第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社です。デジタルテクノロジーを活用しながら、保険相談、お申し込みから保険金等のお支払いまで、一貫してお客さまの視点に立った商品・サービスの提供を実現するとともに、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

(2) 経営環境

(事業を行う市場の状況)

 当社が直面している経営環境は、競合他社によるインターネットチャネルへの参入の増加等により、競争環境が厳しさを増しております。また、インターネットを取り巻く環境の変化は目覚ましく、インターネットを活用したサービスに対するお客さまの期待値も高まっているものと考えております。

 生命保険の加入チャネルに関する調査*1によると、実際にインターネットを通じて加入した割合は4.0%に留まる一方、今後インターネットを通じて加入したいと回答した割合は17.4%に達しており、当社は、今後の事業環境としてオンライン生保の成長余地は確実に存在し、今後も着実な成長可能性があると考えており、当社がお客さまのニーズに十分にお応えすることで、長期的に大きな成長余地があると見込んでおります。

 

(競合他社との競争優位性)

 当社は、開業以来、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」を「ライフネットの生命保険マニフェスト」に掲げ、徹底してお客さま視点の業務運営を行っております。

 また、従来生命保険業界においては主流の販売チャネルである営業職員等による販売とは一線を画し、当社はインターネットを主な販売チャネルとしております。インターネットを活用することにより、店舗費や人件費等を削減し低廉な保険料を実現し、高い価格競争力を有する商品を販売するとともに、保険相談、お申し込みから契約後の管理、保険金等の支払いまで、スマートフォンを通じた利便性の高いサービスを提供し、お客さまへの保険の新しい価値提供に取り組んでおります。

 さらに、当社は、自社のウェブサイトを通じた販売に加え、オンライン生保の強みを活用しながら、幅広い顧客基盤とブランド力を持つ協業パートナーとともにホワイトレーベル商品の販売を行い、より多くのお客さまに、当社の提供する商品やサービスの価値を提供しております。

 当社は、これらの取組みを開業以来継続してきたことが、競合他社との競争優位性を形成していると認識しております。引き続き、経営方針の重点領域に掲げた「顧客体験の革新」「販売力の強化」に注力し、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

 当社が、経営の柱と位置付けている「ライフネットの生命保険マニフェスト」の全文、主要商品の内容、顧客基盤、販売網等については、第1[企業の概況]3[事業の内容]の(2)マニフェストを基軸とした経営、(3)商品構成、(4)販売チャネルをご参照ください。

 

*1. 生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」

 

(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題

(経営方針)

 当社は、2018年11月に経営方針を策定し、力強い成長を実現してきました。策定当初の経営目標である「EEVの早期の1,000億円到達」が目前となったことから、2021年5月に経営目標を「EEVの早期の2,000億円到達を目指す」ことに変更しました。当社は、経営方針のもと、より一層の成長と中長期における高い収益力の実現を目指します。

 経営方針の骨子は以下のとおりです。

 

○経営方針の骨子

経営理念

正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する

目指す姿

オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニー

重点領域

・顧客体験の革新

 デジタルテクノロジーを活用し、全てのサービスを質的に高め進化させる

・販売力の強化

 積極的プロモーション及び代理店・ホワイトレーベルの拡大により、圧倒的な集客を実現する

経営目標

EEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)を
企業価値を表す重要な経営指標とし、早期の2,000億円到達を目指す

 当社が、目標となる経営指標をEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)と定めた理由は、3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]の(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容をご参照ください。

 

 なお、事業環境や経営方針を踏まえて、成長投資を加速することから、法定会計上の経常損益の黒字化は、2020年代半ばから繰り下げとなる予定です。当社は、2023年度に国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を目指しており、現時点で確定したものではありませんが、IFRSのもとで適用初年度からの利益計上を見込んでいます。

 

(優先的に対処すべき課題)

① 保有契約業績の持続的な成長

 当社は、重点領域の「顧客体験の革新」と「販売力の強化」に取り組み、保有契約業績の2桁パーセントの成長を目指します。

 「顧客体験の革新」においては、幅広い年代層のお客さまに対して、オンラインでの生命保険加入ニーズが広がっていることを事業機会と捉え、その多様なニーズに応えることで保有契約の拡大を図ります。また、申し込みのフローをはじめとしたウェブサイトの改善やデジタルデータの分析に注力することで、お客さまの各種手続きの利便性を向上し、多様なニーズに応えることのできる顧客体験をお届けしていきます。特に、当社のウェブサイトに来訪してから申し込みに至るまでの体験をストレスフリーにすることに注力します。

 「販売力の強化」においては、インターネットチャネルとホワイトレーベルチャネルの2つの軸で当社の商品価値を提供してまいります。インターネットチャネルにおいては、引き続き積極的に広告宣伝を行うことで認知度の向上を図ります。また、当社の開業以来の主要な顧客層である30代を中心とした若年層の集客を強化するため、プロモーションの多角化等を行うことによってさらなる業績の伸長を目指します。ホワイトレーベルチャネルにおいては、中長期的に成長可能性のあるチャネルとして改めて位置づけ、KDDI株式会社、株式会社マネーフォワードをはじめとする現在のパートナー企業との取組みを強化します。KDDI株式会社においては、KDDIグループアセットを活用して、取組みを両社で推進してまいります。また、株式会社マネーフォワードにおいては、申込率の改善に注力し、お客さまへよりスムーズに商品を提供できる仕組みづくりを進めていきます。引き続き、パートナー企業の持つ高いブランド力と幅広い顧客基盤を活用した取組みを継続し、当社の商品価値の提供を継続してまいります。

 

② 生命保険のインターネット企業への変革

 当社は、オンライン生保市場を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指して、生命保険のインターネット企業への変革を加速させます。当社が開業以来積み重ねてきたオンライン生保としてのノウハウを活用して、お客さまと生命保険サービスをつなぐオンラインの生命保険プラットフォームの構築を目指します。

 その一環として、昨年設立した子会社であるライフネットみらい株式会社において、オンライン上で保険代理店事業を開始し、当社商品を含むオンラインで販売するに相応しい商品を提供しています。今後、生命保険以外の商品の拡充やウェブサイトの改善を重ねるとともに、将来的にはこの子会社を通して、一人ひとりのお客さまに寄り添いながら、お客さまの視点で保険に関わる課題を解決できるプラットフォームとなることを目指します。

 また、生命保険のインターネット企業への変革を実現するために、組織体制の強化も図ります。採用活動を積極化させ、特に顧客体験の革新に向けたシステム分野を中心とした人材の確保を目指します。また、従業員の成長や挑戦を支える育成体系や評価制度を進化させるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い本格的に導入したリモートワークにおける働きやすい職場環境づくりを行うなど、生産性と効率性の向上を実現する体制を一層整備することで、経営目標の達成を目指します。

 

以上の取組みを推進することで、さらなる成長を目指します。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。

