第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、野菜苗生産をコア事業として取り組み「良い苗をいつでも・どこでも・いくらでも」の経営方針の基、使いやすさ、環境への配慮、お客様一人ひとりにあった苗づくりを目指し、閉鎖型育苗施設などの新設設備による安定した生産体制と全国各地のパートナー農場との連携により事業展開を拡大してまいりました。そして、当社グループのフィールドは、野菜苗の枠組みを超え、ITを活用した農業やロボット開発、種や培土などの農業資材等の新商品開発、家庭園芸を楽しむ個人のお客様へのサービス拡充を行い、さらには、アジアを中心とした世界市場へ向けて進み始めています。全ては「人々の食と暮らしを豊かにするために」日本から世界の農業に革命を興すことができる企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2020年12月に中期経営目標(2021-2023)「Change&Innovation2023」を策定しており、2022年10月期は2年目となります。今後も引き続き、成長戦略として掲げている3つの柱「全国農場展開」「多角化・多品目化」「グローバル化」の基、グループ一丸となって企業価値の向上、業績目標の達成に向けて取り組んで参ります。また、これまで以上に研究開発にも注力し、既存の「苗品質及び付加価値」の向上を目指した研究や「品種特性、資材評価のための栽培実証試験」「新たな商品の開発」に加え、2022年10月期から連結子会社であるベルグ福島株式会社において「植物ワクチン」の開発を本格的に開始し、化学農薬に依存しない効果的な防除対策の実現、環境に配慮した生産と安定的な生産、品質向上が期待されており、今後の日本農業に貢献し、当社グループの事業発展に向け必要な研究活動を積極的に行ってまいります。さらに、2021年11月30日に株式交換により連結子会社となった伊予農産株式会社との経営統合により、苗事業における原材料の調達力を上げることによる収益の改善、また、地域に根付いた営業活動を推し進め、農業生産者を含む顧客への新たなサービスを提供することが可能となることにより、当社の掲げる成長戦略を加速させ、中期経営目標の達成に向け、更なるスピードアップが期待されます。

「地域への恩返し」をスローガンに、愛媛から全国へ、日本から世界へ向けて、その地域に貢献できる企業を目指し事業構造の見直しと事業基盤の確立を図ってまいります。

 

中期経営目標(2021-2023) 「Change&Innovation2023」の概要

1.基本方針

アグリベンチャー企業として、革新的な技術やひらめきを形にする新たなビジネスに挑戦し「人々の食と暮らしを豊かに」をテーマに、農業を中心としたフードバリューチェーンの構築に挑戦いたします。新技術の創出、人材を最大限に活かし、農業に革命を興し「農業界」を牽引する企業へ更なる進化を遂げてまいります。

 

2.3つの戦略テーマ

戦略1:苗事業の更なる拡大及び強化

❖全国農場展開による生産能力の拡大

❖生産効率アップのための設備・機械装置の導入

❖研究・技術開発を中心とした新商品・新技術の開発

 

戦略2:事業の多角化・多品目化による事業領域の深化

❖国内資材メーカーとの連携強化並びに新たな品種開発による事業の多角化

❖蓄積されたノウハウを用いた育苗・栽培設備の開発、AI技術を用いた生産ロボットの開発

 

戦略3:グローバル化による事業拡大

❖中国国内で日本技術を用いた栽培装置の普及と野菜苗の生産・販売事業の稼動開始

❖東アジアを中心に、日本国内資材メーカーと連携強化による資材・種子販売強化

 

主力の苗事業を中心に次の時代へのステップアップのため、長期的な視野に立ちグループ一丸で目指せる中期経営目標を策定いたしました。本計画では、2023年10月期に連結ベースで売上高6,380百万円、売上総利益1,670百万円、営業利益140百万円を目標とし収益力改善に努めてまいります。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、全国へ安定的に野菜苗の生産供給を行うため、育苗設備の増設、新たな生産設備導入など積極的に設備投資を行っております。また、農業を中心としたフードバリューチェーンの構築に向け、種子の開発、農業関連資材等の仕入販売、小売事業展開、海外での苗事業及び農業資材販売等を積極的に行っており、事業活動及び人材強化を図ってまいりました。このような中、2020年10月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、移動制限が実施され十分な営業活動が行えなかったことに加え、コロナ禍での人員確保を優先したことにより製造コストにおける労務費が増加、また、新規事業への取り組みに向けて人材を確保したこと等により販売費及び一般管理費も増加いたしました。2021年10月期は、中期経営目標を設定し、3つの成長戦略を柱とした事業展開及び収益改善を目指し、販売費及び一般管理費の見直し、生産工程や生産効率の改善により当初の業績予想より改善はされましたが、2期連続での営業損失計上となりました。

この結果、継続的に営業損失が発生しており継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているものと認識しております。当社グループは、これらの事象等を解消し、経営基盤の安定化に向け、以下の事項に取り組んでまいります。

