第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、広い視野に立った透明性の高い企業活動を推進し、公平・公正かつ誠実な投資業務により適正な利益を確保する事によって株主及び取引先などすべてのステークホルダーの期待に応えるとともに、社会の公器としての社会的責任を果たすことを経営の基本方針としております。具体的には経営戦略を樹立する持株会社と事業を遂行する各事業会社を明確に区分し、経営資源の有効的な活用とコーポレート・ガバナンスの確立した経営を行うことにより、経営の効率化を図り、企業の持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。また、株主価値を重視する観点から、一株当たりの当期純利益(EPS)及び自己資本利益率(ROE)を経営指標としておりますが、長期的な目標値をEPS25円、ROE5%超に設定しております。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

当社グループが中国で進める「ワールド・イノベーション・センター」(WIC)プロジェクトは、同国のハイテク、先端医療等の科学技術発展の模範的な牽引役を目指す大湾区(グレーターベイエリア)構想の核心都市である深セン市の中心に位置する車公廟エリア(約32ヘクタール)を官民一体で再開発を進めるハイエンドな都市更新プロジェクトです。

当社グループが同プロジェクトを進める上で対処すべき課題としては、①米中貿易摩擦の影響や事業拠点の一極集中を懸念する日米欧の先進的企業が中国への投資を手控える傾向にある、②為替変動による投資金額の増加、③サステナビリティへの取り組み、④不動産開発おける専門的な人材の確保が主な課題と捉えております。

グローバル企業では、米中貿易摩擦等の影響下、中国市場に適合した製品を広大な市場に販売することにより売上の拡大を図る企業とリスクを回避する目的で他国に製造拠点の投資を行う企業の二極化が進んでいます。当社グループでは中国進出に前向きな企業にWICへの進出を促すため、中国13省・4直轄市との情報プラットフォームや優秀な技能を持つスタートアップ企業とのマッチングシステム、24時間365日ライフサービスの提供を行う等の施策を進めてまいります。また、為替市場の変動に対応するため、事業資金を現地金融機関から人民元で調達するなどの手段により為替変動の影響を最小限に抑える方針です。

また、WICプロジェクトを進める上で環境、社会、ガバナンスのいわゆるサステナビリティにおけるESGの課題にも取り組む必要があります。このため、WELL認証、LEED・緑色建築認証の取得に取り組み、世界から集まる先進的大手外資企業のニーズに応え、進出企業の新たなイノベーションの創出を強力に支援する最適なプラットフォームの建設を目指します。

一方で、WICプロジェクトを円滑に進めるため、建築設計、建設施工、デザイン、コスト管理等の優秀で経験豊富な人材を登用する必要があり、すでに開発本部長、建築設計管理者、デザイナー、コスト管理者など、開発を進める上で重要分野の人材を採用しており、今後も必要に応じて増員する予定です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 基本方針

当社グループは、国連が17項目からなる「持続可能な開発目標(SDGs)」の2030年までの達成を目指すなかで、ESG(環境・社会・企業統治)の観点から広くステークホルダー(利害関係者)に配慮した経営を確立することが 企業の成長を左右する生命線になると考えております。当社グループは将来にわたって持続可能な経済社会作りの責務を積極的に果たすため、「環境」「イノベーション」「情報開示」の3項目を重点課題とする「サステナビリティ基本方針」を採択しております。

 

(2)ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、サステナビリティ基本方針に示した課題解決を実践的に推進するための機関として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、当社の代表取締役社長(委員長)のほか、各事業部の統括責任者並びに執行役員等で構成され、サステナビリティ課題に対する具体的な方針、施策を企画・立案しております。

なお、同委員会での協議内容は定期的に取締役会に報告され、取締役会による監督体制の下、サステナビリティに関するリスク及び機会の監視・管理が適切に行われる体制を整備しております。

 

当社グループのコーポレート・ガバナンスの体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(3) 戦略 

当社グループは将来にわたって持続可能な経済社会作りの責務を積極的に果たすため、以下の3項目を重点課題として取り組んでおります。

① 環境

当社グループは、人類の持続的発展が可能な社会の実現に貢献していくことが企業の使命であり、企業価値の向上につながる重要な経営課題の一つとしてとらえ、コミュニティと連携・協力して環境負荷の低減と安全・安心、快適性の向上を図りながら事業を進めていくことを「環境との共生」と位置づけ、豊かで潤いのある都市環境の創造と地球環境への貢献を目指しております。

