第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、野菜苗生産をコア事業として取組み「良い苗をいつでも・どこでも・いくらでも」の経営方針の基、使いやすさ、環境への配慮、お客様一人ひとりにあった苗づくりを目指し、閉鎖型育苗施設などの新設設備による安定した生産体制と全国各地のパートナー農場との連携により事業展開を拡大してまいりました。そして、当社グループのフィールドは、野菜苗の枠組みを超え、種や培土などの農業資材の開発販売、家庭園芸を楽しむ個人のお客様へのサービス拡充を行い、さらには、アジアを中心とし世界市場へ向けて進み始めています。全ては「人々の食と暮らしを豊にするために」日本から世界の農業に革命を起すことができる企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、新たなアグリビジネスの構築に向かって、継続的な事業拡大と企業の成長及び収益力の向上を目指します。目標とする経営指標としては、平成32年10月期における「売上高100億円、経常利益8億円」の達成を掲げております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期成長に向けた取り組みとして、「全国農場展開」「多角化・多品目化」「グローバル化」の三つの柱を有機的に結びつけた成長戦略で事業の拡大を目指してまいります。

 

① 全国農場展開

野菜苗マーケットのシェア拡大策として、全国各地の需要地に向けた直営農場及びパートナー農場の展開を積極的に進めてまいります。具体的には、各産地・地域の個別ニーズに合わせた生産農場を展開し、全国同一の生産体制から、地域密着型の個別農場展開を進めることによって、各地域にきめ細かく対応しシェア拡大を目指してまいります。注力するエリアとしましては、引き続き需要の高い関東・九州エリアに向けた直営農場の増床とパートナー農場の開拓を進め、産地需要・家庭園芸需要の取り込みと、潜在顧客の開拓を加速させてまいります。

 

② 多角化・多品目化

ファンガーデン株式会社にて野菜苗・花苗を中心とした利益率の高い園芸商材を直売し、園芸愛好家や小規模農家にも提案可能な園芸店を運営しております。ユーザーに直接提案できるメリットを最大限に活かし、一般家庭園芸目線の商品開発や多彩な商品供給など、一般消費者から小規模兼業農家の要望にワンストップで応えられる園芸店を目指してまいります。また、ファンガーデン株式会社と併設して平成29年4月に貸し農園「ベルみん畑」をオープンしました。収穫の喜び、選ぶ楽しみ、家族で作る幸せ、新しい発見など家庭園芸の魅力を伝え、ニーズにあった野菜苗や農業資材の商品開発に繋げることが可能となり、包括的なサービス提供を目指してまいります。

平成29年8月には千葉県旭市に育種及び品種開発等を事業とする株式会社むさしのタネを設立し育種事業を開始いたしました。日本一の供給力を持つ苗事業との相乗効果により、生産者の期待に応えられる品種の開発及び改良に取り組み、付加価値の高い苗の供給に繋げてまいります。

 

③ グローバル化

農業の成長産業化を見据えた展開としてグローバル化は必須と考え、巨大マーケットである中国市場に進出致しました。中国の2018年経済発展方針の重点活動に「農村振興戦略の実施」が掲げられており、三農問題(農業・農村・農民)の解決を重要課題とし、近代化農業の推進、農村土地制度の改革が進められております。また、国民の食の安全・環境意識の高まりもあり、先進的な農業技術・生産設備・優良な資材を使った農業ビジネスモデルが重要視されており、特に日本の安心安全を担保する農業生産に高い注目が集まっております。当社グループとしても、日本国内で培ってきた技術やノウハウを活かし、現地企業と連携しながら事業基盤を整え、中国国内の需要を取り込むため、種苗から農産物生産にわたるアグリビネス事業の展開を推し進めてまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

現在の農業を取り巻く環境は、国内市場の縮小、農業従事者の高齢化や人手不足、少子高齢化や人口減少に伴う食料消費の縮小に加え、予測不可能な自然災害による農業被害の発生など厳しい環境が続いております。このようななか、当社グループは、国内外における農作物をはじめとする食料の安定供給に深く関わる農業の果たす社会的役割はより大きくなると考えており、下記に掲げた課題に取り組みながら、安定的な成長とグローバルな事業展開を目指してまいります。