 当社は、これらのリスクを認識したうえで、事態発生の回避及び発生した場合の迅速かつ適切な対応に努めます。

 なお、本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(1) リスク管理方針

 当社は生命保険会社としての財務の健全性及び業務の適切性を確保しつつ、リスク戦略を実現するため、リスク管理態勢の整備・確立が経営上極めて重要であると認識しています。これらリスク管理に係る基本的な考えを「リスク管理に関する基本方針」に定め、社内の組織態勢(図参照)を確立することにより、各リスクの評価・改善態勢を整備しております。

 

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(2) リスク管理体制

 当社が管理すべき各リスクの一次リスク管理部門を定め、リスク管理部が主な二次リスク管理部門として、リスクを統括するものとしております。また、総合的なリスク管理を行うためには、組織横断的な取組みが有効との考えに基づき、関係役員・部門長等で構成される「リスク管理委員会」を設置しております。さらに、生命保険会社にとっては、資産・負債の総合管理がリスク管理の要諦になるとの認識に立脚し、これとは別に「ALM*1委員会」を設けております。その他に、内部統制の体制整備・運営の推進を図るため、コンプライアンス体制の整備や推進状況等を協議・フォローする組織横断的な機関として、関係役員・部門長等で構成される「コンプライアンス委員会」を設置しております。

*1.Asset Liability Management(資産・負債の総合管理)

 

(3) リスクの分類

 当社は、主要なリスクについて、事業戦略リスク、保険引受リスク、市場リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク*2に分類しております。以下は、この分類とともに当社の主要なリスクを示したものです。

*2.オペレーショナルリスクは事務リスク、法務リスク、コンプライアンスリスク、システムリスク等に分類し管理しています。

 

リスク分類

主要なリスク

A.事業戦略リスク

A-1  競争状況に係るリスク

A-2  営業費用の投下に係るリスク

A-3  提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク

A-4  日本国内の人口動態に係るリスク

A-5  気候変動に係るリスク

A-6  サステナビリティに係るリスク

A-7  法規制に係るリスク

A-8  社会保障制度等の変更に係るリスク

A-9  他の生命保険会社の破綻に係るリスク

A-10 オンライン生保業界の風評に係るリスク

A-11 技術革新に係るリスク

B.保険引受リスク

B-1  死亡率・罹患率等に係るリスク

B-2  責任準備金の積み立てに係るリスク

C.市場リスク・信用リスク・流動性リスク

C-1  金利変動に係るリスク

C-2  再保険取引に係るリスク

C-3  株価・為替等の変動に係るリスク

C-4  社債等に係る信用リスク

C-5  流動性リスク

D.オペレーショナルリスク

D-1  システムリスク

D-2  法令等違反及び社会規範逸脱に係るリスク

D-3  情報漏えいに係るリスク

D-4  大規模災害等における事業継続性に係るリスク

D-5  事務リスク

D-6  保険金・給付金の支払い漏れに係るリスク

D-7  当社従業員の雇用等に係るリスク

D-8  訴訟リスク

D-9  リスク管理体制に係るリスク

 

(4) 特に重要性が高いリスク

 「(3) リスクの分類」で分類・管理している主要なリスクのうち、発生した場合の影響度及び発生可能性に鑑みて特に重要性が高いと評価されるリスク及びその内容と対応策は以下のとおりとなります。

 

① A-1 競争状況に係るリスク

 当社は、日本の生命保険市場において、国内生命保険会社、外資系生命保険会社、保険子会社を保有している国内の大手金融機関との競争に直面しております。競争には、価格や商品内容、契約者向けサービス、代理店手数料に関するものが含まれます。現在、金融サービスのデジタル化や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、対面チャネルを主力としていた会社も一部オンライン化を迫られるなど、新規プレイヤーが参入しており、今後、オンライン生保市場の拡大とともに競争環境の厳しさが増していく可能性は高いと考えています。当社がインターネットチャネルにおける競争力を維持できない場合には、新契約件数の減少及び解約等による保有契約件数の減少により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、お客さま視点で商品・サービスの設計・開発を行い、お客さまの当社に対するエンゲージメントを高めることで競争力の維持を図っています。その他、積極的な営業費用の投下や、ホワイトレーベル事業の拡大、代理代行制度を通じた他社商品の販売など、当社の今までの経験を活かした事業の拡大を進め、これまでに築き上げてきたオンライン生保市場での競争優位性を維持・強化していきます。

 

② A-2 営業費用の投下に係るリスク

 生命保険業では一般的に、長期間にわたり平準的に保険料を収受する一方、契約前後の短期間に広告宣伝費・代理店手数料などが集中的に支出されるため、会計上の損失が生じることがあります。当社は、認知度の向上や新契約の獲得を目的として、テレビCMや検索連動型広告に代表される各種の広告宣伝を行っており、2021年度においても積極的に営業費用を投下しています。営業活動の効果が十分に得られない場合、営業活動が適切に行われない場合、又は当社が想定するほどにインターネットを通じた保険商品への購買行動が消費者に浸透しない場合には、営業費用効率が低下し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 顧客ニーズの変化や社会経済環境の動きには様々な短期的要因や長期的要因があり、それらの影響を受けて営業費用効率も常に変動します。当社では、新契約の成長と営業費用効率のバランスを定期的にモニタリング・分析を行いながら、営業費用の投下を判断してまいります。これらのコントロールを通じて、営業費用の投下に係るリスクの発生可能性を抑制することができると考えています。

 

③ B-1 死亡率・罹患率等に係るリスク

 生命保険料は、予定死亡率、予定罹患率、予定解約率、予定事業費率等の基礎率に基づいて計算されております。このため、例えば、実際の死亡率が予定死亡率よりも高い水準となること、又は、過去の死亡率実績から増加することにより、想定よりも多くの保険金を支払うこととなる可能性があります。また、終身医療保険、定期療養保険、就業不能保険及びがん保険などの非伝統的なリスクを保障する商品に用いる予定罹患率は、死亡率などの伝統的なリスクを保障する生命保険商品の基礎率に比べ、相対的に高い不確実性を内包しております。さらに、当社は、これまで、定期死亡保険・終身医療保険・定期療養保険・就業不能保険・がん保険の保障性商品に限定した生命保険の販売を行っていることにより、リスク・ポートフォリオにおいて、リスクを分散させる効果が相対的に小さくなる可能性があります。

 また、現在の新型コロナウイルスを超えるような感染症の大流行や東京や大阪等の人口密集地域を襲う地震・津波・テロ等の大規模災害を原因として大量の死傷者が発生した場合、当社は保険給付に関する予測不可能な債務を負うリスクにさらされます。当社は、保険業法上の基準に従って危険準備金を積み立てておりますが、これは必ずしもあらゆる大規模災害発生時の支払いを担保するものではなく、保険金・給付金の支払いが危険準備金を超える可能性があります。

 これら死亡率・罹患率等に係るリスクは、現状の国民の死亡率や疾病・障害の罹患率の動向等に鑑みれば現時点での発生可能性は低いと考えています。当社では、死亡率や罹患率等が適正な範囲を超えることがないよう、商品開発時に保障内容や審査方法等を適切に設定するとともに、死亡率や罹患率等の状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて審査方法等の見直しや商品改定を実施する体制としています。また、ストレステストを実施し、大規模災害が発生した場合の影響や対応を確認しています。