② イノベーション

総合投資会社として第1号大型投資案件となる中国深セン市のWICプロジェクトは、日本、欧米亜から200社超の先進的大手外資企業を誘致し、現地スタートアップや中国有力企業とイノベーションの創出に取り組んでいただく最適なプラットフォームの実現を目指しております。国境、業種を超えたイノベーションの「点火役」となるWICのビジョンは、多くの企業がグローバルな協調で最新テクノロジーを創造し、気候変動や環境破壊、生物多様性といった幅広い課題解決に取り組む流れを間接的に後押しする、社会・経済の持続的発展に向けたSDGsの理念を包含したものであります。当社グループは、質の高いWIC開発を通じSDGsに貢献できるよう取り組んでまいります。

③ 情報開示

当社は、公平、公正かつ誠実で透明性の高い企業活動の推進を目指し、証券取引所の適時開示規則及び会社法並びに金融商品取引法等の関連する法令等に基づき、すべてのステークホルダーの皆様に対し事業活動内容の公開に努めます。当社は、適切な情報開示やステークホルダーとの対話を行うことが、事業を通じた社会的課題の解決とSDGsの実現、ならびに中長期的な当社グループの企業価値向上につながるものと考えております。上記の他、当社グループは人的資本における戦略として、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下のとおり策定しております。

 

上記の他、当社グループは人的資本における戦略として、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下のとおり策定しております。

 

イ.人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

当社グループは、人種・国籍・宗教・性別・年齢などに関わらず、積極的に多様な人材を登用することが、事業を通じた社会的課題の解決とSDGsの実現ならびに中長期的な当社の企業価値向上につながるものと考え、成果 と能力とスキルに基づいた公平な登用を推進しております。また、当社グループのグローバルな事業環境に適応できる人材の育成を推進しております。

 

ロ.社内環境整備に関する方針

当社グループは、基本的人権を保護し、人種、国籍、宗教、性別、年齢、民族、信条、社会的身分、疾病、身体障害等による差別やハラスメント行為を排除し、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮して活躍できる 健全な職場環境を提供することを「宮越ホールディングス行動規範」として明文化しております。 

 

(4)不動産再開発

当社グループが中国深セン市において推進するWICプロジェクトは、竣工後の建物が賃貸収入の収益物件として長期保有となるため、将来の気候変動等を見据えた高レベルな建築評価認証の取得を目指しています。中でも、中国緑色建築認証、国際LEED認証・国際WELL認証においてイノベーションセンターとしてふさわしい認証を取得することにより、世界から集まる先進的大手外資企業のニーズに応え、進出企業の新たなイノベーション創出を支援する最適なプラットフォームの建設を推進致します。

 

(5) リスク管理

当社グループは、リスク管理体制として、グループ本社にコンプライアンスリスク管理委員会を設置し、内部統制室を事務局としてグループの関連部門と連携してリスク管理に関する施策を立案、推進し、更に業務執行情報を取締役、監査等委員が適宜閲覧できるシステムを構築した監視体制を敷いております。

同委員会は、サステナビリティに関連するリスク管理も含め、リスクの識別、評価及び管理を行い、優先的に対処すべきリスクと機会を識別するとともに、当社グループに与える財務的影響を評価し、サステナビリティ委員会と連携のうえ、全社的なリスク管理を行っております。

 

(6) 指標及び目標

上記(3)戦略に重点課題として掲げた「環境」「イノベーション」「情報開示」に関する指標及び目標につきましては、現時点において、直接的な財務的影響は軽微であると認識しているため、記載を省略しております。

 

なお、人的資本に関しては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおり、当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はいずれも女性活躍推進法等の対象外であるため、女性管理職比率、男性の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、記載を省略しておりますが、当社グループにおける女性管理職比率は20%であり、同じ役割である場合の労働者の男女の賃金の差は設けておりません。男性の育児休業取得率につきましては、現在、該当者はおりません。

