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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年10月 |
2021年10月 |
2022年10月 |
2023年10月 |
2024年10月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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△ |
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親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
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包括利益 |
(千円) |
△ |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(名) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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(注)1.第20期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
2.第23期及び第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.第20期の自己資本利益率及び株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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回次 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
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決算年月 |
2020年10月 |
2021年10月 |
2022年10月 |
2023年10月 |
2024年10月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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△ |
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当期純利益 又は当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
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△ |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
△ |
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△ |
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潜在株式調整後 1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(名) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
2,815 |
2,874 |
2,870 |
3,475 |
3,465 |
|
最低株価 |
(円) |
1,672 |
2,121 |
2,459 |
2,755 |
2,761 |
(注)1.第20期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
2.第23期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失金額であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.第20期及び第24期の自己資本利益率、株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。
5.最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社代表取締役社長山口一彦が、1996年2月、愛媛県北宇和郡津島町(現 宇和島市津島町)において野菜苗の生産を目的とする会社として、有限会社山口園芸(2004年1月に株式会社に組織変更)を設立しました。同氏が農業の企業的経営を実践し、上場企業を志向しておりましたが、有限会社山口園芸は農地法で規定された農業生産法人(※1)であることから、同法の規定により上場企業となることができませんでした。そのことに加え、仕入販売部門と研究開発部門を別会社で行う方針であったため、2001年1月、有限会社山口園芸から一部の業務を譲受け、当社を設立しました。
その後、2006年11月、株式会社山口園芸の株主であった当社代表取締役社長山口一彦並びに専務取締役山口眞由子は、保有する同社株式を同社経営陣に譲渡すると同時に同社取締役から退き、上場を目指す当社の経営に専念することとしました。この結果、株式会社山口園芸は人的及び資本的に当社とは別法人となり現在に至っております。
※1 農業生産法人とは、現在の農地所有適格法人をいい、農業経営を行うために農地を取得できる法人であります。株式会社の場合、株式譲渡制限会社(公開会社でない)に限られます。また、事業や構成員、役員についても一定の要件があります。
ベルグアース株式会社設立以降の経緯は、次のとおりであります。
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年月 |
概要 |
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2001年1月 |
種苗・農業資材の仕入販売及び研究開発を事業目的として、ベルグアース株式会社を設立。 主に営利農家向け野菜苗の販売を開始。 |
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2002年1月 |
研究開発棟を愛媛県北宇和郡津島町(現 宇和島市津島町)の本社農場に新設。 |
