継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは前連結会計年度において2期連続で営業損失を計上し、また、継続して経常損失を計上したこと等により当社の長期借入金及び連結子会社の転換社債型新株予約権付社債の期限の利益に係る財務制限条項等に抵触しております。また、当第3四半期連結累計期間においては、主要顧客に対する車載用電池向けの販売が大きく伸びてきたものの、4月中旬から5月にかけて一部の生産ラインの稼働を休止するなどにより販売が停滞し、営業損失、経常損失を計上しております。第4四半期以降、引き続き売上は回復していく見通しとなっていますが、当連結会計年度において経常損失を計上した場合には、再度、長期借入金等に係る財務制限条項等に抵触することとなります。前連結会計年度または当連結会計年度の財務制限条項等が適用された場合、長期借入金等に係る期限の利益を喪失することとなります。これらの状況から、当第3四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。
当社グループは当第3四半期連結累計期間において、「2経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策」に記載のとおり、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消すべく取り組んでおりますが、これらの対応策は現時点において実施途上にあり、今後の事業進捗や変更契約の遵守状況、資金調達の状況等によっては、当社の資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があることから、当第3四半期連結会計期間末においても継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、このような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映しておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一旦底打ちし、生産活動の回復傾向が見られる状況となりました。しかしながら、雇用の回復には時間がかかっており、今後の感染拡大がない場合でも、経済活動は緩やかな回復に留まる見込みです。中国においては財政政策が下支えとなり、自動車産業等を中心に日米欧に先駆け回復基調となっております。欧州では各国政府による自動車販売促進政策が後押しし7月までは順調に回復したものの8月以降のコロナ感染再拡大の影響を受け、雇用所得環境の悪化から景気回復に一服感が出ています。また、大統領選挙後の米国でも追加経済対策の方向性が不透明なことから景気回復のペースがやや減速傾向となりました。
当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、主要顧客の生産が第2四半期に底打ちし回復基調ではあったものの、当第3四半期においても、一定期間はサプライチェーン全体の在庫の払出しからの生産が継続し、当社の生産活動の完全な回復には時間を要しました。しかしながら、9月には大きく売上を伸ばし修正前の期初月次計画をも上回り、単月で2,000百万円程度の売上となりました。この結果として車載用電池向けの売上が当第3四半期中には徐々に回復し7,352百万円、前年同期比4,812百万円(同189.4%増)の増加となりました。これらの要因により当第3四半期連結売上高は11,847百万円となり、前年同期比3,023百万円(同34.3%増)の増収となりました。
地域別には、当第3四半期にコロナ禍からの回復基調にある車載用電池向け需要が大幅に伸びた韓国顧客向け売上高が、10,732百万円(前年同期比88.2%増)となりました。一方で、中国顧客向け販売は需要の回復は見られるものの引き続き債権回収を優先しながらの販売になったために売上が減少し、792百万円(前年同期比38.7%減)となり、日本顧客においては売上が大きく減少し、302百万円(前年同期比75.0%減)となりました。
営業利益においては、売上高が3,023百万円の増収となった一方で、費用は、製造ライン投資を続けていることにより減価償却費が1,351百万円の増加、生産規模拡大に伴う増員により人件費が621百万円の増加、その他の費用で1,573百万円増加しております。その他の費用の増加のうち、988百万円は在庫評価損の増加であり、これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で工場の操業度が低下したこと等により、製品製造単価に占める固定費が大幅に増加したため、当第3四半期末棚卸高の評価損を計上したことによるものです。その他、売上の増加に伴う製造間接費等の増加が584百万円となりました。研究開発関連費用においては、EV案件の量産を開始したことから551百万円の減少となりました。これらの結果、営業損失は前年同期比で142百万円増加し3,354百万円(前年同期は3,211百万円の営業損失)となりました。
製造の状況に関しましては、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下WSK)において車載用電池向けで9月以降稼働率が回復傾向にあるものの、当社製品品質に関連するものではありませんが、9月に韓国におけるEV火災事故に起因する顧客のセパレータの安全基準の見直しがあり、一時的に出荷量が減少しました。民生系用途の製造ラインにおいては、需要の回復が遅れており一部の製造ラインの稼働率が低下しておりました。W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下WCP)においても同様に車載用電池向けの生産は回復傾向にあるものの9月にはWSKと同様の影響を受け出荷量が減少しました。民生系用途の製造ラインにおいても需要の回復が遅れており、一部の製造ラインの稼働率が低下しておりました。
営業外費用は支払利息1,555百万円などがあり、結果として、税金等調整前四半期純損失は4,859百万円(前年同期は税金等調整前四半期純損失3,881百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は4,407百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失3,204百万円)となりました。
当第3四半期連結累計期間の平均為替レートにつきましては、米ドルが107.53円、1,000韓国ウォンが89.6円となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産につきましては66,769百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,358百万円減少しました。主な要因は以下のとおりであります。
(資産)
流動資産につきましては13,463百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,072百万円の減少となりました。これは主として、現金及び預金が8,589百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては53,305百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,714百万円の増加となりました。これは主として、機械装置及び運搬具が2,388百万円減少したものの、建設仮勘定が6,395百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債につきましては57,388百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,506百万円の増加となりました。流動負債につきましては23,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,883百万円の増加となり、これは主として、1年内返済予定の長期借入金が7,254百万円増加したことによるものです。固定負債につきましては33,508百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,376百万円の減少となりました。これは主として、転換社債型新株予約権付社債が3,413百万円増加した一方で長期借入金が10,608百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては9,380百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,864百万円の減少となりました。これは主として、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上4,407百万円、為替換算調整勘定の減少1,456百万円によるものであります。
当社グループは「1 事業等のリスク 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社グループはこのような状況を解消すべく、先に締結した顧客との長期供給量の合意に基づくハイエンド車載用電池向け等の出荷拡大に加え、当第3四半期からは新規顧客向けEV需要セパレータの生産販売を開始し収益拡大を図っています。コスト面では、引き続き製造ラインの稼働率上昇、歩留改善等によるコスト低減に取り組み、第4四半期連結会計期間以降の黒字化に向けて取り組んでおります。また、資金面では、第2四半期連結会計期間において各金融機関との間で財務制限条項等が付された借入に関する変更契約を締結し、韓国子会社2社(W-SCOPE KOREA CO.,LTD.、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.)による保証差入及び返済条件の見直し、担保設定を行うこと等を条件として、前期末の財務制限条項抵触に係る期限の利益喪失請求権を行使しない旨の合意をすべての金融機関等から得ております。金融機関から提示された上記条件のうち、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.による当社借入金に対する保証差入については同社の社債権者の同意が必要とされており、社債権者の同意を得るべく手続きを進めています。2020年7月にはW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.が、当社グループの主要顧客であるSamsungグループの資金運用会社を業務執行組合員とする投資組合(SVIC49号新技術事業投資組合)に対し転換社債型新株予約権付社債を発行し200億ウォンを調達しております。加えて、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2020年10月に株式会社SBI証券及びマッコーリー・バンク・リミテッドを割当先として当社の普通株式9,087千株を目的とする行使価額修正条項付新株予約権を発行しており、現在、新株予約権の行使による資金調達が進行しております。今後も、事業継続のため必要となる資金を調達するべく複数の金融機関等との間で協議を進めてまいります。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は365百万円であります。
転換社債型新株予約権付社債に関する契約