第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 現在、航空旅客需要の回復は確実なものとなりつつあります。当社においても旺盛な航空需要を取り込むべく、運航便数を新型コロナウイルス感染症発生前の水準に戻し、臨時便や国際チャーター便の運航を実施するなど、収益の拡大に努めました。また、従業員の新規採用を再開し、旧型式のリース機材1機を返還するとともに、従来よりも座席数の多い新型機を導入しました。

 

 積極的な需要の取り込みが奏功し、当第2四半期会計期間では623百万円の四半期純利益となりました。しかしながら、為替相場や原油価格の高止まりなど、外貨建て費用等の増加により営業費用が押し上げられた結果、当第2四半期累計期間において1,271百万円の四半期純損失(前年同期の四半期純損失は2,277百万円)を計上しました。また、リース満了に伴う機材の返還整備並びに複数台のエンジン整備が集中した影響で、営業活動によるキャッシュ・フローは2,577百万円のキャッシュ・アウトフロー(前年同期は62百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。

 このように、重要な四半期純損失の計上やマイナスの営業活動によるキャッシュ・フローの計上など、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 

 このような事象又は状況を解消するために、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(6)事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・内容検討及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」に記載した対応策を継続して実施することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでいるため、セグメント別の記載は行っておりません。

 

 

(1)経営成績の状況

 当社は、2023年度から2025年度までの中期経営戦略「中期経営戦略2025~国内線で経営基盤を確立し、次の飛躍へ」の実現に取り組んでおります。「中期経営戦略2025」では、目指すものとして、「コロナ禍前水準以上の回復と成長」を掲げております。

 中期経営戦略の3カ年はその先の「次の飛躍」への助走期間でもあります。この3カ年で国内線を主体にしっかりとした“基盤作り”と“成長への準備”を行ってまいります。

 

 当第2四半期累計期間における当社を取り巻く環境は、依然として厳しい競争環境が続いております。

 市場の動向については、原油価格は期初から上昇傾向で推移しました。また、為替相場は期初から円安が進行し前年同期と比較すると円安水準となりました。

 

(就航路線の状況)

 就航路線の状況につきまして、当第2四半期会計期間末における路線便数は、国内定期便1日当たり5路線32往復64便、国際定期便1日当たり2路線2往復4便であります。

 なお、2020年3月より国際線を運休しております。

(2023年9月30日現在)

路線

便数(1日当たり)(注)

備考

国内定期路線

 

 

北九州-羽田線

11往復22便

 

関西-羽田線

4往復8便

 

福岡-羽田線

8往復16便

 

福岡-中部線

6往復12便

 

山口宇部-羽田線

3往復6便

 

国内定期路線 計

32往復64便

 

国際定期路線

 

 

北九州-台北(台湾桃園)線

1往復2便

2020年3月11日から運休

中部-台北(台湾桃園)線

1往復2便

2020年3月11日から運休

国際定期路線 計

2往復4便

 

合計

34往復68便

 

 

 飛行時間につきましては、航空需要の回復に伴い、国内定期便を復便したことにより、当第2四半期累計期間の飛行時間は18,153時間(前年同期比15.5%増)となりました。

 

(就航率、定時出発率)

 就航率、定時出発率につきましては、社内で継続して就航率・定時性向上プロジェクト(ON TIME FLYER活動)を推進しておりますが、当第2四半期累計期間の定時出発率は前年同期を下回る結果となりました。

 

項目

前第2四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年9月30日)

当第2四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

増減

就航率(%)

98.5

98.9

+0.4pt

定時出発率(%)

96.2

90.7

△5.5pt

(注)就航率の算出において、新型コロナウイルス感染症の拡大による航空需要減退に伴う減便および運休を含めておりません。

 

 旅客状況につきましては、航空需要の回復に伴い、一部減便を実施していた国内定期便を復便したことにより、自社提供座席キロは946百万席・km(前年同期比28.1%増)となり、旅客数は73万人(前年同期比47.1%増)、座席利用率は74.3%(同10.3ポイント増)となりました。

 上記により、生産量(総提供座席キロ)および有償旅客数は前年同期と比べ著しく増加し、航空運送事業収入は18,978百万円(前年同期比29.2%増)となりました。また、附帯事業収入は27百万円(前年同期比51.8%減)となり、これらの結果として、当第2四半期累計期間の営業収入は19,005百万円(前年同期比28.9%増)となりました。

 

 一方、費用面につきましては、前年同期と比較して、円安水準であったことにより外貨建ての費用等が増加しました。また、航空需要が増加してきたなかでの原油価格の高止まりに加え、運航便数を増やしたことで変動費(燃油費など)が増加しました。

 結果として、事業費ならびに販売費及び一般管理費の合計額である営業費用は、20,715百万円(前年同期比18.5%増)となりました。

 これらにより、当第2四半期累計期間の営業損失は1,709百万円(前年同期は営業損失2,736百万円)、経常損失は1,310百万円(前年同期は経常損失2,318百万円)、四半期純損失は1,271百万円(前年同期は四半期純損失2,277百万円)となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

