第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生はありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書及び当第2四半期報告書に記載した事業等のリスクについては、以下を除き重要な変更はありません。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等の解消について)

 2019年末に新型コロナウイルス感染症が中国で初めて確認され、多くの国や地域へ拡大し、国内線を中心とした航空運送事業を行う当社においても需要が大きく減少しました。このような状況に対し、2020年3月以降、国内線および国際線の運休・減便を行うとともに、徹底した費用削減等の施策を実施することにより、業績への影響の低減を図ってまいりましたが、前事業年度の有価証券報告書においては一部の借入契約に付されている財務制限条項(2023年3月期末日における純資産の部の合計金額、2023年3月期における経常損失)に抵触しました。また、当第2四半期累計期間においては1,271百万円の四半期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローは2,577百万円のキャッシュ・アウトフローとなり継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。

 

 当社は、当該重要事象等を解消すべく、旺盛な航空需要を取り込むことを目的に運航便数を新型コロナウイルス感染症発生前の水準に戻し、臨時便や国際チャーター便の運航を実施し、収益の拡大に努めました。また、座席利用率は同感染症拡大前の水準までほぼ回復しており、このような航空需要の増加に対応すべく、従業員の新規採用を再開し、旧型式のリース機材1機を返還するとともに、従来よりも座席数の多い新型機を導入しました。

 

 その結果、当第3四半期会計期間において足もとでの顕著な業績の回復により、当事業年度に営業損失を計上することは見込まれておらず、また、当事業年度末に財務制限条項に抵触する可能性は低いことから、当第3四半期会計期間末においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したものと判断しております。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでいるため、セグメント別の記載は行っておりません。

 

 

(1)経営成績の状況

 当社は、2023年度から2025年度までの中期経営戦略「中期経営戦略2025~国内線で経営基盤を確立し、次の飛躍へ」の実現に取り組んでおります。「中期経営戦略2025」では、目指すものとして、「コロナ禍前水準以上の回復と成長」を掲げております。

 中期経営戦略の3カ年はその先の「次の飛躍」への助走期間でもあります。この3カ年で国内線を主体に盤石な“基盤作り”と“成長への準備”を行ってまいります。

 

 当第3四半期累計期間における当社を取り巻く環境は、依然として厳しい外部環境が続いております。

 市場の動向については、原油価格は期初から上昇傾向で推移しました。また、為替相場は期初から円安が進行し前年同期と比較すると円安水準となりました。

 

(就航路線の状況)

 就航路線の状況につきまして、当第3四半期会計期間末における路線便数は、国内定期便1日当たり5路線32往復64便、国際定期便1日当たり2路線2往復4便であります。

 なお、2020年3月より国際線を運休しております。

(2023年12月31日現在)

路線

便数(1日当たり)

備考

国内定期路線

 

 

北九州-羽田線

11往復22便

 

関西-羽田線

4往復8便

 

福岡-羽田線

8往復16便

 

福岡-中部線

6往復12便

 

山口宇部-羽田線

3往復6便

 

国内定期路線 計

32往復64便

 

国際定期路線

 

 

北九州-台北(台湾桃園)線

1往復2便

2020年3月11日から運休

中部-台北(台湾桃園)線

1往復2便

2020年3月11日から運休

国際定期路線 計

2往復4便

 

合計

34往復68便

 

 

 飛行時間につきましては、航空需要の回復に伴い、国内定期便を復便したことにより、当第3四半期累計期間の飛行時間は27,502時間(前年同期比11.9%増)となりました。

 

(就航率、定時出発率)

 就航率、定時出発率につきましては、社内で継続して就航率・定時性向上プロジェクト(ON TIME FLYER活動)を推進しておりますが、当第3四半期累計期間の定時出発率は前年同期を下回る結果となりました。

 

項目

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

増減

就航率(%)

99.0

99.3

+0.3pt

定時出発率(%)

95.7

91.0

△4.7pt

(注)就航率の算出において、2022年11月まで新型コロナウイルス感染症の拡大による航空需要減退に伴う減便および運休を含めておりません。

 

 旅客状況につきましては、航空需要の回復に伴い、一部減便を実施していた国内定期便を復便したことにより、自社提供座席キロは1,431百万席・km(前年同期比21.8%増)となり、旅客数は114万人(前年同期比38.7%増)、座席利用率は76.8%(同9.9ポイント増)となりました。

 上記により、生産量(総提供座席キロ)および有償旅客数は前年同期と比べ著しく増加し、航空運送事業収入は29,569百万円(前年同期比26.8%増)となりました。また、附帯事業収入は43百万円(前年同期比48.3%減)となり、これらの結果として、当第3四半期累計期間の営業収入は29,613百万円(前年同期比26.6%増)となりました。