 

① 野菜苗生産販売事業における閑散期の利益確保

当社の第1四半期(11月~1月)の業績は、野菜苗生産販売事業の閑散期に当たり、他の四半期に比べて売上高が減少するため、損失計上が続いております。また、損失額につきましても、繁忙期の生産能力の拡大等が第1四半期においては負担となり損失が増加傾向にあります。

本件については、自社農場、パートナー農場の生産体制を活かして、花苗や玉ねぎ苗等の商品力を強化し提案営業の推進を行うことで、既存の販路を中心としながら販路拡大を目指し、閑散期の利益確保に繋げます。

  

② 多角化・多品目化による事業基盤の強化

当社の主力製品は野菜接ぎ木苗であり、売上高及び利益の大部分に貢献しております。接ぎ木苗の国内需要は購入率の向上により増加傾向にあるものの、長期的な先行きにつきましては予測困難な状況であり、当社の経営目標である「東証一部上場」を達成するためには、新たな事業基盤の確立が重要課題のひとつと認識しております。こうした状況下、当社グループでは、閑散期を中心とした多品目化による取扱商品の拡充、総合園芸店の運営、自社ブランド品種の種子の開発及び販売に加え、日本国内の多くの農業関連メーカーと連携を高め海外に販路を広めることにより、第2の事業基盤の確立に取り組んでまいります。

 

③ グローバル化の推進及び収益の改善

海外事業につきましては、海外事業部を立ち上げ、東アジア地域を中心に農業需要やマーケット環境の調査等を行う中で、現地企業との連携を図り、本格的な事業化に向けた基盤作りを行っておりますが、継続的に営業損失を計上しております。しかしながら、グローバルビジネス展開は当社グループの将来に向けて最も重要な成長戦略であり、日本国内で培った技術やノウハウを活かした事業の推進及び連携会社との協力強化により、事業基盤を整え早期黒字化を目指します。

 

④ 事業拡大に向けた人材育成及び組織作り

当社グループの成長戦略である「全国農場展開」・「多角化・多品目化」・「グローバル化」を実現するためには、優秀な人材の継続的な確保と組織力強化に向けた組織体制の整備が重要だと考えております。新卒採用を含む積極的な採用活動、研修制度や人事評価制度の充実を図り、技術・ノウハウを継承し、経営理念を中心としたベルグアースの掲げる企業としての「存在意義」を理解し、グループ全体の総合成長を支える人材の育成に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 天候不順、異常気象、自然災害による影響について

当社グループの主たる事業は、野菜苗の受注生産であります。生産の大部分はハウス内で栽培しておりますので、気温及び日照等、天候の影響を受けることになります。

天候不順が続くと苗の品質に影響し、製品価値の低下に繋がります。そのため、当社グループでは、品質の安定化を目指し、閉鎖型苗生産施設や冷房設備等の新型設備の導入、環境計測制御装置の導入、天候に合わせた栽培方法・技術・ノウハウの蓄積、研究開発及び委託展開、一次育苗農場の増加及び生産能力拡大による生産地の分散等の施策を行ってまいりました。しかしながら、天候不順の影響は完全に回避できるものではなく、猛暑、日照不足、台風といった天候不順及び異常気象の発生により、十分な品質や生産量が確保されない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、上述の通り生産地の分散を進めておりますが、天候不順及び異常気象、想定を上回るような自然災害の発生の影響を受け、本社機能の停止、生産農場の停止、受注の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 種子、原油価格の変動について

原材料である種子は、一般的に品種改良されるたびに新品種として発表され、基本的には付加価値が高くなるにつれて仕入価格も上昇していきます。また、現在は海外での採種が主流であるため現地の経済状況及び採種環境等の影響により突然値上がりする場合があります。また、原油価格の上昇は重油・灯油の値上がりによる冬期の育苗コストの上昇に加え、あらゆる育苗資材の仕入価格上昇に繋がることとなります。