 

④ C-1 金利変動に係るリスク

 当社は、高格付けの公社債などを資産運用の主たる手段として保有しております。今後、市場金利が大幅に上昇する場合、当社が保有している公社債の時価が想定を超えて下落する可能性があります。

 また、保険契約の将来キャッシュ・フローの価値や、それらを反映し企業価値を表すEEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)や経済価値ベースの資本も、金利変動による影響を受けます。当社によって対処し得る程度を超えて市場環境が大きく変動した場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 現在、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などの影響のもと世界経済や国際政治状況が大きく変化するなかで、金利変動の蓋然性は高まっていると認識していますが、当社は現状では十分な資本を確保し、経済価値ベースにおいても保障性商品中心の商品ポートフォリオにより金利変動による影響は限定的と考えています。当社では、金利リスクを含む市場リスクに対しリスクリミットを設定したうえで、その状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて資産運用方針等を見直す体制としています。また、ALM(Asset Liability Management:資産・負債の総合管理)のために設置されたALM委員会等を通じ、資産と負債の双方が抱える金利リスクのバランスを管理しております。

 

⑤ D-1 システムリスク

 当社は、インターネットを主な販売チャネルとしており、情報システムの安定運用に依拠して、生命保険の販売、引受け、契約の管理、統計データ及び顧客情報の記録・保存などの事業運営を行っております。また、当社の業容拡大、商品・サービス開発の機動性確保及び業務効率化のため、毎年一定規模の情報システム投資を行っております。しかし、事故、災害、停電、ユーザー集中、人為的ミス、妨害行為、内部・外部からの不正アクセス、ウイルス感染やネットワークへの不正侵入、外部からのサービス妨害攻撃、ソフトウェアやハードウェアの異常等の要因により、当社の情報システムが機能しなくなる可能性があります。また、情報システムの刷新にあたり問題が発生する可能性もあります。それらの場合、機会損失や追加費用が発生する可能性があります。加えてこれらが原因で、当社がお客さまに提供するサービス、保険金・給付金の支払いや保険料の収納、資産運用業務などを一時的に中断せざるを得ない事態が生じる可能性があり、その結果、当社のレピュテーションが低下し、お客さまの信頼感の低下を招くとともに、行政処分につながるおそれがあり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、開業以来現在に至るまで大規模なシステムトラブルなどは発生しておらず、安定したシステム運用を行っております。想定外の原因により大規模なシステムトラブルが発生する可能性は、今後も低いと考えているものの、他の金融機関と同様に存在すると考えています。当社では、情報システムを安定運用するための基本的な考え方や方策を社内規程等に定め、それらに基づく情報システムの開発、運用状況の監視、バックアップ体制の整備、障害発生時の対策等を行っております。また、外部からの攻撃等に備え、ファイアウォールやウイルス対策ソフト等による不正侵入や不正使用の防止と監視、ソフトウェアの脆弱性診断や、有事に適切な対応を図るためのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)の運営等を行っております。

 

⑥ D-2 法令等違反及び社会規範逸脱に係るリスク

 当社は、当社又はその役員・従業員、代理店、外部委託先又は顧客による不正や法令違反、例えば、違法な保険募集、顧客情報の不正利用、顧客による詐欺・なりすまし、その他の不祥事件等により、損失を被るリスクがあります。特に、違法な募集行為や顧客情報の不正利用が発生した場合には、監督当局から行政処分を受けるほか、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟などの多額の費用負担につながり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、不正や法令違反には該当しない場合であっても、当社又はその役員・従業員が、社会的な規範や期待、要請に反する行為や、商慣習や市場慣行に反する行為、利用者の視点の欠如した行為に至ることにより、顧客を含むステークホルダー、市場の健全性、公正な競争、公共の利益に悪影響を及ぼす可能性があります。それらの場合、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び対応費用の発生につながり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、オンライン生保であるため保険募集に係る不正が発生しづらいことや、事業の範囲や規模が限られること等により、発生可能性は低いと考えていますが、不祥事件等を排除又は減少させるための態勢を整備しております。当社では、コンプライアンス委員会等を通じて法令等の遵守体制の整備や遵守状況の確認を定期的に実施し、必要に応じて課題や問題の改善に取り組んでいます。また、役職員に対し、テーマ別や階層別の研修を通して、法令等に対する意識浸透を図っています。また、当社では、顧客を含むステークホルダーや社会からの期待に応えるため、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスの提供を追求する」という経営理念に基づき「ライフネットの生命保険マニフェスト」を定め、役職員へのこれらの浸透と実現を図っています。その他、顧客からの問い合わせや苦情の分析等を通じて、顧客本位の業務運営の実現状況を定期的に確認しています。

 

⑦ D-3 情報漏えいに係るリスク

 当社は、インターネットを活用した生命保険事業を展開しており、顧客情報(個人情報)を中心とする様々な機密情報を主に電磁的方法により保有しております。当社役員・従業員、代理店、外部委託先による顧客情報の紛失・漏えい・不正利用が発生した場合、若しくは第三者が当社の情報システムに侵入して当社の顧客情報を不正取得した場合には、監督当局から行政処分を受けるほか、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟や顧客への損害賠償などの多額の費用負担により、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 情報漏えいが仮に発生した場合の影響の大きさに鑑み、当社は、情報セキュリティ管理の重要性を経営の最重要課題の一つと認識し様々な対策を行っているため、情報漏えいの発生可能性は低く抑制できていると考えています。データの持ち出し等については、データへのアクセスやコピーの制限、ログのモニタリング等の技術的な対策を行っています。また、外部からの攻撃等に備え、ファイアウォールやウイルス対策ソフトによる不正侵入や不正使用の防止と監視、ソフトウェアの脆弱性診断や、有事に適切な対応を図るためのCSIRTの運営等を行っています。

 

(5) その他の主要なリスク

 「(3) リスクの分類」で分類・管理している主要なリスクのうち、「(4) 特に重要性が高いリスク 」以外のリスクの内容は以下のとおりとなります。

 

① A-3 提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク

 当社は、インターネットを通じた生命保険商品の直接販売に加えて、生命保険業界内外の企業との業務提携を通じた販売チャネルの拡大を行っております。2015年4月には、KDDI株式会社と資本業務提携契約を締結し、当該提携先の顧客基盤等を活かした生命保険商品の販売を行っております。この業務提携は、当社の事業戦略上重要である一方、当該提携先が事業上の問題に直面した場合、業界再編などによって戦略を転換した場合、又は当社が魅力的な提携相手でなくなったと判断された場合などには、当社との業務提携が解消される、又は提携内容が変更される可能性があります。その結果、当社は事業戦略の変更を迫られ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② A-4 日本国内の人口動態に係るリスク

 1960年代後半以降、日本国内の合計特殊出生率は総じて減少傾向にあり、依然として低い水準にあります。その中で、15歳から64歳までの人口(以下、「生産年齢人口」)も減少しております。このような人口動態の変化が、日本国内における生命保険市場に悪影響を与える可能性があります。また、当社が販売する生命保険商品の顧客基盤は、主にこの生産年齢人口に属しております。生産年齢人口が今後も減少し続けた場合、当社の主力商品である定期死亡保険に対する需要が減少することになり、中長期的に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、人口動態の変化などの社会情勢の変化も踏まえながら、お客さまのニーズに応える商品サービスを開発してまいります。