 

野菜苗・苗関連事業につきましては、自社農場の増設及び連携企業との農場展開により、安定的な供給と生産者により近い農場からの出荷体制を整え、新規需要の開拓を行い、売上拡大を図ります。また、閑散期対策の一つでもある「苗の多品目化」へ向けて自社での花苗、葉菜苗等の生産品目の拡大、パートナー農場や農業関連企業との関係を強化し、戦略的なパートナーシップを構築することで安定的な生産と多様な品種・品目の供給が可能となり、閑散期における売上拡大と収益力向上を実現させ、当事業を重要な経営基盤として強化してまいります。

一方で、生産拡大に向けて、雇用確保が重要となり、条件等含め今後も厳しい状況が続くと想定されます。そのため、生産量の増加に伴い労務費の増加も見込んでおりますが、生産工程の見直しを図り、作業効率を改善することにより収益力の向上に努めてまいります。また、新たに連結子会社となる伊予農産株式会社との連携により購買力を強化し、原材料の調達コストの削減を図ります。

農業・園芸用タネ資材販売事業につきましては、生産者のニーズに応える高付加価値商品の推進及び横展開での売上の拡大を図り、関連会社である株式会社むさしのタネと共同で耐病性などに優れた付加価値の高い種子の開発等を行い国内外への供給を目指してまいります。また、日本国内の農業関連メーカーとの連携を高め、農業生産者の持続可能な生産に貢献できる商品、サービスにも注力し農業資材等の売上拡大を目指してまいります。

海外事業につきましては、コロナ禍でのアジア情勢の変化により事業戦略の見直しを進めてまいります。まずは、中国においては肥料を中心とした農業資材の販売事業を現地の優良パートナーと連携し事業基盤を構築いたします。また、関連会社との協業により中国・台湾・韓国などから優良な種子を日本へ輸入し売上拡大を目指します。連結子会社の青島芽福陽園芸有限公司につきましては、生産規模縮小に伴い人件費などの製造経費が削減され収益改善に努めながら、今後は、現地の育苗事業会社と連携し技術指導を行いながら苗の普及やマーケティング活動を行い事業確立に取り組んでまいります。

小売事業につきましては、連結子会社のファンガーデン株式会社が愛媛県内において2店舗を運営しており、店舗及びインターネット販売を通じて家庭園芸を行う一般消費者からプロ生産者向けに各種種苗をはじめ、農業園芸用資材の販売を行っております。よりお客様のニーズに合った商品を充実させ、イベント等の開催による集客率の向上を図り売上拡大に努めるとともに、商品構成の見直し、仕入先の選定等により収益の確保を目指してまいります。また、伊予農産株式会社との連携により愛媛県内の一般消費者への販売活動にも注力し、愛媛県内で唯一無二の存在となれる総合園芸店を目指し店舗運営を行ってまいります。

以上の各事業セグメントにおいて、一つ一つの戦略を実行し、収益力の回復と経営基盤の安定化に向けて努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 天候不順、異常気象、自然災害による影響について

当社グループの主たる事業は、野菜苗の受注生産であります。生産の大部分はハウス内で栽培しておりますので、気温及び日照等、天候の影響を受けることになります。

天候不順が続くと苗の品質に影響し、製品価値の低下に繋がります。そのため、当社グループでは、品質の安定化を目指し、閉鎖型苗生産施設や冷房設備等の新型設備の導入、環境計測制御装置の導入、天候に合わせた栽培方法・技術・ノウハウの蓄積、研究開発及び委託展開、一次育苗農場の増加及び生産能力拡大による生産地の分散等の施策を行ってまいりました。しかしながら、天候不順の影響は完全に回避できるものではなく、猛暑、日照不足、台風といった天候不順及び異常気象の発生により、十分な品質や生産量が確保されない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、上述の通り生産地の分散を進めておりますが、天候不順及び異常気象、想定を上回るような自然災害の発生の影響を受け、本社機能の停止、生産農場の停止、受注の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 種子、原油価格の変動について

原材料である種子は、一般的に品種改良されるたびに新品種として発表され、基本的には付加価値が高くなるにつれて仕入価格も上昇していきます。また、現在は海外での採種が主流であるため現地の経済状況及び採種環境等の影響により突然値上がりする場合があります。また、原油価格の上昇は重油・灯油の値上がりによる冬期の育苗コストの上昇に加え、あらゆる育苗資材の仕入価格上昇に繋がることとなります。

当社グループは、過去に発生したこのような原材料価格及び燃料単価高騰時においては、グループ企業での育種事業の開始、仕入先の変更、種子メーカーとの連携、省エネ資材・設備の利用等によりコストダウンを図りながら製品販売価格の調整を行ってまいりましたが、今後、消費者の低価格志向が進むことにより価格調整での対応ができない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 病害虫について

