(1)業績
当連結会計年度における海外の経済情勢は、米国、欧州、東南アジアなどが緩やかに成長しておりますが、原油安や金融市場の混乱、中国の景気減速など不透明な状況で推移しています。日本経済は企業収益が堅調に推移し、加えてインバウンド需要の取り込みなどにより、緩やかな回復基調で推移しました。しかし、年明けからの急激な円高や株式市場の大幅な下落、また熊本地震などにより、国内景気が下振れ局面となる可能性があります。
このような状況の下、当社グループでは平成27年4月から新しい経営体制をとり、日本、北米及び東南アジアを中心にゼラチン及びコラーゲンペプチドの販売活動に注力し、全社一丸となって収益回復に取り組みました。また、ゼラチン原料の調達、ハラル製品の供給拠点である持分法適用関連会社のニッタゼラチンインディアLtd.(インド)及びインドの関連会社2社を平成27年4月より連結子会社としました。
この結果、売上高は36,885百万円(前年同期比15.6%増加)、営業利益は1,273百万円(前年同期比224.2%増加)でしたが、為替差損などにより経常利益は979百万円(前年同期比1.2%増加)となりました。また、インド3社の連結子会社化に加え、中国の連結子会社を持分法適用関連会社にしたことなどにより、特別利益727百万円及び特別損失666百万円を計上しました。非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は477百万円(前年同期比21.7%減少)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
(コラーゲン素材事業)
ゼラチンは、日本では菓子や総菜など食用の需要が順調に推移し、またインバウンド需要や規制緩和による機能性表示食品の発売など、健康食品が堅調であった為、カプセル用の需要も増え売上高が増加しました。北米では、食用は堅調に推移しましたが、一昨年来の健康食品のネガティブ報道の影響によるサプリメント市場は回復途上にあります。ニッタゼラチンインディアLtd.他2社の連結子会社化に伴う売上高の寄与3,489百万円もあり、ゼラチンの売上高は大きく増加しました。
コラーゲンペプチドは、生体調整機能などの良さが再認識され、健康食品向けが好調に推移し、また新たに一般食品へ採用されたことにより売上高は増加しました。
コラーゲンケーシングは、ドル高による北米での競争激化と北米からの輸出が減少したため売上高は減少し、利益は大幅に減少しました。
この結果、当該事業の売上高は27,686百万円(前年同期比20.6%増加)、セグメント利益は1,832百万円(前年同期比66.3%増加)となりました。
(フォーミュラソリューション事業)
食品材料は、製菓・デザート用の新規顧客開拓もあり、売上高は堅調に推移しましたが、利益は原材料価格の上昇により前年並みとなりました。
接着剤は、包装用が堅調に推移し、また衛生材料用は顧客が当社からの調達を再開したため売上高は増加しました。一方、製本用は市場の縮小により売上高は減少しました。利益はコストダウンに努めたことにより増加しました。
この結果、当該事業の売上高は9,199百万円(前年同期比2.7%増加)、セグメント利益は812百万円(前年同期比25.5%増加)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、当連結会計年度末には2,536百万円(前期比2.5%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は2,385百万円(前期は2,074百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,040百万円、減価償却費1,562百万円、仕入債務の増加額724百万円、段階取得に係る差損620百万円及び負ののれん発生益502百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は1,860百万円(前期は2,505百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,548百万円及び関係会社株式の取得による支出222百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は473百万円(前期は544百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入2,821百万円、長期借入金の返済による支出2,502百万円及び短期借入金の純減額544百万円によるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コラーゲン素材事業(百万円) |
28,086 |
140.8 |
|
フォーミュラソリューション事業(百万円) |
5,787 |
100.9 |
|
合計(百万円) |
33,873 |
131.9 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.コラーゲン素材事業の生産実績が増加した理由は、主にニッタゼラチンインディアLtd.の連結子会社化によるものであります。
(2)受注状況
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
コラーゲン素材事業(百万円) |
27,686 |
120.6 |
|
フォーミュラソリューション事業(百万円) |
9,199 |
102.7 |
|
合計(百万円) |
36,885 |
115.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先がありませんので、主要な販売先の記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.コラーゲン素材事業の販売実績が増加した理由は、主にニッタゼラチンインディアLtd.の連結子会社化によるものであります。
