第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を普遍的な当社グループのPurpose(パーパス)に掲げ、データ活用によるサステナブルな社会を創ることを目指し、社会課題の解決に貢献していくことを私たちの存在意義としております。そして、この普遍的なPurposeを私たちの事業において具体的に実現していくためのVision(ビジョン)を「息を吸うようにデータが活用される社会をつくる」とし、さらに時間軸の短いMission(ミッション、使命)を「技術と人材のサプライチェーンを再構築し、国際競争力のある豊かな日本の再生に貢献する」と設定しております。

 

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これらの理念を定めた背景には、IMD「世界デジタル競争力ランキング2022」において、日本が「デジタル/テクノロジースキル」において63か国中62位、「ビッグデータと分析の活用」において63か国63位に沈んでいるという厳しい現実があります。

日本経済が国際競争力を取り戻していくには、日本企業は、ITやデジタルの力を活用し、時代に応えた新しい価値を創造するための「内なる力」を高めることが必要であります。その実現に向けて、私たちは、国内のIT人材やデータ活用人材の不足、リスキリング、そして、ITやデータ活用の内製化促進という課題解決に真正面から取り組むこととし、日々進化するさまざまなテクノロジーを実用的な形に転換し、技術と人材のサプライチェーンを再構築していくことで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の高度化・高速化に貢献していきたいと考えております。

 

当社グループは、これらの考え方をまとめ、2023年5月12日開催の取締役会において、2024年6月期を初年度とする3か年の中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)を策定し推進しております。その概要は、以下のとおりであります。

 

[中期経営計画の位置付け]

当社グループは、本中期経営計画期間を「構造改革期」と位置づけ、これまで急速に拡大させてきた事業体制から経営モデルを刷新し、今後の環境変化にも機動的に対応できる高利益体質への転換を図ります。

 

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[財務目標]

 中期経営計画の達成状況を判断するための客観的指標としては、連結ベースにて、事業規模の拡大を示す売上高、高利益体質への転換の進捗を示すEBITDAマージン、資本効率性を示すROEの3つを設定しております。

 特に、構造改革期と定めた本中期経営計画期間においては、従来の「組織拡大による成長」から「利益重視のマネジメント」へと舵を切り、売上高の成長以上にEBITDAマージンの向上に力点を置いております。なお、重視する利益を、営業利益や経常利益ではなくEBITDAとしたのは、今後は、M&Aや子会社/合弁会社設立による事業拡大を成長戦略のひとつに置いているためであります。

 

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同計画の初年度であった当連結会計年度においては、第一に解決すべき緊急性の高い課題として設定したプロフェッショナルサービス事業の有償稼働率の向上、プロダクト事業の利益率の向上の2点を、想定よりも早く進捗させることができました。これにより、当社グループは、最重要課題を事業規模の拡大と売上成長へと切り替え、初年度に回復した利益率を維持しながら既存事業の売上成長率が10%を優に超える水準にまで復活させていくことを目指し、2025年6月期の事業計画を立案しております。

 翌連結会計年度において対処すべき課題は次のとおりであります。

 

[課題と取り組み1]「三位一体」の独自のビジネスモデルによる差別化

当社グループは、日本におけるIT人材の不足という課題を解決するために、「データ・AI活用の内製化」というテーマに力点を置き、以下3つの要素からなる「三位一体」での価値提供という当社グループ独自のビジネスモデルにて、大手DX支援企業との差別化を促進してまいります。

 

(要素①)データ分析/コンサルティング/SI(システムインテグレーション)を支援する

プロフェッショナルサービス

(要素②)データ・AI活用のポテンシャル人材の発掘とリスキリングの推進による人材育成・教育

(要素③)人のスキル不足を補う実践的なソフトウェアを提供するSaaSの提供(プロダクトサービス)

 

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[課題と取り組み2]営業基盤の強化

当社グループは、当連結会計年度より始動したマトリクス組織による業界別営業体制をさらに進展させるとともに、販売促進活動の強化による当社グループの認知拡大と案件パイプラインの創出を推進してまいります。

加えて、プロフェッショナルサービス事業における高い有償稼働率を持続させるために、中堅層以上の中途採用のための活動を再始動させ強化を図ってまいります。

 