当社グループは、完全閉鎖型苗生産施設を利用しておりますが、主に屋外でのハウス栽培を行っております。そのため、病気や害虫の発生を完全に防ぐことは極めて難しい状況にあります。当社グループでは病害虫の発生を防ぐため、長年のデータ蓄積による発生予測、病害虫侵入防止設備の導入(物理的防除)、圃場内の清掃、予防農薬の散布、病害虫の早期発見に努めておりますが、生産者に納品した後に病害虫が発生する可能性があります。この場合、発生時期と病害虫の種類によっては当社グループの責任において生産者に対する何らかの補償を行う可能性や風評により受注が減少する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 栽培技術者の育成について

当社グループは、生産拠点を全国展開しており、栽培技術者個々の技術・ノウハウを組織全体に広げていく必要があります。そのため、技術・ノウハウを早く習得させるために、入社後すぐに実践の場に立たせ、多くの経験を蓄積できる体制をとり、栽培技術者の担当する品目や育苗施設を固定化し、栽培技術指導者を中心としたチームを組織して競争意識を持たせるなどの相乗効果を図っております。また、研究本部による、新たな生産技術の開発やデータの蓄積等を行い、栽培技術の改善及び育成に役立てております。

全国の自社農場で技術・ノウハウを習得した栽培技術者も育ち始めており、現在のところ不足はしておりませんが、今後生産拠点がさらに増加及び拡大されることによって、十分な栽培指導が行き渡らなくなる場合や技術・ノウハウ向上のための費用が増加する場合、また、人材確保が困難な場合や人材確保のための費用が増加する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(5) 競合について

当社グループは、野菜接ぎ木苗の生産販売に特化しており、接ぎ木苗の利用者の獲得において先行しているものと認識しております。今後も更なるシェアの拡大を目指し、営業部門の強化、顧客ニーズに対応した商品開発、生産能力の拡大等を図ってまいりますが、今後、異業種からの参入及び競合他社の拡大が生じ、競争の激化による顧客の流出やコストの増加等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 野菜苗・苗関連事業への依存について

当社グループは、野菜接ぎ木苗の生産販売に特化しており、売上高及び利益の大部分に貢献しております。当社グループといたしましては、実生苗(接ぎ木をしていない苗)の売上拡大や農業資材等の仕入販売事業の拡大、流通業者との連携、販売先の新規開拓や深耕拡大、海外事業、育種事業等の新たな事業開発に取り組んでおりますが、現時点では野菜の接ぎ木苗生産販売事業に依存しております。

接ぎ木苗の普及は引き続き進んでいるものの、今後、日本農業がどのように進展していくかについては不透明な部分もあり、国の政策方針の転換、輸入野菜の増加、農家の高齢化及び後継者不足等により、今後の日本農業に大きな変化が生じた場合、また、予期せぬ技術革新によって接ぎ木苗の需要が著しく減少した場合、当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 業績の変動について

当社グループの業績は、第1四半期において、他の四半期に比べ売上高が低下する傾向にあり、利益も売上高の変動の影響を受けて低下する傾向になっております。これは、当社グループの主力製品である野菜苗の需要が、当社の第1四半期にあたる11月~1月に全国的に減少するためであります。現在、閑散期対策として花苗や玉ねぎ苗の売上が増加しており、新製品の開発を急いでおりますが、当面は第1四半期の売上高が他の四半期に比べて低下することが予想されます。このため、第1四半期の業績が、年間の業績の傾向を示さない可能性があります。

なお、2021年10月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度合計

売上高
(構成比 %)

531,916

(9.9%)

1,849,200

(34.4%)

1,191,526

(22.2%)

1,799,491

(33.5%)

5,372,134

(100.0%)

売上総利益又は売上総損失(△)
(構成比 %)

△5,252

(△0.4%)

543,075

(40.8%)

354,223

(26.6%)

438,950

(33.0%)

1,330,996

(100.0%)

営業利益又は営業損失(△)
(構成比 %)

△294,669

(543.8%)

151,804

(△280.2%)

△45

(0.1%)

88,726

(△163.7%)

△54,184

(100.0%)

 

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(8) 特有の法的規制等について

当社及びベルグ福島株式会社は、農地法で規定された農地所有適格法人ではないため、農地の取得が認められておりません。なお、以前は農地保護を目的とした農地法の規定により、一般の事業会社は農地を借りることもできませんでしたが、現在は、規制緩和の流れを受けた過去数度の農地法及び関連法規の改正によって一般事業会社が農地を借りることが可能になり、規模拡大が進めやすくなっております。現在、当社につきましても農地を賃借して野菜苗を生産しており、この流れは、当社グループにとって生産設備拡張の自由度が増し、規模拡大への追い風となっております。

