第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、終了した契約は次のとおりです。

契約会社名

相手方の名称

相手先

所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

㈱カイオム・バイオサイエンス(当社)

㈱ヤクルト本社

日本

平成23年11月7日

平成23年11月7日から

平成27年11月6日まで

抗ヒトTROP-2モノクローナル抗体に関する研究参画及びオプション契約

(注)㈱ヤクルト本社より契約を終了する旨の通知を受領し、平成27年7月に終了しております。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 平成26年12月期は、決算期の変更により、平成26年4月1日から平成26年12月31日までの9ヶ月となっております。これに伴い、比較対象となる平成26年12月期第3四半期財務諸表を作成していないため、業績数値の前年同四半期との比較は行っておりません。

 また、本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況  3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。

(1)業績の状況

 当社の当第3四半期累計期間における事業開発活動の状況としましては、検証的契約締結に向けた完全ヒトADLib®システムの営業活動やリード抗体の導出活動を継続してまいりました。しかしながら、平成27年8月14日付プレスリリース「平成27年12月期業績予想、中期経営計画の修正並びに役員報酬の減額に関するお知らせ」のとおり、通期業績予想につきましては、完全ヒトADLib®システムや抗セマフォリン3A抗体の契約締結遅延を主因として、通期業績の下方修正を発表いたしました。完全ヒトADLib®システムについては、既存の抗体作製技術にはないユニークさを国内外の製薬企業等から評価を頂いている一方で、当社が望む経済条件での導出に向けては更なる抗体作製実績の蓄積が必要な状況となっております。また、平成28年12月期業績予想については、平成26年5月15日付プレスリリース「平成26年3月期決算説明並びに中期経営計画」で示しております黒字化見込みの業績予想から、黒字化困難の見通しへと中期経営計画最終年度の業績予想を変更いたしました。以上の結果を真摯に受け止め、経営責任を明確にするために役員報酬の一部減額を実施しております。今後は、開発効率の高いPOC(*)が確立しているターゲットに対する抗体作製プロジェクトを進めることにより導出活動を促進させる予定です。

 創薬アライアンス事業においては、中外製薬株式会社及び同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.(以下、「中外製薬グループ」といいます)との契約に基づく研究開発活動に加えて、国内製薬企業並びにアカデミアとの抗体作製プロジェクトを実施しております。診断薬分野の大手企業である富士レビオ株式会社(以下、「富士レビオ」といいます)との取引におきましては、ADLib®システムの導出に伴うライセンス料を受領しております。加えて、同社においてはADLib®システムから取得した抗体を使用した診断薬キットを販売しており、当社は売上高に応じたロイヤルティ収益を継続して受領しております。

 また、平成27年7月1日付でリブテックを吸収合併いたしました。同社が創製した2つのリード抗体のうち、がん治療用抗体を目指すLIV-1205については、スイスのADC Therapeutics社(以下、「ADCT社」といいます)とAntibody Drug Conjugate(抗体薬物複合体、以下、「ADC(*)」といいます)開発用途での全世界における独占的な開発・販売権に関するオプションライセンス契約を締結しております。現在ADCT社では、同抗体の評価を実施している状況です。なお、ADCT社がオプション権を行使した場合にはオプション行使一時金を受け取り、その後の開発が進んだ場合には開発の進捗に応じたマイルストーンペイメントを総額90億円、製品上市後には販売額に応じたロイヤルティを受領することになります。

 以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は216,532千円、営業損失は936,845千円、経常損失は株式会社ヤクルト本社(以下、「ヤクルト本社」といいます)との契約終了に係る受取精算金11,330千円及び有価証券利息4,794千円等を計上し920,486千円になりました。四半期純損失は、関係会社株式評価損27,014千円及び固定資産除却損2,871千円を特別損失に計上したこと等により949,602千円となりました。

 

 

 当第3四半期累計期間におけるセグメントの業績は次のとおりです。

 各セグメント事業の基盤となる技術プラットフォームの研究開発活動の状況につきましては、完全ヒトADLib®システムの改良並びに医療用抗体の作製を継続しながら製薬企業等との検証的契約を目指すとともに、医療環境の未充足な疾患領域での戦略抗体の創出活動を継続しております。

 また、研究開発遅延回避のため移転中止を決定したナノ医療イノベーションセンター(iCONM)にかわり、人員や研究等の設備を拡充した旧リブテック研究所を抗体創薬研究所としてリニューアルし、すでに本格稼働いたしております。

 また、当第3四半期累計期間における研究開発費は603,885千円となりました。なお、当社は創薬基盤技術であるADLib®システムを核として事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。

① 創薬アライアンス事業(*)

 中外製薬グループとの研究開発活動の他、オリジナルADLib®システムを用いた製薬企業やアカデミア等とのプロジェクトを実施しております。また、旧リブテックのヤクルト本社との契約終了に伴う精算手続きが完了し、当第3四半期累計期間において24,927千円の売上高が計上されております。

 以上の結果、当該事業における当第3四半期累計期間の売上高は192,583千円、セグメント利益(売上総利益)は94,788千円となりました。

② リード抗体ライセンスアウト事業(*)

 当第3四半期累計期間においては、研究領域の集中と選択を行い、医薬用途を目的とした抗体の作製・ステージアップ・導出に向けた研究開発活動を継続しております。

 がん細胞表面に発現するDlk1を標的とした治療用ヒト化抗体を目指すLIV-1205はADCT社とADC開発用途でのオプションライセンス契約を締結し、さらに、LIV-1205のADC開発用途以外については、国内外のカンファレンスでのOne-on-Oneミーティング等、他の製薬企業への導出活動を継続しております。また、ヤクルト本社の戦略的理由により契約が終了したLIV-2008については、契約終了後の7月より、改めて本抗体の導出契約の獲得のための活動を実施しております。