[課題と取り組み3]非連続成長の加速

当社グループは、株式会社TimeTechnologiesのM&AおよびPMI(M&A後の統合プロセス)が成功した実績をもとに、M&Aや資本提携を専門に推進する新組織を立ち上げ、類似業界や近接業界の企業を対象に、次なるM&A、資本参画、スタートアップ投資を通じて、既存事業の成長の枠にとどまらない非連続な成長機会を創出してまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。そのため、経済環境をはじめとするさまざまな要因の変化により、実際の業績はこれと異なる可能性があります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、2004年にデータが世の中にもたらす価値と重要性を予見して創業し、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をPurpose(パーパス)に掲げ、データ活用の普及を通じた産業発展や人々の生活を豊かにすることを使命として事業を遂行してまいりました。世界的に増え続ける人口(減り続ける日本の人口)と、限られた資源、加速する環境変化の中で、私たちはこれからも「データ活用のプロフェッショナル」としてビジネスにデータに基づく高度化とイノベーションを与え、世界の持続可能性の向上に寄与していきたいと考えております。

 持続可能な未来をつくっていくための行動指針として「ESG」にあてはめると、当社グループは、その取り組みの力点を、当面は「S(社会)」および「G(ガバナンス)」に置きたいと考えております。特に「S(社会)」においては、当社グループが企業価値を創造していくうえでの最上無二の資産である「人材」への投資、つまり人的資本への投資が最も重要な取り組みであると認識しております。

 

(1) ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティを重要な経営課題に位置づけています。取締役会の構成や監督においてサステナビリティを考慮し、サステナビリティに知見のある社外取締役の選任を行っております。そして、取締役会の諮問機関として任意の委員会であるサステナビリティ委員会を設け、サステナビリティ経営、サステナビリティ投資を適切に実行するために必要な方向性(マテリアリティ)と具体策、およびその実行状況に関する評価を行うこととしております。本委員会は、取締役会長が議長を務め、サステナビリティに知見のある社外取締役も委員として参画しており、定期的に取締役会に活動内容に関する報告が行われ、取締役会で適切に監督される体制を整えております。

 

(2) リスク管理

   当社グループは、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、代表取締役社長の諮問機関として任意の委員会であるリスクマネジメント委員会を設けております。今後、サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会の連携により、リスクの特定とモニタリングを行い、取締役会への報告を行うこととしております。

 

(3) 人材育成に関する方針および社内環境整備に関する方針

 当社グループは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というPurpose(パーパス)の実現のため、2023年11月に人事戦略ストーリー「BrainPad HR Synapse Initiative(以下「Synapse」)を策定いたしました。

 この「Synapse」は、ブレインパッドが「強くて善い会社」となることを理想に掲げ、「日本一の人材開発・輩出企業を目指す」ことを戦略の根幹とし、「データ分析力」「哲学的思考力」「実践力」の3つを掛け合わせた人材が最強の経営人材であるというコンセプトにて人材開発と人材輩出に挑む、当社グループ独自のものであります。

 

 「Synapse」という名称は当社の社名の「Brain」に由来しており、その戦略の独自性と特長は以下の3点であります。

 

①「データ分析力」×「哲学的思考力」×「実践力」を兼ね備える経営人材を輩出

②「Synapse」は、5つの要素から構成

③「哲学的思考力」を育む独自の研修体系を実現

 

 また、以下の5つを主軸として、人材の育成および社内環境整備を推進しております。

 

① Symbiotic Career Path:共生型キャリア開発

会社目標と自己実現目標のベクトルを確認しながら、相互に依存し合う関係性の中で個々のキャリアを形成していきます。

 

② Nurturing STEM executives:理系思考をベースとする経営人材の養成

データ活用人材を養成することのみならず、サイエンスをベースとする高度な理系思考の経営人材を世の中に輩出していきます。最高の人材を育て輩出する企業には最高の人材が集まります。そのために、「データ分析力」×「哲学的思考力」×「実践力」=「最強人材」というコンセプトのもとで、独自のカリキュラムを構築します。※STEMとは、 Science、Technology、Engineering、Mathematicsの略語

 

③ Agile Workforce Allocation:柔軟な人材配置とチーム組成

柔軟な人材配置やチーム組成によって個性の発揮と個と個による創発を誘発し、縦横無尽な知の連携機能によって新たな付加価値が素早く生み出される組織を目指します。

 