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2004年3月 |
大手ホームセンターと売買契約を締結し、本格的に家庭園芸向け野菜苗の販売を開始。 |
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2005年11月 |
農業経営基盤強化促進法改正(2005年9月1日施行)により、当社でも農地の賃借が可能となることを前提に、株式会社山口園芸から一次育苗部門と接ぎ木部門を譲受け、同社の従業員107名が当社に移籍し、自社生産を開始。 |
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2006年4月 |
閉鎖型苗生産装置を愛媛県宇和島市の本社農場に新設。 |
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2007年4月 |
JA全農長野から長野県東御市の育苗センター施設を譲受け、長野農場を開設し、二次育苗の自社生産を開始。 |
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2008年2月 |
岩手県花巻市から第三セクター「株式会社とうわアグリトピア公社」の施設を譲受け、いわて花巻農場を開設。 |
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2011年11月 |
大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。 |
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2012年3月 |
茨城県常陸大宮市に「茨城農場」を新設。 |
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2013年3月 |
愛媛県松山市に「松山農場」を新設。 |
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2013年4月 |
大分県玖珠郡九重町に㈱山口園芸との共同出資により「株式会社九重おひさまファーム(現・関連会社)」を設立。 |
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2013年7月 |
2013年7月16日付で行われた大阪証券取引所の現物市場の東京証券取引所への統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ株式を上場。 |
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2014年3月 |
福島県伊達郡川俣町に「ベルグ福島株式会社(現・連結子会社)」を設立。 |
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2014年6月 |
愛媛県伊予郡松前町に「ファンガーデン株式会社(現・連結子会社)」を設立。 |
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2014年11月 |
「青島芽福陽園芸有限公司」の第三者割当増資を引き受け、海外事業を開始。(2024年10月に解散及び清算) |
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2015年3月 |
高知県高岡郡四万十町に㈱山口園芸との共同出資により「四万十あおぞらファーム株式会社(現・関連会社)」を設立。 |
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2017年8月 |
千葉県旭市に「株式会社むさしのタネ(現・関連会社)」を設立。 |
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2017年12月 |
中国北京市に「北京欣璟農業科技有限公司(関連会社)」を設立。(2021年10月に解散及び清算) |
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2019年1月 |
韓国済州に「農業会社法人 株式会社BJアグロ(現・非連結子会社)」の第三者割当増資を引き受け子会社化。 |
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2019年7月 |
株式会社長野セルトップより花苗育苗事業を譲受。長野上原農場の稼働開始。 |
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2020年3月 |
「FARM tо TABLE FUND投資事業有限責任組合(連結子会社)」を設立。(2022年1月に解散及び清算) |
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2020年10月 |
ファンガーデン株式会社を連結子会社化。 |
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2021年11月 |
愛媛県松山市の「伊予農産株式会社(現・連結子会社)」を株式交換により完全子会社化。 |
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2022年2月 |
ベルグ福島株式会社に植物ワクチン総合研究所を開設。植物ワクチン研究を開始。 |
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2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分見直しにより、東京証券取引所のJASDAQ(スタンダード)市場から、スタンダード市場に移行。 |
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2023年1月 |
宮崎県宮崎市に㈱山口園芸が設立した「宮崎ひなたファーム株式会社(現・関連会社)」へ出資。 |
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2023年2月 |
アグリビジネス投資育成株式会社に対する第三者割当増資により資金調達を実行。 |
