当第3四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
当第3四半期会計期間において、次の経営上の重要な契約が発生いたしました。内容は以下のとおりとなります。
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相手方の名称 |
相手先の所在地 |
契約締結年月 |
契約期間 |
契約内容 |
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ADC Therapeutics社 |
スイス |
2017年9月 |
2017年9月から国ごとに特許満了日または販売開始から10年のいずれか遅い日まで |
LIV-1205のADC用途での全世界におけるサブライセンス権付き独占的な開発・製造・販売権を供与する |
本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
(1)業績の状況
当社の当第3四半期累計期間における創薬事業と創薬支援事業について、概況は以下のとおりとなります。
創薬事業においては、LIV-1205(ヒト化抗DLK-1抗体)及びLIV-2008b(ヒト化抗TROP-2抗体)の2つの抗体について、ADC(*)用途での全世界における独占的な開発・製造・販売権に関するオプションライセンス契約の下、スイスのADC Therapeutics社(以下「ADCT社」といいます)にて評価が行われておりました。ADCT社よりオプション権を行使する旨の通知を受領したLIV-1205につきましては、2017年9月に同社とライセンス契約を締結いたしました。当該契約締結により、当社はADCT社にLIV-1205のADC用途での全世界におけるサブライセンス権付きの独占的な開発・製造・販売権を供与し、ADCT社よりライセンス契約一時金を受領しました。今後、ADCT社において研究開発が推進され各ステージに設けられた開発マイルストーンを達成できた場合には、当社はその進捗に応じたマイルストーン料を受領、また、上市された場合には、各年度の売り上げに応じたロイヤルティと販売総額に応じた販売マイルストーン料を受領する予定となっております。
また、LIV-1205の通常抗体は、2016年10月に米国国立がん研究所(National Cancer Institute; NCI)と締結した契約下で、小児がんに対する新薬候補の評価を目的とした組織であるPediatric Preclinical Testing Consortium(以下、「PPTC」といいます)にて、動物モデルでの薬効評価が引続き実施されております。さらに、LIV-1205の通常抗体の自社での初期臨床開発を目指した準備として、社内体制の構築、治験薬製造に向けたCMO(受託製造機関)の選定を行っておりましたが、2017年9月、当社はドイツProBioGen社を臨床開発に向けたGMP(*)治験薬製造の委託パートナーとして選定いたしました。ProBioGen社は1994年に設立された抗体の治験薬製造における豊富な経験を持つ会社であり、抗体のADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)(*)を高める独自のGlymaxX®(*)という技術を保有しております。
一方、LIV-2008bは、2017年6月にADCT社からオプション権を行使しない旨の通知を受領しました。これによりADCT社とのオプションライセンス契約は終了いたしました。今後当社は、得られている前臨床データに基づき、引き続き研究開発及び導出活動を継続いたします。
以上の結果、当該事業における当第3四半期累計期間の売上高は42,694千円(前年同四半期比24,102千円増加)、セグメント利益(売上総利益)は41,017千円(前年同四半期比25,334千円増加)となりました。
創薬支援事業においては、中外製薬株式会社及びシンガポールのChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.との契約に基づく研究開発活動及び受託事業を行なっております。また、田辺三菱製薬株式会社及びTanabe Research Laboratories U.S.A, Inc.との契約に基づく抗体作製プロジェクトも進めております。その他、ADLib®システム(*)を活用した新たな受託案件及び共同研究も実施しております。
以上の結果、当該事業における当第3四半期累計期間の売上高は143,716千円(前年同四半期比12,959千円減少)、セグメント利益(売上総利益)は83,566千円(前年同四半期比23,901千円増加)となりました。
研究開発活動におきましては、ADLib®システムを用いた共同研究や、ハイブリドーマ、Bセルクローニング等の抗体作製技術を活用した、アンメットメディカルニーズ(*)が存在する疾患に対する治療用抗体の創製を中心に研究開発を実施しております。以上の研究開発活動の結果、当第3四半期累計期間における研究開発費は321,388千円となりました。なお、当社は抗体作製技術を核として事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。
以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は186,410千円(前年同四半期比11,142千円増加)、営業損失は574,651千円(前年同四半期は827,309千円の営業損失)、経常損失は575,504千円(前年同四半期は827,775千円の経常損失)となりました。四半期純損失は574,592千円(前年同四半期は964,511千円の四半期純損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産の残高は4,483,486千円となり、前事業年度末と比較して198,031千円減少いたしました。これは主に、販売費及び一般管理費の支払による現金及び預金の減少によるものです。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産の残高は226,619千円となり、前事業年度末と比較して118,983千円増加いたしました。これは主に、株式会社Trans Chromosomicsへの出資による投資有価証券の増加によるものです。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債の残高は184,528千円となり、前事業年度末と比較して39,546千円減少いたしました。これは主に、返済による1年内返済予定の長期借入金や資産除去債務の減少によるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は4,525,577千円となり、前事業年度末と比較して39,500千円減少いたしました。これは、四半期純損失による利益剰余金の減少が、新株予約権の権利行使による資本金及び資本剰余金の増加を上回ったことによるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
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用語 |
意味・内容 |
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アンメットメディカルニーズ
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いまだに有効な薬剤や満足すべき治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのことをいいます。 |
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ADC
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抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。ADCの特徴は、悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤等の薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることで、がん細胞等を死滅させることができます。 |
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ADLib®(アドリブ)システム
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ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があります。 |
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ADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性) |
癌細胞や病原体感染細胞などの標的細胞の選択的な破壊をもたらす重要な抗体機能の1つです。抗体が標的細胞に結合すると、マクロファージやNK細胞などの免疫細胞を呼び寄せ、標的細胞を殺傷します。ADCC活性を増強すると、治療効果を高められるほか、抗体の必要用量を大幅に減らすことができるため、結果的に副作用や治療費を減らすことができます。 |
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GlymaxX® |
ProBioGen社が開発した抗体のADCC活性を増強させることが出来る技術です。抗体の構成要素である糖鎖に含まれる「フコース」という糖の量が減少するとADCC活性が強くなることが知られています。GlymaxX®技術は「フコース」が付かないようにする技術の一つで、抗体産生細胞におけるフコースの生合成経路を変える酵素遺伝子を導入することでフコースの量を減らし、ADCC活性を増強させる技術です。 |
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用語 |
意味・内容 |
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GMP |
Good Manufacturing Practice(適正製造規範)の略で、アメリカ食品医薬品局が、1938年に連邦食品・医薬品・化粧品法に基づいて定めた医薬品等の製造品質管理基準です。原材料の受け入れから製造、出荷まで全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準のことであり、日本においては、医薬品医療機器等法に基づいて厚生労働大臣が定めた医薬品等の品質管理基準をいいます。 |