当社グループは、過去に発生したこのような原材料価格及び燃料単価高騰時においては、グループ企業での育種事業の開始、仕入先の変更、種子メーカーとの連携、省エネ資材・設備の利用等によりコストダウンを図りながら製品販売価格の調整を行ってまいりましたが、今後、消費者の低価格志向が進むことにより価格調整での対応ができない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 病害虫について

当社グループは、完全閉鎖型苗生産施設を利用しておりますが、屋外でのハウス栽培を行っております。そのため、病気や害虫の発生を完全に防ぐことは極めて難しい状況にあります。当社グループでは病害虫の発生を防ぐため、長年のデータ蓄積による発生予測、病害虫侵入防止設備の導入(物理的防除)、圃場内の清掃、予防農薬の散布、病害虫の早期発見に努めておりますが、生産者に納品した後に病害虫が発生する可能性があります。この場合、発生時期と病害虫の種類によっては当社グループの責任において生産者に対する何らかの補償を行う可能性や風評により受注が減少する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 栽培技術者の育成について

当社グループは、生産拠点を全国展開しており、栽培技術者個々の技術・ノウハウを組織全体に広げていく必要があります。そのため、技術・ノウハウを早く習得させるために、入社後すぐに実践の場に立たせ、多くの経験を蓄積できる体制をとり、栽培技術者の担当する品目や育苗施設を固定化し、栽培技術指導者を中心としたチームを組織して競争意識を持たせるなどの相乗効果を図っております。また、技術開発部による、新たな生産技術の開発やデータの蓄積等を行い、栽培技術の改善及び育成に役立てております。

全国の自社農場で技術・ノウハウを習得した栽培技術者も育ち始めており、現在のところ不足はしておりませんが、今後生産拠点がさらに増加及び拡大されることによって、十分な栽培指導が行き渡らなくなる場合や技術・ノウハウ向上のための費用が増加する場合、また、人材確保が困難な場合や人材確保のための費用が増加する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(5) 競合について

当社グループは、野菜接ぎ木苗の生産販売に特化しており、接ぎ木苗の利用者の獲得において先行しているものと認識しております。今後も更なるシェアの拡大を目指し、営業部門の強化、顧客ニーズに対応した商品開発、生産能力の拡大等を図っておりますが、今後、異業種からの参入及び競合他社の拡大が生じ、競争の激化による顧客の流出やコストの増加等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが今後において、競合他社等の影響により当社グループの競争優位性が低下した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 野菜苗生産販売事業への依存について

当社グループは、野菜接ぎ木苗の生産販売に特化しており、売上高及び利益の大部分に貢献しております。当社グループといたしましては、実生苗(接ぎ木をしていない苗)の売上拡大や農業資材等の仕入販売事業の拡大、流通業者との連携、販売先の新規開拓や深耕拡大、海外事業、育種事業等の新たな事業開発に取り組んでおりますが、現時点では野菜の接ぎ木苗生産販売事業に依存しております。

接ぎ木苗の普及は引き続き進んでいるものの、今後、日本農業がどのように進展していくかについては不透明な部分もあり、国の政策方針の転換、輸入野菜の増加、農家の高齢化及び後継者不足等により、今後の日本農業に大きな変化が生じた場合、また、予期せぬ技術革新によって接ぎ木苗の需要が著しく減少した場合、当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 業績の変動について

当社グループの業績は、第1四半期において、他の四半期に比べ売上高が低下する傾向にあり、利益も売上高の変動の影響を受けて低下する傾向になっております。これは、当社グループの主力製品である野菜苗の需要が、当社の第1四半期にあたる11月~1月に全国的に減少するためであります。現在、閑散期対策として花苗や玉ねぎ苗の売上が増加しており、新製品の開発を急いでおりますが、当面は第1四半期の売上高が他の四半期に比べて低下することが予想されます。このため、第1四半期の業績が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。

