当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
(1)業績の状況
当社の当第1四半期累計期間におきましては、創薬パイプラインの拡充、開発及び導出活動とADLib®システム(*)を用いた新規の抗体作製の推進、創薬支援事業等を中心に事業活動を進めてまいりました。
創薬事業においては、LIV-1205(ヒト化抗DLK-1抗体)及びLIV-2008b(ヒト化抗TROP-2抗体)の2つの抗体がADC(*)開発用途での全世界における独占的な開発・販売権に関するオプションライセンス契約の下、スイスのADC Therapeutics社にて評価中です。また、LIV-1205は、2016年10月に米国国立がん研究所(National Cancer Institute; NCI)と締結した契約下で、小児がんに対する新薬候補の評価を目的とした組織であるPediatric Preclinical Testing Consortiumにて、動物モデルでの薬効評価を実施しております。
以上の結果、当該事業における当第1四半期累計期間の売上高は2,865千円(前年同四半期比3,070千円減少)、セグメント利益(売上総利益)は2,865千円(前年同四半期比3,070千円減少)となりました。
創薬支援事業においては、中外製薬株式会社及び同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.との契約に基づく研究開発活動及び受託事業を行なっております。また、田辺三菱製薬株式会社及びTanabe Research Laboratories U.S.A., Inc.との契約に基づく抗体作製プロジェクトも進めております。その他、ADLib®システムを活用した新たな受託案件及び共同研究も実施しております。
以上の結果、当該事業における当第1四半期累計期間の売上高は52,165千円(前年同四半期比6,268千円増加)、セグメント利益(売上総利益)は29,338千円(前年同四半期比14,993千円増加)となりました。
当社は平成29年1月25日、株式会社Trans Chromosomics(以下、TC社といいます)が実施する第三者割当による新株発行を引き受けました。TC社との提携により抗体開発に関する技術水準の向上を狙っており、当社の企業価値拡大に資するものと判断し、A種優先株式750株(150,000千円、所有割合6.3%)の株式を取得いたしました。TC社は、平成26年12月に押村光雄氏(鳥取大学染色体工学研究センター特任教授)によって設立されたバイオベンチャーであり、独自の染色体工学技術に基づき、汎用性の高い人工染色体ベクター(*)を用いた創薬プラットフォーム技術を開発しております。TC社は、この技術を利用して、完全ヒト抗体産生ラット・マウスの作製や疾病の原因遺伝子の探索及び疾患モデルマウス・ラットの作製、それらを利用した創薬開発、遺伝子・細胞治療を目指した先端医療や産業化に役立つ研究開発を行なっております。
当社は平成29年3月29日に経営諮問委員会を設置することを決議いたしました。同委員会から当社の経営に対する客観的評価に基づく助言、必要に応じた過去の経営計画や経営判断の検証・評価を受けることといたしました。
各セグメント事業の基盤となる技術プラットフォームの研究開発活動につきましては、ADLib®技術の開発とともに、アンメットメディカルニーズ(*)が存在するターゲットに対する抗体の研究開発を継続しております。
以上の研究開発活動の結果、当第1四半期累計期間における研究開発費は100,539千円となりました。なお、当社は創薬基盤技術であるADLib®システムを核として事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。
以上の結果、当第1四半期累計期間における売上高は55,031千円(前年同四半期比3,198千円増加)、営業損失は203,838千円(前年同四半期は302,385千円の営業損失)、経常損失は204,564千円(前年同四半期は300,643千円の経常損失)、四半期純損失は205,169千円(前年同四半期は301,037千円の四半期純損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当第1四半期会計期間末における流動資産の残高は4,485,265千円となり、前事業年度末と比較して196,252千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金やたな卸資産が減少したことによります。
(固定資産)
当第1四半期会計期間末における固定資産の残高は254,816千円となり、前事業年度末と比較して147,180千円増加いたしました。これは主に、TC社への出資による投資有価証券の増加によるものであります。
(流動負債)
当第1四半期会計期間末における流動負債の残高は131,589千円となり、前事業年度末と比較して37,499千円減少いたしました。これは主に、返済による1年内返済予定の長期借入金の減少、支払いによる未払費用の減少や賞与支給による賞与引当金の減少によるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産の残高は4,557,533千円となり、前事業年度末と比較して7,544千円減少いたしました。これは主に、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少や新株予約権の権利行使による資本金及び資本剰余金の増加によるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
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用語 |
意味・内容 |
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アンメットメディカルニーズ |
いまだに有効な薬剤や満足すべき治療法が見つかっていない疾患等に対する医療上の未充足ニーズのことをいいます。 |
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ADC |
抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。ADCの特徴は、悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤等の薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることで、がん細胞等を死滅させることができます。 |
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ADLib®(アドリブ)システム |
ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞が持つ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。国立研究開発法人理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があると考えております。 |
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人工染色体ベクター |
遺伝子の機能解析ツールの一つです。ヒトまたはマウスの天然の染色体から全ての遺伝子を取り除くことで、セントロメア(細胞が分裂する時に現れる染色体の一部)とテロメア(染色体の末端)両方の基本構造を持つ人工的に作製した染色体を指します。この人工染色体ベクターに様々な遺伝子(例えばヒト抗体遺伝子等)を搭載することによって有用性の高いモデル動物やモデル細胞を構築することが可能な技術です。搭載できる遺伝子のサイズに制限がないなど、従来の遺伝子導入ベクターにはない多くの優れた特徴を備えています。鳥取大学染色体工学研究センター押村光雄特任教授らのグループは人工染色体を用いた研究において世界をリードしております。
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