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社と連結子会社3社、非連結子会社2社、関連会社4社の計10社で構成されており、野菜苗・苗関連事業、農業・園芸用タネ資材販売事業、及び小売事業を主な事業として取り組んでおります。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
(1)野菜苗・苗関連事業
野菜苗・苗関連事業は、当社グループの主力事業として、野菜の中でも主に果菜類(※2)の接ぎ木苗の生産・販売を行っております。野菜苗の中でも、接ぎ木しない実生苗(※3)に比べて接ぎ木苗の生産には高いレベルの技術を要し、また、多額の設備費用がかかることから、異業種による新規参入が困難とされております。当社は、この野菜接ぎ木苗生産に特化していることから、1年を通しての納品が可能であり、全国各地の野菜産地及びホームセンターなどの量販店へと販売網を拡大しております。
接ぎ木とは、植物の一部を切り離し、別の植物とつなぎ合わせることで、双方の性質の長所を持ち合わせた新しい植物を作り出す技術であり、連作障害(※4)や病害虫に強く、生産性に優れた育てやすい植物を作ることができます。
近年、接ぎ木苗の需要が拡大してきた背景には、農家の高齢化や大規模化に加えビニールハウス等での施設栽培(※5)が普及したことが考えられます。これまで主流であった露地栽培(※6)と異なり、施設栽培では1年を通して野菜の生産が可能であり、その結果、農地のフル活用が原因で特定の細菌やウイルスなどの病原体が土壌中に増加し、さらに施設内保温により害虫が繁殖するようになりました。このため、病気及び害虫対策として接ぎ木苗の利用が増加し、現在の施設栽培では、接ぎ木苗がなくては栽培が不可能に近い状態であると言われております。また、当社では通常の接ぎ木苗に加えて、ウイルスガード苗ZY、ウイルスガード苗CW、高接ぎハイレッグ苗といった病気に強い苗の生産も行っており、需要も増加しております。
(主な関係会社)当社、ベルグ福島株式会社、伊予農産株式会社、株式会社九重おひさまファーム、四万十あおぞらファーム株式会社、株式会社むさしのタネ、宮崎ひなたファーム株式会社
※2 果菜類とは、キュウリ・トマト・ナスのように果実の利用を目的とする野菜の総称。
※3 実生苗とは、植物の種子を発芽させて、そのまま育てた苗のこと。
※4 連作障害とは、同じ畑で同じ野菜や同じ仲間の野菜を毎年連続して栽培したときに生育が極端に悪くなったり、枯れたりする生育障害のこと。
※5 施設栽培とは、強風、低温及び乾燥などから作物を保護するために温室やビニールハウス等の施設を利用して栽培すること。
※6 露地栽培とは、作物を屋外の畑で栽培すること。
当社の主な野菜接ぎ木苗の生産工程を図示すると、次のとおりであります。
① 当社グループを取り巻く環境
当社グループ製品の主なエンドユーザーは、野菜等を生産している全国の生産者、農業法人及び家庭園芸向けユーザーであります。
農林水産省が2021年6月30日に公表した農林業センサス(※7)によりますと、2020年2月1日現在の農業経営体は109万2千経営体と5年前の前回調査より31万2千経営体(22.2%)減少いたしました。農業経営体のうち、個人経営体は103万7千経営体で、5年前に比べ30万3千経営体(22.6%)減少した一方、団体経営体は3万8千経営体で1千経営体(2.8%)増加しており、全体の減少が続く中で、法人化や規模拡大の進展が継続しております。
また、農林水産省が2024年12月24日に公表した統計によりますと、2023年の農業総産出額は、耕種では米や野菜、畜産では鶏卵の価格が上昇したこと等から、前年に比べて4,981億円増加し、9兆4,991億円(対前年増減率5.5%増加)となりました。その中で、野菜においては、食の簡便化志向の高まりとともに、調理が簡便な一次加工済みの生鮮野菜(カット野菜、食材キット等)の購入量が増加し、特に、長期保存が可能で、利便性と品質の高い冷凍野菜の市場が拡大傾向にあります。その一方で、豪雨や猛暑といった異常気象が続き、天候により作柄が変動しやすく、生鮮野菜は保存性も乏しいため供給量等が変動しやすい特性もあり、2018年以降は野菜の産出額は2兆2,000億円前後で推移してきました。2023年は前年に比べ949億円(4.3%)増加し、2兆3,243億円となりました。これは、キュウリ、ピーマン、ネギ等の品目で8月から9月にかけて高温少雨の影響による生産量が減少し、価格が上昇したこと等が寄与したものと考えられます。また、農業従事者の生産農業所得は、2015年以降、農業総産出額の増減はあるものの、3兆円台で推移してきており、2023年は農産物の価格が上昇したことから、前年に比べて1,880億円(6.1%)増加し、3兆2,930億円となりました。
我が国は、少子高齢化、人口減少により、農業を支える基幹的農業従事者(※8)は年々高齢化が進行し、今後一層の担い手の減少が見込まれる中、労働者不足等の生産基盤の脆弱化が深刻な課題となっています。2024年の基幹的農業従事者数は111.4万人、そのうち65歳以上は79.9万人(71.7%)となっており、今後10年から20年先を見据えますと、大幅に減少することが見込まれており、少ない経営体で日本の農業生産を支えて行かなければならない状況となっております。また、国際的な情勢の変化や地球温暖化の影響による高温、干ばつ、大規模な洪水等の異常気象が頻発し世界的な食料生産・供給の不安定化等により、我が国の食料安全保障上のリスクは高まっているため、国内の生産基盤を維持・強化し、将来にわたって食料を安定的に供給していく上でのターニングポイントを迎えております。
このような状況の中、農業を持続可能な成長産業とするためには、将来の担い手の育成・確保や農地バンクを活用した農地の集積・集約化に加えて、農業の生産性の向上を図るため、スマート農業技術の開発及び活用、これに併せて行う農産物の新たな生産方式の導入に関する計画等スマート農業技術の活用促進、農業・食関連産業におけるデジタル変革の推進等の取り組みを実施していくことが必要であると考えております。
また、農林水産省では食料安全保障の観点から、2024年4月に「国産野菜シェア奪還プロジェクト」を立ち上げ、加工・業務用を中心とした国内野菜の生産・供給に関わる事業者の経営安定化等を図る取り組みを進めており、人口減少下でも持続可能で強固な国内生産基盤の確立に向け様々な取り組みを行っております。
※7 農林業センサスとは、わが国農林業の生産構造、就業構造を明らかにするとともに、農山村の実態を総合的に把握し、農林行政の企画・立案・推進のための基礎資料を作成し、提供することを目的に、5年ごとに行う調査であります。
※8 基幹的農業従事者とは、ふだん仕事として主に自営農業に従事している者。
