当第3四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
また、文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当社の当第3四半期累計期間における売上高につきましては、主として創薬支援事業における研究受託取引が順調に推移したことにより、282,690千円(前年同期比139,789千円増加)となりました。営業損失につきましては、自社で開発中のCBA-1205における臨床試験(*)開始に向けた準備費用を中心に研究開発費が増加したことにより、1,169,015千円(前年同期は932,267千円の営業損失)となりました。また、経常損失は1,177,300千円(前年同期は927,702千円の経常損失)、四半期純損失は1,170,202千円(前年同期は927,396千円の四半期純損失)となりました。当第3四半期累計期間における当社の事業活動の状況といたしましては、概況は次のとおりです。
当社は、医療のアンメットニーズ(*)の高い領域における抗体医薬品を創出する創薬事業と、製薬企業等に抗体創薬にかかわる技術サービスを提供する創薬支援事業を展開しております。
創薬事業においては、自社開発中のファースト・イン・クラス(*)抗体であるCBA-1205はCMC(*)開発と毒性試験(*)を推進するなど臨床試験準備の最終段階を迎えております。CBA-1535はCMC開発に着手いたしました。また、探索段階にある創薬プロジェクトの導出データパッケージ構築にむけた研究活動と新規の創薬プロジェクト発足にむけた創薬企業やアカデミアとの共同研究を開始するなど、今後の開発パイプライン(*)の質・量の拡充に向けた取り組みを進めてまいりました。
2017年9月にスイスのADC Therapeutics社にADC(*)用途に限定して導出(*)したADCT-701については、前臨床試験(*)の最終ステージにあり、2020年以降の治験申請を想定しております。
CBA-1205については、治験薬製造のための原薬製造が完了しており、現在、治験薬製造を進めております。また、治験申請に必要な毒性試験等の非臨床試験については、2019年末頃に完了する計画となっており、2020年以降の臨床試験開始にむけて関連業務を着実に進めております。
多重特異性抗体であるCBA-1535については、原薬製造を委託するCMO(*)の選定が完了し、契約締結に向けて調整を進めております。また、開発に向けた資金調達として第14回新株予約権を発行しておりましたが、当第3四半期会計期間において全ての行使が完了いたしました。引き続き、2021年後半以降の治験申請を目標とし、取り組みを進めてまいります。
BMAA(抗セマフォリン3A抗体)(*)については、2018年3月にカナダのSemaThera社(以下、ST社)と共同開発ライセンス及び独占的オプション契約を締結しておりますが、前四半期会計期間において評価2年目のオプション期間に対応するオプション料を受領しており、現在もST社が評価を継続して実施しております。
その他、探索段階にある複数の創薬プロジェクトが進行しておりますが、今後のステージアップと導出に必要なデータパッケージの構築に向け、研究開発に取り組んでまいります。
以上の結果、創薬事業における当第3四半期累計期間の業績は、売上高2,111千円(前年同四半期比96千円増加)、研究開発費1,043,474千円(前年同四半期比357,936千円増加)、セグメント損失は1,041,557千円(前年同四半期は682,823千円のセグメント損失)となりました。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の独自の抗体作製手法であるADLib®システム(*)のほか、B cell cloning法(*)やハイブリドーマ法(*)といった抗体技術プラットフォームを活かした抗体作製業務のほか、タンパク質調製業務を受託し、製薬企業の研究開発やアカデミアの研究支援を実施しております。引き続き高い品質のサービス提供を目指し、継続的な新規案件の受託拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
当事業においては、富士レビオ株式会社(以下「富士レビオ」)における当社のADLib®システムを使用して開発したモノクローナル抗体(*)を含む診断薬キット(以下「本製品」)の製品化(2品目目となります)に伴い、当社は富士レビオと本製品に係る知的財産の実施に関する契約を新たに締結しました。本契約により、本製品の販売後には、当社は売上に応じたロイヤルティを受け取ることになります。
また、昨年来、当社は協和キリン株式会社と個別契約による研究支援を実施してまいりましたが、当社の技術・サービスに評価を得た結果、2019年7月に委受託基本契約の締結にいたりました。これにより、今後は迅速な抗体作製等の業務支援及び継続的な取引を行っていくことが可能となります。
創薬支援事業における当第3四半期累計期間の業績は、中外製薬グループや小野薬品との取引を中心として順調に推移した結果、売上高280,578千円(前年同四半期比139,693千円増加)となり、セグメント利益は169,810千円(前年同四半期比99,509千円増加)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は、現金及び預金の増加などにより、前事業年度末に比べ217,591千円増加の3,048,785千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債の残高は195,525千円となり、前事業年度末と比較して41,051千円増加いたしました。これは主に、委託研究費等にかかる未払金の増加などによるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は2,853,260千円となり、前事業年度末と比較して176,540千円増加いたしました。これは主に、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が増加したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
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用語 |
意味・内容 |
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アンメットニーズ(またはアンメットメディカルニーズ) |
現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪いまたは副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在すると言います。 |
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前臨床試験 |