日本では、インバウンド需要を取り込んだ産業や、機能性表示を求める食品分野にビジネスチャンスが生まれています。海外では、米国が緩やかな景気回復を維持する一方、中国をはじめとするアジア新興国の景気が減速しています。しかしながら、国内と比較するとまだ高い成長率と人口増加が見込まれます。これら国内と海外の両市場に応じた事業戦略とその遂行が重要と考えています。
当社グループは、中期経営計画(平成27年4月~平成30年3月期)を平成27年12月に発表しました。「新たな視点で次のステージへ」をスローガンとして策定し、「質の追求」を基本戦略に営業、生産、品質保証、研究開発など事業に関わる全ての質の向上を図ります。そして、①高付加価値製品の開発、②最適生産・最適販売、③グローバル経営基盤の強化、を戦略課題として取り組みます。
事業環境は、原油安や海外金融市場の混乱の影響を受け、先行き不透明な状況が続くと予想されますが、これらの戦略課題を着実に達成することにより新たな価値を創造し、収益を拡大し企業価値を高め、永続的な社会貢献することを目指します。
1.コラーゲン素材事業
① ゼラチン事業の供給力増強とグローバル競争力強化
ゼラチンの市場は、国内では食品用途を中心に需要増が見込まれます。海外では、人口増加、経済発展が進む中国、インドを中心とするアジア市場および北米市場では需要増加が見込まれますが、競合も激しくなっています。国内向けには、原料からの一貫生産という強みを生かし、顧客ニーズに最適な製品の開発と供給を行います。また海外向けには、生産技術革新によりグローバルコストを実現し、最適地からの供給により競争力を強化します。
② ペプチド事業のグローバル事業拡大
コラーゲンペプチドは、国内では健康食品用途と機能性表示をする食品用途への需要増が見込まれます。
この需要増への対応とともに、機能性を強化した製品の投入により利益性の高い新規市場開拓を行います。
また、各製造拠点を活かし、米国、中国、アジア市場でグローバルに事業を拡大します。
③ ケーシング事業の販売拡大
新興国の経済発展に伴い、ソーセージの需要の増加が見込まれ、また天然ケーシングからの切替えが今後進むことが見込まれます。足元の事業環境は、ドル高と競合激化により厳しい状況ですが、北米工場の生産性向上と中国での生産販売体制の整備により販売拡大を図ります。また、日本市場への再参入の準備を進めていきます。
④ ライフサイエンス事業育成
当社グループの将来の新たな収益源として、ライフサイエンス事業の育成に積極的に取り組んでいきます。 高度な安全性を担保した医療用ゼラチン・コラーゲンの生産技術を活かして、iPS細胞関連産業や医療機器メーカーでの商品開発の為に高付加価値の素材を提供し、新事業として育成します。
2.フォーミュラソリューション事業
① 食品材料事業のフードソリューションによる事業拡大
少子高齢化、既存市場の成熟化により、主力の製菓・デザート市場の伸長は見込めませんが、総菜市場、医療食などのシニア食市場は今後拡大することが見込まれ、この市場開拓が今後重要な課題であると認識しています。当社のアプリケーション技術と、学生の商品アイデアや他の素材メーカーの技術を融合させて、お客様にとって新しい価値をもったフードソリューションを提供し、事業を拡大していきます。
② 接着剤事業の供給対応と用途開拓
接着剤は、衛生材料用の需要増が見込まれており、生産対応を行います。また高機能樹脂(G-zain®)は、新しい用途開拓と新製品開発を通じて販売拡大を行います。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)製品開発について
当社グループは、市場変化と顧客ニーズにマッチした製品、サービスをいち早くお届けすることを大切にし、研究開発、設備投資を積極的に進めていますが、必ずしも新製品開発が成功するとは限らず、また、新製品開発が成功した段階で、顧客ニーズにマッチせず受け入れられない可能性があります。
また、医療用途製品については、当社グループ製品を使用した顧客の製品開発、上市には長期間必要であり、当該期間における市場環境変化、顧客の業績変動、規制当局承認申請の長期化などにより、顧客製品開発の中止ないしは開発期間の大幅な長期化などの可能性があります。
これらの結果、当社グループの研究開発及び設備投資費用の回収が、遅延もしくは不可能となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2)海外市場について
当社グループでは、昭和54年7月に米国にて販売子会社を設立以来、海外市場での販売拡大を積極的に進めており、平成28年3月期における海外市場での売上高は、当社グループ売上高の47.7%を占めるに至っています。これまで事業展開の主要地域であった北米市場では、同業他社品と当社グループ製品の間に競合が生じ、当社グループの販売拡大に影響が生じる可能性があります。
また、今後注力する中国、インド、東南アジア市場においては、北米市場以上に同業他社品と当社グループ製品の間に競合が生じ、当社グループの販売拡大に影響が生じる可能性があります。
当社グループでは、コストダウン、品質向上、特徴ある新製品開発、最適地生産などの競争力強化に努めていますが、これらの対応が効果を発揮しない場合には、販売拡大が停滞し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(3)為替変動について
当社グループから海外顧客に対して直接又は子会社経由で販売を行う場合には、米ドル建で輸出しています。仕入についても、当社は、牛骨、オセインなどのゼラチン原料は主に米ドル建で、また豚皮ゼラチンをカナダドル建で海外から輸入しています。そのため、当社グループは、米ドル建輸出、米ドル建及びカナダドル建輸入の各々に関して、為替予約を金融機関と締結することにより、為替変動リスクをヘッジしています。これらにより、当社グループは営業取引に係る為替変動リスクを低減させていますが、当社グループの想定を超える為替変動によって経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