しかしながら、今後の新たな農地法及び関連法規の改正の動向が当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。また、農地法及び関連法規以外に、農薬については農薬取締法、毒物及び劇物取扱法、育苗については種苗法の規制を受けており、それらの法規の改正等の動向によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 中国での事業展開について

当社グループは、中国の巨大マーケットでの事業活動を実施するため、2014年11月に中国の青島芽福陽園芸有限公司を子会社化、2017年12月に北京欣璟農業科技有限公司を中国のパートナー会社と設立しました。農業関連の様々な規制緩和は進んでおり、外資系企業が中国国内で事業を行う幅は広がっております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により移動制限やパートナー企業との交渉等が進まない中、2021年10月には北京欣璟農業科技有限公司は解散、青島芽福陽園芸有限公司は、事業の縮小を行い、中国での事業方針について見直しを図っております。今後、中国における新型コロナウイルス感染症の状況、法的規制、政情・経済の変動など予測不能な事態が発生し、中国子会社の事業展開に影響が出た場合、当社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 固定資産の減損リスクについて

当社グループは、野菜苗・苗関連事業における受注拡大及び安定した生産体制の維持・強化や新たな技術開発のために設備投資が必要となり、事業計画に沿って投資を行っております。しかしながら、経営環境や事業の著しい変更等により投資回収期間が長期化する見込みとなることで、収益性が大幅に低迷し、資産の経済的価値が減少した場合には、固定資産の減損処理行うため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(11) 有利子負債への依存について

当社グループでは、運転資金及び設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しており、当連結会計年度における有利子負債の残高は、2,302,630千円(リース債務を含む)であります。当社グループでは、実行可能な資金計画に基づき有利子負債の弁済を行っておりますが、今後の金融政策の動向、金利水準の変動等により当社グループが計画どおりの資金調達ができなかった場合、当社グループの業績、財務状況及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(12) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、前連結会計年度においては、営業損失124,479千円、当連結会計年度においては、営業損失54,184千円となり、継続的な営業損失が発生しております。

このような状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しておりますが、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおり当該事象等を解消するため、具体的な対応策を実施することにより収益力の回復に努めており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表への注記は記載しておりません。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、再び緊急事態宣言が発令されるなど依然として厳しい状況が続いておりましたが、日本国内では様々な感染予防策が講じられ、ワクチン接種が進むにつれて感染拡大が抑えられたことにより、経済活動が正常に戻りつつあります。しかしながら、世界的には、再び感染が拡大している地域もあり、今後の変異株の動向等、先行き不透明な状況が続くものと認識しております。

日本の農業を取り巻く環境は、農業の成長産業化に向けて農政改革が推進されており、農林水産物・食品の輸出額や農業所得が増加傾向にあり、新規就農支援、認定農業者制度や法人化等を通じた経営発展の後押しにより青年層の新規就農者や法人経営体が増加するなど、成果が着実に現れてきております。一方で、基幹的農業従事者の減少や高齢化が一層進む中、日本の農業を持続的に発展させていくために、農地や設備などの有形資産とともに、技術、ノウハウ、人脈といった無形資産を次の世代へ引き継いでいく事業継承も克服すべき課題となっております。加えて、農業は自然資本に直接関わっている産業であるために環境の影響を大きく受けます。近年の異常気象や大規模な自然災害の激甚化により、農作物の不作や野菜価格の高騰、気候の変動による適期作業のタイミングが難しくなってくるなど様々な問題が懸念されております。また、労働力不足等に直面している日本の農業においては、植物工場やロボット、ICTを活用した生産体系の仕組みを開発し、AI等の先端技術の活用による「スマート農業」の実装を加速させていくことがますます重要となっており、生産力の向上と持続性の確立をイノベーションで両立させていく必要があります。労働生産性の向上と現場作業の省力化・効率化や情報共有の簡素化により、生産管理データの活用による需要予測や計画的な供給生産システムの構築などとともに、現場の諸課題を解決することが期待されております。また、世界的に持続可能性に配慮した環境負荷低減の実現が目指されています。あらゆる産業で持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が目指される中で、ますます環境対応が重視され、具体的な対応が求められています。農業の業界においても、将来を見据えた持続可能な食料システムをつくることが急務となっており、環境に配慮した資材や仕組みを選択している先端事例の情報収集により、流通の効率化と合理化に向けた現場の環境整備に取り組むことが事業成長の機会になるものと捉えて、積極的な行動変容が求められております。

このような状況の中、当社グループは、「人々の食と暮らしを豊かにする」を企業理念に掲げ、国内外の農産物の生産及び安定供給に深く関わる農業の果たす社会的役割に責任を持ち、安定的な成長と収益の改善を目標として取り組んでまいりました。

