当社グループは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を普遍的な当社グループのPurpose(パーパス)に掲げ、データ活用によるサステナブルな社会を創ることを目指し、社会課題の解決に貢献していくことを私たちの存在意義としております。そして、この普遍的なPurposeを私たちの事業において具体的に実現していくためのVision(ビジョン)を「息を吸うようにデータが活用される社会をつくる」とし、さらに時間軸の短いMission(ミッション、使命)を「技術と人材のサプライチェーンを再構築し、国際競争力のある豊かな日本の再生に貢献する」と設定しております。
これらの理念を定めた背景には、IMD「世界デジタル競争力ランキング2022」において、日本が「デジタル/テクノロジースキル」において63か国中62位、「ビッグデータと分析の活用」において63か国63位に沈んでいるという厳しい現実があります。
日本経済が国際競争力を取り戻していくには、日本企業は、ITやデジタルの力を活用し、時代に応えた新しい価値を創造するための「内なる力」を高めることが必要であります。その実現に向けて、私たちは、国内のIT人材やデータ活用人材の不足、リスキリング、そして、ITやデータ活用の内製化促進という課題解決に真正面から取り組むこととし、日々進化するさまざまなテクノロジーを実用的な形に転換し、技術と人材のサプライチェーンを再構築していくことで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の高度化・高速化に貢献していきたいと考えております。
当社グループは、これらの考え方をまとめ、2023年5月12日開催の取締役会において、2024年6月期を初年度とする3か年の中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)を策定し推進しております。その概要は、以下のとおりであります。
[中期経営計画の位置付け]
当社グループは、本中期経営計画期間を「構造改革期」と位置づけ、これまで急速に拡大させてきた事業体制から経営モデルを刷新し、今後の環境変化にも機動的に対応できる高利益体質への転換を図ります。
[財務目標]
中期経営計画の達成状況を判断するための客観的指標としては、連結ベースにて、事業規模の拡大を示す売上高、高利益体質への転換の進捗を示すEBITDAマージン、資本効率性を示すROEの3つを設定しております。
特に、構造改革期と定めた本中期経営計画期間においては、従来の「組織拡大による成長」から「利益重視のマネジメント」へと舵を切り、売上高の成長以上にEBITDAマージンの向上に力点を置いております。なお、重視する利益を、営業利益や経常利益ではなくEBITDAとしたのは、今後は、M&Aや子会社/合弁会社設立による事業拡大を成長戦略のひとつに置いているためであります。
当社グループは同計画の2年目であった当連結会計年度において、期初に掲げた10%超の売上成長と利益率維持の両立を実現できたことをふまえ、同計画の最終年度となる翌連結会計年度(2026年6月期)においては、M&Aを含む大胆な投資による売上成長の加速を伴う構造改革の完遂を目指すべく事業計画を立案しております。
翌連結会計年度において対処すべき課題は次のとおりであります。
[課題と取り組み1:プロフェッショナルサービス事業]
AIを活用した社内の生産性改革と、内製化支援モデルの洗練と高度化
プロフェッショナルサービス事業においては、日々進化を遂げる生成AI技術を業務に適用し、社内のプロフェッショナル人材の業務効率を飛躍的に高めることで、サービスの提供効率と品質の両面を向上させてまいります。また、生成AIの進化により、企業がデータ/AI活用の内製化に取り組みやすい環境が整ってきているため、この変化に対応できるよう、当社の内製化支援モデルのさらなる洗練と高度化に取り組んでまいります。
[課題と取り組み2:プロダクト事業]新プロダクト、AIエージェント事業の早期収益化
プロダクト事業においては、デジタルマーケティング市場の成熟に伴い、売上高の拡大ペースが緩やかになることが想定されます。この状況をふまえ、当連結会計年度に発表した新製品「Rtoaster GenAI(アールトースター・ジェンエーアイ)」や、新たに設立した子会社で展開するAIエージェント事業を早期に収益化し、同事業における新たな成長の柱を確立することに注力してまいります。
[課題と取り組み3:非連続成長の加速]新たなM&Aの推進
当社グループの中期経営計画の財務目標においては、M&Aの実現によるインオーガニックな成長を織り込んでおります。同計画期間中の第1号案件として本年8月に公表した株式会社アクティブコアの株式取得(子会社化)による業績貢献に加え、新たなM&Aの実現にも取り組み、計画の最終年度に掲げる連結売上高140億円超の達成を目指してまいります。
その他、当連結会計年度に達成できたことと、積み残した課題をふまえた、翌連結会計年度の主要な取り組みは以下の図のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。そのため、経済環境をはじめとするさまざまな要因の変化により、実際の業績はこれと異なる可能性があります。