また、外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動を受け、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(4)主要原料の価格変動について
当社グループの製造原価に占める原料費の割合は57.5%(平成28年3月期)となっており、原料価格は様々な要因により変動しています。コラーゲン素材事業の主要原料である牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗などは全て畜産業や水産業の副産物であり、世界経済の景気変動による食肉消費量の増減や、各種動物疾病による食肉加工、流通の規制などによる需給バランスの変動により価格変動の可能性があります。フォーミュラソリューション事業においては、食品材料部門の主要原料である天然多糖類は産地の気候変動などの影響、接着剤の主原料である石油樹脂は、重油、ナフサの相場価格と需給バランスの変動などの影響により、価格が変動する可能性があります。
一方、これら主要原料の価格変動の、当社グループ製品販売価格への転嫁は容易ではありません。そのため、これらの原料価格の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(5)動物疾病について
当社グループが製造しているゼラチン、コラーゲンペプチド、コラーゲンケーシング、コラーゲンなど主要製品の原料は、牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗などの畜肉や魚肉生産に由来する動物性副産物であるため、動物疾病のリスクがあります。したがって、動物疾病による汚染がない原料であることを確認の上調達するとともに、安全な原料確保のため、原料調達地域の多様化を進めています。
しかしながら、当社グループの原料調達地域において、動物疾病が広範囲に発生した場合には、食肉生産の停滞や停止による原料骨・皮の産出量の減少もしくは停止、またこれに起因する原料調達地域の変更などにより、安定的な原料調達に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品販売においても、原料原産国や生産国での動物疾病の発生により、同地域の動物由来原料を使用した製品又は同地域で生産した製品の輸入規制などが発動され、販売が停滞する可能性があります。
これらの影響により、原料調達コストの増加、販売減少による減収、在庫の増加などの影響が考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(6)法的規制について
当社グループは事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、JAS法、医薬品医療機器等法などの規制及び関係省庁の通達による規制を日本で受けています。今後、これらの規制の改廃もしくは新たな法的規制が設けられた場合には、それらに対応するための追加コストなどの発生または事業活動範囲が制約される可能性があります。
また、当社グループは事業展開する各国において、各種法規制の適用を受けており、これらの変更や遵守状況によって経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
とりわけ環境関連におきまして、ゼラチンの生産は原料からゼラチンにいたるまで多量の水を必要としています。そのため、当社グループの各工場では多量の水を給排水し、排水量、水質についてその国・地域の規制を受けています。各工場では水のリサイクル、リユース及び工程革新により給排水の減量及び水質の維持に努めていますが、国・地域の規制が大きく変更された場合には、新たな対応のためのコストが発生する可能性があります。これらの影響により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(7)宗教規制について
当社グループのゼラチンは、食品、医薬用カプセルなどに幅広く使用される動物由来製品ですが、宗教上の戒律から、動物種や製造法によっては、口にすることを禁忌される場合があります。具体的にはハラール(イスラム教)、コーシャ(ユダヤ教)が代表的で、これらの信者は、豚由来製品を消費することが認められません。このような消費者向け製品を製造する顧客に、適正なゼラチンを販売するため、当社グループでは、各宗教のルールに従う動物種の原料を調達し、適正な製造方法でゼラチンを製造しています。当社製品の適合性を証明するために、各宗教認定機関の査察による認証のもと、厳重な原料及び製造管理を行っていますが、管理上の不備により各宗教のルールを逸脱し、認証が取り消された場合には、販売の機会を喪失し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(8)自然災害、事故、テロ、戦争などの発生について
当社グループの主要事業所及び主要外注先(日本、カナダ、米国、インド、中国、ベトナム)、主要原料調達地域(インド、カナダ、米国、ニュージーランド、タイ、パキスタン、中国など)、主要販売地域(日本、北米、インド、中国、アジア各国など)において、地震、風水害などの自然災害、事故、地元とのトラブル、地域的なテロ、戦争などが発生した場合には、原料調達や製品の製造・販売に支障を来し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(9)製品品質について
