第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期会計期間における経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況  3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。

 当社は、第1四半期会計期間より、新たな経営方針に基づき、医療のアンメットニーズ(*)に対する創薬事業と、抗体周辺分野の技術サービスを提供する創薬支援事業を展開しております。

(1)業績の状況

 当第2四半期累計期間における当社の事業活動の状況といたしましては、概況は次のとおりです。

創薬事業においては、当社が創製した抗セマフォリン3A抗体(*)について、カナダのSemaThera社(以下「ST社」)と共同開発ライセンスおよび独占的オプション契約を締結いたしました。

 また、創薬支援事業においては、売上の拡大のために新規のタンパク質調製・抗体作製サービスの営業活動を積極的に実施いたしました。その結果、小野薬品工業株式会社(以下「小野薬品」)と委受託基本契約を締結いたしました。

 この結果、当第2四半期累計期間における売上高は92,669千円(前年同四半期比9,684千円減少)、営業損失は607,326千円(前年同四半期は388,949千円の営業損失)、経常損失は603,025千円(前年同四半期は389,614千円の経常損失)、四半期純損失は603,924千円(前年同四半期は389,530千円の四半期純損失)となりました。

 研究開発費について、当社は、従前の経営方針においては全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していたことから、前事業年度においては研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりませんでした。しかしながら、第1四半期会計期間より、新たな経営方針に基づき、各報告セグメントの業績をより適切に把握するため、従来、各報告セグメントに対応させていなかった全社費用の一部を、合理的な測定方法に基づき各報告セグメントに対応させております。

 各セグメントの業績は次のとおりです。

 

① 創薬事業

 創薬事業においては、2018年3月に、当社独自技術のADLib®システム(*)で創製し、公立大学法人横浜市立大学と共同で開発した抗セマフォリン3A抗体について、ST社と糖尿病黄斑浮腫および非眼科領域を含む糖尿病合併症等に対する治療薬及び診断薬の開発に関する共同開発ライセンス及び独占的オプション契約を締結しました。本契約締結により、オプション期間に対応するオプション料を受領しております。本抗体は、現在ST社での評価が行われております。また、今後、オプション権行使によりライセンス契約が締結された場合には、当社はST社から開発の進捗に応じたマイルストーン(*)を受領し、さらに製品の販売後には、売上高に応じたロイヤルティ(*)を受け取ることに合意しております。

 2017年9月にスイスのADC Therapeutics社(以下「ADCT社」)にADC(*)用途に限定して導出したLIV-1205については、ADCT社にてADCT-701として臨床試験(*)開始を目指して前臨床試験の最終段階に開発ステージが進められております。

 また、自社で開発中のLIV-1205のNaked抗体については、臨床開発に向けて原薬製造の委託先であるドイツのProBioGen社にて、独自の糖鎖改変技術を用いてADCC活性(*)を高めた抗体産生細胞株の構築および製造プロセス開発が計画通りに進捗しております。なお、この開発の進捗を受け、当該抗体の臨床開発コードを「CBA-1205」に変更いたしました。

 将来のパイプライン拡充に向けては、新規の創薬シーズ(*)に関わる研究開発に積極的に取り組み、当社のネットワークを駆使して外部機関へのコンタクトを継続しております。その結果、国内の研究機関との創薬研究に関わる共同研究や当社の抗体作製技術や関連技術を用いた共同研究を新たに6件開始いたしました。

 以上の結果、当該事業における当第2四半期累計期間の業績は、売上高353千円(前年同四半期比2,512千円減少)、研究開発費433,929千円(前年同四半期比236,122千円増加)、セグメント損失436,808千円(前年同四半期は194,942千円のセグメント損失)となりました。

 

 

② 創薬支援事業

 創薬支援事業においては、中外製薬株式会社および同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.との委託研究に関する契約に基づく取引が事業の中心となりました。

 また、当社は、2018年5月に小野薬品と、自社抗体作製技術であるADLib®システムやB cell cloning法(*)を用いて抗体の作製業務や、抗体・抗原等の組み換えタンパク質の調製業務を提供する委受託基本契約を締結いたしました。当第2四半期累計期間においては、抗体・抗原等の組み換えタンパク質の調製業務の提供を開始いたしました。

 さらに、2018年4月に協和発酵キリン株式会社との新たな取引を開始し、タンパク質関連サービスを提供しております。

 また、国内外の大学、研究機関および企業に向けて、従来のADLib®システムだけでなくB cell cloning法等の抗体作製手法も用いた抗体作製サービスも提供いたしました。

