第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

当社グループの経営方針は、古来、人類が利用してきたコラーゲン素材を活かし、食品市場や健康・美容市場および医療分野向けで新たな価値を生み出し、豊かな人間生活に貢献することです。また、地球環境の保全に努める企業として、グローバルな視点から経営を進めています。

 

≪社是≫

愛と信(まこと)を基盤とし、

最高の技術と最大の活力により、

社業を発展させ、もって社会に貢献し、

希望ある人生をきずこう。

 

≪ビジョン≫

「いつまでも元気で若々しくありたい」

そんな世界中の人々の願いをコラーゲンの飽くなき追求により叶えます。

 

1.お客様の「もっと」を叶える製品・サービスを提供します。

2.研究開発と生産革新に努め、コラーゲンの活躍の場を広げます。

3.挑戦を良しとする組織風土を築き、新たな市場を開拓・創造します。

 

経営基盤のさらなる強化・拡大を目指し、以下の3点を経営方針として取り組みます。

 

①フードソリューション、ヘルスサポート、バイオメディカルの3つをコア領域とする。

フードソリューション

「もっと美味しく、簡単に」を実現するために、ゼラチンやゲル化剤等を活用した用途開発と、独自の製品開発や配合技術によって、お客様の課題解決に繋がるソリューションを提供します。

ヘルスサポート

世界中の人々の願いである健康に対し、長年にわたるコラーゲンペプチドの機能性研究と製品開発力で若さや美しさを保ちたいというニーズにお応えします。

バイオメディカル

革新的な医療技術への挑戦が続く先端医療分野において、生体内に用いても安全なコラーゲン・ゼラチンを医療分野に展開し、再生医療や生体材料の製造に貢献します。

 

②日本、アジア、北米の生産・供給体制を自由貿易時代に対応すべくグローバルで最適化する。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やEPA(経済連携協定)など関税撤廃による海外メーカーの日本市場への参入による競争激化に対応するため、当社グループの各製造拠点で生産改革を推進します。

 

③選択と集中を進め、高付加価値製品・サービスを創造し、より高収益な企業体質に変革する。

当社の接着剤事業をボスティック・ニッタ株式会社へ承継させることを公表しました。今後、ビジョンに掲げるコア事業において事業戦略を着実に推進するとともに、製品のポートフォリオを最適化し、高収益な経営体質へと転換してまいります。

 

(2)経営戦略等

① フードソリューション

日本では、美味しい食事を簡単にとりたいという消費者ニーズの広がりで、レンジアップ総菜や冷凍食品の需要が旺盛となっています。また、ホテルや外食産業では、深刻な人手不足が生じており、手間をかけずに調理したいというニーズが高まっています。このような市場へ従来の粉末タイプの製品だけでなく、お客様の利便性を図るため、さらに加工度を上げた新たな製品を開発し、販売拡大を行います。北米では、新たに導入したケーシング生産設備によりコスト競争力がある製品で販売拡大を目指します。アジアでは、毎年高い経済成長を続けているベトナムの拠点を中心に乳製品向けにゲル化剤等の販売を拡大し、供給体制を整えます。

 

② ヘルスサポート

日本では、人生100年時代の超高齢化社会の到来により、健康寿命を少しでも延ばしたいというニーズがあります。アンチエイジング市場向けでは血流改善や筋肉維持など、これまで知られていなかったコラーゲンペプチドの新たな機能性研究にも積極的に取り組み、人々の健康保持増進に貢献します。中国では健康食品市場が顕著に拡大しています。中でもコラーゲンペプチドはそのユニークな機能性が再認識され需要が伸長しており、安定供給体制を構築します。

 

③ バイオメディカル

今、世界中の研究機関で先進医療、次世代医薬品などの革新的医療が進められています。コラーゲン・ゼラチンは細胞培養だけでなく、生体親和性や生体吸収性など様々な機能を持っています。これらのユニークで有用な機能を活かし、創傷治癒用など新たな機能性を付与したコラーゲンペプチドの開発や再生医療用など革新的な医療の進化に貢献するため、次の事業の柱として経営資源を効率的に投入します。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等

当社グループでは、事業の成長と収益力向上の観点から、連結売上高及び連結営業利益を重要な経営指標と位置づけています。お客様のニーズにマッチした製品・サービスを提供すること、また継続的なコスト削減、生産性向上による競争力あるモノつくりによって、事業の持続的な成長と収益の最大化を目指しています。

