(1)経営方針
当社グループは、「金融における新価値の創造により、個人金融資産の受け皿となり、企業価値の拡大と社会への貢献を果たす。」ことを企業理念として掲げるとともに、「有為有志の多くの者を応援する」、「顧客とリスクを共有して成果を出す」ことを企業活動での根本としております。
「有為有志」とは能力とやる気のある人々のことであり、「応援」とはリスクマネーの提供等であります。また、「リスクを共有」するとは、同じポジションに立つことであり、これらにより当事者同士がより良い関係を築き、ビジネスで真に成功できるのだと考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長に向けて、収益力及び資本効率の観点から期首の自己資本を使って1年間にどれだけのEBITDA(キャッシュ利益)を稼ぎ出したかを、最重要かつ不変の指標としており、期首の自己資本に対するリターン実績として15%以上を目標としております。
EBITDAと期首の自己資本に対するリターン実績の過去4年間の推移は、以下のとおりです。
*EBITDAは、営業利益に減価償却費を加算し、匿名組合損益分配額(連結損益計算書に記載)を差し引
いて算出しております。
(3)経営環境
2023年は、コロナ5類移行を経て多くの制約を受けていた社会・経済活動が正常化へ向けて着実に進み始るとともに、国内では、賃上げなどの動きによる雇用・所得環境の改善が見られるほか、物価高、金融緩和、円安等を主因とし、日経平均株価が過去最高値を超えるなど良好な市場環境の中、緩やかな回復が継続しております。一方、海外においてはインフレの動向や景気減速懸念、国際的な紛争や政治的な不安定要素等の地政学リスクもあることから、経営環境は多くの要因により益々複雑化しております。
当社グループは、国内にて不動産事業及び貸金事業ならびにM&Aコンサルティング事業を中心に事業展開しておりますが、各事業ともに、これら環境変化の影響は殆ど受けることなく、賃貸用不動産の取得や販売用不動産の売却、貸金事業、M&Aコンサルティング売上の計上など順調に推移いたしました。特に、アミューズメント業界に関連する不動産事業、貸金事業、M&Aコンサルティング事業を当社グループのコア事業と位置づけ、経営資源を集中させる戦略を通じて、更なる事業の拡大及び効率化を迅速に図っていく方針を推し進めており、結果としてアミューズメント施設の取得は、過去最大規模の10物件となりました。一方、販売用不動産の売却が7件、固定資産の売却が1件など保有不動産ポートフォリオの入替えによる収益力の向上も着実に進んでおります。
不動産マーケット全体では、国内での低金利政策等を背景に内外投資家による投資マインドは旺盛であり、さらに不動産はインフレ時の実物資産としての優位性があることから、不動産売買での競争は増してくるものと考えられます。
しかしながら、当社グループが強みとするホール運営などのアミューズメント分野では、不動産取引を手掛ける企業も限られており、この業界特有の規制強化に対応した資金需要や、事業承継、業界再編、寡占化等の大きな流れもさらに活発化するものと見ており、この業界だけでも不動産や貸金のみならずM&Aまでも含めたマーケット規模は数十兆円以上と予測しております。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(4)対処すべき課題
① コーポレート・ガバナンスの充実
当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーと良好な関係を築いていくためには、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。当社では、当社グループのコーポレート・ガバナンスのあり方について、独立役員2名を選任して客観的かつ中立的な視点から経営監視をお願いすることなどにより、コーポレート・ガバナンスの充実を図っておりますが、社外取締役・社外監査役への情報提供のより一層の充実を図るなど、今後も、持株会社としてグループ各社のコーポレート・ガバナンスを徹底することで、連結経営の基盤強化、企業体質の健全性を高めてまいります。
② 資金調達力の強化
当社グループが収益力を強化し、強固な経営基盤を形成するためには、安定的な事業資金の調達が必須であります。当社は、これまでも新株予約権による資金調達、金融機関及び投資家による資金調達を行ってまいりましたが、引き続き、事業の拡大を進めていくために、金融機関及び投資家からの借入、あるいはエクイティファイナンスなどによる調達手段の多様化を図ってまいります。
③ 低コスト体制の徹底
企業間競争が進む中で、低コスト体制の徹底は極めて重要な課題と認識しております。当社グループでは引き続きコスト管理に注力を続け、低コスト体制の強化に取り組んでまいります。
④ 人材の確保・育成
業績の回復、業容の拡大及び経営体質の強化を図っていく上で、優秀な人材の確保・育成は極めて重要なものと認識しております。そこで、当社グループは、社員のスキル育成のための効果的な仕組みを構築するとともに、将来コアとなる優秀な人材の積極的な採用により、人的投資・人的資本経営を進めてまいります。