当社グループは、2004年にデータが世の中にもたらす価値と重要性を予見して創業し、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をPurpose(パーパス)に掲げ、データ活用の普及を通じた産業発展や人々の生活を豊かにすることを使命として事業を遂行してまいりました。世界的に増え続ける人口(減り続ける日本の人口)と、限られた資源、加速する環境変化の中で、私たちはこれからも「データ活用のプロフェッショナル」としてビジネスにデータに基づく高度化とイノベーションを与え、世界の持続可能性の向上に寄与していきたいと考えております。
持続可能な未来をつくっていくための行動指針として「ESG」にあてはめると、当社グループは、その取り組みの力点を、当面は「S(社会)」および「G(ガバナンス)」に置きたいと考えております。特に「S(社会)」においては、当社グループが企業価値を創造していくうえでの最上無二の資産である「人材」への投資、つまり人的資本への投資が最も重要な取り組みであると認識しております。
(1) ガバナンス
当社グループは、サステナビリティを重要な経営課題に位置づけています。取締役会の構成や監督においてサステナビリティを考慮し、サステナビリティに知見のある社外取締役の選任を行っております。そして、取締役会の諮問機関として任意の委員会であるサステナビリティ委員会を設け、サステナビリティ経営、サステナビリティ投資を適切に実行するために必要な方向性(マテリアリティ)と具体策、およびその実行状況に関する評価を行うこととしております。本委員会は、取締役会長が議長を務め、サステナビリティに知見のある社外取締役も委員として参画しており、定期的に取締役会に活動内容に関する報告が行われ、取締役会で適切に監督される体制を整えております。
(2) リスク管理
当社グループは、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、代表取締役社長の諮問機関として任意の委員会であるリスクマネジメント委員会を設けております。今後、サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会の連携により、リスクの特定とモニタリングを行い、取締役会への報告を行うこととしております。
なお、サステナビリティに関する「戦略」および「指標及び目標」については、重要と認識している事項がないため、記載しておりません。
(3) 人材育成に関する方針および社内環境整備に関する方針
当社グループは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というPurpose(パーパス)の実現のため、2023年11月に人事戦略ストーリー「BrainPad HR Synapse Initiative(以下「Synapse」)を策定いたしました。
この「Synapse」は、ブレインパッドが「強くて善い会社」となることを理想に掲げ、「日本一の人材開発・輩出企業を目指す」ことを戦略の根幹とし、「データ分析力」「哲学的思考力」「実践力」の3つを掛け合わせた人材が最強の経営人材であるというコンセプトにて人材開発と人材輩出に挑む、当社グループ独自のものであります。
「Synapse」という名称は当社の社名の「Brain」に由来しており、その戦略の独自性と特長は以下の3点であります。
①「データ分析力」×「哲学的思考力」×「実践力」を兼ね備える経営人材を輩出
②「Synapse」は、5つの要素から構成
③「哲学的思考力」を育む独自の研修体系を実現
また、以下の5つを主軸として、人材の育成および社内環境整備を推進しております。
① Symbiotic Career Path:共生型キャリア開発
会社目標と自己実現目標のベクトルを確認しながら、相互に依存し合う関係性の中で個々のキャリアを形成していきます。
② Nurturing STEM executives:理系思考をベースとする経営人材の養成
データ活用人材を養成することのみならず、サイエンスをベースとする高度な理系思考の経営人材を世の中に輩出していきます。最高の人材を育て輩出する企業には最高の人材が集まります。そのために、「データ分析力」×「哲学的思考力」×「実践力」=「最強人材」というコンセプトのもとで、独自のカリキュラムを構築します。※STEMとは、 Science、Technology、Engineering、Mathematicsの略語
③ Agile Workforce Allocation:柔軟な人材配置とチーム組成
柔軟な人材配置やチーム組成によって個性の発揮と個と個による創発を誘発し、縦横無尽な知の連携機能によって新たな付加価値が素早く生み出される組織を目指します。
④ Purpose Penetration:理念浸透
組織規模の拡大に応じて、会社と社員を結びつけるには創業理念への共通理解と共感、浸透が肝になることは言うまでもありません。そのために、理念浸透ワークショップの開催や組織のヒストリーを紐解くイベントを通じて、理念と行動を繋ぐカルチャーを見直し、個々の腹落ち感を高めてまいります。
⑤ Sensible Empathetic Communication:共感的コミュニケーションの実現
相手の立場や気持ちになって自己投影して考えるコミュニケーションスタイルを実践することで、組織内に信頼の文化を醸成します。ブレインパッドは組織のサイロ化を否定し、他人への健全な関心と健全な領空侵犯により、フラットで開かれた風土を実現してまいります。また、ワン・オン・ワンをすべてのコミュニケーションのベースとして位置付け、その頻度と質的向上を継続的に高めてまいります。
(4) 人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する指標ならびに当該指標を用いた目標および実績