当社グループの当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、国内外での営業活動が制限されましたが、従業員の感染対策を徹底し、新規顧客訪問や営業活動及び生産活動を継続してきた結果、売上高5,372,134千円(前期比3.4%)の増収となりました。損益面につきましては、生産体制や生産工程の見直しを行うことにより製造コストの圧縮を図り、国内外での活動が制限されたことによる移動費等が抑えられたことにより、販売費及び一般管理費が減少した結果、営業損失54,184千円(前期は営業損失124,479千円)、経常損失56,881千円(前期は経常損失132,395千円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、本社農場の設備投資に伴い交付決定をしておりました「産地生産基盤パワーアップ事業費補助金」等に基づく補助金収入262,487千円計上と圧縮積立金の計上及び税効果会計の適用等による法人税等調整額65,511千円を計上したことにより、122,198千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失214,423千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

 

 

(野菜苗・苗関連事業)

当事業部門におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が制限される状況の中、感染対策を行った上での顧客訪問を行い、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した圃場案内や製品紹介などの営業活動を継続してまいりました。また、他社との差別化を図るため、キュウリのワクチン接種苗の販売強化及び生産体制の構築、ホームセンター向けに花苗の企画提案等を行ってまいりました。生産体制につきましては、本社農場で閉鎖型育苗施設の新設や育苗施設の改築が行われ、2021年2月より稼働を開始しており、日本国内の気候変動が従来以上に複雑に顕在化し、農業生産の活動に対する影響が懸念されている状況において、閉鎖型育苗施設の本格稼働は、年間を通じて安定したウリ科の苗供給ができる生産体制を可能といたしました。今後も、生産者の高齢化等により生産規模の縮小が進み競合他社との受注競争も増すことが想定されるため、グループ一丸となり品質の安定化を第一に新たなサービスや製品の提案に取り組んでまいります。

売上面におきましては、閑散期の受注拡大と大規模菜園向けの営業活動推進、ホームセンター向けの多品目強化推進により増加となりました。特に北海道、東北においては、育苗センター・他社育苗業者の生産能力減を背景として、主にキュウリ苗を中心に受注が増加いたしました。一方で、九州においては、トマトの市況価格低迷による品目転換と買い控えが顕在化している状況下、同業他社との競争が激しくトマト苗の受注が減少いたしました。損益面におきましては、本社農場、ベルグ福島の生産設備新設及び改築により生産に使用する消耗品や減価償却費が増加した一方で、技術指導に当たっている熟練社員を含め、ピーク時に接ぎ木に専念させることで生産効率が改善するなど、各農場において生産体制や生産工程の見直しが行われたことにより原材料や労務費の増加が抑えられました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,131,401千円(前期比1.3%増)、セグメント利益(営業利益)459,826千円(前期比23.8%増)となりました。

 

品目分類別の売上高は次のとおりであります。

品目分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

トマト苗

2,237,477

95.9

キュウリ苗

1,401,973

108.1

ナス苗

360,405

103.8

スイカ苗

345,680

103.5

メロン苗

248,772

102.1

ピーマン類苗 (注1)

229,794

103.5

その他(注2)

307,295

107.1

合 計

5,131,401

101.3

 

(注1) ピーマン類として、ピーマン・パプリカ・シシトウ・トウガラシをまとめて表示しています。

(注2) 玉ねぎ苗、葉菜苗、花苗等を含んでおります。

 

規格分類別の売上高は次のとおりであります。

規格分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

ポット苗(7.5㎝~15㎝)(注1,2)

2,365,452

103.5

当社オリジナル(アースストレート苗、ヌードメイク苗、e苗シリーズ、高接ぎハイレッグ苗、ウィルスガード苗、ツイン苗)(注2)

1,722,706

100.9

セル苗(406穴~72穴)(注1,2)

956,847

97.1

その他

86,395

101.8

合 計

5,131,401

101.3

 

(注1) ポット苗は、ポリエチレンのポット(ポリ鉢)で育苗した一般的な苗(当社においては、主に断根接ぎ木苗にて育苗した苗)であり、ポットのサイズが大きくなると苗のサイズも大きくなります。セル苗は、小さな穴が連結した容器(セルトレー)で育苗した苗であり、穴数が増えると苗のサイズが小さくなります。

(注2)ツイン苗は、ポット苗、セル苗の規格分類へ区分しておりましたが、当第3四半期連結累計期間より当社オリジナル製品へ区分を変更しております。

 

 

納品地域分類別の売上高は次のとおりであります。

納品地域分類

売上高 (千円)

前期比 (%)

北海道・東北

848,060

111.7

関東

1,707,929

101.7

甲信越(注)

433,977

105.9

中部・北陸

306,651

100.0

近畿・中国

516,303

99.5

四国

404,328

100.3

九州・沖縄

914,150

92.7

合 計

5,131,401

101.3

 

(注) 静岡は「甲信越」に含めて表示しております

 

(農業・園芸用タネ資材販売事業)