当社グループは、顧客に信頼されるべく品質第一に努め、顧客中心の製品開発を行い、国際的な品質管理システムに従って製品を製造しています。特に、ゼラチンの原料から製品に至るまでのトレーサビリティーの確保には重点的に取り組んでおり、安全な製品の販売に努めています。
また、生産物賠償責任保険(PL保険)などにも加入していますが、当社グループの製品の欠陥により顧客に損害を与えた場合、これらの保険の補償限度内で当社グループが負担すべき賠償額をカバーできる保証はありません。
そのため、重大な品質上の問題が発生した場合には、損害賠償請求や当社グループへの信用失墜などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(10)代替製品について
医薬品、化粧品及び食品の一部で用いられる原材料では、動物性原材料から植物性原料へシフトする潮流があります。その中でも、当社主力製品であるゼラチンの主要市場であるカプセル市場において、この潮流を受け、植物由来(でんぷんやセルロースの誘導体)のカプセル製品が開発されており、一部の医薬品メーカーや健康食品メーカーがゼラチンカプセルの代替品として採用を行っていますが、植物性カプセルの普及は一部にとどまっていると判断しています。
しかしながら、動物由来製品についての規制、消費者マインドの変化が発生した場合には植物性カプセルが急速に普及し、ゼラチンカプセルの需要が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(11)金利変動について
当社グループは設備投資資金を主に金融機関からの借入金で賄っており、平成28年3月期における総資産に対する有利子負債依存度は、27.9%(リース債務含む)となっています。
当社グループでは借入金などの有利子負債の圧縮に努めていますが、今後、市場金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(12)税制について
日本では、写真用以外のゼラチンを海外より輸入する場合、関税として17%が課せられています。しかし、平成27年10月に合意されたTPP(環太平洋経済連携協定)によって関税が段階的軽減され、最終的には撤廃となるため、輸入品の販売価格が低下する可能性があります。南米産牛皮ゼラチン、インド産牛骨ゼラチンなどの輸入品と、当社大阪工場で生産している牛骨ゼラチンの間に価格差が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループはグローバルな生産、販売活動を展開しており、グループ内でも材料、半製品などの相互供給を行っています。各事業法人においては、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っています。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
(13)情報管理について
当社グループは、購買、生産、販売、管理など各プロセスにおいて、リアルタイムで必要な情報が入手、分析ができるシステムを構築しています。システムの安定運用とシステムに含まれる顧客などの営業情報、個人情報などの流出防止のためのアクセス権管理は、特に厳重に管理しています。しかしながら、ソフトウェアの不具合、外部からの不正アクセスなどにより、情報システムの安定的運用が困難となった場合には、事業活動に支障をきたし、また、営業情報、顧客情報の流出が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や当社グループへの信用失墜などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(14)知的財産権の侵害について
当社グループが開発した独自技術などは、特許権などの取得により、知的財産権の保護を行っています。また、製品開発において知的財産権を含む第三者が保有する権利を侵害しないように努めています。しかしながら、当社グループが第三者との間で知的財産権などの帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(15)紛争・係争について
当社グループは、事業活動に当たっては、内部統制体制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めるとともに、必要に応じて弁護士など専門家の助言などを受けています。
しかしながら、事業活動に当たっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「ゼラチンのトップ企業として、独自の用途開発と新製品開発により、お客様に感動を与える製品・サービスをいち早くグローバルに提供します。私たちは安心・安全・信頼をもとに人と環境に優しい事業を推進します。」というビジョンに基づき、お客様に一番に選んでいただけるグローバルブランドの確立を目指し、コラーゲン素材並びにフォーミュラソリューション両事業を推進しています。
新しい顧客・市場を創造する価値づくりの為の技術開発を基本方針とし、日々進化、多様化する市場の変化やお客様のニーズにマッチした製品の開発に努めています。また、お客様・市場の要望などに対して迅速に対応するべく、日本、アメリカ、中国、インド、ベトナムに営業・開発・生産スタッフを横断的に配置し、お客様と研究開発組織をできる限り近づける体制をとっています。研究スタッフを生産開発と顧客サービスに集中させる一方、外部研究機関・大学などとの共同研究や研究委託を積極的に行うことで、素材の基礎研究や応用技術の習得などにも努めています。
他にも、当社の研究開発の推進・活性化のため、平成27年より、開発部門において「テクニカルディスカッション」を行い各開発部門及び個人の技術力と知識の向上を図っています。
当連結会計年度の各事業における部門別研究開発活動(研究課題)は以下のとおりであり、研究開発費の総額は1,058百万円となっています。