当社グループが「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号の規定に基づき算出し、目標として設定している指標は次のとおりであります。
なお、次の2024年6月期(実績)、2025年6月期(実績)は株式会社ブレインパッド単体の実績でありますが、2026年6月期の目標は連結会社としての目標を設定しております。
|
指標 |
2024年6月期 (実績) |
2025年6月期 (実績) |
|
|
① |
6.9% |
|
|
|
② |
82.0% |
|
上記①を推進することで差異を縮小する |
|
③ |
81.3% |
|
|
また、サステナビリティ委員会においては、上記指標に加えて、当社グループの中期経営計画と人事戦略ストーリー「Synapse」をつなぎ込み、経営戦略と連動した人材戦略および独自指標の設定とそのモニタリングが必要であるという方針をもとに、人事戦略に基づくさまざまな施策や日々の事業運営を通じた当社グループの人的資本の充実度または課題は、全従業員から回答を得る半年に1回のエンゲージメントサーベイの結果に表れるものとの考えから、同サーベイ結果における以下の指標を重視し、モニタリングを開始しております。
|
指標 |
指標の説明 |
初回 2023年11月 |
直近 2025年5月 |
|
①サーベイ回答率 |
全従業員に占める回答率の推移 |
91% |
92% |
|
②全体スコア |
当社スコアの推移とともに、 全業種の501~1,000名規模の企業平均値69とも比較 |
71 |
72 |
|
③人的資本の充実度や課題を測定するために、特に重要視する設問 |
|||
|
ⅰ当社に集う理由 |
「当社のPurposeに共感するか?」 |
75 |
74 |
|
ⅱ仕事への真摯さ |
「与えられた仕事以上に貢献したいと思うか?」 |
74 |
72 |
|
ⅲキャリア・成長機会 |
「会社が自分にチャンスを与えてくれているか?」 |
78 |
74 |
|
ⅳ経営への信頼 |
「会社が良い方向に変わってきているか」 |
53 |
62 |
|
ⅴ帰属意識 |
「あと1年間は当社にいたいと思うか?」 |
(設問なし) |
73 |
加えて、前連結会計年度(2024年6月期)における人的資本の充実に対する取り組みは、以下の2つの人事アワードに入賞するなどの対外的な評価を得ました。
① 「人事が選ぶ、最高の栄誉」HRアワード2024に入賞
当社グループが推進する取り組み「データ分析力×哲学的思考力×実践力で、理系思考の経営人材を育成 ~人事戦略『Synapse』での挑戦」が、日本の人事部「HRアワード2024」(主催:「HRアワード」運営委員会、後援:厚生労働省)の企業人事部門に入賞いたしました。
② 「キャリアオーナーシップ経営Award 2024」において「奨励賞」を受賞
「キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2024」(審査委員長:一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄様、実行委員長:法政大学キャリアデザイン学部・大学院教授 田中 研之輔様)において、中堅・中小企業の部で「奨励賞」を受賞いたしました。
これらのサーベイ結果や社外からの評価につながった当連結会計年度の代表的な取り組みは、以下の通りであります。
① 理念浸透ワークショップの開催 全社員対象、1回あたり3時間、参加率89.8%
② 公募型研修 参加者数のべ1,118名
③ 社内公募・副業・留学制度の開始 初年度マッチング数 7件
④ 経営人材候補の抜擢・育成 初年度抜擢数 20名
⑤ CEOタウンホールミーティングの開催 19回
⑥ 全社員からのアンケートに対する経営陣からの回答 953件(経営陣が1問1答形式にて回答)
⑦ エンゲージメントサーベイのリニューアル 他社比較もできるサーベイツールを導入、
サーベイ回数も従来の年1回から年2回の実施へ増加
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社が判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。そのため、経済環境をはじめとするさまざまな要因の変化により、実際の業績はこれと異なる可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、将来的には、現時点で予見できないリスクや重要とみなされていないリスクの影響を受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社グループは、経営体質の強化および経営の透明性・健全性を一層向上させることを目的に、リスクマネジメント委員会を任意の委員会(代表取締役の諮問機関)として設置しております。同委員会は、代表取締役社長を議長に、社内取締役、常勤の監査等委員(社外取締役)、常務執行役員COOを中心に構成されており、リスクマネジメントに関する統括的監督機能を持ち、対処すべき重要なリスクの特定と評価および優先度の設定を行い、リスク軽減にむけた具体的なアクションの実行状況についての評価を行っております。
(1)現状の事業戦略における、全社共通のリスク
|
カテゴリ |
リスクの内容 →リスクが顕在化した場合の影響 |
リスクに対する主要な取り組み |
|
中期経営計画の達成に必要な |
採用の遅れにより、必要な人員の質または量が不足する →業績目標未達 |