④ Purpose Penetration:理念浸透

組織規模の拡大に応じて、会社と社員を結びつけるには創業理念への共通理解と共感、浸透が肝になることは言うまでもありません。そのために、理念浸透ワークショップの開催や組織のヒストリーを紐解くイベントを通じて、理念と行動を繋ぐカルチャーを見直し、個々の腹落ち感を高めてまいります。

 

⑤ Sensible Empathetic Communication:共感的コミュニケーションの実現

相手の立場や気持ちになって自己投影して考えるコミュニケーションスタイルを実践することで、組織内に信頼の文化を醸成します。ブレインパッドは組織のサイロ化を否定し、他人への健全な関心と健全な領空侵犯により、フラットで開かれた風土を実現してまいります。また、ワン・オン・ワンをすべてのコミュニケーションのベースとして位置付け、その頻度と質的向上を継続的に高めてまいります。

 

(4) 人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する指標ならびに当該指標を用いた目標および実績

 当社グループが「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号の規定に基づき算出し、目標として設定している指標は次のとおりであります。

 なお、次の2024年6月期(実績)は株式会社ブレインパッド単体の実績でありますが、2026年6月期の目標は連結会社としての目標を設定しております。

 

指標

2024年6月期(実績)

2026年6月期目標(連結)

管理職に占める女性労働者の割合

 6.9

10%以上

正規労働者の男女の賃金の差異

82.0

上記①を推進することで差異を縮小する

男性労働者の育児休業取得率

81.3

100

 

 また、サステナビリティ委員会においては、上記指標に加えて、当社グループの中期経営計画と人事戦略ストーリー「Synapse」をつなぎ込み、経営戦略と連動した人材戦略および独自指標の設定とそのモニタリングが必要であるという方針をもとに、人事戦略に基づくさまざまな施策や日々の事業運営を通じた当社グループの人的資本の充実度または課題は、全従業員から回答を得る半年に1回のエンゲージメントサーベイの結果に表れるものとの考えから、同サーベイ結果における以下の指標を重視し、モニタリングを開始しております。

 

指標

指標の説明

初回

2023年11月

2回目

2024年5月

①サーベイ回答率

全従業員に占める回答率の推移

91%

93%

②全体スコア

当社スコアの推移とともに、

全業種の501~1,000名規模の企業平均値69とも比較

71

72

③人的資本の充実度や課題を測定するために、特に重要視する設問

 ⅰ当社に集う理由

「当社のPurposeに共感するか?」

75

76

 ⅱ仕事への真摯さ

「与えられた仕事以上に貢献したいと思うか?」

74

71

 ⅲキャリア・成長機会

「会社が自分にチャンスを与えてくれているか?」

78

80

 ⅳ経営への信頼

「会社が良い方向に変わってきているか」

53

60

 ⅴ帰属意識

「あと1年間は当社にいたいと思うか?」

(設問なし)

73

 

 加えて、当連結会計年度における人的資本の充実に対する取り組みは、以下の2つの人事アワードに入賞するなどの対外的な評価を得ました。

 

 

① 「人事が選ぶ、最高の栄誉」HRアワード2024に入賞

 当社グループが推進する取り組み「データ分析力×哲学的思考力×実践力で、理系思考の経営人材を育成 ~人事戦略『Synapse』での挑戦」が、日本の人事部「HRアワード2024」(主催:「HRアワード」運営委員会、後援:厚生労働省)の企業人事部門に入賞いたしました。

② 「キャリアオーナーシップ経営Award 2024」において「奨励賞」を受賞

 「キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2024」(審査委員長:一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄様、実行委員長:法政大学キャリアデザイン学部・大学院教授 田中 研之輔様)において、中堅・中小企業の部で「奨励賞」を受賞いたしました。

 

 これらのサーベイ結果や社外からの評価につながった当連結会計年度の代表的な取り組みは、以下の通りであります。

 

① 理念浸透ワークショップの開催          全社員対象、1回あたり3時間、参加率89.8%

② 公募型研修                   参加者数のべ1,118名

③ 社内公募・副業・留学制度の開始         初年度マッチング数 7件

④ 経営人材候補の抜擢・育成            初年度抜擢数 20名

⑤ CEOタウンホールミーティングの開催        19回

⑥ 全社員からのアンケートに対する経営陣からの回答 953件(経営陣が1問1答形式にて回答)