なお、平成30年10月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度合計

売上高
(構成比 %)

463,279

(9.8)

1,544,983
(32.9)

1,056,651
(22.5)

1,633,593
(34.8)

4,698,508
(100.0)

売上総利益又は売上総損失(△)
(構成比 %)

△21,413

(△1.9)

 460,485

(39.9)

 294,735

(25.6)

 419,321

(36.4)

 1,153,128

(100.0)

営業利益又は営業損失(△)
(構成比 %)

△254,243

(-)

 142,846

(-)

 △16,216

(-)

 141,254

(-)

 13,641

(-)

 

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(8) 特有の法的規制等について

当社及びベルグ福島株式会社は、農地法で規定された農地所有適格法人ではないため、農地の取得が認められておりません。なお、以前は農地保護を目的とした農地法の規定により、一般の事業会社は農地を借りることもできませんでしたが、現在は、規制緩和の流れを受けた過去数度の農地法及び関連法規の改正によって一般事業会社が農地を借りることが可能になり、規模拡大が進めやすくなっております。現在、当社につきましても農地を賃借して野菜苗を生産しており、この流れは、当社グループにとって生産設備拡張の自由度が増し、規模拡大への追い風となっております。

しかしながら、今後の新たな農地法及び関連法規の改正の動向が当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。また、農地法及び関連法規以外に、農薬については農薬取締法、毒物及び劇物取扱法、育苗については種苗法の規制を受けており、それらの法規の改正等の動向によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 中国での事業展開について

当社グループは、中国の巨大マーケットでの事業活動を実施するため、平成26年11月に中国の青島芽福陽園芸有限公司を子会社化、平成29年12月に北京欣璟農業科技有限公司を中国のパートナー会社と設立しました。農業関連の様々な規制緩和は進んでおり、外資系企業が中国国内で事業を行う幅は広がっております。しかしながら、今後、中国における法的規制、政情・経済の変動など予測不能な事態が発生し、中国子会社及び関連会社の事業展開に影響が出た場合、当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、企業収益の堅調な推移により、雇用環境や所得の改善が続く中、緩やかな回復基調が続いております。しかしながら、景気の先行きは、中東情勢の不安定化による原油価格の上昇や、それに伴う原材料の値上げ、また、米国の政策による通商摩擦による懸念等から、先行きに不透明感がみられています。

農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化や人手不足、少子高齢化や人口減少に伴う食料消費の縮小、耕作放棄地の拡大等の従来からの問題が残る一方、海外からの加工・業務用農産物の輸入は増加しており、そのような中で、日本の農業者の海外進出が増えてきました。また、平成30年は、西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震並びに台風などの自然災害が相次ぎ、人的・物的被害のみならず多くの農業関連の被害が発生いたしました。従来からの厳しい農業環境に加え、予測困難な自然環境と向き合い、人々の食と暮らしに寄与する農業を支えることの重要性は益々高まっております。

一方で、国は農業の競争力強化を目的とした制度改革を進めており、異業種からの農業参入、若手生産者を中心とした規模拡大、6次産業化の推進、農産物・食品の輸出拡大、生産・流通コストの削減、農業による地域経済の活性化等を通して農業全体の所得向上に向けて取り組みつつあります。また、国内の食糧消費は減少傾向であるものの、世界的には食料需要が拡大しており、国内外における農作物をはじめとする食料の安定供給に深く関わる農業の果たす役割はより大きくなると考えられます。

このような農業環境のもと、当社グループは、引き続き野菜苗市場におけるシェアの拡大を図るため、産地に密着した営業及び生産体制の強化を図り、野菜苗の安定供給のための品質改善等に努めてまいりました。また、東アジアを中心とした海外事業展開、園芸小売事業に加え、関連会社による育種事業の開始、各分野の専門企業との連携による農業関連資材の開発など、事業のグローバル化及び多角化を積極的に取り組み企業価値の向上に努めてまいりました。