 

③ A-5 気候変動に係るリスク

 長期的な気候変動の可能性は、国際社会のみならず、当社を含む生命保険業界へも悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、温暖化に伴い感染症が増加する場合や、異常気象が健康へ悪影響を及ぼす場合、自然災害等による被害が増加する場合には、保険金・給付金の支払いが増加する可能性があります。また、当社が社債などを通じて投資する企業において、自然災害等の被害の増加や、低炭素社会への移行に向けた制度変更、消費者選好の変化等による悪影響を受ける場合、当該企業への投資価値が低下する可能性があります。さらに、気候変動に対する当社の対応が不十分と評価される場合、追加的なコストの発生や社会的評価の悪化を通じ、当社の業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ A-6 サステナビリティに係るリスク

 持続可能な社会づくりは、社会全体で取り組むべき課題であるとともに、当社においても社会的使命を果たしつつ長期的に企業価値を向上させていくため、事業戦略の一部として取り組むべき課題であると認識しております。持続可能性に関連するリスクには、例えば、「A-4 日本国内の人口動態に係るリスク」や「A-5 気候変動に係るリスク」が挙げられますが、他にも、社会環境や自然環境、生活様式が中長期的に変化する中で、当社サービスの価値低下の可能性や、従業員及び外部委託先の労働環境悪化の可能性、会社のガバナンス機能の低下の可能性など、様々なリスクが含まれます。これらへの対応が不十分な場合、長期的に当社の企業価値が損なわれる可能性があります。また、これらへ対応が不十分と評価される場合、追加的なコストの発生や社会的評価の悪化を通じ、当社の業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ A-7 法規制に係るリスク

 当社は、保険業法の規定による生命保険業免許を受けた保険会社であり、保険業法等による規制と金融庁の広範な監督の下にあります。保険会社に適用される法規制の改正は、当社の保険販売に影響を及ぼす、又は法規制に対応するための予期せぬ追加コストの発生により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 例えば、情報漏えいに対する問題意識の高まりなどから、保険募集におけるインターネットの利用を制約するような法規制が導入された場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、ソルベンシー規制として、保険監督者国際機構(International Association of Insurance Supervisors: IAIS)が国際的な規制を、金融庁が国内向けの規制を、いずれも経済価値ベースで新たに導入することを検討しており、当社においても準備を進めておりますが、実際に導入される規制の内容が当社の想定と異なる可能性もあります。このように新たな規制や基準等が導入された場合には、これらに含まれる制約が、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、保険業法は、内閣総理大臣(原則として金融庁長官に権限委任。以下同じ)に対して、免許の取消し、業務の停止、立入検査、報告又は資料の提出など、保険業に関する広範な監督権限を与えております。特に、保険業法では、当社が、法令に基づく内閣総理大臣による処分を受けた場合、定款、事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書などの基礎書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反した場合、免許に付された条件に違反した場合、又は公益を害する行為をした場合に、内閣総理大臣が保険業法第133条に基づき、当社の免許を取り消すことができると定めております。仮に、当社の免許が取り消されることとなれば、当社は事業活動を継続できなくなり、解散となる可能性があります。

 

⑥ A-8 社会保障制度等の変更に係るリスク

 生命保険は、相互扶助の原理に基づき、国の社会保障制度を補完する私的保障の中核を担っております。当社の商品も、国の社会保障制度を前提として設計されており、中長期的に社会保障制度の変更があった場合、訴求力を失う可能性があります。

 また、私的保障の充実を促す仕組みである生命保険料控除制度が税制改正により縮小若しくは廃止となった場合、当社の新契約件数の獲得、ひいては当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ A-9 他の生命保険会社の破綻に係るリスク

 当社は、国内の他の生命保険会社とともに、破綻した生命保険会社の契約者を保護する生命保険契約者保護機構(以下、「保護機構」)への負担金支払い義務を負っております。将来的に、国内の他の生命保険会社が破綻した場合や、保護機構への負担金の支払いに関する法的要件が変更された場合には、保護機構に対する追加的な負担を求められ、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、他の生命保険会社の破綻は、生命保険業界全体に対する消費者の評価にも悪影響を与え、生命保険会社に対するお客さまの信頼を損なう可能性があります。この生命保険会社に対する不信感の影響で、当社の新契約件数の減少及び解約等による保有契約件数の減少を招き、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ A-10 オンライン生保業界の風評に係るリスク

 インターネットを通じた生命保険商品の販売は、様々なメディアにおいて「オンライン生保」という業種・業態として認知を高めつつあります。このような業界認知の向上は、当社の認知度向上及び成長にプラスに寄与する側面もある一方、同業他社において個人情報の漏えいやシステム障害等の問題が生じた場合は、オンライン生保業界全体に対する消費者の評価に悪影響を与え、新契約件数の減少や解約等による保有契約件数の減少により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ A-11 技術革新に係るリスク

 当社は、インターネットを活用した生命保険業務を展開していることから、インターネットとその関連技術に精通し続けることが当社の成長において不可欠です。IT関連業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の登場により当業界の技術標準又は顧客の利用環境が変化することから、新技術への対応が遅れた場合、当社の提供する保険商品及びサービスが劣後し、業界内での競争力の低下を招き、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ B-2 責任準備金の積み立てに係るリスク

 当社は、法令に従い、将来の保険金・給付金支払いに備えた責任準備金を積み立てております。これらの責任準備金は、一定の前提に基づいて計算されておりますが、これらの前提は不確実なものであることから、当社の実績が試算の前提条件より大きく悪化した場合には、責任準備金の積み増しが必要となります。また、責任準備金の計算に用いる標準生命表や標準利率、その他の計算方法が金融庁により改定された場合には、責任準備金の積み増し負担が増加する可能性があります。これらの場合、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は2021年度末より、全ての契約について責任準備金として標準責任準備金を積み立てております。

 

⑪ C-2 再保険取引に係るリスク

 当社は、主に保険引受リスクの軽減のため、再保険会社と再保険契約を締結しております。しかし、再保険契約は、取引先の存在が前提となるカウンターパーティ・リスクが伴うことから、現在の契約が履行されない場合や、将来適切な条件で締結できない場合及び再保険の締結自体ができない場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ C-3 株価・為替等の変動に係るリスク

 当社は、運用資産の一部として海外の債券や国内外の株式なども保有しております。これらは、適切なリスクコントロールのうえ投資を実施しているため、市場リスクに与える影響は限定的であると認識しておりますが、予期せぬ市場の変動等により株価下落・クレジットスプレッド拡大・円高などが進行した場合に、時価が下落することや、予期せぬタイミングで売却することなどにより、当社が損失を被る可能性があります。