⑦ エンゲージメントサーベイのリニューアル      他社比較もできるサーベイツールを導入、

                           サーベイ回数も従来の年1回から年2回の実施へ増加

 

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。そのため、経済環境をはじめとするさまざまな要因の変化により、実際の業績はこれと異なる可能性があります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、将来的には、現時点で予見できないリスクや重要とみなされていないリスクの影響を受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

また、当社グループは、経営体質の強化および経営の透明性・健全性を一層向上させることを目的に、リスクマネジメント委員会を任意の委員会(代表取締役の諮問機関)として設置しております。同委員会は、代表取締役社長を議長に、社内取締役、常勤の監査等委員(社外取締役)、常務執行役員COOを中心に構成されており、リスクマネジメントに関する統括的監督機能を持ち、対処すべき重要なリスクの特定と評価および優先度の設定を行い、リスク軽減にむけた具体的なアクションの実行状況についての評価を行っております。

 

(1)現状の事業戦略における、全社共通のリスク

カテゴリ

リスクの内容

→リスクが顕在化した場合の影響

リスクに対する主要な取り組み

中期経営計画の達成に必要な
人材確保

採用の遅れにより、必要な人員の質または量が不足する

→業績目標未達

・人事部門の強化および人事部門以外が採用活動へ十分なリソースを配分することによる、全社的な採用活動への注力

・リファラル採用の活性化 ほか

新たに採用した人材に対する教育が進まない

→受注するプロジェクトに制約発生、または、受注したプロジェクトの品質・利益率低下による業績目標未達、業績悪化の可能性

・オンボーディングの仕組みの確立、教育研修制度の充実 ほか

退職率の上昇や、重要な人材の流出

→受注するプロジェクトに制約発生、または、受注したプロジェクトの品質・利益率低下による業績目標未達、業績悪化の可能性

・従業員がやりがい・働きがいを感じられる魅力的な業務環境の構築

・キャリアプランや報酬体系の整備・改善と、上司・部下における対話の促進 ほか

個人情報を
はじめとする
機密情報の
流出事故

何らかの理由による情報流出

→当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜の可能性

・ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)およびプライバシーマーク制度の認証維持活動を通じた、従業員の情報セキュリティ意識の向上・強化

・リモートワークに適応した情報セキュリティ体制の構築

・機密情報へのアクセス管理等の厳格化 ほか

 

(2)現状の事業戦略における、セグメント別のリスク

カテゴリ

リスクの内容

→リスクが顕在化した場合の影響

リスクに対する主要な取り組み

システム障害

(プロダクト事業)

自然災害や不正アクセス、ネットワーク障害等によるシステムダウン

→SaaS型の「Rtoaster」、「Probance」のサービス提供が一時的に停止することにより、当社グループへの損害賠償請求の可能性

・発生可能性からするとリスクは甚大ではないとの認識ではあるが、データ分散の検討等は進める

 

 

カテゴリ

リスクの内容

→リスクが顕在化した場合の影響

リスクに対する主要な取り組み

個人情報を
はじめデータ
管理を厳格化
する法改正など

(プロダクト事業)

法改正等により、「Rtoaster」で活用するCookieデータの活用が制限される

→「Rtoaster」のサービス価値が下がり、プロダクト事業の売上高が減少する可能性

・国内外の法改正等に関する最新情報の把握

・仕様変更に対応できる開発体制の構築 ほか

ブラウザ仕様の変更等により、Cookieデータが取得しづらくなる

→「Rtoaster」のサービス価値が下がり、プロダクト事業の売上高が減少する可能性

・国内外の最新のITトレンドの把握

・仕様変更に対応できる開発体制の構築 ほか

競合製品の台頭

(プロダクト事業)

当社取扱製品の競争力が低下

→解約発生や新規受注不振により、プロダクト事業の売上高が減少する可能性

・最新の市場トレンドおよび顧客のニーズを捉えた機能開発・改善

・対策を講じるための業界内トレンドの調査・把握 ほか

円安の進行、長期化

海外製品の仕入高やクラウド利用料の増加

→プロダクト事業の利益率が低下する可能性

・プロダクトの販売価格の見直し

・その他のコストの適正化 ほか

 