損益面におきましては、主力事業である野菜苗生産販売事業は、人件費や原材料並びに配送費等の増加傾向はあったものの、独自の営業ルートによる推進活動、自社農場の生産量の拡大及び生産効率の向上等により利益改善となりました。また、全体的な間接経費の見直しを行い、事業のグローバル化及び多角化に向け種まきを戦略的に行ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,698,508千円(前期比1.6%増)、営業利益13,641千円(前期は営業損失59,175千円)、経常利益29,277千円(前期は経常損失71,410千円)、親会社株主に帰属する当期純利益29,212千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失69,178千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

 

(野菜苗生産販売事業)

当事業部門におきましては、東日本地域では、茨城農場を拠点としての産地営業の推進、品質改善等を取り組んだ結果、年間を通じて安定的な供給体制が可能となり、茨城県向けのピーマン、メロン苗の受注拡大に繋がりました。また、子会社であるベルグ福島株式会社での生産能力拡大もあり、キュウリの露地生産地である福島県内に推進を図り売上増加となりました。家庭園芸向けの売上につきましては、閑散期対策として取り組んでまいりました全国のホームセンター向けの玉ねぎ苗の販売促進に加え、新たに花苗等の取り扱いを開始したことにより、商品ラインナップが増加し、店舗の売場占有を上げることができ、今後の売上拡大に繋げることができました。西日本地域では、苗の受注及び供給体制の強化及び産地への営業推進により、熊本、福岡を中心とした九州向けのトマト苗の受注が拡大いたしました。

一方、損益面におきましては、生産量増加による人件費や原材料費等が増加する中、配送費の値上による負担は特に増加傾向にありますが、当社では、チャーター便や自社配送の利用、生産者に近い農場で二次育苗を行うことにより配送コストの増加を抑えることができました。また、ベルグ福島株式会社の生産能力の拡大や茨城農場の生産設備拡充、全国各地のパートナー農場との連携により生産効率が向上し利益改善に繋がりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,601,799千円(前期比5.9%増)、セグメント利益(営業利益)427,258千円(前期比17.3%増)となりました。

 

品目分類別の売上高は次のとおりであります。

品目分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

トマト苗

2,170,283

104.8

キュウリ苗

1,212,026

102.9

ナス苗

369,301

101.6

スイカ苗

284,900

115.2

メロン苗

204,210

113.4

ピーマン類苗 (注)

202,025

126.0

その他

159,051

109.5

合 計

4,601,799

105.9

 

(注) ピーマン類として、ピーマン・パプリカ・シシトウ・トウガラシをまとめて表示しています。

 

規格分類別の売上高は次のとおりであります。

規格分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

ポット苗(7.5㎝~15㎝)

2,460,261

109.8

当社オリジナル(アースストレート苗、ヌードメイク苗、e苗シリーズ等)

1,314,949

98.1

セル苗(288穴~72穴)

767,409

106.8

その他

59,179

127.9

合 計

4,601,799

105.9

 

 (注) ポット苗は、ポリエチレンのポット(ポリ鉢)で育苗した苗(当社においては、主に断根接ぎ木苗にて育苗した苗)であり、ポットのサイズが大きくなると苗のサイズも大きくなります。セル苗は、小さな穴が連結した容器(セルトレー)で育苗した苗であり、穴数が増えると苗のサイズが小さくなります。

 

納品地域分類別の売上高は次のとおりであります。

納品地域分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

北海道・東北

623,488

114.2

関東・甲信越

1,996,259

106.2

東日本地域 小計

2,619,748

108.0

中部・北陸

276,330

99.4

近畿・中国

492,564

94.0

四国

400,768

102.8

九州・沖縄

812,388

111.6

西日本地域 小計

1,982,051

103.3

合 計

4,601,799

105.9

 

(注) 静岡は「関東・甲信越」に含めて表示しております。

 

(農業・園芸用タネ資材販売事業)