② 農業の分業化と省力化
従来の果菜類生産者は、野菜の種子を購入し、播種→苗生産→定植→栽培→収穫の全工程を行うことが一般的でした。最近では、一般的な施設栽培において連作障害を回避するために接ぎ木苗が必須となったことに加え、生産者の高齢化や大規模化が進んだことにより、生産者が苗生産を行わず、購入する時代へと変化してきました。
このような接ぎ木苗の購入需要の高まりと農業の分業化と省力化という時代の流れを受けて苗生産会社が誕生し、いまや接ぎ木苗の生産事業は、農業の成長には必要不可欠な存在となっております。
③ 野菜苗マーケット
生産者の高齢化や人手不足等は日本農業の将来に関わる深刻な問題であり、当然ながら、当社グループにおいてもマーケットの縮小に繋がる重要な問題であると認識しております。
家庭園芸の需要は、近年、飽和状態となっておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により一時的に巣ごもり需要が増加し、現在は緩やかに減少傾向にあります。専業農家向けの需要は、高齢化や後継者不在に伴い、生産面積の縮小や離農が進んでおります。一方で、新規就農者や同業者においては、慢性的な人員不足や高度な技術が必要な育苗リスクを回避するために、野菜苗を購入する流れが加速しております。
④ 当社グループの特徴
a.全国展開
当社グループは、日本全国へ営業展開し、直営農場の新設や委託生産による分業体制を敷いたことで、これまで農業が抱えてきた安定的供給が困難であるという問題点を克服し、年間を通して安定した受注・生産が出来る体制を構築しております。また、今後も生産量の拡大に併せて直営農場の拡大と新規パートナー農場の開拓を並行して続けていく方針であります。
なお、当社グループの生産拠点を図示すると次のとおりであります。
b.断根接ぎ木生産
当社グループは、断根接ぎ木技術を用いて野菜接ぎ木苗を生産しております。断根接ぎ木とは、培地に植える部分の根となる植物(台木)の元々の根を切り落とし、その台木と実がなる部分の植物(穂木)を接ぎ木した後に新たな培地に植えることで穂木と台木の接合とほぼ同時に、新しい根を発生させる技術であります。新しく出る根は、若く元気で本数も多く、苗自体に活力を持たせることができます。また、断根により苗サイズを揃えることもできます。
キュウリやメロン等のウリ科野菜については断根接ぎ木が普及しておりますが、トマトやナス等のナス科野菜を断根接ぎ木によって生産する育苗業者は稀であります。これは、ナス科野菜の場合は、根を付けたまま接ぎ木する方法と比べて、断根接ぎ木後の栽培技術の習得に経験を要するためであります。当社グループでは、長年培ってきた栽培技術によって独自の栽培方法を確立しており、接ぎ木作業は主に本社農場で集約生産し、その後の二次育苗拠点を順次拡大していく生産方式によって生産効率を高めてまいりました。
c.閉鎖型育苗施設
閉鎖型育苗施設は、完全に外の環境から隔離された空間内で「光・温度・二酸化炭素・水」を人工的にコントロールして苗を育てる設備であり、当社は、2006年4月に本社農場に同施設を建設しました。同施設の最大のメリットは、病害虫の侵入を最小限に抑えることが出来る点にあります。これにより、農薬使用量を飛躍的に減らし、安心・安全な苗を生産することが可能となり、安定した品質の苗を生産することができます。さらに、低温育苗によるトマトの第一花房着生葉位の低段化(※9)、初期生育がスピードアップされることによる生育日数の短縮、アントシアニンの増加(※10)及び茎の肥大などのメリットもあります。閉鎖型育苗施設は、2015年12月にベルグ福島株式会社に導入しており、2021年2月には、これでま蓄積してきた人工光型栽培装置における育苗のノウハウと一般的なハウスにおける育苗のノウハウを融合し、新たに当社オリジナルのウリ科専用の閉鎖型育苗施設を本社農場に導入し本格稼働しております。
※9 トマトは通常、第一花房(一番始めに付く花芽)が8段目(本葉8枚目の位置)前後ですが、夏の温度の高い時期に育苗すると花芽の分化より葉の分化の方が強まり、第一花房が10段以上となることが多くなります。このことにより「最初の収穫が10~20日程度遅くなる」、「収穫の終わる時期は同じなので最終収量も少なくなる」、「実の付く位置が高くなり作業効率が悪くなる」などの問題が発生します。閉鎖型育苗施設は人工的に温度の制御ができるためトマトにとって最適な環境を作り出せます。このことにより夏期でも第一花房が8段目前後の安定したトマト苗生産が可能となり、付加価値の高い苗を作り出すことが可能であります。
※10 アントシアニンとは、ブルーベリーなどの植物に含まれている紫色の色素のことで、光合成産物の一種であります。閉鎖型育苗施設で生産したトマト苗は、葉の裏に驚くほどのアントシアニンが現れます。通常のハウス育苗で現れるアントシアニンは、低温・リン欠乏など過度のストレスがかかった結果現れますが、閉鎖型育苗の場合は、光合成を活発に行った結果、多量の光合成産物が存在することにより現れるもので、元気な苗の証拠であります。
d.オリジナル製品
〔アースストレート苗〕
アースストレート苗は、根鉢(土の部分)を不織布で包んでいる点に特徴があります。一般的なポリ鉢の苗では生産者が農場に苗を植える際にポリ鉢を外す手間が必要ですが、不織布はそのまま農場に植えることができるため、苗を植える際の手間が省け、さらに廃棄ゴミも出ないため環境に優しい苗でもあります。また、根鉢がポット苗より小さいため、輸送コストの大幅カットも実現しております。
〔ヌードメイク苗〕
ヌードメイク苗は、接ぎ木直後の苗を他の農場に効率良く運ぶために開発された断根接ぎ木作業直後の半製品状態の苗であります。当社は当初、この手法を用いて農場間の移動にのみ活用しておりましたが、自分で接ぎ木苗を生産したいが接ぎ木作業の手間や技術を考えると生産に不安があるという野菜生産者や育苗業者(断根接ぎ木苗の二次育苗が可能なユーザー)からの要望に応え、「ヌードメイク苗」として販売しております。
〔e苗シリーズ〕
e苗は、閉鎖型育苗施設を活用して生産した野菜苗であり、同施設内で光量、水分量、温度、二酸化炭素濃度を人工的に制御し、植物にとって最適な環境で育苗することにより「病虫害のリスクが少ない、旺盛な生長力、無農薬育苗、花芽の低段化等、安定した品質」の付加価値の高い野菜苗として販売しております。
〔高接ぎハイレッグ苗〕
高接ぎハイレッグ苗は、トマト苗を通常よりも高い位置で接ぎ木を行うことで、青枯れ病の発病抑制効果を高めた苗であります。なお、苗の規格は、アース50、9㎝ポットの2規格から選択が可能であります。
〔ウイルスガード苗〕