(3)中長期的な視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク

カテゴリ

リスクの内容

→リスクが顕在化した場合の影響

リスクに対する主要な取り組み

競合の
人的サービスの
出現

当社より質・量ともに勝る人材ポートフォリオを持つ競合企業の台頭

→当社グループの競争力が相対的に低下し、業界内での存在感を失い、業績が伸び悩む・悪化する可能性

・先進的で実践的なデータ活用の実績を積み重ねることにより、人材の質を高め続けるとともに、採用競争力もさらに高める

・人材採用・育成に対する投資を決して止めない ほか

人的サービスに
代わる新技術の
出現

当社の人的サービスを置き換えることが可能な先進技術・新サービス等の出現

→当社グループの人材が保有するノウハウが陳腐化し、業績が伸び悩む・悪化する可能性

・基本的には、特定の技術だけでは顧客企業の課題は解消しないものと認識

・いくつもの技術やサービスを人間の知恵で組み合わせて顧客課題を解決する領域、先進技術や新サービスでは補いきれない人的サービスの付加価値が生きる領域において、先進的で実践的なデータ活用の実績を積み重ねる ほか

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、米国経済の堅調さが世界経済を低水準ながらも安定させる中で、日本国内においては、円安を背景とする輸出の増加、コロナ禍明けのインバウンド需要の復活、賃金上昇率の高まりなどが景気回復の追い風となりました。その一方で、物価高を背景とする節約志向から個人消費の回復は鈍く、人手不足による供給制約なども不安材料として存在しているため、景気の回復ペースは緩やかなものに留まりました。国内のICTサービス市場は、日本企業の業績改善を背景とする設備投資意欲の高まりを受け、DXを目的とするシステムマイグレーションやモダナイゼーションに対する需要が活発化し、大企業における大型のIT投資が徐々に実装段階に移っていく流れの中で、底堅い成長が続きました。

 

このような中、当社グループは、2023年7月1日付にて経営方針および経営体制の大きな転換を図り、当連結会計年度を初年度とする3か年の中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)による事業運営を開始いたしました。当社グループは、この3か年を「構造改革期」と位置づけて「構造改革と経営の進化による成長基盤の再構築」に注力することとし、従来の組織規模の拡大による成長実現から利益重視のマネジメントへと舵を切る中で、当連結会計年度は、営業利益率10%への回復を最重要課題と設定いたしました。加えて、2023年7月1日付にて業界別組織の新設とマトリクス型組織への変革を行い、高利益体質への転換に向けて、顧客あたりの利益率の向上に重点を置いた組織マネジメントを推進いたしました。

 

当連結会計年度は、売上拡大よりも利益回復に重きを置いた事業運営となり、売上面は、期初計画をやや下回るペースにて推移したものの、創業来初の連結売上高100億円超えを達成いたしました。

一方、利益面は、前連結会計年度に発生していた一過性費用がなくなったことに加えて、個々のプロジェクト収支の改善活動をはじめとする利益確保に向けた取り組みの成果により、第1四半期連結会計期間より利益率の回復が順調に進みました。第4四半期連結会計期間においては、第3四半期連結会計期間までに積み上げた超過利益を次期以降の売上成長に資する販促活動や採用活動に大きく投じましたが、この先行投資を行った上でも、通期の利益面は、最重要課題と設定していた営業利益率10%を上回る、大幅な利益改善を達成いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は10,561,125千円(前年同期比7.8%増)、営業利益は1,348,933千円(前年同期比98.2%増)、経常利益は1,357,825千円(前年同期比80.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は909,477千円(前年同期比76.6%増)となりました。

 

当連結会計年度における報告セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(プロフェッショナルサービス事業)

プロフェッショナルサービス事業は、データ分析、システム開発を含むコンサルティング、人的支援を通じて、顧客企業のデータ活用支援を行う事業であります。

当連結会計年度において、当事業は、売上成長率の回復と有償稼働率の向上を最優先課題として運営いたしました。

当連結会計年度の売上面は、期初計画をやや下回りましたが、四半期ごとの売上高が4四半期連続で過去最高額を更新するとともに、期初に新設した業界別組織ごとに顧客接点と業界別ソリューションの強化が進み、翌連結会計年度以降の売上成長に向けた土台作りが着実に進んだ一年となりました。

利益面においては、プロジェクト収支の管理方法の見直しなどの新たなマネジメント手法が定着する中で、最優先課題であった有償稼働率が回復してきたことにより、セグメント利益率が改善いたしました。