 また、一部において、純投資目的に加えて当社の企業価値又は業績の向上を目的とした株式投資を行っており、今後も行う可能性があります。投資先の選定にあたっては、必要な検討を実施したうえで投資判断を行っておりますが、市場経済の動向や投資先の財務内容及び業績が悪化した場合や為替の変動が発生した場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ C-4 社債等に係る信用リスク

 当社は、主に高格付けの公社債などへ投資しているため信用リスクに与える影響は限定的であると認識しておりますが、保有する公社債の発行体の業績が著しく悪化し信用力が低下した場合、時価の下落に加え、元利金不払い等の債務不履行が生じる可能性があります。また、当社が保有するその他の資産についても、取引先の破綻等により、回収不能に陥る可能性があります。それらの場合、当該資産の価値が減少又は消失し、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ C-5 流動性リスク

 当社は、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保した資産運用を行っております。しかし、感染症の大流行・地震・津波・テロなどの大規模災害により、急遽、多額の保険金・給付金の支払いが求められた場合、当社の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性や、不利な条件での資産の売却を強いられ当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、大規模災害が金融市場の混乱につながった場合など、資産の処分が全くできなくなった場合、保険金・給付金の支払いが遅延する可能性があります。その結果、当社のレピュテーションが低下し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ D-4 大規模災害等における事業継続性に係るリスク

 感染症の大流行や、人口密集地域や広範囲を襲う地震・津波・テロ・国家間紛争等の大規模災害が発生した場合、保険引受リスクや流動性リスクへの影響に加え、当社役職員・関係職員の被災・罹患や当社施設の損壊、外部の業務委託先の機能停止等により、当社の事業継続への影響や追加費用が発生する可能性もあります。当社は、地震等で被災した場合を想定して事業継続計画を策定しておりますが、この事業継続計画の想定を超えるような大規模災害が発生した場合、当社の業務運営に重大な支障をきたす可能性があります。なお、このような状況においては、当社が事業を継続できていた場合も、社会・経済全体の活動が低下することにより、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ D-5 事務リスク

 当社が構築した事務リスク管理体制が有効に機能することなく、事務手続き上の重大な過失が起こった場合、当社の風評の低下又は財務上の損害をもたらす可能性があるとともに、行政処分を受ける可能性があります。また、当社の外部委託先や代理店の不適切な事務処理が原因で、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰ D-6 保険金・給付金の支払い漏れに係るリスク

 生命保険業界全体が保険金等の「不払い問題」を契機に以後継続的に支払い体制の強化を図る中で、当社においても、正確かつ迅速な支払いを行うための不断の努力を重ねております。しかし、事務手続き上の重大な過失や保険金・給付金の支払い漏れが発生した場合、行政処分の如何にかかわらず、当社への信頼の低下等を通じ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ D-7 当社従業員の雇用等に係るリスク

 当社は、生命保険会社としての業務遂行のため、安定した事務遂行と高い専門性を有する人材の確保・育成に努めております。しかし、有能で熟練した人材は限られており、人材獲得の競争激化に加え、重大な人事・労務問題が発生し、当社の信頼が著しく低下することにより、必要な人材の確保及び育成を図ることができなくなった場合、又は社内の人材の流出が起こった場合には、当社の円滑な業務運営に問題が生じる可能性があります。

 

⑲ D-8 訴訟リスク

 当社は、主に予防法務に重点を置き、弁護士などと相談しながら訴訟の発生リスクを極小化しており、現在までのところ、重大な訴訟は発生しておりません。しかし、生命保険事業に関連した訴訟が発生し当社が不利な結果を被る可能性もあり、将来にわたって当社の社会的信用や業績に影響を及ぼす訴訟や係争が発生する可能性があります。また、同様に、他社が係争中の訴訟を含め、生命保険会社に不利な判決が下された場合に、潜在的な訴訟の可能性や顧客への対応に係る事務コストが高まる可能性があります。

 

⑳ D-9 リスク管理体制に係るリスク

 当社は、リスク管理に関係するあらゆる事項の報告を行う全社横断的な機関である「リスク管理委員会」を設置し、適切なリスク管理を行っております。しかし、リスクを把握する上で必要となる過去の実績や経験の蓄積が十分ではない可能性があり、当社のリスク管理体制が有効に機能しなかった場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等が断続的に発出されるなかで、力強さを欠いてきました。行動制限が段階的に緩和され、経済社会活動は再開しているものの、オミクロン株の感染拡大もあり、新型コロナウイルス感染症による経済への影響には引き続き注意が必要な状況にあります。

 生命保険業界においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、保険金・給付金請求手続きの簡易取り扱い、みなし入院に関する取り扱い、保険料の払込猶予期間延長等の特別な取り扱いにより、生命保険事業の社会的使命を果たすべく、お客さまに寄り添った対応を行いました。

 このような状況のなか、当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として開業から14年目を迎えました。当事業年度においても、新商品の発売、スマートフォンを活用したサービスの拡充、パートナー企業との協業を通じて、お客さま視点での商品・サービスの提供に努め、過去最高となる新契約件数を達成、保有契約件数は50万件を突破しました。

 

(契約の状況)

 当事業年度の新契約の年換算保険料*1は、前事業年度比97.4%の4,089百万円、新契約件数は過去最高を更新し、前事業年度比100.0%の100,636件となりました。

 当事業年度末の保有契約の年換算保険料は、前事業年度末比115.0%の21,511百万円、保有契約高は、前事業年度末比111.9%の3,351,278百万円となりました。保有契約件数は、2022年2月に50万件を突破し、前事業年度末比115.3%の507,428件となり、保有契約者数は、322,231人となりました。また、当事業年度の解約失効率*2は、新型コロナウイルス感染症に伴う特別取り扱いの一環として、保険料の払込猶予期間を延長した契約を失効契約として計上した影響を含み、6.6%(前事業年度6.0%)となりました。

*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としております。

*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。

 

(収支の状況)

 当事業年度の保険料等収入は、保有契約の増加に伴う保険料の増加及び修正共同保険式再保険における再保険収入の増加に伴い、前事業年度比125.3%の25,420百万円となりました。また、資産運用収益は、主に有価証券売却益の増加により、前事業年度比153.4%の665百万円となりました。その他経常収益は、81百万円となりました。この結果、当事業年度の経常収益は、前事業年度比125.9%の26,167百万円となりました。

 保険金等支払金は、修正共同保険式再保険における再保険料の増加などに伴い、前事業年度比143.7%の8,668百万円となりました。保険金及び給付金支払額の保険料に対する割合は、前事業年度の19.5%から20.7%となりました。責任準備金等繰入額は、前事業年度比109.4%の6,903百万円となりました。責任準備金繰入額の保険料に対する割合は、前事業年度の36.2%から34.1%となりました。事業費は、広告宣伝費を中心とした営業費用の投下等により、前事業年度比121.0%の12,140百万円となりました。事業費のうち、営業費用は前事業年度比123.1%の8,262百万円、保険事務費用は前事業年度比119.3%の1,278百万円、システムその他費用は前事業年度比115.7%の2,599百万円となりました。その他経常費用は、前事業年度比112.6%の1,693百万円となりました。これらにより、当事業年度の経常費用は前事業年度比123.2%の29,413百万円となりました。