(1)コラーゲン素材事業
① ゼラチン
・原料・生産工程での技術改良・改革
・新タイプゼラチンの開発(新規原料、新機能)
・アプリケーションごとの品質最適化
② ペプチド
・ペプチド生産技術開発(ペプチド化、精製技術)
・コラーゲンペプチドの機能性研究
・化粧品の開発
③ ケーシング
・生産技術の研究開発(生産工程改革)
・新市場・新製品開発
④ ライフサイエンス
・組織培養用・生体材料用コラーゲンの開発研究
・医療用ゼラチン、コラーゲンの開発研究
当該事業の研究開発費は680百万円となっています。
(2)フォーミュラソリューション事業
① 食品材料
・アプリケーション開発
・新素材開発(総菜用、医療食などのシニア食用製品)
・コンシューマ製品企画・開発(コラーゲン飲料・食品)
② 接着剤
・高機能樹脂開発
・環境対応ホットメルト形接着剤
当該事業の研究開発費は377百万円となっています。
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断を必要としております。過去の実績やその時点で入手可能な情報を基に合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、継続的に見積り、判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループでは、見積り及び判断に影響を及ぼす重要な会計方針として以下のものがあると考えております。
① たな卸資産の評価
たな卸資産の評価基準及び評価方法は、通常の販売目的で保有するたな卸資産については、主として総平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しております。長期滞留品については販売可能価格又は原材料価格まで評価減を実施し、評価減金額を売上原価に算入しております。
② 貸倒引当金の計上基準
貸倒引当金は、売上債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③ 投資有価証券の減損処理
投資有価証券の評価方法は、時価のある有価証券については決算日の市場価格等に基づく時価法を、時価のない有価証券については移動平均法による原価法を採用しております。時価のある有価証券は、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。時価のない有価証券は、合理的な評価基準に基づき同様の処理を行っております。そのため、将来市況の悪化又は投資先企業の業績不振等により、減損処理が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産の計上については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討した上で、回収見込額を計上しております。
繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の追加計上又は取崩により利益に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付に係る会計処理の方法
イ.退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
ロ.数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
過去勤務費用については、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により費用処理しております。
数理計算上の差異については、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理しております。
ハ.小規模企業等における簡便法の採用
一部の連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
前連結会計年度との比較においては、ニッタゼラチンインディアLtd.及びインドの関連会社2社を連結子会社化したことが変動の主な要因となっております。
① 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、コラーゲンケーシングの販売が低調に推移したものの、主として食品市場向けが堅調であったこと及びニッタゼラチンインディアLtd.他2社の連結子会社化に伴う売上高の寄与等があり、ゼラチン及びコラーゲンペプチドの販売は順調に推移しました。
その結果、前連結会計年度に比べ4,970百万円増加し、36,885百万円(前期比15.6%増)となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,718百万円増加し、7,689百万円(前期比28.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ838百万円増加し、6,416百万円(前期比15.0%増)となりました。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ880百万円増加し、1,273百万円(前期比224.2%増)となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度に比べ11百万円増加し、979百万円(前期比1.2%増)となりました。
支払利息の増加と円高影響により為替差損を計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ132百万円減少し、477百万円(前期比21.7%減)となりました。
インド3社の連結子会社化に加え、中国の連結子会社を持分法適用関連会社にしたこと等により、特別利益727百万円、特別損失666百万円を計上しております。