この結果、売上高は7,377,804千円(前年同期比9.5%増)、セグメント利益は2,911,140千円(前年同期比24.0%増)となりました。

 

 

(プロダクト事業)

プロダクト事業は、自社製および他社製プロダクトの提供を通じて、顧客企業のデータ活用支援を行う事業であります。

当連結会計年度において、当事業は、ブレインパッド単体における利益率の向上と、連結子会社である株式会社TimeTechnologiesが開発・提供するプロダクト「Ligla」による売上成長を重点課題として運営いたしました。

当連結会計年度の売上面は、ブレインパッド単体における一部プロダクトの販売終了や案件の解約・縮小の影響を、「Ligla」の売上成長にて補うことで、期初計画からはやや下回るものの、増収を維持いたしました。

利益面においては、株式会社TimeTechnologiesの運営にあたり、当事業内の人員の再配置を行うことで従業員数を大幅に増やすことなく体制構築を行ったことに加え、各種費用の最適化がさらに進んだこと、前連結会計年度に発生していた一過性費用がなくなったこと等から、セグメント利益率が大きく改善いたしました。

この結果、売上高は3,183,320千円(前年同期比4.0%増)、セグメント利益は769,011千円(前年同期比73.3%増)となりました。

 

続いて、当連結会計年度末における資産合計は、主に現金及び預金の増加848,639千円を主因とする流動資産の増加により7,257,719千円となり、前連結会計年度末に比べ741,452千円増加いたしました。

当連結会計年度末における負債合計は、主に未払金の増加124,759千円を主因とする流動負債の増加により1,723,159千円となり、前連結会計年度末に比べ102,439千円増加いたしました。

当連結会計年度末における純資産合計は、5,534,559千円となり、前連結会計年度末に比べ639,013千円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加685,753千円があった一方で、自己株式の処分などによる減少48,840千円があったことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は3,355,195千円(前年同期比33.9%増)となりました。

各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、1,538,326千円(前年同期比72.9%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,393,161千円、減価償却費281,789千円、未払金の増加158,866千円、のれん償却額131,077千円があった一方で、法人税等の支払額377,041千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、317,660千円(前年同期比59.7%減)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出240,000千円および有形固定資産の取得による支出55,223千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、372,026千円(前年同期比26.1%減)となりました。これは主に自己株式の取得による支出201,153千円および配当金の支払額170,863千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

ⅰ生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

ⅱ受注実績

当社グループは、概ね受注から納品までの期間が短いため記載を省略しております。

 

ⅲ販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年 7月 1日

至 2024年 6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プロフェッショナルサービス事業

7,377,804

9.5

プロダクト事業

3,183,320

4.0

調整額

合計

10,561,125

7.8

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年 7月 1日

至  2023年 6月30日)

当連結会計年度

(自  2023年 7月 1日

至  2024年 6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

LINEヤフー株式会社(注)2

1,112,483

11.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

2.ヤフー株式会社は、2023年10月をもってLINEヤフー株式会社に商号変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

本項は、当社グループが、中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)の達成状況を判断するための客観的に指標として定めた連結ベースでの売上高、EBITDAマージン、ROEの状況に関する認識と、分析・検討内容を記載しております。

 

(連結売上高について)

当連結会計年度の売上高は、期初計画の11,000,000千円(110億円)および2024年5月10日付にて修正した計画10,500,000千円(105億円)に対して、10,561,125千円となりました。期初計画から下回ったのは、第3四半期連結会計期間(2024年1月~3月)の売上高が、下期から成長が加速する(下期偏重型)としていた期初計画をやや下回る結果となり、この遅れを第4四半期連結会計期間(2024年4月~6月)にて取り戻すことが難しい見込みとなったことが主因であります。これは、当連結会計年度の最重要課題を利益率の回復に置く中で、売上成長に資する販売促進投資や人材採用投資が、上期において抑制気味であったことが一因であると分析しております。

なお、2025年6月期は、最重要課題を売上成長へと切り替え、当連結会計年度に回復した利益水準を維持しつつ、売上高の二桁成長を必達目標としております。2025年6月期は年間を通じて売上成長に資する販売促進投資や人材採用投資をバランスよく行う予定であり、これらの投資効果が期中に順次現れてくることを想定し、第2四半期連結累計期間の売上高を5,600,000千円(56億円、前年同期比8.9%増)、通期の売上高を11,800,000千円~12,000,000千円(118億円~120億円、前年同期比11.7%増~13.6%増)とする計画を立案しております。