 以上の結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度のマイナス3,089百万円に対して、マイナス3,245百万円となりました。当期純利益は、前事業年度のマイナス3,114百万円に対して、マイナス3,319百万円となりました。

 また、生命保険会社の収益性を示す指標のひとつである基礎利益は、前事業年度のマイナス2,874百万円に対して、マイナス3,213百万円となりました。内訳は、危険差益3,348百万円、費差益マイナス6,648百万円、利差益86百万円です。

 当社は、継続的な新契約業績の成長を目指すとともに、財務健全性の維持を目的として、2019年度から新契約の一部(以下、出再契約)を対象とした修正共同保険式再保険を行っております。修正共同保険式再保険は、出再契約のリスク及び収支構造の一部を一定期間再保険会社に移転するもので、当該再保険を活用することで、新契約に係る費用の負担が、会計上の資本を急激に減少させる状況を緩和することが可能となります。具体的には、当該再保険では、新契約獲得の初年度に、出再契約に係る新契約費の一部を出再手数料として収受します。そのため、経常収益が増加します。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。そのため、当該期間において、経常利益及び純利益は減少することとなります。再保険貸の償却が完了し、再保険契約を終了させると、その後の出再契約の利益は当社に帰属することとなります。以上により、当事業年度においては、当該再保険により経常収益は4,852百万円増加(前年同期は2,778百万円増加)、経常利益及び当期純利益は1,283百万円増加(前年同期は804百万円増加)しています。

 

(財政状態)

 当事業年度末の総資産は、67,820百万円(前事業年度末54,501百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする有価証券は、47,425百万円となりました。また、再保険貸3,881百万円のうち、修正共同保険式再保険に係る未償却出再手数料の残高は3,657百万円となりました。

 負債は、責任準備金が増加したことから、45,749百万円(前事業年度末38,694百万円)となりました。主な勘定残高は、責任準備金42,558百万円、支払備金984百万円となりました。なお、当社は、2018年度の新契約より、責任準備金の積立方式を5年チルメル式*3から標準責任準備金*4へ移行しております。2018年度期初における5年チルメル式責任準備金と標準責任準備金との差額(以下、当差額)を、2018年度から2022年度の5事業年度にわたって解消するように積立を行ってきました。この度、「保険会社向けの総合的な監督指針」を踏まえ、事業環境の変化に対応した財務基盤の強化のため2022年度に積み立てる予定であった当差額を2021年度において積立を行いました。これにより、当事業年度において標準責任準備金への移行を完了しました。

 純資産は、当期純損失を計上したものの、海外市場における募集による新株式発行を行ったことにより22,071百万円(前事業年度末15,806百万円)となりました。なお、修正共同保険式再保険の活用により、純資産のうち利益剰余金には、未償却出再手数料の残高分を増加させる効果を含んでおり、資本の急激な減少を緩和しております。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。それに応じて、当該期間において、純資産が減少することとなります。

 また、当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、3,182.8%(前事業年度末2,647.1%)となり、充分な支払余力を維持しております。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

*3.5年チルメル式とは、責任準備金の積立方式のひとつで、生命保険の契約当初から5年間は、保険料積立金の積立額を平準純保険料式より小さく積み立てる方式であり、生命保険会社は、その事業特性上、契約獲得費用を含む契約初年度の事業費が多額になる傾向にあることを考慮した積立方式です。また、平準純保険料式とは、保険料払込期間における事業費の想定を毎回一定額(平準)とし、責任準備金を計算する方式です。

*4.標準責任準備金とは、保険会社が設定する保険料水準にかかわらず、監督当局が保険会社の健全性の維持、保険契約者保護の観点から定めた責任準備金の積立水準のことで、平準純保険料式により計算されます。

 

(商品・サービスなどの取組み)

 当事業年度において、当社は「グロース」と「トランスフォーメーション」の加速を目指して、2021年9月に海外市場における募集による新株式発行を行いました。金融のデジタル化という構造的な変化を背景に、この数年間、当社の保有契約業績は力強い成長を継続しております。このようなオフラインからオンラインへの構造的かつ不可逆的な変化を好機と捉え、オンライン生保のリーディングカンパニーとして確固たる地位を築き、オンライン生保のプラットフォーマーへの変革を力強く推進していくべきと考え、前事業年度に引き続き資本調達を実施しました。

 商品の提供においては、2021年6月に、就業不能保険「働く人への保険3」を発売しました。病気やケガで働けなくなった時の生活費から、就業復帰後も生じる治療費の負担や収入減少もサポートする、新しいコンセプトの商品です。また、サービスの提供においても、AIを活用したチャットボットの導入やライフネット生命アプリのリニューアルなど、お客さまとの接点に関わる領域でさまざまな取組みを推進しました。当社は、このような顧客体験の革新への積極的な投資が、競争優位性向上に繋がると考えております。

 外部機関からの多数の評価も獲得しました。商品面では、定期死亡保険「かぞくへの保険」と就業不能保険「働く人への保険2」が「価格.com保険アワード2021年版」で5年連続総合第1位を獲得したことに加え、サービス面では、コンタクトセンターとウェブサイトが「2021年HDI格付けベンチマーク(生命保険業界)」において業界最多記録となる9回目の最高評価を受賞しました。さらに、実際に契約手続きをされたお客さまが評価する「J.D. パワー2022年生命保険契約満足度調査SM」では、ダイレクト型チャネル部門で2年連続第1位に選ばれました。

 当事業年度は、中長期的な成長を見据えた取組みも推進しました。まず、ホワイトレーベル事業においては、株式会社マネーフォワードと、2021年7月から「マネーフォワードの生命保険」の提供を開始しました。

 また、オンラインの生命保険プラットフォームを構築し、オンライン生保市場の拡大を牽引することを目的に、2021年5月に株式会社MILIZEとの合弁会社「ライフネットみらい株式会社」を設立し、7月からオンライン保険代理店事業及び保険証券管理サービスの提供を開始しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,783百万円の収入(前事業年度2,937百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、7,749百万円の支出(前事業年度10,435百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外市場における募集による新株式発行を行ったことにより、9,668百万円の収入(前事業年度8,879百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、7,761百万円(前事業年度末3,059百万円)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生命保険業においては、該当する情報がないため記載しておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営状況の分析等

 当社は、EEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)を当社の企業価値を表す最も重要な指標と位置づけ、経営方針の経営目標に掲げております。当社は、2018年11月の経営方針の策定当初の経営目標としていた「EEVの早期の1,000億円到達」が間近となったことを踏まえ、2021年5月に、経営目標を「EEVの早期の2,000億円到達を目指す」ことに変更し、より一層の成長と高い収益力の実現を目指します。なお、経営方針については、第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕の(3)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題をご参照ください。

 また、EEVの持続的な成長を支える経営指標として、成長性指標・収益性指標・健全性指標を設定しております。各指標の説明、成果及び分析は以下のとおりです。

(EEVについて)

 EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産」と「保有契約の将来利益現価」を合計した指標であり、当社が用いるEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、EV(エンベディッド・バリュー)の種類のひとつです。