・人事部門の強化および人事部門以外が採用活動へ十分なリソースを配分することによる、全社的な採用活動への注力 ・リファラル採用の活性化 ほか |
|
新たに採用した人材に対する教育が進まない →受注するプロジェクトに制約発生、または、受注したプロジェクトの品質・利益率低下による業績目標未達、業績悪化の可能性 |
・オンボーディングの仕組みの確立、教育研修制度の充実 ほか |
|
|
退職率の上昇や、重要な人材の流出 →受注するプロジェクトに制約発生、または、受注したプロジェクトの品質・利益率低下による業績目標未達、業績悪化の可能性 |
・従業員がやりがい・働きがいを感じられる魅力的な業務環境の構築 ・キャリアプランや報酬体系の整備・改善と、上司・部下における対話の促進 ほか |
|
|
個人情報を |
何らかの理由による情報流出 →当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜の可能性 |
・ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)およびプライバシーマーク制度の認証維持活動を通じた、従業員の情報セキュリティ意識の向上・強化 ・リモートワークに適応した情報セキュリティ体制の構築 ・機密情報へのアクセス管理等の厳格化 ほか |
(2)現状の事業戦略における、セグメント別のリスク
|
カテゴリ |
リスクの内容 →リスクが顕在化した場合の影響 |
リスクに対する主要な取り組み |
|
システム障害 (プロダクト事業) |
自然災害や不正アクセス、ネットワーク障害等によるシステムダウン →SaaS型の「Rtoaster」、「Probance」のサービス提供が一時的に停止することにより、当社グループへの損害賠償請求の可能性 |
・発生可能性からするとリスクは甚大ではないとの認識ではあるが、データ分散の検討等は進める |
|
カテゴリ |
リスクの内容 →リスクが顕在化した場合の影響 |
リスクに対する主要な取り組み |
|
個人情報を (プロダクト事業) |
法改正等により、「Rtoaster」で活用するCookieデータの活用が制限される →「Rtoaster」のサービス価値が下がり、プロダクト事業の売上高が減少する可能性 |
・国内外の法改正等に関する最新情報の把握 ・仕様変更に対応できる開発体制の構築 ほか |
|
ブラウザ仕様の変更等により、Cookieデータが取得しづらくなる →「Rtoaster」のサービス価値が下がり、プロダクト事業の売上高が減少する可能性 |
・国内外の最新のITトレンドの把握 ・仕様変更に対応できる開発体制の構築 ほか |
|
|
競合製品の台頭 (プロダクト事業) |
当社取扱製品の競争力が低下 →解約発生や新規受注不振により、プロダクト事業の売上高が減少する可能性 |
・最新の市場トレンドおよび顧客のニーズを捉えた機能開発・改善 ・対策を講じるための業界内トレンドの調査・把握 ほか |
|
円安の進行、長期化 |
海外製品の仕入高やクラウド利用料の増加 →プロダクト事業の利益率が低下する可能性 |
・プロダクトの販売価格の見直し ・その他のコストの適正化 ほか |
(3)中長期的な視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク
|
カテゴリ |
リスクの内容 →リスクが顕在化した場合の影響 |
リスクに対する主要な取り組み |
|
競合の |
当社より質・量ともに勝る人材ポートフォリオを持つ競合企業の台頭 →当社グループの競争力が相対的に低下し、業界内での存在感を失い、業績が伸び悩む・悪化する可能性 |
・先進的で実践的なデータ活用の実績を積み重ねることにより、人材の質を高め続けるとともに、採用競争力もさらに高める ・人材採用・育成に対する投資を決して止めない ほか |
|
人的サービスに |
当社の人的サービスを置き換えることが可能な先進技術・新サービス等の出現 →当社グループの人材が保有するノウハウが陳腐化し、業績が伸び悩む・悪化する可能性 |
・基本的には、特定の技術だけでは顧客企業の課題は解消しないものと認識 ・いくつもの技術やサービスを人間の知恵で組み合わせて顧客課題を解決する領域、先進技術や新サービスでは補いきれない人的サービスの付加価値が生きる領域において、先進的で実践的なデータ活用の実績を積み重ねる ほか |
|
M&A対象企業や 出資先企業の 業績不振 |
M&Aの対象子会社や少額出資を行った投資先の業績が当社の想定を下回る →のれんの減損処理や有価証券の評価損等が圧制し、業績や財政状態が悪化する可能性 |
・M&Aをはじめとする戦略的な投資の検討・実行に特化した専門部署を設立 ・M&Aに知見の深い社外取締役を交えた投資委員会(任意の委員会)にて、投資案件に対する適切な事前検討を実施 ・当社取締役会でのモニタリングをはじめ、適切なグループ・ガバナンスを通じて、子会社の事業運営をサポートする ほか |
|
新規事業の 業績不振 |
新たに開始した事業の拡大・成長が当初の想定を下回る →業績が伸び悩む・悪化する可能性 |
・新規事業に関しても戦略的な投資の一環として位置付け、上記と同様の検討体制・モニタリングを実施する ほか |
|
グループ・ ガバナンスの 手抜かり |
グループ会社において上述したリスクが顕在化し、その発見が遅れる →リカバリー策も含めて対応コストが増加し、業績が悪化する可能性 |