当社グループは、「企業理念」の実現を通じて、持続可能な社会の実現と企業としての健全な成長を目指します。そして、あらゆるステークホルダーへの誠実な対応とともに「経営理念」の実践を進めてまいります。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業を通じて社会的課題の解決に貢献すべくサステナビリティ課題への取り組みを強化し、続続的成長の実現と中長期的な企業価値向上をめざすことを目的に、当社代表取締役社長を委員長、管理本部長を事務局長、事業部門及び管理部門の責任者クラスを委員とする「サステナビリティ委員会」を昨年5月に立ち上げました。また、オブザーバーとして、当社のリスク全般に関し客観的な視点で審議・検証を行っている内部管理体制強化委員会のメンバーにも参加して頂いております。
四半期毎の頻度で開催することで、サステナビリティ基本方針の策定、気候関連課題において優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の選定、リスクと機会の識別・分析・対応など、サステナビリティ経営全体の方針の検討・審議・承認を「サステナビリティ委員会」で行い、取締役会がその取組状況について報告を受けることにより、当社グループの気候変動リスクと機会への対応方針及び実行計画について監督する体制といたします。
気候関連リスクに対し、当社グループでは全国に収益不動産を所有しており、気候変動の進行に伴い想定される不確実性を当社の戦略に反映するため、リスク・機会の識別とシナリオ分析については、当社グループの財務に与える影響の大きさを考慮し、対象範囲を現時点の主力事業である不動産事業として、移行リスク、物理的リスク、機会の分類毎に当社への財務的影響とその対応を「サステナビリティ委員会」にて検討してまいります。
① 気候関連のリスクと機会
a.気候関連のリスク
TCFD提言では、気候関連のリスクを「移行リスク」、「物理的リスク」の2つに分類しています。
本分類に沿ったリスクは以下の通りです。
b.気候関連の機会
TCFD提言では、気候関連の機会を、「資源の効率性」、「エネルギー源」、「製品・サービス」、「市場」、「レジリエンス」の5つに分類しています。
本分類に沿ったリスクは以下の通りです
② 人的資本への取組み
当社グループにおける、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針や考え方は次の通りであります。
・能力、情熱、粘り強さを重視した採用及び処遇であり、新卒、中途、性別、国籍、年齢は関係なく登用しております。
・社会的規範遵守、上場企業の責務全うを大前提として、本当に自分がやりたいことを当社グループの枠組みの中で実現することが重要だと考えております。
上記の考え方で採用した人材については、成果や実績に報酬で報いるだけでなく、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、次のような施策により従業員エンゲージメント、ウェルビーイングの向上を図っております。
・前期に導入した自社株取得奨励制度での財産形成
・従来からの健康・家族を大事にする方針の周知・実践(有休取得推進、リモートワーク環境整備)
・リフレッシュルームの設置、活用(2023年6月完成)
当社グループは、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2050年時点における外部環境の変化を予測し、気候変動が事業に与えるリスクや機会についての分析を進めております。
具体的には、下記プロセスを経て、重点的に取り組む課題としてマテリアリティ(重点課題)を選定する予定です。
Step1 課題の抽出
SDGsをはじめとする社会的課題の認識、サステナビリティ開示ガイドライン(GRIスタンダード)、不動産セクターにおけるESG評価項目(GRESB等)、国土交通省(ESG不動産投資のあり方検討会中間とりまとめ)などを参考に広範囲に課題を抽出。
Step2 優先順位付けと課題案の絞り込み
ステークホルダー及び当社グループにとっての重要度、経済・社会・環境に与える影響度、経済的合理性を加味したうえで課題案を絞り込み、優先付けを実施。
Step3 サステナビリティ委員会での議論、妥当性の確認及び承認
最終的な決定権限者である当社代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会により、STEP2で特定したマテリアリティの妥当性を議論・検証し、決定。
事業の持続的成長を実現するためには、環境や社会の変化を適切に把握し、事業におけるリスクの低減と機会の最大化に取り組む必要があるものと認識しております。当社グループは、リスクマネジメントとサステナビリティ経営推進の進捗管理(サステナビリティプログラム)を連動させるべく、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」にて、リスクと機会のマネジメントを行うとともに、年2回以上、または必要に応じて取締役会に報告、取締役会にて議論・検証を行ってまいります。
気候関連リスクは中長期的に顕在化する可能性を有することから、短期のみならず、中長期の時間軸で、低炭素社会への移行に伴うリスク及び気候変動の顕在化に伴う物理的リスクを評価する体制を構築すべく取り組みを進めます。
(気候変動関連)
当社グループでは、気候関連リスクの軽減または機会の実現を目的に、KPI(重要指標)及び目標については、上記(2)戦略、(3)リスク管理のブレークダウンと連動し継続して検討して参ります。