 

(4)経営環境

① 日本

高齢化や女性の社会進出等により、個食化や調理の簡便化はますます進行すると予想され、調理済み総菜の需要増加や、冷凍食品市場での商機拡大を見込んでいます。また、訪日外国人は5年連続過去最高を更新しており、東京オリンピックの開催と人手不足を背景にホテルやレストランでは新たなメニュー開発や調理の簡便化など、外食産業向け業務用商材のニーズが高まっています。

健康食品市場は高齢者人口の増加もあり、健康保持増進の効果が実証された成分を含む機能性食品の市場が拡大しています。当社グループでは肌の保湿やひざ関節痛の改善などの機能性を持った製品の積極的な認知活動が成果に結びつき、一般消費者の利用が大きく増加しています。今後、さらにこれを広げるには、新たな機能を研究し差別化を図る必要があると認識しています。

 

② 海外

北米のゼラチン市況は、原料価格の上昇や市場競争の激化など厳しい状況ですが、安心・安全な原材料の調達とコスト競争力の向上に努めるとともに、新たな顧客を開拓し収益改善に取り組みます。近年アジア諸国では、乳製品やデザート用の食品素材のニーズが急速に高まっており、日本で蓄積したノウハウを活かした事業展開が期待できます。製造・販売拠点を有する中国では、可処分所得の増加に加え高齢化の進行により健康食品の需要が増加しており、グローバルでの供給体制の整備が必要と認識しています。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

(コラーゲン素材事業)

ゼラチンは、販売戦略の見直しや生産効率化により、北米事業の収益回復に全力で取り組みます。また、当社グループの各工場で省人化投資によるコストダウンや環境対策を行い、グローバルでの競争力を強化します。コラーゲンペプチドは、ニッタゼラチンユーエスエーInc.において持続的成長に向け将来に亘って競争力を確保する取組み及び北米での市場開拓を進めます。また、機能性の更なる研究を製品開発につなげ、国内では利益性の高い新規市場開拓を行います。また、美容サプリメント向け需要が拡大している中国では、増産対応と販売拡大に努めます。コラーゲンケーシングは、北米での販売拡大と設備導入による生産性向上により、収益の向上を図ります。ライフサイエンスは、体内に入れても安全な医療用素材の研究開発と共に、医薬品や再生医療分野への認知活動を推進し、事業拡大を目指します。

 

(フォーミュラソリューション事業)

食品材料は、当社独自のアプリケーション技術を活かして、美味しいだけでなく、見た目にも美しい料理やデザート用の製品開発と販売拡大を目指します。また、調理の時短や簡便化を実現する業務用商材の開発にも積極的に取り組みます。

当社グループはビジョンに掲げるコア事業における戦略の推進や新事業への集中投資を行うため、平成30年8月に接着剤事業(製造を除く)をボスティック・ニッタ株式会社へ承継させることを決定いたしました。今後はボスティック・ニッタ株式会社により、接着剤事業の新工場が建設される予定です。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)製品開発について

当社グループは、市場変化と顧客ニーズにマッチした製品、サービスをいち早くお届けすることを大切にし、研究開発、設備投資を積極的に進めていますが、必ずしも新製品開発が成功するとは限らず、また、新製品開発が成功した段階で、顧客ニーズにマッチせず受け入れられない可能性があります。

また、医療用途製品については、当社グループ製品を使用した顧客の製品開発、上市には長期間必要であり、当該期間における市場環境変化、顧客の業績変動、規制当局承認申請の長期化などにより、顧客製品開発の中止ないしは開発期間の大幅な長期化などの可能性があります。

これらの結果、当社グループの研究開発及び設備投資費用の回収が、遅延もしくは不可能となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(2)海外市場について

当社グループでは、昭和54年7月に米国にて販売子会社を設立以来、海外市場での販売拡大を積極的に進めており、平成30年3月期における海外市場での売上高は、当社グループ売上高の44.9%を占めるに至っています。これまで事業展開の主要地域であった北米市場では、同業他社品と当社グループ製品の間に競合が生じ、当社グループの販売拡大に影響が生じる可能性があります。

また、今後注力する中国、インド、東南アジア市場においては、北米市場以上に同業他社品と当社グループ製品の間に競合が生じ、当社グループの販売拡大に影響が生じる可能性があります。

当社グループでは、コストダウン、品質向上、特徴ある新製品開発、最適地生産などの競争力強化に努めていますが、これらの対応が効果を発揮しない場合には、販売拡大が停滞し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(3)為替変動について