当社グループは、今後も女性活躍推進法等を推進し、女性の登用と定着率を高めるとともに、管理職や役員の女性比率向上の促進を図ってまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資者の皆様の投資判断に重要であると考えられる事項につきましては、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)為替相場の変動に伴うリスク

海外子会社の財務諸表上の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成にあたり円換算して計上おります。今後、事業拠点である中国の経済状況、日米経済政策等によっては換算時の為替相場により円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。

また、不動産再開発事業においては、事業資金の調達のため、今後日本から増資等の投資を行う予定ですが、これらの投資は現地通貨における事業資金の価値が変わらなかったとしても、払込時の為替相場によって投資額に影響を及ぼす可能性があります。

(2)地球温暖化に伴う自然環境の変化のリスク

当社グループが推進するWICプロジェクトは、海外30ヶ国から、200社を超える先進的大手外資企業を誘致することから、進出企業は入居する建物が災害に強く環境に配慮し、省エネ仕様の建築基準を求めています。しかし、昨今の地球温暖化等に伴い発生する災害が予測しえない規模で起こり得るリスクを考慮したうえで、中国緑色建築認証、国際LEED認証・国際WELL認証の高レベルな認証基準に沿った建物を構築する必要があります。

 

(3)不動産市況変動のリスク

当社グループが推進するWICプロジェクトに関し、中国国内外の要因により景気が減速し、不動産市況が悪化する局面においては、当該開発事業にも影響を与える可能性があります。

当社グループが進める当該開発事業は長期にわたり大規模な投資になるため、市況変動には注意を要するものと思われます。なお、WICの稼働率を高めるため、グループ内に特別チームを編成し、建物の建設に先行して日本、欧米亜の先進的大手企業の誘致を積極的に進めております。

(4)ウクライナ・イスラエル情勢等地政学的なリスク

ウクライナ・イスラエル情勢等の地政学的なリスクについては、当社グループの事業に大きな影響はないものと考えておりますが、それらのリスクが長期化して、世界経済の成長に影響を及ぼすことにより、日本、欧米亜の企業が新たな投資を控えるリスクには注意を要するものと思われます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当社グループの事業拠点である中国深セン市は、グレーターベイエリア(大湾区)の中心都市として海外から注目され、2024年度の深セン市のGDPは昨年比5.8%の伸び率を達成し、景気の回復基調は目覚ましいものがあります。

このような環境下、当社グループは不動産賃貸管理事業の収益基盤の強化に取り組むとともに、再開発事業の許認可取得とのバランスを考慮した施策を継続的に実施しております。

その結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、営業収益1,030百万円(前期比9.4%減)、営業利益284百万円(前期比32.6%減)、経常利益552百万円(前期比28.2%減)親会社株主に帰属する当期純利益365百万円(前期比31.8%減)を計上いたしました。

 

不動産開発事業について

当社子会社の深セン皇冠(中国)電子有限公司(以下「皇冠電子」)が推進しておりますWICプロジェクトは、世界30ヶ国のフォーチュングローバル500企業を始めとした先進的大手外資企業200社超が中国本社機能や本格的なR&D施設若しくはマーケティング拠点を設立し、WICの13省・4直轄市との連携による企業情報プラットフォーム等のビジネスサービスを享受することで、事業における新たなイノベーションを創出し、中国はもとより世界に向けて業績を拡大するための大規模なイノベーションプロジェクトです。

WICプロジェクトは、現在先行して進めている01-01区画の「開発実施主体の確認」(2024年6月3日付福田区政府通知書)を行うとともに、設計においては世界的に著名な株式会社日建設計に加え、中国10大民営工程設計企業ではトップ5の深セン市華陽国際工程設計株式有限公司と本格的な設計コンサルティング契約並びに設計契約を締結しております(2024年9月6日及び同年10月25日リリース)。また、本年3月、01-01区画の建設指標に関して、福田区政府が「都市更新ユニット規劃修正(草案)」の公示(本年3月26日リリース)を行っております。

一方では、深セン市政府の委嘱を受けて精力的に行っている企業誘致活動では、日本の上場企業を中心に先進的優良企業がWIC進出の意向を表明し、更に海外では欧米のフォーチュングローバル500企業を中心に大手企業が強い関心を示し、既に日米欧から100社を超える企業から意向書の提出を頂いており、今後開発手続きが進むに従ってWICへの進出希望企業はさらに増えてまいります。