・グループ会社の管理体制を構築 ・当社取締役会でのモニタリングや、当社からの役員派遣を通じて、一定のマネジメント水準に基づき、グループ運営を遂行する ほか |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2025年春闘での賃上げや物価安定による個人消費の増加基調と、企業の設備投資意欲の底堅さが下支えとなる一方で、当連結会計年度末に向けて米政府の関税政策の影響による景気の下押し圧力が強まる中で、一進一退の足踏み状況が続きました。
国内のICTサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けた旺盛な需要によって、幅広い産業分野における既存システムのモダナイゼーション、デジタルイノベーションのためのシステム構築への支出が拡大し、特にITコンサルティングやシステムインテグレーション領域が市場の成長を牽引しました。
このような中、当社グループは、前連結会計年度の初め(2023年7月1日)に経営方針および経営体制を大きく転換し、新・中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)に基づく事業運営を開始いたしました。当社グループは、この3か年を「構造改革期」と位置づけ、計画1年目となる前連結会計年度においては、最重要課題として設定した利益率の回復を想定よりも早く進捗させることができました。これをふまえ、計画2年目となる当連結会計年度は、最重要課題を事業規模の拡大および売上成長へと切り替え、前連結会計年度に回復した利益率を維持しながら、既存事業の売上成長率が10%を優に超える水準にまで復活させていくことを目指してまいりました。
当連結会計年度の売上高は、データ/AI活用に対する需要を受けて堅調な成長が続き、売上成長率は期初に掲げた10%を超える水準で推移いたしました。利益面は、売上拡大に伴う利益増に加え、プロフェッショナルサービス事業における個々のプロジェクト収支の改善活動をはじめとする利益確保に向けた取り組みの効果、プロダクト事業におけるコスト構造の最適化の効果により、売上成長率を上回る水準にて拡大いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は11,772,254千円(前年同期比11.5%増)、営業利益は1,575,749千円(同16.8%増)、経常利益は1,625,850千円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,063,952千円(同17.0%増)となりました。
当連結会計年度における報告セグメント別の業績は次のとおりであります。
(プロフェッショナルサービス事業)
プロフェッショナルサービス事業は、データ分析、システム開発を含むコンサルティング、人的支援を通じて、顧客企業のデータ活用支援を行う事業であります。
当連結会計年度において、当事業は、売上成長率を15%程度にまで引き上げることを目標とし、その目標に到達するために、有償稼働率の維持・向上と、リーダー層以上の育成および採用強化を重点課題として運営してまいりました。
売上高は、既存案件の拡大および新規案件の開拓により第3四半期連結累計期間までは好調に推移した一方で、第4四半期連結会計期間においては新規受注の遅れにより売上成長率が一時的に鈍化いたしました。
一方、利益面は、売上拡大に伴う利益増に加え、前連結会計年度から定着に努めてきたプロジェクト収支の管理・モニタリング手法が実効的に運用されていることが安定的な利益創出につながっており、セグメント利益額およびセグメント利益率は、前年同期に比べて改善いたしました。
この結果、売上高は8,336,984千円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益は3,565,818千円(同22.5%増)となりました。
(プロダクト事業)
プロダクト事業は、自社製および他社製プロダクトの提供を通じて、顧客企業のデータ活用支援を行う事業であります。
当連結会計年度において、当事業は、売上成長率を10%程度にまで引き上げることを目標とし、前連結会計年度には漸減が続いたブレインパッド単体の売上高を上昇に転じさせることと、連結子会社である株式会社Time Technologiesが開発・提供するプロダクト「Ligla(リグラ)」による売上成長を重点課題として運営してまいりました。
売上高は、「Ligla」が引き続き成長を牽引するとともに、ブレインパッド単体の売上高も大型案件の新規受注を主因とする回復が見られ、堅調に推移いたしました。利益面においては、売上拡大に伴う利益増に加え、利益率が低下傾向にあったプロダクトの提供終了の効果や、売上高に見合ったコスト構造への最適化を継続的に進めていることから、セグメント利益額およびセグメント利益率は、前年同期に比べて改善いたしました。
この結果、売上高は3,435,870千円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は870,457千円(同13.2%増)となりました。