医薬品の研究開発において、ヒトを対象とする臨床試験の前に行う試験のことです。動物を用いて、医薬品候補化合物等の有効性や安全性を評価します。非臨床試験ともいいます。 |
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導出(ライセンスアウト) |
特許権やノウハウ等を他者に売却したり実施許諾することをいいます。 |
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毒性試験 |
前臨床試験として、医薬候補品をマウス・サルなどの動物に投与して毒性を評価します。「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準」に基づき試験が実施され、GLP-Tox(good laboratory practice toxicities)試験ともいいます。毒性試験で得られたデータは、審査当局への承認申請に用いられます。 |
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パイプライン |
新薬として開発している医薬候補品ことを「パイプライン」といいます。創薬研究から臨床開発を経て関係当局の承認を受けるまでの活動を「創薬」と呼び、「創薬パイプライン」とは創薬のいずれかの段階にあるパイプラインのことをいいます。また、創薬パイプラインのうち開発段階に入ったパイプラインのことを、特に「開発パイプライン」ということがあります。 |
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ハイブリドーマ法 |
抗原を免疫した動物から抗体を作り出すB細胞を取り出し、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させて、抗体を作り続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。 |
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ファースト・イン・クラス |
新しい薬効としてはじめて承認される新医薬品のことを指します。特に新規性・有用性が高く、化学構造や作用メカニズムが従来の医薬品と異なるなど、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的な新医薬品をいいます。 |
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モノクローナル抗体 |
単一の抗体産生細胞から得られた抗体のことをいいます。モノクローナル抗体は1つの抗原にのみ結合し、また結合する場所が決まっているため、均一で再現性の高い抗体になります。そのため、抗体医薬品の多くは、モノクローナル抗体が使われています。当社では、ADLib®システム、ハイブリドーマ法、B cell cloning法によりモノクローナル抗体を取得することができます。 |
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用語 |
意味・内容 |
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臨床試験 |
臨床試験は、少数の治験参加者に投与し、薬の安全性と薬が体内に入ってどのような動きをするのかを明らかにする第1相試験(フェーズ1)、比較的少数の患者さんに投与し、薬の効き目、副作用、使い方を調べる第2相試験(フェーズ2)、並びに多数の患者さんに薬を投与し効果と安全性を確かめる第3相試験(フェーズ3)の3段階があります。初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指します。 |
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ADC |
抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは悪性腫瘍だけを死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。 |
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ADLib®(アドリブ)システム |
ライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。国立研究開発法人理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。 |
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B cell cloning法 |
目的の抗原への結合性抗体を産生する単一のBリンパ細胞を選択し、抗体遺伝子をクローニングする手法のことです。抗原をトリやマウスなどの実験動物に免疫した後、その動物からBリンパ細胞を含む脾臓やリンパ節を取り出して行います。ハイブリドーマ法と異なり、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させる工程を省くことができます。 |
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BMAA(抗セマフォリン3A抗体) |
セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。 |
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CMC |
Chemistry, Man332333ufacturing and Controlの略で、医薬品等の原薬・製剤の化学・製造およびその品質管理を指します。 |
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CMO |
Contract Manufacturing Organizationの略で、医薬品等の原薬、製剤、包装等を製造受託する企業を指します。。 |
当第3四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
(業務委受託契約)
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相手方の名称 |
相手先の 所在地 |
契約締結年月 |
契約期間 |
契約内容 |
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協和キリン株式会社 |
日本 |
2019年7月 |
2019年7月29日から 2020年7月28日まで (以後1年毎の自動更新) |
モノクローナル抗体の作製業務、抗体・抗原等の組み換えタンパク質の調製業務 |