なお、当社は総合投資会社を標榜しており、同プロジェクトを投資事業の第1号案件と位置付け、WICが単なる賃貸案件ではなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した顧客との価値共創を通じ、当社グループの持続的発展の基礎となるプロジェクトを目指しております。

 

当社グループは、「不動産開発及び賃貸管理事業」のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、3,359百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、473百万円増加(前期は744百万円の増加)いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益552百万円の計上によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、530百万円減少(前期は258百万円の減少)いたしました。これは主に、定期預金の預入・解約及び有形固定資産(建設仮勘定)の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、0百万円減少(前期は0百万円の減少)いたしました。

③ 仕入、成約及び販売の実績

当社グループは、不動産開発及び賃貸管理を主な事業としているため、仕入実績、成約状況について記載すべき事項はありません。

  売上の状況

当連結会計年度における売上実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、「不動産開発及び賃貸管理事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

区分

金額(百万円)

前期比(%)

不動産賃貸管理収入

1,030

△9.4

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日(2025年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項については合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。

(貸倒引当金)

貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については回収可能性を個別に検討した必要額を計上しております。債務者の支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

個別の回収可能性の検討においては、債務者の財務面を中心に、定量的・定性的の両面における分析を行い決定しております。

見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 貸倒引当金の見積り」に記載のとおりであります。

 

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末に比べ1,154百万円増加し、28,863百万円となりました。この主な要因は、為替相場の変動により在外子会社の現金及び預金が増加したことによるものであります。 

負債は、前連結会計年度末に比べ193百万円減少し、869百万円となりました。この主な要因は、長期未払金等の減少によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ1,347百万円増加し、27,994百万円となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定の増加によるものであります。

 

③ 経営成績の分析

   イ.営業収益

営業収益は、前連結会計年度の1,137百万円と比較して107百万円減少し(前期比△9.4%)、1,030百万円となりました。この主な要因は、再開発の着工に備えた新規テナントの入居の見送りや契約満了による解約により賃料収入が減少したことによるものであります。

   ロ.営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の421百万円と比較して137百万円減少し(前期比△32.6%)、284百万円となりました。この主な要因は、上記イの要因に加え、営業原価及び販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。

ハ.経常利益

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の769百万円と比較して217百万円減少し(前期比△28.2%)、552百万円となりました。この主な要因は、上記イ、ロの要因に加え、為替差損を計上したことによるものであります。

    ニ.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記イ、ロ、ハの要因により営業利益及び経常利益が減益になったことから、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益が減少したため、前連結会計年度の536百万円と比較して170百万円減少し(前期比△31.8%)、365百万円となりました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

    イ.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

       ロ.財政政策

当社グループの今後の資金需要のうち主なものは、子会社皇冠電子における不動産再開発に必要な投資資金(約45億元)であります。現在、子会社皇冠電子は、車公廟エリア連片改造・グレートアップ都市更新単元プロジェクト1の開発実施主体の資格を取得し、規劃容積348,700㎡(規格容積率15.9倍)の申請を行っております。

今後、皇冠電子の資本の増額(総事業費の20%相当額)に加え、再開発の進捗度合いを図りながら投資資金の調達を進める所存であります。その際には、手持ち資金に加え新たに資本市場及び金融機関等からの資金調達が行う予定です。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。なお、当社が設定しております経営指標においては、EPSが目標値25円に対して当連結会計年度末9円14銭、ROEが目標値5%超に対して当連結会計年度末1.4%となりましたが、今後、経営指標につきましては不動産再開発を進めていくうえで、目標値等を検討する必要があると考えております。

また、当社グループの業績において核となる不動産再開発に向けては、継続して経営資源を重点的に投入する一方で、WICに進出する外資企業が、WICにおいて技術力の高いスタートアップ企業及び優良企業の情報提供プラットフォームや人材紹介システム等のあらゆるサービスを享受し、早期に事業を立ち上げ、イノベーションを創出するための環境作りを進める必要があるため、それらのサービスをWICプロジェクトの重要な部門と位置づけ、構築・推進していく所存です。

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。