 「修正純資産」は、期末の純資産に調整額(負債中の内部留保等)を合計して算出します。当年度の純利益がプラスの場合は、修正純資産を増加させる要因となり、マイナスの場合は、修正純資産を減少させる要因となります。「保有契約の将来利益現価」は、現在の保有契約から生じる将来の利益を現在価値に割り引いたもので、新契約を獲得すると、一般的には、保有契約の将来利益現価が増加します。

(EEVを経営指標として定めた理由)

 生命保険契約は、一般的に、新規の契約を獲得する時に多くの費用がかかるものの、収益となる保険料収入を生み出す期間は長期となるため、費用と収益の発生にタイムラグが生じます。現在の法定会計上の損益計算書では、新規の契約獲得に係る費用を初年度に一括計上する一方で、収益となる保険料収入は長期にわたって計上されます。そのため、新規の契約が増加するほど当年度に計上される費用が増加し、当期の利益にマイナスの影響を与える構造となっております。さらに、当社のように保有契約に占める新契約の割合が大きい生命保険会社は、当期の損益計算書上の損益は、損失となる傾向にあります。当社は、超長期となるビジネスである生命保険会社の企業価値を評価するためには、法定会計に加えて、将来の利益も含めた長期の収益性を示すEV(エンベディッド・バリュー)も考慮する必要があると考え、経営方針の経営指標として定めております。

(EEV計算結果と変動要因分析)

 当事業年度末のEEVは、116,604百万円となりました。修正純資産は25,168百万円、保有契約の将来利益現価は91,435百万円となりました。

(百万円)

 

2021年3月末

2022年3月末

増減

EEV

95,140

116,604

21,464

修正純資産

18,990

25,168

6,177

保有契約の将来利益現価

76,149

91,435

15,286

 また、前事業年度末から当事業年度末までのEEVの変動要因分析は以下のとおりです。

(百万円)

2021年3月末EEV

95,140

 

2021年3月末EEVの調整*1

635

 

修正EV増加額

6,109

 

2021年度の新契約価値

4,679

 

将来利益現価の割り戻し

1,313

保険関係の前提条件と実績の差異

116

保険関係の前提条件の変更

4,652

 

経済的前提条件と実績の差異

219

 

2022年3月末EEVの調整*2

9,846

 

2022年3月末EEV

116,604

 

*1.リスクフリー・レートとして参照する金利を金利スワップレートから国債利回りに変更したことによる影響。

*2.資本の増減による項目。主に2021年9月の海外公募増資による資本調達の影響。

 前事業年度末から当事業年度末にかけて、EEVは21,464百万円増加しました。主な要因は、修正EV増加額、保険関係の前提条件の変更、資本調達による増加です。

 まず、修正EV増加額につきましては、EEVの変動のうち、「新契約価値」「将来利益現価の割り戻し」「保険関係の前提条件と実績の差異」の合計額を修正EV増加額と定義したもので、当社の期間業績を表す指標と位置付けております。修正EV増加額の構成要素のうち、当事業年度獲得した新契約から生じた新契約価値が主にEEVの成長に寄与しました。次に、保険関係の前提条件の変更につきましては、主に、保険事故発生率(死亡率及び罹患率)の前提の見直しを行いました。最後に、資本調達につきましては、上記の変動要因分析のうち「2022年3月末EEVの調整」にその影響額が計上されておりますが、2021年9月に実施した海外市場における募集による新株式発行などにより純資産が増加したことによってEEVが増加しました。

 

(EEVの持続的な成長を支える経営指標)

 当社は、成長性指標として保有契約業績及び新契約業績、収益性指標として営業費用を除く事業費率及び営業費用効率、健全性指標としてソルベンシー・マージン比率を設定し、EEVの持続的な成長を支える経営指標としております。各指標の結果分析は以下のとおりです。

 成長性指標について、当事業年度末の保有契約業績は、年換算保険料が前事業年度末比115.0%の21,511百万円、件数が前事業年度末比115.3%の507,428件となりました。保有契約業績は、主に新契約業績及び解約失効率により増減します。2021年度の新契約業績においては、年換算保険料が前事業年度比97.4%の4,089百万円、件数が前事業年度比100.0%の100,636件となりました。前事業年度は、新型コロナウイルス感染症拡大及び2020年4月の緊急事態宣言の影響を受け、生命保険ニーズが高まったことなどにより新契約業績が伸長しましたが、当事業年度は、特に下半期の緊急事態宣言の解除以降、生命保険のニーズが一時的に低下したことなどにより、成長速度が緩やかとなった結果、前事業年度と同水準となりました。また、解約失効率においては、前事業年度の6.0%から6.6%となりました。前事業年度は、主に新型コロナウイルス感染症拡大によるお客さまの健康不安の増大の影響等を受けたことなどにより当社の過去の水準と比べ低下しましたが、当事業年度は、新型コロナウイルス感染症拡大以前の従来の水準に落ち着いております。成長性指標については、3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況もご参照ください。

 収益性指標については、営業費用を除く事業費率(事業費*3のうち、営業費用を除いた事業費を保険料収入で除した割合)と、営業費用効率(営業費用を新契約件数で除した新契約1件当たりの営業費用)を指標としております。当事業年度の営業費用を除く事業費率は、保有契約の増大に伴い保険料収入が増加した一方、人材等への投資を行ったため、19.5%(前事業年度19.6%)とわずかな改善になりました。営業費用効率は、前事業年度の6.6万円から8.2万円となりました。前事業年度は、特に上半期において新型コロナウイルス感染症拡大に伴い一時的に生命保険ニーズが高まったことが営業費用効率の改善に大きく寄与しました。一方、当事業年度は、特に下半期の緊急事態宣言の解除以降、生命保険のニーズが一時的に低下したことなどにより新契約業績の成長速度が緩やかとなったものの、足元の事業環境等を踏まえて営業費用を積極的に投下した結果、営業費用効率は低下しました。

 健全性指標のソルベンシー・マージン比率は、3,182.8%(前事業年度末2,647.1%)で、充分な水準を確保しております。ソルベンシー・マージン比率についての詳細については、3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容のc. ソルベンシー・マージン比率もご参照ください。

*3.当社は事業費を、営業費用、保険事務費用、システム・その他費用の3つに分類しております。営業費用を除く事業費とは、保険事務費用とシステム・その他費用の合計を指します。なお2021年度の営業費用を除く事業費は3,877百万円です。

 

b. 経常利益等の明細(基礎利益)

(a) 基礎利益

 基礎利益とは生命保険業における収益性を示す指標のひとつです。具体的には、保険契約者から収受した保険料等の保険料等収入、資産運用収益及び責任準備金戻入額等その他経常収益等で構成される基礎収益から、保険金等支払金、責任準備金等繰入額、資産運用費用、事業費及びその他経常費用等から構成される基礎費用を控除したものとして計算されます。

 基礎利益と経常利益との差及びその内訳は、以下のとおりです。

                               (単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

基礎利益                  A

△2,874

△3,213

キャピタル収益

65

190

 

金銭の信託運用益

62

11

売買目的有価証券運用益

有価証券売却益

2

178

金融派生商品収益

為替差益

その他キャピタル収益

キャピタル費用

0

0

 