また、Scope1、Scope2に該当する排出量の算定を行っております。算出対象は当社グループが保有、使用する施設とし、Scope1は燃料の使用、Scope2は電力使用量による排出量としております。
今後も対象範囲の拡大、排出量の削減目標等に関する検討を進めてまいります。
(人的資本関連)
当社グループにおける、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針ですが、そもそも従業員数が少ないこと、性別、国籍等での対応分けはなく、能力や実績による処遇を優先してきましたので、指標及び目標などは設定しておりません。今後、管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育休取得率などの指標や目標を継続して検討して参ります。
さらに、従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化を進めるとともに、①社会的視点、②経済的視点、③戦略的視点、④世代価値観の視点などを勘案し、人的資本の価値を継続的に高めていく育成プランの検討を進めて参ります。これらと上記(2)戦略で示した社内環境整備との相乗効果の結果として、企業価値の一つの指標である労働生産性を高めていくことが可能になると考えております。
労働生産性は、2022年統計で、全産業4,923円/時、不動産業全体30,176円/時でしたが、当社実績では、2022年実績109,550円/時、2023年実績193,500円/時、2024年実績362,300円でしたので、常に10万円/時以上を目指して参ります。結果として、優れた人材への高報酬を実現し、さらなる優秀な人材の獲得を促し、この好循環によって人的資本を積み重ねていくことが出来ると考えています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断に影響を及ぼすことが考えられる主な事項として、以下のようなリスクがあげられます。これらのリスクは複合、連鎖して発生し、様々なリスクを増大させる可能性があります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、本項目に記載の事項は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、また、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 外部環境によるリスク
a.主たる顧客が属する業界における法的規制に伴うリスク
当社グループの主たる顧客の一つであるパチンコホール企業は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、「風営法」といいます。)に定める基準に従って営業することが義務付けられており、パチンコホールが店内の設備投資を行う場合、風営法に基づいて、予め各都道府県公安委員会に届出書を提出して、承認を受ける必要があります。また、風営法以外にも、「各都道府県条例」による規制を受けるとともに、過度な射幸性を抑制する目的等から、パチンコホールに対して業界団体が自主規制を行うことがあります。
このような法的規制や新たな自主規制の実施により、パチンコホールの営業に制限が課せられた場合、あるいはパチンコホールの設備投資動向が急激に変化した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
b.市場動向の変化によるリスク
当社グループの顧客であるパチンコホール企業を含めた優良事業会社において、日本及び世界の経済環境の悪化などの影響を受け、市場構造の変化及び需要の縮小が発生し、経営環境の悪化が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
c.有利子負債への依存と市中金利上昇に伴うリスク
当社グループは、不動産投資においては、自己資金に加えて銀行、信用金庫、信用組合及び他の金融機関からの借入や社債等による調達により手当を行うことも予定していることから、有利子負債残高は今後の事業拡大にあたって更に増加する可能性があります。また、金利の急激な上昇もしくは上昇懸念時には、調達コストが上昇する一方で、市場金利の上昇に見合う賃貸契約における賃料の引き上げを実現できない可能性があります。
d.競争激化に伴うリスク
当社グループは、賃貸用不動産の取得にあたり、売買価額、取引条件などにおいて他社との競合の上、取得しております。競合他社が、当社グループの許容範囲を超越した売買価額、取引条件にて取得した場合、当社は賃貸用の不動産の取得ができず、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
e.災害の発生によるリスク
当社グループの賃貸用不動産及び営業貸付金における担保となっている不動産及び動産は、全国に配置されており、リスクの分散は図れておりますが、大規模な地震や台風等による風水害が発生し、顧客である優良事業会社において正常な営業活動ができなくなった際には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループの事業戦略、経営基盤に関するリスク
a.規制等に関するリスク