当社グループから海外顧客に対して直接又は子会社経由で販売を行う場合には、米ドル建で輸出しています。仕入についても、当社は、牛骨、オセインなどのゼラチン原料は主に米ドル建で、また豚皮ゼラチンをカナダドル建で海外から輸入しています。そのため、当社グループは、米ドル建輸出、米ドル建及びカナダドル建輸入の各々に関して、為替予約を金融機関と締結することにより、為替変動リスクをヘッジしています。これらにより、当社グループは営業取引に係る為替変動リスクを低減させていますが、当社グループの想定を超える為替変動によって経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動を受け、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(4)主要原料の価格変動について

当社グループの製造原価に占める原料費の割合は54.3%(平成30年3月期)となっており、原料価格は様々な要因により変動しています。コラーゲン素材事業の主要原料である牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗などは全て畜産業や水産業の副産物であり、世界経済の景気変動による食肉消費量の増減や、各種動物疾病による食肉加工、流通の規制などによる需給バランスの変動により価格変動の可能性があります。フォーミュラソリューション事業においては、食品材料部門の主要原料である天然多糖類は産地の気候変動などの影響、接着剤の主原料である石油樹脂は、重油、ナフサの相場価格と需給バランスの変動などの影響により、価格が変動する可能性があります。

一方、これら主要原料の価格変動の、当社グループ製品販売価格への転嫁は容易ではありません。そのため、これらの原料価格の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(5)動物疾病について

当社グループが製造しているゼラチン、コラーゲンペプチド、コラーゲンケーシング、コラーゲンなど主要製品の原料は、牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗などの畜肉や魚肉生産に由来する動物性副産物であるため、動物疾病のリスクがあります。したがって、動物疾病による汚染がない原料であることを確認の上調達するとともに、安全な原料確保のため、原料調達地域の多様化を進めています。

しかしながら、当社グループの原料調達地域において、動物疾病が広範囲に発生した場合には、食肉生産の停滞や停止による原料骨・皮の産出量の減少もしくは停止、またこれに起因する原料調達地域の変更などにより、安定的な原料調達に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの製品販売においても、原料原産国や生産国での動物疾病の発生により、同地域の動物由来原料を使用した製品又は同地域で生産した製品の輸入規制などが発動され、販売が停滞する可能性があります。

これらの影響により、原料調達コストの増加、販売減少による減収、在庫の増加などの影響が考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(6)法的規制について

当社グループは事業活動を遂行するにあたり、食品衛生法、JAS法、医薬品医療機器等法などの規制及び関係省庁の通達による規制を日本で受けています。今後、これらの規制の改廃もしくは新たな法的規制が設けられた場合には、それらに対応するための追加コストなどの発生または事業活動範囲が制約される可能性があります。

また、当社グループは事業展開する各国において、各種法規制の適用を受けており、これらの変更や遵守状況によって経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

とりわけ環境関連におきまして、ゼラチンの生産は原料からゼラチンにいたるまで多量の水を必要としています。そのため、当社グループの各工場では多量の水を給排水し、排水量、水質についてその国・地域の規制を受けています。各工場では水のリサイクル、リユース及び工程革新により給排水の減量及び水質の維持に努めていますが、国・地域の規制が大きく変更された場合には、新たな対応のためのコストが発生する可能性があります。

これらの影響により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(7)宗教規制について

当社グループのゼラチンは、食品、医薬用カプセルなどに幅広く使用される動物由来製品ですが、宗教上の戒律から、動物種や製造法によっては、口にすることを禁忌される場合があります。具体的にはハラール(イスラム教)、コーシャ(ユダヤ教)が代表的で、これらの信者は、豚由来製品を消費することが認められません。このような消費者向け製品を製造する顧客に、適正なゼラチンを販売するため、当社グループでは、各宗教のルールに従う動物種の原料を調達し、適正な製造方法でゼラチンを製造しています。当社製品の適合性を証明するために、各宗教認定機関の査察による認証のもと、厳重な原料及び製造管理を行っています。

しかし、管理上の不備により各宗教のルールを逸脱し、認証が取り消された場合には、販売の機会を失い当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(8)自然災害、事故、テロ、戦争などの発生について