 当第2四半期会計期間末の資産合計は21,923百万円となり、前事業年度末に比べ553百万円増加しました。

 流動資産合計は726百万円増加しましたが、これは主として、現金及び預金が353百万円減少、営業未収入金が210百万円減少した一方で、その他流動資産が1,267百万円増加したことなどによるものです。一方で、固定資産合計は173百万円減少しましたが、これは主として、減価償却による減少、繰延税金資産が309百万円減少したことなどによるものです。

 当第2四半期会計期間末の負債合計は20,491百万円となり、前事業年度末に比べ880百万円増加しました。

 これは主として、借入金(流動負債および固定負債合計)およびリース債務(流動負債および固定負債合計)が約定返済により691百万円減少、定期整備引当金が1,046百万円減少、未払法人税等が164百万円減少した一方で、追加借入れにより短期借入金が800百万円増加、長期借入金が2,100百万円増加したことなどによるものです。なお、当第2四半期会計期間末の有利子負債残高は5,793百万円となりました。

 当第2四半期会計期間末の純資産合計は1,431百万円となり、前事業年度末に比べ327百万円減少しました。

 これは、デリバティブ取引に係る繰延ヘッジ損益が943百万円増加した一方で、四半期純損失の計上により1,271百万円の利益剰余金が減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期累計期間末における現金及び現金同等物は4,986百万円となり、前事業年度末に比べ402百万円の減少(前年同期は277百万円の増加)となりました。

 当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,577百万円のキャッシュ・アウトフロー(前年同期は62百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。

 これは主として、税引前四半期純損失が1,309百万円(前年同期は税引前四半期純損失2,236百万円)、定期整備引当金の減少1,046百万円(前年同期は2,487百万円の増加)、未収消費税等の増加838百万円(前年同期は80百万円の増加)などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、59百万円のキャッシュ・アウトフロー(前年同期は4百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。

 これは主として、有形固定資産の取得による支出86百万円(前年同期は9百万円)および無形固定資産の取得による支出82百万円(前年同期は1百万円)があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,208百万円のキャッシュ・インフロー(前年同期は166百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。

 これは主として、長期借入金の返済による支出628百万円(前年同期比16.9%減)、リース債務の返済による支出63百万円(前年同期比6.5%減)があった一方で、短期借入金の純増減額800百万円、長期借入れによる収入2,100百万円があったことによるものです。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 営業実績

 前第2四半期累計期間および当第2四半期累計期間の営業実績の状況は、次のとおりであります。

 なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおりますので、提供するサービス別に記載をしております。

科目

前第2四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年9月30日)

当第2四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

航空運送

事業収入

定期旅客運送収入

14,603

99.1

18,856

99.2

貨物運送収入

75

0.5

74

0.4

不定期旅客運送収入

6

0.0

47

0.2

小計

14,686

99.6

18,978

99.9

附帯事業収入

56

0.4

27

0.1

合計

14,743

100.0

19,005

100.0

(注)1 定期旅客運送収入および貨物運送収入には、全日本空輸株式会社への座席販売および貨物輸送分を含めております。

2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、当該取引の内容は、コードシェアによる座席販売および貨物輸送分であります。

相手先

前第2四半期累計期間

当第2四半期累計期間

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

全日本空輸株式会社

6,677

45.3

7,333

38.6

 

② 輸送実績

 前第2四半期累計期間および当第2四半期累計期間の輸送実績の状況は、次のとおりであります。

項目

前第2四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年9月30日)

当第2四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

増減率

有償旅客数(千人)

498

734

+47.1%

有償旅客キロ(百万人・km)

472

702

+48.9%

提供座席キロ(百万席・km)

738

946

+28.1%

座席利用率(%)

63.9

74.3

+10.3pt

(注)1 上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。

2 有償旅客キロは、路線区間の有償旅客数に区間距離を乗じたものであります。

3 提供座席キロは、路線区間の提供座席数に区間距離を乗じたものであります。

 

③ 運航実績

 前第2四半期累計期間および当第2四半期累計期間の運航実績は、次のとおりであります。

項目

前第2四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年9月30日)

当第2四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

運航回数(回)

10,008

11,361

飛行距離(千km)

8,784

10,232

飛行時間(時間)

15,723

18,153

 

(5)主要な設備

 前事業年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第2四半期累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。

 

 2023年6月に航空機材1機(JA28MC)をリースにより導入しました。

 この結果、当第2四半期会計期間末における保有機材数は11機となっております。なお、当社の航空機材は、すべてエアバス社A320シリーズを使用しております。

 

 

(6)事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・内容検討及び当該重要事象等を解消し、又は改善する

ための対応策

 当社には、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は、このような事象又は状況を解消するために、徹底的なコスト削減の取り組みや事業構造改革による収支改善に努めるとともに、財務状況の安定化を図ることとします。具体的には下記を推進し、事業の継続、その後の回復を目指しております。

 

 事業継続のための取り組み

・運転資金の安定的確保

・需要の増加に応じた臨時便、チャーター便の運航

・継続的な収支改善・生産性向上の取り組み

 

 また、これらの当社における対応策を実施することと併せて、金融機関との緊密な連携関係を強めており、当面(今後1年間)の資金繰りには問題なく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。