当社グループは、貸金業(ソーシャルレンディング事業を含む)を営むにあたり、株式会社ジャルコにおきまして、貸金業(東京都知事)及び第二種金融商品取引業(関東財務局長)の登録を受けるとともに、自主規制機関である日本貸金業協会に加入しており、貸金業法、金融商品取引法その他法令のほか、自主規制機関の規制に服しております。当社グループでは、全社的な内部管理体制の強化と法令遵守、コンプライアンス意識の徹底等に取り組み、制度改正への適時対応に努めております。
しかしながら、法令諸規則の改正に対して、当社グループが的確に対応できなかった場合、あるいは、監督官庁等から法令諸規則違反を指摘され、行政処分等を受けるに至った場合には、当社グループの信用が失墜することとなり、事業活動や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.投資・新規事業展開に伴うリスク
当社グループは、収益基盤の多様化を目的として、グループ企業価値の向上に資する新規事業、あるいはM&Aも視野に入れた投資事業についても積極的に取り組み、当社グループ全体の収益モデルの多様化を図ってまいりますが、これらの事業に対する投資は、現在の事業規模と比較して多額となる可能性があります。
新規事業におきましては、予期せぬ要因等により、計画どおりに事業が展開できない可能性があります。加えて、投資先の事業の状況が当社グループに与える影響や、新規事業が当社グループに与える影響を確実に予測することは困難であり、予期せぬ要因が発生した場合、投資回収ができず、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
c.取引先の不正によるリスク
当社グループは、取引開始前における取引先の信用性及びその実態に対する分析の徹底、与信審査体制の充実などの強化を図るとともに、取引開始後においても取引に潜在するリスクの所在、性質、及び大きさに対する分析を十分に行うことを徹底しております。また、取引全体の業務プロセスにおいて、取引先に委託している業務が重要な業務プロセスの一部を構成している場合には、当該取引先の業務に関し、その内部統制の有効性を評価することも徹底しております。
しかしながら、それでも取引先の不正等を未然に防止することができなかった場合、信用不安、予期せぬ貸倒れリスクなどが顕在化し、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.資金調達に伴うリスク
当社グループは、事業資金の調達に関して金融機関及び投資家からの借入あるいはエクイティ・ファイナンスなどにより、安定的な資金調達のために調達手段の多様化を図っております。
しかしながら、グループ全体の業績の悪化、経済情勢の変動などの要因により、資金調達が困難となった場合、または通常よりも著しく不利な条件での資金調達等を余儀なくされた場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
e.債権が貸倒れとなるリスク
当社グループは、パチンコホール企業を含めた事業会社を主たる対象先として貸金業を営んでおります。当社グループは、新規契約時の取引審査を厳格に行うとともにその後の与信管理にも万全を期しております。
しかしながら、一部の貸付債権は長期にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等不測の事態を被ることもあります。この場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
f.特定取引先への依存度が高いことによるリスク
当社グループにおきましては、特定の取引先への売上高の割合が高くなっております。当社は、これらの取引先との関係性を強化し、安全性が高い取引の維持を図ってまいりますが、その一方で、各事業において新規取引先の開拓、確保を強化し、特定の取引先に依存している状況からの転換を図ってまいります。
しかしながら、特定取引先への依存が解消されない場合、当該取引先の動向によっては、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
g.販売用不動産に関するリスク
当社グループの不動産事業において、取得した土地や建物、または開発した販売用不動産が、不動産市況の悪化などにより、他の事業者や投資家への売却が難しくなったり、販売価額が帳簿価格を下回る可能性があります。このような場合、棚卸資産の帳簿価額を下げる処理により、損失が発生し、当社グループの事業や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ その他のリスク
a.役職員の不正によるリスク
当社グループは、役職員に対するコンプライアンス・マインドの徹底、内部管理体制の整備等を通じ、役職員による不正の探知又は事前防止に努めておりますが、これらによっても防げない不正、予測し得ない不正等によって当社グループに著しい損害が生じた場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.外部業者への業務委託に伴うリスク
当社グループは、ソーシャルレンディング事業等におきまして、取引システムの開発、運営及び保守などの業務を当社グループ外の業者に委託しております。このため、何らかの理由で、当社グループの事業上重要な業務委託先との取引関係に変化が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