 以上の結果、当該事業における当第2四半期累計期間の業績は、売上高92,316千円(前年同四半期比7,172千円減少)、研究開発費1,356千円(前年同四半期比1,356千円増加)、セグメント利益53,090千円(前年同四半期比5,435千円減少)となりました。

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当第2四半期会計期間末における流動資産の残高は3,578,013千円となり、前事業年度末と比較して618,667千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金や売掛金が減少したことによるものであります。

(固定資産)

 当第2四半期会計期間末における固定資産の残高は217,308千円となり、前事業年度末と比較して5,475千円減少いたしました。これは、減価償却費の計上による有形固定資産の減少と、費用計上による長期前払費用の減少によるものであります。

(負債)

 当第2四半期会計期間末における負債の残高は180,614千円となり、前事業年度末と比較して21,276千円減少いたしました。これは主に、支払いによる未払金の減少によるものであります。

(純資産)

 当第2四半期会計期間末における純資産の残高は3,614,708千円となり、前事業年度末と比較して602,866千円減少いたしました。これは主に、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少によるものであります。

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は3,332,869千円となり、前事業年度末と比較して694,597千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期累計期間において営業活動により使用した資金は690,438千円となりました。主な内訳は、税引前四半期純損失の計上や未払金の減少です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期累計期間において投資活動による資金の増減はありません。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第2四半期累計期間において財務活動により使用した資金は4,159千円となりました。この内訳は、長期借入金の返済によるものです。

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。

 

 

<用語解説>(50音、アルファベット順)

用語

意味・内容

アンメットニーズ

現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪いまたは副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在すると言います。

抗セマフォリン3A抗体

セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。

シーズ

事業化・製品化の可能性はあるものの、まだ“種または芽(シーズ)”の状態であり、現時点では大きな売上や価値を生み出さないものの、将来の可能性を秘めたモノ、技術やノウハウのことを指します。企業やアカデミアが見出したものの活用していないような技術や特許等も含まれ、当社の場合、研究初期段階のターゲット抗原やその候補、抗体等が有力な候補となります。

マイルストーン

導出後の臨床試験等の進捗にともない、その節目(マイルストーン)ごとに受領する収入のことをいいます。

ロイヤルティ

製品が販売(上市)された後に、その販売額の一定比率を受領する収入のことをいいます。

臨床試験

臨床試験には、次の3段階があります。

第1相試験(フェーズ1):少数の治験参加者(*)に投与し、治験薬の安全性と治験薬が体内に入ってどのような動きをするのかを明らかにする試験

第2相試験(フェーズ2):比較的少数の患者さんに投与し、治験薬の効き目、副作用、使い方について、統計学的手法を使って調べる試験

第3相試験(フェーズ3):多数の患者さんに治験薬を投与し、効果と安全性を確かめる試験

初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指し、治験薬の安全性を主に、薬効の兆しを観察します。

(*)おおまかにはがん治療薬の第1相試験の場合には治験参加者は患者さんであり、がん以外の領域の治療薬の第1相試験の場合には治験参加者は健康なボランティアの方です。

ADC

抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは毒性の強い薬剤を悪性腫瘍に送り届け、悪性腫瘍を死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。

ADCC活性

抗体依存性細胞傷害活性(Antibody-Dependent-Cellular-Cytotoxicity)のことです。

抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的抗原(標的分子)に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほかに、患者さん自身の免疫細胞(マクロファージやNK細胞等)を介して抗腫瘍効果を発揮する作用があります。そのため、標的抗原の発現量だけでなく、患者さん自身の免疫状態、特に抗体薬が生体内の免疫細胞をがん周囲に呼び寄せ、集まった免疫細胞を活性化することで大きな治療効果を期待できることがあります。このような作用をADCC活性といいます。

 

 

用語

意味・内容

ADLib®(アドリブ)システム

ライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。国立研究開発法人理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。

B Cell Cloning法

目的の抗原への結合性抗体を産生する単一のBリンパ細胞を選択し、抗体遺伝子をクローニングする手法のことです。抗原をトリやマウスなどの実験動物に免疫した後、その動物からBリンパ細胞を含む脾臓やリンパ節を取り出して行います。ハイブリドーマ法と異なり、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させる工程を省くことができます。