「眠りCONNECT」の端末にも通知することができるため、睡眠状態の確認とともにシームレスな見守りにつながります。当社は、“睡眠”や“排泄”、“室内の温湿度”等の情報を一元管理できるシステムの提供で、ベッド周りからトイレまで居室全体の見守りにより、介護施設におけるDX化を推進します。
(4)業務量記録アプリ「ときKANRI」を開発
介護施設の現場では、生産性向上の取組みの一環として業務量調査を行う機会が増えていますが、業務記録が介護従事者の大きな負担となっている現状があります。そのような背景を踏まえ、簡単なタップ操作で業務を記録し、自動生成データから見える課題を業務改善に繋げる、スマートフォンアプリ「ときKANRI(トキカンリ)」を開発いたしました。当社は「ときKANRI」の開発・提供を通じて、介護従事者の皆さまの業務負担の軽減を図るとともに、業務効率化により生み出された時間を直接的な介護ケア業務に充て、施設利用者とのコミュニケーションを増やしていただけるよう、介護従事者と施設利用者の双方のウェルビーイング実現に一層貢献します。
(5)海外グループ会社と連携した海外向け製品ラインアップを拡充
インド市場での販売拡大のため一般病床向けベッド「A5 Series BED」にラインアップを追加開発し、2025年3月に発売いたしました。現地ニーズの高い樹脂製サイドレールの搭載と、背ボトムと膝ボトムの動作に機能特化した製品構成とし、2025年2月に竣工したパラマウントベッド インディア新工場での生産体制を整備いたしました。
PT.パラマウントベッド インドネシアでは、離床などの動作を通知する離床センサー“離床CATCHⅢ”を搭載した一般病床向けベッド「PA90000 Series BED Exit Alarm Model」や、環境感染予防としてボトムやサイドレールなどの樹脂部品に抗菌加工を施したストレッチャー「Transport Stretcher K6 Series」を開発いたしました。
また、八楽夢床業(中国)有限公司では、機能・ボードデザイン・カラーの組合せで多彩なラインアップを実現した一般病床向けベッド「A3 typeE」を開発いたしました。
海外グループ会社と連携し、各国による文化やニーズの違いを細やかに捉えた製品のラインアップ拡充を続け、さらなる販売機会の創出、市場拡大を目指します。
※「Active Sleep」「エスパシア」「離床CATCH」「眠りCONNECT」「ときKANRI」は、パラマウントベッド株式会社の登録商標です。