c.情報漏えいによるリスク
当社グループは、様々な機密情報及び個人情報を取り扱っており、これらの情報漏えい等を防止することは重要な経営課題であると認識しております。
しかしながら、機密情報、個人情報等の漏えいが生じ、損害賠償請求や監督官庁による行政処分等を受けた場合には、損害賠償額の支払や対応コスト等の発生、あるいは、顧客、取引先、株主等からの信用が低下することなどによって、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.キーパーソンへの依存によるリスク
当社グループの経営は、当社代表取締役社長である田辺順一とその他キーパーソンのリーダーシップに依存しており、現在の経営陣が継続して当社グループの事業を運営できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
e.小規模組織であることによるリスク
当社は、当事業年度末現在、取締役3名(うち社外取締役1名)、監査役3名(全員社外監査役)、従業員10名と組織規模が小さく、内部管理体制も当該組織規模に応じて最適化を図っております。当社は、今後とも人材の採用及び育成に努め、内部管理体制の強化を図る所存でありますが、要員の社外流出や突発的な疾病等で業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは当社グループの業務が内部管理体制の拡充を上回る速度で拡大した場合、適切な代替要員の不在や人員増強の遅延等により、当社の内部管理体制に支障が生ずる可能性があります。
f.人的資源が確保できないことによるリスク
当社グループが事業展開を行うにあたっては、豊富な経験、高い専門性などを有する人材を必要数確保することが不可欠であります。そのためには、優秀な人材を採用する体制の強化、従業員の定着率向上を図ることが重要であると認識しております。
従いまして、当社グループが必要な人材を育成又は雇用できない場合や、雇用している人材が退職した場合、当社グループの事業活動や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
g.リスク管理が十分に機能しないリスク
当社グループは、リスク管理の強化に取り組んでおりますが、当社グループが新しい分野へ事業進出した場合、既存事業が急速に拡大した場合、又は外部環境の急激な変化が生じた場合等の要因によりリスク管理が十分に機能しない可能性があります。この場合、当社の事業活動や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して164億78百万円増加し、726億2百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末と比較して129億53百万円増加し、534億55百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して35億24百万円増加し、191億46百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績は、前連結会計年度に取得した物件に加えて、当連結会計年度においてアミューズメント施設の取得、販売用不動産並びに賃貸用不動産の売却及びM&Aコンサルティング事業等が寄与し、売上高127億38百万円(前年同期比156.6%増)、EBITDA69億83百万円(前年同期比89.0%増)、営業利益63億63百万円(前年同期比97.0%増)、経常利益49億93百万円(前年同期比120.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益41億55百万円(前年同期比128.2%増)と前年同期比を大幅に上回る結果となりました
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分及び集計方法を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分及び集計方法に基づいて記載しております。
〈貸金事業〉
当事業部門におきましては、収益性及び担保価値等を充分に吟味し、回収可能性等を慎重に検討した上で取り組んでおります。貸付期間については、1年以内の短期の貸付を中心に行っているため、期中における貸付金の返済に伴い営業貸付金残高が大きく減少することがあります。
当連結会計年度において営業貸付金は、新規貸付31億14百万円、回収及び振替32億45百万円により47億28百万円(前期末比2.7%減)となりました。当事業部門における売上高は、3億65百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は2億9百万円(前年同期比85.7%増)という結果となりました。
今後も引き続き、収益性及び担保価値等が充分に見込める複数の貸付先において、資金需要が旺盛にあるため、ソーシャルレンディング事業も絡めて、当事業部門の収益及び利益の増加に努めてまいります。
〈不動産事業〉
当事業部門におきましては、前連結会計年度に取得した賃貸用不動産5物件及び当連結会計年度に取得したアミューズメント施設9物件が寄与したことに加えて、兵庫県、福岡県、千葉県、群馬県、富山県、三重県及び北海道の販売用不動産の売却をいたしました。