当事業部門におきましては、株式会社むさしのタネの種子の販売を本格的に開始したことにより、種子売上高18,691千円を計上したものの、コンビニエンスストア事業から撤退したことや農産物の仕入販売の縮小により、当連結会計年度の業績は、売上高74,981千円(前期比70.9%減)となりました。一方で収益性が改善されたことにより、セグメント利益(営業利益)3,150千円(前期はセグメント損失12,244千円)となりました。

なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの名称を従来の「流通事業」から変更しております。

 

(海外事業)

当事業部門におきましては、中国山東省にて野菜苗及び花苗の生産、鉢花(シクラメン)の生産、トマト等の青果物の生産を中心とした施設園芸、生産技術開発のための試験等を行っております。また、東アジア地域への種子・農業資材等の販売を試験的に開始いたしました。平成29年12月に中国北京に新たに設立した合弁会社では、本格的な中国国内での事業展開に向け準備を進めております。様々な取り組みにより、当社グループの技術力や生産モデル等に対する評価を得ており、今後も引き続き、海外事業部を中心に海外での事業拡大に向けて、技術開発並びに中国国内を中心に農業関連のマーケット調査や市場開拓等を積極的に行ってまいります。

当連結会計年度の業績は、売上高18,450千円(前期比1.4%減)、セグメント損失(営業損失)47,850千円(前期はセグメント損失55,241千円)となりました。

 

(その他の事業)

その他事業におきましては、育種事業及び貸し農園事業を行っております。

当連結会計年度の業績は、売上高3,276千円(前期比434.6%増)、セグメント損失(営業損失)は22,952千円(前期はセグメント損失12,095千円)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比べ110,158千円(6.6%)増加の1,778,985千円となりました。これは、現金及び預金が88,409千円、受取手形及び売掛金が40,456千円、それぞれ増加した一方で、育種事業の子会社の連結除外及びコンビニエンスストア事業の撤退により商品及び製品が25,509千円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ19,791千円(1.0%)減少の1,952,198千円となりました。これは、前連結会計年度より建設中でありました茨城農場の育苗施設が完成したことにより、建物及び構築物が17,084千円増加、本社農場(愛媛)の土地取得により24,026千円が増加した一方で、建設仮勘定が59,040千円減少、有形固定資産の減価償却が進んだことにより、187,081千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比べ4,951千円(0.3%)増加の1,518,436千円となりました。これは、短期借入金が30,000千円、未払法人税等が12,568千円増加した一方で、未払金が13,289千円、1年内返済予定の長期借入金が8,363千円、支払手形及び買掛金が6,214千円が減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度と比べ74,302千円(9.3%)増加の872,510千円となりました。これは長期借入金が76,242千円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比べ11,113千円(0.8%)増加の1,340,236千円となりました。これは、利益剰余金が16,514千円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ88,409千円(21.1%)増加の508,068千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、157,830千円(前連結会計年度は203,516千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益31,955千円、減価償却費187,081千円、売上債権の増減額△40,456千円、持分法による投資損益9,137千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、△185,307千円(前連結会計年度は△106,065千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出△189,032千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、151,656千円(前連結会計年度は△99,544千円の支出)となりました。これは、短期借入れによる収入600,000千円、短期借入金の返済による支出△550,000千円、長期借入れによる収入315,000千円、長期借入金の返済による支出△247,121千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗生産販売事業

 3,398,934

 104.3

農業・園芸用タネ資材販売事業

 ―

 ―

海外事業

 17,457

 82.2

その他の事業

 ―

 ―

合計

 3,416,391

 104.0

 

(注) 1.金額は、当期総製造費用によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.農業・園芸用タネ資材販売事業及びその他の事業については、該当ありません。

 

b.商品及び製品仕入実績

当連結会計年度における商品及び製品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗生産販売事業

 74,689

 138.6

農業・園芸用タネ資材販売事業

 53,951

 26.0

海外事業

 2,824

 ―

その他の事業

 ―

 ―

合計

 131,466

 50.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.その他の事業については、該当ありません。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗生産販売事業