 抗セマフォリン3A抗体については、平成27年8月14日付プレスリリース「平成27年12月期業績予想、中期経営計画の修正並びに役員報酬の減額に関するお知らせ」のとおり、当期中の導出は困難となる可能性が高く、製薬企業等への導出時期は未定であります。

 当該事業につきましては、当第3四半期累計期間の売上高及び利益(又は損失)は発生しておりません。

③ 基盤技術ライセンス事業(*)

 オリジナルADLib®システムの技術導出先である富士レビオから、技術導出に伴うライセンス料を受領しております。また、同社は“ビタミンD測定用の抗体を含む診断キット(Lumipulse® G25-OH Vitamin D Immunoreaction Cartridges)”を欧州で販売しており、当社は売上高に応じたロイヤルティを継続して受領しております。また、同社では、ADLib®システムを用いた新たな診断キット創出に向けた研究開発活動が継続的に行われております。

 以上の結果、当該事業における当第3四半期累計期間の売上高は23,948千円、セグメント利益(売上総利益)は23,729千円となりました。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当第3四半期会計期間末における流動資産の残高は4,671,485千円となり、前事業年度末と比較して902,528千円減少いたしました。この主な減少要因は、コマーシャル・ペーパー等の購入並びに販売費及び一般管理費や固定資産の取得による支出等により現金及び預金が4,017,123千円減少したこと等によるものであります。一方、増加要因として、コマーシャル・ペーパー等の購入による有価証券3,099,768千円の増加等があります。

(固定資産)

 当第3四半期会計期間末における固定資産の残高は468,537千円となり、前事業年度末と比較して68,942千円減少いたしました。この主な要因は、関係会社株式評価損の計上等により投資その他の資産が45,074千円減少し、また、機械及び装置等の取得により増加した一方で、有形固定資産の減価償却により期末簿価が減少した結果、有形固定資産残高が21,598千円減少したこと等によるものであります。

(流動負債)

 当第3四半期会計期間末における流動負債の残高は188,252千円となり、前事業年度末と比較して44,875千円減少いたしました。この主な要因は、未払金が40,222千円、買掛金が10,516千円減少した一方で、技術使用料の受領等により前受収益が9,904千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

 当第3四半期会計期間末における固定負債の残高は63,002千円となり、前事業年度末と比較して236千円減少いたしました。

(純資産)

 当第3四半期会計期間末における純資産の残高は4,888,767千円となり、前事業年度末と比較して926,358千円減少いたしました。この主な要因は、四半期純損失により利益剰余金が949,602千円減少したこと等によるものであります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりであります。

① 完全ヒトADLib®システムの技術導出

 完全ヒトADLib®システムは、これまでの営業活動で既存の抗体作製技術にはないユニークさを国内外の製薬企業等から評価を頂いている一方で、当社が望む経済条件での導出に向けては更なる抗体作製実績の蓄積が必要であり、条件交渉に時間が必要な状況です。平成26年3月の完全ヒトADLib®システム完成後、継続的な技術改良により多様性の高いライブラリ構築が進んでおりますが、今後、自社案件及び創薬アライアンス案件で開発効率の高いPOCが確立しているターゲットに対するヒト抗体の作製実績を積み重ねることで早期導出に必要なデータを揃え、当社が望む経済条件での交渉を進めてまいります。

 また、取得したリード抗体については、当社パイプラインとして今後のライセンスアウトを目指した研究開発活動を実施してまいります。

② リード抗体LIV-1205とLIV-2008の早期導出、並びに収益の確保

 当社パイプラインであるLIV-1205とLIV-2008は、現在、がん治療用抗体を目指して非臨床研究段階まで開発が進んでいるヒト化抗体であり、事業部門一丸となって導出や今後のビジネス推進に向けた取り組みを強化しております。

 まずLIV-1205では、次世代医薬品開発領域であるADC開発用途で、ADCT社(スイス)と総額90億円のオプションライセンス契約を締結しております。現在、ADCT社で同抗体の評価が行われておりますが、評価完了時にADCT社がオプション権を行使した場合には、ADC開発用途でのLIV-1205導出契約を締結することにより、a)オプション行使一時金、b)その後の開発が進んだ場合には開発の進捗に応じたマイルストーンペイメントを総額90億円、c)製品上市後には販売額に応じたロイヤルティ収益を見込むことが可能となります。本契約は当社の中長期的な経営基盤構築に大きく寄与すると考えており、導出契約獲得に向けての対処すべき課題に積極的に取り組んでまいります。

 また、LIV-1205(ADC開発用途以外の開発領域)とLIV-2008の製薬企業への導出活動も並行して行っております。これらについても早期の導出を狙うことで、契約一時金やその後の開発マイルストーンを獲得することが課題であります。

 

<用語解説>(50音、アルファベット順)

用語

意味・内容

基盤技術ライセンス事業

ADLib®システムを製薬企業等にライセンス提供し、製薬企業自らが研究開発を行う事業を指します。

創薬アライアンス事業

製薬企業等と提携して治療用医薬品開発を目的とした抗体を共同研究し、または委託を受けて研究する事業を指します。

リード抗体ライセンスアウト事業

ADLib®システムで作製した新規抗体のうち、治療薬候補となるリード抗体を製薬企業等に早期ライセンスアウトする事業を指します。

ADC(抗体薬物複合体)

抗体薬物複合体は、抗体と薬物を結合させ、抗体の抗原特異性を利用して薬物を疾患部位に効率的に行き届かせることを目指した抗体薬です。

POC

POCとはProof of conceptの略称で、基礎研究の段階で疾患とその標的の関連性が明らかになっているものを生物学的POCといい、臨床試験で有効性・安全性で確認されているものを臨床的POCといいます。