加えて、当連結会計年度に大型アミューズメント施設を保有する株式会社エイコス(以下、「エイコス」といいます。)を連結子会社といたしました。
その結果、賃貸用不動産(販売用不動産含む)の保有残高は578億9百万円(前期末比35.6%増)となり、当連結会計年度において、売上高は87億15百万円(前年同期比184.8%増)、セグメント利益は16億47百万円(前年同期比76.7%増)となりました。
また、賃貸用不動産として保有しておりました岡山県の商業施設の売却により、当連結会計年度において特別利益7億76百万円を計上しております。
当社としては引き続き、長期・安定的な収益貢献が見込める案件については積極的に購入し、収益に寄与する資産残高を積み増してまいります。なお、最近の金利と物価の変動を考慮し、郊外の高収益物件に加え、都心の換価性の高い物件の取得も積極的に進めてまいります。
そのほか、現在、売上高及び利益の増加に繋がる物流施設用不動産等の開発案件や今後の収益の増加に繋がる営業活動も行ってまいります。
〈M&Aコンサルティング事業〉
当事業部門におきましては、これまでの不動産オフバランスニーズへの単独対応に加え、不動産と営業権の両方の売却を希望するアミューズメント企業のニーズの増加もある中で、当社グループは買い手として不動産オーナーという形でリスクを取り、売り手にコミットする形でM&A案件を組成、仲介するという新しい形態のM&Aコンサルティング事業を行っております。
当連結会計年度におきましては、第2四半期連結会計期間から継続して取り組んでいた大型M&A案件が順調にクロージングいたしました。
その結果、当連結会計年度において、売上高は36億36百万円(前年同期比145.9%増)、セグメント利益は30億72百万円(前年同期比187.2%増)となりました。
今後も、これまでの不動産オフバランスニーズへの単独対応に加え、不動産と営業権の両方の売却を希望するホール企業のニーズの増加もある中で、当社グループは買い手として不動産オーナーという形でリスクを取り、売り手にコミットする形でM&A案件を組成、仲介するという新しい形態のM&Aコンサルティング事業を推進してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して6億37百万円減少し、19億26百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、86億4百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益57億92百万円、減価償却費7億10百万円、借入手数料2億59百万円、販売用不動産の減少額41億3百万円、未払消費税等の増加額1億23百万円、預り金の増加額1億35百万円及び法人税等の還付額1億91百万円の収入があった一方、売上債権の増加額1億40百万円、未収消費税等の増加額1億37百万円、利息の支払額12億8百万円及び法人税等の支払額により15億1百万円の支払いがされたことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、145億56百万円の支出となりました。これは主に、不動産の売却による収入34億96百万円、預り保証金の回収5億43百万円及び貸付金の回収1億85百万円の入金があった一方、不動産の取得による支出118億38百万円、投資有価証券の取得による支出3億15百万円、貸付金の貸し出しによる支出1億86百万円、預り保証金の返還支出3億5百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得により59億72百万円の支払いがあったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、53億14百万円の収入となりました。これは主に、短期借入金の純増4億27百万円、長期借入金の借入により205億77百万円、匿名組合員からの出資払込による収入8億99百万円の入金があった一方で、借入手数料の支払いによる支出3億56百万円、長期借入金の返済により135億60百万円、匿名組合員への出資払戻による支出19億19百万円及び株主配当6億31百万円を支出したことなどによるものであります。
当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比較して115億26百万円増加し、232億41百万円となりました。これは主に、販売用不動産が108億28百万円、仕掛販売用不動産が12億47百万円が増加した一方で、新規不動産購入等により現金及び預金が5億77百万円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して49億51百万円増加し493億60百万円となりました。これは主に、北海道、秋田県、千葉県、長崎県及び新潟県のアミューズメント施設、並びにエイコスを連結子会社としたことにより大阪府のアミューズメント施設等の新規不動産取得で223億38百万円、のれん14億44百万円、株式等の購入により投資有価証券が2億32百万円及び不動産購入に伴う地主への保証金1億6百万円が増加した一方で、販売用不動産並びに仕掛販売用不動産への振替及び売却により有形固定資産が186億89百万円減少したことなどによります。