当事業部門におきましては、家庭園芸向けに品種提案を行ってきたことによるPB品種種子の販売強化、生産者向けに土壌病害における有効な効力をもつ肥料などの商品提案を含めた幅広い営業活動を行ってまいりました。新型コロナウイルス感染症の再拡大により営業活動やお客様との商談も制限されておりますが、新規顧客への販売推進を行いながら、研究開発部門における商品の効果的な利用方法の発掘、関連会社での優良種子の品種の改良・開発、農業関連メーカーとの商品開発などを行い商品ラインナップの充実を図り売上拡大に向けて取り組んでまいります。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高79,453千円(前期比6.7%減)、セグメント利益(営業利益)1,328千円(前期はセグメント損失4,452千円)となりました。

今後は、2021年10月18日に株式交換契約を締結し、2021年11月30日を効力発生日として連結子会社となった伊予農産株式会社や肥料メーカー等協力企業との連携をさらに深め、顧客開拓や新たな商品提案を行ってまいります。さらに、現在推進中のワクチン接種苗に使用している製剤について、2022年1月より販売権が移管され植物ワクチン製剤を一手に取り扱うことになったため、ワクチン接種苗と共に、国内での普及活動を強化してまいります。

 

(海外事業)

当事業部門におきましては、前連結会計年度から新型コロナウイルス感染症の影響により、中国国内での生産及び営業活動の制限が続いております。この様な厳しい環境に対応するため、鉢花の生産販売事業を中断し、また現地生産者との競争が激しくなってきたことから債権回収を徹底するため、苗及び青果物の販売を抑制しております。経費面につきましては、生産を縮小したことにより人員や生産設備の減少し製造コストが減少いたしました。また、2017年12月に中国北京に設立した北京欣璟農業科技有限公司につきましては、中国国内での農事業の企画・運営会社として準備を進めておりましたが、現地企業との条件交渉が長期化していた上に、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、中国国内での活動休止を余儀なくされました。このような状況において、単独で現地での活動及び交渉を進めることが困難であると判断し解散をいたしました。

今後は、アフターコロナを見据えた新たな体制作りと施策に改めて取り組んでいくことが重要であると判断し、様々な可能性のある中国の農業関連マーケットでの事業展開を見直す必要性があると判断しております。引き続き、中国での肥料販売、韓国では肥料販売に加え日本国内向けの種子や苗の輸出に注力してまいります。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高29,646千円(前期比38.4%減)、セグメント損失(営業損失)37,099千円(前期はセグメント損失63,828千円)となりました。

 

 

(小売事業)

当事業部門におきましては、前連結会計年度より小売事業を行うファンガーデン株式会社を連結範囲に含めました。小売事業は、総合園芸店を2店舗運営しており、店舗及びインターネット販売を通じて家庭園芸を行う一般消費者からプロの生産者向けに、当社が生産した各種苗を始め、地域の生産者に出品していただき、様々な植物や青果物、農業関連資材等を販売しております。また、店舗外営業にも注力しており、観葉植物のレンタル販売や愛媛県内の青果物や農産物の加工品の予約販売にも積極的に取り組んでおり、新規パートナーとの取引が売上の拡大に繋がっております。経費面につきましては、店舗の販売体制強化のため、人員を増加し人件費等が増加しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により店舗でのイベント開催が縮小され広告宣伝費等が減少したことで、販売費及び一般管理費の増加が抑えられました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高131,632千円、セグメント損失(営業損失)は11,513千円となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比べ182,225千円(8.1%)増加の2,427,034千円となりました。これは、10月の売上減少及び取引条件の変更により受取手形及び売掛金が147,431千円減少した一方で、現金及び預金が235,636千円、電子記録債権が128,316千円増加、新型コロナウイルス感染症の影響により海外からの輸送が不安なこともあり、培土等の調達を事前に行ったため、原材料及び貯蔵品が18,738千円増加したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ249,626千円(10.3%)増加の2,667,172千円となりました。これは、本社農場及びベルグ福島の生産設備が完成したことにより、建物及び構築物が351,580千円増加し、建設仮勘定が167,285千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比べ185,050千円(7.3%)減少の2,344,831千円となりました。これは、本社農場の生産設備の中間金支払いに伴う繋ぎ資金及び運転資金を返済したことにより、短期借入金が177,930千円、また、支払手形及び買掛金が36,740千円、未払金が57,879千円が減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度と比べ509,876千円(51.3%)増加の1,504,187千円となりました。これは、本社農場の新設設備に対する設備資金及び運転資金の調達により、長期借入金が421,101千円、資産除去債務が15,554千円が増加したこと等によるものであります。また、本社農場の設備に対して圧縮積立金の計上等に伴い、繰延税金負債が65,385千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比べ107,025千円(9.4%)増加の1,245,188千円となりました。これは、利益剰余金が109,501千円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ235,636千円(32.3%)増加の964,407千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、481,540千円(前連結会計年度は311,441千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益202,842千円、減価償却費243,376千円、売上債権の増減額19,115千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、△523,091千円(前連結会計年度は△605,584千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出△502,766千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、278,826千円(前連結会計年度は533,961千円の収入)となりました。これは、短期借入れによる収入677,930千円、短期借入金の返済による支出△855,860千円、長期借入れによる収入804,000千円、長期借入金の返済による支出△332,409千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗・苗関連事業

