(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2 自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
3 株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
4 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しており、第18期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2 自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。
3 株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
4 最高・最低株価は、2022年4月3日までは東京証券取引所JASDAQ(グロース)、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しており、第18期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は、米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学、以下、「MIT」という。)の研究者の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売を目的として、2004年5月に設立されました。それに先立って、米国3-D Matrix,Inc.(現連結子会社)が、MIT発のバイオベンチャーとして2001年に設立され、本技術の事業化を目指してMITから本技術に関する特許の独占的実施権の許諾を受けております。
当社は、設立後の2004年10月に米国3-D Matrix,Inc.との間でLICENSE AND SUPPLY AGREEMENTを締結し、本技術に関する特許の実施権の再許諾を受けております。その後、2007年10月に米国3-D Matrix,Inc.を当社の完全子会社としております。
また、当社は本技術を基盤技術として、外科領域等において医療製品の研究開発を行ってまいりましたが、止血材をはじめとした製品化に至っております。
なお、以下本報告書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第1 企業の概況 3 事業の内容」の末尾に用語解説をしております。
当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。
当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。
(医療製品事業の構成)
(1)自己組織化ペプチド技術の特徴
当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。
自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。
(2)医療製品開発
医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。
主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。
その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。
A 各領域及び各パイプラインの概要
(A) 外科領域
当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。
a)吸収性局所止血材
当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下、「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。
<自己組織化ペプチドのゲル化形成>
自己組織化前のペプチド分子

<止血方法 概略図>

TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。
既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。
b)粘膜隆起材
当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下、「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。
<粘膜隆起方法 概略図>

c)後出血予防材
当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。
d)次世代止血材
RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。
e )癒着防止材
RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。
(B) 組織再生領域
自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。
a)消化管の創傷治癒材
当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。
b)皮膚における創傷治癒材
当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下、「TDM-511」という。)を開発しております。
c)歯槽骨再建材
当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下、「TDM-711」という。)の開発を行っています。
ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。
(C) DDS領域
当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。
B 医療製品の開発プロセス
当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。
新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。
医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。
当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。
当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。

C 医療製品開発の事業体制
当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。
当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。

(注)1 製品販売/代金回収を示しております。
2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。
3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下、「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。
4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。
D MITとのライセンス契約について
当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。
(3) 製造
吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。
(4) 販売
欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下、「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。
米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。
(用語解説)
(注) 1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2 「議決権の所有割合」欄の( )内の数字は、間接所有比率であります。
3 3-D Matrix,Inc.及び3-D Matrix Europe SAS.は、特定子会社であります。
4 事業収益(連結相互間の内部事業収益を除く)の連結事業収益に占める割合が10%を超えている会社は次のとおりです。
5 連結財務諸表に重要な影響を与えている債務超過の会社は次のとおりです。
当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
2024年4月30日現在
(注) 従業員数は就業人員であります。
当社は、医療製品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
2024年4月30日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社グループにおいて労働組合は組織されておりませんが、労使関係は良好であります。