金銭の信託運用損

売買目的有価証券運用損

有価証券売却損

有価証券評価損

金融派生商品費用

為替差損

0

0

その他キャピタル費用

キャピタル損益               B

65

190

キャピタル損益含み基礎利益         A+B

△2,809

△3,023

臨時収益

 

再保険収入

危険準備金戻入額

その他臨時収益

臨時費用

280

222

 

再保険料

危険準備金繰入額

280

222

個別貸倒引当金繰入額

特定海外債権引当勘定繰入額

貸付金償却

その他臨時費用

臨時損益                  C

△280

△222

経常利益                              A+B+C

△3,089

△3,245

注1.当事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益59百万円を含んでおります。

 2.前事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益48百万円を含んでおります。

(b) 三利源について

 基礎利益は「危険差損益」、「費差損益」及び「利差損益」に分解することも可能であり、これらを三利源と呼んでおります。生命保険料の計算は、予定発生率(死亡率、入院率など)、予定利率、予定事業費率(付加保険料部分)の3つに基づいております。これらの「予定」と実績との差によって生命保険会社の利益(基礎利益)が生じていると考え、それぞれの差分を算出することによって、基礎利益がどのような要因から生じているのかを明らかにするのが利源分析の考え方です。

 

危険差損益

想定した保険金・給付金の支払額(予定発生率)と実際に発生した支払額との差

費差損益

想定した事業費(予定事業費率)と実際の事業費支出との差

利差損益

想定した運用収支(予定利率)と実際の運用収支との差

(注)当社の利源分析は、保険数理上合理的な方法を採用しておりますが、具体的な計算方法は他の保険会社と異なることがあります。当社では保険料の内訳計算等について責任準備金の積立方式を考慮した方式とし、解約・失効による利益(解約失効益)は、費差損益に含めております。

 

(c) 基礎利益の内訳(三利源)

 当事業年度の基礎利益及び三利源の状況は以下のとおりです。前事業年度の2,874百万円のマイナスに対して、3,213百万円のマイナスとなりました。

(単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

基礎利益

△2,874

△3,213

 

危険差損益

3,274

3,348

 

費差損益

△6,164

△6,648

 

利差損益

16

86

 

c. ソルベンシー・マージン比率

(a) ソルベンシー・マージン(支払い余力)の考え方

 ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株式市場の暴落など、通常の予測の範囲を超えて発生するリスクに対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するための経営指標・行政監督上の指標のひとつです。具体的には、純資産などの内部留保と有価証券含み益などの合計(ソルベンシー・マージンの総額=支払い余力)を、定量化した諸リスクの合計額で除して求めます。なお、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、行政監督上、健全性についてのひとつの基準を満たしているとされます。

ソルベンシー・マージン比率 =

ソルベンシー・マージン総額

 × 100(%)

リスクの合計額 × 1/2

 

(b) ソルベンシー・マージン比率

 当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、3,182.8%となり、支払余力は引き続き高水準を維持しております。

                                   (単位:百万円)

項   目

前事業年度末

(2021年3月31日)

当事業年度末

(2022年3月31日)

(A) ソルベンシー・マージン総額

28,455

37,758

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金等

14,846

21,373

価格変動準備金

76

102

危険準備金

2,003

2,226

一般貸倒引当金

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%

(マイナスの場合100%)

1,200

872

土地の含み損益×85%

(マイナスの場合100%)

全期チルメル式責任準備金相当額超過額

10,328

13,184

持込資本金等

負債性資本調達手段等

控除項目

その他

(B) リスクの合計額

0102010_002.png

2,149

2,372

 

 

 

 

 

 

保険リスク相当額        R1

1,113

1,077

第三分野保険の保険リスク相当額 R8

358

379

予定利率リスク相当額      R2

3

3

最低保証リスク相当額      R7

資産運用リスク相当額      R3

1,440

1,745

経営管理リスク相当額      R4

87

96

(C) ソルベンシー・マージン比率

0102010_003.jpg

2,647.1%

3,182.8%

(注) 以上の数値は、保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険料収入の増加により、2,783百万円の収入(前事業年度2,937百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得により、7,749百万円の支出(前事業年度10,435百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に海外市場における募集による新株式発行を行ったことにより、9,668百万円の収入(前事業年度8,879百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、7,761百万円(前事業年度末3,059百万円)となりました。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。

 当社は、保険料収入を主な資金の源泉としております。また、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保したうえで資産運用を行っております。

 当事業年度においても、公社債など高格付けの円金利資産を中心とした運用を継続しました。なお、適切なリスク管理のもとで株式及び国内外の債券などを対象とした投資信託への投資を通じて資産の多様化を行っております。

 また、当社の成長のさらなる加速を目指して成長資本を拡充するため、2021年9月に海外市場における募集による新株式発行を行い、資金調達を実施しております。調達した資金は新契約獲得のためのマーケティング費用、システム開発費用、新規事業投資等に活用し、保有契約の拡大や「インターネットの生命保険会社」から「生命保険のインターネット企業」への変革の実現を目指してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社の財務諸表に大きな影響を及ぼします。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「追加情報」に記載しております。

 

a. 金融商品の時価の算定方法

 有価証券は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には将来キャッシュ・フローの現在価値等に基づく合理的な見積りによることとしております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。

 

b. 有価証券の減損処理

 売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価が取得価額に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められる場合を除き、合理的な基準に基づく減損処理を行うこととしております。今後の金融市場の状況によっては、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

c. 繰延税金資産及び繰延税金負債

 繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき、認められる額を計上しております。

 

d. 貸倒引当金の計上基準

 当社は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、債権の回収不能時に生じる損失の見積り額について、貸倒引当金を計上することとしております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

e. 支払備金の積立方法

 保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等について、事業年度末時点の未払いの金額を見積り、支払備金として積み立てております。今後、見積りに影響する新たな事実の発生や裁判の判例等により、支払備金の計上額が当初の見積り額から変動する可能性があります。

 

f. 責任準備金の積立方法

 保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。当社は責任準備金の見積りに使用される基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく異なる場合、あるいは基礎率を変更する必要がある場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はありません。

 責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載のとおりです。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2015年4月、KDDI株式会社(以下「KDDI社」)と資本業務提携契約を締結しました。当資本業務提携契約により、当社は、KDDI社を割当先とする第三者割当により新株式を発行し、資金調達を行いました。また、2019年12月には、KDDI社の金融事業に係る組織再編が行われ、KDDI社が保有する全ての当社株式がauフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「auFH社」)に承継されたことに伴い、auFH社を加えた三社間で業務提携契約を締結しました。引き続き、両社と連携し、それぞれの顧客基盤・ブランド・事業ノウハウなどの強みを活かした商品・サービスを共同で提供してまいります。

 なお、当社が2013年4月にSwiss Reグループの再保険会社であるSwiss Reinsurance Company Ltdと締結し、その後、Swiss Reグループ内の株式所有会社の変更により2017年3月にSwiss Re Life Capital Ltdと締結した業務提携契約は、2021年4月に契約期間の満了により終了しました。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。