続いて、当連結会計年度末における資産合計は、7,518,783千円となり、前連結会計年度末に比べ261,064千円増加いたしました。流動資産の残高は、5,251,542千円となり、前連結会計年度末に比べ211,551千円増加いたしました。これは主に電子記録債権及び売掛金の増加118,171千円および現金及び預金の増加40,344千円の増加によるものであります。また、固定資産の残高は、2,267,241千円となり、前連結会計年度末に比べ49,512千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券の増加303,533千円、ソフトウエアの増加28,795千円があった一方で、のれんの減少131,077千円、顧客関連資産の減少69,415千円、建物(純額)の減少69,219千円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、1,753,054千円となり、前連結会計年度末に比べ29,895千円増加いたし
ました。流動負債の残高は、1,556,672千円となり、前連結会計年度末に比べ50,853千円増加いたしました。これは主に、賞与引当金の増加56,123千円によるものであります。また、固定負債の残高は、196,382千円となり、前連結会計年度末に比べ20,958千円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少21,254千円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、5,765,728千円となり、前連結会計年度末に比べ231,168千円増加いた
しました。これは主に、利益剰余金の増加875,497千円があった一方で、自己株式の取得などによる減少649,094千
円があったことによるものであります。この結果、自己資本比率は76.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は3,395,540千円(前年同期比1.2%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,350,975千円(前年同期比12.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,625,726千円、減価償却費256,552千円、のれん償却額131,077千円があった一方で、法人税等の支払額554,130千円、売上債権の増加118,171千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、439,890千円(前年同期比38.5%増)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出300,720千円および無形固定資産の取得による支出109,872千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、870,740千円(前年同期比134.1%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出700,007千円および配当金の支払額170,729千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
ⅱ受注実績
当社グループは、概ね受注から納品までの期間が短いため記載を省略しております。
ⅲ販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年 7月 1日 至 2025年 6月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
プロフェッショナルサービス事業 |
8,336,984 |
13.0 |
|
プロダクト事業 |
3,435,870 |
7.9 |
|
調整額 |
△600 |
- |
|
合計 |
11,772,254 |
11.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
本項は、当社グループが、中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)の達成状況を判断するための客観的に指標として定めた連結ベースでの売上高、EBITDAマージン、ROEの状況に関する認識と、分析・検討内容を記載しております。
(連結売上高について)
当連結会計年度の売上高は、期初計画の11,800,000千円(118億円)に対して、11,772,254千円(前年同期比11.5%増)となりました。期初計画から下回ったのは、第4四半期連結会計期間(2025年4月~6月)の売上高が想定に至らなかったことが主因となります。これは、多くの日本企業の年度末となる3月末に一定の区切りを迎える既存案件が存在する中で、4月からは新たな案件への切り替えを図りたいところ、当連結会計年度においては新規受注の遅れによってその切り替えが一部うまくいかなかったこと、加えて、米国政府の関税政策を背景に、製造業からの新規受注が想定外に減速してしまったことが主因であると分析しております。
一方で、当連結会計年度の期初に必達目標として掲げた売上成長率10%超という水準は達成することができました。これは、現・中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)の開始時点において当社がマトリクス組織へ移行し、業界別の組織を立ち上げて、2年間をかけて業界別のソリューション開発とアカウント攻略を推進してきたことが奏功しております。この結果、従前より当社が強みを持つ消費者向けサービス業に加えて、製造業・流通業、金融業向けの売上高を拡大することに成功いたしました。