当社グループの主要事業所及び主要原料調達地域(インド、カナダ、米国、ニュージーランド、タイ、パキスタン、中国など)、主要販売地域(日本、北米、インド、中国、アジア各国など)において、地震、風水害などの自然災害、事故、地元とのトラブル、地域的なテロ、戦争などが発生した場合には、原料調達や製品の製造・販売に支障を来し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(9)製品品質について

当社グループは、顧客に信頼されるよう品質第一に努め、顧客中心の製品開発を行い、国際的な品質管理システムに従って製品を製造しています。特に、ゼラチンの原料から製品に至るまでのトレーサビリティーの確保には重点的に取り組んでおり、安全な製品の販売に努めています。

また、生産物賠償責任保険(PL保険)などにも加入していますが、当社グループの製品の欠陥により顧客に損害を与えた場合、これらの保険の補償限度内で当社グループが負担すべき賠償額をカバーできる保証はありません。そのため、重大な品質上の問題が発生した場合には、損害賠償請求や当社グループへの信用失墜などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(10)代替製品について

医薬品、化粧品及び食品の一部で用いられる原材料では、動物性原材料から植物性原料へシフトする潮流があります。その中でも、当社主力製品であるゼラチンの主要市場であるカプセル市場において、この潮流を受け、植物由来(でんぷんやセルロースの誘導体)のカプセルがあります。今後、動物由来製品への規制や消費者マインドの変化により、植物性カプセルが急速に普及した場合には、ゼラチンカプセルの需要が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(11)金利変動について

当社グループは設備投資資金を主に金融機関からの借入金で賄っており、平成30年3月期における総資産に対する有利子負債依存度は、26.9%(リース債務含む)となっています。当社グループでは借入金などの有利子負債の圧縮に努めていますが、今後、市場金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(12)税制について

日本では、写真用以外のゼラチンやコラーゲンペプチドを海外より輸入する場合、関税としてゼラチン17%、コラーゲンペプチドは5%が課せられています。しかし、今後、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やEPA(経済連携協定)など関税の軽減・撤廃によって、輸入品の販売価格が低下する可能性があります。輸入品と、国内工場で生産しているゼラチン、コラーゲンペプチドの間に価格差が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループはグローバルな生産、販売活動を展開しており、グループ内でも材料、半製品などの相互供給を行っています。各事業法人においては、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っています。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

(13)情報管理について

当社グループは、購買、生産、販売、管理など各プロセスにおいて、リアルタイムで必要な情報が入手、分析ができるシステムを構築しています。システムの安定運用とシステムに含まれる顧客などの営業情報、個人情報などの流出防止のためのアクセス権管理は、特に厳重に管理しています。しかしながら、ソフトウエアの不具合、外部からの不正アクセスなどにより、情報システムの安定的運用が困難となった場合には、事業活動に支障をきたし、また、営業情報、顧客情報の流出が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や当社グループへの信用失墜などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(14)知的財産権の侵害について

当社グループが開発した独自技術は、特許権などの取得により、知的財産権の保護を行っています。また、製品開発において知的財産権を含む第三者が保有する権利を侵害しないように努めています。しかしながら、当社グループが第三者との間で知的財産権などの帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(15)訴訟等について

当社グループは、事業活動に当たっては、内部統制体制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めるとともに、必要に応じて弁護士など専門家の助言などを受けています。しかしながら、事業活動に当たっては、偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受ける可能性があります。なお、係争中または将来発生し得る訴訟の結果を予測することは不可能であり、その動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国・欧州で景気は引き続き回復しており、中国でも景気の持ち直しが見られるなど、緩やかな成長を維持しました。

日本経済は、雇用環境の改善や賃金上昇により個人消費が堅調に推移し、海外経済の回復を背景とした輸出の増加や設備投資も堅調に推移するなど企業収益は改善し、緩やかな景気回復が続きました。今後は、資源高や米中間で貿易摩擦が発生する懸念があり、先行きは引き続き不透明となっています。

このような状況のもと、当社グループは、新しい価値を創造する製品の提供、健康・美容や再生医療分野の研究開発、新たな製造方法の探究や最適生産・最適販売によるグローバルでの競争力強化に努めました。

この結果、売上高は37,777百万円(前年同期比3.3%増加)に増加しましたが、北米でのゼラチン原料価格の上昇と競争環境が激化したこと等により営業利益は1,095百万円(前年同期比32.3%減少)、為替差損等を計上したことにより経常利益は1,009百万円(前年同期比44.9%減少)に減少しました。また、特別損失としてニッタゼラチンユーエスエーInc.の固定資産の減損損失等965百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は615百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益693百万円)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