以上により、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して164億78百万円増加し726億2百万円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して7億35百万円増加し76億83百万円となりました。これは主に、短期借入金が4億27百万円、1年内返済予定の長期借入金が9億15百万円、未払金が1億6百万円及び未払法人税等が2億17百万円増加した一方で、匿名組合預り金が7億33百万円、解体費用引当金を取崩したことにより1億70百万円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して122億18百万円増加し457億72百万円となりました。これは主に、長期借入金が93億94百万円、新規賃貸借契約により長期預り保証金が2億69百万円及びエイコスが所有する不動産を連結で再評価したことに伴って発生した繰越税金負債が25億73百万円増加したことなどによります。
以上により、当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末と比較して129億53百万円増加し534億55百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して35億24百万円増加し191億46百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益41億55百万円を計上した一方で、配当により剰余金が6億34百万円減少したことなどによります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高については、貸金事業での売上高が3億65百万円(前年同期比9.3%減)に減少しましたが、前連結会計年度に取得した賃貸用不動産5物件及び当連結会計年度に取得したアミューズメント施設9物件が寄与したことに加えて、兵庫県、福岡県、千葉県、群馬県、富山県、三重県及び北海道の販売用不動産の売却をしたことで、不動産事業による売上高は87億15百万円(前年同期比184.8%増)に増加し、また、M&Aコンサルティング事業として第2四半期連結会計期間から継続して取り組んでいた大型M&A案件が順調にクロージングしたことで、当連結会計年度に36億36百万円(前年同期比145.9%増)の売上を計上したことにより、売上高は127億38百万円(前年同期比156.6%増)となりました。
なお、セグメント別の売上高及びセグメント利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は72億81百万円(前年同期比85.8%増)となりました。これは主に、前年度に取得した賃貸不動産の収益が12ケ月分計上されたこと及びM&Aコンサルティング事業における成功報酬等によるものであります。また、売上総利益率は、前連結会計年度に比べ21.79ポイント減少し、57.16%となりました。これは、販売予定の固定資産を販売用不動産へ振替えたことで、売却時の売上原価が増加したことによります。
(EBITDA)
当連結会計年度におけるEBITDAは、69億83百万円(前年同期比89.0%増)となりました。これは営業利益63億63百万円に減価償却費及びその他の償却費7億10百万円を加算し、匿名組合損益分配額90百万円を差し引いた結果によるものであります。従いまして、期首の自己資本15,622百万円に対するリターン実績は44.7%となり、目標の15%を大幅に上回る結果となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、9億18百万円(前年同期比33.2%増)となりました。これは主に、外形標準課税及び不動産購入による登録免許税、鑑定評価等の手数料が増加したこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ31億33百万円増加し、63億63百万円(前年同期比97.0%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常損益については、新規不動産取得等のために金融機関等からの借入金の増加に伴い支払利息及び借入手数料等が増加しましたが、経常利益は49億93百万円(前年同期比120.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、賃貸用不動産として保有しておりました岡山県の商業施設の売却により、特別利益として7億76百万円を計上した一方で、法人税、住民税及び事業税16億円、法人税等調整額36百万円を計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は41億55百万円(前年同期比128.2%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関等からの借入であります。一方、当社グループの主な資金需要は、主に賃貸用不動産を購入するための設備資金、並びに貸金事業における貸付資金であるため、基本的には設備資金は金融機関等からの長期借入金を充当し、貸付資金については自己資本及び営業キャッシュ・フローで充当しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。