ウイルスガード苗は、ウイルスガード苗ZYとウイルスガード苗CWの2種類があります。
ウイルスガード苗ZYは、キュウリ苗にワクチン(キュービオZY-02)を接種し、アブラムシ等が媒介するズッキーニ黄班モザイクウイルスによるモザイク病・萎凋症の発病抑制効果を高めた苗であります。なお、苗の規格は、アース50、9㎝ポットの2規格から選択が可能であります。
ウイルスガード苗CWは、キュウリ苗にワクチン(弱毒ウイルスCMV・WMV)を接種し、キュウリモザイクウイルスとスイカモザイクウイルスによるモザイク病の発病抑制効果を高めた苗であります。なお、苗の規格は、セル、アース、ポットの3規格から選択が可能であります。
〔ツイン苗〕
ツイン苗は、トマト苗を摘芯しわき目を伸ばすことで、2本仕立てにした苗で、1本仕立ての苗に比べて、種苗コストが削減され、定植作業も2分の1で行うことが可能です。また、2本仕立とすることで、初期の樹勢もコントロールしやすくなります。なお、苗の規格は、セル、アース50、9㎝ポットからの選択が可能であります。
e.システム化
当社グループでは、生産管理システム及び販売管理システムを独自開発によって導入しております。近年、顧客ニーズの高まりによって、接ぎ木苗業界は多品目多品種生産を余儀なくされており、生産計画が複雑化する傾向にあります。これにより、受注から出荷までの一連の工程を委託先も含めシステム管理することで、苗の生産計画、進捗管理及び在庫管理といった情報のリアルタイム化を実現することができ、顧客の急な需要にもタイムリーに対応することが出来ております。2005年から導入した農薬履歴システムは、各生産工程で散布される農薬を生産履歴として管理、納品時にはお客様へ農薬使用履歴として正確にお届けすることが可能となりました。また、在庫管理システムから顧客向けにインターネット上に在庫苗情報「ほうさく.ネット」を掲載し、販売機会の増加にも繋がっております。
(2)農業・園芸用タネ資材販売事業
農業・園芸用タネ資材販売事業は、野菜苗・苗関連事業の拡大のために、生産者や家庭園芸愛好家向けに総合的な提案の重要性が増している中で、これまでに培った技術やノウハウ、知名度を活かした全国展開を推進し、農業資材の仕入販売、当社の得意分野である培養土などのオリジナル商品の販売を行っております。
また、海外の種苗会社からの優良な品種を選定し、量販店に対して家庭園芸向けの提案、関連会社である株式会社むさしのタネが保有する自社品種の種子を用いて、生産者や消費者のニーズに合った品種改良・研究を行うことによる、優良な種子の販売をしております。さらに、培土や肥料等を含む農業関連資材等につきましては、試作・試験・分析を通じた有益な情報提供や生産向けの商品提案を行うなど事業拡大に努めております。
(主な関係会社)当社、伊予農産株式会社、株式会社むさしのタネ
(3)小売事業
小売事業は、連結子会社であるファンガーデン株式会社が一般消費者及び生産者向けに各種苗や農業園芸資材等の販売を店舗及びインターネット等を通じて行っております。当社の野菜苗等の生産販売のノウハウや蓄積された研究技術を活かしたサービスや企画商品を提供し、家庭園芸からプロ農家までに幅広く提案できる商品力とマーケティング活動を強みとしており、事業拡大に向けて取り組んでまいります。
(主な関係会社)ファンガーデン株式会社
事業の系統図は、次のとおりであります。
※1 連結子会社
※2 関連会社で持分法適用会社
※3 関連会社で持分法非適用会社
※4 非連結子会社
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名称 |
住所 |
資本金又は 出資金 (千円) |
主要な事業 の内容 |
議決権の所有 又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
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(連結子会社) |
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ベルグ福島株式会社 (注)2
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福島県伊達郡川俣町 |
125,500 |
野菜苗・苗関連事業 |
90.0 |
当社製品の生産 役員の兼任2名 |
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ファンガーデン株式会社 (注)2、5 |
愛媛県伊予郡松前町 |
98,000 |
小売事業 |
59.1 (24.1) |
当社製品の販売 役員の兼任2名 従業員の出向 債務保証、資金の援助 |
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伊予農産株式会社 (注)2、4 |
愛媛県松山市 |
15,000 |
野菜苗・苗関連事業 農業・園芸用タネ 資材販売事業 |
100.0 |
当社製品の販売 商品の仕入 役員の兼任1名 |
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(持分法適用関連会社) |
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株式会社むさしのタネ (注)6 |
千葉県長生郡長南町 |
35,000 |
野菜苗・苗関連事業 農業・園芸用タネ 資材販売事業 |
30.0 |
原材料及び商品の仕入 研究開発の委託 役員の兼任1名 従業員の出向 債務保証、資金の援助 |
(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.特定子会社であります。
3.「議決権の所有又は被所有割合」欄の( )内は、間接所有割合で内数であります。
4.伊予農産株式会社については、売上高(連結会社相互間の売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が、10%を超えております。主要な損益情報のうち売上高については連結消去後、売上高以外の項目については、連結消去前の金額を記載しております。
主要な損益情報等
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(1)売上高 |
1,245,804千円 |
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(2)経常利益 |
39,279千円 |