3,773,869

99.8

農業・園芸用タネ資材販売事業

海外事業

6,193

54.1

小売事業

合計

3,780,063

99.7

 

(注) 1.金額は、当期総製造費用によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.農業・園芸用タネ資材販売事業及び小売事業については、該当ありません。

 

b.商品及び製品仕入実績

当連結会計年度における商品及び製品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗・苗関連事業

102,017

119.9

農業・園芸用タネ資材販売事業

61,944

97.7

海外事業

25,321

82.3

小売事業

76,937

合計

266,220

148.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗・苗関連事業

4,836,332

100.1

477,945

94.9

農業・園芸用タネ資材販売事業

海外事業

2,912

127.0

109

小売事業

合計

4,839,244

100.1

478,055

94.9

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.農業・園芸用タネ資材販売事業及び小売事業については、該当ありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

野菜苗・苗関連事業

5,131,401

101.3

農業・園芸用タネ資材販売事業

79,453

93.3

海外事業

29,646

61.6

小売事業

131,632

合計

5,372,134

103.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は5,372,134千円(前期比3.4%増)となりました。詳細につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は4,041,138千円(前期比1.6%増)となりました。

本社農場の生産設備の新改築、ベルグ福島の植物ワクチン製造設備の新設等により減価償却費等が増加したものの、生産計画の見直しにより種子等の原材料費が圧縮されたことや、各農場での生産体制見直しなどにより生産効率が改善され労務費など製造経費の増加を抑えることができました。

この結果、売上総利益は1,330,996千円(前期比9.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,385,180千円(前期比3.1%増)となりました。

前連結会計年度より連結貸借対照表上はファンガーデン株式会社を連結範囲に含めておりましたが、当連結会計年度より連結損益計算書につきましても連結範囲に含めたため小売事業の販売費及び一般管理費が増加しております。また、野菜苗の出荷数量の増加に伴う荷造運賃費、事業拡大及び新規事業等への取り組みに伴い人員を増加したことによる人件費の増加、ホームページのリニューアルに伴う広告宣伝費の増加等によるものであります。

この結果、営業損失は54,184千円(前期は営業損失124,479千円)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は受取手数料5,386千円、補助金収入3,524千円等により12,440千円となりました。営業外費用は支払利息8,375千円、持分法による投資損失5,229千円等により15,137千円となりました。この結果、経常損失は56,881千円(前期は経常損失132,395千円)となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は補助金収入262,487千円等により262,707千円となりました。特別損失は関係会社株式評価損999千円、関係会社清算損1,656千円等により2,983千円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は202,842千円(前期は税金等調整前当期純損失130,869千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における税効果会計適用後の法人税等合計は80,912千円(前期は55,763千円)、非支配株主に帰属する当期純損失は269千円(前期は非支配株主に帰属する当期純利益27,791千円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は122,198千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失214,423千円)となりました。

 

 b.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、農業を取り巻く国内外の環境変化、法的規制、地震や台風等による大規模災害等様々な要因が挙げられ、詳細につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しております。当社グループでは、外部や事業環境の変化にすばやく対応するための人材育成や組織体制の整備、内部統制の強化等により、経営成績に影響を与える可能性のあるリスクの回避及び発生を抑え、適切な対応に努めて参ります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況の分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、野菜苗・苗関連事業における生産設備の新設及び改修等の設備資金、既存事業拡大及び成長戦略の柱である多角化や海外事業での事業投資や技術研究開発投資及び経常の運転資金があります。これらの資金需要に対して、設備等の投資資金については、金融機関による長期借入、運転資金については、金融機関による短期借入を必要に応じて調達する方針としております。

また、当社グループの主要事業である野菜苗・苗関連事業は、季節変動が大きく、第1四半期では支出が先行し営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになる傾向にあります。その季節的な変動の中で、事業に必要な資金を確保し、機動的かつ安定的な資金調達を行うため、金融機関6行と当座貸越契約を締結しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的な判断に基づき会計上の見積りを行っております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性の評価)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が追加計上される可能性があります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 委託生産に関する外注取引契約

契約会社名

相手先の名称

契約品目

契約内容

契約期間

ベルグアース株式会社

株式会社山口園芸

野菜苗全般

野菜苗の外注取引契約

2007年11月1日~2008年10月31日
(但し、契約期間終了後も異議のない限り自動的に1年間ずつ更新する)