 

 費用面につきましては、前年同期と比較して、円安水準であったことにより外貨建ての費用等が増加しました。また、航空需要が増加してきたなかでの原油価格の高止まりに加え、運航便数を増やしたことで変動費(燃油費など)が増加しました。

 結果として、事業費ならびに販売費及び一般管理費の合計額である営業費用は、29,867百万円(前年同期比20.3%増)となりました。

 為替相場や原油価格の急激な変動など当社を取り巻く環境は予断を許さない状況が継続しております。特に大幅な円安進行は当社の業績に著しい影響をおよぼし、外貨建取引となる定期整備費用について、その引当金を円換算したことにより引当金繰入額の為替影響が541百万円発生したことで、当第3四半期累計期間における営業損失は254百万円(前年同期は1,424百万円の営業損失)となりました。

 これらにより、当第3四半期累計期間における経常利益は306百万円(前年同期は経常損失837百万円)、四半期純利益は118百万円(前年同期は四半期純損失835百万円)となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

 当第3四半期会計期間末の資産合計は21,246百万円となり、前事業年度末に比べ124百万円減少しました。

 流動資産合計は170百万円増加しましたが、これは主として、未収入金が824百万円減少した一方で、現金及び預金が1,007百万円増加したことなどによるものです。一方で、固定資産合計は294百万円減少しましたが、これは主として、減価償却による減少などによるものです。

 当第3四半期会計期間末の負債合計は19,126百万円となり、前事業年度末に比べ484百万円減少しました。

 これは主として、追加借入れにより短期借入金が800百万円増加、長期借入金が2,400百万円増加した一方で、借入金(流動負債および固定負債合計)およびリース債務(流動負債および固定負債合計)が約定返済により1,107百万円減少、定期整備引当金が2,272百万円減少、未払法人税等が176百万円減少したことなどによるものです。なお、当第3四半期会計期間末の有利子負債残高は5,676百万円となりました。

 当第3四半期会計期間末の純資産合計は2,119百万円となり、前事業年度末に比べ359百万円増加しました。

 これは、デリバティブ取引に係る繰延ヘッジ損益が241百万円増加、四半期純利益の計上により118百万円の利益剰余金が増加したことによるものです。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 営業実績

 前第3四半期累計期間および当第3四半期累計期間の営業実績の状況は、次のとおりであります。

 なお、当社は航空運送事業を主な事業とする単一業種の事業活動を営んでおりますので、提供するサービス別に記載をしております。

科目

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

航空運送

事業収入

定期旅客運送収入

23,163

99.0

29,281

98.9

貨物運送収入

119

0.5

119

0.4

不定期旅客運送収入

27

0.1

167

0.6

小計

23,311

99.6

29,569

99.9

附帯事業収入

84

0.4

43

0.1

合計

23,396

100.0

29,613

100.0

(注)1 定期旅客運送収入および貨物運送収入には、全日本空輸株式会社への座席販売および貨物輸送分を含めております。

2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、当該取引の内容は、コードシェアによる座席販売および貨物輸送分であります。

相手先

前第3四半期累計期間

当第3四半期累計期間

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

全日本空輸株式会社

10,196

43.6

11,052

37.3

 

② 輸送実績

 前第3四半期累計期間および当第3四半期累計期間の輸送実績の状況は、次のとおりであります。

項目

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

増減率

有償旅客数(千人)

829

1,149

+38.7%

有償旅客キロ(百万人・km)

786

1,099

+39.7%

提供座席キロ(百万席・km)

1,175

1,431

+21.8%

座席利用率(%)

66.9

76.8

+9.9pt

(注)1 上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。

2 有償旅客キロは、路線区間の有償旅客数に区間距離を乗じたものであります。

3 提供座席キロは、路線区間の提供座席数に区間距離を乗じたものであります。

 

③ 運航実績

 前第3四半期累計期間および当第3四半期累計期間の運航実績は、次のとおりであります。

項目

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

運航回数(回)

15,502

17,135

飛行距離(千km)

13,697

15,432

飛行時間(時間)

24,588

27,502

 

(4)主要な設備

 前事業年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。

 

 退役機材の更新のため、2023年6月に航空機材1機(JA28MC)をリースにより導入しました。

 この結果、当第3四半期会計期間末における保有機材数は11機となっております。なお、当社の航空機材は、すべてエアバス社A320シリーズを使用しております。

 

 2023年12月にリース満了に伴い格納庫建物を取得しました。

 

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。