 

(連結EBITDAマージンについて)

続いて、当連結会計年度のEBITDAマージン(※)は、期初計画の13.6%および2024年5月10日付にて修正した計画15.5%~16.4%に対して、16.7%となりました。期初計画を大きく上回ったのは、構造改革として利益重視のマネジメントに舵を切る中で、プロフェッショナルサービス事業において、プロジェクト収支の管理方法の見直しなどの新たなマネジメント手法の効果が第1四半期連結会計期間から早期かつ着実に現れたことや、プロダクト事業において、注力すべきプロダクトを「Rtoaster」、「Probance」、「Ligla」、「Brandwatch」の4製品に定め、この4製品に人員やコストを集中させることにより、費用の最適化が進んだことが主因であると分析しております。

なお、2025年6月期は、当連結会計年度に回復した利益水準を維持しつつ年間を通じて適切な投資を行う計画であることから、連結EBITDAマージンとしては、15.1%~15.6%となる計画を立案しております。

 

(※)上記連結EBITDAマージンは、以下の計算式(すべて連結ベース)を用いて算出いたしました。

(営業利益‐(減価償却費+のれん償却費+顧客関連資産償却費))÷売上高

 

(ROEについて)

最後に、当連結会計年度のROEは、中期経営計画にて目標としている20%に対して、2023年6月期の10.6%から17.4%に改善いたしました。これは、当社グループの新たな株主還元方針に基づき、当連結会計年度において、2023年6月期にかかる期末配当(1株あたり8円)および自己株式の取得(総額199,926,500円)を行い、ROEの向上に努めた結果であると分析しております。

 

続いて、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(プロフェッショナルサービス事業について)

当連結会計年度のプロフェッショナルサービス事業は、売上高は7,377,804千円、セグメント利益は2,911,140千円となりました。

売上高は、四半期ごとに堅調に増加したものの、期初計画をやや下回る結果となりました。これは、当連結会計年度の最優先の改善課題であった有償稼働率が、第3四半期連結会計期間までは順調に改善したものの、第4四半期連結会計期間においては一部案件の開始遅れ等により再び低下したことが主因であると分析しております。

一方、セグメント利益率は、当事業が適正と考える40%前後という水準に対して、2023年6月期は34.8%まで落ち込んでいたところから、当連結会計年度は39.5%まで回復いたしました。これは、プロジェクト収支の管理方法の見直しなどの新たなマネジメント手法の効果に加えて、既存案件を継続・拡大する活動や、大型化が見込める案件に人員を集中させた効果などによって、案件の大型化が一段と進み、顧客1社あたりの収益性が高まったことが主因であると分析しております。

なお、当事業の売上高は従業員数に比例する側面がありますが、当連結会計年度は、新体制への移行やマネジメント方針の変更等の影響による退職者の一時的な増加により人員数が漸減する傾向にある中で、四半期ごとの売上高は堅調に増加いたしました。これは、年間を通じて有償稼働率の向上に注力する中で、中途採用は必要なポジションに限定して厳選採用に努めた結果、退職者数よりも中途採用者数が下回ったことが主因であります。この結果、従業員1人あたり売上高およびセグメント利益率は上昇し、より筋肉質な事業構造に改善させることができたものと分析しております。

 

(プロダクト事業について)

当連結会計年度のプロダクト事業は、売上高は3,183,320千円、セグメント利益は769,011千円となりました。

売上高は期初計画をやや下回る結果となりましたが、これは、株式会社TimeTechnologiesが開発・提供する「Ligla」の成長が売上高を押し上げる中で、当社単体において、利益率が低下傾向にあったプロダクトの提供を終了したこと、主力プロダクトの売上高の伸び悩みが続いていることが主因であります。主力プロダクトの売上高の伸び悩みは、広告宣伝に関する活動量の減少による製品認知の低下が一因であると分析しており、第4四半期連結会計期間からは、主力の「Rtoaster」、成長著しい「Ligla」を中心に、販促投資を再開しております。