(コラーゲン素材事業)

ゼラチンは、日本では個食化や調理の時短・簡便化傾向により中食需要が拡大しており、レンジアップ総菜用途への販売が堅調でした。また、健康志向の高まりを背景に、乳製品やサプリメントなどの健康食品の需要が堅調であったことから、売上高は増加しましたが、原料高の影響を受け利益は減少しました。北米では、豚皮原料価格の上昇と市場競争が激化したことから利益が減少しました。また、インドでは生産トラブルにより原料工場の稼働率が一時的に低下しましたが、ゼラチン販売は堅調に推移し利益は増加しました。

コラーゲンペプチドは、日本ではその機能性が広く認知されてきており、サプリメント市場での販売は引き続き堅調に推移し、一般消費者向け自社製品の売上高も増加しました。中国では美容サプリメントへの需要が拡大しており販売は好調に推移しました。これらの要因により売上高が増加しました。

コラーゲンケーシングは、米国での販売が堅調に推移したものの、全体の売上高は減少しましたが、収益性を重視した販売先の見直しと設備導入による生産性の向上により利益は増加しました。

この結果、当該事業の売上高は27,870百万円(前年同期比4.1%増加)、セグメント利益は1,483百万円(前年同期比23.7%減少)となりました。

 

(フォーミュラソリューション事業)

食品材料は、畜肉加工品向けの品質改良剤等の販売が堅調でしたが、チルドデザート用が前年を下回り、売上高は前年並みとなりました。利益は原料価格上昇の影響を受け減少しました。

接着剤は、衛生材料用の販売拡大が製本用の減少を補い、売上高は前年並みとなりました。利益はコスト削減に努めたことにより改善しました。

この結果、当該事業の売上高は9,907百万円(前年同期比1.2%増加)、セグメント利益は1,016百万円(前年同期比4.3%減少)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末比1,012百万円減少の1,538百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は1,419百万円(前期は1,910百万円の獲得)となりました。主な要因は、減価償却費1,675百万円、減損損失862百万円及び法人税等の支払額871百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は1,377百万円(前期は2,473百万円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,347百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,160百万円(前期は601百万円の獲得)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入2,000百万円、長期借入金の返済による支出2,586百万円及びリース債務の返済による支出250百万円によるものです。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

コラーゲン素材事業(百万円)

27,153

105.0

フォーミュラソリューション事業(百万円)

6,027

100.6

合計(百万円)

33,180

104.1

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

コラーゲン素材事業(百万円)

27,870

104.1

フォーミュラソリューション事業(百万円)

9,907

101.2

合計(百万円)

37,777

103.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先がありませんので、主要な販売先の記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表の作成においては、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断を必要としております。過去の実績やその時点で入手可能な情報を基に合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、継続的に見積り、判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループでは、見積り及び判断に影響を及ぼす重要な会計方針として以下のものがあると考えております。

a.たな卸資産の評価

 たな卸資産の評価基準及び評価方法は、通常の販売目的で保有するたな卸資産については、主として総平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しております。長期滞留品については販売可能価格又は原材料価格まで評価減を実施し、評価減金額を売上原価に算入しております。

b.貸倒引当金の計上基準

 貸倒引当金は、売上債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 将来、顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

c.投資有価証券の減損処理

 投資有価証券の評価方法は、時価のある有価証券については決算日の市場価格等に基づく時価法を、時価のない有価証券については移動平均法による原価法を採用しております。時価のある有価証券は、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。時価のない有価証券は、合理的な評価基準に基づき同様の処理を行っております。そのため、将来市況の悪化又は投資先企業の業績不振等により、減損処理が必要となる可能性があります。

d.繰延税金資産の回収可能性の評価

 繰延税金資産の計上については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討した上で、回収見込額を計上しております。

 繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の追加計上又は取崩により利益に影響を及ぼす可能性があります。

e.退職給付に係る会計処理の方法

イ.退職給付見込額の期間帰属方法

退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。

ロ.数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法

過去勤務費用については、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により費用処理しております。

数理計算上の差異については、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理しております。

ハ.小規模企業等における簡便法の採用

一部の連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,202百万円増加し、37,777百万円(前年同期比3.3%増)となりました。

 北米カプセル用市場は低調に推移したものの、日本・アジア市場は、個食化や調理の時短・簡便化傾向による中食需要の拡大、健康志向の高まりを背景としたサプリメント市場等の堅調な需要に支えられゼラチン、コラーゲンペプチドの売上高が増加しました。