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末比3,665百万円増加の37,597百万円となりました。
主な要因は、投資有価証券が減少した一方で、受取手形及び売掛金、商品及び製品などのたな卸資産、有形固定資産等が増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比2,162百万円増加の20,720百万円となりました。
主な要因は、支払手形及び買掛金、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定を含む)、繰延税金負債等が増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比1,503百万円増加の16,876百万円となりました。主な要因は、非支配株主持分等が増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は39.8%(前連結会計年度末45.0%)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが製造しているゼラチンは、牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗等の畜肉や魚肉生産に由来する動物性副産物を原料としています。したがって、動物疾病による汚染がない原料であることを確認の上調達すると共に、安全な原料を安定的に確保するため、原料調達地域の多様化を進めております。
しかしながら、当社グループの原料調達地域において、動物疾病が広範囲に発生した場合には、食肉生産の停滞や停止による原料骨・皮の産出量の減少もしくは停止、またこれに起因する原料調達地域の変更等によって原料需給が悪化し、業績に影響を与える可能性があります。また、その他にも「4.事業等のリスク」に記載した事項は、当社グループの経営成績に重要な影響を与え得る要因となっておりますので、当該項目をご参照ください。
(4)経営戦略の現状と見通し
世界的にゼラチンは食品の基本素材として、あるいは健康補助食品として根強い支持があり着実に伸張しています。当社グループでは、今後一層の成長が期待できる食・医薬分野での拡大を販売面、生産面、技術面から戦略的に展開しています。
食・医薬向けでは、牛骨を原料にしたゼラチンは原産国及び原料部位の管理、工程管理等によって安全で安心していただける製品を提供するよう努めています。また、ハラル市場などで拡大する牛ゼラチンの需要増加に対応するため、牛皮ゼラチンの生産、調達体制も確立しました。さらに、豚、魚を原料にしたゼラチンは供給を拡大し、製品ラインを充実すると共に、お客様の多様なご要望にお応えします。さらに素材開発力に加え、アプリケーション力を活かして高付加価値製品の日本での販売拡大を進めると共に、海外市場への展開を行います。海外では製品供給能力をさらに増強し、北米、中国・アジアでゼラチン、コラーゲンペプチド、コラーゲンケーシングの販売の拡大を進めています。
産業資材向けでは、新規開発製品である高機能樹脂の更なる販売拡大を行ないます。
また、より一層の省エネ・省資源、効率化を進め、グループ全体でCO2削減に取組むとともに、国際競争力のある製品コストを実現します。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
② 資金需要
設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税等への支払い等であります。
③ 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により、必要とする資金を調達しております。
また、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関との間で6,058百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
① 高付加価値製品の開発
日本では、人口減少と市場の成熟により、従来製品による「量の拡大」だけでは、競合他社との価格競争に陥り適正な利益を確保することが困難な状況にあります。当社では創業以来、時代の変遷と市場のニーズに合わせた製品を開発し発展してきました。当社のコアであるゼラチン・コラーゲンには無限の可能性があり、これからも他社にない差別化が継続できると考えています。今後、当社がこれまで培ってきた技術を応用し、高い生体調整機能を有するコラーゲンペプチド、iPS細胞など再生医療用のゼラチン・コラーゲン、市場の拡大が予想されるアクティブシニア層向け製品、接着剤事業では、顧客の製造工程の自動化に寄与する高機能樹脂など高付加価値製品の開発を進めます。
② 最適生産・最適販売
当社グループでは日本、北米、インド、中国、ベトナムに生産・販売拠点を有し、北米及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しています。各拠点からの輸出入によって、関税、輸送コスト及び為替変動の影響を極力是正するため、BSE規制緩和を契機に各拠点で生産した製品は各拠点の地域で販売する「地産地消」の推進を図ります。また、成長市場に対応した生産を進めます。
③ グローバル経営基盤の強化
当社は、昭和50年にインドに牛骨ゼラチンの原料を求め進出し、その後、当社グループにとって原料調達、牛骨ゼラチンの製造・販売を行なう重要な拠点となっています。平成27年4月からニッタゼラチンインディアLtd.及びインドの関連会社2社を連結子会社化し、さらに当社グループと一体化を深めていきます。また、経営陣のダイバーシティ化と従業員の人材交流の強化により、海外での事業戦略を確実かつ迅速に行いグループ各社の収益向上を図り、経営基盤の強化を進めます。