 

 

(2) 土地利用に関する契約

契約会社名

相手先の名称

農場及び店舗

契約品目

契約内容

契約期間

ベルグアース株式会社

地主3名

本社農場

農地: 5,505㎡

農地所有適格法人以外の一般法人が農地を賃借し、利用できる契約

2021年11月8日~
2026年10月31日

ベルグアース株式会社

地主7名

長野横堰農場

農地:26,061㎡

同上

2019月4月1日~
2022月3月31日

ベルグアース株式会社

地主1名

長野上原農場

農地:10,461㎡

同上

2019年7月1日~
2020年6月30日(注)

ベルグ福島株式会社

地主1名

ベルグ福島

宅地:20,055㎡

一般法人が土地を賃借し、利用できる契約

2015年4月30日~
2025年4月29日

ファンガーデン株式会社

地主3名

松前本店

宅地:3,644㎡

同上

2014年9月1日~
2034年8月31日

 

(注)契約期間終了後も異議のない限り自動的に1年間ずつ更新する。

 

(3) コーポレートベンチャーキャピタルの運営に関する投資事業有限責任組合契約

契約会社名

相手先の名称

相手先の住所

契約締結日

契約期間

ベルグアース株式会社

ANEW Holdings株式会社

東京都

千代田区

2020年3月18日

2020年3月18日(効力発生日)より10年間

 

(注)2022年1月17日開催の取締役会において、FARM tо TABLE FUND投資事業有限責任組合の解散及び清算を決議したことに伴い、投資事業有限責任組合契約を解約することといたしました。

 

(4) 伊予農産株式会社を完全子会社とする株式交換契約

当社は、2021年10月18日開催の取締役会において、当社を完全親会社、伊予農産株式会社を完全子会社とする株式交換を実施することについて決議し、同日付で株式交換契約を締結いたしました。それに伴い、2021年11月30日を効力発生日として株式交換を実施しております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、野菜苗メーカーとして、最先端の育苗技術の開発及び既存技術の課題解決を目的とした研究技術開発活動を続けております。また、野菜苗の育苗技術を活用し新たな苗の開発、関連会社と共同で育種及び品種改良試験、海外での苗事業展開に向けた技術開発、新たな商材の発掘及び開発のための検証試験にも積極的に取り組んでおります。

大学・公立研究機関・民間企業等とも協力体制を構築し、共同研究及び受託研究に積極的に取り組み、農業の発展に貢献していく方針であります。

当連結会計年度における一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額は84,857千円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。なお、農業・園芸用タネ資材販売事業及び小売事業につきましては、研究開発活動は行っておりません。

 

(1) 野菜苗・苗関連事業

当連結会計年度の野菜苗・苗関連事業に係る研究開発費は、80,473千円となりました。

当事業部門では、苗の生産性向上、品質向上、付加価値化を最大の研究テーマとし未来に向けて持続可能な農業を目指すために新たな取り組みを行う一方で、苗の開発・普及において大学や公立研究機関との協力体制を構築しており、研究データの共有化や意見交換を行い、研究成果を迅速に生産現場へ落とし込む体制を整えております。

具体的には、食品メーカーとの共同による家庭園芸向けの高付価値接ぎ木苗の開発や2021年2月に開発及び栽培試験を経て新たに導入した閉鎖型育苗施設の更なる生産性向上や苗の高付加価値化、病害虫防除効果の高い新規接ぎ木苗の開発などを行っております。

また、関連会社のタネ品種や海外品種の種子選別技術の研究課題への取り組み、育苗施設の環境モニタリングによる最適育苗環境の構築、蓄積されてきたデータやAI、画像認識技術を用いて播種から出荷までの生育過程における品質の安定化や栽培管理技術のマニュアル化を進めることにより、将来的には機械化・自動化へ繋がるシステム構築を目指しております。さらに2022年10月期からは、連結子会社であるベルグ福島において植物ワクチンの開発を本格的に開始することといたしました。植物ワクチンは、化学農薬に依存しない効果的な防除対策の実現、環境に配慮した生産と安定的な生産、品質向上が期待されており、今後の日本農業に貢献できると確信しております。

 

(2) 海外事業

当連結会計年度の海外事業に係る研究開発費は、4,383千円となりました。

連結子会社の青島芽福陽園芸有限公司において、中国国内の環境、気候等に適した苗の栽培技術開発、果菜類の品種栽培試験等を行い、中国国内市場に適した品種の選抜と農業関連資材の利用方法などを含む栽培技術の確立を目指しております。また、商品開発及び栽培技術の検証を行い、高品質・高付加価値な各種苗の開発を行うことにより、中国だけでなく東アジア地域へ向けた日本式農業の普及及び事業拡大へ向けて取り組んでおります。