一方、セグメント利益率は、前連結会計年度に14.5%まで落ち込んでいたところから、当連結会計年度は24.2%まで回復いたしました。これは、人員の再配置をはじめとして各種費用の最適化が進んだこと、前連結会計年度に発生していた一過性費用がなくなったことに加えて、利益率が低下傾向にあったプロダクトの提供終了による利益率の改善効果が影響しているものと分析しております。

 

 財政状態の分析は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度末における資産合計は、7,257,719千円となり、前連結会計年度末に比べ741,452千円増加いたしました。

流動資産の残高は、5,039,990千円となり、前連結会計年度末に比べ898,524千円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加848,639千円によるものであります。

また、固定資産の残高は、2,217,728千円となり、前連結会計年度末に比べ157,072千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券の増加164,608千円があった一方で、のれんの減少131,077千円、顧客関連資産の減少69,415千円、建物(純額)の減少42,798千円、ソフトウエアの減少37,260千円、繰延税金資産の減少23,612千円ならびに工具、器具及び備品(純額)の減少16,281千円があったことによるものであります。

 

当連結会計年度末における負債合計は、1,723,159千円となり、前連結会計年度末に比べ102,439千円増加いたしました。

流動負債の残高は、1,505,818千円となり、前連結会計年度末に比べ123,648千円増加いたしました。これは主に、未払金の増加124,759千円によるものであります。

また、固定負債の残高は、217,340千円となり、前連結会計年度末に比べ21,209千円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少21,254千円によるものであります。

 

当連結会計年度末における純資産合計は、5,534,559千円となり、前連結会計年度末に比べ639,013千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加685,753千円があった一方で、自己株式の処分などによる減少48,840千円があったことによるものであります。

この結果、自己資本比率は76.3%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況分析)

 当社グループの通常の事業運営においては、人材採用や育成、従業員の昇給を中心とする人的資本への投資が最も重要な資金使途となっております。この資金を確保するため、固定資産への投資の必要性が小さいプロフェッショナルサービス事業の利益の多くをキャッシュとして創出することに加え、プロダクト事業においても、自社開発製品と他社製品の販売を組み合わせることにより、ソフトウェア資産をはじめとする固定資産への投資を限定的にすることで、キャッシュ・フローの安定化に努めております。

 前連結会計年度においては、株式会社TimeTechnologiesの株式取得と2回にわたる自己株式の取得により、手元資金は、当社グループの事業運営に対して過剰ではない水準に調整されておりました。その後、当連結会計年度においては利益を重視するあまり各種投資が抑制気味で進んだことから、四半期ごとの利益水準の回復とともに手元資金が積み上がる傾向にあったため、第4四半期連結会計期間においては、今後の売上成長に資する販売促進投資や人材採用投資に集中的に手元資金を投下いたしました。2025年6月期においては、適正な運転資金を確保しながら、年間を通じて事業成長に必要な投資をバランスよく実行していく方針であります。

 

(財務戦略の考え方)

 当社グループは、中期経営計画において高利益体質への転換を図り、これまでに確立した安定的な財務基盤をさらに強化することで、事業成長と株主還元の両立を図っていくことを基本方針としております。中長期の事業成長に資する投資は、手元資金による実行だけでなく、財務健全性を損なわない範囲でのレバレッジ活用も視野に入れて強化していく考えであります。加えて、安定的に連結営業利益率10%以上を確保していくことを目標として、資金使途として、連結総還元性向40%以上の株主還元を目指すこととしております。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計の基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末日における資産および負債の数値、連結会計年度に係る収益および費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要としております。これらの仮定や見積りについては不確実性が存在するため、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(のれんおよび顧客関連資産の評価)

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約)

相手方の名称

契約の名称

契約締結日

契約内容

伊藤忠商事株式会社

資本業務提携契約

2020年11月19日

データを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に関する資本業務提携

株式会社りそなホールディングス

資本業務提携契約

2022年2月22日

両社のさらなる事業領域の拡大と地域経済の発展に貢献する取り組みを加速することを目的とした資本業務提携

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、データを活用して経営を改善したいと考える顧客企業のニーズに対応するべく、最新の分析技術の研究や、独自の分析アルゴリズムを用いたソフトウェアの開発等を行っております。近年は、人工知能や機械学習・深層学習といったキーワードとともに国内外で技術革新が進んでおり、当社グループの技術部門においても、これら最先端の技術を研究し自社サービスに取り入れるための活動を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は78,125千円となっており、主にプロフェッショナルサービス事業における活動となっております。