 4,411,630

 104.2

347,220

 90.4

農業・園芸用タネ資材販売事業

 ―

 ―

 ―

 ―

海外事業

 2,349

 33.7

 132

 47.7

その他の事業

 ―

 ―

 ―

 ―

合計

 4,413,979

 104.1

 347,353

 90.4

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.農業・園芸用タネ資材販売事業及びその他の事業については、該当ありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗生産販売事業

 4,601,799

 105.9

農業・園芸用タネ資材販売事業

 74,981

 29.1

海外事業

 18,450

 98.6

その他の事業

 3,276

 534.6

合計

 4,698,508

 101.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.農業・園芸用タネ資材販売事業については、平成29年10月31日をもってコンビンエンスストア事業を撤退したため、前年同期に比べ著しく減少しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的な判断に基づき会計上の見積りを行っております。この連結財務諸表の作成にあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は4,698,508千円(前期比1.6%増)となりました。詳細につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要」をご参照ください。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は3,545,379千円(前期比0.3%減)となりました。

野菜苗生産販売事業の受注増加に伴う製造原価の増加、閑散期の売上拡大のため取り組んできた玉ネギ苗等の製品苗の購入率の増加した一方、青果物の仕入販売事業の見直しやコンビニエンスストア事業の撤退により商品仕入が減少しました。

事業の見直し、売上拡大及び各農場の生産効率が向上した結果、売上総利益は1,153,128千円(前期比7.9%増)となりました。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,139,487千円(前期比1.1%増)となりました。

事業内容の見直しやコンビニエンスストア事業の撤退により支払手数料、消耗品費等が減少した一方、野菜苗の出荷数量の増加及び配送会社の値上に伴い荷造運賃費が300,637千円(前期比11.7%増)、事業拡大、新規事業等への取り組みに伴う人件費が402,107千円(前期比4.2%増)増加しました。

この結果、営業利益は13,641千円(前期は営業損失59,175千円)となりました。

 

 (営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は受取補償金3,500千円、受取手数料4,570千円、補助金収入18,288千円等により29,974千円となりました。営業外費用は支払利息4,591千円、持分法による投資損失9,137千円等により14,338千円となりました。この結果、経常利益は29,277千円(前期は経常損失71,410千円)となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は固定資産売却益400千円、持分変動利益2,959千円により3,359千円となり、特別損失は固定資産除却損681千円により681千円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は31,955千円(前期は税金等調整前当期純損失88,767千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における税効果会計適用後の法人税等合計は14,705千円(前期は△10,314千円)、非支配株主に帰属する当期純損失は11,962千円(前期は非支配株主に帰属する当期純損失9,273千円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は29,212千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失69,178千円)となりました。

 

 b.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、農業を取り巻く国内外の環境変化、法的規制、地震や台風等による大規模災害等様々な要因が挙げられ、詳細につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しております。当社グループでは、外部や事業環境の変化にすばやく対応するための人材育成や組織体制の整備、内部統制強化等により、経営成績に影響を与える可能性のあるリスクの回避及び発生を抑え、適切な対応に努めて参ります。

 

 c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要は、野菜苗生産販売事業における生産設備の新設及び改修等の設備資金、既存事業拡大及び成長戦略の柱である多角化や海外事業での事業投資や技術研究開発投資及び経常の運転資金があります。これらの資金需要に対して、設備等の投資資金については、金融機関による長期借入、運転資金については、金融機関による短期借入を必要に応じて調達する方針としております。

また、当社グループの主要事業である野菜苗生産販売事業は、季節変動が大きく、第1四半期では支出が先行し営業活動キャッシュ・フローがマイナスになる傾向にあります。その季節的な変動の中で、事業に必要な資金を確保し、機動的かつ安定的な資金調達を行うため、金融機関5行と当座貸越契約を締結しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 委託生産に関する外注取引契約

契約会社名

相手先の名称

契約品目

契約内容

契約期間

ベルグアース株式会社

株式会社山口園芸

野菜苗全般

野菜苗の外注取引契約

平成19年11月1日~平成20年10月31日
(但し、契約期間終了後も異議のない限り自動的に1年間ずつ更新する)