(売上総利益)

 売上総利益は、前連結会計年度に比べ453百万円減少し、7,963百万円(前年同期比5.4%減)となりました。主な要因は、北米の原料価格上昇による売上原価の増加です。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ69百万円増加し、6,867百万円(前年同期比1.0%増)となりました。

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ522百万円減少し、1,095百万円(前年同期比32.3%減)となりました。

(経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度に比べ821百万円減少し、1,009百万円(前年同期比44.9%減)となりました。

 主な要因は、営業利益の減少、為替差損(前年同期は為替差益)の計上です。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純損失は、615百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益693百万円)となりました。主な要因は、特別損失としてニッタゼラチンユーエスエーInc.の固定資産の減損損失等965百万円を計上したことです。

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末比2,385百万円減少の38,025百万円となりました。主な要因は、現金及び預金、固定資産等が減少したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比1,846百万円減少の20,828百万円となりました。主な要因は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定を含む)及び未払法人税等が減少したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比538百万円減少の17,197百万円となりました。主な要因は、利益剰余金等が減少したことによるものです。

 この結果、自己資本比率は39.9%(前連結会計年度末38.9%)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが製造しているゼラチンは、牛骨や牛皮、豚皮、魚鱗等の畜肉や魚肉生産に由来する動物性副産物を原料としています。したがって、動物疾病による汚染がない原料であることを確認の上調達すると共に、安全な原料を安定的に確保するため、原料調達地域の多様化を進めています。

しかしながら、当社グループの原料調達地域において、動物疾病が広範囲に発生した場合には、食肉生産の停滞や停止による原料骨・皮の産出量の減少もしくは停止、またこれに起因する原料調達地域の変更等によって原料需給が悪化し、業績に影響を与える可能性があります。また、その他にも「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した事項は、当社グループの経営成績に重要な影響を与え得る要因であるため、当該項目をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.資金需要

設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税等への支払い等であります。

c.資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により、必要とする資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関との間で6,347百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成30年5月17日開催の取締役会において、当社の行う接着剤事業(製造を除く)を会社分割(簡易吸収分割)の方法により当社とBostik,Inc.の合弁会社であるボスティック・ニッタ株式会社に承継させることを決議し、平成30年5月18日付で吸収分割契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 当社のコア素材であるコラーゲンには、無限の可能性が秘められています。「いつまでも元気で若々しくありたい」との人々の願いを叶えるため、これからもチャレンジ精神を持って、市場からの要望やニーズを吸い上げ、お客様の「もっと」を叶える製品・サービスを提供します。さらに研究開発と生産革新に努め、コラーゲンの活躍の場を広げ、新たな市場を開拓・創造します。

 当社グループでは顧客・市場からの要望に対して、日本、アメリカ、中国、インド、ベトナムに営業・開発・生産スタッフを横断的に配置し、迅速に対応できる体制をとっています。研究スタッフは、外部研究機関・大学などと共同研究や研究委託を積極的に行い、素材の基礎研究や応用技術の習得にも努めています。また、当社の研究開発の推進・活性化のため、「テクニカルディスカッション」を行い技術力と知識の向上を図っています。

 

 当連結会計年度の各事業における部門別研究開発活動(研究課題)は以下のとおりであり、研究開発費の総額は1,105百万円となっています。

(1)コラーゲン素材事業

① ゼラチン

・原料・生産工程での技術改良・改革

・新タイプゼラチンの開発(新規原料、新機能)

・アプリケーションごとの品質最適化

② ペプチド

・ペプチド生産技術開発(ペプチド化、精製技術)

・コラーゲンペプチドの機能性研究

・化粧品の開発

③ ケーシング

・生産技術の研究開発(生産工程改革)

・新市場・新製品開発

④ ライフサイエンス

細胞培養用・生体材料用コラーゲンの開発研究

・医療用ゼラチン、コラーゲンの開発研究

 当該事業の研究開発費は796百万円となっています。

 

(2)フォーミュラソリューション事業

① 食品材料

・アプリケーション開発

・新素材開発(総菜用、医療食などのシニア食用製品)

・コンシューマ製品の企画・開発(コラーゲン飲料・食品)

② 接着剤

・高機能樹脂の開発

・環境対応ホットメルト形接着剤

 当該事業の研究開発費は309百万円となっています。