なお、同計画の最終年度となる翌連結会計年度(2026年6月期)は、この2年間で積み重ねた成果を土台に、既存事業において売上高13,500,000千円(135億円)を達成することを最優先目標といたします。そのうえで、M&Aによる売上成長を加算し、同計画の目標値である売上高14,000,000千円(140億円)の達成を目指す計画を立案しております。
(連結EBITDAマージンについて)
続いて、当連結会計年度のEBITDAマージン(※)は、期初計画の15.1%~15.6%に対して、16.7%となりました。期初計画を上回ったのは、現・中期経営計画期間を「構造改革期」と設定し利益重視のマネジメントに舵を切ってきた中で、プロフェッショナルサービス事業における個々のプロジェクト手法の改善活動や、プロダクト事業におけるコストの最適化を中心に、利益確保のための土台づくりが進んだことが主因であると分析しております。
なお、翌連結会計年度(2026年6月期)は、当連結会計年度の利益水準を維持することで、同計画の目標値である連結EBITDAマージン16%超の達成を目指す計画を立案しております。
(※)上記連結EBITDAマージンは、以下の計算式(すべて連結ベース)を用いて算出いたしました。
(営業利益‐(減価償却費+のれん償却費+顧客関連資産償却費))÷売上高
(ROEについて)
最後に、当連結会計年度のROEは、中期経営計画にて目標としている20%に対して、2023年6月期の10.6%から、2024年6月期に17.4%、2025年6月期(当連結会計年度)に18.8%と、着実に上昇しております。これは、当社グループの株主還元方針をふまえ、当連結会計年度において、2024年6月期にかかる期末配当(1株あたり8円)および従前の規模感を大きく上回る自己株式の取得(総額699,940,086円)を行い、ROEの向上に努めた結果であると分析しております。
続いて、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
(プロフェッショナルサービス事業について)
当連結会計年度のプロフェッショナルサービス事業は、売上高は8,336,984千円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益は3,565,818千円(同22.5%増)となりました。
売上高は、第3四半期連結累計期間までは好調に推移したものの、第4四半期連結会計期間の新規受注が想定に至らなかったことから、期初に目標としていた売上高15%成長には至りませんでした。この主因としては、上記「連結売上高について」にて分析した内容と同様となります。
一方、セグメント利益率は、当事業が適正と考える40%前後という水準に対して、2023年6月期は34.8%まで落ち込んでいたところから、2024年6月期に39.5%、2025年6月期(当連結会計年度)に42.8%と、着実に上昇しております。これは、プロジェクト収支の管理方法の見直しなどの新たなマネジメント手法の効果に加えて、既存案件を継続・拡大する活動や、大型化が見込める案件に人員を集中させた効果などによって、案件の長期・大型化が一段と進み、顧客1社あたりの収益性が高まったことが主因であると分析しております。
なお、当事業の売上高は従業員数に比例する側面がありますが、業界内での人材獲得競争がますます激化していることを背景に、今後は「従業員数の増加のみに頼らない売上成長」を目指していくべきであると考えており、その実現に向けたチャレンジのひとつとして、第4四半期連結会計期間においては業務委託パートナーの確保に費用を投じました。これにより当該四半期のセグメント利益率は低下いたしましたが、今後の売上高の拡大によって利益率は再度40%前後という水準に戻っていくものと分析しております。
(プロダクト事業について)
当連結会計年度のプロダクト事業は、売上高は3,435,870千円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は870,457千円(同13.2%増)となりました。
売上高は、期初においては前年同期比10%程度の成長にまで引き上げることを目標としておりました。結果的には目標の成長率には至らなかったものの、株式会社ブレインパッド単体のプロダクトが属する市場の競争環境の激化をふまえると、この成長率は一定の評価ができる水準であると分析しております。実際に、当連結会計年度においては、当社単体プロダクトの売上高が上昇に転じております。加えて、連結子会社の株式会社TimeTechnologiesが開発・提供する「Ligla」の成長率は引き続き高い水準を維持しており、その成長をさらに加速させるべく、主に第3四半期連結会計期間において「Ligla」に従事する営業人員・開発人員を中心とした人員増強(中途採用)を行いました。
一方、セグメント利益率は、2023年6月期は14.5%まで落ち込んでいたところから、2024年6月期に24.2%、2025年6月期(当連結会計年度)に25.3%と、着実に上昇しております。これは、当社単体において新規受注と解約抑止の活動が奏功して売上高が増加したことに対して、人員の再配置をはじめとして各種費用の最適化が進んだこと、利益率が低下傾向にあったプロダクトの提供終了による利益率の改善効果によるものと分析しております。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は、7,518,783千円となり、前連結会計年度末に比べ261,064千円増加いたしました。
流動資産の残高は、5,251,542千円となり、前連結会計年度末に比べ211,551千円増加いたしました。これは主に電子記録債権及び売掛金の増加118,171千円および現金及び預金の増加40,344千円の増加によるものであります。