ベルグアース株式会社

株式会社花の海

同上

同上

平成19年11月1日~平成20年10月31日
(但し、契約期間終了後も異議のない限り自動的に1年間ずつ更新する)

 

 

(2) 土地利用に関する契約

契約会社名

相手先の名称

農場名

契約品目

契約内容

契約期間

ベルグアース株式会社

地主5名

本社農場

農地: 8,267㎡

農地所有適格法人以外の一般法人が農地を賃借し、利用できる契約

平成28年11月1日~
平成33年10月31日

ベルグアース株式会社

地主1名

本社農場

農地:   485㎡

同上

平成28年10月10日~
平成34年10月31日

ベルグアース株式会社

地主2名

本社農場

農地: 1,318㎡

同上

平成25年7月1日~
平成35年6月30日

ベルグアース株式会社

地主1名

本社農場

農地:   207㎡

同上

平成25年9月1日~
平成35年8月31日

ベルグアース株式会社

地主1名

本社農場

農地:   361㎡

同上

平成27年6月26日~
平成32年6月25日

ベルグアース株式会社

地主1名

本社農場

農地: 2,199㎡

同上

平成27年11月1日~
平成32年10月31日

ベルグアース株式会社

地主1名

本社農場

農地:  952㎡

同上

平成30年9月1日~

平成50年8月31日

ベルグアース株式会社

地主7名

長野農場

農地:20,111㎡

同上

平成28年4月1日~
平成31年3月31日

ベルグアース株式会社

地主1名

長野農場

農地: 5,950㎡

同上

平成26年7月1日~
平成29年6月30日(注)

ベルグアース株式会社

地主1名

松山農場

農地: 2,702㎡

同上

平成24年12月12日~
平成29年12月11日(注)

ベルグ福島株式会社

地主1名

ベルグ福島

宅地:20,055㎡

一般法人が土地を賃借し、利用できる契約

平成27年4月30日~
平成37年4月29日

 

(注)契約期間終了後も異議のない限り自動的に3年間ずつ更新する。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、野菜苗メーカーとして、最先端の育苗技術の開発及び既存技術の課題解決を目的とした研究技術開発活動を続けております。また、野菜苗の育苗技術を活用し新たな苗の開発、関連会社による育種及び品種改良し試験、海外での苗事業展開に向けた技術開発、新たらな商材の発掘及び開発のための検証試験にも積極的に取り組んでおります。

大学・公立研究機関・民間企業等とも協力体制を構築し、共同研究及び受託研究に積極的に取り組み、農業の発展に貢献していく方針であります。

当連結会計年度における一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額は74,355千円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1) 野菜苗生産販売事業

当連結会計年度の野菜苗生産販売事業に係る研究開発費は、67,329千円となりました。

当事業部門では、苗の生産性向上、品質向上、付加価値化を最大の研究テーマとして取り組んでおります。

具体的には、育苗施設の環境モニタリングによる最適育苗環境の構築、閉鎖型育苗の生産性向上や苗の高付加価値化、新規完全閉鎖型育苗装置の開発、病害虫防除効果の高い新規接ぎ木苗の開発、関連会社のタネ品種や海外品種の種子選別技術の研究など多岐にわたる課題に取り組み、一定の成果をあげております。

また、大学や公立研究機関との協力体制を構築しており、苗の開発・普及において研究データの共有化や意見交換を行い、研究成果を迅速に生産現場へ落とし込む体制を整えております。

 

(2) 農業・園芸用タネ資材販売事業

該当事項はありません。

 

(3) 海外事業

該当事項はありません。

 

(4) その他の事業

その他のセグメントは、貸し農園事業及び育種事業が含まれます。

育種事業では、関連会社の保有する自社品種の種子の品種改良、採種技術の開発等を行っております。

当連結会計年度の育種事業に係る研究開発費は、7,026千円となりました。