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(3)当期純利益 |
24,900千円 |
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(4)純資産額 |
528,123千円 |
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(5)総資産額 |
966,815千円 |
5.ファンガーデン株式会社については、債務超過会社であり、2024年10月31日現在の債務超過額(連結調整後)は、△160,520千円であります。
6.株式会社むさしのタネについては、債務超過会社であり、2024年10月31日現在の債務超過額(連結調整後)は、△102,107千円であります。
(1)連結会社の状況
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2024年10月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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野菜苗・苗関連事業 |
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( |
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農業・園芸用タネ資材販売事業 |
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( |
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小売事業 |
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( |
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全社(共通) |
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( |
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合計 |
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( |
(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数には、準社員、契約社員を含めております。
3.従業員数欄の(外書)は、パート社員、期間従業員、アルバイト、派遣社員、外国人実習生の年間平均人員(1日を8時間で換算)であります。
4.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
(2)提出会社の状況
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2024年10月31日現在 |
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従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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( |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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野菜苗・苗関連事業 |
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( |
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農業・園芸用タネ資材販売事業 |
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( |
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小売事業 |
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( |
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全社(共通) |
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( |
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合計 |
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( |
(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数には、準社員、契約社員を含めております。
3.従業員数欄の(外書)は、パート社員、期間従業員、アルバイト、派遣社員、外国人実習生の年間平均人員(1日を8時間で換算)であります。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
(3)労働組合の状況
現在、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
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当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
3.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。当社では正規雇用労働者、パート・有期労働者のいずれにおいても、男女間で賃金体系及び制度上の差はなく、職種間等においての人数構成の差によるものであります。
4.賃金は基本給、各種手当、超過労働に対する賃金、賞与等を含みます。
5.正規雇用労働者は当社から社外への出向者を含み、他社からの当社への出向者を除いております。
6.パート・有期労働者は、契約社員、全てのパート社員、外国人実習生等を対象に算出しており、派遣社員は含めておりません。
7.連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。