また、固定資産の残高は、2,267,241千円となり、前連結会計年度末に比べ49,512千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券の増加303,533千円、ソフトウェアの増加28,795千円があった一方で、のれんの減少131,077千円、顧客関連資産の減少69,415千円、建物(純額)の減少69,219千円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、1,753,054千円となり、前連結会計年度末に比べ29,895千円増加いたしました。
流動負債の残高は、1,556,672千円となり、前連結会計年度末に比べ50,853千円増加いたしました。これは主に、賞与引当金の増加56,123千円によるものであります。
また、固定負債の残高は、196,382千円となり、前連結会計年度末に比べ20,958千円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少21,254千円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、5,765,728千円となり、前連結会計年度末に比べ231,168千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加875,497千円があった一方で、自己株式の取得などによる減少649,094千円があったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は76.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況分析)
当社グループの通常の事業運営においては、人材採用や育成、従業員の昇給を中心とする人的資本への投資が最も重要な資金使途となっております。この資金を確保するため、固定資産への投資の必要性が小さいプロフェッショナルサービス事業の利益の多くをキャッシュとして創出することに加え、プロダクト事業においても、自社開発製品と他社製品の販売を組み合わせることにより、ソフトウェア資産をはじめとする固定資産への投資を限定的にすることで、キャッシュ・フローの安定化に努めております。
前連結会計年度においては利益を重視するあまり各種投資が抑制気味で進んだことから、四半期ごとの利益水準の回復とともに手元資金が積み上がる傾向にありました。この傾向が当連結会計年度の第2四半期連結累計期間においても継続したため、第3四半期連結累計期間以降は、今後の売上成長に資する販売促進投資や人材採用投資、AIエージェント事業に特化した子会社(株式会社BrainPad AAA)の設立等に集中的に手元資金を投下いたしました。同時に、当連結会計年度中には新たなM&A等の大型投資が発生しなかったことから、適正な運転資金に対しては余剰といえる資金を株主の皆さまに還元するべく、従前の規模感を大きく上回る自己株式の取得(総額699,940,086円)を実施いたしました。
(財務戦略の考え方)
当社グループは、中期経営計画において高利益体質への転換を図り、これまでに確立した安定的な財務基盤をさらに強化することで、事業成長と株主還元の両立を図っていくことを基本方針としております。中長期の事業成長に資する投資は、手元資金による実行だけでなく、財務健全性を損なわない範囲でのレバレッジ活用も視野に入れて強化していく考えであります。加えて、安定的に連結営業利益率10%以上を確保していくことを目標として、資金使途として、連結総還元性向40%以上の株主還元を目指すこととしております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計の基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末日における資産および負債の数値、連結会計年度に係る収益および費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要としております。これらの仮定や見積りについては不確実性が存在するため、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんおよび顧客関連資産の評価)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(1)提出会社と株主間のガバナンスに関する合意
該当事項はありません。
(2)提出会社と株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意
該当事項はありません。
(3)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約又は社債
該当事項はありません。
当社グループは、データを活用して経営を改善したいと考える顧客企業のニーズに対応するべく、最新の分析技術の研究や、独自の分析アルゴリズムを用いたソフトウェア、プロダクトの開発等を行っております。近年は、人工知能や機械学習・深層学習といったキーワードとともに国内外で技術革新が進んでおり、当社グループの技術部門においても、これら最先端の技術を研究し自社サービスに取り入れるための活動を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は